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JP2014024689A - マグネシア質不定形耐火物 - Google Patents

マグネシア質不定形耐火物 Download PDF

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良子 大道
Akihiro Tsuchinari
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Abstract

【課題】 マグネシアの添加量を多くして耐食性を向上させながら、マグネシアの耐消化性も向上させ、かつ、強度にも優れたマグネシア質不定形耐火物を提供する。
【解決手段】 アルミナ粉末3〜10wt%と、チタニア粉末2〜8wt%、ジルコニア粉末2〜8wt%またはジルコン粉末3〜10wt%と、チタン酸バリウム粉末0.5〜5wt%と、リン酸ガラス粉末0.5〜3wt%とを含み、残部をマグネシア原料としたことを特徴とし、これを、水を加えて混練、成形し、乾燥させた後に焼成してなるとするのが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は製鋼炉や精錬炉などに用いられる内張り用不定形耐火物に関する。
従来、各種の炉に用いられる内張り用の不定形耐火物としては、アルミナ質や、アルミナ‐スピネル質の不定形耐火物が使用されている。
これらの不定形耐火物の主成分はほとんどがアルミナであるため、塩基度(シリカに対する石灰の比率)が約1.0以上ではアルミナと石灰又はシリカとが反応し、アルミナ‐石灰系又はアルミナ‐石灰‐シリカ系の低融点物が生成される。そのため、耐食性が低下して耐用性が低くなるという問題があった。
これを防止するために、アルミナにマグネシアを添加したアルミナ‐マグネシア質不定形耐火物が開発されるに至った。例えば、特許文献1では、アルミナ原料と、マグネシア原料を6〜12wt%と、チタニア超微粉とで形成してなるアルミナ・マグネシア質不定形耐火物が開示されている。
特開平9−183672号公報
しかしながら、上記のようなアルミナ‐マグネシア質不定形耐火物は、真空脱ガス炉や製鋼用取鍋のスラグラインなどのより塩基度の高い場所では、格段に耐用性を向上させることができないという問題がある。マグネシアには水分又は水蒸気と反応して消化する特性があり、マグネシアの添加量を多くすることができないからである。
一方、マグネシアの添加量が多いと、焼成後の強度向上や炉内での使用中の強度維持に問題がある。マグネシアの熱膨張はアルミナの約2倍であるため、使用中の熱負荷により膨張し、マグネシア粒子間の距離が大きくなり、その結果として組織が脆弱となって耐用性が伸びないからである。
そこで、本発明は、上記の問題点を解決することを課題として研究開発されたものであり、マグネシアの添加量を多くして耐食性を向上させながら、耐消化性も向上させ、かつ、強度にも優れたマグネシア質不定形耐火物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るマグネシア質不定形耐火物は、アルミナ粉末3〜10wt%と、チタニア粉末2〜8wt%、ジルコニア粉末2〜8wt%またはジルコン粉末3〜10wt%と、チタン酸バリウム粉末0.5〜5wt%と、リン酸ガラス粉末0.5〜3wt%とを含み、残部をマグネシア原料としたことを特徴とする。
これにより、チタン酸バリウム粉末の添加により強度の向上が図られるため、マグネシアの添加量を多くして耐食性を向上させることができる。また、リン酸ガラス粉末の添加により耐消化性を向上させることができ、マグネシアの耐消化性の問題も解決することができる。
ここで、前記マグネシア質不定形耐火物は、水を加えて混練、成形し、乾燥させた後に焼成してなるとするのが好ましい。
乾燥後に1400℃以上の温度で焼成することにより、さらなる強度の向上を図ることができる。
上述のように、本発明に係るマグネシア質不定形耐火物によれば、耐食性、耐消化性および強度に優れたマグネシア質不定形耐火物が実現される。すなわち、チタン酸バリウム粉末の添加により、強度を飛躍的に向上させることができ、マグネシアの添加量が多くなっても組織が脆弱になることがなく耐食性を向上させることが可能となる。また、リン酸ガラスの添加により、耐消化性も向上させることができる。
本発明に係るマグネシア質不定形耐火物につき、以下詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るマグネシア質不定形耐火物は、チタニア粉末2〜8wt%、アルミナ粉末3〜10wt%、チタン酸バリウム粉末0.5〜5wt%、リン酸ガラス粉末0.5〜3wt%、および、残部をマグネシアとし、水を加えて混練・成形した後、乾燥させることにより製造される不定形耐火物である。
主原料となるマグネシアは、融点が約2800℃と高く、高塩基性物質であるためスラグに対して優れた耐食性を示す。このため、マグネシアの成分比率を増大させると、不定形耐火物の耐食性を向上させることができる。一方、マグネシアの熱膨張率は、例えば、1500℃において約2.3%と高く、マグネシアの成分比率が大きくなると、耐用性が悪くなるという欠点がある。
この点、本実施の形態では、アルミナ粉末を添加することでマグネシアの熱膨張率を約1.8%に低下させ、不定形耐火物の耐用性の悪化を防いでいる。また、実炉において不定形耐火物を使用すると、不定形耐火物には約1400℃以上の加熱がなされることになる。アルミナ粉末が添加されている本実施形態に係る不定形耐火物は、1100℃以上に加熱されると、アルミナとマグネシアが反応し、スピネルを生成する(MgO+Al→MgO・Al)。このスピネル生成により、スピネルとマグネシアとの膨張率が異なるために不定形耐火物の組織中に微亀裂が発生し、この微亀裂が熱応力を吸収し、耐スポーリング性が向上する。なお、アルミナが3wt%未満ではスピネルの生成量が減少し、微亀裂の発生量が少なくなるので耐スポーリング性向上の効果が得られなくなる。また、アルミナが10wt%を超えて添加されると、反対にスピネルの生成量が増えすぎて、スピネル膨張による微亀裂が増え耐食性の低下をもたらすので好ましくない。
また、チタニア粉末は、実炉での使用中にスラグ成分である石灰と反応して、融点が約1950℃の高融点物であるペロブスカイトを生成する(TiO+CaO→CaO・TiO)。ペロブスカイトは、緻密な組織で、不定形耐火物の稼働面付近に膜状に生成されるため、他のスラグ成分や溶融金属の不定形耐火物の組織内への侵入を防止し、低融点物を生成しにくく、耐食性が向上する。なお、チタニアが2wt%未満では石灰との反応が不十分で、所望の効果が期待できなくなる。一方、チタニアが8wt%を超えて添加しても、コスト高を招くのみであるから好ましくない。
チタン酸バリウムは、1300℃以上の加熱で不定形耐火物の強度を高め、耐スポーリング性および耐食性の向上をもたらす効果がある。これは、1300℃以上の加熱により、チタン酸バリウムが若干の液相を生成し、これがマグネシア粒子の周りに付着してマグネシア粒子間の結合力を高めている、又は、チタン酸バリウムのチタン酸とマグネシアが反応して、チタン酸マグネシウムが生成されて強度を高めていることによるものと考えられる。なお、チタン酸バリウムの添加が0.5wt%未満では強度向上の効果が得られない。また、チタン酸バリウムは高価な原料であり、5wt%を超えて添加しても得られる効果は少ないので、費用対効果の面で望ましくないといえる。
リン酸ガラスは、耐消化性の向上に資する。リン酸とマグネシアとの反応でリン酸マグネシウムがマグネシア粒子の周囲に被膜状に生成するとともに、マグネシア粒子の周囲にガラスが付着し、熱負荷とともに溶融して耐消化性を向上させていると考えられる。なお、リン酸ガラスの添加は、0.5wt%未満では十分な耐消化性が得られず、3wt%を超えて添加すると組織がルーズになり耐食性の低下を招くので好ましくない。
ここで、本実施形態のマグネシア質不定形耐火物は、チタニア粉末2〜8wt%に替えてジルコニア粉末2〜8wt%またはジルコン粉末3〜10wt%を添加するとしてもよい。
ジルコニア粉末は、加熱温度を上げていくと単斜晶系から正方晶系に相転移する。この過程で膨張収縮によりマイクロクラックが生成する。このクラックが発生した熱応力を吸収するので、耐スポーリング性が向上する。また、ジルコニアの融点は2950℃と高いので、低融点物が生成されにくく、耐食性も向上する。なお、ジルコニアが2wt%未満ではマイクロクラックの生成量が不足し、耐スポーリング性の向上に寄与しない。また、ジルコニアは高価な原料であるため、8wt%を超えると製造コストに占める原料費が高くなるので望ましくない。
ジルコン粉末は、約1400〜1500℃で、すなわち、不定形耐火物の使用中の温度でジルコニアとシリカに乖離する。ジルコンから乖離したジルコニアは上記と同じ効果をもたらす。一方、ジルコンから乖離したシリカはマグネシアと反応し、フォルステライトを生成する(SiO+2MgO→2MgO・SiO)。フォルステライトはマグネシアより融点が低いので、耐スポーリング性を向上させる効果がある。なお、ジルコンが3wt%未満ではジルコニアの場合と同様にマイクロクラックの生成量が不足し、耐スポーリング性の向上に寄与しない。また、ジルコンが10wt%を超えるとシリカの含有量が増え、耐食性の低下を招くので、10wt%以下とするのが好ましい。
続いて、本実施形態のマグネシア質不定形耐火物の構成原料について詳細に説明する。
マグネシアは、電融マグネシア、焼結マグネシアのいずれを使用してもよい。耐食性の観点から純度は95wt%以上が望ましく、粒度は5mm以下のものを使用する。
アルミナ粉末は、純度が98wt%以上、平均粒子径が1mm以下、好ましくは50μm程度のものを使用する。焼結アルミナまたは仮焼アルミナを使用することができるが、使用時の反応性を高める点で仮焼アルミナが好ましい。
チタニア粉末は、純度が90wt%以上、粒度が平均粒子径30μm以下であるものを使用するのが望ましい。
ジルコニア粉末は、純度が98wt%以上の1mm以下のものであれば使用可能であるが、粒度は平均粒子径50μm以下であることが望ましい。
ジルコン粉末は、1mm以下のジルコンサンド等を使用できるが、ジルコニア含有量は62wt%以上、粒度の平均粒子径が50μm以下のジルコン粉末を使用するのが好ましい。
チタン酸バリウムは、純度が96wt%以上、粒度が平均粒子径5μm(20μm以下のものを90%以上含むもの)のものを使用することが望ましい。
リン酸ガラスは、リン酸、酸化ナトリウムおよびアルミナを主成分とした粉末を使用する。
また、本実施形態のマグネシア質不定形耐火物では、さらに、不定形耐火物で一般に使用されるシリカフラワーやアルミナセメントなどの原料を使用することも可能である。
本実施形態のマグネシア質不定形耐火物は、上記の構成に、分散剤としてヘキサメタリン酸ソーダを添加し、水を加えて混練・成形した後、乾燥させることにより製造される。なお、本実施形態のマグネシア質不定形耐火物は、その使用中における加熱により十分な強度と耐消化性を得ることができるが、乾燥後に1400℃以上の温度で焼成しておくことで、さらなる強度の向上を図ることもできる。
次に本発明に係るマグネシア質不定形耐火物について、実施例および比較例を挙げてより詳細に説明する。以下の実施例および比較例は、各構成原料の添加量が不定形耐火物の特性に及ぼす影響を示すものである。
以下の各表に示す配合割合で原料を調合し、水を約6wt%加えて万能ミキサーで混練し、40×40×160mmの形状に振動をかけながら鋳込み成形した。成形体を約2日間自然放置し、その後120℃で24時間乾燥させた。また、乾燥後の製品を1400℃で3時間焼成した製品も得た。乾燥後の乾燥品と焼成後の焼成品とを所定の大きさに切断し、実施例と比較例とについて以下を評価項目とする試験を行い、特性を調査した。その他の比較品として、アルミナ質およびアルミナ−マグネシア質(MgO含有量4wt%)不定形耐火物も用いた。
評価項目として、
(1)JIS規格に基づいて、乾燥品および焼成品について見掛比重、見掛気孔率および嵩比重を測定した。
(2)試験片を40×40×40mmに切断して、アムスラー圧縮試験機で圧縮強度を測定した。
(3)耐スポーリング試験は、1200℃の温度に保持した電気炉に、40×20×80mmの大きさの試験片を素早く入れ、15分間加熱した後、取り出して水中で冷却した。この操作を1サイクルとして、8サイクル繰り返して行い、何サイクルで試験片に亀裂が発生するか、また、何サイクルで試験片に剥離が生じるかという点で評価を行った。この試験も、乾燥品と焼成品の両方について行った。
(4)耐食性は、回転侵食試験機を用いて評価した。鋼:スラグ(塩基度3.0)=6:4の侵食材を投入し、これを30分ごとに入れ替える操作を合計4回行い、合計侵食時間を2時間とした。試験温度は1650〜1700℃の範囲で行った。結果は、アルミナ−マグネシア質キャスタブルの溶損量を100として、指数(溶損指数)で表示した。この試験では、溶損指数が小さいほど溶損量が少ない、つまり、耐食性が優れていることを意味する。この試験も、乾燥品と焼成品について行った。
(5)耐消化性は、オートクレーブで0.3MPaの圧力を5時間かけた後の重量増加率で評価した。この試験も乾燥品と焼成品について行った。
表1は、チタニア粉末の添加量が不定形耐火物の特性に及ぼす影響を示すものである。なお、表中のAlはアルミナ質キャスタブル、Al−MgOはアルミナ−マグネシア質キャスタブルを意味するものであり、各表の溶損指数はAl−MgOの溶損量を100としたものである。
チタニア添加量が増すごとに焼成後の強度(圧縮強さ)が増加する傾向が見られた。これは焼成により、マグネシアとチタニアが反応し、チタン酸マグネシウムを生成して組織が緻密になったからといえる。
耐食性はチタニアの増加に伴って向上していることがわかる。なお、比較例のAlおよびAl−MgOでは、塩基度が3.0と高いため、スラグ中のCaOとAlとが反応して低融点物であるゲーレナイト(2CaO・Al・SiO)が生成し、耐食性が低下している。また、チタニア添加量が2wt%未満の比較例1では石灰との反応が不十分で、耐食性向上の効果が得られておらず、8wt%を超えて添加した比較例2も、コスト高を招くのみで耐食性向上の効果が得られていないことがわかる。
また、耐スポーリング性は、実施例1〜3で示されるように、チタニア添加量の増加とともに向上した。これはチタン酸マグネシウムと、アルミナおよびマグネシアの反応で生成されるスピネルとが固溶体を生成し、細長い気孔ができ、この気孔が熱応力を吸収するからである。しかし、チタニア添加量が2wt%未満の比較例1ではチタン酸マグネシウムの生成量が少なく、細長い気孔の生成量も少なくなるため、耐スポーリング性の向上が見られない。一方、チタニア添加量が8wt%を超えると、チタン酸マグネシウムとスピネルの固溶体の他に遊離したチタン酸マグネシウムも増加してしまう。この遊離したチタン酸マグネシウムが耐スポーリング性の低下を招くため、比較例2では耐スポーリング性が劣る結果になっている。
以上のことから、チタニア粉末の添加量は2〜8wt%が好ましいことがわかる。
表2は、アルミナ粉末の添加量が不定形耐火物の特性に及ぼす影響を示すものである。
乾燥品の耐スポーリング性は、アルミナ添加量の増加とともに向上している。アルミナ添加量が増加すると熱膨張率が減少し、熱応力が低下するためである。一方、アルミナ添加量が増加すると耐食性は低下している。これはスラグ成分の塩基度が3.0と高いため、アルミナとスラグ中の石灰が反応し、低融点物を生成するからである。
焼成品の耐スポーリング性もアルミナ添加量の増加とともに向上している。これはアルミナとマグネシアとの反応でスピネルが生成され、微亀裂が発生したからである。この微亀裂はアルミナ添加量が増加するにつれて増え、過度に発生すると強度の低下と耐食性の低下を招く。
アルミナの添加量が少ない比較例3は、実施例4〜6と比べて明らかに耐スポーリング性の点で劣っている。また、アルミナの添加量が多い比較例4は、アルミナが多い分、耐スポーリング性の効果はあるものの、強度と耐食性の低下が見られる。
よって、アルミナ粉末の添加量は3〜10wt%が好ましいことがわかる。
実施例7〜9では、ジルコニアの添加が増えるに伴って耐スポーリング性向上の効果が見られ、耐食性も向上している。耐食性の向上はジルコニアの融点が約2950℃と高いため、低融点物が生成されにくいためである。
乾燥品における耐スポーリング性向上の理由はアルミナ添加量が8wt%と多く、かつ、ジルコニアの添加量を増やすと、熱膨張率の大きいMgO添加量がその分減少するためである。
焼成品ではジルコニアの相転移による膨張収縮により、不定形耐火物の組織内にマイクロクラックが生成されるため、耐スポーリング性向上の効果が見られる。ただし、このマイクロクラックは、ジルコニア添加量の増加と比例して生成され、過度の添加は強度の低下を招くことになる。また、ジルコニアは高価な原料であることからも、多量の使用は避けるべきといえる。
ジルコニア添加量の少ない比較例5は、マイクロクラックの生成量が不足し、耐スポーリング性の向上に寄与していないことがわかる。また、ジルコニア添加量の多い比較例6では、マイクロクラックの生成量が過度になって強度の低下を招いている。
このことからみて、ジルコニア粉末の添加量は2〜8wt%とするのが好ましいと言える。
表4は、ジルコン粉末の添加量が不定形耐火物の特性に及ぼす影響を示すものである。
ジルコン粉末の添加量が少ない比較例7に比べて、実施例10〜12ではジルコン粉末の添加量が増えると耐スポーリング性が向上している。一方、添加量が一定量を超えると耐食性と強度が低下している。耐スポーリング性向上の要因はジルコンの乖離によって発生したジルコニアの相転移によるマイクロクラックの生成の影響で、マイクロクラックが発生した熱応力を吸収するからである。また、同じく乖離により生成されるシリカの影響で熱膨張率が低下し、熱応力が発生しにくいことも要因である。反対にシリカの生成によって、アルミナ−マグネシア−シリカ系の低融点物が生成されるので、10wt%を超えて添加されている比較例8では耐食性が低下している。
このことからみて、ジルコン粉末の添加量は、3〜10wt%とするのが好ましいことがわかる。
チタン酸バリウムの添加によって、焼成品の強度が飛躍的に向上する。他の実施例においても乾燥品と焼成品との強度の差は明らかであるが、実施例13〜15における差は著しいことがわかる。これはチタン酸バリウムがマグネシア粒子の周囲に被膜の状態で存在し、これが焼成によって液相を生成しマグネシア粒子間の結合力を強めているからと考えられる。ただし、比較例9に示すように、0.5wt%に満たない添加量では、あまり効果が得られない。また、比較例10のように5wt%を超える添加量とすれば、乾燥品における強度や耐スポーリング性、耐食性の悪化がみられる。チタン酸バリウムは高価な原料であることを加味すると、チタン酸バリウム粉末の添加量は、0.5〜5wt%とするのが好ましい。
リン酸ガラスの添加量増加に伴って、重量増加率は下がり、耐消化性が良化していることが示されている。また、耐スポーリング性が向上する一方で、耐食性の低下が見られる。
リン酸ガラスの添加量が0.5wt%に満たない比較例11では十分な耐消化性が得られない。実施例16〜18では、耐消化性は十分な効果を発揮する。リン酸ガラスを添加していくと、強度の低下を招き、脆弱な組織となってしまう傾向にあり、3wt%を超える比較例12では、組織がルーズになり過ぎて、耐食性の悪化も招くことになる。
よって、リン酸ガラスの添加量は0.5〜3wt%とするのが望ましい。
以上、本発明に係るマグネシア質不定形耐火物について、各実施の形態および実施例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
本発明に係るマグネシア質不定形耐火物は、製鋼用転炉および取鍋、真空脱ガス炉、焼却されて発生した焼却灰を溶融処理する灰溶融炉、ガス化溶融炉、廃液焼却炉、アルミニウム精錬炉、亜鉛精錬炉、銅精錬炉などの非鉄産業炉等に使用する内張り用耐火物として利用することができる。

Claims (2)

  1. アルミナ粉末3〜10wt%と、チタニア粉末2〜8wt%、ジルコニア粉末2〜8wt%またはジルコン粉末3〜10wt%と、チタン酸バリウム粉末0.5〜5wt%と、リン酸ガラス粉末0.5〜3wt%とを含み、残部をマグネシア原料としたことを特徴とするマグネシア質不定形耐火物。
  2. 前記マグネシア質不定形耐火物は、水を加えて混練、成形し、乾燥させた後に焼成してなる
    ことを特徴とする請求項1記載のマグネシア質不定形耐火物。
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