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JP2014155579A - ミシン、ミシンプログラム、及びミシンシステム - Google Patents

ミシン、ミシンプログラム、及びミシンシステム Download PDF

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JP2014155579A JP2013027494A JP2013027494A JP2014155579A JP 2014155579 A JP2014155579 A JP 2014155579A JP 2013027494 A JP2013027494 A JP 2013027494A JP 2013027494 A JP2013027494 A JP 2013027494A JP 2014155579 A JP2014155579 A JP 2014155579A
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embroidery frame
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里実 鈴木
Shinji Tashiro
慎治 田代
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博嗣 高畠
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Brother Industries Ltd
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Abstract

【課題】ミシンの構成を複雑にすることなく、刺繍模様を表す縫目を形成する位置及び角度の少なくとも何れかを、縫製対象物上に容易に設定可能なミシン、ミシンプログラム、及びミシンシステムを提供すること。
【解決手段】ミシンは、撮影装置が生成した画像データであって、刺繍枠に設けられた1以上の基準標識と、刺繍枠の内側の領域に配置された1以上の指示標識とを少なくとも含む範囲を撮影した画像データを取得する(S42)。ミシンは、画像データに基づき、基準標識に対する、指示標識の位置及び角度の少なくとも何れかを配置データとして計算する(S56)。ミシンは、配置データに基づき、刺繍模様の縫製対象物上の位置及び角度の少なくとも何れかを決定する。ミシンは、決定した位置及び角度の少なくとも何れかに、刺繍模様を表す縫目を形成するための刺繍データを取得する。ミシンは、刺繍データに基づき、刺繍模様を縫製する。
【選択図】図10

Description

本発明は、刺繍模様を表す縫目を形成する機能を備えたミシン、ミシンプログラム、及びミシンシステムに関する。
従来、所望の刺繍模様を表す縫目を形成する位置及び角度を、刺繍枠に挟持された縫製対象物上に容易に設定することができるミシンが公知である。例えば特許文献1に記載されたミシンは、撮影手段を備えており、ユーザは縫製対象物の指定位置に標識を貼付した後、撮影手段で標識を撮影する。そして、ミシンは、撮影された標識の画像に基づいて、刺繍模様を表す縫目の位置及び角度を、縫製対象物上に自動で設定する。
特開2009−172123号公報
上述のミシンはカメラを搭載しているので、ミシンの構成が複雑且つ高価であった。
本発明の目的は、ミシンの構成を複雑にすることなく、刺繍模様を表す縫目を形成する位置及び角度の少なくとも何れかを、縫製対象物上に容易に設定可能なミシン、ミシンプログラム、及びミシンシステムを提供することである。
本発明の第一態様に係るミシンは、刺繍枠を搬送方向に沿って搬送可能な刺繍枠搬送手段と、撮影装置が生成した画像データであって、前記刺繍枠に設けられた1以上の基準標識と、当該刺繍枠に挟持された縫製対象物のうちの前記刺繍枠の内側の領域に配置された1以上の指示標識とを少なくとも含む範囲を撮影した画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段が取得した前記画像データに基づき、前記基準標識に対する、前記指示標識の位置及び角度の少なくとも何れかを配置データとして計算する第一計算手段と、前記刺繍枠に挟持された前記縫製対象物に縫目を形成可能な縫製手段と、前記刺繍枠に挟持された前記縫製対象物に形成する刺繍模様を特定する特定手段と、前記第一計算手段が計算した前記配置データに基づき、前記特定手段が特定した前記刺繍模様の前記縫製対象物上の前記位置及び前記角度の少なくとも何れかを決定する決定手段と、前記決定手段が決定した前記縫製対象物上の前記位置及び前記角度の少なくとも何れかに、前記刺繍模様を表す縫目を形成するためのデータである刺繍データを取得する刺繍データ取得手段と、前記刺繍データ取得手段が取得した前記刺繍データに基づき、前記刺繍枠搬送手段と前記縫製手段とを制御して、前記縫製対象物に前記刺繍模様を縫製する縫製制御手段と
を備えている。
第一態様のミシンは、撮影装置が生成した画像データに基づき、配置データを計算することができる。このため、従来は撮影手段を備えたミシンでしか行うことができなかった、画像データを利用した、縫製対象物上の指示標識の配置データの計算を、撮影手段を備えていないミシンにおいて実行することができる。また、撮影装置がミシンに備え付けられていないので、撮影装置は撮影範囲を自由に変更可能である。このため、例えば、刺繍枠を刺繍枠搬送手段から取り外した状態で、基準標識と、指示標識との双方の全体を一度に撮影し、撮影した画像データに基づき、配置データを計算することが可能である。さらに撮影装置がミシンに備え付けられている場合には、ミシンが備える針棒及び押え足等の部材の一部が撮影範囲に入ってしまうことがある。しかし、第一態様のミシンは、刺繍枠を、刺繍枠搬送手段から取り外し、針棒及び押え足等の部材が撮影範囲に入らない状態で撮影装置で撮影することが可能である。このように撮影された画像データに基づき、配置データを計算することも可能である。この場合ミシンは、撮影された画像にミシンが備える部材が含まれる場合に比べ、画像データに基づき指示標識を検出する処理が簡単になる。
本発明の第二態様に係るミシンプログラムは、第一態様のミシンの各種処理手段としてコンピュータを機能させる。ミシンプログラムがコンピュータによって実行されることにより、第一態様に係るミシンと同様の効果を奏することができる。
本発明の第三態様のミシンシステムは、撮影装置と、刺繍枠と、請求項1から4の何れかに記載のミシンとを備えたミシンシステムであって、前記刺繍枠は、前記刺繍枠搬送機構に着脱可能に装着される装着部と、縫製対象物を挟持可能な第一枠と第二枠とからなる挟持部であって、前記縫製対象物を挟持した状態で前記ミシンの針棒と対向する側の視認可能な位置に、前記基準標識を配置した挟持部とを備えており、前記撮影装置は、画像データを生成可能な撮影手段と、前記撮影手段を制御して、前記刺繍枠に設けられた前記基準標識と、当該刺繍枠に挟持された縫製対象物のうちの前記刺繍枠の内側の領域に配置された1以上の指示標識とを少なくとも含む範囲を撮影した画像データを生成させる撮影制御手段と、前記撮影制御手段が生成させた前記画像データを前記ミシンに出力する出力手段とを備えている。
第三態様のミシンシステムでは、ミシンは、撮影装置が生成した画像データに基づき、配置データを計算することができる。このため、従来は撮影手段を備えたミシンでしか行うことができなかった、画像データを利用した、縫製対象物上の指示標識の配置データの計算を、撮影手段を備えていないミシンにおいて実行することができる。また、撮影装置がミシンに備え付けられていないので、撮影装置は撮影範囲を自由に変更可能である。このため、例えば、刺繍枠を刺繍枠搬送手段から取り外した状態で、基準標識と、指示標識との双方の全体を一度に撮影した画像データに基づき、配置データを計算することが可能である。さらに撮影装置がミシンに備え付けられている場合には、ミシンが備える針棒及び押え足等の部材の一部が撮影範囲に入ってしまうことがある。しかし、第三態様のミシンは、刺繍枠を、刺繍枠搬送手段から取り外し、針棒及び押え足等の部材が撮影範囲に入らない状態で撮影装置で撮影することが可能である。このように撮影された画像データに基づき、配置データを計算することも可能である。この場合ミシンは、撮影された画像にミシンが備える部材が含まれる場合に比べ、画像データに基づき指示標識を検出する処理が簡単になる。
ミシン1,携帯端末3,及び刺繍枠53を備えるミシンシステム100の斜視図である。 刺繍枠53の平面図である。 大きさが異なる3種類の刺繍枠53の第一枠55の模式図と、刺繍枠の種類を識別するためのIDと、基準標識150が有する特徴点P1からP4の相対位置と、縫製可能領域の大きさとの対応の説明図である。 ミシンシステム100の電気的構成を示すブロック図である。 指示標識110の説明図である。 刺繍模様200の説明図である。 携帯端末3で実行される第一処理のフローチャートである。 第一処理で生成された画像データによって表される撮影画像である。 ミシン1で実行される第二処理のフローチャートである。 図9の第二処理で実行される画像解析処理のフローチャートである。 携帯端末3から取得された画像データを補正した場合の、補正後の画像データによって表される撮影画像である。
以下、本発明を具現化した一実施形態について、図面を参照して順に説明する。なお、これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成等は、単なる説明例である。
図1から図4を参照し、ミシンシステム100について説明する。図1に示すように、ミシンシステム100は、ミシン1,携帯端末3,及び刺繍枠53を主に備える。ミシン1及び携帯端末3は各々、図4のネットワーク9(例えば、公衆回線網)に接続可能である。以下、ミシン1,携帯端末3,及び刺繍枠53の物理的構成について順に説明する。図1の上側、下側、左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、及び右斜め下側は、各々、ミシン1及び携帯端末3の上側、下側、左側、右側、後ろ側、及び前側である。図2の上側、下側、左側、右側、奥行き側及び手前側は各々、刺繍枠53の後ろ側、前側、左側、右側、下側及び上側である。
ミシン1は、刺繍模様を縫製する機能を備える。図1に示すように、ミシン1は、ベッド部11,脚柱部12,及びアーム部13を備える。ベッド部11は、ミシン1の土台部であり、左右方向に延びる。脚柱部12は、ベッド部11の右端部から上方へ延びる。アーム部13は、ベッド部11に対向して脚柱部12の上端から左方へ延びる。アーム部13の左端部は、頭部14である。
ベッド部11の上面には、針板(図示略)が配設されている。針板の下側、つまり、ベッド部11内には、送り歯(図示略)、搬送機構85(図4参照)、搬送モータ80(図4参照)、及び釜機構(図示略)が設けられている。送り歯は、搬送機構85により駆動され、縫製対象物を所定の搬送方向(ミシン1の前方向又は後ろ方向)に搬送するよう構成されている。縫製対象物は、例えば、加工布である。搬送機構85は、送り歯を上下方向及び前後方向に駆動させる機構である。釜機構には、下糸が巻回されたボビンを収容可能である。釜機構は、後述する針棒29の下端に装着された縫針28と協働して縫製対象物に縫目を形成するよう構成された機構である。搬送モータ80は、搬送機構85を駆動するパルスモータである。
ベッド部11には、刺繍縫製時に使用される周知の刺繍装置2を着脱可能である。刺繍装置2がミシン1に装着されると、刺繍装置2とミシン1とは電気的に接続される。刺繍装置2とミシン1とは電気的に接続された場合、刺繍装置2は、刺繍枠53に保持された縫製対象物5を搬送可能である。刺繍装置2は、本体部51,及びキャリッジ52を備える。
キャリッジ52は、本体部51の上側に設けられている。キャリッジ52は、前後方向に長い直方体形状である。キャリッジ52は、枠ホルダ(図示略)、Y軸搬送機構88(図4参照)、及びY軸モータ83(図4参照)を備える。枠ホルダは、刺繍枠53を着脱可能である。刺繍枠53は大きさ及び形状の少なくとも何れかが異なる複数種類が用意されている。刺繍枠53の構成、及び刺繍枠53の種類については後述する。枠ホルダは、キャリッジ52の右側面に設けられている。刺繍枠53に保持された縫製対象物5は、ベッド部11の上側、且つ、針棒29及び押え足30の下方に配置される。Y軸搬送機構88は、枠ホルダを前後方向(Y方向)に搬送する。刺繍枠53は、枠ホルダが前後方向に搬送されることにより、縫製対象物5を前後方向に搬送する。Y軸モータ83は、Y軸搬送機構88を駆動する。ミシン1のCPU61(図4参照)は、後述する座標データに従って、Y軸モータ83を制御する。
本体部51は、キャリッジ52を左右方向(X方向)に搬送するX軸搬送機構87(図4参照)及びX軸モータ82(図4参照)を内部に備える。刺繍枠53は、キャリッジ52が左右方向に搬送されることによって、縫製対象物5を左右方向に搬送する。X軸モータ82は、X軸搬送機構87を駆動する。ミシン1のCPU61は、後述する座標データに従って、X軸モータ82を制御する。
脚柱部12の前面には、液晶ディスプレイ(以下、LCDという)15が設けられている。LCD15には、コマンド、イラスト、設定値、及びメッセージ等の様々な項目を含む画像が表示される。LCD15の前面側には、押圧された位置を検知可能なタッチパネル26が設けられている。ユーザが、指又は専用のタッチペンを用いてタッチパネル26の押圧操作を行うと、タッチパネル26によって、押圧された位置が検知される。そして、検知された押圧位置に基づき、画像中で選択された項目が認識される。以下、ユーザによるタッチパネル26の押圧操作を、パネル操作という。ユーザは、パネル操作によって、縫製したい模様又は実行すべきコマンドを選択できる。
脚柱部12の右側面には、コネクタ(図示略)が設けられている。ミシン1はコネクタを介して外部機器と接続可能である。外部機器には、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、撮影装置及び携帯端末が含まれる。
アーム部13は、開閉可能なカバー16を上部に備える。図1は、カバー16が開いた状態を示している。カバー16の下方、つまりアーム部13内の略中央部に、糸駒20が収容される。糸駒20に巻回された上糸(図示略)は、糸駒20から、頭部14に設けられた糸掛部(図示略)を経由して、針棒29に装着された縫針28に供給される。アーム部13の前面下部には、スタート/ストップスイッチを含む複数の操作スイッチ21が設けられている。
頭部14内には、押え機構90(図4参照)、針棒上下動機構84(図4参照)、針棒揺動機構86(図4参照)、及び揺動モータ81(図4参照)等が設けられている。押え機構90は、押えモータ89(図4参照)を駆動源として、押え棒31を駆動させるよう構成された機構である。針棒上下動機構84は、主軸(図示略)の回転に伴って針棒29を上下方向に駆動させるよう構成された機構である。針棒上下動機構84は、ミシンモータ79(図4参照)によって駆動される。針棒29及び押え棒31は、頭部14の下端部から下方に延びる。針棒29の下端には、縫針28が着脱可能である。押え棒31の下端には、押え足30が着脱可能である。押え足30は、縫製対象物を搬送可能に上側から押圧可能である。針棒揺動機構86は、送り歯35による縫製対象物の搬送方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に針棒29を揺動させるよう構成された機構である。揺動モータ81は、針棒揺動機構86を駆動するパルスモータである。
ミシン1では、刺繍装置2を利用して縫目が形成される場合、刺繍枠53は、Y軸搬送機構88及びX軸搬送機構87によって、ミシン1に固有の刺繍座標系で示される針落ち点に移動される。刺繍座標系は、キャリッジ52を移動させるX軸モータ82及びY軸モータ83の座標系である。本実施形態では刺繍座標系を以下のように定める。ミシン1の左右方向はX方向であり、左から右に向かう方向はX軸プラス方向である。ミシン1の前後方向はY方向であり、前から後に向かう方向はY軸プラス方向である。針落ち点は、針穴(図示略)の鉛直上方に配置された縫針28が、針棒29を縫製対象物5の上から下方向に移動させた際に、縫針28が縫製対象物5に刺さる点である。刺繍枠53が移動されるのと合わせて、縫針28が装着された針棒29及び釜機構(図示略)が駆動されることにより、縫製対象物5に模様を表す縫目が形成される。なお、X軸モータ82,Y軸モータ83,及び針棒29等は、後述する座標データに基づき、ミシン1に内蔵された後述のCPU61によって制御される。刺繍模様ではない通常の実用模様が縫製される時には、ベッド部11から刺繍装置2が取り外された状態で、送り歯(図示略)により縫製対象物が移動されながら縫製が行われる。
図1を参照し、携帯端末3の物理的構成について説明する。携帯端末3は、周知の多機能携帯電話機(所謂、スマートフォン)である。携帯端末3は、上面に、操作スイッチ131,タッチパネル132,及び表示部135を備える。操作スイッチ131は、携帯端末3に各種指示を入力する際に利用される。表示部135には、コマンド、イラスト、設定値、及びメッセージ等の様々な項目を含む画像が表示される。タッチパネル132は、表示部135の前面側に設けられ、押圧された位置を検知可能である。ユーザが、指又は専用のタッチペンを用いてタッチパネル132の押圧操作を行うと、タッチパネル132によって、押圧された位置が検知される。そして、検知された押圧位置に基づき、画像中で選択された項目が認識される。携帯端末3は、底面にカメラ136(図4参照)を備える。カメラ136は、例えば、周知のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
図2を参照し、刺繍枠53の物理的構成について説明する。図2に示すように刺繍枠53は、装着部58及び挟持部54を有する。装着部58は、ミシン1に装着された刺繍装置2が有する枠ホルダ(図示略)に着脱可能に装着される。挟持部54は、第一枠55と、第二枠56とを備え、第一枠55と、第二枠56とで縫製対象物5を挟持する部位である。第一枠55と、第二枠56とは、各々、前後方向に長い、角が丸みを帯びた矩形枠状の部材である。第二枠56の内周は、第一枠55の外周と略同一形状であり、第一枠55は、第二枠56内に着脱可能に嵌合する。第二枠56の前側の辺には、長さ方向の中央部で分断された分断部57が設けられている。分断部57には、第二枠56を第一枠55に対して締めつける締付機構が設けられている。縫製対象物5は、第一枠55と、第二枠56との間に挟まれ、締付機構によってピンと張った状態で保持される。
第一枠55の上面は、挟持部54が縫製対象物5を挟持し、且つ、刺繍枠53が刺繍装置2の枠ホルダに取り付けられた状態で、ミシン1の針棒29と対向する側において視認可能である。第一枠55の上面の左後ろ、右後ろ、右前及び左前には各々基準標識151から154が配置されている。以下では、複数の基準標識151から154を総称する場合、及び複数の基準標識151から154のうち何れかを特定せずに指す場合には、「基準標識150」という。基準標識150は、黒丸状の標識である。基準標識150は、縫製対象物を挟持した状態で刺繍枠53を撮影した画像データに基づき、後述する指示標識110の位置及び角度の少なくとも何れかを計算する際の基準として利用される。基準標識150の配置は、指示標識110が配置される可能性がある領域、即ち、縫製可能領域45を考慮して決定されることが好ましい。縫製可能領域45は、第一枠55の内側に設定される、ミシン1によって縫目を形成可能な領域である。縫製可能領域45は、刺繍枠53の種類に応じて異なる。本実施形態の基準標識150は、縫製可能領域45の4隅近傍に配置されている。
第一枠55の上面の前側には種類標識160が配置されている。種類標識160は、刺繍枠53の種類、及び後述する撮影画像中の刺繍枠53の向きを示す標識である。前述の通り、刺繍装置2には、大きさ及び形状の少なくとも何れかが異なる複数種類の刺繍枠53を択一的に装着可能である。本実施形態の刺繍装置2には、大きさの異なる3種類の刺繍枠53を択一的に装着可能であるとする。図3には、3種類の刺繍枠53の第一枠55を模式的に示している。3種類の刺繍枠53の第一枠55の各々は、種類標識160に含まれる黒丸状の模様の数が互いに異なる。本実施形態の刺繍枠53の種類を識別するためのIDは、種類標識160が有する黒丸状の模様の数と一致するものとする。本実施形態では、IDで示される数が大きいほど、IDで示される数が小さい刺繍枠53に比べ、刺繍枠53の大きさが大きい。
IDが1である刺繍枠53の第一枠55の種類標識161は、1つの黒丸状の模様を含む。IDが2である刺繍枠53の第一枠55の種類標識162は、2つの黒丸状の模様を含む。IDが3である刺繍枠53の第一枠55の種類標識163は、3つの黒丸状の模様を含む。種類標識160は、縫製対象物5を挟持した状態で刺繍枠53を撮影した画像データに基づき、縫製に用いられる刺繍枠53の種類を判断する処理で利用される。以下では、複数の種類標識161から163を総称する場合、及び複数の種類標識161から163のうち何れかを特定せずに指す場合には、「種類標識160」という。本実施形態では、種類標識160が配置されている側を、刺繍枠53の前側として、第二枠56に対する第一枠55が装着されるものとする。本実施形態では、製造時に基準標識150及び種類標識160の各々が第一枠55の上面に印刷されるものとする。したがって、基準標識150及び種類標識160は各々刺繍枠53に対する位置が固定されている。
図4を参照して、ミシン1の電気的構成について説明する。ミシン1の制御部60は、CPU61,ROM62,RAM63,フラッシュROM64,通信I/F65及び入出力インターフェイス66を備える。CPU61,ROM62,RAM63,フラッシュROM64,通信I/F65,及び入出力インターフェイス66は、バス67を介して相互に電気的に接続する。ROM62には、CPU61が後述する第二処理を実行するためのプログラムを含む各種プログラム、及びデータ等が記憶される。フラッシュROM64には、縫製可能領域テーブル、後述の模様データ、及び画像データに基づき配置データを計算するための各種パラメータ等が記憶される。縫製可能領域テーブルは、図3に示すテーブルのうち、IDと、基準標識150が有する複数の特徴点P1からP4の相対位置と、縫製可能領域45の大きさとの対応を記憶する。本実施形態において、標識(例えば、基準標識150)が有する特徴点は、標識を撮影した画像データに基づき、標識を検出したり、標識の位置を計算したりする処理に用いられる点である。本実施形態の基準標識150は、黒丸状の模様である。基準標識151から154が有する特徴点P1からP4は、各々、黒丸状の模様の中心点である。また本実施形態では、図2及び図3に示すように、縫製可能領域45はX方向及びY方向に伸びる辺を備えた矩形状であり、縫製可能領域45の大きさは、縫製可能領域45の刺繍座標系のX方向の長さと、Y方向の長さとによって表される。通信I/F65は、ミシン1をネットワーク9に接続するためのインターフェイス素子である。
入出力インターフェイス66には、操作スイッチ21,タッチパネル26,検出部27,及び駆動回路70から76が電気的に接続されている。検出部27は、刺繍装置2に刺繍枠53を装着されているか否か、及び刺繍装置2に装着された刺繍枠53の種類を検出し、検出結果を入出力インターフェイス66を介してCPU61に入力する。駆動回路70から76は、各々、押えモータ89,ミシンモータ79,搬送モータ80,揺動モータ81,X軸モータ82,Y軸モータ83,及びLCD15を駆動する。
図4を参照し、携帯端末3の電気的構成について説明する。携帯端末3は、CPU121,ROM122,RAM123,フラッシュROM124,通信I/F125,及び入出力インターフェイス128を備えている。CPU121は、携帯端末3の制御を司る。CPU121は、バス127を介して、ROM122,RAM123,フラッシュROM124,通信I/F125,及び入出力インターフェイス128と電気的に接続する。ROM122には、ブートプログラム及びBIOS等が記憶される。RAM123には、一時的なデータが記憶される。フラッシュROM124には、各種設定値が記憶される。通信I/F125は、携帯端末3をネットワーク9に接続するためのインターフェイス素子である。
入出力インターフェイス128は、操作スイッチ131,タッチパネル132,マイク133,スピーカ134,表示部135,及びカメラ136と接続されている。マイク133は、周囲の音を音データに変換して、入出力インターフェイス128に音データを入力する。スピーカ134は、入出力インターフェイス128から出力された音データに基づき、音を出力する。表示部135は、画像データに基づき画像を表示する。表示部135は、例えば、液晶ディスプレイである。カメラ136は、所定の撮影範囲を撮影した画像データを生成する。生成された画像データはRAM123に記憶される。
図5を参照して、指示標識110について説明する。指示標識110は、刺繍枠53に挟持された縫製対象物5上の、刺繍模様200の配置をユーザが指示するための標識である。ユーザは、指示標識110を用いて刺繍模様200の配置を指示する場合、刺繍枠53に挟持された縫製対象物5のうちの刺繍枠53の内側の領域、特に縫製可能領域45内側に、指示標識110を貼り付ける。指示標識110は、白色の薄板状のシート108と、その上面に黒色で描かれた線画を含む。シート108は、例えば、縦が約2.5(cm)、横が約2.5(cm)の正方形状である。シート108の上面に描かれた線画は、第一円101と、第一円101の中心である第一中心点111と、第二円102と、第二円102の中心である第二中心点112と、線分103,104,105,及び106とを含む。
第一円101は、正方形のシート108の中心点を第一中心点111として描かれている。第二円102は、第一円101に接し、且つ、第一中心点111と第二中心点112とを通る仮想的な直線(図示略)がシート108の一辺に平行となる位置に描かれている。第二円102の直径は、第一円101の直径よりも小さい。線分103及び線分104は、第一中心点111と第二中心点112とを通る仮想的な直線(図示略)と重なり、且つ、第一円101と第二円102との各々からシート108の外縁まで延びる線分である。線分105及び線分106は、第一円101の第一中心点111を通り、線分103に直交する仮想的な直線(図示略)と重なり、且つ、各々が第一円101の外縁からシート108の外縁まで延びる線分である。本実施形態では、指示標識110が有する第一中心点111及び第二中心点112を、指示標識110の特徴点とする。
図6に示す刺繍模様200を例として、刺繍模様、模様データ及び刺繍データについて説明する。なお、図6の左右方向及び上下方向は、各々、刺繍座標系のX方向及びY方向に対応する。
図6に示す刺繍模様200は、アルファベットの大文字の「A」を表す模様である。模様データは、刺繍模様200を表す縫目を、初期配置である縫製可能領域45の中心に形成するためのデータである。模様データは、座標データを含む。座標データは、針落ち点の位置及び針落ち点の形成順序を示す。本実施形態では、針落ち点の位置は、上述の刺繍座標系の座標で表される。模様データの座標データは全て、刺繍模様200(詳細には、刺繍模様200を包含する最小矩形201)の中心点202が刺繍座標系の原点と一致するように規定されている。刺繍座標系の原点は、縫製可能領域45の中心点46(図3参照)が針落ち点となる位置である。
刺繍データは、刺繍模様200を表す縫目を、ユーザが指示標識110を用いて指示した位置及び角度の何れかに形成するためのデータである。本実施形態の刺繍データは、刺繍模様200を表す縫目を、ユーザが指示標識110を用いて指示した位置及び角度に形成するためのデータである。刺繍データは、座標データを含む。本実施形態の刺繍データの座標データは全て、刺繍模様200(詳細には、刺繍模様200を包含する最小矩形201)の中心点202が刺繍座標系の指示標識110の第一中心点111と一致するように規定されている。本実施形態の刺繍データの座標データは、刺繍模様200の中心点202と点203とを結ぶ線分の傾きが、刺繍座標系の指示標識110の第一中心点111と第二中心点112を結ぶ線分の傾きと一致するように規定されている。
図7から図11を参照して、本実施形態のミシンシステム100において実行される処理について説明する。まず携帯端末3で実行される第一処理について説明する。第一処理では、携帯端末3は、画像データを生成し、生成した画像データをミシン1に出力する処理を実行する。具体的には、携帯端末3は、カメラ136を制御して、刺繍枠53の基準標識150と、刺繍枠53に挟持された縫製対象物5のうちの刺繍枠53の内側の領域に配置された指示標識110とを少なくとも含む範囲を撮影した画像データを生成させる。本実施形態では、撮影範囲は4つの基準標識150の全てが含まれるようにユーザによって設定されるものとする。刺繍枠53の内側の領域に貼り付けられる指示標識110の数は1つとする。携帯端末3は、生成された画像データに基づき、基準標識150が撮影画像に含まれることを確認した後、画像データを通信I/F125を介してミシン1に出力する。
第一処理は、ユーザが操作スイッチ131を操作して第一処理を開始する指示を入力した場合に開始される。携帯端末3のCPU121は、第一処理の開始指示の入力を検知すると、フラッシュROM124(図4参照)に記憶された第一処理を実行するためのプログラムをRAM123に読み出し、プログラムに含まれる指示に従って、以下に説明する各ステップの処理を実行する。なお本実施形態では、ユーザは、携帯端末3に第一処理を開始させる前に、刺繍枠53によって縫製対象物5を挟持させておき、指示標識110を縫製対象物5の上面に貼り付けておくものとする。即ち、ユーザは、第一処理を開始させる前に、撮影の準備を完了しているものとする。
図7に示すように、第一処理では、CPU121はまず、撮影の指示が入力されたか否かを判断する(S1)。撮影の指示は、例えば、操作スイッチ131を操作して入力される。CPU121は、カメラ136が生成した最新の画像データによって表される画像を表示部135に表示させる。表示部135に表示される画像はカメラ136の撮影範囲に対応し、その中心が撮影範囲の中心である。ユーザは、図8に例示するように、携帯端末3の表示部135に表示される撮影範囲に、4つの基準標識150と、刺繍枠53に挟持された縫製対象物5のうちの刺繍枠53の内側の領域に配置された指示標識110とが含まれることを確認した後、撮影の指示を入力する。なお、基準標識150を検出する際の処理の簡略化と精度の向上とを考慮し、携帯端末3は基準標識150が配置される推奨範囲を、撮影範囲を表す画像と重ねて表示してもよい。この場合、ユーザは、推奨範囲に基準標識150が収まるように携帯端末3の位置を移動させたり、カメラ136の焦点を変更したりして撮影範囲を調整する。刺繍枠53は、刺繍装置2に装着された状態で撮影されても、刺繍装置2から取り外された状態でされてもよい。しかし、画像処理を簡単にするために、刺繍枠53は刺繍装置2から取り外された状態で撮影される事が好ましい。このように撮影範囲が設定された場合、ミシン1が備える針棒29,縫針28,押え棒31,及び押え足30等の部材が撮影された画像に含まれないため、画像処理が簡単になる。
撮影の指示が入力されない場合(S1:NO)、CPU121は撮影の指示が入力されるまで待機する。撮影の指示が入力された場合(S1:YES)、CPU121は、カメラ136を制御して、撮影範囲を撮影した画像データを生成させ、RAM123に記憶させる(S2)。具体例として、S2の処理において、図8に示す画像を表す画像データが生成された場合を想定する。CPU121は、画像データに基づき撮影画像から基準標識150を検出する(S3)。撮影画像は、S2の処理で生成された画像データに基づく画像である。撮影画像は、S2の処理で生成された画像データによって表される画像であってもよいし、S2の処理で生成された画像データに対して補正処理等の何らかの処理が実行された後の画像であってもよい。基準標識150の検出には、いかなる周知の画像検出方法が用いられてもよい。例えば、CPU121は、エッジ抽出によって特徴点を抽出することによって、基準標識150を検出してよい。本実施形態では、1つの基準標識150から1つの特徴点が抽出される。図8に示す画像の画像データに基づき、基準標識151から154から、各々特徴点P1からP4が抽出される。本実施形態では基準標識150の黒丸状の模様と、種類標識160に含まれる黒丸状の模様とは、同じである。CPU121は、例えば、特徴点の配置に基づき、基準標識150と、種類標識160とを区別する。
CPU121は、4つの基準標識150の全ての検出に成功したか否かを判断する(S4)。前述の通り本実施形態では、第一枠55の上面のうちの、基準標識150を縫製可能領域45の4隅付近に付与している。このため、4つの基準標識150の全てが撮影画像に含まれていれば、撮影画像には、刺繍枠53の内側の領域、及び指示標識110が含まれていると想定される。したがって、携帯端末3は、S4の処理によって撮影画像中に4つの基準標識150が含まれることを確認する。CPU121は、4つの基準標識150のうちの何れかを検出できなかった場合(S4:NO)、表示部135にエラーメッセージを表示させた後(S5)、処理をS1に戻す。S5の処理のエラーメッセージは、撮影画像に基づき基準標識150を検出できなかったことをユーザに報知し、再度撮影することを促すものである。ユーザは、エラーメッセージを確認し、撮影範囲を調整した後、再度撮影の指示を入力する。
CPU121は、4つの基準標識150の全ての検出に成功した場合(S4:YES)、S2で生成した画像データを通信I/F125を介してミシン1に出力する(S6)。本実施形態の携帯端末3は、S6でミシン1に送信するデータに携帯端末3のアドレス及び画像データを含ませる。ミシン1のアドレスは、第一処理実行時にユーザが入力してもよいし、予めフラッシュROM124等の記憶機器に記憶させておいてもよい。CPU121は、画像データの送信が成功したか否かを判断する(S7)。CPU121は、ミシン1から送信された受信成功メッセージを受信した場合に、画像データの送信が成功したと判断する(S7:YES)。この場合、CPU121は、画像データの送信が正常に実行されたことをユーザに報知するメッセージを表示部135に表示した後(S9)、第一処理を終了する。CPU121は、画像データをミシン1に送信してから、所定時間(例えば、3分)内に受信成功メッセージを受信できなかった場合(S7:NO)、表示部135に送信エラーメッセージを表示させた後(S8)、第一処理を終了する。送信エラーメッセージは、配置データの送信が正常に実行されなかったことをユーザに報知するメッセージである。
図9から図11を参照して、ミシン1で実行される第二処理について説明する。第二処理は、ユーザが選択した刺繍模様の配置を、携帯端末3から送信される画像データに基づき決定した後、決定した配置に刺繍模様を表す縫目を形成する処理である。具体的には、ミシン1は、携帯端末3から送信された画像データに基づき、配置データを計算する。配置データは、基準標識150に対する指示標識110の位置及び角度の少なくとも何れかである。本実施形態の配置データは、基準標識150に対する指示標識110の位置及び角度である。ミシン1は、配置データに基づき、刺繍模様200の刺繍枠53に挟持された縫製対象物5上の位置及び角度の少なくとも何れかを決定する。本実施形態のミシン1は、配置データに基づき刺繍模様200の刺繍枠53に挟持された縫製対象物5上の位置及び角度を決定する。ミシン1は、決定した位置及び角度と、模様データとに基づき、刺繍模様200を表す縫目を形成するためのデータである刺繍データを生成する。ミシン1は、刺繍データに基づき、刺繍装置2と針棒上下動機構84とを制御して、刺繍枠53に挟持された縫製対象物5に刺繍模様200を縫製する。
第二処理は、ユーザがパネル操作によって第二処理を開始する指示を入力した場合に開始される。ミシン1のCPU61は、第二処理の開始指示の入力を検知すると、ROM62(図4参照)に記憶された第二処理を実行するためのプログラムをRAM63に読み出し、プログラムに含まれる指示に従って、以下に説明する各ステップの処理を実行する。なお本実施形態では、前述の第一処理は、少なくとも後述のS41の処理と、S42の処理との間に実行されるものとする。
図9示すように、第二処理ではまず、CPU61は、縫製対象である刺繍模様の選択を受け付ける(S21)。具体的には、例えば、フラッシュROM64に模様データが記憶されている複数の刺繍模様を示す画面が、LCD15(図1参照)に表示される。CPU61は、ユーザが、表示された刺繍模様のうち1つをパネル操作で選択するまで待機する(S21:NO)。ユーザが、表示された刺繍模様のうち1つをパネル操作で選択すると(S21:YES)、CPU61は、選択された刺繍模様(以下、選択模様という)を縫製対象として特定し、LCD15に表示させる(S22)。CPU61は、選択模様の模様データをROM62から取得し、RAM63に記憶させる。具体例として、図6の刺繍模様200が選択模様として特定された場合を想定する。
CPU61は、S22で特定した刺繍模様200の配置を決定するための画像解析処理を実行する(S23)。図10を参照して、画像解析処理について説明する。図10に示すように、CPU61は、携帯端末3から画像データを受け付けるための処理を開始する指示が入力されるまで待機する(S41:NO)。S41で受け付ける指示は、例えば、パネル操作によって入力される。携帯端末3から配置データを受け付ける処理を開始する指示が入力された場合(S41:YES)、CPU61は、携帯端末3からデータを受信するまで待機する(S42:NO)。CPU61は、携帯端末3からデータを受信した場合(S42:YES)、受信したデータに画像データが含まれるか否かを判断する(S43)。S42で受信したデータに画像データが含まれていない場合(S43:NO)、CPU61は、エラーメッセージをLCD15に表示させた後(S44)、処理をS41に戻す。S44の処理のエラーメッセージは、画像データを受信できなかったことをユーザに報知し、再度携帯端末3において第一処理を実行させることを促すメッセージである。S42で受信したデータに画像データが含まれている場合(S43:YES)、CPU61は、前述の受信成功メッセージを携帯端末3に送信する(S45)。前述のように、受信成功メッセージは、携帯端末3において、画像データがミシン1において正常に受信されたことを確認するために使用される。
CPU61は、検出部27(図4参照)の検出結果に基づき、刺繍枠53が刺繍装置2に装着されているか否かを判断する(S46)。刺繍枠53が刺繍装置2に装着されていない場合(S46:NO)、CPU61は、刺繍枠53を刺繍装置2に装着することを促すメッセージをLCD15に表示させ(S47)、処理をS46に戻す。刺繍枠53が刺繍装置2に装着されている場合(S46:YES)、CPU61は、検出部27の検出結果に基づき、刺繍装置2に装着されている刺繍枠53の種類を検出する(S48)。
CPU61は、画像データに基づき撮影画像から基準標識150を検出する(S49)。S49での撮影画像は、S42で取得した画像データによって表される画像であってもよいし、S42の処理で取得された画像データに対して補正処理等の何らかの処理が実行された後の画像であってもよい。図7のS3の処理と同様に、基準標識150の検出には、いかなる周知の画像検出方法が用いられてもよい。例えば、CPU61は、エッジ抽出によって特徴点を抽出することによって、基準標識150を検出してよい。本実施形態では、1つの基準標識150から1つの特徴点が抽出される。図8に示す画像の画像データに基づき、基準標識151から154から、各々特徴点P1からP4が抽出される。S49の処理によって、基準標識150が有する複数の特徴点P1からP4の各々の撮影画像中の位置が基準位置として検出される。
CPU61は、4つの基準標識150の全ての検出に成功したか否かを判断する(S50)。4つの基準標識150のうちの少なくとも1つが検出されなかった場合(S50:NO)、CPU61は、LCD15にエラーメッセージを表示させた後(S58)、処理をS42に戻す。S58の処理のエラーメッセージは、撮影画像に基づき基準標識150を検出できなかったことをユーザに報知し、携帯端末3を利用して再度撮影することを促すものである。ユーザは、エラーメッセージを確認し、携帯端末3を操作し、撮影範囲を調整した後、再度撮影の指示を入力する。CPU61は、4つの基準標識150の全ての検出に成功した場合(S50:YES)、刺繍枠53の種類に応じた基準標識150が有する複数の特徴点P1からP4の各々の基準に対する実際の相対位置を取得する(S51)。S51では、CPU61は、S48の処理で特定した刺繍枠53の種類と、フラッシュROM64に記憶された縫製可能領域テーブルとに基づき、点P1からP4の各々の基準に対する実際の相対位置を取得する。本実施形態の基準は、刺繍座標系の原点であり、相対位置は刺繍座標系の座標で表される。S51の処理によって、特徴点P1からP4の相対位置として、各々、(X21,Y21)、(X22,Y22)、(X23,Y23)、及び(X24,Y24)が取得される。
CPU61は、画像データに基づき、撮影画像中の刺繍枠53の向きを検出する。本実施形態では、CPU61は、略矩形の第一枠55が有する4辺のうち、種類標識160が配置された辺を前側と判断する。したがって、図8の画像では、撮影画像の下側が刺繍枠53の前側と判断され、図8の紙面左上、右上、右下、左下の黒丸状の模様の中心点が、各々、基準標識151から154の特徴点P1からP4と対応付けられる。CPU61は、刺繍枠53の向きに基づき、撮影画像に含まれる特徴点P1からP4の各々に、(X21,Y21)、(X22,Y22)、(X23,Y23)、及び(X24,Y24)を割り当てる(S52)。S52の処理によって、基準標識150が有する複数の特徴点の各々について、基準位置に対応する相対位置が決定される。基準位置は、撮影画像中の特徴点の位置である。
CPU61は、基準標識が有する複数の特徴点の各々の基準位置と相対位置との対応関係に基づき、S42で取得された画像データによって表される画像を補正する(S53)。本実施形態のS53の処理では、公知の台形補正によって、撮影画像の歪みを補正する。図8に示す撮影画像は、S53の処理によって図11に示す撮影画像となる。図11に示す撮影画像は、縫製対象物5を挟持した刺繍枠53を水平面に置いた状態で、真上から撮影した場合に得られる画像に相当する。図11の紙面上下方向及び左右方向は各々、刺繍座標系のY方向及びX方向に対応する。
CPU61は、画像データに基づき撮影画像から指示標識110を検出する(S54)。指示標識110の検出には、いかなる周知の画像認識方法が用いられてもよい。例えば、エッジ抽出と、第一円101及び第二円102の輪郭線並びに線分103から106を示すテンプレートを用いたパターンマッチングが行われればよい。S54の処理によって、指示標識110が有する2つの特徴点の撮影画像中の位置が指示位置として検出される。指示標識110が検出されなかった場合(S55:NO)、指示標識110が適切な位置に貼り付けられておらず、撮影範囲内に含まれていない状態である可能性が高い。よって、CPU61は、LCD15に、エラーメッセージを表示させた後(S57)、処理をS42に戻す。S57の処理のエラーメッセージは、指示標識110を刺繍枠53の第一枠55の内側となる領域に貼り付け直すよう促すメッセージである。
CPU61は、指示標識110を検出できた場合(S55:YES)、基準標識150に対する指示標識110の位置及び角度を、配置データとして計算する(S56)。なお、以下では、「位置及び角度」を単に「配置」という。刺繍枠53には相対位置が既知の基準標識150が配置されている。このため、CPU61は、複数の基準標識150が有する複数の特徴点の基準位置と、基準位置に対応する既知の相対位置と、指示位置とに基づき、指示位置に対応する刺繍座標系における座標を計算によって取得することができる。指示位置は、指示標識110に含まれる1以上の特徴点の撮影画像上の位置である。本実施形態の指示標識110は、第一中心点111と、第二中心点112との2つを特徴点として有する。よって、CPU61は、例えば、S54で検出された指示標識110の第一中心点111と第二中心点112との刺繍座標系における座標を配置データとして計算する。第一中心点111の刺繍座標系の座標は、指示標識110の縫製対象物5上の位置を表し、刺繍模様200の位置を指示するために用いられる。第一中心点111と第二中心点112との刺繍座標系における座標は、指示標識110の角度を表し、刺繍模様200の角度を指示するために用いられる。なお、指示標識110の角度は、上記2点の刺繍座標系の座標で表される場合の他、基準(例えば、刺繍座標系のX軸又はY軸)に対する角度で表されてもよい。CPU61は、画像解析処理を以上で終了させ、処理を図9の第二処理に戻す。
図9の第二処理のS23の次に、CPU61は、S22で特定した刺繍模様200の模様データと、図10のS56で計算した配置データとに基づき、刺繍模様200の配置を決定し、決定した配置をLCD15に表示させる(S24)。具体例では、CPU61は、図2に示すように、刺繍模様200(詳細には、刺繍模様200を包含する最小矩形201)の中心点202が刺繍座標系の指示標識110の第一中心点111と一致するように刺繍模様200の刺繍枠53に対する位置を決定する。CPU61は、刺繍模様200の中心点202と点203とを結ぶ線分の傾きが、刺繍座標系の指示標識110の第一中心点111と第二中心点112を結ぶ線分の傾きと一致するように、刺繍模様200の刺繍枠53に対する角度を決定する。
CPU61は、刺繍模様200の中心点202が刺繍座標系の指示標識110の第一中心点111と一致するように模様データを補正する。CPU61は、刺繍模様200の中心点202と点203とを結ぶ線分の傾きが、刺繍座標系の指示標識110の第一中心点111と第二中心点112を結ぶ線分の傾きと一致するように、模様データを補正する。CPU61は、補正後の模様データを刺繍データとして取得する(S25)。
CPU61は、S34で受信したデータに含まれる刺繍枠53の種類に対応する縫製可能領域45の範囲を表す情報を取得する(S26)。具体例では、フラッシュROM64に記憶された縫製可能領域テーブルが参照され、IDが2である刺繍枠53の縫製可能領域45の刺繍座標系で表されるX方向、Y方向の長さX25,Y25が各々取得される。S26の処理によって、刺繍枠53の第一枠55の内側に図2に示す縫製可能領域45が設定される。CPU61は、S24の処理で決定した刺繍模様200の配置と、S27で取得した縫製可能領域45の配置を表す情報とに基づき、S24の処理で決定したように刺繍模様200を配置した場合、刺繍模様200が縫製可能領域45内に収まるか否かを判断する(S27)。CPU61は、刺繍模様200を包含する最小矩形201の全てが縫製可能領域45内に収まる場合に、刺繍模様200が縫製可能領域45内に収まると判断する。刺繍模様200が縫製可能領域45内に収まらない場合(S27:NO)、CPU61は、エラーメッセージをLCD15に表示させる(S28)。S28の処理のエラーメッセージは、刺繍模様200が縫製可能領域45内に収まらないことをユーザに報知し、刺繍模様200の配置の決定するための操作をやり直すことを促すメッセージである。CPU61は、刺繍模様200の配置をS24の処理を実行する前の配置(初期の配置)に戻し、設定後の配置をLCD15に表示した後(S29)、処理をS23に戻す。
図2に示すように刺繍模様200が縫製可能領域45内に収まる場合(S27:YES)、CPU61は、縫製開始の指示が入力されるまで待機する(S30:NO)。縫製開始の指示は、パネル操作又は操作スイッチ21を用いて入力される。縫製開始の指示が入力された場合(S30:YES)、CPU61は、S39の処理で取得した刺繍データに従って、刺繍模様200を縫製対象物5に縫製する処理を行う(S31)。詳細には、CPU61は、刺繍データに従ってX軸モータ82及びY軸モータ83(図4参照)を駆動し、刺繍装置2で刺繍枠53を搬送する。CPU61は、刺繍枠53の搬送と併せてミシンモータ79によって針棒上下動機構84を駆動し、縫針28が装着された針棒29を上下動させることで、刺繍枠53に挟持された縫製対象物5に刺繍模様200を縫製する。刺繍模様の縫製が終了すると、CPU61は第二処理を終了する。
上記実施形態において、ミシン1,携帯端末3,刺繍枠53,及びミシンシステム100は、各々、本発明のミシン、撮影装置、刺繍枠、及びミシンシステムに相当する。刺繍装置2は、刺繍枠搬送手段に相当する。図10のS42の処理を実行するCPU61は、本発明の画像データ取得手段として機能する。S48の処理を実行するCPU61は、本発明の第三検出手段として機能する。フラッシュROM64は、本発明の記憶手段に相当する。S51の処理を実行するCPU61は、本発明の相対位置取得手段として機能する。S42及びS51の処理を実行するCPU61は、本発明の位置取得手段として機能する。S52の処理を実行するCPU61は、本発明の対応決定手段として機能する。S49の処理を実行するCPU61は、本発明の第一検出手段として機能する。S54の処理を実行するCPU61は、本発明の第二検出手段として機能する。S56の処理を実行するCPU61は、本発明の第二計算手段として機能する。S49,S51,S52,S54及びS56の処理を実行するCPU61は、本発明の第一計算手段として機能する。ミシンモータ79及び針棒上下動機構84は、本発明の縫製手段に相当する。図9のS22の処理を実行するCPU61は、本発明の特定手段として機能する。S24の処理を実行するCPU61は、本発明の決定手段として機能する。S25の処理を実行するCPU61は、本発明の刺繍データ取得手段として機能する。S31の処理を実行するCPU61は、本発明の縫製制御手段として機能する。S57又はS58の処理を実行するCPU61は、本発明の報知手段として機能する。装着部58,挟持部54,第一枠55,及び第二枠56は各々、本発明の装着部、挟持部、第一枠及び第二枠に相当する。図4のカメラ136は、本発明の撮影手段に相当する。図7のS2の処理を実行するCPU121は、本発明の撮影制御手段として機能する。S6の処理を実行するCPU121は、本発明の出力手段として機能する。
上記ミシンシステム100によれば、ミシン1は、携帯端末3が生成し、送信した画像データに基づき、配置データを計算することができる。このため、従来撮影機器を備えたミシンでしか行うことができなかった、画像データを利用した、縫製対象物上の指示標識の配置データの計算を、撮影機器を備えないミシン1において実行することができる。ミシン1及び携帯端末3は、ネットワーク9を介して通信が可能である。このため、ミシン1及び携帯端末3がケーブルを介して接続する場合に比べ、携帯端末3がミシン1に画像データを出力する際の操作が簡単である。
撮影機器を備えた従来のミシンでは、刺繍枠53の縫製可能領域45よりも撮影機器の撮影範囲が小さい場合、縫製可能領域45全体を複数のブロックに分け、刺繍枠53を各ブロックに対応する位置に順に移動させて、指示標識110を検出する処理が必要な場合があった。これに対し、本実施形態の携帯端末3は、ミシン1とは別体に設けられている。このため携帯端末3を利用して画像データを生成する場合、撮影範囲の制限はない。このため携帯端末3は、例えば、刺繍枠53を刺繍装置2から取り外した状態で、基準標識150と、刺繍枠53の内側の領域に配置された指示標識110との双方の全体を一度に撮影した画像データを生成することが可能である。更に携帯端末3は、刺繍枠53を刺繍装置2から取り外した状態で撮影することによって、撮影範囲に針棒29及び押え足30といったミシン1が備える部材を含まない状態で画像データを生成させることも可能である。ミシン1は、撮影範囲にミシンが備える部材が含まれる場合に比べ、画像データに基づき指示標識110を検出する処理を簡略化することができる。
ミシン1は、撮影画像から、基準標識150,指示標識110,及び種類標識160を検出し、刺繍枠53の種類及び撮影画像中の刺繍枠53の向きを自動的に判別して、配置データを計算することができる。したがって、ユーザが撮影時に撮影画像中の刺繍枠53の向きを考慮する必要がない。また、ユーザは撮影画像中の刺繍枠53の向きを特定するための情報を携帯端末3に入力する必要はない。ミシン1は、撮影画像中の刺繍枠53の向きと、刺繍枠53の刺繍装置2への取付方向との対応が適切に設定されないことに起因して、配置データが適切に計算されない事態を確実に回避することができる。
本実施形態の刺繍装置2は、複数種類の刺繍枠53を択一的に取付可能である。刺繍枠53の大きさ及び形状は、刺繍枠53の種類に応じて異なる。ミシン1は、S48の処理によって、刺繍枠53の種類を自動的に検出し、刺繍枠53の種類に対応する相対位置を自動的に取得することができる。したがってミシン1は、ユーザが刺繍枠53の種類を特定するための情報を入力したり、刺繍枠53の種類に応じた相対位置を指定したりする操作を行う手間を省くことができる。
ミシン1は、基準標識150,種類標識160及び指示標識110の少なくとも何れかが検出されかったことをユーザに報知することができる。ユーザは、報知結果に基づき、再度撮影を実行させる等の対応をとることができる。ミシン1は、基準標識150,種類標識160及び指示標識110の少なくとも何れかが検出されかった場合に、報知されない場合に比べ、配置データを取得する際のユーザの利便性を向上させることができる。携帯端末3は、撮影画像に4つの基準標識150が含まれている場合に、画像データをミシン1に送信する。したがって、ミシン1において、4つの基準標識150が検出されない場合は、基本的にはない。このためミシンシステム100は、ミシン1において4つの基準標識150が検出されない場合がある場合に比べ、ユーザの利便性を向上させることができる。
本発明のミシンは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の(A)から(E)までの変形が適宜加えられてもよい。
(A)ミシン1の構成は適宜変更されてよい。ミシン1は、例えば、工業用ミシン、及び多針ミシン等の他のミシンであってもよい。また例えば、ミシンは、刺繍装置と一体に構成されたミシンでもよい。刺繍模様の模様データはフラッシュROM64に記憶されている例を挙げたが、模様データは、ミシン1のその他の記憶機器(例えば、ROM62)に記憶されていてもよい。また、ミシン1がメモリカード等の媒体を接続可能な構成を有する場合、ミシン1は、媒体に記憶された模様データを取得して、ミシン1の記憶機器(例えば、フラッシュROM64)に記憶させてもよい。ミシン1が有線又は無線で外部機器と接続可能な構成を有する場合、ミシン1は、外部機器に記憶された模様データを取得して、記憶機器に記憶させてもよい。縫製対象物は、縫目を形成可能なものであればよい。配置データは、撮影機器を備える撮影装置によって、画像データに基づき計算されればいい。
撮影装置は、携帯端末3の他、例えば、スマートフォン以外の携帯電話、及び計算機能を備えたデジタルカメラ等の他の機器であってもよい。撮影装置が備える撮影機器は、CCDカメラ等、画像を撮影してその画像データを出力可能な機器であればよい。刺繍枠の形状及び大きさ等の構成は適宜変更されてよい。例えば、刺繍枠の挟持部は、上枠(第一枠)と、下枠(第二枠)とを備え、上枠と、下枠とによって縫製対象物を上下方向に挟持する刺繍枠であってもよい。この場合、縫製対象物を挟持した状態でミシンの針棒と対向する側の視認可能な位置は、上枠の上面である。
(B)指示標識110,基準標識150,及び種類標識160の構成は各々適宜変更されてよい。標識の構成には、例えば、標識の大きさと、材質と、デザインと、色とが含まれる。上記標識が有する特徴点は、適宜変更されてよい。上記標識が、例えば、互いに交差する線分を含む場合、交点を特徴点としてもよい。他の例では、線分の端点を特徴点としてもよい。
指示標識110の数及び1つの指示標識110が有する特徴点の数の各々は、適宜変更可能である。複数の指示標識110に基づき刺繍模様の配置が特定される場合、1つの指示標識110に基づき刺繍模様の配置が特定される場合に比べ、刺繍模様の配置、特に刺繍模様の傾きを精度よく決定することができる。画像データに基づき検出される指示標識110の配置は、指示標識110の位置及び角度の少なくとも何れかであればよい。指示標識110の配置を特定するための特徴点(上記実施形態では、指示標識110の第一中心点111,及び第二中心点112)及び算出方法は、指示標識110の構成等を考慮して、適宜変更されてよい。
同様に、基準標識150の数及び1つの基準標識150が有する特徴点の数の各々は、適宜変更可能である。例えば、1つの基準標識が複数の特徴点を有する場合には、基準標識の数は1でもよい。上記実施形態のように基準標識が有する特徴点に基づき、台形補正を行う場合には、1以上の基準標識は、4以上の特徴点を備えていることが好ましい。刺繍装置2に装着可能な刺繍枠の種類が1種類の場合、及び刺繍枠の種類をユーザが携帯端末3に入力する場合等には、刺繍枠53は種類標識160を備えなくてよい。種類標識160の数及び種類標識160が有する特徴点の数の各々は、適宜変更可能である。
(C)模様データ及び刺繍データの構成及び生成方法は適宜変更されてよい。例えば、刺繍模様が複数の色で縫製される模様である場合、模様データ及び刺繍データは糸色データを含んでもよい。糸色データは、縫目を形成する糸の色である。刺繍座標系の座標の設定は、予め定められていればよく、適宜変更されてよい。画像データに基づき計算される配置データが示す座標の座標系と、刺繍座標系とは、互いに変換可能であれば、異なっていてもよい。この場合、ミシン1は、配置データを刺繍座標系のデータに変換する処理を実行すればよい。
(D)図7の第一処理を実行させるための指令を含むプログラム及びデータは、携帯端末3がプログラムを実行するまでに、携帯端末3が備える記憶機器に記憶されればよい。図9の第二処理を実行させるための指令を含むプログラム及びデータは、ミシン1がプログラムを実行するまでに、ミシン1が備える記憶機器に記憶されればよい。したがって、プログラム及び模様データの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は適宜変更されてよい。携帯端末3又はミシン1が備えるプロセッサが実行するプログラム及び模様データは、ケーブル又は無線通信を介して、他の装置から受信し、フラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えば、PC,及びネットワーク網を介して接続されるサーバを含む。
(E)図7の第一処理の各ステップは、CPU121によって実行される例に限定されず、一部又は全部が他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。また、上記第一処理の各ステップは、複数の電子機器(例えば、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。また上記実施形態の第一処理の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。更に、携帯端末3が備えるCPU121からの指令に基づき、携帯端末3上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上記実施形態の機能が実現される場合も本発明の範囲に含まれる。同様に、図9の第二処理の各ステップは、CPU61によって実行される例に限定されず、一部又は全部が他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。また、上記第二処理の各ステップは、複数の電子機器(例えば、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。また上記実施形態の第二処理の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。更に、ミシン1が備えるCPU61からの指令に基づき、ミシン1上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上記実施形態の機能が実現される場合も本発明の範囲に含まれる。例えば、以下の(E−1)から(E−5)に示す変形が適宜加えられてもよい。
(E−1)刺繍枠の種類が1種類である場合及び刺繍枠の種類がユーザによって入力される場合等には、図10のS48の処理は省略されてよい。また、刺繍枠53の種類は、撮影画像中の種類標識160に基づき検出されてもよい。この場合、CPU61は、検出部27の検出結果に基づき検出した刺繍枠53の種類と、種類標識160に基づき検出した刺繍枠53の種類とを比較し、両者が一致するか否かを判断してもよい。両者が一致しないと判断される場合、撮影に用いた刺繍枠53とが互いに異なる種類の刺繍枠53が、刺繍装置2に取り付けられた状態である。この場合CPU61は、エラーメッセージをLCD15に表示させてもよい。このようにすれば、ユーザはエラーメッセージに基づき、撮影に用いた刺繍枠53が互いに異なる種類の刺繍枠53が、刺繍装置2に取り付けられた状態であることを知る事ができる。このようにした場合ミシンシステム100では、撮影に用いた刺繍枠53と互いに異なる種類の刺繍枠53が、刺繍装置2に取り付けられた状態で刺繍模様の縫製が実行される事態を回避することが可能である
(E−2)撮影画像中の刺繍枠53の向きが一定である場合には、携帯端末3は、撮影画像中の刺繍枠53の向きを特定するためのS52の処理を省略してもよい。この場合携帯端末3は、例えば、撮影画像中の基準標識が有する複数の特徴点の各々に、予め定められた関係に従って、相対位置を対応付けてよい。具体的には、図8に示す画像の上下方向及び左右方向が、各々、刺繍枠53の前後方向及び左右方向と対応している場合を想定する。この場合、携帯端末3は画像左上、右上、右下、及び左下の特徴点を、各々特徴点P1からP4の相対位置と対応付けてよい。撮影画像中の刺繍枠53の向きは、種類標識160の配置に基づき特定していたが、これに限定されない。例えば、基準標識が指示標識110と同様の標識である場合等基準標識に指向性がある場合には、基準標識が示す向きに基づき刺繍枠53の撮影画像上の向きが特定されてもよい。
(E−3)図7のS5,S8,及びS9の処理の一部又は全部は、必要に応じて省略可能である。同様に、図9のS28,図10のS44,S47,S57及びS58の処理の一部又は全部は、必要に応じて省略可能である。上記の各ステップでは、エラーメッセージを表示する処理に代えて、音声による報知が実行されてよい。
(E−4)ミシン1及び携帯端末3はネットワーク9に接続可能であったが、ネットワーク9に接続不能であってよい。この場合ミシン1と携帯端末3とは、通信ケーブルを介して接続可能であってもよい。この場合、携帯端末3は、図7のS6の処理において、通信ケーブルを介してミシン1に画像データを出力する。ミシン1は、通信ケーブルを介して出力された画像データを取得してよい。
(E−5)配置データに基づき、刺繍模様の位置及び角度の何れかが決定されてもよい。例えば、配置データに基づき、刺繍模様の位置が決定される場合、刺繍模様の角度は初期の角度が決定されてもよい。配置データに基づき刺繍模様の位置及び角度の何れかを決定する際の基準は予め設定されていればよく、適宜変更されてよい。
1 ミシン
2 刺繍装置
3 携帯端末
5 縫製対象物
15 液晶ディスプレイ
53 刺繍枠
54 挟持部
55 第一枠
56 第二枠
58 装着部
61,121 CPU
62,122 ROM
63,123 RAM
64,124 フラッシュROM
65,125 通信I/F
84 針棒上下動機構
135 表示部
136 カメラ
150,151,152,153,154,155,156 基準標識
160,161.162,163 種類標識

Claims (7)

  1. 刺繍枠を搬送方向に沿って搬送可能な刺繍枠搬送手段と、
    撮影装置が生成した画像データであって、前記刺繍枠に設けられた1以上の基準標識と、当該刺繍枠に挟持された縫製対象物のうちの前記刺繍枠の内側の領域に配置された1以上の指示標識とを少なくとも含む範囲を撮影した画像データを取得する画像データ取得手段と、
    前記画像データ取得手段が取得した前記画像データに基づき、前記基準標識に対する、前記指示標識の位置及び角度の少なくとも何れかを配置データとして計算する第一計算手段と、
    前記刺繍枠に挟持された前記縫製対象物に縫目を形成可能な縫製手段と、
    前記刺繍枠に挟持された前記縫製対象物に形成する刺繍模様を特定する特定手段と、
    前記第一計算手段が計算した前記配置データに基づき、前記特定手段が特定した前記刺繍模様の前記縫製対象物上の前記位置及び前記角度の少なくとも何れかを決定する決定手段と、
    前記決定手段が決定した前記縫製対象物上の前記位置及び前記角度の少なくとも何れかに、前記刺繍模様を表す縫目を形成するためのデータである刺繍データを取得する刺繍データ取得手段と、
    前記刺繍データ取得手段が取得した前記刺繍データに基づき、前記刺繍枠搬送手段と前記縫製手段とを制御して、前記縫製対象物に前記刺繍模様を縫製する縫製制御手段と
    を備えることを特徴とするミシン。
  2. 前記第一計算手段は、
    前記基準標識が有する複数の特徴点の各々の基準に対する相対位置を取得する位置取得手段と、
    前記複数の特徴点の各々の、前記画像データ取得手段が取得した前記画像データに基づく画像である撮影画像中の位置を基準位置として検出する第一検出手段と、
    前記指示標識の、前記撮影画像中の位置を指示位置として検出する第二検出手段と、
    前記複数の特徴点の各々の前記基準位置と、前記複数の特徴点の各々の前記基準位置に対応する前記相対位置と、前記指示位置とに基づき、前記配置データを計算する第二計算手段と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記第一計算手段は、
    前記画像データに基づき、前記撮影画像中の前記刺繍枠の向きを検出し、前記複数の特徴点の各々について、前記基準位置に対応する前記相対位置を決定する対応決定手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 前記位置取得手段は、
    前記刺繍枠の種類を検出する第三検出手段と、
    前記刺繍枠の種類と前記刺繍枠に設けられた前記基準標識が有する前記複数の特徴点の各々の前記相対位置との対応を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段を参照して、前記第三検出手段が検出した前記刺繍枠の種類と対応付けられた前記相対位置を取得する相対位置取得手段とを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のミシン
  5. 前記撮影画像中に前記基準標識及び前記指示標識の少なくとも何れかが検出されなかった場合に、前記基準標識及び前記指示標識の少なくとも何れかが検出されなかったことを報知する報知手段を更に備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のミシン。
  6. 請求項1から5の何れかに記載のミシンの各種処理手段としてコンピュータを機能させるためのミシンプログラム。
  7. 撮影装置と、刺繍枠と、請求項1から5の何れかに記載のミシンとを備えたミシンシステムであって、
    前記刺繍枠は、
    前記刺繍枠搬送機構に着脱可能に装着される装着部と、
    縫製対象物を挟持可能な第一枠と第二枠とからなる挟持部であって、前記縫製対象物を挟持した状態で前記ミシンの針棒と対向する側の視認可能な位置に、前記基準標識を配置した挟持部と
    を備えており、
    前記撮影装置は、
    画像データを生成可能な撮影手段と、
    前記撮影手段を制御して、前記刺繍枠に設けられた前記基準標識と、当該刺繍枠に挟持された縫製対象物のうちの前記刺繍枠の内側の領域に配置された1以上の指示標識とを少なくとも含む範囲を撮影した画像データを生成させる撮影制御手段と、
    前記撮影制御手段が生成させた前記画像データを前記ミシンに出力する出力手段と
    を備えることを特徴とするミシンシステム。
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