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JP2014092035A - エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法 - Google Patents

エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法 Download PDF

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JP2014092035A JP2012241041A JP2012241041A JP2014092035A JP 2014092035 A JP2014092035 A JP 2014092035A JP 2012241041 A JP2012241041 A JP 2012241041A JP 2012241041 A JP2012241041 A JP 2012241041A JP 2014092035 A JP2014092035 A JP 2014092035A
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Abstract

【課題】エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に形成される断熱層21のクラック及び剥離の発生を防ぐとともに、燃焼圧による断熱層21の変形を防ぎ、さらに、断熱層21内への燃料の浸み込みを防ぐ。
【解決手段】断熱層21が、シリコーン系樹脂(母材31)と、磁性粉末32と、上記シリコーン系樹脂の一部が酸化されてなるSi系酸化物33とを含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンの燃焼室に臨むエンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に断熱層が形成された、エンジン燃焼室部材の断熱構造体、及び、その製造方法に関する技術分野に属する。
1980年代に、エンジンの熱効率を高める方法として、エンジン燃焼室に臨む部分に断熱層を設けることが提案され(例えば特許文献1参照)、その後も、セラミックス焼結体からなる断熱層、又は、低熱伝導性を有するZrO粒子を含む溶射層からなる断熱層が提案されている。
しかし、セラミックス焼結体は、熱応力や熱衝撃によるクラックや剥離の発生といった問題に直面した。このため、特に、ピストンの頂面、シリンダライナの内周面、シリンダヘッドの下面といった比較的大きな面積を有する部分へ、セラミックス焼結体からなる断熱層が適用されたものは実用に至っていない。
一方、溶射層それ自体は、シリンダライナ及びロータリーエンジンのトロコイド面へ採用された実績があるが、これは耐摩耗性の向上を目的としたものであり、断熱性の向上を目的としたものではない。溶射層を断熱層とするためには、上記のようにZrO(ジルコニア)を主体とする低熱伝導材料を溶射することが好ましいが、ジルコニア系の層は、サーメット系の層よりも粒子間の密着性が劣り、熱応力や繰返しの応力による疲労等によってクラックが生じ易いという問題がある。
これに対して、特許文献2では、エンジンの燃焼室に臨む部材に、粒子状の第1の断熱材と膜状の第2の断熱材とからなる断熱用薄膜を設けることが提案されている。この特許文献2には、第2の断熱材が第1の断熱材を接着する機能を担うこと、第2の断熱材として、ジルコニア(ZrO)、シリコン、チタン、又はジルコニウム等のセラミックや、炭素・酸素を主成分とするセラミック、又は高強度且つ高耐熱性のセラミック繊維等を用いること、及び、第2の断熱材は母材に対してコーティング又は接合することが開示されている。
また、特許文献3には、エンジンの燃焼室に臨む部材に断熱用薄膜を形成するにあたり、その部材の燃焼室壁面に有機硅素化合物と多数の粒状樹脂との混合物を塗布して薄膜を形成し、この薄膜を加熱することによって、内部に多数の気泡を形成することが記載されている。すなわち、薄膜を600〜800℃以上の温度に加熱することによって、粒状樹脂をガス化させるとともに、上記有機化合物の熱分解により発生するガスを薄膜から抜き、ガス抜き後の薄膜を更に高い温度(1000〜1200℃以上)に加熱するという方法である。この更に高い温度への加熱により、有機硅素化合物の上記熱分解によって生成する珪素化合物(SiO及びSiC)が焼結することになる。
国際公開第89/03930号パンフレット 特開2009−243352号公報 特開2010−70792号公報
特許文献2では、第2の断熱材を母材にコーティング又は接合することが記載されているだけで、その断熱用薄膜を得る方法について詳細には述べられていない。第2の断熱材としてセラミック材が用いられていることに鑑みれば、その断熱用薄膜はセラミックス焼結体に類すると推測される。また、特許文献2は、燃焼室内に生じる燃焼圧による変形やクラックの発生の対策については開示しない。特許文献3に開示された方法においても、得られる断熱用薄膜はセラミックス焼結体に類するものであり、燃焼圧による変形やクラックの発生の対策にはならないと考えられる。
また、近年では、エンジンの燃焼室に臨む一部の部材をアルミニウム合金製とすることが行なわれているが、セラミックス系の断熱用薄膜(例えば、特許文献3のSiOセラミックス層の薄膜)では、アルミニウム合金製部材と断熱用薄膜との熱膨張率差が大きいことから、上記クラックや剥離の問題が顕著になる。このようなクラックが生じた場合、断熱用薄膜の剥離に至らないケースでも、エンジンの燃料噴射弁から噴射された燃料の断熱用薄膜への浸み込みという問題を招く。このような燃料の浸み込みにより、燃料の損失が増大してエンジンの熱効率が低下するとともに、エンジンの空燃比が一時的に所望の値からずれて燃焼性の悪化を招く懸念がある。さらに、特許文献3では、上記のようにガス抜きされた部分は、表面と連通状態となっているため、この部分から断熱用薄膜内に燃料が浸み込むという問題がある。
そこで、本発明者らは、エンジンの燃焼室に臨むエンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に、熱伝導率の低いシリコーン系樹脂を主体とする断熱層を形成することを検討した。このような断熱層であれば、シリコーン樹脂が柔軟性を有するので、シリコーン樹脂がエンジン燃焼室部材の熱膨張を吸収し、このことから、耐クラック性や耐剥離性に有利になる。
しかしながら、エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に、シリコーン系樹脂を主体とする断熱層を設けると、シリコーン系樹脂が低硬度であるために、燃焼室内に生じる燃焼圧により断熱層が変形する可能性が高くなる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に形成される断熱層のクラック及び剥離の発生を防ぐとともに、燃焼圧による断熱層の変形を防ぎ、さらに、断熱層内への燃料の浸み込みを防ぐことにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、エンジンの燃焼室に臨むエンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に断熱層が形成された、エンジン燃焼室部材の断熱構造体を対象として、上記断熱層は、シリコーン系樹脂と、磁性粉末と、上記シリコーン系樹脂の一部が酸化されてなるSi系酸化物とを含む、という構成とした。
上記の構成により、断熱層が、シリコーン系樹脂を含みかつ柔軟性を有するので、エンジン燃焼室部材の熱膨張を吸収し、これにより、断熱層にクラックが生じたり断熱層が剥離したりすることを防止することができる。この結果、クラック等を介した断熱層内への燃料の浸み込みを防止することができる。また、シリコーン系樹脂自体は緻密であるので、断熱層にクラックが生じていない状態では、断熱層内に燃料が浸み込むことはない。
さらに、断熱層は、磁性粉末(磁性粒子)と、上記シリコーン系樹脂の一部が酸化されてなるSi系酸化物とを含む。上記シリコーン系樹脂の一部をSi系酸化物とするために、上記磁性粉末を利用する。すなわち、断熱層に交番磁場(交番磁界)を与えることで、磁性粉末をその鉄損(渦電流損及びヒステリシス損)により発熱させる。この発熱により、上記シリコーン系樹脂の一部がSi系酸化物となる。このSi系酸化物は、シリコーン系樹脂が加熱により結晶化してSiOとなる過程の途中の状態のものである。Si系酸化物としては、SiOも含まれているが、基本的には、SiO以外の、SiとOとが結合したSiO系化合物である。このようなSi系酸化物により、断熱層の硬さが向上して、燃焼圧によって断熱層が変形することを防止することができる。また、断熱層が、このようなSi系酸化物を含んでいても、SiOとは異なり、シリコーン系樹脂による断熱層の耐クラック性及び耐剥離性は維持される。
上記磁性粉末が発熱すべき発熱量は、断熱層の温度が、上記Si系酸化物が得られかつ断熱層の硬さが燃焼圧により変形しない程度に硬くなるような温度(但し、結晶化したSiOが生成される温度よりも低い温度(例えば300℃〜400℃))になるような発熱量である。このような発熱量が得られるように、磁性粉末の含有量や交番磁場の周波数を設定しておけばよい。
上記エンジン燃焼室部材の断熱構造体において、上記磁性粉末は、通常、上記Si系酸化物によって覆われている。
すなわち、上記磁性粉末をその鉄損により発熱させた場合、最初に、磁性粉末の周囲のシリコーン系樹脂が上記Si系酸化物となる。この結果、磁性粉末がSi系酸化物によって覆われる。
上記エンジン燃焼室部材の断熱構造体において、上記Si系酸化物は、上記断熱層の深層側よりも表面側に多く含まれていることが好ましい。
このことにより、燃焼圧による断熱層の変形を防止しつつ、エンジン燃焼室部材の熱膨張をより効果的に吸収して、断熱層の耐クラック性及び耐剥離性をより一層向上させることができる。
上記エンジン燃焼室部材の断熱構造体において、上記断熱層は、非磁性材料からなる中空状粒子を更に含むことが好ましい。
こうすることで、非磁性材料(例えば無機酸化物)からなる中空状粒子により、断熱層による燃焼室の断熱性を容易に向上させることができる。尚、断熱層に、非磁性材料からなる中空状粒子を含有させる代わりに、磁性材料からなる中空状粒子を上記磁性粉末として含有させるようにすることも可能である。
本発明の別の態様は、エンジンの燃焼室に臨むエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法を対象として、上記エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に、断熱層を形成する断熱層形成工程を備え、上記断熱層形成工程は、上記エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に、シリコーン系樹脂と磁性粉末とを含む塗布物を塗布する塗布工程と、上記塗布工程で塗布された塗布物に対して外部から交番磁場を与えることで上記磁性粉末を発熱させることによって、上記シリコーン系樹脂の一部をSi系酸化物とする酸化物生成工程と、を有している、というものである。
上記製造方法により、シリコーン系樹脂の一部がSi系酸化物となり、シリコーン系樹脂と、磁性粉末と、上記シリコーン系樹脂の一部が酸化されてなるSi系酸化物とを含む断熱層が容易に得られる。このSi系酸化物により、上記の如く、断熱層の硬さが向上して、燃焼圧によって断熱層が変形することを防止することができる。また、柔軟性を有するシリコーン系樹脂が残存することで、断熱層にクラックが生じたり断熱層が剥離したりすることを防止することができ、さらに、断熱層内への燃料の浸み込みを防止することができる。
上記エンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法において、上記塗布物は、非磁性材料からなる中空状粒子を更に含むことが好ましい。
このことで、非磁性材料からなる中空状粒子により、断熱層による燃焼室の断熱性を容易に向上させることができる。上記塗布物に、非磁性材料からなる中空状粒子を含有させる代わりに、磁性材料からなる中空状粒子を上記磁性粉末として含有させるようにすることも可能である。
本発明の更に別の態様は、エンジンの燃焼室に臨むエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法を対象として、上記エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に、断熱層を形成する断熱層形成工程を備え、上記断熱層形成工程は、上記エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に、シリコーン系樹脂を含む第1塗布物を塗布する第1塗布工程と、上記燃焼室壁面に塗布された第1塗布物上に、シリコーン系樹脂と磁性粉末とを含む第2塗布物を塗布する第2塗布工程と、上記第1及び第2塗布工程で塗布された第1及び第2塗布物に対して外部から交番磁場を与えることで上記磁性粉末を発熱させることによって、少なくとも上記第2塗布物の上記シリコーン系樹脂の一部をSi系酸化物とする酸化物生成工程と、を有している、というものである。
上記製造方法により、断熱層の深層側に、第1塗布物からなる層が形成され、表面側に、第2塗布物からなる層が形成される。そして、第2塗布物の磁性粉末の発熱により、少なくとも第2塗布物のシリコーン系樹脂の一部が酸化されてSi系酸化物となるので、上記の如く、Si系酸化物を、断熱層の深層側よりも表面側に多く含まれるようにすることができる。
上記エンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法において、上記第1及び第2塗布物は、非磁性材料からなる中空状粒子を更に含むことが好ましい。
このことで、非磁性材料からなる中空状粒子により、断熱層による燃焼室の断熱性を容易に向上させることができる。尚、上記第2塗布物に、非磁性材料からなる中空状粒子を含有させる代わりに、磁性材料からなる中空状粒子を上記磁性粉末として含有させるようにすることも可能である。
以上説明したように、本発明によると、断熱層が、シリコーン系樹脂と、磁性粉末と、上記シリコーン系樹脂の一部が酸化されてなるSi系酸化物とを含むことにより、燃焼圧によって断熱層が変形することを防止することができるとともに、この断熱層にクラックが生じたり断熱層が剥離したりすることを防止することができ、さらに、断熱層内への燃料の浸み込みを防止することができる。
本発明の実施形態に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体が適用されたエンジンを示す断面図である。 上記エンジンのピストンの頂部を拡大して示す拡大図である。 断熱層の第1例を示す断面図である。 磁場付与装置を示す断面図である。 断熱層の第2例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体が適用されたエンジンEを示す。同図において、1はピストン、3はシリンダブロック、5はシリンダヘッド、7はシリンダヘッド5の吸気ポート9を開閉する吸気バルブ、11は排気ポート13を開閉する排気バルブ、15は燃料噴射弁である。ピストン1がシリンダブロック3のシリンダボア内を往復動する。ピストン1、シリンダブロック3及びシリンダヘッド5は、アルミニウム合金製である。
エンジンEの燃焼室は、ピストン1の頂面、シリンダブロック3、シリンダヘッド5、吸排気バルブ7,11の傘部前面(燃焼室に臨む面)で形成される。ピストン1の頂面における中央部には、凹陥状のキャビティ17が形成されている。同図において、27はピストンリングである。尚、点火プラグの図示は省略している。
上記エンジンEは、好ましくは、例えば、幾何学的圧縮比ε=20〜50とされ、少なくとも部分負荷域での空気過剰率λ=2.5〜6.0で運転されるリーンバーンエンジンである。このようなエンジンEでは、圧縮比ε及び空気過剰率λに見合う所期の熱効率を得るために、冷損を大幅に低減させること、すなわち、エンジン燃焼室の断熱性を高くすることが求められる。
図示は省略するが、上記エンジンEの吸気系には吸気を冷却するインタークーラーが設けられている。これにより、圧縮開始時の筒内ガス温度が低くなり、燃焼時のガス圧及び温度の上昇が抑えられ、冷損低減(図示熱効率の改善)に有利になる。
エンジン燃焼室の断熱性向上のために、本実施形態では、図2に示すように、エンジン燃焼室部材としてのピストン1の頂面(燃焼室壁面)に断熱層21が形成されている。この断熱層21は、上記キャビティ17の内面を含めて、ピストン1の頂面全体に形成されている。図示は省略しているが、エンジン燃焼室部材としてのシリンダブロック3及びシリンダヘッド5各々の燃焼室壁面にも、ピストン1の頂面の断熱層21と同様の断熱層が形成されている。尚、ピストン1の頂面だけでなく、ピストン1の周側面(特に、該周側面における燃焼室側の端部)にも断熱層21を形成してもよい。
図3は、上記断熱層21の第1例を示す。この断熱層21は、シリコーン系樹脂を主体とする層である。具体的には、断熱層21は、シリコーン系樹脂からなる母材(マトリックス)31に加えて、この母材31に分散配合された、磁性粉末(磁性粒子)32、上記シリコーン系樹脂の一部が酸化されてなるSi系酸化物33、及び、非磁性材料(例えば無機酸化物)からなる中空状粒子34を含む。
シリコーン系樹脂としては、例えば、メチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂に代表される、分岐度の高い3次元ポリマーからなるシリコーン樹脂を好ましく用いることができる。シリコーン樹脂の具体例としては、例えばポリアルキルフェニルシロキサンを挙げることができる。
断熱層21が上記のようなシリコーン系樹脂を含むことで、断熱層21とピストン1との熱膨張率差が小さく、また、シリコーン樹脂が柔軟性を有するので、シリコーン樹脂がピストン1の熱膨張を吸収し、これにより、断熱層21にクラックが生じたり断熱層21が剥離したりすることを防止することができる。この結果、クラック等を介した断熱層21内への燃料の浸み込みを防止することができる。また、シリコーン系樹脂自体は緻密であるので、断熱層21にクラック等が生じていない状態では、断熱層21内に燃料が浸み込むことはない。
上記断熱層21において、母材31が熱伝導率の低いシリコーン系樹脂で構成され、かつ中空状粒子34を含むことで熱伝導性の低い空気が多く存在することから、低熱伝導性の層になっている。これにより、断熱層21による燃焼室の高い断熱性が得られる。
尚、断熱層21に非磁性材料からなる中空状粒子34を含有させる代わりに、磁性材料からなる中空状粒子を磁性粉末32として含有させてもよい。また、シリコーン系樹脂の熱伝導率が低いので、断熱の程度によっては、断熱層21に、非磁性材料からなる中空状粒子34及び磁性粉末32としての中空状粒子を含まないようにすることも可能である。但し、幾何学的圧縮比ε=20〜50とされるような上記エンジンEでは、高レベルの断熱性が要求されるため、断熱層21に、非磁性材料からなる中空状粒子34又は磁性粉末32としての中空状粒子が含まれていることが好ましい。
無機酸化物からなる中空状粒子34としては、アルミナバブル、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、エアロゲルバルーン等のセラミック系中空状粒子を採用することが好ましい。各々の材質及び粒径は表1の通りである。
Figure 2014092035
例えば、フライアッシュバルーンの化学組成は、SiO;40.1〜74.4%、Al;15.7〜35.2%、Fe;1.4〜17.5%、MgO;0.2〜7.4%、CaO;0.3〜10.1%(以上は質量%)である。シラスバルーンの化学組成は、SiO;75〜77%、Al;12〜14%、Fe;1〜2%、NaO;3〜4%、KO;2〜4%、IgLoss;2〜5%(以上は質量%)である。なお、中空状粒子34の粒子径は、平均で10μm、最大でも50μm以下が好ましく、その含有率は、断熱層21の信頼性の観点から、断熱層21全体に対して質量百分率で50%以下が好ましい。
上記磁性粉末32は、後述するように、上記母材31のシリコーン系樹脂の一部を上記Si系酸化物33とするために用いられる。磁性粉末32の粒径は、例えば5μm〜10μmである。磁性粉末32は、Si系酸化物33によって覆われている。これは、後述の如く、磁性粉末32の鉄損(渦電流損及びヒステリシス損)による発熱によりSi系酸化物33が生成されるからである。すなわち、磁性粉末32の周囲のシリコーン系樹脂が最初に酸化されて、磁性粉末32の周囲にSi系酸化物33が生成されるからである。図3では、磁性粉末32の周囲にしかSi系酸化物33が生成されていない状態になっているが、実際には、磁性粉末32の周囲に生成されたSi系酸化物33は、その周囲に更に広がって、他の磁性粉末の周囲に生成されたSi系酸化物と結合される。
上記磁性粉末32の材料は、鉄損が大きくかつ飽和磁化値が大きくて、しかも、キュリー温度が、後述の設定温度(例えば300℃〜400℃)よりも高い材料が好ましく、例えば、Feを初め、Fe−Si系、Fe基アモルファス(Fe−B−Si系)、Fe−C系等の金属間化合物が挙げられる。Fe−Si系の金属間化合物は、一般的に、熱伝導率が低いため、断熱の観点からも好適である。
上記Si系酸化物33は、上記シリコーン系樹脂が加熱により結晶化してSiOとなる過程の途中の状態のものである。このSi系酸化物としては、SiOも含まれているが、基本的には、SiO以外の、SiとOとが結合したSiO系化合物である。このようなSi系酸化物33により、断熱層21の硬さが向上して、燃焼圧によって断熱層21が変形することを防止することができる。また、また、断熱層21が、このようなSi系酸化物33を含んでいても、SiOとは異なり、シリコーン系樹脂による断熱層21の耐クラック性及び耐剥離性は維持される。
上記磁性粉末32が発熱すべき発熱量は、断熱層21の温度が、予め設定された設定温度になるような発熱量である。この設定温度は、上記Si系酸化物33が得られかつ断熱層21の硬さが燃焼圧により変形しない程度に硬くなるような温度であって、結晶化したSiOが生成される温度(約600℃)よりも低い温度(例えば300℃〜400℃)である。このような発熱量が得られるように、磁性粉末32の含有量や交番磁場の周波数を設定しておけばよい。
磁性粉末32の単位質量当たりの鉄損Wa(単位:W/kg)は、
Wa=Kh×f+Ke×f …(1)
で求まる。
上記式(1)において、Kh(単位:W・s/kg)はヒステリシス損係数であり、Ke(単位:W・s/kg)は渦電流損係数であり、f(単位:Hz)は、交番磁場の周波数である。ヒステリシス損係数及び渦電流損係数の値は、磁性粉末32の材質及び励磁時の磁性粉末32の磁束密度によって決まる。
磁性粉末32の単位質量当たりの鉄損Waに、断熱層21における磁性粉末32の含有量γ(単位:kg)を掛けることで、磁性粉末32の発熱量Wb(単位:W)が求まる。
磁性粉末32の発熱量Wbが、断熱層21の温度を上記設定温度にするための発熱量Q(単位:W)となるように、磁性粉末32の含有量γ、交番磁場の周波数f及び磁性粉末32の磁束密度の値を設定する。上記発熱量Qは、断熱層21からピストン1への熱伝導、並びに、断熱層21及びピストン1表面から空気中への放射伝熱及び対流伝熱を考慮して計算する。
断熱層21における磁性粉末32の含有率及び断熱層21の厚みは、断熱層21の信頼性の観点からは一定の限界があり、このため、磁性粉末32の含有量γには制約がある。したがって、磁性粉末32の含有量γを先に決定しておいて、交番磁場の周波数fの値でもって、磁性粉末32の発熱量Wbが上記発熱量Qになるように調整するのがよい。本実施形態では、磁性粉末32の含有量γを例えば0.0013kgとして、交番磁場の周波数fは、200000Hz(200kHz)〜300000Hz(300kHz)となり、磁性粉末32の磁束密度は1.0Tとなる。尚、磁性粉末32の含有率は、断熱層21全体に対して、質量百分率で、例えば5〜20%とすればよい。
次に、上記ピストン1の頂面(上記凹陥部の内面を含む)に断熱層21を形成する方法を説明する。尚、他のエンジン燃焼室部材(シリンダブロック3及びシリンダヘッド5)においても、ピストン1の場合と同様の方法で断熱層を形成することができる。
先ず、ピストン1の頂面(断熱層21を形成すべき表面)に付着している油脂や指紋等の汚れを除去するとともに、ピストン1と断熱層21(シリコーン系樹脂)との付着力を高めるべく、必要に応じてサンドブラスト等の下地処理を行なう。
また、シリコーン系樹脂と磁性粉末と中空状粒子とを攪拌・混合してなる塗布物を準備する。このとき、その塗布物の粘度を、希釈溶剤等の添加により調整する。
続いて、スプレー(塗装ガン)を用いて、ピストン1の頂面に、その全体に亘って上記塗布物を層状に塗布する。1回の塗布で得られる層状の塗布物(以下、塗布物層という)の厚みは、通常、20〜30μmであるので、塗布物層の厚さが、断熱層21としての所望の厚さ(例えば、150μm〜250μm)になるまで、複数回の塗布を行う(重ね塗り)。最後の回を除く各回の塗布物の塗布後に、塗布物層に対して、熱風乾燥、赤外線ヒータ等により、所定温度(例えば80℃)で予備乾燥を行う。最後の回の塗布物の塗布後は、塗布物層に対して、上記予備乾燥よりも高くかつ上記設定温度よりも低い温度(例えば120℃)で本乾燥を行い、これにより、上記塗布物の粘度の調整に用いた希釈溶剤等を蒸発させる。
次いで、上記塗布物層が形成されたピストン1を、該塗布物層に対して交番磁場(交番磁界)を与えることが可能な磁場付与装置51にセットする。この磁場付与装置51は、例えば図4に示すように、ピストン1の頂面の断熱層21全体が入るような大径の管52を備えている。この管52の長さ方向(本例では、水平方向に一致)中央部の上部及び下部には、ピストン1が上下方向に通過可能な貫通孔52a,52bがそれぞれ形成されている。
上記管52における貫通孔52a,52bの左右両側には、コイル53がそれぞれ巻かれており、これらコイル53に交流電流をそれぞれ流すことで、管52内に、左側から右側に向かう磁界と、右側から左側に向かう磁界とを、上記交流電流の周波数に対応する周期でもって、交互に発生させるようになっている。
上記塗布物層が形成されたピストン1は、不図示の昇降装置によって、上記管52に対して上下移動可能に構成されていて、下側の貫通孔52bから管52内に挿入される。このとき、ピストン1全体を管52内に挿入してもよいが、必ずしもそのようにする必要はなく、上記塗布物層及びピストン1における該塗布物層の近傍部分が管52内に挿入されればよい(例えば、図4に示すピストン1の挿入位置を参照)。このような挿入状態で、上記コイル53に交流電流を流すことで、上記塗布物層に対して外部から交番磁場を効率良く与えることができる。
尚、図4の磁場付与装置51の例では、塗布物層に対して、ピストン1の軸心方向に垂直な磁界を付与しているが、ピストン1の軸心方向に略沿った磁界を付与するようにしてもよい。この場合、ピストン1の径方向外側に、ピストン1と同心状に巻かれたコイルを設置して、このコイルに交流電流を流すようにすればよい。この構成では、ピストン1の軸心方向に略沿って磁界が生じるため、上記塗布物層を含めてピストン1の略全体に交番磁場が付与されることになる。
上記のようにして塗布物層に交番磁場を与えると、上記塗布物層内の磁性粉末がその鉄損によって発熱する。この発熱により、上記シリコーン系樹脂の一部が酸化されてSi系酸化物となる。こうして、上記塗布物層が断熱層21となる。
上記断熱層21が、シリコーン系樹脂の一部が酸化されてなるSi系酸化物33を含むので、断熱層21の硬さが向上して、燃焼圧によって断熱層21が変形することを防止することができる。また、シリコーン樹脂が柔軟性を有するので、シリコーン樹脂がピストン1の熱膨張を吸収し、これにより、断熱層21にクラックが生じたり断熱層21が剥離したりすることを防止することができる。この結果、クラック等を介した断熱層21内への燃料の浸み込みを防止することができる。また、シリコーン系樹脂自体は緻密であるので、断熱層21にクラックが生じていない状態では、断熱層21内に燃料が浸み込むことはない。
図5は、断熱層21の第2例を示す(尚、図3と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する)。この断熱層21は、深層側の基層21aと、表面側の表面層21bとを有している。本実施形態では、基層21a及び表面層21bの厚みは略同じである。尚、説明の便宜上、図5では、基層21aと表面層21bとが境界をもって接しているように描いているが、実際には、両層21a,21b間に明瞭なる境界はない。
表面層21bは、上記第1例と同様に、シリコーン系樹脂からなる母材(マトリックス)31に、磁性粉末32、Si系酸化物33及び非磁性材料からなる中空状粒子34が分散配合されてなる。表面層21bの磁性粉末32の発熱時に、表面層21bの温度が上記設定温度になり、これにより、上記第1例と同様に、シリコーン系樹脂の一部が酸化されてSi系酸化物33となっている。尚、上記第1例と同様に、表面層21bに非磁性材料からなる中空状粒子34を含有させる代わりに、磁性材料からなる中空状粒子を磁性粉末32として含有させてもよい。
一方、基層21aは、三次元架橋構造のシリコーン系樹脂からなる母材(マトリックス)31に非磁性材料からなる中空状粒子34が分散配合されてなる。すなわち、本例では、基層21aには、磁性粉末32が含有されていない。このため、表面層21b側からの熱により基層21aの温度は上昇するものの、シリコーン系樹脂が酸化するほどには温度が上がらず、シリコーン系樹脂の架橋が進むだけである。尚、基層21aにおける表面層21の近傍部分にSi系酸化物33が生成される場合はある。
したがって、本例では、Si系酸化物33は、断熱層21の深層側よりも表面側に多く含まれることになる。
尚、基層21aにも、磁性粉末32を含有させてもよい。この場合、基層21aにおける磁性粉末32の含有量を、表面層21bにおける磁性粉末32の含有量よりも少なくして、基層21a及び表面層21bの磁性粉末32の発熱時に、表面層21bでは上記設定温度になるようにし、基層21aでは上記設定温度よりも低い温度になるようにすることが好ましい。すなわち、Si系酸化物33が、断熱層21の深層側よりも表面側に多く含まれるようにする。
或いは、断熱層21を3層以上にして、該各層における磁性粉末32の含有量を、深層側から表面側に向かって順に多くなるようにしてもよい。この場合も、上記各層の磁性粉末32の含有量は、少なくとも最表面側の層では上記設定温度になるようにし、少なくとも最深層側の層では上記設定温度よりも低い温度になるようにすることが好ましい。
次に、本例の断熱層21を形成する方法を説明する。
上記第1例の断熱層21の形成方法と同様に、ピストン1の頂面に付着している油脂や指紋等の汚れを除去するとともに、ピストン1と断熱層21との付着力を高めるべく、必要に応じてサンドブラスト等の下地処理を行なう。
また、シリコーン系樹脂と中空状粒子とを攪拌・混合してなる第1塗布物を準備する。このとき、その第1塗布物の粘度を、希釈溶剤等の添加により調整する。
さらに、シリコーン系樹脂と磁性粉末と中空状粒子とを攪拌・混合してなる第2塗布物を準備する。このときも、その第2塗布物の粘度を、希釈溶剤等の添加により調整する。
尚、上記のように基層21aにも磁性粉末を含有させるようにする場合には、上記第2塗布物と同様に、上記第1塗布物にも磁性粉末を混合する。但し、第1塗布物における磁性粉末の含有量は、第2塗布物における磁性粉末の含有量よりも少なくする。
続いて、スプレー(塗装ガン)を用いて、ピストン1の頂面に、その全体に亘って上記第1塗布物を層状に塗布する。第1塗布物の塗布の回数は、上記第1例の断熱層21の形成時における塗布物の塗布の回数の半分とする。各回の第1塗布物の塗布後には、予備乾燥を行う。
その後、スプレー(塗装ガン)を用いて、上記ピストン1の頂面に塗布された層状の第1塗布物(第1塗布物層)上に、その全体に亘って上記第2塗布物を層状に塗布する。第2塗布物の塗布の回数は、第1塗布物の塗布の回数と同じにして、第1塗布物層上に塗布された層状の第2塗布物(第2塗布物層)の厚みを、第1塗布物層の厚みと略同じにする。最後の回を除く各回の第2塗布物の塗布後に予備乾燥を行い、最後の回の第2塗布物の塗布後に本乾燥を行う。
次いで、上記第1及び第2塗布物層が形成されたピストン1を、磁場付与装置51にセットして、コイル53に交流電流を流すことで、上記第1及び第2塗布物層に対して外部から交番磁場を与える。これにより、第2塗布物層の磁性粉末がその鉄損によって発熱し、この発熱により、第2塗布物層のシリコーン系樹脂の一部が酸化されてSi系酸化物となる。こうして、第2塗布物層が表面層21bとなる。
また、第1塗布物層では、表面層21b側からの熱により、シリコーン系樹脂の架橋が進むものの、第2塗布物層側の近傍部分を除いて、シリコーン系樹脂が酸化するほどには温度が上がらず、基本的にはSi系酸化物が生成されない。こうして、第1塗布物層が基層21aとなる。また、基層21aは、シリコーン系樹脂の架橋が進む過程で当該三次元架橋構造のシリコーン系樹脂を介してピストン1に結合した状態になる。
尚、上記第1塗布物層に磁性粉末が含まれている場合も、その磁性粉末の含有量の調整により、第1塗布物層の温度が上記設定温度よりも低い温度になるようにしておけば、Si系酸化物が生成されたとしても、その量は第1塗布物層よりも少なくなる。
以上により、図5に示す基層21aと表面層21bとからなる断熱層21が、ピストン1の頂面に形成される。
基層21aと表面層21bとからなる断熱層21では、燃焼圧による断熱層21の変形を防止しつつ、ピストン1の熱膨張をより効果的に吸収して、断熱層21の耐クラック性及び耐剥離性をより一層向上させることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、エンジン燃焼室部材がアルミニウム合金製であるが、エンジン燃焼室部材の材料は、これに限られるものではない。但し、エンジン燃焼室部材に磁性材料が含まれている場合には、磁場付与装置51によるSi系酸化物の生成時に該エンジン燃焼室部材が発熱して塗布物層のシリコーン系樹脂を酸化させる可能性があるので、エンジン燃焼室部材の材料としては、非磁性の金属材料が好ましい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、エンジン燃焼室の断熱性を向上させるために、エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に断熱層を形成する場合に有用である。
1 ピストン(エンジン燃焼室部材)
2 シリンダブロック(エンジン燃焼室部材)
3 シリンダヘッド(エンジン燃焼室部材)
21 断熱層
31 断熱層の母材(シリコーン系樹脂)
32 磁性粉末
33 Si系酸化物
34 中空状粒子

Claims (8)

  1. エンジンの燃焼室に臨むエンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に断熱層が形成された、エンジン燃焼室部材の断熱構造体であって、
    上記断熱層は、シリコーン系樹脂と、磁性粉末と、上記シリコーン系樹脂の一部が酸化されてなるSi系酸化物とを含むことを特徴とするエンジン燃焼室部材の断熱構造体。
  2. 請求項1記載のエンジン燃焼室部材の断熱構造体において、
    上記磁性粉末は、上記Si系酸化物によって覆われていることを特徴とするエンジン燃焼室部材の断熱構造体。
  3. 請求項1又は2記載のエンジン燃焼室部材の断熱構造体において、
    上記Si系酸化物は、上記断熱層の深層側よりも表面側に多く含まれていることを特徴とするエンジン燃焼室部材の断熱構造体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジン燃焼室部材の断熱構造体において、
    上記断熱層は、非磁性材料からなる中空状粒子を更に含むことを特徴とするエンジン燃焼室部材の断熱構造体。
  5. エンジンの燃焼室に臨むエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法であって、
    上記エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に、断熱層を形成する断熱層形成工程を備え、
    上記断熱層形成工程は、
    上記エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に、シリコーン系樹脂と磁性粉末とを含む塗布物を塗布する塗布工程と、
    上記塗布工程で塗布された塗布物に対して外部から交番磁場を与えることで上記磁性粉末を発熱させることによって、上記シリコーン系樹脂の一部をSi系酸化物とする酸化物生成工程と、
    を有していることを特徴とするエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法。
  6. 請求項5記載のエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法において、
    上記塗布物は、非磁性材料からなる中空状粒子を更に含むことを特徴とするエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法。
  7. エンジンの燃焼室に臨むエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法であって、
    上記エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に、断熱層を形成する断熱層形成工程を備え、
    上記断熱層形成工程は、
    上記エンジン燃焼室部材の燃焼室壁面に、シリコーン系樹脂を含む第1塗布物を塗布する第1塗布工程と、
    上記燃焼室壁面に塗布された第1塗布物上に、シリコーン系樹脂と磁性粉末とを含む第2塗布物を塗布する第2塗布工程と、
    上記第1及び第2塗布工程で塗布された第1及び第2塗布物に対して外部から交番磁場を与えることで上記磁性粉末を発熱させることによって、少なくとも上記第2塗布物の上記シリコーン系樹脂の一部をSi系酸化物とする酸化物生成工程と、
    を有していることを特徴とするエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法。
  8. 請求項7記載のエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法において、
    上記第1及び第2塗布物は、非磁性材料からなる中空状粒子を更に含むことを特徴とするエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法。
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