前述したように、本発明は第1と第2の媒体の間の熱交換のための熱交換器用のプレートに関する。
熱交換のための第1および第2の媒体は同じものとすることができ、例えばガス/ガス(空気等)あるいは液体/液体(水等)とすることができる。第1および第2の媒体は2種類の異なった媒体、例えばガス/液体、または2種類の異なったガス、あるいは2種類の異なった液体とすることもできる。
特に図1ないし図6に示されているように、プレート1は第1の面Aと第2の面Bを有する。プレート1の第1の面Aは少なくとも1本の熱伝導隆起部2を備えるように形成される。プレート1の第1の面Aはさらに第1の媒体のための貫流ダクトXの提供を可能にするように形成される(図8参照)。プレート1の第2の面Bは、実質的に第1の面A上の隆起部Aに適合する少なくとも1体の熱伝導低没部3を備えるように形成され、すなわちこの低没部が前記プレートの第1の面の隆起部2を定義し、実質的に同じ長さおよび幅と前記隆起部の高さに匹敵する深さを有する。熱伝導低没部3は第2の媒体のための貫流ダクトY(図7および図8参照)の一部を定義するように形成される。熱伝導隆起部2および熱伝導低没部3は、プレート1に例えばスタンピングあるいはパンチング処理を施すことによって相互に適合するようにする。必要であれば、1本より多い隆起部2と対応する低没部3をプレート1の第1の面Aおよび第2の面Bの上にそれぞれ設けることもできる。
図1、図3および図6から明らかなように、プレート1の第1の面Aはさらに熱伝導隆起部2を包囲する少なくとも1体の熱伝導面4を備えるように形成される。熱伝導面4はディンプル5を備え、それが第1の媒体のための貫流ダクトXの提供を可能にする。プレート1の第1の面A上の隆起部2は第1の媒体に対する一次的な熱伝導領域を定義し、前記隆起部を包囲する熱伝導面4が第1の媒体に対する二次的な熱伝導領域を定義する。この一次的および二次的な熱伝導領域、すなわち前記隆起部2の領域と前記熱伝導面4の領域4が、合わせてプレート1の第1の面Aの全領域と実質的に等しくなる。従って、図2、図4および図6に示されるように、プレート1の第2の面Bがさらに少なくとも1つの結合面6を備えるように形成され、それが第1の面A上の熱伝導面4に相当、すなわち同じ延伸を有するとともに、熱伝導低没部3を包囲する。低没部3は第2の媒体のための一次的な熱伝導領域を定義する。この一次的な熱伝導領域、すなわち低没部3の領域は、プレートの第2の面の全領域から結合面6の領域を引いたものに実質的に等しくなる。上記のことから、第1の媒体に対する組み合わされた熱伝導領域が第2の媒体に対する熱伝導領域より大きくなることが明らかである。この特徴は、例えば水に対しての空気と言ったように第1の媒体がより小さな熱伝導係数を有するとともに最適な熱伝導の提供のために第2の媒体と比べてより低い速度/圧力で通流すべきである場合に有利である。上述のように構成されたプレートを含んだ熱交換器は、改善された熱交換容量を有する。
従って、上述の一次的な熱伝導領域が1つの媒体と直接的に接触するプレートの部材上の表面によって提供されその際その部材の逆側の表面が別の媒体と直接的に接触し、また二次的な熱伝導領域は1つの媒体と直接的に接触するプレートの部材上の表面によって提供されその際その部材の逆側の表面が別の媒体と直接的に接触しない。
第1の媒体のための貫流ダクトXの提供を可能にするために、プレート1の第1の面A上の熱伝導隆起部2が第1の高さh1を有するように形成され、また前記第1の面上の熱伝導面4上のディンプル5は前記第1の高さよりも大きな第2の高さh2を有するように形成される(図5の一部を参照)。それによって、ディンプル5は隆起部2から突出する。隆起部2に対応して、プレート1の第2の面B上の熱伝導低没部3が結果として前記の第1の高さh1に実質的に相当する深さを有するように形成される。プレート1の第1の面A上の熱伝導隆起部2は、図示されたプレートの実施例において第1の媒体のための貫流ダクトXの提供を可能にするために追加的なディンプル7を備えるように形成される。そのためその追加的なディンプル7は、隆起部2の(第1の)高さh1と合わせて前記第1の高さより大きくなるような高さを有する。図示された実施例において、ディンプル7の高さと隆起部2の高さh1が実質的に前記第2の高さh2、すなわち熱伝導面4上のディンプル5の高さに相当する。従って、ディンプル7の高さはh2引くh1となる。図1ないし図8に図示されたプレートの実施例において、プレートの第1の面A上の熱伝導隆起部2が約0.5ないし1mmの熱伝導面4からの第1の高さh1を有し、プレートの第2の面B上の対応する熱伝導低没部3は実質的に前記第1の高さに相当する結合面6からの深さを有し、また面Aの熱伝導面上のディンプル5は約2ないし2.5mmの前記熱伝導面からの第2の高さh2を有する。しかしながらそれらの高さはプレートを使用する熱交換器の意図される適用形態およびサイズの視点において変動することが可能である。プレート1の第1の面A上のディンプル5および7は熱伝導隆起部2/低没部3と同様なスタンピングあるいはパンチング処理等の適宜な方式で形成することができ、従って対応する低没部が結合面6内ならびにプレートの第2の面B上の低没部内にそれぞれ形成され、同時に隆起部/低没部を備える。ディンプル5,7のサイズ、形状、および数も意図される熱交換器の適用形態およびサイズの視点において変更可能であり、またそれらを配列するパターンも変更可能である。プレート1が大きいほど第1の媒体のための貫流ダクトXの提供を可能にするためにディンプル5,7の設置間隔および支承点がより多く必要とされる。しかしながら、本発明によれば熱伝導面4上のディンプル5のみによって、あるいは熱伝導隆起部2上のディンプル7のみによって第1の媒体のための貫流ダクトXの提供を可能にすることもできる。図示された実施例においてディンプル5,7は実質的に丸型である。
プレート1の第1の面A上のディンプル5,7は、別のプレートの第1の面上の対応するディンプルに対して接合して組み合わせるために適しており、それによってそのディンプルが第1の媒体のための貫流ダクトXの提供を可能にする(図8)。プレート1の第2の面B上の結合面6も同様に別のプレートの第2の面上の対応する結合面に対しての接合および適宜な方式による漏れの無いような取り付けに適しており、従って前記プレート上の熱伝導低没部3が第2の媒体のための貫流ダクトYを定義する(図7および図8)。しかしながら、プレート1の第1の面A上のディンプル5,7は別のプレートの第1の面上の対応するディンプルに対する接合および取り付けを回避するように配置することもでき、従って両方のプレートの上のディンプルが互いに幾らかずれて配置される。同様に、プレート1の第2の面B上の熱伝導低没部3を、別のプレートの第2の面上の熱伝導低没部に対してずれるように配置することも可能である。
プレートの第2の面B上の第2の媒体のための貫流ダクトYの一部を定義する熱伝導低没部3とプレートの第1の面A上の対応する熱伝導隆起部2は、形状、サイズ、数および位置に関して変動可能である。従って、低没部3ならびに対応する隆起部2は、例えば2本の平行あるいは実質的に平行な直線状の部分を有するU字型とすることができる。しかしながら、第1と第2の媒体の間の熱交換の時間を延長するために、低没部3と対応する隆起部2をそれに換えて3本あるいはそれ以上の平行あるいは実質的に平行な直線部分、すなわち奇数本(図10)あるいは偶数本(図1ないし図8)の平行あるいは実質的に平行な直線部分を有する正弦形状を有するものとすることもできる。第1と第2の媒体の間の熱交換を最大化するために低没部3ならびに対応する隆起部2の熱伝導領域を第2の媒体のための貫流ダクトYの容積に対して可能な限り大きくすれば好適である。従って、図示された実施例において低没部3と対応する隆起部2の幅wが前記低没部の深さおよび対応する隆起部の高さに比べて実質的に大きくなり、例えば少なくとも約5倍大きくされ、好適には図示された実施例のように約50ないし70倍大きくされる。従って、図示された実施例において熱伝導隆起部2が約0.5ないし1mmの第1の高さh1を有し、対応する熱伝導低没部3は前記第1の高さに相当する深さを有し、隆起部と対応する低没部の幅wは少なくとも約2.5mm、好適には約25ないし70mmとなる。低没部3と対応する隆起部2の幅wは一定とするか、または、特に図1ないし図4、図6および図10に示されているように、その長さに沿って変化するようにもできる。図1ないし図4、図6および図10には、平行な直線部分の幅がまずどのように縮小しその後元の幅まで再度増加するかが示されている。従って、第1の高さh1と対応する深さが約0.5mmとなり熱伝導隆起部2と対応する熱伝導低没部3の幅wはまず約35mmから約25mmまで縮小しその後再び約35mmまで増加する。平行な直線部分が接続する低没部3と対応する隆起部2の部分において、幅wは前記直線部分に比べて大幅に小さくなり、図示された実施例においては高さh1および対応する深さの約20倍の大きさとなる。さらに、低没部3および対応する隆起部2は、図示された長方形のプレート1を有する実施例のように、プレートの長手方向に対して直角な方向、あるいは実質的に直角な方向に延在する平行な直線部分を有する。必要であれば、それに代えて前記平行な直線部分がプレート1の長手方向に延在するか、あるいはその他の任意の方向に延在することも可能である。
第2の媒体のための貫流ダクトYの圧縮を防止するために、プレート1の第2の面B上の熱伝導低没部3が耐圧性のディンプル8を備えて形成される。この耐圧性のディンプル8は図示された実施例において実質的に高さh1、すなわち熱伝導隆起部2の高さおよび結果として対応する熱伝導低没部の深さに相当する高さを有し、従ってディンプル8は実質的に低没部が突出するところと同じレベルで終止する。プレート1の第2の面B上の結合面6と同じレベルで終止することによって、前記ディンプル8は第2の媒体のための貫流ダクトYの圧縮を防止するために別のプレートの第2の面上の対応するディンプルに係合することができ、また前記ディンプルを適宜な方式で互いに結合することによって前記第2の面と別のプレートの第2の面の安全かつ効果的な取り付けに寄与することができる。また、ディンプル8は通流に乱流を形成することによって貫流ダクトYを介した第2の媒体の通流を促進し、従って熱交換作用が改善される。しかしながら、必要であればディンプル8の高さを第1の高さh1より小さくすることもできる。図示された実施例において、ディンプル8は円形ならびに長円形の形状を有する。長円形のディンプルのいくつかはさらに曲折している。ディンプル8は熱交換作用を最適化するために任意の適宜なパターンで構成することができる。
図11に概略的に示されている一実施例によれば、耐圧性のディンプル8が延伸されて熱伝導低没部3を介して斜めで、好適には、さらにそれぞれが互いに平行に延在し、プレート1の第2の面Bが相互に結合された際には第2の媒体のための貫流ダクトYを介して斜めで、好適には、熱伝導低没部/貫流ダクトの全幅にわたって延在し、また前記延伸されたディンプルは前記熱伝導低没部/貫流ダクトの長手方向においてそれぞれ互いに離間して配置される。熱伝導隆起部2/低没部3は延伸された各ディンプル8の間の所要の特定点で分岐して直後に再度合流することができ、それによって熱伝導隆起部2から突立するディンプル7に代えて熱伝導面4から突立するディンプル5のための空間を提供し、従って高さh2を有するディンプル5のみがプレート1の第1の面A上に存在するようにする。延伸されたディンプル8は三角形の断面を有することが好適であるが、例えば図11に示されているような円錐台形断面等の任意の所要の断面形を有することもできる。2枚のプレート1の第2の面Bが結合された際にディンプル8が相互に接合し、ディンプルが好適には直角方向に互いに交差して延在し、前記ディンプル相互間の複数の係合および可能な組み合わせのための点を提供する。
プレート1の逆側の第1の面A上において、結果的にプレートの第2の面B上の熱伝導低没部3内の延伸されたディンプル8によって熱伝導隆起部2が遮断され、それによってそれらのディンプルが適宜に形成された“溝部”8aを熱伝導隆起部内に定義し、それが第1の媒体のための貫流ダクトXの一部を形成する。従ってそれらの“溝部”8aは、熱伝導隆起部2を介して好適にはその一側辺から他の側辺まで斜めに延在し、熱伝導隆起部の“リブ状”の各部分2aを定義しながら互いに離間する。上述したように、ディンプル5のための空間を提供するために“リブ状”の部分2aのいくつかが、好適にはその長手方向の延長の中央において遮断される。図11に示されるように、この実施例はさらに、プレート1の第1の面A上の熱伝導隆起部を分離して延伸されて平行かつ斜めに延在しまた間に延在する熱伝導面4(“溝部”8aによって定義される)の部分を有した複数の熱伝導隆起部を含むものとしてみなすことができる。
上述し図11に概略的に示した実施例は、部分的に第2の媒体のための強固な貫流ダクトYを提供するが、前述の説明から延伸されたディンプル8が必要であれば相互に非平行な方向に延在することも可能でありまた熱伝導隆起部2の“リブ状”の部分2aから突立するディンプル7を設け得ることが明らかである。
従って貫流ダクトを補強することによって貫流ダクトXを介しての第1の媒体の通流を促進しまた崩壊を防止するために、プレート1の第1の面A上の熱伝導面4が同様な方式で補強ディンプル9を備える。この補強ディンプル9は図示された実施例において実質的に前記の高さh1、すなわち熱伝導隆起部2の高さに相当する高さを有し、従ってそのディンプルは実質的に隆起部2と同じレベルで終止する。しかしながら、必要であればディンプル9の高さを前記第1の高さh1より小さくし、また貫流ダクトX内の第1の媒体流れの圧力効果を最小化してさらにディンプルの強化能力を維持するために可能な限り小さくすることが好適である。ディンプル9の高さは、ディンプル5の高さh2(第2の高さ)を超えない範囲において前記第1の高さより大きくすることもできる。図示された実施例においてディンプル9は延伸された形状を有する。また、ディンプル9は熱交換作用を最適化するために任意の適宜なパターンで構成することもできる。
熱伝導隆起部2/低没部3と上記の第1の媒体のための貫流ダクトXの提供を可能にするディンプル5,7の場合と同様に、ディンプル8および9も例えばスタンピング、パンチング、あるいはその他の適宜な方法で形成することができ、また前記隆起部/低没部と前記ディンプル5,7と同時に形成することができる。それによって対応する低没部がそれぞれプレート1の対向する面A,B上に形成され、すなわち面A上の隆起部2内および面B上の結合面6内にそれぞれ形成される。
上述したように、プレート1は向かい合った2本の長辺1aおよび1bと向かい合った2本の短辺1cおよび1dからなる長方形の形状とすることができ、また両方の長辺のうちの一方の近傍および/または両方の短辺のうちの一方の近傍に第2の媒体のための第1および第2のポートホール10および11を備えることができる。ポートホール10,11の位置は、プレート1の形状ならびにプレート上の熱伝導隆起部2および対応する熱伝導低没部3の形状および位置に依存する。隆起部2とそれに対応していて偶数の平行な直線部分を有する低没部3を備えた長方形のプレート1の図示された実施例において、各ポートホール10,11が同じ長辺1aと短辺1c,1dのうちの一方に近接して、前記長辺と該当する短辺によって定義される角部内に配置される(図1ないし図4参照)。隆起部2とそれに対応し奇数の平行な直線部分を有する低没部3の場合、各ポートホール10,11は例えば長辺1a,1bのうちの一方と短辺1c、1dのうちの一方に近接して、該当する長辺と該当する短辺によって定義される角部内に配置され、すなわちプレート1上で対角線上の別の位置に配置される(図10参照)。前記ポートホール10,11のそれぞれが前記プレートの第1の面A上でそれぞれそのポートホールを包囲するエッジ部10a,11aを備えて形成される。各エッジ部10a,11aは隆起部2の一部を形成し、図示された実施例において第2の高さh2に相当する高さ、すなわちディンプル5の高さおよび隆起部2(h1)とディンプル7(h2−h1)を組み合わせた高さにそれぞれ相当する高さを有し、また前記ディンプルと同じ機能を有することができ、すなわち第1の媒体のための貫流ダクトXの提供を可能にする機能ならびに第1の媒体のための貫流ダクトX内への第2の媒体の流入を防止する機能を有することができる。他方、プレート1が4本の均等な長さの辺からなる正方形の形状を有するか、あるいはその他の適宜な四辺形、三角形、多角形、円形、菱型、楕円形、あるいは意図する応用あるいは使用形態に従ってその他任意の形状を有することができる。
プレート1の意図される使用形態が冷蔵ディスプレーケースのための熱交換器である図1ないし図8に示された実施例において、プレート1は約270mmの長さと約150mmの幅を有することができる。しかしながら、プレート1は意図される応用形態に従って最適化したその他の任意のサイズを有することができる。従って、プレート1の長さが例えば1m超過し、またその幅が0.5m超過することもできる。プレート1のサイズは図示された実施例のプレートよりも小さくすることもでき、また、例えば熱交換器内においてどのようにプレートが配置されるかおよび/または第1および第2の媒体のための貫流ダクトX,Yがどのように指向するかに基づいてプレートの幅としてみなされているものを長さとしてみなされているものよりも大きくすることもできる。
上述したように、本発明はさらに第1および第2の媒体の間の熱交換のための熱交換器に係り、その際前記熱交換器が前述した構成のプレート1の積層体を有する。従ってプレート1の積層体は、図9aに示されているように向かい合ったプレート要素13および14を備えていて幾分開放されたフレーム構造12内に配置することができ、その際向かい合ったプレート要素のうちの少なくとも一方(図9aにおいてプレート要素13)が第2の媒体のためのパイプ接続部15および16を備え、さらに上面パネル17と部分的に開放された底面パネル18が設けられる。プレート1の積層体は図中でフレーム構造12内に配置することができ、これは360枚のプレートからなるとともに、各プレートが約2.5mmの全高を有するとすると合計約900mmの高さとなる。しかしながら、積層体中のプレート1の数が変更可能であり、従って意図される応用あるいは使用形態に応じて熱交換器のサイズも変更可能である。
図9bに示されているように、フレーム構造12の下を向いた底板18とフレーム構造の上を向いた天板とフレーム構造の向かい合ったプレート要素13,14を備えた冷蔵ディスプレーケース内に熱交換器が配置される場合、積層体中のプレート1は実質的に平行な垂直面内に順次延在し第1の媒体(例えば冷却される空気)が実質的に水平に熱交換器内にならびに熱交換器を介して通流する。従って、第1の媒体は、例えば熱交換器の左側から実質的に水平に右方向に向かってその熱交換器を介して通流して右側で熱交換器から流出するか、あるいは図9bに図示されているように、熱交換器の右側から実質的に水平で左方向(図9bにおいて矢印D2で示される)に向かって前記熱交換器を介して通流し左側で熱交換器から流出することができる。第2の媒体(例えば空気を冷却するための水)は、プレート要素13に設けられたパイプ接続部15,16のうちの一方を介して熱交換器内に流入し、実質的に正弦状の経路に沿って熱交換器内を水平に通流し、その際正弦状の経路の平行あるいは実質的に平行な直線部分が実質的に(図9bの矢印D1によって示される)垂直方向に延在し、さらに第2の媒体は前記プレート要素のパイプ接続部15,16の別の方を介して熱交換器から流出する。図9bに示された実施例において、第2の媒体はプレート要素13の左側のパイプ接続部15を介して熱交換器内に流入し、右側のパイプ接続部16を介して熱交換器から流出する。従って図9bにおいて、第1の媒体が熱交換器を介して実質的に水平な方向に通流し、第2の媒体は実質的に垂直かつ実質的に正弦状の経路に沿って熱交換を介して前記第1の媒体と逆向きの水平方向に通流し、従って冷却されるべき第1の媒体と冷却用の第2の媒体がそれら両方の媒体が最高の温度を有している際に熱移転あるいは熱交換するような方式で遭遇し、その結果前記第1の媒体は漸進的に低温になっている第2の媒体によって漸進的に冷却される。冷却されるべき第1の媒体を実質的に垂直かつ実質的に正弦状の経路に沿って熱交換を介して前記第1の媒体と逆向きの水平方向に通流する冷却用の第2の媒体と接触させることによってマルチステップの向流が達成される。第1の媒体の凝縮体が熱交換器の底部で部分的に開放された底板18を介して流出する。凝縮体を収集するためにドレイン(図示されていない)が熱交換器の底部に設けられる。従って、熱交換器のフレーム構造12がその熱交換器からの凝縮体の排出を促進する。また、熱交換器の点検、清掃、および修理も図示されたフレーム構造12によって容易になる。
前述したように、熱交換器内の積層体中のプレート1は各プレートの第1の面Aが積層体中の隣接するプレートの第1の面Aと接合するように配置され、従って熱伝導面4上のディンプル5によっておよび/または積層体中の隣接する2枚のプレートの第1の面上の熱伝導隆起部2上のディンプル7によって前記各プレートの第1の面の間に第1の媒体のための貫流ダクトXを提供する。加えて、プレート1は各プレートの第2の面Bが積層体中の隣接するプレートの第2の面Bと接合するように配置され、従って隣接する2枚のプレートの第2の面上の熱伝導低没部3によって前記各プレートの第2の面の間に第2の媒体のための少なくとも1本の貫流ダクトYを定義する。
上述したように、例えばプレートの第2の面B上の熱伝導低没部3の深さ(熱伝導隆起部の第1の高さh1に相当)よりも大きいものである第2の高さh2をプレートの第1の面A上のディンプル5が有し、また前記プレートの第1の面上の熱伝導隆起部2と熱伝導面4の領域がプレートの第2の面上の熱伝導低没部の領域よりも大きくなるように各プレート1を形成することにより、隣接する2枚のプレート1の第1の面Aと隣接する2枚のプレートの第2の面Bをそれぞれ相互に結合した際に第1の媒体のための貫流ダクトXの容積が第2の媒体のための貫流ダクトYの容積よりも大きくなるように形成することができる。このことは、ディンプルおよび隆起部/低没部がオフセットに配置される場合でも成立する。図7および図8に示されているように、積層体中の隣接する2枚のプレートの第1の面A上の熱伝導面4上の対向するディンプル5および/または隆起部2上の対向するディンプル7によって第1の媒体のための貫流ダクトが提供される際、また積層体中の隣接する2枚のプレートの第2の面B上の対向する低没部3によって第2の媒体のための貫流ダクトが定義される際に、前記第2の媒体の貫流ダクトYの容積に対しての前記第1の媒体のための貫流ダクトXの容積がさらに増加する。
プレート1の安全かつ持続的な積層を提供するために、積層体中の隣接する2枚のプレートの第1の面Aが、オフセットに配置するかどうかにかかわらず、その第1の面上の熱伝導面4上のディンプル5上で組み合わされ、積層体中の隣接する2枚のプレートの第2の面Bはその第2の面上の結合面6上で組み合わされる。積層体中の隣接する2枚のプレート1の第1の面Aは、さらにあるいは代替的に隆起部2上のディンプル7が存在する場合その上で組み合わせることもできる。従って、プレート1の第1の面A上の組み合わされた熱伝導領域がプレートの第2の面B上の熱伝導領域よりも大きいことの結果として、前記プレートの第1の面上の全結合領域が前記プレートの第2の面上の結合領域よりも小さくなる。隣接するプレート1は例えばブレージング処理あるいはその他の適宜な取り付け方法によって組み立てることができる。少なくとも積層体中の隣接する2枚のプレート1のそれぞれの第2の面B上の対向する結合面6と、積層体中の隣接する2枚のプレートの第1の面A上のポートホール10,11の対向するエッジ部10a,11aについて漏れのない組み立てが必要とされる。
上述のことから、第1の媒体のための貫流ダクトXに対してディンプル5と熱伝導隆起部2/低没部3の異なった高さが与えられ、前記貫流ダクトXが変化する高さを有し、すなわち前記第1の媒体が図8の左から右あるいは右から左に通流する場合、または図9bのように右から左に通流する場合に変化することが理解される。この変化する高さが前記貫流ダクトXを介して通流する間の第1の媒体の速度/圧力を変化させる。従って、図1ないし図8に示された実施例において、第1の媒体のための貫流ダクトXは隣接する2枚のプレートの第1の面A上の熱伝導隆起部2の間の第3の高さh3と、前記隣接する2枚のプレートの第1の面上の前記隆起部を包囲する熱伝導面4の間にあって前記第3の高さh3より大きいものである第4の高さh4を備えるように構成される。従って、第4の高さh4が各プレート1の第1の面A上の熱伝導面4上のディンプル5の高さh2(第2の高さ)の2倍に実質的に等しくなり、また第3の高さh3は前記第4の高さから各プレートの第1の面上の隆起部2の高さh1(第1の高さ)の2倍を引いたものに等しくなる(特に図8参照)。
図1ないし図8に示された実施例において、第2の媒体のための貫流ダクトYは、各プレート1の第2の面B上の熱伝導低没部3の深さ(熱伝導隆起部2の高さh1(第1の高さ)に相当)の2倍に実質的に等しいものである第5の高さh5を備えるように構成される(特に図7参照)。
熱交換器内のプレート1の積層体は一種類のプレートを含むものとすることができる。これは、各プレートの第1の面A上の熱伝導隆起部2と各プレートの第2の面B上の対応する熱伝導低没部3が偶数の平行あるいは実質的に平行な直線部分を含んだ実質的に正弦状の形状を有するケースに該当し得る(図1ないし図8のプレートの実施例と同様)。それに代えて、プレート1の積層体が2種類のプレートを含むこともできる。これは、例えば各プレートの第1の面A上の隆起部2と各プレートの第2の面B上の対応する熱伝導低没部3が奇数の平行あるいは実質的に平行な直線部分を含んだ実質的に正弦状の形状を有するケースに該当し得る(図10のプレートの実施例と同様)。2種類のプレート1は、例えば隣接する2枚のプレート上のディンプル5および/または熱伝導隆起部2/低没部3が相互にオフセットに配置される場合、およびプレートの第1の面A上の前記隆起部および/または前記ディンプルの高さが別のプレートの第1の面A上の前記隆起部および/または前記ディンプルの高さと異なる場合にも必要とされる。これらのディンプル5および/または隆起部2および/または低没部3の高さは極めて広範囲に変化させることができるが、前述した2種類のプレートを有する後者の実施例において、隣接する2枚のプレートの第1の面Aの間に第1の媒体のための貫流ダクトXを提供するために、少なくとも向かい合ったディンプルの合計の高さが向かい合った隆起部の高さより常に大きくなることが重要である。
本発明に係る熱交換器は交差通流タイプとすることができ、その際第2の媒体のための貫流ダクトYを定義する隣接する2枚のプレート1の第2の面B上の熱伝導低没部3の実質的に平行な直線部分がプレートの第1の方向D1に向かって延在し、また隣接する2枚のプレートの第1の面Aの間に設けられる第1の媒体のための貫流ダクトXはプレートの前記第1の方向に対して実質的に直角な第2の方向に向かって延在する。前述した熱交換器は、原則的に前記の種類とすることができる。本発明に係る熱交換器はそれに代えて交差通流型とは異なった種類とすることもできる。
特に前述したプレートの積層体を含んだ上述の熱交換器を使用することによって、例えば冷蔵ディスプレーケースの空気を冷却するために水を使用する際に冷却用のエネルギー消費を約20%削減することができる。この好適な結果の第1の理由は、充分な空気の冷却を提供するために従来の構造ほど冷却水の温度を下げる必要が無い点にある。次いでこのことは、延長されより広範囲である直接的および間接的な空気と水の接触に起因する。
当業者においては、本発明に係るプレートならびに熱交換器が本発明の理念および目的を逸脱することなく添付の特許請求の範囲の請求項の範囲内で設計変更し得ることが理解される。すなわち、プレート1はアルミニウムから形成することが好適であるが、その他の任意の材料によって形成することも可能である。熱交換器内のプレートの積層体は図9aに示された実施例に比べてより開放されたフレーム構造内に配置することができ、またそのフレーム構造も任意の適宜な材料から形成することができる。加えて、熱交換器は意図される適用形態に従って任意の適宜な位置に配置し得ることも明らかであり、必要であれば、あるいは要望されれば、図示された実施例のように水平に配置するか、垂直に配置するか、あるいは傾斜して配置することもできる。上述の熱交換器は、冷却されるべき媒体である第1の媒体を空気とし得ることから空気冷却装置内での使用に適している。