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JP2014156553A - ポリエステルフィルム、太陽電池用モジュール用バックシートおよび太陽電池用モジュール - Google Patents

ポリエステルフィルム、太陽電池用モジュール用バックシートおよび太陽電池用モジュール Download PDF

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JP2014156553A
JP2014156553A JP2013028427A JP2013028427A JP2014156553A JP 2014156553 A JP2014156553 A JP 2014156553A JP 2013028427 A JP2013028427 A JP 2013028427A JP 2013028427 A JP2013028427 A JP 2013028427A JP 2014156553 A JP2014156553 A JP 2014156553A
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Japan
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polyester film
polyester
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Yohei Aritoshi
陽平 有年
Shigeo Kamihira
茂生 上平
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Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】本発明は、耐加水分解性に加えて、優れた密着性および耐湿熱性を有するポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ポリエステルと末端封止剤を含むポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルに対して前記末端封止剤の平均含有率は、0.1〜10質量%であり、前記末端封止剤の含有率の面内変動が2〜20%であることを特徴とするポリエステルフィルムに関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルム、太陽電池用モジュール用バックシートおよび太陽電池用モジュールに関する。
太陽電池モジュールは、一般に、太陽光が入射する受光面側からガラスまたはフロントシート/透明な充填材料(封止材)/太陽電池素子/封止材/バックシート(BS)がこの順に積層された構造を有している。具体的には、太陽電池素子は一般にEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の樹脂(封止材)で包埋され、さらにこの上に太陽電池用保護シートが貼り付けられた構造に構成される。太陽電池用保護シート、その中でも特に最外層となる太陽電池モジュール用のバックシート(BS)は、屋外の風雨や直射日光などに曝されるような環境下に長期間置かれる状況が想定されるものであるため、優れた耐候性(耐湿熱性、耐熱性)が求められる。
太陽電池モジュール用バックシートには、従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムが使用されている。ポリエステルフィルムは、優れた耐熱性、機械特性及び耐薬品性などを有しているため、工業的に多くの製品に用いられている。しかし、これらのフィルムは、耐加水分解性に乏しいため、加水分解により分子量が低下し、脆化が進行して機械物性などが低下する。このため、太陽電池用のバックシートとして長期間に渡り実用的な強度を保持することができなかった。
このような問題を解決するために、ポリエステルフィルムに末端封止剤を添加し、耐加水分解性を高めることが提案されている(例えば、特許文献1〜5)。特許文献1では、末端封止剤としてポリカルボジイミド化合物を採用しており、特許文献2および3では、末端封止剤として環状カルボジイミド化合物を採用している。これらのカルボジイミド化合物は、ポリエステルの末端カルボキシル基と反応し、ポリエステルの加水分解を抑制する働きをする。
また、特許文献4および5では、末端封止剤としてケテンイミン化合物を採用している。ケテンイミン化合物もカルボジイミド化合物と同様に、ポリエステルの末端カルボキシル基と反応し、ポリエステルの加水分解を抑制する働きをすることが知られている。
特開2011−222580号公報 国際公開2011/071211号パンフレット 国際公開2011/093478号パンフレット 特開平10−130482号公報 米国特許3692745号公報
しかしながら、上述したような末端封止剤を含有するポリエステルフィルムにおいては、耐加水分解性は改善されるが、ポリエステルフィルムに他の部材を積層した際に、他の部材との密着性が悪化することが本発明者らの検討により明らかとなった。特に、高温高湿度の過酷環境下において、密着性の悪化が顕著となるため問題となっていた。
また、末端封止剤を含有するポリエステルフィルムは、十分な耐湿熱性を有しておらず、高湿度環境下においてポリエステルフィルムの強度を十分に保つことができないことが本発明者らの検討により明らかとなった。このため、より優れた耐湿熱性を有するように改良が求められていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、耐加水分解性に加えて、優れた密着性および耐湿熱性を有するポリエステルフィルムを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、ポリエステルフィルムに含まれる末端封止剤の平均含有率を所定の範囲内とし、末端封止剤の含有率の面内変動を2〜20%とすることにより、耐加水分解性に加えて、密着性および耐湿熱性を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに、本発明者らは、末端封止剤として特定の構造を有するケテンイミン化合物を用いることにより、製膜工程におけるガス揮散等を抑制するなど、製造適性を高めることができることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]ポリエステルと末端封止剤を含むポリエステルフィルムであって、
前記ポリエステルに対して前記末端封止剤の平均含有率は、0.1〜10質量%であり、前記末端封止剤の含有率の面内変動が2〜20%であることを特徴とするポリエステルフィルム。
[2]前記末端封止剤の平均含有率をXave、面内標準偏差をσxとしたとき、0.5≦(σx/Xave)×100≦5であることを特徴とする[1]に記載のポリエステルフィルム。
[3]前記末端封止剤は、鎖状カルボジイミド化合物、環状カルボジイミド化合物またはケテンイミン化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載のポリエステルフィルム。
[4]前記末端封止剤は、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載のポリエステルフィルム。
Figure 2014156553
(一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。)
[5]前記末端封止剤は、下記一般式(2)で表されるケテンイミン化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載のポリエステルフィルム。
Figure 2014156553
(一般式(2)中、R1はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R2は置換基としてL1を有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R3はアルキル基またはアリール基を表す。nは1から4の整数を表し、L1はn価の連結基を表す。)
[6]前記一般式(2)における、nが3または4であることを特徴とする[5]に記載のポリエステルフィルム。
[7]前記末端封止剤が、下記一般式(3)で表されるケテンイミン化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載のポリエステルフィルム。
Figure 2014156553
(一般式(3)中、R1およびR5はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R2およびR4は置換基としてL2を有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R3およびR6はアルキル基またはアリール基を表す。L2は単結合または二価の連結基を表す。)
[8]前記ケテンイミン化合物のケテンイミンを構成する窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量が320以上であることを特徴する[4]〜[7]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[9]リン元素の含有率が30〜600ppmとなるようにリン化合物をさらに含み、
前記リン元素の含有率の面内変動が2〜20%であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[10]前記リン元素の平均含有率をYave、面内標準偏差をσyとしたとき、0.5≦(σy/Yave)×100≦5であることを特徴とする[9]に記載のポリエステルフィルム。
[11]微粒子をさらに含み、前記微粒子の含有率は、前記ポリエステルに対し0.5〜10質量%であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[12]ボイドをさらに含み、前記ボイドの含有率は、前記ポリエステルの断面積に対して5〜50%であることを特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[13]ポリエステルと末端封止剤を含む第1の組成物と、ポリエステルを含み、前記第1の組成物と末端封止剤の含有率が異なる第2の組成物の混合物を作製する工程と、
前記混合物を溶融して製膜する工程を有し、
前記混合物を作製する工程では、前記第1の組成物と前記第2の組成物を不均一に混合することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
[14]前記混合物を作製する工程は、前記第1の組成物と前記第2の組成物を混練押出し機に投入する工程を含み、前記投入する工程では、前記第1の組成物の投入量を変動させることを特徴とする[13]に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
[15][13]または[14]に記載の方法により製造したポリエステルフィルム。
[16][1]〜[12]および[15]のいずれかに記載のポリエステルフィルムを用いた太陽電池用バックシート。
[17][16]に記載の太陽電池量バックシートを用いた太陽電池用モジュール。
本発明によれば、ポリエステルフィルムに含まれる末端封止剤の平均含有率を所定の範囲内とし、末端封止剤の含有率に所定の範囲内で面内変動を持たせることにより、ポリエステルフィルムに積層する他の部材との密着性を高めることができる。本発明のポリエステルフィルムは、高温高湿度環境下においても高い密着性を発揮することができる。
また、本発明によれば、ポリエステルフィルムの耐湿熱性を高めることができ、高湿度環境下においてポリエステルフィルムの強度を十分に保つことができる。
このように、本発明のポリエステルフィルムは、耐加水分解性に加えて、優れた密着性および耐湿熱性を有するため、太陽電池モジュール用バックシートとして好ましく用いられる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(ポリエステルフィルム)
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルと末端封止剤を含む。末端封止剤の平均含有率は、0.1〜10質量%であり、末端封止剤の含有率の面内変動は2〜20%である。ここで、面内とは、ポリエステルフィルム面の長手方向、幅方向の両方に広がる面を含む領域を意味し、面内変動とは、ポリエステルフィルムを長手方向、幅方向の両方で等分した際に、分割された単位領域で測定した単位面積当たりの末端封止剤の含有率の最大値と最小値の差を平均値で割り百分率で表したものをいう。
本発明のポリエステルフィルムは、末端封止剤の含有率に面内変動を与えることとしている。すなわち、ポリエステルフィルムの表面に沿って(面方向に)、末端封止剤の含有率が変動している。このように、末端封止剤の含有率が面内で分布を有することにより、ポリエステルフィルムと他の部材との密着性を高めることができる。さらに、末端封止剤の含有率が面内で分布を有することにより、ポリエステルフィルムの耐湿熱性も高めることができる。
末端封止剤の含有率の面内変動を2〜20%に制御することで密着性および耐湿熱性が向上する機構については、次のような機構が考えられる。
通常、末端封止剤を含むポリエステルフィルムを湿熱環境下に保存すると、末端封止剤を構成する化合物そのものや、その分解物がフィルム表面に析出し、密着性が悪化する。このとき、末端封止剤の含有率が小さい領域がフィルム面内に存在すると、その領域では、末端封止剤を構成する化合物そのものや、その分解物の析出は少なくなる。すなわち、本発明のポリエステルフィルムにおいては、末端封止剤を構成する化合物そのものや、その分解物の析出が多い箇所と少ない箇所が生じることとなり、析出が少ない箇所では、局所的に密着性を高めることができる。このように局所的に密着性が高い箇所が生じることによって、フィルム全体としての密着性を高めることができると考えられる。
また、末端封止剤の含有率が大きい部分では、耐湿熱性が高まり、フィルム強度を強くすることができる。これにより、フィルムが割れたり、クラックが発生することを抑制でき、密着不良を抑制することができる。一方で、末端封止剤の含有率が小さい部分では、耐湿熱性やフィルム強度が低下する。しかし、末端封止剤の含有率に面内変動を持たせることで、末端封止剤の存在量の多い部分が、少ない部分を補完し、耐湿熱性を高めることができる。このように、末端封止剤の含有率が高い箇所と低い箇所がお互いの機能を補完し合って、密着性および耐湿熱を高めているものと考えられる。
また、末端封止剤はポリエステルのガラス転移温度(Tg)を低下させる働きをするため、ポリエステルフィルムを湿熱環境下に保存したときの熱収縮を助長させる。このとき、末端封止剤の含有率が大きいと、熱収縮は均一かつ大きく発生するため、密着させた他の部材との熱収縮と差異が大きくなり、部材間のずりによる密着不良が発生する。一方で、末端封止剤の含有率が小さい部分では、熱収縮が小さく、部材間のずりによる密着不良が抑えられる。本発明のポリエステルフィルムは、末端封止剤の含有率のフィ面内変動を有しているため、熱収縮の大きい箇所と小さい箇所が存在することとなる。このようなポリエステルフィルムにおいては、熱収縮の大きい箇所が存在しても、小さい箇所が存在すると、そこで収縮が停止し、部材間のずりによる密着不良が抑制されるものと考えられる。
密着性と耐湿熱性の向上という効果を得るためには、本発明のポリエステルフィルム中の末端封止剤の含有率の面内変動は2〜20%とする必要がある。末端封止剤の含有率の面内変動は、2%以上であればよく、4%以上であることが好ましく、6%以上であることがより好ましい。また、末端封止剤の含有率の面内変動は20%以下であればよく、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。末端封止剤の含有率の面内変動を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムと他の部材(例えば、封止剤(EVA)、接着剤、機能性塗布層等)との密着性を高めることができる。さらに、ポリエステルフィルムの耐湿熱性を高めることができ、フィルムの強度を増強することができる。なお、末端封止剤の含有率の面内変動が上記下限値未満であると、上記のような効果を十分に得ることができない。一方、末端封止剤の含有率の面内変動が上記上限値を超えると、極端に熱収縮の大きい箇所が存在し、この箇所が歪みを助長し、密着不良を引き起こす場合がある。
本発明のポリエステルフィルムに含まれる末端封止剤の面内変動F(%)は、以下の関係式で表すことができる。
F(%)=(Xmax−Xmin)/Xave × 100
ここで、Xmaxはポリエステルフィルムの単位領域(単位面積)当たりの末端封止剤の含有率の最大値であり、Xminはポリエステルフィルムの単位領域(単位面積)当たりの末端封止剤の含有率の最小値であり、Xaveはポリエステルフィルムの全ての単位領域に含まれる末端封止剤の含有率の平均値である。
ここで、単位領域とは、ポリエステルフィルムを長手方向、幅方向の両方で等分した際に、分割されて形成される1つの領域をいう。例えば、長手方向が3m未満のフィルムであれば、長手方向の中央の2/3の領域を長手方向に10等分し、幅方向の中央の2/3の領域を幅方向に10等分することでフィルムを100分割し、100個の単位領域を得ることができる。これらの1単位領域に含まれる単位面積当たりの末端封止剤の含有率を測定し、その最大値と最小値の差を平均値で割り百分率で表したものを末端封止剤の面内変動とすることができる。
また、長手方向が3m以上のフィルムであれば、長手方向の任意の点を中心点とし、その中心点から長手方向の上流方向および下流方向に各々5点ずつ、計10点で長手方向を10等分し、幅方向の中央の2/3の領域を幅方向に10等分することでフィルムを100分割し、100個の単位領域を得ることとしてもよい。
また、ポリエステルフィルムの全体に含まれる末端封止剤の平均含有率をXaveとし、面内標準偏差をσxとしたとき、0.5≦(σx/Xave)×100≦5であることが好ましく、1≦(σx/Xave)×100≦3であることがより好ましい。標準偏差を平均値で割ったものは、変動係数(相対的標準偏差)と呼ばれており、ポリエステルフィルム中に存在する末端封止剤のばらつきの度合を表している。ここで、面内標準偏差とは、ポリエステルフィルムを長手方向、幅方向の両方で等分した際に、分割された単位領域で測定した末端封止剤の含有率の標準偏差を意味する。
本発明のポリエステルフィルムでは、変動係数(相対的標準偏差)を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルム中に存在する末端封止剤の含有率に所望の分布を付与することができ、密着性および耐湿熱性を効果的に高めることができる。
末端封止剤の含有率の変動を制御する方法はとしては、(1)末端封止剤を添加したポリエステルと添加しないポリエステルを融解混合させる工程を設け、このとき末端封止剤を添加したポリエステルの添加量を変動させる方法、(2)末端封止剤を添加したポリエステルと添加しないポリエステルを融解混合させる工程を設け、それぞれのポリエステル分子量に差異をつけることで粘度に違いをつけ、不均一混合を行う方法などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、用途によって異なるが、太陽電池モジュール用バックシートの部材として用いる場合には、25〜300μmであることが好ましく、120〜300μmであることがより好ましい。厚みを上記下限値以上とすることにより、十分な力学強度が得られ、上記上限値以下とすることにより、コスト上のメリットが得られる。
本発明のポリエステルフィルムは延伸されていることが好ましく、2軸延伸されていることがさらに好ましく、平面2軸延伸されていることがチューブラーなどの延伸と比較して特に好ましく、逐次2軸延伸されていることがより特に好ましい。
(ポリエステル)
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルを含む。ポリエステルの種類は特に制限されるものではなく、ポリエステルとして公知のものを使用することができる。
ポリエステルは、飽和ポリエステルであることが好ましい。このように飽和ポリエステルを用いることで、不飽和のポリエステルを用いたフィルムと比べて力学強度の観点で優れるポリエステルフィルムを得ることができる。ポリエステルとしては、例えば、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルを挙げることができる。
線状飽和ポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、このうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)が、力学的物性及びコストのバランスの点で特に好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより特に好ましい。
ポリエステルは、単独重合体であってもよいし、共重合体であっても良い。更に、ポリエステルに他の種類の樹脂、例えばポリイミド等を少量ブレンドしたものであっても良い。また、ポリエステルとして、溶融時に異方性を形成することができる結晶性のポリエステルを用いても良い。
ポリエステルの分子量は、耐熱性や粘度の観点から、重量平均分子量(Mw)は、5000〜30000であることが好ましく、8000〜26000であることが更に好ましく、12000〜24000であることが特に好ましい。ポリエステルの重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値を用いることができる。
ポリエステルは、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオール又は高分子量ジオールとを反応させることにより得ることができる。ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、オルトフタル酸ジメチル、ナフタリンジカルボン酸ジメチル、パラフェニレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
低分子量脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。高分子量ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記の構成成分からなる結晶性ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられても良く、2種類以上が併用されても良い。これに記載の芳香族ポリエステルの中で特に好ましいのは、ジカルボン酸として、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸を主成分に用いるもの、ジオールとしてエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールを主成分とするものが好ましく、より好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートであり、さらに好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートである。
ポリエステルは公知の方法によって合成することができる。例えば、公知の重縮合法や開環重合法などによってポリエステルを合成することができ、エステル交換反応及び直接重合による反応のいずれでも適用することができる。
本発明で用いるポリエステルが、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である場合には、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応又はエステル交換反応させ、次いで重縮合反応させることによって製造することができる。また、原料物質や反応条件を選択することにより、ポリエステルのカルボン酸価や固有粘度を制御することができる。なお、エステル化反応又はエステル交換反応及び重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に重合触媒を添加することが好ましい。
ポリエステルを重合する際の重合触媒としては、カルボキシル基含量を所定の範囲以下に抑える観点から、Sb系、Ge系、及びTi系の化合物を用いることが好ましいが、特にTi系化合物が好ましい。Ti系化合物を用いる場合、Ti系化合物を1ppm以上30ppm以下、より好ましくは3ppm以上15ppm以下の範囲で触媒として用いることにより重合する態様が好ましい。Ti系化合物の割合が前記範囲内であると、末端カルボキシル基を下記範囲に調整することが可能であり、ポリマー基材の耐加水分解性を低く保つことができる。
Ti系化合物を用いたポリエステルの合成には、例えば、特公平8−301198号公報、特許第2543624、特許第3335683、特許第3717380、特許第3897756、特許第3962226、特許第3979866、特許第3996871、特許第4000867、特許第4053837、特許第4127119、特許第4134710、特許第4159154、特許第4269704、特許第4313538等に記載の方法を適用できる。
ポリエステルは、重合後に固相重合されていることが好ましい。これにより、好ましいカルボン酸価を達成することができる。固相重合は、連続法(タワーの中に樹脂を充満させ、これを加熱しながらゆっくり所定の時間滞流させた後、送り出す方法)でもよいし、バッチ法(容器の中に樹脂を投入し、所定の時間加熱する方法)でもよい。具体的には、固層重合には、特許第2621563、特許第3121876、特許第3136774、特許第3603585、特許第3616522、特許第3617340、特許第3680523、特許第3717392、特許第4167159等に記載の方法を適用することができる。
固相重合の温度は、170〜240℃が好ましく、より好ましくは180〜230℃であり、さらに好ましくは190〜220℃である。また、固相重合時間は、5〜100時間が好ましく、より好ましくは10〜75時間であり、さらに好ましくは15〜50時間である。固相重合は、真空中あるいは窒素雰囲気下で行なうことが好ましい。
ポリエステル中の末端カルボキシル基含量(ポリエステルのカルボン酸価、以下、AVともいう)は、ポリエステルに対して25eq/ton以下が好ましく、20eq/ton以下がより好ましく、特に好ましくは16eq/ton以下であり、より特に好ましくは15eq/ton以下である。また、AVは、1eq/ton以上であることが好ましく、2eq/ton以上であることがより好ましい。なお、ここでいう末端カルボキシル基含量(AV)とは、ポリエステルフィルム全体の平均の末端カルボキシル基含量(AV)である。ポリエステルフィルムのAVを上記範囲内とすることにより、ポリエステルの加水分解を抑制することができ、脆化を防ぐことができる。また、ポリエステルフィルムのAVを上記範囲内とすることにより、ポリエステルの分子量を適切な範囲内とすることができ、粘度が必要以上に増加することを防ぐことができる。
ポリエステル中のAVは、重合触媒種、重合時間、製膜条件(製膜温度や時間)によって調整することが可能である。AVは、H.A.Pohl,Anal.Chem.26(1954)2145に記載の方法に従って、滴定法にて測定することができる。具体的には、ポリエステルを、ベンジルアルコールに205℃で溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定することで、その適定量からカルボン酸価(eq/ton)を算出することができる。
また、本発明のポリエステルの固有粘度(IV)は、0.65〜0.95dl/gが好ましく、0.68〜0.90dl/gが更に好ましく、0.70〜0.85dl/gが特に好ましい。ポリエステルの固有粘度を上記範囲内とすることにより、製膜性を改善し、膜厚均一性を改善することができる。
ポリエステルの固有粘度(IV)は、フィルム製膜時に使用するポリエステルが2種以上である場合(特開2011−256337号公報の回収ポリエステルを使用する場合など)、すべてのポリエステルを混合したポリエステルの固有粘度が、上記範囲を満たすことが好ましい。
ポリエステルの固有粘度(IV)は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、25℃で測定した溶液粘度から、下式より固有粘度を得た。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量であり(本測定では1g/100mlとする)、Kはハギンス定数(0.343とする)であり、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
本発明では、ポリエステルフィルムに含まれる末端封止剤の含有率に面内変動を持たせるために、末端封止剤を添加したポリエステルと添加しないポリエステルを融解混合させる工程を設け、それぞれのポリエステル分子量に差異をつけることで粘度に違いをつけることとしてもよい。例えば、末端封止剤を添加したポリエステルのIVを高くし、末端封止剤を添加しないポリエステルのIVを低くすることで、これらの2種のポリエステルを混合した際に、不均一混合を行うことができる。これにより、ポリエステルフィルム中において末端封止剤の含有率に面内変動を持たせることができる。
(末端封止剤)
本発明のポリエステルフィルムは、末端封止剤を含む。末端封止剤は、鎖状カルボジイミド化合物、環状カルボジイミド化合物またはケテンイミン化合物であることが好ましく、なかでもケテンイミン化合物であることが好ましい。なお、鎖状カルボジイミド化合物、環状カルボジイミド化合物またはケテンイミン化合物は単独で用いても良く、両者を併用して用いても良い。
末端封止剤は、ポリエステルに対して、0.1〜10質量%含有されていればよく、0.1〜4質量%含有されていることが好ましく、0.1〜2質量%含有されていることがより好ましい。環状カルボジイミド化合物の含有率を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムと他の部材の密着性を高めることができる。また、ポリエステルフィルムの耐湿熱性を高めることができる。なお、カルボジイミド化合物とケテンイミン化合物が併用される場合は、2種類の化合物の含有率の合計が、上記範囲内であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、末端封止剤以外の化合物を含むことを拒むものではない。本発明のポリエステルフィルム中に含まれるポリエステル以外の有機化合物に対して、重量で70%以上が後述するような末端封止剤であることが好ましく、80%以上が更に好ましく、90%以上が特に好ましい。
<カルボジイミド化合物>
カルボジイミド化合物としては、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(鎖状のポリカルボジイミド化合物を含む)が挙げられ、具体的には、モノカルボジイミド化合物として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどが例示される。ポリカルボジイミド化合物としては、その重合度が、下限が通常2以上、好ましくは4以上であり、上限が通常40以下、好ましくは、30以下であるものが使用され、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.Org.Chem.28巻、p2069−2075(1963)、及びChemical Review 1981、81巻、第4号、p.619−621等に記載された方法により製造されたものが挙げられる。
ポリカルボジイミド化合物の製造原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートなどが例示される。
工業的に入手可能な具体的なポリカルボジイミドとしては、カルボジライトHMV−8CA(日清紡製)、カルボジライト LA−1(日清紡製)、スタバクゾールP(ラインケミー社製)、スタバクゾールP100(ラインケミー社製)、スタバクゾールP400(ラインケミー社製)、スタビライザー9000(ラシヒケミ社製)などが例示される。カルボジイミド化合物は単独で使用することもできるが、複数の化合物を混合して使用することもできる。
<環状カルボジイミド化合物>
本発明のポリエステルフィルムは、環状カルボジイミド化合物を含有する。環骨格にカルボジイミド基を1つ含み、その第一窒素と第二窒素が結合基により結合されている環状構造を分子内に少なくとも1つ有する環状カルボジイミド化合物は、環状封止剤として機能する。
環状カルボジイミド化合物は、国際公開2011/093478号パンフレットに記載された方法によって調製することができる。
本発明で使用する環状カルボジイミド化合物は、環状構造を有する。環状カルボジイミド化合物は、環状構造を複数有していてもよい。環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有するが、例えば、スピロ環など、分子中に複数の環状構造を有する場合にはスピロ原子に結合するそれぞれの環状構造中に1個のカルボジイミド基を有していれば、化合物として複数のカルボジイミド基を有していても良い。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15である。
ここで、環状構造中の原子数とは、環構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50を超える原子数の環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
環状カルボジイミド化合物としては、下記一般式(O−1)または一般式(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物を用いることが好ましい。
以下、本発明の環状カルボジイミド化合物の好ましい構造について、下記一般式(O−1)と一般式(O−2)の順に説明する。
まず、一般式(O−1)で表される環状カルボジイミド化合物について説明する。
Figure 2014156553
一般式(O−1)中、R1およびR5は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R2〜R4およびR6〜R8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R1〜R8は互いに結合して環を形成してもよい。X1およびX2は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−または−CH2−を表す。L1は2価の連結基を表す。
上記一般式(O−1)中、R1およびR5は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表し、アルキル基またはアリール基を表すことが好ましく、2級もしくは3級アルキル基またはアリール基を表すことがポリエステルの末端に連結したイソシアエネートとポリエステルの水酸基末端の反応を抑制し、増粘を抑制する観点からより好ましく、2級アルキル基を表すことが特に好ましい。
1およびR5が表すアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルキル基であることが特に好ましい。R1およびR5が表すアルキル基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよいが、分枝または環状であることが、ポリエステルの末端に連結したイソシアエネートとポリエステルの水酸基末端の反応を抑制し、増粘を抑制する観点から好ましい。R1およびR5が表すアルキル基は2級または3級アルキル基であることが好ましく、2級アルキル基であることがより好ましい。R1およびR5が表すアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができ、その中でもiso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、iso−ペンチル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基が好ましく、iso−プロピル基、シクロヘキシル基、tert−ブチル基がより好ましく、iso−プロピル基およびシクロヘキシル基が特に好ましい。
1およびR5が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。但し、R1およびR5が表すアルキル基は、カルボン酸との反応性の観点から、さらに置換基を有さないことが好ましい。
1およびR5が表すアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6のアリール基であることが特に好ましい。R1およびR5が表すアリール基は、R1とR2が縮合またはR5とR6が縮合して形成されたアリール基であってもよいが、R1およびR5は、それぞれR2およびR6と縮合して環を形成しないことが好ましい。R1およびR5が表すアリール基は、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基がより好ましい。
1およびR5が表すアリール基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。但し、R1およびR5が表すアリール基は、カルボン酸との反応性の観点から、さらに置換基を有さないことが好ましい。
1およびR5が表すアルコキシ基は、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシ基であることが特に好ましい。R1およびR5が表すアルコキシ基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよいが、分枝または環状であることが、ポリエステルの末端に連結したイソシアエネートとポリエステルの水酸基末端の反応を抑制し、増粘を抑制する観点から好ましい。R1およびR5が表すアルコキシ基の好ましい例は、R1およびR5が表すアルキル基の末端に−O−が連結した基を挙げることがあり、好ましい範囲も同様にR1およびR5が表す好ましいアルキル基の末端に−O−が連結した基である。
1およびR5が表すアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。但し、R1およびR5が表すアルコキシ基は、カルボン酸との反応性の観点から、さらに置換基を有さないことが好ましい。
1およびR5は、同じであっても異なっていてもよいが、コストの観点から同じであることが好ましい。
上記一般式(O−1)中、R2〜R4およびR6〜R8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表し、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
2〜R4およびR6〜R8が表すアルキル基、アリール基またはアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。
本発明の環状カルボジイミド化合物は、上記一般式(O−1)中、R2およびR6がともに水素原子であることが、R1およびR5に嵩高い置換基を導入しやすい観点から好ましい。ここで、WO2010/071211号公報には、上記一般式(O−1)においてR2およびR6に相当する部位(カルボジイミド基に対してメタ位)にアルキル基やアリール基が置換した化合物が例示されているが、これらの化合物はポリエステルの末端に連結したイソシアネートとポリエステルの水酸基末端との反応を抑制することができない上、前記一般式(O−1)においてR2およびR6に相当する部位(カルボジイミド基に対してオルト位)に置換基を導入することが困難である。
上記一般式(O−1)中、R1〜R8は互いに結合して環を形成してもよい。このときに形成される環は特に制限はないが、芳香族環であることが好ましい。例えば、R1〜R4の2以上が互いに結合して縮合環を形成してもよく、R1〜R4が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成してもよい。このときに形成される炭素数10以上のアリーレン基としては、ナフタレンジイル基などの炭素数10〜15の芳香族基が挙げられる。
同様に、例えば、R5〜R8の2以上が互いに結合して縮合環を形成してもよく、R5〜R8が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成してもよく、そのときの好ましい範囲はR1〜R4が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成するときの好ましい範囲と同様である。
但し、本発明の環状カルボジイミド化合物は、上記一般式(O−1)中、R1〜R8は互いに結合して環を形成しないことが好ましい。
上記一般式(O−1)中、X1およびX2は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−および−CH2−から選択される少なくとも1種を表し、その中でも−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−であることが好ましく、−O−、−S−であることが合成容易性の観点からより好ましい。
上記一般式(O−1)中、L1は2価の連結基を表し、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいても良く、2価の炭素数1〜20の脂肪族基、2価の炭素数3〜20の脂環族基、2価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであることが好ましく、2価の炭素数1〜20の脂肪族基であることがより好ましい。
1が表す2価の脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基が挙げられる。炭素数1〜20のアルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。これらの脂肪族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
1が表す2価の脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基が挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
1が表す2価の芳香族基として、へテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基が挙げられる。炭素数5〜15のアリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
上記一般式(O−1)中、カルボジイミド基を含む環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15である。
ここで、カルボジイミド基を含む環状構造中の原子数とは、カルボジイミド基を含む環状構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50を超える原子数の環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より前記一般式(O−1)中、環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
次に、前記一般式(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物について説明する。
Figure 2014156553
一般式(O−2)中、R11、R15、R21およびR25は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R11〜R28は互いに結合して環を形成してもよい。X11、X12、X21およびX22は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−または−CH2−を表す。L2は4価の連結基を表す。
上記一般式(O−2)中、R11、R15、R21およびR25の好ましい範囲は、上記一般式(O−1)中のR1およびR5の好ましい範囲と同様である。
11、R15、R21およびR25が表すアリール基は、R11とR12が縮合、R15とR16が縮合、R21とR22が縮合またはR25とR26が縮合して形成されたアリール基であってもよいが、R11、R15、R21およびR25は、それぞれR12、R16、R22およびR26と縮合して環を形成しないことが好ましい。
11、R15、R21およびR25は、同じであっても異なっていてもよいが、コストの観点から同じであることが好ましい。
上記一般式(O−2)中、R12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28の好ましい範囲は、上記一般式(O−1)中のR2〜R4およびR6〜R8の好ましい範囲と同様である。
12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28中、R12、R16、R22およびR26がともに水素原子であることが、R11、R15、R21およびR25に嵩高い置換基を導入しやすい観点から好ましい。
このようにカルボジイミド基の近傍に、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基のように嵩高い基を導入することで、カルボジイミド基とポリエステルの末端カルボン酸が反応した後に生成するイソシアネート基とポリエステルの末端水酸基の反応を抑制できる。この結果、ポリエステルの高分子量化を抑制でき、上述のようなポリエステルの粘性増加による切り屑の発生を抑制できる。
上記一般式(O−2)中、R11〜R28は互いに結合して環を形成してもよく、好ましい環の範囲は上記一般式(O−1)中、R1〜R8が互いに結合して形成する環の範囲と同様である。
上記一般式(O−2)中、X11、X12、X21およびX22の好ましい範囲は、上記一般式(O−1)中のX1およびX2の好ましい範囲と同様である。
上記一般式(O−2)中、L2は4価の連結基を表し、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、4価の炭素数1〜20の脂肪族基、4価の炭素数3〜20の脂環族基、4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであることが好ましく、4価の炭素数1〜20の脂肪族基であることがより好ましい。
2が表す4価の脂肪族基として、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。炭素数1〜20のアルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられ、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基がより好ましく、エタンテトライル基が特に好ましい。これら脂肪族基は置換基を含んでいてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
2が表す4価の脂環族基として、脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂環族基は置換基を含んでいてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリーレン基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
2が表す4価の芳香族基として、へテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。炭素数5〜15のアレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
上記一般式(O−2)中、4価の連結基であるL2を介して、カルボジイミド基を含む環状構造が2つ含まれる。
上記一般式(O−2)中における各カルボジイミド基を含む環状構造中の原子数の好ましい範囲はそれぞれ、上記一般式(O−1)中におけるカルボジイミド基を含む環状構造中の原子数の好ましい範囲と同様である。
本発明の環状カルボジイミド化合物は、分子内に2つ以上のカルボジイミド基の第一窒素と第二窒素とが連結基により結合した環構造を有さない芳香族カルボジイミドであること、すなわち本発明の環状カルボジイミド化合物は単環であり、上記一般式(O−1)で表されることが、増粘し難い観点から好ましい。
但し、揮散を抑制でき、製造時のイソシアネートガスの発生を抑制できる観点からは、本発明の環状カルボジイミド化合物は環状構造を複数有し、上記一般式(O−2)で表されることも好ましい。
本発明に用いる環状カルボジイミド化合物の分子量が、400以上であると、揮散性が小さく、製造時のイソシアネートガスの発生を抑制できるため好ましい。また、環状カルボジイミド化合物の分子量の上限は本発明の効果を損なわない限り特に限定はないが、カルボン酸との反応性の観点から、1500以下が好ましい。
本発明に用いる環状カルボジイミド化合物の分子量は、500〜1200であることがより好ましい。
上記一般式(O−1)または一般式(O−2)で表されることを特徴とする環状カルボジイミド化合物の具体例、すなわち本発明の環状カルボジイミド化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の具体例により限定されるものではない。
Figure 2014156553
Figure 2014156553
本発明の環状カルボジイミド化合物は、芳香環に隣接して−N=C=N−で表される構造(カルボイジイミド基)を少なくとも1つ有する化合物であり、例えば、適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱し、脱炭酸反応で製造できる。また、本発明の環状カルボジイミド化合物は、特開2011−256337号公報に記載の方法などを参考にして合成することができる。
本発明の環状カルボジイミド化合物を合成するにあたり、カルボジイミド基の第一窒素と第二窒素に隣接するアリーレン基のオルト位に特定の嵩高い置換基を導入する方法としては特に制限はないが、例えば既知の方法でアルキルベンゼンをニトロ化することで、アルキル基が置換されたニトロベンゼンを合成することができ、それを元にWO2011/158958に記載の方法で環状カルボジイミドを合成することができる。
<ケテンイミン化合物>
本発明のポリエステルフィルムは、ケテンイミン化合物を含有することが好ましい。ケテンイミン化合物は単独で用いても良く、上記環状カルボジイミド化合物と併用しても良い。
ケテンイミン化合物としては、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物を用いることが好ましい。以下、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
Figure 2014156553
ここで、一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。
ケテンイミン化合物の窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量は320以上であることが好ましい。すなわち、上記一般式(1)では、R1−C(=C)−R2基の分子量は320以上であることが好ましい。ケテンイミン化合物の窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量は、320以上であることが好ましく、500〜1500であることがより好ましく、600〜1000であることがさらに好ましい。このように、窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムと易接着層の密着性を高めることができる。これは、窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分が一定範囲の分子量を有することで、ある程度の嵩高さをもったポリエステル末端が易接着層に拡散し投錨効果を発揮するためである。
1およびR2で表されるアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。R1およびR2が表すアルキル基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R1およびR2が表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、シクロヘキシル基とすることがより好ましい。
1およびR2が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されることはなく、上記の置換基を同様に例示することができる。なお、R1およびR2が表すアルキル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましい。R1およびR2が表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基が特に好ましい。
アリール基にはヘテロアリール基が含まれるものとする。ヘテロアリール基とは、芳香族性を示す5員、6員又は7員の環又はその縮合環の環構成原子の少なくとも1つがヘテロ原子に置換されたものをいう。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子または窒素原子であることが好ましい。
1およびR2が表すアリール基またはヘテロアリール基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアリール基またはヘテロアリール基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアルコキシ基は、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシ基であることが特に好ましい。R1およびR2が表すアルコキシ基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R1およびR2が表すアルコキシ基の好ましい例としては、R1およびR2が表すアルキル基の末端に−O−が連結した基を挙げることができる。R1およびR2が表すアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアルコキシ基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であることが好ましく、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基であることが特に好ましい。R1およびR2が表すアルコキシカルボニル基のアルコキシ部としては、上述したアルコキシ基の例を挙げることができる。
1およびR2で表されるアミノカルボニル基は、炭素数1〜20のアルキルアミノカルボニル基、炭素数6〜20のアリールアミノカルボニル基であることが好ましい。アルキルアミノカルボニル基のアルキルアミノ部の好ましい例としては、R1およびR2が表すアルキル基の末端に−NH−が連結した基を挙げることができる。R1およびR2が表すアルキルアミノカルボニル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。
炭素数6〜20のアリールアミノカルボニル基のアリールアミノ部の好ましい例としては、R1およびR2が表すアリール基の末端に−NH−が連結した基を挙げることができる。R1およびR2が表すアリールアミノカルボニル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアルキルアミノカルボニル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアリールオキシ基は、炭素数6〜20のアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリールオキシ基であることがより好ましい。R1およびR2が表すアリールオキシ基のアリール部としては、上述したアリール基の例を挙げることができる。
1およびR2で表されるアシル基は、炭素数2〜20のアシル基であることが好ましく、炭素数2〜12のアシル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアシル基であることが特に好ましい。R1およびR2が表すアシル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアシル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアリールオキシカルボニル基は、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基であることが好ましく、炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基であることがより好ましいR1およびR2が表すアリールオキシカルボニル基のアリール部としては、上述したアリール基の例を挙げることができる。
3はアルキル基またはアリール基を表す。アルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。R3が表すアルキル基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R3が表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、シクロヘキシル基とすることがより好ましい。
3が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されることはなく、上記の置換基を同様に例示することができる。
アリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましい。R3が表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基が特に好ましい。
アリール基にはヘテロアリール基が含まれるものとする。ヘテロアリール基とは、芳香族性を示す5員、6員又は7員の環又はその縮合環の環構成原子の少なくとも1つがヘテロ原子に置換されたものをいう。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子または窒素原子であることが好ましい。
3が表すアリール基またはヘテロアリール基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。
なお、一般式(1)は、繰り返し単位を含んでいてもよい。この場合、R1またはR3の少なくとも一方が繰り返し単位であり、この繰り返し単位には、ケテンイミン部が含まれることが好ましい。
また、ケテンイミン化合物としては、下記一般式(2)で表されるケテンイミン化合物を用いることが好ましい。以下、下記一般式(2)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
Figure 2014156553
ここで一般式(2)中、R1はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R2は置換基としてL1を有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R3はアルキル基またはアリール基を表す。nは1〜4の整数を表し、L1はn価の連結基を表す。(R1−C(=C)−R2−)n−L1基の分子量は320以上であることが好ましい。
一般式(2)中、R1は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)中、R2は、n価の連結基であるL1を有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基としては、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)中、R3は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。
1はn価の連結基を表し、ここで、nは1〜4の整数を表す。中でも、nは2〜4であることが好ましい。
二価の連結基の具体例としては、例えば、−NR8−(R8は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表し、水素原子が好ましい)で表される基、−SO2−、−CO−、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、アルキニレン基、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基、−O−、−S−および−SO−ならびにこれらを2つ以上組み合わせて得られる基が挙げられる。
三価の連結基の具体例としては、例えば、二価の連結基の例として挙げた連結基のうち置換基を有するものから1つの水素原子を取り除いた基が挙げられる。
四価の連結基の具体例としては、例えば、例えば、二価の連結基の例として挙げた連結基のうち置換基を有するものから2つの水素原子を取り除いた基が挙げられる。
本発明では、nを2〜4とすることにより、ケテンイミン部を一分子中に2以上有する化合物とすることができ、より優れた末端封止効果を発揮することができる。また、ケテンイミン部を一分子中に2以上有する化合物とすることにより、ケテンイミン基当たりの分子量を低くすることができ、効率良くケテンイミン化合物とポリエステルの末端カルボキシル基を反応させることができる。さらに、ケテンイミン部を一分子中に2以上有することにより、ケテンイミン化合物やケテン化合物が揮散することを抑制することができる。
一般式(2)中、nは3または4であることがより好ましい。nを3または4とすることにより、ケテンイミン部を一分子中に3または4有する化合物とすることができ、より優れた末端封止効果を発揮することができる。また、nを3または4とすることにより、一般式(2)中のR1またはR2の置換基のモル分子量を小さくした場合であっても、ケテンイミン化合物の揮散を抑制することができる。
ケテンイミン化合物としては、下記一般式(3)で表されるケテンイミン化合物を用いることが好ましい。以下、下記一般式(3)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
Figure 2014156553
一般式(3)中、R1およびR5はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R2およびR4は置換基としてL2を有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R3およびR6はアルキル基またはアリール基を表す。L2は単結合または二価の連結基を表す。R1−C(=C)−R2−L2−R4―C(=C)−R5基の分子量は320以上であることが好ましい。
一般式(3)中、R1は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、R5は、一般式(1)におけるR1と同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3)中、R2は、一般式(2)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、R4は、一般式(2)におけるR2と同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3)中、R3は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、R6は、一般式(1)におけるR3と同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3)中、L2は、単結合または二価の連結基を表す。二価の連結基の具体例としては、一般式(2)のL1で例示した連結基を挙げることができる。
本発明では、ケテンイミン化合物の窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量は320以上であることが好ましい。ケテンイミン化合物の窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量は320以上であれば良く、400以上であることが好ましく、500以上であることがさらに好ましい。また、一分子中のケテンイミン部の数に対するケテンイミン化合物のモル分子量(モル分子量/ケテンイミン部の数)は、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましく、400以下であることがさらに好ましい。本発明では、ケテンイミン化合物のケテンイミン部炭素上の置換基の分子量及びケテンイミン部の数に対するケテンイミン化合物のモル分子量を上記範囲内とすることにより、ケテンイミン化合物自体の揮散を抑制し、ポリエステルの末端カルボキシル基を封止する際に生じるケテン化合物の揮散を抑制し、さらにポリエステルの末端カルボキシル基の封止を低添加量のケテンイミン化合物にて行うことができる。
本発明のケテンイミン化合物は、ケテンイミン基を少なくとも1つ有する化合物であり、例えば、J. Am. Chem. Soc., 1953, 75 (3), pp 657−660記載の方法などを参考にして合成することができる。
下記に一般式(1)の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2014156553
Figure 2014156553
Figure 2014156553
上記例示化合物に示されているように、本発明では、ケテンイミン化合物は、3官能または4官能であることがより好ましい。これにより、末端封止効果をより高めることができ、ケテンイミン化合物やケテン化合物の揮散を効果的に抑制することができる。
また、例示化合物(6)のようにケテンイミン部を環骨格として環状構造を有する場合、R1とR3は連結して環状構造を形成し、R3は、環骨格のアルキレン基またはアリーレン基からなる。この場合、R1はケテンイミン部を含む連結基を有する。
例示化合物(10)は繰り返し数nの繰り返し単位を示し、nは3以上の整数を表す。例示化合物(10)に示される左末端は水素原子であり、右末端はフェニル基である。
(リン化合物)
本発明のポリエステルフィルムはリン化合物を含むことが好ましい。リン化合物は、リン元素の含有率が30〜600ppmとなるように含まれることが好ましい。すなわち、本発明では、ポリエステル中に上記末端封止剤に加えて、リン化合物を添加することができる。
リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、これらのメチルエステル、エチルエステル、フェニルエステル、ハーフエステルおよびその他誘導体からなる群から選ばれた一種以上のリン化合物を用いることが好ましい。本発明では、特にリン酸、亜リン酸、ホスホン酸のメチルエステル、エチルエステル、フェニルエステルが好ましい。
本発明では、蛍光X線にて測定した場合のポリエステル中のリン元素の含有率が30ppm以上であることが好ましく、40ppm以上であることがより好ましく、50ppm以上であることがさらに好ましい。また、リン元素の含有率は、600ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、400ppm以下であることがさらに好ましい。リン元素の含有率の含有率を上記範囲内とすることにより、ポリエステルや末端封止剤が分解することを抑制することができる。これにより、ポリエステルフィルムの密着性および耐湿熱性を高めることができる。
本発明のポリエステルフィルムに含まれるリン元素の含有率の面内変動は2〜20%であることが好ましい。リン元素の含有率の面内変動は2%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましく、6%以上であることがさらに好ましい。また、リン元素の含有率の面内変動は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。リン元素の含有率の面内変動を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムと他の部材(例えば、封止剤(EVA)、接着剤、機能性塗布層等)との密着性を高めることができる。さらに、ポリエステルフィルムの耐湿熱性を高めることができ、フィルムの強度を増強することができる。なお、リン元素の含有率の面内変動を上記範囲内に制御することで密着性および耐湿熱性が向上する機構については、上述したような末端封止剤の含有率の面内変動を付与した場合と同様の機構であると考えることができる。
リン元素の含有率の面内変動f(%)は、以下の関係式で表すことができる。
f(%)=(Ymax−Ymin)/Yave × 100
ここで、Ymaxはポリエステルフィルムの単位領域当たりのリン元素の含有率の最大値であり、Yminはポリエステルフィルムの単位領域当たりのリン元素の含有率の最小値であり、Yaveはポリエステルフィルムの全体に含まれるリン元素の含有率の平均値である。
また、ポリエステルフィルムの全体に含まれるリン元素の平均含有率をPaveとし、面内標準偏差をσyとしたとき、0.5≦(σy/Yave)×100≦5であることが好ましく、1≦(σy/Yave)×100≦3であることがより好ましい。標準偏差を平均値で割ったものは、変動係数(相対的標準偏差)と呼ばれており、ポリエステルフィルム中に存在するリン元素のばらつきの度合を表している。ここで、面内標準偏差とは、ポリエステルフィルムを長手方向、幅方向の両方で等分した際に、分割された単位領域で測定したリン元素の含有率の標準偏差を意味する。ポリエステルフィルムを長手方向、幅方向の両方で等分方法については、末端封止剤の面内変動を算出する際と同様の方法を用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムでは、変動係数(相対的標準偏差)を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルム中に存在するリン元素の含有率に所望の分布を付与することができ、密着性および耐湿熱性を効果的に高めることができる。
(微粒子(顔料))
本発明のポリエステルフィルムは、微粒子をさらに含んでもよい。本発明で用いられる微粒子は、無機微粒子であることが好ましく、顔料であることがさらに好ましい。
顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、群青、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。これら顔料のうち、入射する太陽光を反射する反射層として着色層を構成する観点からは、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどが好ましい。
これらの顔料を本発明のポリエステルフィルムに含有させると、ポリエステルフィルムと他の部材との密着性を向上させることができる。その機構は、フィルム中の顔料周辺にボイド(空洞)が形成され、ここにフィルム形成の工程や湿熱環境下での保存で発生した末端封止剤やリン化合物、その分解物が蓄積され、表面への析出が抑制されるためであると考えられる。
微粒子の含有率は、0.5〜10.0質量%が好ましく、1.0〜8.0質量%がより好ましく、1.0〜6.0質量%が特に好ましい。微粒子の含有率を上記範囲内とすることにより、より効果的に、密着性を向上させることができる。
(ボイド(空洞))
本発明のポリエステルフィルムは、ボイドをさらに含んでもよい。ボイドの形成方法は、特に制限されることはないが、例えば、ポリエステル樹脂の親和性の低い無機微粒子、樹脂(非相溶樹脂)または不活性ガスをポリエステル樹脂に含有させ、延伸することで形成することができる。中でも、非相溶樹脂をポリエステル樹脂に混合し、押出した原反を延伸することでボイドを形成することが好ましい。
非相溶樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらの中でも、臨界表面張力の小さなポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエステルに非相溶なポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどの結晶性ポリオレフィン樹脂、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−i−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕−3−デセン、2−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5〕−3−デセン、5−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5〕−3−デセン、トリシクロ〔4,4,0,12.5〕−3−デセン、10−メチル−トリシクロ〔4,4,0,12.5〕−3−デセン等の非晶性環状オレフィン樹脂、およびエチレンと上記で例示した環状オレフィンが共重合された樹脂、などが好適に用いられる。これらは単独重合体であっても共重合体であってもよく、2種以上の樹脂を併用してもよい。特にポリエステルとの臨界表面張力差が大きく、延伸後の熱処理によって変形しにくい樹脂が好ましく、中でもポリメチルペンテン、エチレンと上記で例示した非晶性環状オレフィンが共重合されたものが特に好ましい。
環状オレフィン共重合樹脂のガラス転移温度は120〜230℃であることが好ましく、さらに好ましくは160〜220℃である。環状オレフィン共重合樹脂のガラス転移温度が120℃未満の場合、フィルムを延伸する際に環状オレフィン共重合樹脂が塑性変形し空洞の生成が阻害されるので好ましくない。環状オレフィン共重合樹脂のガラス転移温度が230℃を超える場合はポリエステル樹脂と環状オレフィン共重合樹脂とを押出機等を用いて溶融混練しシート状に吐出する際の環状オレフィン共重合樹脂の分散が不十分となる。また環状オレフィン共重合樹脂のガラス転移温度がテンターでの熱固定温度よりも低いと塑性変形によるボイド潰れが生じる。なお、環状オレフィン共重合樹脂のガラス転移温度は共重合比率を変更することで調整が可能である。
なお、本発明では、形成されるボイドの平均長径Lは2〜40μmであることが好ましく、10〜35μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましい。
また、ボイドのアスペクト値は一定範囲内であることが好ましい。ボイドの平均アスペクト比は4〜20であることが好ましく、5〜17であることがより好ましく、6〜15であることがさらに好ましい。なお、アスペクト比とは、ボイドの長軸方向に直交する厚み方向におけるボイドの平均短径をr(μm)として、ボイドの長軸方向におけるボイドの平均長径をL(μm)とした際のL/r比を意味する。すなわち、アスペクト比とは、フィルムの断面を切り出してボイドを観察し、ボイドの長径を短径で割った値をさす。本発明では、ボイドの平均長径Lを上記範囲内とし、ボイドのアスペクト値を上記範囲内とすることにより、フィルムの強度を高めることができ、耐久性を高めることができる。
このように、本発明のポリエステルフィルムにボイドを含有させることにより、ポリエステルフィルムと他の部材との密着性を向上させることができる。その機構は、フィルム中にボイドが形成させると、密着の耐湿熱性が向上するが、フィルム形成の工程で発生したケテンイミン化合物やリン化合物やその分解物が空洞に蓄積され、表面への析出が抑制されるためであると考えられる。
ボイドの平均含有率は、5.0〜50.0%であることが好ましく、10.0〜45.0%であることがより好ましく、20.0〜40.0%であることが特に好ましい。ここで、ボイドの含有率は、ポリエステルフィルムの断面積に対する占有面積で表すことができる。例えば、長手方向の断面積に対してボイドの面積が占める割合と、幅方向の断面積に対してボイドの面積が占める割合の平均を本発明ではボイドの含有率とすることができる。例えば、ボイドの含有率は、ポリエステルフィルムの断面を観察した映像の中からボイドが20〜30点入るよう測定範囲を設定し、この中の全てのボイドの面積を測定し、それを、断面積の全体の面積で割ることによって算出することができる。これを長手方向と幅方向に平行な断面の各々で算出し、その平均値を求めることによって、ボイドの含有率を算出することができる。断面積中のボイドの面積をSとし、断面積の全体の面積をRとすると、ボイドの含有率(%)は、100×S/Rで算出することができる。ボイドの含有率を上記範囲内とすることにより、より効果的に、密着性を向上させることができる。
なお、ポリエステルに対する非相溶樹脂の添加率は、ポリエステルの総量に対して3〜30質量%の範囲とすることが好ましく、特に5〜12質量%が好ましい。非相溶樹脂の添加率を上記範囲内とすることにより、末端封止剤やリン化合物、その分解物を十分にトラップできるボイドを形成することができ、かつ、フィルムの強度や腰の強さを有することができる。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
本発明のポリエステルフィルムの製造方法は、末端封止剤の含有率が異なる2種類の組成物を混合し、混合する工程を含む。末端封止剤の含有率が異なる2種類の組成物を混合する工程においては、2種類の組成物を不均一に混合する。なお、本発明のポリエステルフィルムの製造方法は、このようにして得られた不均一な混合物を溶融し製膜する工程をさらに含む。
以下において、ポリエステルフィルムの製造方法の各工程について詳細に説明する。
<ポリエステルの作成>
ポリエステルは、ジオールとジカルボン酸を重縮合して得ることができる。ポリエステルは、既存の方法で作製ことができ、例えば、特開2012−179919号公報の段落[0079]に記載の方法を参照することができる。
<組成物(マスターバッチ)の作製>
末端封止剤のポリエステルへの添加は公知の方法を用いることで可能であるが、事前にポリエステルと末端封止剤を押出機で混合しておくマスターバッチ法(MB法)を用いることが好ましい。マスターバッチ法においては、混合物をペレット状の組成物(マスターバッチ)とする。
マスターバッチ法においては、事前に乾燥させていないポリエステル樹脂とケテンイミン化合物を押出機に投入し、水分や空気などを脱気しながらマスターバッチを作製する方法を採用することもできるが、事前に乾燥したポリエステル樹脂を用いてマスターバッチを作製する方法を採用することが好ましい。これによりポリエステルの加水分解を抑えることができる。また、この場合、脱気しながら押出しする方法や、十分乾燥したポリエステル樹脂により脱気をせずに押出しする方法などがあげられる。
本発明では、末端封止剤の含有率が異なる少なくとも2種類の組成物(マスターバッチ)を作製することが好ましい。2種類の組成物(マスターバッチ)は、例えば、ポリエステルに末端封止剤を添加した組成物(第1の組成物)と、末端封止剤を添加していない組成物(第2の組成物)を作成することで得ることができる。なお、第2の組成物にも、末端封止剤は含まれていてもよいが、第1の組成物に含まれる末端封止剤の濃度とは大きく異なるように含有されることが好ましい。このように、末端封止剤の濃度が異なる2種類の組成物を作製することによって、末端封止剤の含有率について面内変動を付与することができる。
なお、第1の組成物中の末端封止剤の含有率をρ1、第2の組成物中の末端封止剤の含有率をρ2とすると、ρ2/ρ1は、0.0〜0.95が好ましく、0.0〜0.80がより好ましく、0.0〜0.70がさらに好ましい。
組成物添加される末端封止剤の濃度は、最終的にポリエステルフィルムに含まれる濃度よりも高いことが好ましい。例えば、第1の組成物に含まれる、末端封止剤の濃度は、フィルムでの使用濃度の1.5〜20倍が好ましく、より好ましくは2〜15倍、さらに好ましくは3〜10倍である。添加濃度を目的とする濃度よりも高くするのは、次工程の製膜工程で、第2の組成物によって希釈されて目的濃度となるためである。
また、ポリエステルの重合条件等を変更することにより、固有粘度(IV値)を変化させた2種類の組成物を作製してもよい。このように、IV値の異なるポリエステルを用いて第1の組成物や第2の組成物を作成し、混練することによっても、末端封止剤の含有率について面内変動を付与することができる。
第1の組成物または第2の組成物には、リン化合物が添加されることが好ましい。なお、リン化合物についても組成物中の濃度が異なるように含有されることが好ましい。すなわち、リン化合物は、第1の組成物または第2の組成物のいずれかに添加されることが好ましい。このように、リン化合物の濃度が異なる2種類の組成物を作製することによって、リン化合物の含有率について面内変動を付与することができる。
第1の組成物および/または第2の組成物には、顔料または非相溶樹脂が添加されることが好ましい。顔料または非相溶樹脂は、第1の組成物または第2の組成物のいずれかに添加されてもよく、両方に添加されてもよい。
<フィルムの製膜>
第1の組成物と第2の組成物は、混練押出し機のホッパーにフィーダーで投入される。混練押出し機としては、単軸押出し機、2軸押出し機、バンバリーミキサー、ブラベンダー等の各種混練機を使用できる。中でも2軸押出し機を用いることが好ましい。
第1の組成物と第2の組成物は、混練押出し機中で混合され、混合物となる。ここでは、第1の組成物と第2の組成物を不均一に混合することが好ましい。すなわち、第1の組成物と第2の組成物の混合物中には、第1の組成物と第2の組成物が分布を持って存在することとなる。不均一に存在するとは、単位体積(1cm3)当たりに存在する第1の組成物と第2の組成物の存在比率に差があることをいう。具体的には、単位体積(1cm3)中に存在する第1の組成物の体積をPとし、単位体積(1cm3)中に存在する第2の組成物の体積をQとした際に、|P−Q|>0.1であることをいう。
本発明では、混練押出し機への投入の際に、第1の組成物または第2の組成物の投入量を変動させることが好ましい。混練押出し機への投入の際には、第1の組成物または第2の組成物のいずれかの投入量を変動させればよいが、末端封止剤を含有している第1の組成物の投入量を変動させることが好ましい。第1の組成物の投入量の変動率は、2.0〜25wt%が好ましく、4.0〜25.0wt%がより好ましく、6.0〜20.0wt%がさらに好ましい。ここで、投入量の変動率とは、規定時間内(1分間)における第1の組成物の投入量の最大値と最小値の差を平均値で割り百分率で表したものをいう。
このように、末端封止剤の濃度が異なる2種類の組成物の投入量を変動させることにより、ポリエステル中の存在量を変動させることができる。なお、リン化合物の面内変動を付与する方法についても同様の方法を用いることができる。
次いで、第1の組成物と第2の組成物を混練し得られた樹脂は、樹脂温度の最高到達温度が300℃になるよう加熱され、溶融される。その後溶融樹脂は、ダイを通して冷却ロール上に押出される。溶融樹脂は冷却ロール上で固化し、このようにして得られたフィルムは、キャストフィルム(未延伸原反)となる。溶融樹脂は、メルト配管を通し、ギアポンプ、濾過器を通すことが好ましい。またメルト配管中にスタチックミキサーを設け、樹脂と添加物の混合を促すことも好ましい。
なお、末端封止剤の分解を抑止するためにも、上記のような押出しは真空排気や不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。
<延伸工程>
フィルム形成工程によって形成された(未延伸)フィルムは、延伸工程において、延伸処理を施すことができる。延伸は縦方向(MD)、横方向(TD)の少なくとも一方に行なうことが好ましく、より好ましくは、MD、TDの両方延伸を行なうことが、フィルムの物性にバランスが取れ好ましい。このような2方向延伸は、縦、横逐次におこなっても良く、同時に実施しても良い。延伸工程においては、冷却ロールで冷却固化させた(未延伸)フィルムに1つまたは2つの方向に延伸されることが好ましく、2つの方向に延伸されることがより好ましい。2つの方向への延伸(二軸延伸)は、長手方向(MD:Machine Direction)の延伸(以下「縦延伸」ともいう)及び幅方向(TD:Transverse Direction)の延伸(以下、「横延伸」ともいう)であることが好ましい。当該縦延伸、横延伸は各々1回で行っても良く、複数回に亘って実施しても良く、同時に縦、横に延伸してもよい。
好ましい延伸倍率は少なくとも一方に280%〜500%、より好ましくは300%〜480%、さらに好ましくは320%〜460%である。二軸延伸の場合、縦、横均等に延伸してもよいが、一方の延伸倍率を他方より大きくし不均等に延伸するほうがより好ましい。縦(MD)、横(TD)いずれを大きくしてもよい。ここで云う延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)/(延伸前の長さ)
延伸工程においては、延伸処理の前又はその後、好ましくは延伸処理後に、フィルムに熱処理や熱緩和処理を施すことができる。熱処理や熱緩和処理を施すことによって、微結晶を生成し、力学特性や耐久性を向上させることができる。
[太陽電池モジュール用バックシート]
本発明のポリエステルフィルムは、その上に易接着層等の塗布層を設けた積層フィルムとして用いることもできる。本発明のポリエステルフィルムや積層フィルムは、様々な用途に用いられるが、太陽電池モジュール用バックシート(太陽電池モジュールの保護シート)として好適に用いられる。本発明のポリエステルフィルムは、優れた密着性や耐湿熱性を有するため、太陽電池モジュール用バックシートに用いた場合、長期間に亘って太陽電池モジュールを保護することができ、太陽電池モジュールの発電効率を損ねることがない。また、本発明のポリエステルフィルムは、黄変することが抑制されているため、太陽電池モジュールの意匠性を損ねたりすることもない。
本発明のポリエステルフィルムに、下記のような機能性層を積層することで太陽電池モジュール用バックシートを形成することができる。機能性層を積層する際に、易接着層を間に設けることが好ましい。なお、機能性層を積層する前に、ポリエステルフィルムの表面を表面処理することが好ましく、例えば、火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等を施すことができる。
<反射層(着色層)>
本発明のバックシートは内側面(封止材に接着する側)に光の反射層を設けることが好ましい。反射層を設けることにより太陽電池モジュールに入射した太陽光のうち、太陽電池セルをすり抜けてバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことが可能になる。これにより、発電効率を向上させることができる。
更に、反射層は封止材に対して10N/cm以上、より好ましくは20N/cm以上の接着強度を持つことが好ましい。
(バインダー)
初めに反射層のバインダーについて述べる。本発明の反射層のバインダーとしてはアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系ポリマー等を用いることができるが、この中ではポリオレフィン系ポリマーが好ましい。
本発明で用いるポリオレフィン系ポリマーは具体的には次のいずれかが好ましい。
・エチレン又はポリプロピレンとアクリルモノマー又はメタクリルモノマーからなる共重合体
・エチレン又はポリプロピレンとカルボン酸(無水物を含む)から成る共重合体
・エチレン又はポリプロピレンと、アクリルモノマー又はメタクリルモノマーと、カルボン酸(無水物を含む)から成る共重合体
ポリオレフィン系ポリマーを構成するアクリルモノマー又はメタクリルモノマーの具体例としてはメチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
また、ポリオレフィン系ポリマーを構成するカルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物等を挙げることができる。
これらは単独で用いてもよいし、複数の種類を混合して用いてもよい。
ポリオレフィン系ポリマー中のエチレン又はポリプロピレンは合計で80〜98mol%、より好ましくは85〜95mol%の範囲が好ましい。また、アクリルモノマー又はメタクリルモノマーは合計で0〜20mol%、より好ましくは3〜10mol%の範囲が好ましい。さらにカルボン酸は合計で0〜15mol%、より好ましくは1〜10mol%の範囲が好ましい。モノマー組成をこの範囲にすることで良好な接着性と耐久性を両立することができる。
本発明で用いるポリオレフィン系ポリマーの分子量は2000〜200000程度が好ましい。ポリオレフィン系ポリマーは直鎖構造のものでも分岐構造のものでもよい。
反射層のバインダーとして以上述べたポリオレフィン系ポリマーを用いることにより、反射層と支持体の間の接着性を特に良好にすることが可能になり、長期間経時させても接着性の低下を小さく保つことが可能になる。
本発明のポリオレフィン系ポリマーは水系のポリマー分散物(いわゆるラテックス)の形とすることが好ましい。シリコーン系複合ポリマーのラテックスの好ましい粒径は50〜2000nm程度であり、好ましい濃度は15〜50質量%程度である。
本発明のポリオレフィン系ポリマーは水系のポリマー分散物を製造する方法については乳化による方法、乳化分散による方法があるが、前者が好ましい。具体的な方法については例えば特許第3699935号明細書に記載の方法を参考にすることができる。
本発明のポリオレフィン系ポリマーは水系のポリマーをラテックスの形態とする場合、カルボキシル基、水酸基などの水親和性の官能基を持つものであることが好ましい。本発明のシリコーン系複合ポリマーがカルボキシル基を持つ場合、カルボキシル基はナトリウム、アンモニウム、アミンなどで中和されていてもよい。
また、ラテックスの形態で使用する場合、安定性を向上させるために界面活性剤(例:アニオン系やノニオン系界面活性剤)、ポリマー(例:ポリビニルアルコール)等の乳化安定剤を含有させてもよい。さらに、必要に応じてpH調整剤(例:アンモニア、トリエチルアミン、炭酸水素ナトリウム等)、防腐剤(例:1、3、5−ヘキサヒドロ―(2−ヒドロキシエチル)―s―トリアジン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等)、増粘剤(例:ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース等)、造膜助剤(例:ブチルカルビトールアセテート等)等のラテックス添加剤として公知の化合物を添加してもよい。
本発明で使用できるポリオレフィン系のバインダーは市販されているものもある。市販品の具体例としては、ボンダインHX−8210、HX−8290、TL−8030、LX−4110(以上住友化学工業(株)製)、アローベースSA−1200、SB−1010、SE−1013N、SE1200(以上ユニチカ(株))等がある。
(架橋剤)
本発明の反射層は、封止材との接着性をより向上させるため、エポキシ系、イソシアネート系、オキサゾリン系、カルボジイミド系等の架橋剤を含有することが好ましい。
これらの架橋剤のうち、湿熱経時後の接着性を確保する観点から、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤が特に好ましい。本発明で用いられるカルボジイミド系架橋剤は分子内に1つ以上のカルボジイミド基を持つ化合物である。
前記カルボジイミド系架橋剤は例えばイソシアネートの脱CO2反応で得られる。
イソシアネートとしては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等がある。
上記の反応には、1−エチル−3−メチル−3ホスホレンオキサイド、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレンオキサイド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレンオキサイド等の公知の触媒を用いてもよい。
また、本発明のカルボジイミド系架橋剤には分子内にポリアルキレン構造部を持たせて水可溶としてもよい。
前記カルボジイミド系架橋剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−プロピルカルボジイミド、N−tert−ブチル−N’−エチルカルボジイミド等が挙げられる。
また、上市されている市販品として、カルボジライトV−02−L2(日清紡績(株)製)などが挙げられる。
本発明で用いられるオキサゾリン系架橋剤は分子内に2つ以上のオキサゾリン基を持つ化合物である。オキサゾリン系架橋剤は具体的には、下記のオキサゾリン基含有化合物同士、又はこれと反応しうる化合物から得られる。
前記オキサゾリン基含有化合物の具体例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等のオキサゾリン基含有化合物を含む化合物を挙げることができる。
またオキサゾリン基含有化合物同士、又はこれと反応しうる化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸およびこの塩;アクリロニトリル、メチルビニルエーテル等を挙げることができる。
本発明で用いられるオキサゾリン系架橋剤は低分子化合物でもこれらの化合物の(共)重合体でもよい。
また、上市されている市販品として、エポクロスWS−700、エポクロスWS−500エポクロスK−2020E(いずれも日本触媒(株)製)などを用いることができる。
オキサゾリン系架橋剤を使用する場合、オニウム塩のような触媒を併用することが好ましい。オニウム塩触媒の具体例としては、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、燐酸水素二アンモニウム、四フッ化ホウ素ジフェニルメチルスルホニウム等がある。これらの触媒は架橋剤に対して0.5〜5質量%添加することが好ましい。添加量が0.5質量%未満であると充分な架橋促進効果が得られないことがあり、5質量%を超えると塗布液のポットライフが短くなったり、着色が発生するという不都合が生じる場合がある。
架橋剤の含有量としては、反射層を構成するバインダーに対して、5質量%〜40質量%が好ましく、8質量%〜30質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、5質量%以上であると、ポリマー層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、40質量%以下とすると塗布液のポットライフをより長く保つことができる。
(顔料と反射率)
本発明の反射層には反射率を上げる目的で白色顔料を添加することが好ましい。
好ましい白色顔料としては、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク等を挙げることができる。これらの内で白色度、反射率、耐久性の観点から酸化チタンは特に好ましい。酸化チタンにはルチル、アナターゼ、ブルカイトの3種類の結晶系があるが、高い屈折率と白色度、及び低い光触媒活性からルチル型の結晶構造を持つものが好ましい。
本発明で用いる酸化チタンは分散性や光触媒活性を制御するために表面処理をすることが好ましい。表面処理の方法には特に制限は無く、酸化アルミニウム(Al23)、二酸化(SiO2)、アルカノールアミン化合物、シリコ−ン化合物などを用いた公知の表面処理方法を用いることができる。なお、好ましい顔料の平均粒径は0.15〜0.45μm程度である。粒径をこの範囲とすることで高い反射率を得ることができる。
本発明の白色顔料は塗布液中での分散性を向上させるために分散剤を用いてもよい。分散剤の好ましい例として、例えば塗布液の溶媒が水の場合、ポリビニルアルコールを挙げることができる。この場合、公知の分散機を用いて分散した状態で使用することが好ましい。
反射層の白色顔料の塗布量は3〜10g/m2、より好ましくは4〜8g/m2の範囲が好ましい。白色顔料の塗布量を3〜10g/m2の範囲にすることにより、必要な反射率と接着性を両立することが可能になる。
白色顔料は本発明の反射層の反射率が、波長が550nmの光で65%以上、より好ましくは70%以上になるような量を添加することが好ましい。反射率を65%以上とすることで発電効率の向上を達成することができる。
(その他の添加剤)
本発明の反射層には必要に応じて界面活性剤、防腐剤などの公知の添加剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げることができる。アニオン系界面活性剤としてはアルキル硫酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩などがあり、ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテルなどがある。また、パーフロロアルキル硫酸ナトリウム塩のようなフッ素系界面活性剤も好ましい。
界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1mg/m2〜15mg/m2が好ましく、より好ましくは0.5mg/m2〜5mg/m2である。界面活性剤の添加量が、0.1mg/m2以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、15mg/m2以下であると、接着を良好に行うことができる。
防腐剤としてはイミダゾール系(例:2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−ベンツイミダゾールカルバミン酸メチルなど)やチアゾール系(1、2ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンなど)などの公知の防腐剤を使用する事ができる。
(膜厚)
本発明の反射層の厚みは3〜10μm、より好ましくは4〜8μmの範囲が好ましい。
反射層の厚みを3〜10μmの範囲にすることで、必要な反射率と接着性を両立することができる。
(塗布方法)
本発明の反射層を塗布する方法には特に制限はなく、ロールコート法、バーコーター法スライドダイ法、グラビアコーター法などの公知の塗布方法を用いることができる。
塗布溶媒にも制約はなく、メチルエチルケトン、トルエン、キシレンのような有機溶剤系の溶媒を用いても、水を溶媒として用いてもよい。しかし、環境負荷が小さいことを考えると水を溶媒とした塗布は特に好ましい。塗布溶媒は単独で用いても混合して用いてもよい。特に水系の塗布溶媒の場合、水に水混和性の有機溶剤を少量加えた混合溶媒として用いてもよい。
反射層の乾燥にも特に制限はないが、乾燥時間の短縮化の観点から120〜200℃程度の温度で1〜10分間程度乾燥させることが好ましい。乾燥温度が120℃未満の場合、乾燥時間が長くなり製造をする上で不利である。逆に200℃を超えると得られるバックシートの平面性が損なわれる場合がある。
<オーバーコート層>
本発明のバック層には封止材との接着性を向上させる目的で反射層の上にオーバーコート層を設けてもよい。
(バインダー)
オーバーコート層のバインダーとしては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
(架橋剤)
オーバーコート層の架橋剤種としては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
オーバーコート層の架橋剤の含有量としては、オーバーコート層を構成するバインダーに対して、5質量%〜40質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、5質量%以上であると、ポリマー層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、40質量%以下とすると塗布液のポットライフをより長く保つことができる。
(その他の添加剤)
オーバーコート層のその他の添加剤の種類と添加量としては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
(膜厚)
オーバーコート層の膜厚は0.1〜1.0μm、より好ましくは0.2〜0.8μmの範囲が好ましい。オーバーコート層の厚みを0.1〜1.0μmの範囲にすることで、封止材との強固な接着性を得ることができる。
(塗布方法)
オーバーコート層の塗布方法、塗布溶媒、乾燥方法については反射層のところで述べたものや方法を好ましく用いることができる。
<裏面層>
本発明のバックシートは外側面(太陽電池セルの反対側の面)に支持体を保護するための裏面層を設ける。
(バインダー)
初めに裏面層のバインダーについて説明する。裏面層のバインダーとしては耐久性と支持体との接着性の点から以下に述べるシリコーン系複合ポリマーを用いることが好ましい。本発明のシリコーン系複合ポリマー(以降「複合ポリマー」と言う場合がある)は、分子中に−(Si(R1)(R2)−O)n−部分と該部分に共重合するポリマー構造部分を含むポリマーである。
複合ポリマー中のポリシロキサンセグメントである「−(Si(R1)(R2)−O)n−」の部分において、R1及びR2は同一でも異なってもよく、Si原子と共有結合可能な1価の有機基を表す。R1及びR2で表される「Si原子と共有結合可能な1価の有機基」としては、例えば、置換又は無置換のアルキル基(例:メチル基、エチル基など)、置換又は無置換のアリール基(例:フェニル基など)、置換又は無置換のアラルキル基(例:ベンジル基、フェニルエチルなど)、置換又は無置換のアルコキシ基(例:メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など)、置換又は無置換のアリールオキシ基(例:フェノキシ基など)、置換又は無置換のアミノ基(例:アミノ基、ジエチルアミノ基など)、メルカプト基、アミド基、水素原子、ハロゲン原子(例:塩素原子など)等が挙げられる。中でも、R1、R2としては各々独立に、無置換の又は置換された炭素数1〜4のアルキル基(特にメチル基、エチル基)、無置換の又は置換されたフェニル基、メルカプト基、無置換のアミノ基、アミド基が好ましい。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)の具体例としてはジメチルジメトキシシランの加水分解縮合物、ジメチルジメトキシシラン/γ−メタクリロキシトリメトキシシランの加水分解縮合物、ジメチルジメトキシシラン/ビニルトリメトキシシランの加水分解縮合物、ジメチルジメトキシシラン/2−ヒドロキシエチルトリメトキシシランの加水分解縮合物、ジメチルジメトキシシラン/3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランの加水分解縮合物、ジメチルジメトキシシラン/ジフェニル/ジメトキシシランγ−メタクリロキシトリメトキシシランの加水分解縮合物等がある。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)は線状構造であってもよいし、分岐構造でもよい。さらに分子鎖の一部が環を形成してもよい。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)の比率は、複合ポリマーの全質量に対して15〜85質量%が好ましく、その中でも20〜80質量%の範囲が特に好ましい。ポリシロキサン部位の比率は、15質量%未満であると湿熱環境下に曝された際の接着性が劣る場合があり、85質量%を超えると液が不安定になる場合がある。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)の分子量はポリスチレン換算重量平均分子量で30000〜1000000程度であるが、50000〜300000程度がより好ましい。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)の作成方法には特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。具体的にはジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシランのようなアルコキシシラン化合物の水溶液に酸を加えて加水分解した後に縮合させる等の方法がある。
前記ポリシロキサン部分と共重合するポリマー構造部分としては、特に制限されるものではなく、アクリル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ゴム系ポリマーなどを用いることができる。このうち、耐久性の観点からアクリル系ポリマーは特に好ましい。
アクリル系ポリマーを構成するモノマーとしてアクリル酸のエステル(例:エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等)又はメタクリル酸のエステル(例:メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等)から成るポリマーを挙げることができる。さらに、モノマーとしてアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などのカルボン酸、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。アクリル系ポリマーはこれらのモノマーの1種以上を重合したポリマーでホモポリマーでもコポリマーでもよい。
アクリルポリマーの具体例としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−ビドロキシエチルメタアクリレート/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/2−ビドロキシエチルメタアクリレート/メタクリル酸/γ−メタクリロキシトリメトキシシラン共重合体、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/グリシジルメタクリレート/アクリル酸共重合体等がある。
ポリウレタン系ポリマーとしてはトルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネートとジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのポリオールからなるポリウレタン系ポリマーを好ましく使用することができる。ポリウレタン系ポリマーの作成方法には特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。
ポリウレタン系ポリマーの具体例としては、トルエンジイソシアネートとジエチレングリコールから得られるウレタン、トルエンジイソシアネートとジエチレングリコール/ネオペンチルグリコールから得られるウレタン、ヘキサメチレンジイソシアネートとジエチレングリコールから得られるウレタン等がある。
ポリエステル系ポリマーとしてはテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、スルホイソフタル酸などのポリカルボン酸とポリウレタンのところで述べたポリオールからなるポリエステル系ポリマーを好ましく使用することができる。ポリエステル系ポリマーの作成方法には特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。
ポリエステル系ポリマーの具体例としては、テレフタル酸/イソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル、テレフタル酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル、アジピン酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル等がある。
ゴム系ポリマーとしてはブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系モノマーからなるポリマーと、これらのジエン系モノマーとこれとと共重合可能なスチレンなどのモノマーのコポリマーを好ましく使用することができる。ゴム系ポリマーの作成方法にも特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。
ゴム系ポリマーの具体例としては、ブタジエン/スチレン/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー、ブタジエン/メチルメタクリレート/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー、イソプレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー、クロロプレン/アクリロニトリル/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー等がある。
ポリシロキサン部分と共重合するポリマー構造部分を構成するポリマーは、一種単独でもよいし、2種以上の併用であってもよい。さらに個々のポリマーはホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
ポリシロキサン部分と共重合するポリマー構造部分の分子量はポリスチレン換算重量平均分子量で3000〜1000000程度であるが、5000〜300000程度がより好ましい。
本発明の−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)とこの部分に共重合するポリマー構造部分を化学的に結合させる方法には特に制限はなく、例えばポリシロキサン部分とこの部分に共重合するポリマー構造部分を別々に重合し、各々のポリマーを化学結合させる方法、ポリシロキサン部分を予め重合しておきこれにグラフト重合する方法、共重合ポリマー部分を予め重合しておきこれにポリシロキサン部分をグラフト重合する方法等がある。後者の2方法は作成が容易で好ましい。たとえば、ポリシロキサン部分にアクリルポリマーを共重合する方法として、γ−メタクリロキシトリメチルシラン等を共重合したポリシロキサン部分を作成し、これとアクリルモノマーをラジカル重合する方法がある。また、アクリルポリマー部分にポリシロキサンを共重合させる方法としてγ−メタクリロキシトリメチルシランを含むアクリルポリマーの水分散物にアルコキシシラン化合物を加えて加水分解と縮重合を起こさせる方法がある。
ポリシロキサン部分と共重合するポリマー構造部分がアクリル系ポリマーの場合には、乳化重合、塊状重合などの公知の重合方法を用いることができるが、合成のしやすさや水系のポリマー分散物が得られる点から乳化重合は特に好ましい。また、グラフト重合に用いる重合開始剤には特に制限はなく、過硫酸カリ、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルなどの公知の重合開始剤を用いることができる。
裏面層のバインダーとして以上述べたシリコーン系複合ポリマーを用いることにより、裏面層と支持体の間の接着性を特に良好にすることが可能になり、長期間経時させても接着性の低下を小さく保つことが可能になる。
本発明のシリコーン系複合ポリマーは水系のポリマー分散物(いわゆるラテックス)の形とすることが好ましい。シリコーン系複合ポリマーのラテックスの好ましい粒径は50〜500nm程度であり、好ましい濃度は15〜50質量%程度である。
本発明のシリコーン系複合ポリマーは水系のポリマーをラテックスの形態とする場合、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミド基などの水親和性の官能基を持つものであることが好ましい。本発明のシリコーン系複合ポリマーがカルボキシル基を持つ場合、カルボキシル基はナトリウム、アンモニウム、アミンなどで中和されていてもよい。
また、ラテックスの形態で使用する場合、安定性を向上させるために界面活性剤(例:アニオン系やノニオン系界面活性剤)、ポリマー(例:ポリビニルアルコール)等の乳化安定剤を含有させてもよい。さらに、必要に応じてpH調整剤(例:アンモニア、トリエチルアミン、炭酸水素ナトリウム等)、防腐剤(例:1、3、5−ヘキサヒドロ――(2−ヒドロキシエチル)―s―トリアジン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等)、増粘剤(例:ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース等)、造膜助剤(例:ブチルカルビトールアセテート等)等のラテックスの添加剤として公知の化合物を添加してもよい。
本発明で使用できるシリコーン系複合ポリマーは市販されているものもある。市販品の具体例としては例えば、セラネートWSA1060、1070(以上DIC(株)製)、ポリデュレックスH7620、H7630、H7650(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)等がある。
(架橋剤)
本発明の裏面層には支持体への接着性を向上させるため架橋剤を添加する事が好ましい。架橋剤の種類については反射層のところで述べたものを使用することができる。
架橋剤の含有量としては、裏面層を構成するバインダーに対して、5質量%〜40質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、5質量%以上であると、支持体との接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、40質量%以下とすると塗布液のポットライフをより長く保つことができる。
(紫外線吸収剤)
本発明の裏面層には紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
紫外線吸収剤の例としては、例えば、有機系の紫外線吸収剤の場合は、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系等の紫外線安定剤などが挙げられる。具体的には、例えば、サリチル酸系のp−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、ベンゾフェノン系の2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、ベンゾトリアゾール系の2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、シアノアクリレート系のエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート)、その他として、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、ヒンダードアミン系のビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、それ他として、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、および2,4−ジ・t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
また、無機系の紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、などの金属酸化物や、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系成分等が挙げられる。 これらの中でコストと耐久性の観点から酸化チタンは特に好ましい。
裏面層の紫外線吸収剤添加量は紫外線吸収剤の種類によっても異なるが、0.2〜5g/m、より好ましくは0.3〜3g/mの範囲が好ましい。
(その他の添加剤)
裏面層には反射層の反射率を補う目的で白色顔料を添加してもよい。白色顔料の種類については反射層のところで述べた白色顔料を好ましく使用することができる。
裏面層の白色顔料の添加量は0.3〜10g/m、より好ましくは4〜9g/mの範囲が好ましい。添加量を0.3〜10g/mとすることで良好な接着性と反射率向上を両立できる。なお、白色顔料として酸化チタンを用いる場合は顔料と紫外線吸収剤を兼ねることができる。裏面層のその他の添加剤の種類と添加量としては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
(膜厚)
本発明の反射層の厚みは3〜12μm、より好ましくは4〜8μmの範囲が好ましい。
裏面層の厚みを3〜12μmの範囲にすることで、必要な耐久性と接着性を両立することができる。
(塗布方法)
裏面層の塗布方法、塗布溶媒、乾燥方法については反射層のところで述べたものや方法を好ましく用いることができる。
<裏面保護層>
本発明のバックシートでは、耐久性をさらに向上させる目的で裏面層の上に裏面保護層を設けてもよい。
<バインダー>
本発明の裏面保護層のバインダーは耐久性の観点からフッ素系ポリマーが好ましい。
本発明で好ましく用いることができるフッ素系ポリマーは、主鎖又は側鎖にフッ素含有モノマーを含むポリマーである。フッ素含有モノマーは主鎖、側鎖のどちらに含まれていてもよいが、耐久性の観点から主鎖に含まれている事が好ましい。
フッ素を含むモノマーの具体例としては、4フッ化エチレン、塩化3フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ヘキサフロロプロピレン、フッ素含有アルキルビニルエーテル(例:パーフロロエチルビニルエーテル)、フッ素含有エステル等(パーフロロブチルメタクリレート等)がある。
本発明におけるフッ素系ポリマーは必要に応じて非フッ素含有モノマーを共重合してもよい。これらのモノマーの具体例としてはエチレン、アルキルビニルエーテル(例:エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル)、カルボン酸(例:アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシブチメビニルエーテル等)がある。
本発明におけるフッ素系ポリマーのフッ素含有モノマーの割合は30質量%〜98質量%、より好ましくは40〜80質量%が好ましい。フッ素含有モノマーの割合が30質量%未満の場合耐久性が不充分になる場合があり、98質量%を超えると重合が不安定になる場合がある。
本発明のフッ素系ポリマーの具体例としては4フッ化エチレン/エチレン共重合体、4フッ化エチレン/エチレン/アクリル酸共重合体、6フッ化プルピレン/4フッ化エチレン共重合体、6フッ化プルピレン/4フッ化エチレン/エチレン共重合体、塩化3フッ化エチレン/パーフロロエチルビニルエーテル共重合体、塩化3フッ化エチレン/パーフロロエチルビニルエーテル/メタクリル酸共重合体、塩化3フッ化エチレン/エチルビニルエーテル共重合体、塩化3フッ化エチレン/エチルビニルエーテル/メタクリル酸共重合体、フッ化ビニリデン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、フッ化ビニル/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体等がある。
本発明のフッ素系ポリマーの分子量はポリスチレン換算重量平均分子量で2000〜1000000程度であるが、3000〜300000程度がより好ましい。
本発明のフッ素系ポリマーは水系のポリマー分散物(いわゆるラテックス)の形で使用することが好ましい。本発明のフッ素系ポリマーをラテックスの形態にする方法には特に制限がなく重合したポリマーを水中で乳化する方法、乳化重合により水中で重合する方法等がある。
乳化重合の方法には特に制限はなく、公知の乳化重合の方法を用いることができる。
例えば重合開始剤として、過硫酸カリ、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルなどの公知の重合開始剤を用いることができる。また、乳化剤として公知の界面活性剤を用いることができるが、CF3CF2CF2C(CF32CH2CH2COONH4、CF3CF2CF2C(CF32CH2CH2Na、CF3CF2CF2C(CF32CH2CH2NH4のようなフッ素系界面活性剤は特に好ましい。
さらに、ラテックスの形態で使用する場合、安定性を向上させるために界面活性剤(例:アニオン系やノニオン系界面活性剤)、ポリマー(例:ポリビニルアルコール)等の乳化安定剤を含有させてもよい。さらに、必要に応じてpH調整剤(例:アンモニア、トリエチルアミン、炭酸水素ナトリウム等)、防腐剤(例:1、3、5−ヘキサヒドロ――(2−ヒドロキシエチル)―s―トリアジン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等)、増粘剤(例:ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース等)、造膜助剤(例:ブチルカルビトールアセテート等)等のラテックスの添加剤として公知の化合物を添加してもよい。
本発明のフッ素系ポリマーをラテックス形態で使用する場合、粒径は50〜500nm程度が好ましく、固形分濃度は15〜50質量%程度が好ましい。
本発明のフッ素系ポリマーは水系のポリマーをラテックスの形態とする場合、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミド基などの水親和性の官能基を持つものであることが好ましい。
本発明で使用できるフッ素系ポリマーは市販されているものもある。市販品の具体例としては、ルミフロンLF200(旭硝子(株)製)、ゼッフルGK570(ダイキン工業(株)製)、オブリガードSW0011F(AGCコーテック(株)製)等がある。
(架橋剤)
本発明の裏面保護層には支持体への接着性を向上させるため架橋剤を添加する事が好ましい。架橋剤の種類については反射層のところで述べたものを使用することができる。
架橋剤の含有量としては、裏面保護層を構成するバインダーに対して、5質量%〜40質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、5質量%以上であると、接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、40質量%以下とすると塗布液のポットライフをより長く保つことができる。
(すべり剤)
本発明の裏面保護層には必要に応じてすべり剤を添加してもよい。
すべり剤としては、例えば、合成ワックス系化合物、天然ワックス系化合物、界面活性剤系化合物、無機系化合物、有機樹脂系化合物などが挙げられる。中でも、ポリマー層の表面強度の点で、合成ワックス系化合物、天然ワックス系化合物、及び界面活性剤系化合物から選ばれる化合物が好ましい。
前記合成ワックス系化合物としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、ラウリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、アジピン酸などのエステル、アミド、ビスアミド、ケトン、金属塩及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックスなどの合成炭化水素系ワックス、リン酸エステル、硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油誘導体の水素化ワックスなどが挙げられる。
前記天然ワックス系化合物としては、例えば、カルナバワックス、キャンデリラワックス、木蝋などの植物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、モンタンワックスなどの鉱物系ワックス、蜜蝋、ラノリンなどの動物系ワックスなどが挙げられる。
前記界面活性剤系化合物としては、例えば、アルキルアミン塩などのカチオン系界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン系界面活性剤、アルキルベタインなどの両性系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
すべり剤は、上市されている市販品を用いてもよく、具体的には、合成ワックス系のすべり剤として、例えば、三井化学(株)製のケミパールシリーズ(例えば、ケミパールW700、同W900,同W950等)、中京油脂(株)製のポリロンP−502、ハイミクロンL−271,ハイドリンL−536などが挙げられる。また、天然ワックス系の滑剤として、例えば、中京油脂(株)製のハイドリンL−703−35,セロゾール524,セロゾールR−586などが挙げられる。
界面活性剤系のすべり剤として、例えば、日光ケミカルズ(株)製のNIKKOLシリーズ(例えば、NIKKOL SCS等)、花王(株)製のエマールシリーズ(例えば、エマール40など)が挙げられる。
(コロイダルシリカ)
本発明の裏面保護層には必要に応じてコロイダルシリカを添加してもよい。
本発明で使用できるコロイダルシリカは、ケイ素酸化物を主成分とする微粒子が水または単価のアルコール類またはジオール類またはこれらの混合物を分散媒として微粒子状態で存在するものである。
コロイダルシリカ粒子の粒子径は平均一次粒径が数nm〜100nm程度である。コロイダルシリカ粒子の形状は球形であってもよいし、これらが数珠状に連結したものでもよい。コロイダルシリカ粒子の具体的としては、たとえば日産化学工業社製のスノーテックスST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−20L、ST−O、ST−OL、ST−S、ST−XS、ST−XL、ST−YL、ST−ZL、ST−OZL、ST−AK、スノーテックス−AKシリーズ、スノーテックス−PSシリーズ、スノーテックス−UP等を挙げることができる。
(その他の添加剤)
裏面保護層のその他の添加剤の種類と添加量としては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
(膜厚)
本発明の裏面保護層の厚みは0.5〜6μm、より好ましくは1〜5μmの範囲が好ましい。裏面保護層の厚みが0.5未満になると耐久性が不充分になる場合があり、6μmを超えるとコスト上不利である。
(塗布方法)
裏面保護層の塗布方法、塗布溶媒、乾燥方法については反射層のところで述べたものや方法を好ましく用いることができる。
<熱処理>
本発明のバックシートは製造工程のいずれかの時点で熱処理をしてもよい。熱処理は、例えば白色層、オーバーコート層、裏面層、裏面保護層のいずれかを形成した後の任意の時点で行うことができる。しかし、最も好ましいのはこれらの層を全て形成した後で行う方法である。 熱処理を行う形態については特に制限はなく、シート形態でもロール形態でもよい。熱処理の温度は30〜80℃程度、時間は24〜72時間程度が好ましい。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、本発明のポリエステルフィルムまたは本発明の太陽電池モジュール用バックシートを含むことを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と既述の本発明のポリエステルフィルム(太陽電池用バックシート)との間に配置して構成されている。基板とポリエステルフィルムとの間は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂(いわゆる封止剤)で封止して構成することができる。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性の基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<ケテンイミン化合物>
[合成例1]
(例示化合物1の合成)
Figure 2014156553
2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル酪酸29.1g(150mol)、無水酢酸375mlを三つ口フラスコに仕込み、還流下で3時間攪拌した。TLCにて反応終了を確認した後、過剰の無水酢酸を減圧留去した。得られた固体を酢酸エチルに溶解させ、1N塩酸水で分液洗浄を行った。溶媒を留去することで31.0g(収率87.5%)の(1−A)を得た。構造はNMRで確認した。
(1−A)17.1g(72.4mmol)、塩化チオニル21.5g(181mmol)、トルエン50mLを三つ口フラスコに仕込み70℃で1時間攪拌した。TLCにて反応終了を確認したあと、過剰の塩化チオニルと溶媒を減圧留去した。続けてトルエン50mLを加え、生成物を溶解させた後、5℃に冷却し、アニリン14.8g(159mmol)、トリエチルアミン16.1g(159mmol)を同時にゆっくり滴下し、氷冷下で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、酢酸エチルに溶解させ、1N塩酸水で分液洗浄を行った。溶媒を留去することで16.2gの(1−B)を得た。(収率88%)
(1−B)16.2g(52mmol)、ナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)15.0g、メタノール50mLを三つ口フラスコに仕込み、室温下で2時間攪拌した。TLCにて反応の終了を確認した後、酢酸エチルを加え、1N塩酸水で分液洗浄を行った。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒にて晶析させることで12.2gの(1−C)を得た。(収率87%)
(1−C)10.7g(40mmol)、炭酸カリウム16.6g(120mmol)、DMF70mLを三つ口フラスコに仕込み、50℃で窒素下攪拌を行った。1,4−ジブロモブタン4.31g(20mmol)滴下し、系内温度を110℃まで昇温し、24時間反応させた。反応後、酢酸エチルを加え、1N塩酸水、次に1N炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で分液洗浄した。溶媒を減圧留去した後、2−プロパノール/ヘキサン混合溶媒にて晶析させることで8.3gの(1−D)を得た。(収率70%)
(1−D)6.0g(10.1mmol)、トリフェニルホスフィン6.9g(26.3mmol)トリエチルアミン4.08g(40.5mmol)、四塩化炭素3.12g(20.2mmol)、クロロホルム210mLを三つ口フラスコに仕込み、70℃で窒素下で8時間攪拌を行った。溶媒を減圧濃縮した後、ヘキサンで洗浄し、シリカゲルクロマトにて精製することで、2.5gの例示化合物(1)を得た。(収率:45%)
1H−NMR(DMSO−d6) δ(ppm); 1.2(12H)、1.8−1.9(4H)、2.9(2H)、4.0(4H)、6.9−7.0(4H)、7.1(4H)、7.2−7.5(10H)
[合成例2]
(例示化合物4の合成)
Figure 2014156553
ベンゾフェノン15.1g(76mmol)、ペンタエリスリトールテトラブロミド6.08g(16mmol)、炭酸カリウム31.1g(225mmol)、DMF130mlを三つ口フラスコに仕込み、130℃で10時間攪拌した。溶媒を減圧留去して得られた固体を、蒸留水で1回、エタノールで1回洗浄し、酢酸エチルで晶析して(4−A)13.0g得た(収率95%)。構造はNMRで確認した。
(4−A)10.9g(12.7mmol)、アニリン7.08g(76.2mmol)、DABCO22.96g(154.6mmol)、クロロベンゼン390mlを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌し、続けてテトラクロロチタン9.9g(51mmol)加えて4時間攪拌した。得られた反応液を減圧濾過、続けて濃縮し、得られた固体をエタノールで洗浄して(4−B)13.5g得た(収率92%)。構造はNMRで確認した。
(4−B)10.2g(8.7mmol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド6.0g、クロロホルム90mlを三つ口フラスコに仕込み、十分に攪拌しながら50%水酸化ナトリウム水溶液60gを一気に加え、40〜45℃で1時間攪拌した。純水120ml、クロロホルム180mlを加えて2回純水で洗浄し、溶媒を減圧留去し(4−C)を12.9g(8.7mmol)得た(収率100%)。構造はNMRで確認した。
(4−C)12.9g(8.7mmol)、ヨウ化ナトリウム39g、アセトン210mlをフラスコに仕込み、75℃で2時間還流した。3.5%チオ硫酸ナトリウム水溶液に反応溶液をゆっくり滴下し、1時間攪拌した後、減圧濾過して固体を得た。得られた固体をカラムクロマトグラフィーで精製し、例示化合物(4)を7.2g(6.0mmol)得た(収率69%)。構造はNMRで確認した。
1H−NMR(CDCl3) δ(ppm); 4.32(8H)、7.05(8H)、7.20(20H)、7.36(20H)、7.45(8H)
[比較例用 ケテンイミン化合物]
ケテンイミン系の末端封止剤として、以下の化合物を用いた。なお、ケテンイミン化合物の比較化合物1(分子量269)及び比較化合物2(分子量550)は米国特許3692745号公報の実施例に記載のmonoおよびbisで表される化合物である。
Figure 2014156553
<カルボジイミド化合物>
カルボジイミド化合物として、以下の化合物を用いた。
ポリカルボジイミドとして下記の化合物を用いた。ポリカルボジイミドは、Stabaxol P400(ラインケミー社製)である。
Figure 2014156553
環状カルボジイミドとして下記の化合物を用いた。なお、環状カルボジイミドは特開2011−258641号公報の実施例に記載の分子量516の化合物であり、特開2011−258641号公報の参考例2に記載の合成方法を参考に合成した。
Figure 2014156553
<リン化合物>
リン化合物として、以下の化合物を用いた。
トリメチルリン酸 :和光純薬(株)製、濃度99%以上
リン酸 :和光純薬(株)製、濃度85%以上
リン酸二水素ナトリウム2水和物:和光純薬(株)製、濃度98%以上
フェニルホスホン酸 :和光純薬(株)製、濃度95%以上
Irganox1022 :チバ・スペシャリティーケミカルズ社製
<ポリエステル樹脂>
[PET−1]
−工程(A)−
高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンとを90分間かけて混合してスラリーを形成し、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。次いで、クエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(「VERTEC AC−420」、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に第一エステル化反応槽に供給し、反応槽内温度250℃として攪拌しながら平均滞留時間約4.4時間で反応を行なってオリゴマーを得た。この際、クエン酸キレートチタン錯体は、Ti添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。得られたオリゴマーの酸価は500eq/トンであった。
得られたオリゴマーを第二エステル化反応槽に移送し、反応槽内温度250℃・平均滞留時間1.2時間で攪拌して反応させ、酸価が180eq/トンのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽は内部が第1ゾーン〜第2ゾーンまでの2つのゾーンに仕切られており、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、Mg添加量が元素換算値で75ppmになるように連続的に供給した。
以上により、エステル化反応生成物を得た。
−工程(B)−
工程(A)で得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給した。次いで、反応温度270℃・反応槽内圧力20torr(2.67×10-3MPa)でエステル化反応生成物を攪拌しながら、平均滞留時間約1.8時間で重縮合(エステル交換反応)させた。
次いで、得られた反応物を、第一重縮合反応槽から第二重縮合反応槽に移送した。その後、反応物を第二重縮合反応槽反応槽において、反応槽内温度276℃・反応槽内圧力5torr(6.67×10-4MPa)で攪拌し、滞留時間約1.2時間の条件で反応(エステル交換反応)させた。
次いで、エステル交換反応によって得られた反応物を、第二重縮合反応槽から、更に第三重縮合反応槽に移送し、この反応槽では、反応槽内温度278℃、反応槽内圧力1.5torr(2.0×10-4MPa)で攪拌しながら、滞留時間1.5時間の条件で反応(エステル交換反応)させ、カルボン酸価:25eq/ton、IV(固有粘度):0.60dl/gの反応物(ポリエチレンテレフタレート(PET))を得た。
その後、反応槽内を微加圧として反応槽下部のバルブを開けて、ガット状のPETを水槽に吐出した。水槽で冷却されたPETのガットをカッターにてカッティングし、チップとした。
−工程(C)−
更に、回転型真空重合装置を用いて、50Paの減圧下で、得られたPETチップに210℃で30時間加熱処理を行った。その後、真空重合装置内に、25℃の窒素ガスを流し、ペレットを25℃まで、冷却し、カルボン酸価18eq/ton、IVが0.73dl/gのポリエステル樹脂(PET−1)を得た。
[PET−2]
PET−1において、工程(C)の加熱処理時間を20時間に変更した以外は、PET−1と同様にして、カルボン酸価が20eq/ton、IVが0.68dl/gのポリエステル樹脂(PET−2)を得た。
[PET−3]
PET−1において、工程(C)の加熱処理時間を40時間に変更した以外は、PET−1と同様にして、カルボン酸価が15eq/ton、IVが0.76dl/gのポリエステル樹脂(PET−3)を得た。
[PET−4]
PET−1において、工程(C)の加熱処理時間を18時間に変更した以外は、PET−1と同様にして、カルボン酸価が22eq/ton、IVが0.65dl/gのポリエステル樹脂(PET−3)を得た。
[MB−1−1]
得られた上述のPET−1を、直径50mmの2軸混練押出し機のホッパーに、主フィーダーで投入し、副フィーダーに前述のポリカルボジイミド化合物を投入し、ポリカルボジイミド化合物の含有量がPET−1に対して1wt%となるように計量しながら、樹脂温度の最高到達温度が300℃になるよう溶融してガット状に押出し、水槽中に吐出した。水槽で冷却された樹脂混合物のガットをカッターにてカッティングし、MB−1−1とした。
MB−1−1のカルボン酸価は8eq/ton、IVは0.75dl/gであった。
[MB−1−2]
MB−1−1について、添加する化合物を前述の環状カルボジイミドに変更した以外はMB−1−1と同様にして、MB−1−2を作成した。
MB−1−2のカルボン酸価は7eq/ton、IVは0.98dl/gであった。
[MB−1−3]
MB−1−1について、添加する化合物を前述の例示化合物(1)に変更した以外はMB−1−1と同様にして、MB−1−3を作成した。
MB−1−3のカルボン酸価は8eq/ton、IVは0.74dl/gであった。
[MB−1−4]〜[MB−1−14]
表に示すように、添加する末端封止剤の種類と量を変更した以外はMB−1−1と同様にして、MB−1−4〜MB−1−14を作成した。
[MB−1−15]
PET−1について、工程Aを下記の工程(A)−2に変更してPET−5を作成した。
MB−1−15のカルボン酸価は7eq/ton、IVは0.75dl/gであった。
−工程(A)−2−
高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンとを90分間かけて混合してスラリーを形成し、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。次いで、クエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(「VERTEC AC−420」、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に第一エステル化反応槽に供給し、反応槽内温度250℃として攪拌しながら平均滞留時間約4.4時間で反応を行なってオリゴマーを得た。この際、クエン酸キレートチタン錯体は、Ti添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。得られたオリゴマーの酸価は500eq/トンであった。
得られたオリゴマーを第二エステル化反応槽に移送し、反応槽内温度250℃・平均滞留時間1.2時間で攪拌して反応させ、酸価が180eq/トンのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽は内部が第1ゾーン〜第3ゾーンまでの3つのゾーンに仕切られており、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、Mg添加量が元素換算値で75ppmになるように連続的に供給し、続いて第3ゾーンから、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を、P添加量が元素換算値で65ppmになるように連続的に供給した。なお、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液は、25℃のエチレングリコール液に、25℃のリン酸トリメチル液を加え、25℃で2時間攪拌することにより調製した(溶液中のリン化合物含有量:3.8質量%)。
以上により、エステル化反応生成物を得た。
なお、工程(B)および工程(C)はPET−1と同様にして、PET−5を得た。
続いて、 得られた上述のPET−5を、直径50mmの2軸混練押出し機のホッパーに、主フィーダーで投入し、副フィーダーに前述のポリカルボジイミド(Stabaxol P400)を投入し、含有量がPET−5に対して2wt%となるように計量しながら、樹脂温度の最高到達温度が300℃になるよう溶融してガット状に押出し、水槽中に吐出した。水槽で冷却された樹脂混合物のガットをカッターにてカッティングし、MB−1−15とした。
MB−1−15のカルボン酸価は5eq/ton、IVは0.76dl/gであった。
[MB−1−16]〜[MB−1−27]
MB−1−15について、添加する末端封止剤の種類および投入量、リン化合物の種類および投入量を表に示すように変更した以外はMB−1−15と同様にして、MB−1−16〜MB−1−27を作成した。
[MB−1−28]
MB−1−18について、下記の顔料を含有量がポリエステル樹脂に対して1wt%となるように新たに添加した以外はMB−1−15と同様にして、MB−1−28を作成した。
MB−1−28のカルボン酸価は7eq/ton、IVは0.73dl/gであった。
顔料
・二酸化チタン
タイペークR−780−2
体積平均粒子径0.42μm
石原産業社製
固形分100%
[MB−1−29]〜[MB−1−30]
MB−1−28について、添加する顔料の投入量を表に示すように変更した以外はMB−1−28と同様にして、MB−1−29〜MB−1−30を作成した。
[MB−2−1]
PET−1について、工程Aを下記の工程(A)−3に変更してMB−2−1を作成した。
MB−2−1のカルボン酸価は12eq/ton、IVは0.73dl/gであった。
−工程(A)−3−
高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンとを90分間かけて混合してスラリーを形成し、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。次いで、クエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(「VERTEC AC−420」、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に第一エステル化反応槽に供給し、反応槽内温度250℃として攪拌しながら平均滞留時間約4.4時間で反応を行なってオリゴマーを得た。この際、クエン酸キレートチタン錯体は、Ti添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。得られたオリゴマーの酸価は500eq/トンであった。
得られたオリゴマーを第二エステル化反応槽に移送し、反応槽内温度250℃・平均滞留時間1.2時間で攪拌して反応させ、酸価が180eq/トンのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽は内部が第1ゾーン〜第3ゾーンまでの3つのゾーンに仕切られており、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、Mg添加量が元素換算値で75ppmになるように連続的に供給し、続いて第3ゾーンから、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を、P添加量が元素換算値で90ppmになるように連続的に供給した。なお、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液は、25℃のエチレングリコール液に、25℃のリン酸トリメチル液を加え、25℃で2時間攪拌することにより調製した(溶液中のリン化合物含有量:3.8質量%)。
以上により、エステル化反応生成物を得た。
[MB−2−2]〜[MB−2−16]
MB−2−1について、添加するリン化合物の種類および投入量を表1に示すように変更した以外はMB−2−1と同様にして、MB−2−2〜MB−2−16を作成した。
[MB−2−17]
MB−2−1について、下記の非相溶樹脂を含有量がポリエステル樹脂に対して10wt%となるように新たに添加した以外はMB−2−1と同様にして、MB−2−17を作成した。
MB−2−17のカルボン酸価は15eq/ton、IVは0.71dl/gであった。
・非相溶樹脂
ポリメチルペンテン樹脂
三井石油化学株式会社製TPX
DX−845
[MB−2−18]〜[MB−2−19]
MB−2−17について、添加する非相溶樹脂の投入量を表1に示すように変更した以外はMB−2−17と同様にして、MB−2−18〜MB−2−19を作成した。
<ポリエステルフィルム>
(実施例1)
−押出成形−
上述で得られたPET−1について、押出成形工程の条件を押出成形条件Aとしてポリエステルフィルムを作製した。
−押出成形条件A−
上述で得られたPET−1について、直径50mmの2軸混練押出し機のホッパーに、フィーダー(1)でMB−1−4を投入し、フィーダー(2)でPET−1を投入し、ポリカルボジイミドの含有量が1.0wt%となるように計量しながら、樹脂温度の最高到達温度が300℃になるよう溶融して押出した。このとき、フィーダー(1)で投入するチップの投入量について、12wt%/minの変動を与えながら投入した。
2軸混練押出し機から押出された溶融体(メルト)をギアポンプ及び濾過器(孔径20μm)を通した後、ダイから20℃の冷却ロールに押出し、非晶性シートを得た。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用い冷却ロールに密着させた。
−延伸(2軸延伸工程)−
冷却ロール上に押出し、固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、厚み250μmのポリエステルフィルムを得た。
<延伸方法>
(a)縦延伸
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を90℃、延伸温度を90℃、延伸倍率を3.5倍、延伸速度を3000%/秒として実施した。
(b)横延伸
縦延伸した前記フィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
<条件>
予熱温度:100℃
延伸温度:110℃
延伸倍率:4.2倍
延伸速度:70%/秒
−熱固定・熱緩和−
続いて、縦延伸及び横延伸を終えた後の延伸フィルムを下記条件で熱固定した。さらに、熱固定した後、テンター幅を縮め下記条件で熱緩和した。
<熱固定条件>
熱固定温度:198℃
熱固定時間:2秒
<熱緩和条件>
熱緩和温度:195℃
熱緩和率:5%
−巻き取り−
熱固定及び熱緩和の後、ポリエステルフィルムの両端を10cmずつトリミングした。その後、両端に幅10mmで押出し加工(ナーリング)を行なった後、張力25kg/mで巻き取った。なお、幅は1.5m、巻長は2000mであった。
以上のようにして、実施例1のポリエステルフィルムを作製した。
(実施例2〜37)
実施例1において、押出成形工程で投入するチップの種類、量、変動量を表1に示すとおりの条件に変更した以外は、実施例1と同様に実施例2〜37のポリエステルフィルムを作製した。
(比較例1)
実施例1において、押出成形条件を押出成形条件Bとした以外は、実施例1と同様に比較例1のポリエステルフィルムを作成した。
−押出成形条件B−
上述で得られたPET−1について、直径50mmの2軸混練押出し機のホッパーに、フィーダーでPET−1のチップを投入し、樹脂温度の最高到達温度が300℃になるよう溶融して押出した。
2軸混練押出し機から押出された溶融体(メルト)をギアポンプ及び濾過器(孔径20μm)を通した後、ダイから20℃の冷却ロールに押出し、非晶性シートを得た。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用い冷却ロールに密着させた。
(比較例2〜比較例4)
比較例1において、投入するチップをPET−1から、MB−1−1〜MB−1−3に変更した以外は、比較例1と同様に比較例2〜4のポリエステルフィルムを作製した。
(比較例5〜8)
実施例1において、押出成形工程で投入するチップの種類、量、変動量を表1に示すとおりの条件に変更した以外は、実施例1と同様に比較例5〜8のポリエステルフィルムを作製した。
以上のようにして得られた実施例および比較例のポリエステルフィルムの組成は表2の通りである。
Figure 2014156553
Figure 2014156553
<ポリエステルフィルムの評価方法>
(1)末端封止剤のフィルム中の存在量の面内変動
下記の工程(1)〜(5)に示す方法にて、末端封止剤のフィルム中の存在量の面内変動を求めた。
工程(1)
工程(1)において、サンプリングするフィルムの場所を下記の100点とした。
(イ)フィルムの幅方向の中心点を決定する
(ロ)上記のフィルム中心点から左右に10cmおきに5点ずつ、計10点をサンプリングする
(ハ)上記のフィルム中心点から長手方向の上流方向および下流方向に10cmおきに各々5点ずつ、計10点サンプリングする
(ニ)上記の(ハ)の各点について、上記の(ロ)と同様に幅方向に10点サンプリングする
工程(2)
実施例および比較例にて得られたポリエステルフィルムについて、任意の場所から1gをサンプリングし、凍結粉砕機(SPEX 6700)を用いて埃等異物が混入しないようにして凍結粉砕した後、乾燥し直径300μm以下の粉体状とした。
工程(3)
この粉体状ポリエステルについて、デジラボ社製、FT−IR FTS7000を用いて、常法として知られているKBr法にて赤外線吸収スペクトルを得た。
このとき、1700〜1750cm−1におけるポリエチレンテレフタレートに特有の吸収ピークの吸収強度をIPET、2100〜2200cm−1におけるカルボジイミド化合物に特有の吸収ピークの吸収強度をICI、1900〜2100cm−1におけるケテンイミン化合物に特有の吸収ピークの吸収強度をIKIとした。
そのとき、サンプリングした部分における末端封止剤のフィルム中の存在量を、ICI/IPETまたは、IKI/IPETとした。
工程(4)
工程(1)において、サンプリングした100点のフィルム片について、工程(3)で示した方法で、末端封止剤のフィルム中の存在量を求め、100点の平均値、最大値、最小値、標準偏差をそれぞれXave、Xmax、Xmin、σxとする。
工程(5)
工程(4)で得られたXave、Xmax、Xmin、σxについて、下記の式を用いて、ケテンイミン化合物のフィルム中の存在量の面内変動および分布を求める。
面内変動=(Xmax−Xmin)/Xave×100 [%]
分布=σx/Xave
(2)リン化合物のフィルム中の存在量の面内変動
下記の工程a〜dに示す方法にて、リン化合物のフィルム中の存在量の面内変動を求めた。
工程a
実施例および比較例にて得られたポリエステルフィルムについて、任意の場所からサンプリングし、蛍光X線分析装置(島津社製作所社製 XRF−1500)を用いて、下記に示す条件で、FP法にてフィルム中のリン元素量IPを求めた。
(蛍光X線分析 条件)
・X線管ターゲット:Rh4.0kW
・電圧:40kV
・電流:95mA
・分光結晶:Ge
・検出器:FPC
・2θ:141.03deg
・測定時間:40秒
工程b
工程aにおいて、サンプリングするフィルムの場所を下記の100点とした。
(イ)フィルムの幅方向の中央部をサンプリングする
(ロ)上記のフィルム中央から左右に10cmおきに5点ずつ、計10点をサンプリングする
(ハ)上記のフィルム中央から長手方向に10cmおきに10点サンプリングする
(ニ)上記の(ハ)の各点について、上記の(ロ)と同様に幅方向に10点サンプリングする
工程c
工程bにおいて、サンプリングした100点のフィルム片について、工程aで示した方法で、リン化合物のフィルム中の存在量IPを求め、100点の平均値、最大値、最小値、標準偏差をそれぞれYave、Ymax、Ymin、σyとする。
工程d
工程cで得られたYave、Ymax、Ymin、σyについて、下記の式を用いて、リン化合物のフィルム中の存在量の面内変動および分布を求める。
面内変動=(Ymax−Ymin)/Yave×100 [%]
分布=σy/Yave
<製造適性評価>
(粘度増加)
粘度増加が発生すると、ポリエステルフィルムの厚み変動が大きくなる問題が発生するため、粘度増加の評価はフィルムの厚み変動によって評価する。
4時間連続して製膜した際の2軸延伸飽和ポリエステルフィルムの膜厚変動を評価した。このうち、ランクAが実用上好ましい範囲である。得られた結果を下記表1に記載した。
A:膜厚変動が5%以内
B:膜厚変動が5〜15%
C:膜厚変動が15%より大きい
(ガスの揮散)
2軸押し出し機のダイから発生する煙、臭いを官能評価し、下記の基準にしたがって揮発性を評価した。このうち、ランクAが実用上好ましい範囲である。得られた結果を下記表1に記載した。
〈基準〉
A:煙・臭いの発生はなかった。
B:煙の発生はなかったが、臭いが発生した。
C:煙の発生があったが、臭いは発生しなかった。
D:煙・臭いが発生した。
<ポリエステルフィルムの耐湿熱性の評価>
耐湿熱性の評価は、破断伸度保持率半減期で評価した。
破断伸度保持率半減期
得られたポリエステルフィルムに対して、120℃、相対湿度100%の条件で保存処理(加熱処理)を行い、保存後のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)が、保存前のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)に対して50%となる保存時間(破断伸度保持率半減期)を測定することで評価した。
破断伸度保持率半減期が長い程、ポリエステルフィルムの耐湿熱性が優れていることを示す。
なお、破断伸度保持率半減期は、130時間以上が実用上必要であり、150時間以上であることが好ましく、170時間以上であることがより好ましい。
[バックシートの作製]
<反射層の形成>
−二酸化チタン分散物の調製−
下記二酸化チタン分散物の組成に示す各成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処理を施した。
(二酸化チタン分散物の組成)
・二酸化チタン(白色顔料、体積平均粒子径0.42μm) ・・・39.9部
〔タイペークR−780−2、石原産業社製、固形分100%〕
・ポリビニルアルコール ・・・16.0部
〔PVA−105、(株)クラレ製、固形分:10%〕
・界面活性剤〔デモールEP、花王(株)製、固形分:25%〕 ・・・0.5部
・蒸留水 ・・・51.6部
−反射層形成用塗布液の調製−
下記に示す各成分を混合し、反射層形成用塗布液を調製した。
(反射層形成用塗布液の組成)
・二酸化チタン分散物(白色顔料の分散物) ・・・80.0部
・シラノール変性ポリビニルアルコール ・・・19.2部
〔R1130、クラレ社製、固形分:7%〕
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(界面活性剤) ・・・3.0部
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業社製、固形分:1%〕
・オキサゾリン化合物(架橋剤) ・・・2.0部
〔エポクロスWS−700、日本触媒社製、固形分:25%〕
・蒸留水 ・・・7.8部
−反射層の形成−
得られた第1ポリマー層形成用塗布液を、支持体の一方面に塗布し、180℃で1分間乾燥させて、白色顔料(二酸化チタン)の量が5.5g/m2、厚みが5.5μmの反射層を形成した。
<裏面層の形成>
−顔料分散物の調製−
下記組成中の各成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処理を施した。
(顔料分散物の組成)
・二酸化チタン(白色顔料、体積平均粒子径0.42μm) ・・・39.9部
〔タイペークR−780−2、石原産業社製、固形分100%〕
・ポリビニルアルコール ・・・16.0部
〔PVA−105、(株)クラレ製、固形分:10%〕
・界面活性剤〔デモールEP、花王(株)製、固形分:25%〕 ・・・0.5部
・蒸留水 ・・・51.6部
−裏面層形成用塗布液の調製−
下記組成に示す各成分を混合し、裏面層形成用塗布液を調製した。
(裏面層形成用塗布液の組成)
・アクリル/シリコーン系バインダー(シリコーン系樹脂) ・・・362.3部
〔セラネートWSA−1070、DIC社製、固形分:40%〕
・カルボジイミド化合物(架橋剤) ・・・48.3部
〔カルボジライトV−02−L2、日清紡績社製、固形分:40%〕
・界面活性剤 ・・・9.7部
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業社製、固形分:1%〕
・上記顔料分散液 ・・・157.0部
・蒸留水 ・・・422.7部
−裏面層の形成−
得られた裏面層形成用塗布液を支持体1の第1ポリマー層を形成した面の反対面に、シリコーン系樹脂の量が塗布量で3.0g/m2になるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚みが3μmの裏面層を形成した。
<裏面保護層の形成>
−裏面保護層形成用塗布液の調製−
下記組成に示す各成分を混合し、裏面保護層形成用塗布液を調製した。
(裏面保護層形成用塗布液の組成)
・フッ素系バインダー(フッ素系樹脂) ・・・362.3部
〔オブリガートSW0011F、AGCコーテック社製、固形分:40%〕
・カルボジイミド化合物(架橋剤) ・・・24.2部
〔カルボジライトV−02−L2、日清紡績社製、固形分:40%〕
・界面活性剤 ・・・24.2部
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業社製、固形分:1%〕
・蒸留水 ・・・703.8部
−裏面保護層の形成−
得られた裏面保護層形成用塗布液を、裏面層の上に、フッ素系樹脂の量が塗布量で2.0g/m2になるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚み約2μmの裏面保護層を形成した。
上記の方法で、実施例1で得られたポリエステルフィルムの一方の面に反射層、この反対面に裏面層と裏面保護層を形成し、バックシートを作成した。
<接着性>
[A]湿熱経時前の接着性
試料を20mm巾×150mmにカットして、サンプル片を2枚準備した。この2枚のサンプル片を、互いに易接着性層側が内側になるように配置し、この間に20mm巾×100mm長にカットしたEVAシート(三井化学ファブロ(株)製のEVAシート:SC50B)を挟み、真空ラミネータ(日清紡(株)製の真空ラミネート機)を用いてホットプレスすることにより、EVAと接着させた。このときの接着条件は、以下の通りとした。
真空ラミネータを用いて、128℃で3分間の真空引き後、2分間加圧して仮接着した。その後、ドライオーブンで150℃で30分間、本接着処理を施した。このようにして、互いに接着した2枚のサンプル片の一端から20mmの部分はEVAと未接着で、残りの100mmの部分にEVAシートが接着された接着評価用試料を得た。
得られた接着評価用試料のEVA未接着部分を、テンシロン(ORIENTEC製 RTC−1210A)にて上下クリップに挟み、剥離角度180°、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行ない、接着力を測定した。
測定された接着力をもとに以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランク4、5が実用上許容可能な範囲である。
<評価基準>
5:密着が非常に良好であった(6N/mm以上)
4:密着は良好であった (4N/mm以上6/mm未満)
3:密着がやや不良であった (3/mm以上4N/mm未満)
2:密着不良が生じた (2N/mm以上3N/mm未満)
1:密着不良が顕著であった (2N/mm未満)
[B]湿熱経時後の接着性
得られた接着評価用試料を、120℃、100%RHの環境条件下で48時間保持(湿熱経時)した後、前記[A]と同様の方法にて接着力を測定した。測定された湿熱経時後の接着力をもとに、前記[A]と同様の方法にて接着力を評価した。このうち、ランク3、4、5が実用上許容可能な範囲である。
Figure 2014156553
表1に示すとおり、実施例1〜37では、耐湿熱性と密着性の両方の評価が高く、耐湿熱性と密着性に優れたポリエステルフィルムが得られていることがわかるまた。一方比較例1〜8では、耐湿熱性を評価する伸度半減時間が120h以下であるか、密着性の評価が2以下である。これらの結果から、比較例1〜8では、耐湿熱性と密着性の両方を高めることができていないことがわかる。
なお、実施例4〜8、9および10、11〜14、17〜37では、末端封止剤にケテンイミン化合物を用いているため、耐湿熱性と密着性の両方の評価が高いことに加えて、製造適性にも非常に優れていることがわかる。なお、ケテンイミン化合物の中でも、ケテンイミンを構成する窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量が320以上であるものは、ガスの揮散が極めて良好に抑制されており、より好ましい製造適性を実現できていることがわかる。
本発明によれば、ポリエステルフィルムに積層する他の部材との密着性を高めることができる。また、ポリエステルフィルムの耐湿熱性を高めることができ、高湿度環境下においてポリエステルフィルムの強度を十分に保つことができる。このため、本発明のポリエステルフィルムは太陽電池モジュール用バックシートに好適に用いることができ、産業上の利用可能性が高い。

Claims (17)

  1. ポリエステルと末端封止剤を含むポリエステルフィルムであって、
    前記ポリエステルに対して前記末端封止剤の平均含有率は、0.1〜10質量%であり、
    前記末端封止剤の含有率の面内変動が2〜20%であることを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. 前記末端封止剤の平均含有率をXave、面内標準偏差をσxとしたとき、0.5≦(σx/Xave)×100≦5であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記末端封止剤は、鎖状カルボジイミド化合物、環状カルボジイミド化合物またはケテンイミン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記末端封止剤は、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
    Figure 2014156553
    (一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。)
  5. 前記末端封止剤は、下記一般式(2)で表されるケテンイミン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
    Figure 2014156553
    (一般式(2)中、R1はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R2は置換基としてL1を有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R3はアルキル基またはアリール基を表す。nは1から4の整数を表し、L1はn価の連結基を表す。)
  6. 前記一般式(2)における、nが3または4であることを特徴とする請求項5に記載のポリエステルフィルム。
  7. 前記末端封止剤が、下記一般式(3)で表されるケテンイミン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
    Figure 2014156553
    (一般式(3)中、R1およびR5はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R2およびR4は置換基としてL2を有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R3およびR6はアルキル基またはアリール基を表す。L2は単結合または二価の連結基を表す。)
  8. 前記ケテンイミン化合物のケテンイミンを構成する窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量が320以上であることを特徴する請求項4〜7のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  9. リン元素の含有率が30〜600ppmとなるようにリン化合物をさらに含み、
    前記リン元素の含有率の面内変動が2〜20%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  10. 前記リン元素の平均含有率をYave、面内標準偏差をσyとしたとき、0.5≦(σy/Yave)×100≦5であることを特徴とする請求項9に記載のポリエステルフィルム。
  11. 微粒子をさらに含み、前記微粒子の含有率は、前記ポリエステルに対し0.5〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  12. ボイドをさらに含み、前記ボイドの含有率は、前記ポリエステルの断面積に対して5〜50%であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  13. ポリエステルと末端封止剤を含む第1の組成物と、ポリエステルを含み、前記第1の組成物と末端封止剤の含有率が異なる第2の組成物の混合物を作製する工程と、
    前記混合物を溶融して製膜する工程を有し、
    前記混合物を作製する工程では、前記第1の組成物と前記第2の組成物を不均一に混合することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
  14. 前記混合物を作製する工程は、前記第1の組成物と前記第2の組成物を混練押出し機に投入する工程を含み、
    前記投入する工程では、前記第1の組成物の投入量を変動させることを特徴とする請求項13に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  15. 請求項13または14に記載の方法により製造したポリエステルフィルム。
  16. 請求項1〜12および請求項15のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムを用いた太陽電池用バックシート。
  17. 請求項16に記載の太陽電池量バックシートを用いた太陽電池用モジュール。
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