JP2014090575A - Ipmモータ用ロータ - Google Patents
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Abstract
【課題】スロットに対して永久磁石を干渉しながらスロットに挿入してスロット内に永久磁石を固定する構成のIPMモータ用ロータロータに関し、スロットのステータ側の側面とこれに対向する回転シャフト側の側面と永久磁石の間の隙間を完全に解消することのできるIPMモータ用ロータを提供する。
【解決手段】ロータコア10と、その軸中心に配設された回転シャフト20と、ロータコア10においてその軸方向に貫通したスロット12と、スロット12に埋設された永久磁石30とからなり、スロット12はロータコア10の周方向に並んで複数配設されているIPMモータ用ロータ100において、スロット12の内周面に略平行の2つの面12a1,12a2が少なくともあり、2つの面の少なくとも一方には回転シャフトの軸方向に略平行な2以上のスリット13が設けてあり、永久磁石30が2つの面12a1,12a2に隙間なく埋設されている。
【選択図】図1
【解決手段】ロータコア10と、その軸中心に配設された回転シャフト20と、ロータコア10においてその軸方向に貫通したスロット12と、スロット12に埋設された永久磁石30とからなり、スロット12はロータコア10の周方向に並んで複数配設されているIPMモータ用ロータ100において、スロット12の内周面に略平行の2つの面12a1,12a2が少なくともあり、2つの面の少なくとも一方には回転シャフトの軸方向に略平行な2以上のスリット13が設けてあり、永久磁石30が2つの面12a1,12a2に隙間なく埋設されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁石埋め込み型のIPMモータ用のロータに関するものである。
永久磁石をロータ内部に埋め込んでなる磁石埋め込み型モータ(以下、IPMモータという)は、コイルと永久磁石の吸引力/反発力に起因するマグネットトルクに加えてリラクタンストルクを得ることができるため、永久磁石をロータ外周面に貼着してなる表面磁石型モータ(SPMモータ)に比して高トルクかつ高効率である。したがって、このIPMモータは、高出力性能が要求されるハイブリット車や電気自動車の駆動用モータ等に使用されている。なお、この永久磁石としては、希土類磁石やフェライト磁石、アルニコ磁石等の焼結磁石が一般に用いられている。
上記するIPMモータでは、ロータコアに形成されたスロットへの永久磁石のスムーズな挿入とスロットエッジにて永久磁石が損傷するのを回避するために、スロットの寸法を永久磁石のそれよりも大寸法に設定しておき、非磁性素材の樹脂を磁石用スロットの側方でこれに連通している樹脂充填用スロットに充填し、硬化させて永久磁石を固定する方法が一般に用いられている。
しかしながら、スロットの寸法が永久磁石よりも大きいことにより、仮に永久磁石の側面を上記非磁性素材の樹脂にて固定できたとしても、永久磁石とスロットのステータ側の側面とが当接された姿勢で該永久磁石が固定される保証はなく、たとえばスロットのステータ側の側面と永久磁石の間に充填樹脂が入り込んで硬化することは往々にしてあり得る。このスロットのステータ側の側面と永久磁石の間の隙間や、この隙間に入り込んで硬化した樹脂材は磁気抵抗を増加させる要因となり、これらによって、ステータ側からロータ内の永久磁石に入り込むリラクタンストルクに寄与する磁束の流れや、永久磁石からステータ側に流れ出すマグネットトルクに寄与する磁束の流れが阻害される結果、モータ効率の低下や出力トルクの低下が齎されることとなってしまう。
なお、従来のIPMモータ用ロータに関し、スロット内にそれよりも小寸法の永久磁石を挿入し、該スロットのロータ中央側にバネ挿入用の溝を設け、これにバネを固定し、このバネによって永久磁石をスロットのステータ側の側面に押圧する技術が特許文献1,2に開示されている。
これらのロータ構成によれば、永久磁石とスロットのステータ側の側面との間の隙間は解消されるものの、スロット内にばねを設けることが極めて困難であることは理解に易く、また、一般に小寸法のスロット内にばねを設けること自体、非現実的であって、これが近時その生産が急拡大しているハイブリッド車の駆動用モータに供される場合には、ロータの増産には到底寄与できるものではないと考えられる。
一方、特許文献3には、相対寸法の大きなスロット内に永久磁石を挿入し、Oリングにてスロット内固定を実施する技術の開示がある。しかし、Oリングを使用することで、永久磁石のステータ側の側面とスロットの側面との間に隙間が形成されることは必至であり、これらの間の磁気抵抗が増加することとなってしまう。
さらに、特許文献4には、従来構造のものと同様に永久磁石よりも大きな寸法のスロットを有するロータの該スロット内に永久磁石を挿入し、特に、永久磁石のステータ側の側面とスロットのステータ側の側面との間に形成され得るエアギャップを完全に閉塞するべく、ロータコアの両端部に配されるエンドプレートのうち、各スロットおよび永久磁石に対応する位置にそれぞれの永久磁石と当接する当接部を設けておき、この当接部で少なくとも永久磁石のステータ側の側面をスロットのステータ側の側面に押し当てた構成を有するIPMモータ用ロータが開示されている。
特許文献4で開示のIPMモータ用ロータによれば、永久磁石のステータ側の側面とスロットのステータ側の側面の間が完全に密着した構造を呈することで、永久磁石からステータ側に流れるマグネットトルクに寄与する磁束流れの阻害要因であったエアギャップ等を廃し、この磁束流れの促進を図ることができる。しかしながら、ここで開示されるIPMモータ用ロータによっても、スロットの寸法が永久磁石よりも大きいことから、スロットと永久磁石の間の隙間を完全に解消することは難しいものと考えられる。
そこで、本発明者等は、スロットに永久磁石を干渉させながら挿入してスロット内に永久磁石を固定する構成のロータに立ち返り、この構成のロータの有する上記固有の課題である、永久磁石のスムーズな挿入ができないこと、およびスロットエッジとの干渉の際に永久磁石が損傷すること、の双方の課題を解消することにより、永久磁石とスロットの間の隙間(中でもスロットのステータ側の側面とこれに対向する回転シャフト側の側面と永久磁石の間の隙間)を完全に解消することのできる技術の発案に至っている。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、スロットに永久磁石を干渉させながら挿入してスロット内に永久磁石を固定する構成のIPMモータ用ロータロータに関し、永久磁石のスムーズな挿入を可能とし、スロットエッジにて永久磁石が損傷することを解消しながら、永久磁石とスロットの間の隙間、特にスロットのステータ側の側面とこれに対向する回転シャフト側の側面と永久磁石の間の隙間を完全に解消することのできるIPMモータ用ロータを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるIPMモータ用ロータは、複数の円形の電磁鋼板が積層されたロータコアと、ロータコアの軸中心に配設された回転シャフトと、ロータコアにおいてロータコアの軸方向に貫通したスロットと、スロットに埋設された永久磁石と、からなり、前記スロットはロータコアの周方向に並んで複数配設されているIPMモータ用ロータにおいて、スロットの内周面には略平行の2つの面が少なくともあり、前記2つの面の少なくとも一方には回転シャフトの軸方向に延びた2以上のスリットが設けてあり、前記永久磁石が前記2つの面に隙間なく埋設されていることを特徴とするものである。
本発明のIPMモータ用ロータは、略平行な2つの面を少なくとも備えたスロットにおける該2つの面と永久磁石の対応する側面を少なくとも相互に干渉させ、この干渉によってスロット内に永久磁石を固定するロータに関し、略平行な2つの面の少なくとも一方に2以上のスリットを形成しておき、永久磁石がこれら2つの面に隙間なく埋設されていく際にスリットが形成された領域が永久磁石挿入方向に撓むことにより、永久磁石とスロットが干渉しながらも永久磁石のスムーズな挿入を可能としたものである。さらに、スリットが形成された領域の撓みによってスロットエッジによる永久磁石の損傷が解消され、しかもスロット内に永久磁石が挿入された状態においては撓み姿勢のスリットが形成された領域によって永久磁石がスロットの側面に押し込まれ、スロットに永久磁石が確実に固定されたロータである。
永久磁石に比してスロットの寸法が大きな形態では、ロータコアやスロットの寸法ばらつきや温度変化によるこれらの寸法変化に起因したスロットと永久磁石の間の隙間を十分に制御し難い。これに対し、本発明のロータは、その構成要素である「永久磁石が2つの面と隙間なく埋設されていること」から理解できるようにスロットを構成する複数の面のうちの略平行な2つの面と永久磁石の一部を干渉させてこの干渉部分の隙間を完全に解消したものである。この構成によれば、製造公差や温度変化による寸法変化などの不確定要因に左右されることなく、このような寸法変化を撓み姿勢のスリットが形成された領域にて吸収しながら、スロットの側面に永久磁石を常時隙間なく固定しておくことができる。したがって、ロータ供用時において常に磁石の磁束を有効利用することが保証される。なお、2つの面が「略平行」とは、2つの面が完全に平行な形態、平行な状態から若干角度を有して並んでいる形態の双方を含む意味である。
たとえばロータコアに開設されたスロットと永久磁石双方の平面形状が矩形の場合に、通常は、スロットの側方(矩形の短辺の側方)には、漏れ磁束を低減させる形状を呈し、かつ、永久磁石をスロット内で固定するための樹脂充填用スロットがこのスロットと連通するようにして設けてある。本発明においても、このようなスロットの短辺側方に漏れ磁束を低減させる形状を呈した樹脂充填用スロットが矩形断面の磁石用スロットと連通した形態のスロットを適用するのがよく、スロットの2つの略平行な面と永久磁石の干渉によって永久磁石をスロット内に固定しながらも、樹脂充填用スロットにも樹脂を充填硬化させて永久磁石の固定をさらに強固なものとするのが好ましい。すなわち、このように樹脂充填用スロットを具備するスロットに永久磁石が挿入された形態においては、スロットの対向する長辺(ステータ側と回転シャフト側の各辺)に対応する側面とこれらに対応する永久磁石の側面のみが干渉することになる。
ロータ内に配設される永久磁石の配設形態によっては、1つの磁極が1つの永久磁石から形成されるもの、2以上の永久磁石から形成されるものなど、その形態は多様である。たとえば、2つの永久磁石が隙間を置いて、平面視で直線状に配されて1つの磁極を形成している形態、2つの永久磁石が隙間を置いて、平面視で略Vの字状に配されて1つの磁極を形成している形態、この平面視で略Vの字状の2つの永久磁石のさらにステータ側に1つの永久磁石が配された、3つの永久磁石からなる、いわゆるハルバッハ配置をなす形態、などを挙げることができる。
本発明のロータでは、スロットを構成する2つの面の少なくとも一方において回転シャフトの軸方向に延びた2以上のスリットが設けてある。
このスリットの幅や長さ、隣接するスリットとの間隔やスリットの本数などは、スロットに永久磁石が挿入されて固定される際の、永久磁石の挿入性(スムーズな挿入と挿入の際に永久磁石が損傷しない程度にスリットが形成された領域が可撓性を有していること)、スロットにおける永久磁石の固定強度などを勘案して設定されるのがよい。
たとえば、平面視で長さの比較的短いスリットを1つのスロットの回転シャフト側の側面に相互に平行な態様で比較的多くの基数(5〜10本程度)を配設して、スリットが形成された領域を構成することができる。
このように相互に平行な複数のスリットから構成されるスリットが形成された領域に対して永久磁石が干渉しながら挿入された際には、スリットの当初の幅がそのまま維持されながら各スリットが永久磁石の挿入方向に撓んで永久磁石を固定することになる。
これに対し、1つのスロットに2つのスリットが設けてあり、スリット間の間隔がスロット側で最も広く、スロットから離れるにしたがって狭くなるように2つのスリットが形成されている形態であってもよい。
たとえば、2つのスリットのそれぞれが平面視矩形のスロットの長手方向の2つの端部において、この長手方向に対してスリットの先端が一方のスリットに近づくように同様の角度で傾斜した態様で延設しているスリット形態を挙げることができる。
すなわち、2つのスリットの間の間隔は、スロット側で長く、スリット先端の回転シャフト側やロータコアの外周側(ステータ側)で短くなっており、この2つのスリットによってスリットが形成された領域が構成される。このようにスリットが2つしか存在しないことから、スリットが形成された領域を良好に撓ませるためにスリットの長さは比較的長く設定しておくのがよい。
そして、特にスロットの長手方向に直交する方向から傾斜して延設しているスリットに関しては、スロットに永久磁石が挿入されてスリットが形成された領域が撓んだ際に、スリットの幅を狭める方向の力成分が作用することとなり、特にスロットとの連通箇所でスリット幅を大きく減少させることができ、このスリット幅の減少によって磁気抵抗低減を図ることができる。
上記する本発明のIPMモータ用ロータは、スロットに永久磁石を挿入するに当たり、スムーズな挿入と双方の干渉の際に永久磁石が損傷しないことを保証することができる。さらに、スリットが形成された領域が撓みながら永久磁石をスロットに強固に固定することができる。また、特にスロットのステータ側の側面やこれに対向する側面と永久磁石との間に高い磁気抵抗となるエアギャップが存在しないことから、磁石用スロットの側方にある樹脂充填用スロットに充填された樹脂がこれらのエアギャップに入り込んで硬化することもなく、トルク性能や回転性能、モータ効率に優れたIPMモータを構成するロータとなる。したがって、このロータを具備するIPMモータは、近時その生産が拡大しており、高性能な駆動用モータの車載が急務の課題となっているハイブリッド車や電気自動車に好適である。
以上の説明から理解できるように、本発明のIPMモータ用ロータによれば、ロータコアに形成されているスロットの内周面に略平行の2つの面が少なくともあり、これら2つの面の少なくとも一方に回転シャフトの軸方向に延びた2以上のスリットが設けてあり、永久磁石がこれら2つの面に隙間なく埋設されている構成によって、永久磁石とスロットが干渉しながらも永久磁石のスムーズな挿入を可能とし、かつ、挿入の際にスロットエッジによって永久磁石が損傷することも解消できる。さらに、撓み姿勢のスリットが形成された領域に永久磁石が押し込まれてスロットの側面に強固に固定されたIPMモータ用ロータとなる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示例は、2つの永久磁石が隙間を置いて、平面視で略Vの字状に配されて一つの磁極を形成している形態を示しているが、これ以外にも、1つの磁極が1つの永久磁石から形成されるもの、2つの永久磁石が隙間を置いて平面視で直線状に配されて1つの磁極を形成している形態、平面視で略Vの字状の2つの永久磁石のさらにステータ側に1つの永久磁石が配された、3つの永久磁石からなるハルバッハ配置をなす形態などであってもよいことは勿論のことである。
(IPMモータ用ロータの実施の形態1)
図1は本発明のIPMモータ用ロータの実施の形態1の斜視図であり、図2は図1の斜視図においてスロットとスロットに挿入固定された永久磁石を拡大した図であり、図3は図2のIII−III矢視図である。また、図4はスロットと永久磁石の寸法を説明した模式図である。
図1は本発明のIPMモータ用ロータの実施の形態1の斜視図であり、図2は図1の斜視図においてスロットとスロットに挿入固定された永久磁石を拡大した図であり、図3は図2のIII−III矢視図である。また、図4はスロットと永久磁石の寸法を説明した模式図である。
図1で示すIPMモータ用ロータ100は、円盤状の電磁鋼板1,…が積層され、これらがかしめ等されることでロータコア10が形成され、このロータコア10の中央位置には回転シャフト用スロット11が開設されてここに回転シャフト20が挿入され、ロータコア10の外周側の周方向に2つのスロット12,12に永久磁石30、30が挿入されて1つの磁極を構成したものが複数極形成されてその全体が構成されている。なお、図1において矢印Sはステータ側の方向を示している。
1つの磁極を構成する2つのスロット12,12は隙間(センターブリッジ)を置いて平面視で略Vの字状を成している。各スロット12は、平面視形状が横長矩形で永久磁石30が挿入される磁石用スロット12aと、この磁石用スロット12aに連通して漏れ磁束を低減しながら樹脂が充填されて永久磁石30のスロット内固定強度を高めるアウターブリッジ側の樹脂充填用スロット12bおよびセンターブリッジ側の樹脂充填用スロット12cから構成されている。
さらに、磁石用スロット12aのうち、ステータ側の側面12a1に平行な回転シャフト側の側面12a2には、ロータコアの軸方向に延びた2以上(図示例は5本)のスリット13が磁石用スロット12aと連通した態様で設けてあり、この5本のスリット13によってスリットが形成された領域14(図2の斜線部)を構成している。
各スリット13は、幅がr1、長さが比較的短い長さf1であり、スリット間の間隔はt1である。間隔t1を置いて複数のスリット13が配設されてなるスリットが形成された領域14は、ここに圧力が作用した際に撓み易くなっている。なお、スリット13の幅r1は可及的に狭く設定されているのが望ましい。
図4で示すように、スロット12を構成する平面視矩形の磁石用スロット12aの長手方向の長さはv1、幅はv2であるのに対し、磁石用スロット12aに挿入される平面視矩形の永久磁石30の長手方向の長さはv1、幅はv3であって磁石用スロット12aの幅v2よりも大きな幅となっている。
したがって、図3のように磁石用スロット12aに永久磁石30を挿入した際(X1方向)に、スリットが形成された領域14が永久磁石挿入方向に撓み(X2方向)、領域14が撓んだ状態でスロット12a内で永久磁石30を強固に固定することができる。さらに、モータ作動時にロータコア10の温度が上昇して熱変形した際には、スリットが形成されている箇所14の撓み量がこの熱変形を吸収でき、安定した永久磁石30の固定構造を維持することができる。
また、スロット12aの長さv2の幅よりも永久磁石30の長さv3の幅が大きいにも関わらず、スロット12aに永久磁石30を挿入した際にスリットが形成された領域14が撓むことで永久磁石30のスムーズな挿入が保証される。さらに、永久磁石30とスロット12aが干渉しながら永久磁石30が挿入されるにも関わらず、スリットが形成された領域14が適度に撓むことで永久磁石30を損傷させることもない。
なお、スリット13の幅r1や長さf1、隣接するスリットとの間隔t1やスリットの本数などは、スロット12に永久磁石30が挿入されて固定される際の、永久磁石30の挿入性(スムーズな挿入と挿入の際に永久磁石が損傷しない程度にスリットが形成された領域が可撓性を有していること)、スロット12における永久磁石30の固定強度(スリットが形成された領域が撓みすぎた場合には永久磁石の固定強度が低くなる)などを勘案して設定されるのがよい。本実施の形態では、スリット13の本数を比較的多くして撓み易さを保証する一方で、スリット13の長さを比較的短くして撓みすぎを抑制している。
また、図示するロータ100では、磁石用スロット12aに永久磁石30が挿入されて磁石用スロット12aのステータ側の側面12a1と回転シャフト側の側面12a2にて永久磁石30が挟持されて固定された後、アウターブリッジ側の樹脂充填用スロット12bとセンターブリッジ側の樹脂充填用スロット12cに樹脂が充填され、これが硬化することで永久磁石30のスロット12内における固定強度が一層高められている。ここで、充填される樹脂の素材としては、エポキシ樹脂やポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミドなどが挙げられ、さらに、放熱性を高めるためにフィラーを混合する場合には、シリカやアルミナ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などの無機フィラーが混合された樹脂が適用されてもよい。
図示例では、磁石用スロット12aの2つの側面12a1、12a2に永久磁石30が隙間なく強固に固定されていることから、アウターブリッジ側の樹脂充填用スロット12bとセンターブリッジ側の樹脂充填用スロット12cに樹脂が充填されても、この充填された樹脂が永久磁石30と2つの側面12a1、12a2の間に入り込んで硬化し、これが磁気抵抗を増加させる要因になるといった問題は生じ得ない。
ここで、図示を省略するが、平面視が略環状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出するティースとを備えた電磁鋼板,…が積層されてステータコアが形成され、このステータコアの内側に図示するロータ100が配設され、ロータ100に開設された回転シャフト用スロット11内に挿通固定された回転シャフト20がロータ100の外部でたとえば2つのベアリングギアにて回転自在に固定されてIPMモータが構成される。なお、図示するロータコア10、不図示のステータコアともに、電磁鋼板を積層した形態以外にも、鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−窒素系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−炭素系合金、鉄−ホウ素系合金、鉄−コバルト系合金、鉄−リン系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金および鉄−アルミニウム−シリコン系合金などの軟磁性金属粉末、もしくは軟磁性金属酸化物粉末がシリコーン樹脂等の樹脂バインダーで被覆された磁性粉末などからなる圧粉磁心にて成形されるものであってもよい。
また、永久磁石30は、希土類磁石やフェライト磁石、アルニコ磁石等を包含するものであり、希土類磁石としては、ネオジムに鉄とボロンを加えた3成分系のネオジム磁石、サマリウムとコバルトとの2成分系の合金からなるサマリウムコバルト磁石などを挙げることができる。中でも、希土類磁石はフェライト磁石やアルニコ磁石に比して最大エネルギー積(BH)maxが高いことから、高出力が要求されるハイブリッド車等の駆動用モータへの適用に好適である。
(IPMモータ用ロータの実施の形態2)
図5は本発明のIPMモータ用ロータの実施の形態2の斜視図であり、図6は図5の斜視図においてスロットとスロットに挿入固定された永久磁石を拡大した図である。
図5は本発明のIPMモータ用ロータの実施の形態2の斜視図であり、図6は図5の斜視図においてスロットとスロットに挿入固定された永久磁石を拡大した図である。
図示するIPMモータ用ロータ100Aでは、磁石用スロット12aのうち、ステータ側の側面12a1と平行な回転シャフト側の側面12a2において、ロータコアの軸方向に延びた2本のスリット15,16が磁石用スロット12aとその両端部で連通した態様で設けてあり、この2本のスリット15,16によってスリットが形成された領域14A(図6の斜線部)を構成している。
スリット15、16はいずれも磁石用スロット12aの両端部において、磁石用スロット12aの長手方向に対して一方のスリットの先端が他方のスリットに近づくように同程度の角度で傾斜した態様で延設しており、幅はともにr2、長さはともにf2である。
すなわち、2つのスリット15,16の間の間隔は、磁石用スロット側で長く(間隔はt2)、スリット15,16の先端の回転シャフト側で短くなっている(間隔はt3)。このようにスリットの本数が2つしかないことから、スリット15,16が形成された領域14Aを良好に撓ませるためにスリットの長さを実施の形態1のスリット13に比して長く設定している。
そして、スリット15,16がともに磁石用スロット12aの長手方向に直交する方向から傾斜して延設していることから、磁石用スロット12aに永久磁石30が挿入されてスリットが形成された領域14Aが撓んだ際に、スリット15,16の幅r2を狭める方向の力成分qが作用することになる。この作用する力成分qによって特に磁石用スロット12aとの連通箇所でスリット幅を大きく減少させることができ、このことによって磁気抵抗低減を図り、リラクタンストルクの低減を少なくすることができる。
スリットが形成された領域14Aにおいても、2つのスリット15,16によってここに圧力が作用した際に撓み易くなっている。したがって、磁石用スロット12aに永久磁石30が挿入された際に、スリットが形成された領域14Aが永久磁石挿入方向に撓み、領域14Aが撓んだ状態でスロット12a内で永久磁石30を強固に固定することができる。また、スムーズな永久磁石30の挿入や、この挿入の際に永久磁石30を損傷させない点に関しては実施の形態1のロータ100と同様である。
また、スロット12aの長さv2の幅よりも永久磁石30の長さv3の幅が大きいにも関わらず、スロット12aに永久磁石30を挿入した際にスリットが形成された領域14Aが撓むことで永久磁石30のスムーズな挿入が保証できる。さらに、永久磁石30とスロット12aが干渉しながら永久磁石30が挿入されるにも関わらず、スリットが形成された領域14Aが適度に撓むことで永久磁石30を損傷させることもない。
本実施の形態では、スリット15,16の本数を少なくする一方でスリットの長さを長くして撓み易さを保証している。また、モータ作動時にロータコア10の温度が上昇して熱変形した際には、スリットが形成されている箇所14Aの撓み量がこの熱変形を吸収でき、安定した永久磁石30の固定構造を維持することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…電磁鋼板、10…ロータコア、11…回転シャフト用スロット、12…スロット、12a…磁石用スロット、12a1…ステータ側の側面、12a2…回転シャフト側の側面、12b…アウターブリッジ側の樹脂充填用スロット、12c…センターブリッジ側の樹脂充填用スロット、13…スリット、14,14A…スリットが形成された領域、15,16…スリット(スロットの長手方向に直交する方向に対して傾斜した方向のスロット)、20…回転シャフト、30…永久磁石、40…固定用樹脂、100,100A…IPMモータ用ロータ(ロータ)、S…ステータ側の方向
Claims (2)
- 複数の円形の電磁鋼板が積層されたロータコアと、
ロータコアの軸中心に配設された回転シャフトと、
ロータコアにおいてロータコアの軸方向に貫通したスロットと、
スロットに埋設された永久磁石と、からなり、
前記スロットはロータコアの周方向に並んで複数配設されているIPMモータ用ロータにおいて、
スロットの内周面には略平行の2つの面が少なくともあり、
前記2つの面の少なくとも一方には回転シャフトの軸方向に延びた2以上のスリットが設けてあり、
前記永久磁石が前記2つの面に隙間なく埋設されていることを特徴とするIPMモータ用ロータ。 - 1つのスロットに2つのスリットが設けてあり、スリット間の間隔がスロット側で最も広く、スロットから離れるにしたがって狭くなるように2つのスリットが形成されている請求項1に記載のIPMモータ用ロータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012239121A JP2014090575A (ja) | 2012-10-30 | 2012-10-30 | Ipmモータ用ロータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012239121A JP2014090575A (ja) | 2012-10-30 | 2012-10-30 | Ipmモータ用ロータ |
Publications (1)
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