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JP2014023680A - 被検体情報取得装置およびその制御方法ならびに提示方法 - Google Patents

被検体情報取得装置およびその制御方法ならびに提示方法 Download PDF

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Abstract

【課題】音響波を用いた被検体の測定において、被検体の保持状態に関する情報と、測定時間との関係を提示できるようにする。
【解決手段】被検体から伝播する音響波に基づいて被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置であって、被検体を保持する保持手段と、被検体から伝播する音響波を受信する探触子と、保持手段による被検体の保持状態と、探触子による音響波の取得時間の関係を表す情報を出力する出力手段とを有する被検体情報取得装置を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被検体情報取得装置、当該被検体情報取得装置の制御方法、当該制御方法を実行するためのプログラム、および、提示方法に関する。
超音波測定においては、探触子で超音波ビームを形成して被検体に送信し、被検体内部で反射された超音波エコーを受信することにより、被検体内の組織の情報を得る。また、被検体に対して超音波ビームを2次元的に走査しながら測定を繰り返すことで、被検体内の組織の形態情報を3次元画像化できる。
超音波測定は、乳がん診断での腫瘤の特異性(例えば、乳がん、嚢腫、固形物などの違い)の検出、小葉癌の検出、腫瘤の深さ方向での位置や形態の認識などの有用性が示されており、診断装置に広く普及している。超音波測定は、生体内の組織を非侵襲で測定できるため、患者の負担が軽く、乳がんのスクリーニングや早期診断で活躍している。
一般に乳がん診断では、触診や複数のモダリティでの画像診断の結果に基づいて、総合的に良悪性診断が行われる。特許文献1には、乳がん診断の精度を高めるために、被検体の状態を同一に保ったまま複数のモダリティによる画像診断を行う技術が開示されている。特許文献1の技術では、超音波測定とX線マンモグラフィーを組み合わせて、被検体の状態を同一に保ったまま超音波画像と放射線画像を取得する。そして、それぞれの優位性を組み合わせた画像診断を行おうとしている。
また特許文献2には、超音波画像と、乳がんによる活発な血管新生を可視化する光音響画像とを、被検体の状態を同一に保ったまま取得する技術が開示されている。
なお、特許文献1および特許文献2に開示されている技術は、共に、保持板により被検体を保持して測定を行い、診断画像を得る。そのため、被検体に対して保持板による圧力が加わることは避けられず、被検者の負担となる。
また、特許文献1および特許文献2に開示されている技術は、共に、探触子を2次元的に走査することで、3次元画像を生成するためのデータを取得しており、その間ずっと被検体に対する保持が行われている。その結果、被検者にとっては、保持による力と走査に要する時間の掛け合わせで負担を負うことになる。
特許文献3には、画像生成に必要な超音波データの取得に要する測定時間を、データの取得開始前に被検者に対して提示する技術が開示されている。これによれば、事前に被検者に対して測定時間を提示することで、測定に臨む被検者の不安を緩和できる。例えば被検者が測定中に息を止める必要がある場合、どれくらいの時間息を止めるかを認識可能とすることにより、不安が緩和される。
特開2009−082449号公報 特許第4448189号公報 特開2008−092970号公報
保持板などの保持機構により被検体を保持して、3次元画像を生成するのに必要な超音波信号または光音響信号を取得する被検体情報取得装置について検討する。
かかる装置において保持距離を短くすることは、被検体内部からの信号を効率よく検出できるため、画像診断の観点では好適である。さらに、保持距離を短くすることは、測定時間を短縮する点でも効果がある。例えば超音波エコーを用いる装置においては、保持距離を短くすることにより、例えばフォーカスの段階数を減らせるので、測定時間を短縮できる。
測定中は継続的に被検体が圧迫されることや、被検者が姿勢を維持する必要があることを考えると、測定時間はできるだけ短いことが好ましい。すなわち、測定時間の短縮は、被検者にとって負担を軽くする要因である。
しかし一方では、保持距離を短くすることにより被検体に対する保持力が強くなる。この点では、保持距離の短縮は、被検者にとって負担を重くする要因と言える。
これまで述べたように、保持距離は、保持の力と測定時間の両者に対して影響を及ぼす。すなわち、保持距離を短くした場合には保持力が強くなるものの測定時間を短縮でき、保持距離を長くする場合には保持力を緩和できるものの測定時間が長くなってしまう。測定時の被検者の負担は、このように、保持力と測定時間の掛け合わせで決まる。
保持力による負担と測定時間による負担のどちらを許容できるかは被検者によって異なるため、被検者の負担に配慮した測定を実施するためには、どちらを優先するかを、検査者または被検者が判断できることが好ましい。ある被検者は保持力が強くなっても早く測定を終えて欲しいかも知れず、別の被検者は測定が長くなっても保持力を弱めて欲しいかもしれない。そして、被検者がいずれかを選択するためには、保持力と測定時間とが理解しやすい形で提示されている必要がある。
また、装置のユーザ(検査者)が保持操作を行うために被検者とコミュニケーションを図る際にも、このような情報を提示されていることは役に立つ。
従来、このような保持距離の違いによって生じる、保持力の強弱と測定時間との差分との関係を提示する方法がないという第一の課題があった。
また従来、被検者にとって最適な保持設定から少しずれた保持設定により測定が行われる可能性がある、という第二の課題があった。例えば、装置としてあと0.1mm保持距離を短く設定すれば測定時間を短縮でき、また被検者としても0.1mm保持距離を短くしてもその保持力を許容できた、というような場合などである。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、音響波を用いた被検体の測定において、被検体の保持状態に関する情報と、測定時間との関係を提示できるようにすることを目的とする。
本発明は以下の構成を採用する。すなわち、被検体から伝播する音響波に基づいて当該被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置であって、被検体を保持する保持手段と、前記被検体から伝播する音響波を受信する探触子と、前記保持手段による前記被検体の保持状態と、前記探触子による音響波の取得時間の関係を表す情報を出力する出力手段と、を有することを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、被検体を保持する保持手段と、前記
被検体から伝播する音響波を受信する探触子とを有し、前記音響波に基づいて前記被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置の制御方法であって、前記保持手段による前記被検体の保持状態を取得するステップと、前記保持状態と、当該保持状態における前記探触子による前記音響波の取得時間との関係を出力するステップと、を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法である。
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、保持手段により保持された被検体から伝播する音響波を探触子により受信して当該被検体内の情報を取得する装置において、前記保持手段による被検体の保持状態と、当該保持状態における前記探触子による音響波の取得時間との関係を表す情報を提示するステップを有することを特徴とする提示方法である。
本発明によれば、音響波を用いた被検体の測定において、被検体の保持状態に関する情報と、測定時間との関係を提示できるようになる。
第1の実施形態における装置構成の概略図。 第1の実施形態における超音波取得の概念図。 第1の実施形態における短い保持距離での超音波取得の概念図。 第1の実施形態における提示方法の概念図。 第1の実施形態における処理を示すフローチャート。 第2の実施形態における超音波取得の概念図。 第2の実施形態における短い保持距離での超音波取得の概念図。 第2の実施形態における提示方法の概念図。 第2の実施形態における処理を示すフローチャート。 第3の実施形態における装置構成の概略図。 第3の実施形態における光音響波取得の概念図。 第3の実施形態における短い保持距離での光音響波取得の概念図。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明の被検体情報取得装置は、探触子を用いて、被検体内で発生又は反射し、被検体内を伝搬した音響波を受信する。本発明の被検体情報取得装置には、被検体に超音波を送信し、被検体内部で反射したエコー波を受信して、被検体情報を取得する超音波エコー技術を利用した装置を含む。さらに、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波(典型的には超音波)を受信して、被検体情報を取得する光音響効果を利用した装置を含む。
前者の超音波エコー技術を利用した装置の場合、被検体情報とは、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違いを反映した情報である。後者の光音響効果を利用した装置の場合、被検体情報とは、光照射によって生じた音響波の発生源分布や、被検体内の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や、吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度情報分布を示す。物質の濃度情報分布とは、例えば、酸素飽和度分布や酸素化・脱酸素化ヘモグロビン濃度分布などである。これら被検体情報に適切な処理を施すことで、ディスプレイに表示するための画像データを生成できる。
本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。例えば、被検体内部に近赤外線等の光を照射した時に、被検体内部で発生する音響波が挙げられる。光音響効果により発生した音響波のことを、光超音波または光音響波と呼ぶ。探触子は、被検体内で発生又は反射した音響波を受信する。
以降、超音波(光音響波)を受信した探触子から出力されるアナログの電気信号や、当該電気信号に増幅やデジタル変換処理を施したデジタルの電気信号を超音波信号(光音響信号)と記載する。また、超音波信号(光音響信号)に各種の信号処理を施したデータを超音波データ(光音響データ)と記載する。超音波データ(光音響データ)は、信号処理の各段階で得られるデータと、ディスプレイに表示するための画像データを含むものと捉えることができる。
<第1の実施形態>
第1の実施形態における被検体情報取得装置は、探触子を2次元的に走査しながら、一定の信号取得ピッチに従って超音波走査を繰り返すことで、3次元超音波画像の生成に必要な超音波信号を取得する。本実施形態の被検体情報取得装置は超音波エコー技術を利用したものであり、超音波測定装置と呼ぶことができる。
ここで、超音波走査という言葉は、探触子で生成した超音波ビームにより被検体を電子走査し、1つのBモードの断層画像データを生成するための超音波信号を取得する処理を示すものとする。また、測定という言葉は、探触子の2次元的な走査を完了し、3次元の超音波画像の生成に十分な超音波データが取得されるまでの処理を示すものとする。なお、このような探触子の走査のことを、電子走査と対比する上で機械走査とも呼ぶ。
図1は、本実施形態における超音波測定装置の装置構成の概略図である。
超音波測定装置は、被検体101を保持する保持板102、保持を測定に好適な状態に制御する保持制御部103を含む。超音波測定装置はまた、超音波の送受信を行う探触子104、探触子104に駆動信号を印加する超音波送信部105、探触子104が検出した信号を増幅してデジタル信号に変換する超音波受信部106を含む。超音波測定装置はまた、検出した超音波信号から受信フォーカス処理を行う信号処理部107、探触子位置を変更する移動機構108、保持板102上での探触子の2次元走査を制御する移動制御部109を含む。超音波測定装置はまた、超音波ビームの形状や超音波ビームの走査(電子走査)を制御する走査制御部110、操作部112を介したユーザ(主に医療従事者などの検査者)の各種操作を受け付けて測定動作に必要な制御情報を生成する制御部111を含む。超音波測定装置はまた、ユーザが装置に対して指示や測定に必要なパラメータを入力するための操作部112、超音波データから超音波画像を構成する画像構成部113を含む。超音波測定装置はまた、制御部111が算出した測定パラメータに基づいて測定時間を算出する測定時間算出部114、超音波画像に加えて測定時間などの測定支援情報を表示する表示部115を含む。
測定対象となる被検体101は、乳腺科における乳がん診断では乳房である。
保持板102は102Aと102Bの2枚1対で構成され、保持制御部103により測定に好適な間隔である保持距離に制御される。保持板102Aと102Bを区別する必要がない場合はまとめて保持板102と表記する。保持板102で被検体101を挟んで固定することで、被検体101が動くことによる測定誤差を低減することができる。なお、超音波の伝播経路に位置する保持板102Bは、探触子104との音響整合性が高い部材であることが好ましい。また超音波測定用のジェルシートなどの音響整合材を使用することで、探触子104と保持板102Bの音響的結合を強くすることができる。保持板は、本発明の保持手段に相当する。
保持制御部103は、被検者への負担や目標とする測定深度に合わせて、被検体101の保持状態を超音波測定に好適に調整する。また、ユーザがロック機構(不図示)のスイッチを入れることにより、保持状態を固定することができる。そして測定の間は、被検者からの申告やユーザによる保持解除操作がある場合を除いて、被検体101の保持状態が一定に保たれるように制御する。また、被検体101の保持情報(保持距離と保持力)を制御部111に出力する。乳房内の嚢腫の大きさや硬さなどの被検体101の状態により、被検者の負担に配慮して保持状態が設定される。
探触子104は、複数の音響素子が配列されている。音響素子が被検体101に対して超音波ビームを送信し、被検体内部で反射した超音波エコーを受信して電気信号に変換し、超音波信号を得る。探触子はどのような方式のものでも構わない。一般的な超音波測定装置で使用されている圧電セラミックス(PZT)を利用した変換素子が使用できる。また、静電容量型のCMUT(Capacitive Micromachined UltrasonicTransducer)も使用できる。さらに、磁性膜を用いるMMUT(MagneticMUT)、圧電薄膜を用いるPMUT(PiezoelectricMUT)なども使用できる。
また、探触子を2次元平面状の保持板102Bに接触させて2次元走査しながら測定を行う場合、平行な超音波ビームで均一な画質の断層画像を生成可能な、リニア走査型の探触子が好ましい。
なお、本実施形態では、音響素子が直線状に一列に配列した一次元探触子を使用して超音波走査を行う例について説明する。ただし本発明の適用はそれに限られず、2次元状に配列されたアレイ型探触子(1.5D探触子も含む)を使用してもよい。
走査制御部110は、探触子104を構成する各々の音響素子に印加する駆動信号を生成して、送信される超音波の周波数及び音圧を制御する。また、超音波ビームの送信方向を設定し、送信方向に対応する送信遅延パターンを選択する送信制御機能と、超音波エコーの受信方向を設定し、受信方向に対応する受信遅延パターンを選択する受信制御機能とを備えている。
送信遅延パターンは、複数の音響素子から送信される超音波によって所定の方向に超音波ビームを形成するために、それぞれの音響素子に対する駆動信号に与えられる遅延時間のパターンである。また受信遅延パターンは、複数の音響素子によって検出される超音波信号から任意の方向の超音波エコーを抽出するために、それぞれの音響素子により得られた超音波信号に与えられる遅延時間のパターンである。これらの送信遅延パターンと受信遅延パターンは図示しない記憶媒体に記憶されている。
超音波送信部105は、走査制御部110によって生成された駆動信号を、探触子104を構成する個々の音響素子に対して印加する。
超音波受信部106は、複数の音響素子が検出したアナログ信号を増幅する信号増幅部と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部から構成され、アナログ信号をデジタル信号に変換する。
信号処理部107は、走査制御部110により選択された受信遅延パターンに基づいて、超音波受信部106から出力された超音波信号それぞれに対応する遅延時間を決定し、信号を加算することにより受信フォーカス処理を行う。この処理により焦点が絞り込まれた超音波データが生成される。
また信号処理部107は、測定深度を問わず均一なコントラストをもつ断層画像を生成
するために、超音波の反射位置の深度に応じて増幅利得を増減するTGC(TimeGainControl)制御などを行う。なお、超音波データは、最終的にBモードの断層画像を生成できるような形式であれば良い。例えば、ローパスフィルタなどで包絡線検波処理を施した包絡線データ、その包絡線データに対して、対数圧縮やゲイン調整などの処理を行ったデータなどを用いることができる。
移動機構108は、モータなどの駆動部とその駆動力を伝達する機械部品から構成され、移動制御部109の指示を受けて保持板102B上で探触子104を移動させる。また探触子104の位置情報を検出して移動制御部109へ出力する。
移動制御部109は、移動機構108を制御して、探触子104を保持板上で2次元走査する。探触子104が所定の位置に達すると、走査制御部110に対して超音波送受信を指示する。探触子104を被検体101に対して2次元走査することで測定領域が拡がり、例えば乳がん診断ではフルブレストでの超音波データの取得が可能となる。
制御部111は、操作部112からの超音波測定の開始指示や中断などの各種要求を受け付けるとともに、超音波測定装置全体を管理、制御する。また制御部111は、測定領域や超音波信号の取得ピッチなどの測定パラメータと、保持制御部103からの保持情報に基づいて、様々な制御情報を生成する。そして制御部111は、操作部112から入力される測定位置や測定領域、信号取得ピッチなどに従って、測定の制御情報を移動制御部109に、保持調整操作の制御情報を保持制御部103に出力する。
制御部111はさらに、超音波ビームのフォーカス設定や送受信本数などの制御情報を走査制御部110に出力する。制御部111はさらに、保持距離に適応した測定深度方向の制御情報などの、測定時間の算出に必要な情報を時間算出部114に出力する。
制御部111はさらに、移動制御部109への測定開始や中断の指示や保持距離情報の伝達などを行う。
操作部112からの超音波測定の開始指示と共に、超音波信号の取得ピッチなどの超音波画像の構成に関する情報が、制御部111から指定される。ユーザからの入力を受けて指定されてもよいし、目的とする3次元超音波画像のボクセルピッチから決定される形でもよい。
画像構成部113は、超音波データに基づいて、被検体内の組織情報を示す3次元の超音波画像を構成する。ここで超音波画像とは、表示部に画像を表示するための画像データを含む。また、画像データに輝度の調整や歪補正、注目領域の切り出しなどの各種補正処理を適用しても良い。またユーザによる操作部112の操作に従って、画像構成のパラメータや画質の調整を行う。なお、超音波信号の取得ピッチを超音波画像のボクセルピッチ(解像度)に一致させておけば、余分な補間処理を省いて、検出した超音波信号を有効に利用することができる。
測定時間算出部114は、制御部111からの情報に基づいて測定時間を算出する。測定時間の算出に用いる情報は、測定領域、探触子104の移動速度、主走査及び副走査の回数など2次元走査の制御に関する情報、および、超音波ビームのフォーカス設定などの測定深度方向の制御に関する情報である。なお、これに限らず、2次元走査に要する時間と、超音波走査に要する時間を算出可能な情報であれば、どんな情報でも使用できる。
そして測定時間算出部114は、ユーザが被検体101の保持の状態を変更した結果生じる測定時間の差分を算出する。詳細は後述する。
表示部115は、画像構成部113により構成された3次元の超音波画像や、測定時間
算出部114により算出された測定時間の差分を表示する。詳細は後述する。
操作部112は、ユーザが、測定位置や測定領域の指定、取得ピッチなど超音波画像の解像度に関わる情報の指定、保持調整など装置の操作、超音波画像に対する画像処理操作を行うための入力装置である。
以上の構成を有する超音波測定装置において、被検体の保持調整を行なっているときにその操作により生じる測定時間の差分を提示することができる。測定時間の差分とは、現在の保持状態での測定時間を基準として、保持状態を変更したときの測定時間の増減を指す。ただし、現在の保持状態と異なる複数の保持状態における測定時間をそれぞれ求めることや、被検体を保持していない状態において、複数の保持状態における測定時間を求めることも可能である。
なお、本実施形態では、超音波の送受信から画像構成までの機能を一体化する装置について説明したが、超音波の取得までの機能と、操作機能及び表示機能とを、別々のハードウェアとしても構わない。その場合、本発明は、ユーザに測定時間の差分を提示する提示装置、あるいは提示方法として実現できる。
図2は、本実施形態における超音波データの取得方法を説明する概念図である。図2(a)は保持された被検体101を、探触子104が接する保持板102Bの側から見た正面図、図2(b)はその側面図をそれぞれ示している。
符号202A、202B、202C、202Dは各y軸位置(探触子の副走査位置)における、探触子104の移動軌跡(主走査)を示しており、この2次元走査の結果、超音波データ201が取得される。すなわち、符号201は、得られた超音波データを模式的に示したものである。超音波データ201は、被検体101に対向する領域と、被検体101から外れた領域と、から取得された超音波信号に由来する。なお、超音波信号201の取得領域、すなわち測定領域は操作部112を介してユーザが任意に設定することができる。
また、符号203A、203B、203C、203Dは超音波信号201を構成する部分データを示しており、1回の主走査により取得される超音波信号群である。
符号204は、部分データ203A〜203Dを取得するための超音波ビームの電子走査幅を示している。
探触子104は直線状に整列された複数の音響素子により構成されており、その中の連続して並んだ一部の音響素子群を用いて、図2(b)のように超音波ビーム211、212および213が形成される。そして、超音波ビーム211、212、213を順次に送信しながら電子走査方向214に沿って音響素子群を素子単位で移動させていくように電子走査が行われる。1回の超音波走査により、探触子104の幅と同じ一つのBモード断層画像を生成するのに必要な超音波信号を取得することができる。
本実施形態では、x−y平面のある位置で超音波信号取得する際に、フォーカス設定の異なる3本の超音波ビーム(211、212、213)の送受信を行っている。これは、測定深度205(被検体101の保持距離と保持板102Bの厚さの和)が長い場合に、画像の解像度を高くするためである。符号211は、例えば、浅い位置(例えば探触子表面から20mm程度)にフォーカスを設定したとき、その前後で最大15mm程度を測定するのに好適な超音波ビームである。また符号212は、例えば、中間的な位置(例えば探触子表面から40mm程度)にフォーカスを設定したとき、その前後で最大20mm程度を測定するのに好適な超音波ビームである。そして符号213は、例えば、深い位置(
例えば探触子表面から70mm程度)にフォーカスを設定したとき、その前後で最大25mm程度を測定するのに好適な超音波ビームである。
図2(b)ではフォーカスを3段階としているが、さらに解像度が高く鮮明な診断画像を得るために、より細分化してもよい。また、ユーザが段階数を直接指定してもよいし、ユーザにより指定された超音波画像の画質に応じて段階数を決定する方式でもよい。なお、各フォーカス設定で得られる複数の超音波信号から、それぞれの信号精度の有利な領域を使用して画像を構成する。
超音波データ201の取得は、主走査と副走査を繰り返して行われる。主走査とは、移動軌跡202A〜Dに沿って、探触子104をx軸方向に移動させながら所定の取得ピッチに従って超音波信号を取得することである。副走査とは、探触子をy軸正方向に一定の距離だけ移動することである。このような探触子の移動は機械走査とも記載する。
また、2次元的走査は、超音波データ201が画像診断に好適なピッチで整列するように制御される。x軸、y軸、z軸の各軸のデータピッチは、例えばx軸方向のピッチは超音波信号の取得間隔、y軸方向のピッチは探触子104の超音波ビームの電子走査間隔、そしてz軸方向のデータピッチは超音波エコーのサンプリング周波数に基づき制御される。
主走査における探触子104の移動速度は、細かく定期的な超音波信号の取得ピッチに対して一定に制御されるものとする。ただし、細かいピッチでの超音波信号の取得に対して探触子104の加減速を制御する方法や、超音波信号の取得時には探触子104を停止するような方法でも構わない。
探触子104が一定の速度で連続的に移動している中で、信号取得ピッチに従って超音波信号の取得を繰り返すためには、探触子104が信号取得ピッチを移動する間に1回の超音波信号取得を完了しなければならない。換言すれば、探触子104の移動速度は、信号取得ピッチと、超音波信号取得に要する時間と、により制限される。
また、保持距離が長い場合、フォーカスの深さが異なる複数の超音波ビームを用いて測定を行うため、超音波信号取得に要する時間がより長くなる。そのため、探触子104の移動速度が遅くなり、全体の測定時間が長期化するため、被検体101の負担が増大する。
続いて、浅い保持距離に適応した超音波データの取得方法を、図3を用いて説明する。図2と同様、図3(a)は保持された被検体101を、探触子104が接する保持板102Bの側から見た正面図、図3(b)はその側面図を示している。
本図における測定深度305は、図2における測定深度205より短い。ここで、被検者の負担に配慮して、保持距離を45mm程度に設定したとする。保持板102Bの厚さがおよそ5mmとすれば測定深度305は50mm程度となる。この測定深度であれば、2段階のフォーカスで、十分な精度の超音波データを取得できる。
311のように2段階のフォーカスで測定を行う場合、図2と比較して超音波ビームの本数が半減するため、超音波信号の取得時間を大幅に短縮することができる。加えて、信号取得ピッチと超音波信号の取得時間との関係から、探触子104の移動速度を速くすることができ、結果、全体の測定時間、すなわち被検体101が負担を受ける時間も短縮することができる。
以上のように、フォーカス設定と、探触子104の移動速度を制御することで、保持距離に応じて測定時間を短縮できる。
図4は、保持調整により生じる測定時間の差分の提示方法を説明する概念図である。図4(a)は測定深度と測定時間との関係の例を示す。図4(b)は保持距離により生じる測定時間の差分の提示の例を示す。
図4(a)にあるように、被検体の保持距離、すなわち測定深度が調整されると、一定の値を境として、測定時間は不連続に変化する。なお、保持距離以外のパラメータ(測定領域や信号取得ピッチなど)は同一とする。例えば、測定深度60.5mmでは測定時間がおよそ12分となるのに対して、測定深度保持距離59.5mmではおよそ7分となる。この差を提示することにより、被検者の負担を考慮する材料を提供できる。その結果、保持力の緩和と測定時間の短縮のどちらを優先するかを、ユーザ、または被検者自身が判断できる。
図4(b)は表示部115上での表示例である。表示部には、測定に関する情報を示す測定情報領域401と、被検体101の保持状態を撮影する観察カメラの観察画像領域402が含まれる。
測定情報領域401は、被検者IDなどの被検者に関する情報を示す被検者情報領域401A、現在設定されている測定領域や保持距離などの数値情報を示す測定パラメータ領域401B、装置状態や差分情報を示す装置情報領域401Cを備える。
なお、ユーザは操作部112を介して、被検者や測定に関する情報の入力や、観察画像領域402上での測定領域411の指定ができる。
測定パラメータ領域401Bには、保持調整開始時点までに設定された測定パラメータおよび、保持状態を調整する前の仮設定の保持距離55.5mm(測定深度60.5mm)に基づいて算出された測定時間(12分)が表示されている。
装置情報領域401Cには、「保持調整中」との表示がなされている。これは、測定開始前にユーザによる装置操作が行われていることを示す。さらに、保持調整により変動する保持距離の数値と、保持調整により生じる測定時間の差分が表示される。
図4では、測定パラメータ領域401Bに見られるように、保持調整前の保持距離が50.5mmである。これに対し、装置情報領域401Cに見られるように、保持調整中のある時点での保持距離が54.5mm(測定深度59.5mm)であり、現在の保持状態で調整を確定すると測定時間を5分前後短縮できる。なお、これらの表示は、ユーザによる保持調整の操作に連動してリアルタイム更新されることが好ましい。
以上のように、保持調整により生じる測定時間の差分をユーザ操作と連動して提示することで、保持状態変更による保持距離(保持力)及び測定時間の変化の関係性を確認しやすくなる。引いては保持力と測定時間の掛け合わせで定まる被検者の負担を、ユーザまたは被検者自身が確認し、最適な設定をできるようになる。
なお、測定時間の差分の際には、表示部への表示に限られず、音声通知、発光(点滅間隔や色)、振動など、どのような方式でも良い。
図5は、図2〜図4で説明した本実施形態における処理を示すフローチャートである。
ステップS501では、ユーザが、測定に先立って、操作部112を介して保持操作を行い、被検体101を仮に固定する。
ステップS502では、ユーザが、表示部115上に表示される測定支援画面(図4参
照)で、操作部112を介して測定パラメータを設定する。ここで設定される測定パラメータは、測定位置や測定領域、信号の取得ピッチ(信号解像度)などである。説明のため、この時の設定値や、ステップS501での仮の固定状態における保持距離や保持力を、仮設定と表記する。
ステップS503では、制御部111が、ステップS501とステップS502で決定される仮設定の値に基づいて、超音波測定を行うための制御情報を生成する。そして測定時間算出部114が、生成された制御情報に基づいて、測定パラメータ領域401Bに表示する測定時間を算出する。
ステップS504では、表示部115が、算出された測定時間を測定パラメータ領域401Bに表示する。
ステップS505では、ユーザが、被検体101の保持調整が確定したかどうかを入力する。具体的には、保持制御部103のロック機構のスイッチが入れることで確定させてもよいし、装置情報領域401Cに保持確定ボタンを配置し、同ボタンを押下して確定させても良い。確定した場合(S505=Yes)、ステップS510へ処理を移行する。確定していない場合(S505=No)、ステップS506へ処理を移行する。
ステップS506では、ユーザが操作部112を介して保持操作を行って、被検体101の保持状態を調整する。
ステップS507では、制御部111が、保持距離に連動して、測定に必要な制御情報を調整する。本実施形態では、図2や図3で説明したように、保持距離の深さに応じたフォーカス設定を行う。
ステップS508では、測定時間算出部114が、ステップS507での制御情報の調整の結果を受けて、保持調整により生じる測定時間の差分を算出する。
ステップS509では、表示部115が、装置情報領域401Cに、算出された測定時間の差分をリアルタイムに表示する。
なお、ステップS505における判定は定期的に、またはユーザの指示等により行われ、保持調整が確定するまでS506〜S509が繰り返される。
続いて、保持距離が確定した後の動作を説明する。
ステップS510では、制御部111が、保持調整が確定した時点での保持情報から測定の制御情報を生成する。そして測定時間算出部114が、生成された制御情報から測定時間を算出しし、測定パラメータ領域401Bの表示を更新する。また、測定パラメータ領域401Bに表示する保持距離も併せて更新する。
ステップS511では、ユーザが最終的に測定パラメータを確認する。測定パラメータを確定させる場合(S511=Yes)、ステップS512へ処理を移行する。測定パラメータを変更する場合(S511=No)、ステップS502に処理を移行する。
ステップS512では、ユーザからの測定開始指示を受けた制御部111が、移動制御部109と走査制御部110を制御して、超音波信号を取得する。
ステップS513では、取得した超音波信号に様々な処理を施し、最終的に画像構成部113が3次元の超音波画像を生成する。
ステップS514では、表示部115が超音波画像を表示する。
以上の処理により、測定に向けた保持調整において、保持状態の生じる測定時間の差分を保持調整に連動してリアルタイムに提示することができる。
本実施形態によれば、保持板により被検体を保持する超音波測定装置において、被検体の保持状態、特に保持距離と、保持力との関係を提示し、測定時間と保持力により定まる被検者の負担を考慮した設定を行うことができる。測定時間を算出するにあたっては、特に、測定の深さと超音波ビームのフォーカスの数に基づいた処理が行われる。
さらに、保持距離の調整によって保持力と測定時間の関係がどう変化するかをリアルタイムで提示できる。そのため、より強い保持力を許容して測定時間を短縮するか、保持力を緩和して長い測定時間を許容するかについて、ユーザと被検者間での合意を支援することができる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態を図に従って説明する。本実施形態の被検体情報取得装置も、第1の実施形態と同様、超音波エコー技術を利用したものである。
第1の実施形態では、保持距離に応じたフォーカスの数に基づいて変化する探触子の移動速度から、測定時間の差分を算出していた。そして、保持距離に連動してリアルタイムにユーザに提示していた。
本実施形態では、保持距離に応じて超音波の電子走査の範囲および探触子の2次元走査を制御することにより生じる測定時間の差分を算出する。そして、保持距離別に一覧提示することにある。以下、本実施形態に特徴的な部分を中心に説明する。
なお、本実施形態における超音波測定装置の装置構成は、図1に示した第1の実施形態のものと同様であり、説明を省略する。
図6は、本実施形態における超音波データの取得方法を説明する概念図である。図2と同様、図6(a)は保持された被検体101を、探触子104が接する保持板102Bの側から見た正面図、図6(b)はその側面図をそれぞれ示している。
符号602A、602B、602C、602D、602Eは各y軸位置(探触子の副走査位置)における、探触子104の移動軌跡(主走査)を示しており、この2次元走査の結果、超音波データ601が取得される。すなわち、符号601は、得られた超音波データを模式的に示したものである。また符号603A、603B、603C、603D、603Eは、超音波データ601を構成する部分データを示す。なお、特に部分データ603A〜Eを区別する必要がない場合には、単に部分データ603と表記する。
本実施形態における測定深度605は、図2における測定深度205に比べて長い。本実施形態では、この測定深度605を測定可能に制御された1つの超音波ビーム611を形成する。しかしながら測定深度605が長いために、超音波送受信の1回の時間を長くとる必要がある。
また、第1の実施形態(図2)と同様、探触子104の移動速度は、細かく定期的な超音波信号との取得ピッチに対して一定に制御されるものとする。
探触子104が一定の速度で連続的に移動している中で、信号取得ピッチに従って超音波信号の取得を繰り返すためには、探触子104が信号取得ピッチを移動する間に超音波ビームの送受信を完了できる回数が制限を受けることになる。
符号604は部分データ603A〜603Eを取得するための超音波ビームの電子走査幅を示す。そして、長い測定深度605に対してこの電子走査幅604を狭い範囲に限定して超音波611の送受信回数を制限している。符号613はその電子走査方向を示す。
超音波の電子走査幅604は部分データ603のy軸方向の幅に一致するため、長い測
定深度605に対して超音波データ601を取得するためには、部分データ603A〜Eを取得する必要がある。そのため、部分データ603の取得を5回繰り返すように、探触子104の2次元走査を制御する。
なお、図6での例では2次元走査に対して部分データ603の取得回数が多いため、保持距離、すなわち測定深度に対して測定時間が長くなる。
続いて、第2の実施形態における浅い保持距離に適応した超音波データの取得方法を、図7を用いて説明する。図6と同様、図7(a)は保持された被検体101を、探触子104が接する保持板102Bの側から見た正面図、図7(b)はその側面図を示している。本図における測定深度705は、図6における測定深度605より短い。
符号702A、702B、702Cは各y軸位置(探触子の副走査位置)における、探触子104の移動軌跡(主走査)を示している。符号703A、703B、703Cは超音波データ701を構成する部分データを示している。
符号704は部分データ703A〜703Cを取得するための超音波ビーム711の電子走査幅を示しており、浅い測定深度705に対して、超音波ビーム711の送受信回数を増やして電子走査幅704を広い範囲に拡張できることを示している。
なお、第2の実施形態では、測定ごとに探触子104の主走査方向の移動速度を変更せず、装置として決められた一定の移動速度でのみ測定を行うものとする。すなわち、図6と図7では同じ速度で移動するものとする。
短い測定深度705を測定するのに好適な形状に制御された超音波ビーム711により測定を行う。ここで、浅い測定深度では、超音波ビーム送受信の1回1回の時間が短くなる。そのため、探触子104が信号取得ピッチを移動する間に、より多くの超音波ビーム711の送受信を行うことできる。
ここで、短い測定深度705に対して超音波データ701を取得するためには、部分データ703の取得を3回だけ繰り返すように探触子104の2次元走査を制御すればよい。その結果、図6で示した2次元走査に対して部分データ703の取得回数を低減することができるため、測定深度705に対して測定時間を短くできる。
以上、図6と図7で説明したように、保持距離に対して超音波の電子走査範囲、すなわち部分データのy軸方向の幅と、付随して探触子104の2次元走査を制御することで、保持距離を短く設定した場合に測定時間を短縮することができる。なお、図6と図7で1つの超音波ビーム611、711を用いて測定を行うように表記、説明したが、フォーカスの深さが異なる複数の超音波ビームを用いて測定を行ってもよい。
図8は、第2の実施形態における、保持調整により生じる測定時間の差分の提示方法を説明する概念図である。本実施形態の測定情報領域801においては、装置情報領域801Cの表示が特徴的な部分である。
装置情報領域801Cには、図4と同様に、「保持調整中」という文字と、保持調整により変動する保持距離の数値とが表示されている。そして本実施形態では、保持距離別の測定時間の差分が表示される。なお、表示される測定時間の差分は、保持調整開始前の時点で設定されている測定パラメータに基づいて算出される。
また図8では、図4(a)で説明したような、保持距離に応じて測定時間の差分が不連続に切り替わる場合を前提として、提示方法を表形式の一覧表示とした。しかし、測定時間の差分が連続的に変化する場合は、保持距離と測定時間の2軸で構成されるグラフで提
示する形態でもよい。
以上のように、保持調整の開始と同時に、保持距離別の測定時間の差分を一覧表示することで、被検者の負担に配慮するための目安を一挙に得ることができ、ユーザと被検者の意志確認がしやすくなる。
図9は、図6〜図8で説明した本実施形態における処理を示すフローチャートである。なお、第1の実施形態における図5のフローチャートとの違いは、ステップS901とS902である。
ステップS901では、制御部111が、これまでの処理で決定している仮設定の値に基づいて、測定を行うための制御情報を生成する。そして測定時間算出部114が、生成された制御情報に基づいて、保持距離別の測定時間の差分を算出する。算出方法は、保持距離に応じて不連続に測定時間が切り換わる場合には、仮設定の値をテーブル等に当てはめて算出すればよい。また、連続的に測定時間が変化する場合には、保持距離を、保持制御部の距離精度以上の任意の数値ずつ変化させて算出すればよい。
ステップS902では、表示部115が、装置情報領域801Cに、ステップS901で算出された測定時間の差分を表示する。
なお、本実施形態では、保持距離別の測定時間の差分を一覧表示するため、保持操作に応じてリアルタイムで更新する必要がない。そのためステップS901およびS902は、ステップS505〜ステップS506の繰り返し処理の中で、最初に一度実施されればよい。
以上の処理により、保持調整により生じる測定時間の差分を、保持調整開始と同時に保持距離別に一覧提示することができる。
本実施形態によれば、保持板により被検体を保持する超音波測定装置において、被検体の保持距離と保持力との関係を一覧形式で提示し、測定時間と保持力により定まる被検者の負担を考慮した設定を行うことができる。
図9で示したように、保持調整の開始時に保持距離別の測定時間の差分情報を一挙に提示できる。その結果、ユーザは、被検者の負担の度合いに配慮した保持設定を行うことができる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態を図に従って説明する。本実施形態の被検体情報取得装置は、光音響効果を利用して生体情報を可視化する光音響測定装置である。上記の各実施形態とは異なる特徴的な部分を中心に説明する。
なお、本実施形態において、計測とは1回の計測光の照射の結果生じる光音響波を検出するまでの処理を示すものとする。これは説明の理解を助けるために、上記の各実施形態における測定という用語を置き換えるものである。また、被検体に対して探触子を2次元走査しつつ計測を繰り返し、3次元の光音響波画像の生成に十分な光音響データが取得されるまでの処理を、撮像と呼ぶこととする。
図10は、本実施形態における光音響測定装置の装置構成の概略図である。本実施形態における光音響測定装置は、図1と比べ一部の構成が変更されている。光音響測定装置は、計測光を照射する照射ユニット1001、光音響波を検出する光音響検出ユニット1002、光音響検出ユニット1002が検出した信号を増幅してデジタル信号に変換する光音響計測部1006を含む。光音響測定装置はまた、検出した光音響信号の積算処理や記
録処理などを行う信号処理部1007、計測位置を2次元的に制御する移動制御部1009、光音響データから光音響画像を構成する画像構成部1013を含む。その他の構成要素は上記実施形態と同様である。
照射ユニット1001は、被検体101に計測光を照射する。照射ユニット1001は、530〜1300nmの近赤外領域に中心波長を有するパルス光(幅100nsec以下)を発するレーザ光源からの計測光を被検体に導光する照射光学系と、保持板102Aに対する光照射位置を移動させる移動機構から構成される。
図示しない光源は、一般的に近赤外領域に中心波長を有するパルス発光が可能な固体レーザ(例えば、Yttrium−Aluminium−GarnetレーザやTitan−Sapphireレーザ)が使用される。なお、計測光の波長は、計測対象とする生体内の光吸収物質(例えばヘモグロビンやグルコース、コレステロールなど)に応じて530nmから1300nmの間で選択される。
例えば乳がん新生血管中のヘモグロビンを計測対象とする場合、一般的に600〜1000nmの光を吸収し、一方、生体を構成する水の光吸収が830nm付近で極小となるため750〜850nmで光吸収が相対的に大きくなる。また、ヘモグロビンの状態(酸素飽和度)により光の吸収率が変化するため、この波長依存性を利用することで生体の機能的な変化も計測できる。
また照射ユニット1001内部には、計測光の照射を検知し、それと同期して光音響信号の検出あるいは記録を制御するために、図示しない光学機構を備える。計測光の検知は、被検体101に照射される計測光の一部をハーフミラーなどの光学系により分割して、光センサに導光することにより行う。計測光を検知すると、光音響信号の検出同期信号を光音響検出ユニット1002に伝える。
光音響検出ユニット1002は、照射ユニット1001から送出される検出同期信号に従って、被検体101で生じた光音響波を検出して電気信号に変換する。光音響検出ユニット1002は、2次元状に整列された複数の音響素子から構成される探触子1003と、保持板102Bに対して探触子位置を移動させる図示しない移動機構から構成されている。本実施形態においても、探触子1003はどのような方式のものでも用いることができる。
なお、計測光の形状は、探触子1003の形状と略一致するように2次元的な広がりをもって形成される。
光音響計測部1006は、光音響検出ユニット1002で生成された微弱な光音響波の信号を増幅してデジタル信号に変換する。光音響計測部1006は、光音響検出ユニット1002が出力したアナログ信号を増幅する信号増幅部と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部から構成される。信号増幅部では、計測深度によらずに均一なコントラストをもつ光音響画像を得るために、計測光の照射から光音響波が探触子1003に到達する時間に応じて増幅利得を増減する制御などを行う。
信号処理部1007は、光音響計測部1006により計測された光音響信号に対して、探触子1003の音響検出素子の感度ばらつき補正や、物理的または電気的に欠損した素子の補完処理、ノイズ低減のための積算処理などを行う。また、図示しない記録媒体への光音響信号の記録を行う。積算処理により、被検体101の同じ位置の計測を繰り返し行い、加算平均処理を行うことでシステムノイズを低減して光音響信号のS/N比を向上させることができる。光音響信号処理により3次元の光音響画像の生成に必要な光音響データが生成される。
被検体内部の光吸収物質が発する光音響波を検出して得られる光音響信号は一般的に微弱な信号である。そこで、計測光を複数回照射し、それぞれの照射で得られた複数回の光音響信号を積算してS/N比を向上させることで、画像診断に好適な光音響画像を生成可能な光音響データを得ることができる。
移動制御部1009は、照射ユニット1001と光音響検出ユニット1002を同時に駆動して、計測位置を保持板上で2次元走査させる。このとき、計測光の光軸を探触子の中心と一致させる。2次元走査により、小型の探触子でも広い撮像範囲を得ることができ、例えば乳がん診断ではフルブレストの光音響画像の撮像が可能になる。移動制御により好適な計測位置に達すると、移動制御部1009は照射ユニット1001に計測光の照射を指示する。
画像構成部1013は、信号処理部1007により生成される光音響データに基づいて、被検体101の光学特性分布の情報を画像化し、表示部115に表示する光音響画像を構成する。また、構成した光音響画像に対して、輝度の調整や歪補正、注目領域の切り出しなどの各種補正処理を適用して、より診断に好ましい情報を構成する。さらにユーザによる操作部112の操作に従って、光音響画像の構成に関するパラメータや表示画像の調整などを行う。
以上の構成を有する光音響測定装置において、保持距離に対して撮像動作を適応させて光音響データを取得し、3次元の光音響画像を表示するとともに、保持調整により生じる撮像時間の差分を提示することができる。
図11は、本実施形態における光音響データの取得方法を説明する概念図である。図11(a)は保持された被検体101を、探触子1003が接する保持板102Bの側から見た正面図、図11(b)はその側面図を示している。
符号1102は、探触子1003の2次元走査の移動軌跡を示しており、この2次元走査を指定された撮像領域で完了すると、光音響データ1101が取得される。すなわち、符号1101は、光音響データを模式的に示したものである。また、符号1103は、探触子1003の主走査方向の移動速度を矢印の長さで模擬的に示すものである。なお、斜線で示した領域は、光音響波信号データを取得済みの領域を示している。
計測光により探触子1003に対向する被検体領域を照明することで、その直方体形状の被検体領域を画像化するのに必要な光音響波信号データを取得できる。このとき、探触子1003の移動軌跡1102上での移動量を制御しつつ、データ取得領域に重なりができるように光音響データを取得することにより、1ボクセルに対して積算処理を行うことができる。
探触子1003は2次元状に配置された複数の音響検出素子により構成される。そのため、光音響波信号データの取得領域の重ね方をx軸方向またはy軸方向の2軸で制御することにより、光音響データ1101の積算処理を制御することができる。これにより画像診断に必要な積算回数を満足することができる。
照射された計測光は被検体内部で拡散、減衰しながら被検体101の深部へと深達するため、深部に位置する光吸収物質に到達する光エネルギーが希薄となり、結果光音響波信号が微弱となる。そこで、図11(b)のように撮像深度1105が長い場合、積算回数を増やす必要がある。積算回数を多くするためには、例えばx軸方向には、計測光の発光周期に合わせて探触子の1素子分の距離だけ移動させながら計測を繰り返す。またy軸方向には、探触子のy軸方向の大きさの1/3ずつ移動制御を行うことで、積算数を増加す
ることができる。
続いて、保持距離が短い場合の光音響データの取得方法を、図12を用いて説明する。図11と同様、図12(a)は保持された被検体101を、探触子1003が接する保持板102Bの側から見た正面図、図12(b)はその側面図を示している。
符号1202は探触子1003の2次元走査の移動軌跡を示しており、この2次元走査の結果、光音響データ1201が取得される。また、符号1203は、探触子1003の主走査方向の移動速度を矢印の長さで模擬的に示すもので、図11の符号1103に比べて矢印が長く、移動速度が早くなっていることを示している。
撮像深度1205が短い場合、被検体101の深部まで計測光が到達するため、光音響信号のS/N比を高くすることができる。その結果、積算回数を間引くことが可能となる。例えばx軸方向には、計測光の発光周期に合わせて探触子の3素子分の距離だけ移動させながら計測を繰り返す。またy軸方向には、探触子のy軸方向の大きさの1/2ずつ移動制御を行うことで、積算回数を間引くことができ、測定時間の短縮につながる。
以上、図11と図12で説明したように、制御部111が保持距離に対して光音響データの積算回数を調整した制御情報を生成して撮像動作を制御することで、保持距離を短く設定した場合に撮像時間を短縮することができる。
また、測定時間算出部114は、制御部111が生成した制御情報に基づいて、計測時間の差分を単純に提示する方法と、一覧形式で提示する方法のいずれの方法を採用することもできる。
保持距離に対して適切な積算回数を算出して自動調整を行うためには、例えば、光音響データの取得の事前に計測を1回行い、検出される光音響波信号からS/N比を算出して必要な積算回数に調整する方法がある。
本実施形態によれば、保持板により被検体を保持する光音響測定装置において、被検体の保持状態、特に保持距離と、保持力との関係を提示し、測定時間と保持力により定まる被検者の負担を考慮した設定を行うことができる。
その際、保持力の差分と測定時間の差分との関係性を任意の方式で提示できるので、ユーザあるいは被検者にとって、計測時の負担が理解しやすくなる。
<その他の実施形態>
本発明は、上記の各実施形態の被検体情報取得装置を用いた被検体情報取得方法としても、被検体情報取得装置の制御方法としても、捉えることができる。さらに、これらの方法を情報処理装置に実行させるプログラムとしても、かかるプログラムを格納した記憶媒体としても捉えることができる。
本発明はまた、保持手段による被検体の保持状態と、前記被検体から伝播する音響波を受信する探触子の前記保持状態における音響波の取得時間との関係を表す情報を提示することを特徴とする提示方法として捉えることもできる。
102:保持板,103:保持制御部,104:探触子,107:信号処理部,111:制御部,113:画像構成部,114:測定時間算出部

Claims (18)

  1. 被検体から伝播する音響波に基づいて当該被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置であって、
    被検体を保持する保持手段と、
    前記被検体から伝播する音響波を受信する探触子と、
    前記保持手段による前記被検体の保持状態と、前記探触子による音響波の取得時間の関係を表す情報を出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする被検体情報取得装置。
  2. 前記保持手段がすでに前記被検体を保持しているとき、前記出力手段は、前記保持状態が変化したときの前記音響波の取得時間の変化を表す情報を出力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  3. 前記出力手段は、検査者が前記被検体の保持状態を調整するのに応じて、前記音響波の取得時間の変化を表す情報をリアルタイムに更新する
    ことを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
  4. 前記保持状態は、前記被検体の保持距離である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  5. 前記出力手段は、前記被検体の保持状態が変化したときの前記音響波の取得時間の変化を表す情報を、前記被検体の保持距離に応じて一覧表示する
    ことを特徴とする請求項4に記載の被検体情報取得装置。
  6. 前記保持手段は、前記被検体を挟んで保持する2枚の保持板であり、
    前記保持状態は、前記2枚の保持板の距離である
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  7. 前記保持状態は、前記被検体に加えられる保持力である
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  8. 前記出力手段から出力された情報と、前記被検体内の情報に基づいて構成された画像を表示する表示手段をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  9. 前記音響波は、前記探触子から送信された音響波が前記被検体内で反射したものであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  10. 前記探触子を、前記保持手段に沿って前記被検体に対して走査させる機械走査手段と、
    前記機械走査手段による前記探触子の走査に応じて、前記探触子から送受信される音響波の電子走査を制御する電子走査手段と、
    をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  11. 前記被検体の保持状態に応じて、前記電子走査手段は前記音響波の送受信におけるフォーカス設定を行い、前記機械走査手段は前記探触子の走査を制御する
    ことを特徴とする請求項10に記載の被検体情報取得装置。
  12. 前記被検体に計測光を照射する照射手段をさらに有し、
    前記音響波は、前記計測光を照射された前記被検体から伝播する光音響波である
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  13. 前記光音響波に基づく信号を積算する信号処理手段をさらに有する
    ことを特徴とする請求項12に記載の被検体情報取得装置。
  14. 前記照射手段は、前記被検体の保持状態に応じて前記計測光を複数回照射し、
    前記信号処理手段は、複数回の光照射で受信された前記光音響波を積算する
    ことを特徴とする請求項13に記載の被検体情報取得装置。
  15. 前記探触子を、前記保持手段に沿って前記被検体に対して走査させる機械走査手段をさらに有し、
    当該機械走査手段は、前記被検体の保持状態に応じて、前記探触子の走査の移動量を制御して1回の光照射で得られる前記光音響波の取得領域の重なりを調整することにより、前記信号処理手段における積算回数を制御する
    ことを特徴とする請求項14に記載の被検体情報取得装置。
  16. 被検体を保持する保持手段と、前記被検体から伝播する音響波を受信する探触子とを有し、前記音響波に基づいて前記被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置の制御方法であって、
    前記保持手段による前記被検体の保持状態を取得するステップと、
    前記保持状態と、当該保持状態における前記探触子による前記音響波の取得時間との関係を出力するステップと、
    を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法。
  17. 請求項16に記載の被検体情報取得装置の制御方法の各ステップを、情報処理装置に実行させるプログラム。
  18. 保持手段により保持された被検体から伝播する音響波を探触子により受信して当該被検体内の情報を取得する装置において、
    前記保持手段による被検体の保持状態と、当該保持状態における前記探触子による音響波の取得時間との関係を表す情報を提示するステップを有する
    ことを特徴とする提示方法。
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