JP2014084390A - ウレタン接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の被着体に対してプライマー組成物を用いることなく安定して優れた接着性を有するウレタン接着剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、ウレタンプレポリマーと、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体と、を含み、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体の含有量が、ウレタンプレポリマー100質量部に対して所定の範囲内であるウレタン接着剤組成物である。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、ウレタンプレポリマーと、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体と、を含み、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体の含有量が、ウレタンプレポリマー100質量部に対して所定の範囲内であるウレタン接着剤組成物である。
【選択図】なし
Description
本発明は、ウレタン接着剤組成物に関する。
湿気硬化を利用した各種のウレタン組成物が自動車分野、建築分野等の多方面で広く用いられている。特に、自動車内装用接着剤や、建築用シーラントに用いられるポリウレタン樹脂組成物には、ガラス、金属、プラスチック、塗装鋼板、モルタル、塩化ビニル等の種々の被着体に対する優れた接着性が要求されている。
このようなポリウレタン樹脂組成物として、例えば、ウレタンプレポリマーと充填剤と可塑剤とからなる予備組成物と、特定の接着付与材と、有機スズ化合物とを、前記各成分が特定の関係を有するようにそれぞれ所定量含有し、難接着性塗板などの種々の被着体に対してプライマーを塗布することなく接着性に優れる一液湿気硬化型ウレタン組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
自動車のボディ、フロントドア、リヤドア、バックドア、フロントバンパー、リアバンパー、ロッカーモールなど自動車の内外装部品には一般に鋼板が使用されているが、自動車の軽量化を図ると共に材料着色化に優れるなどの観点から、自動車の内外装部品にポリオレフィン系樹脂などのポリプロピレン樹脂などの材料が使用される傾向にある。
このようなポリプロピレン樹脂などの材料を用いて得られる自動車の内外装部品は接着剤との接着性が低く、難接着性塗板である。そのため、上記のような特許文献に記載されたウレタン系の接着剤組成物はプライマーを使用しないことを前提としているが、ポリプロピレン樹脂などの材料を用いて得られる自動車の内外装部品に対しては自動車の内外装部品同士の接着性を十分確保することができない場合があるため、プライマーを塗布する場合があった。
しかしながら、ポリプロピレン樹脂など難接着な材料を用いて得られる自動車の内外装部品同士の接着の手間を少しでも簡略化してより簡単に自動車の内外装部品同士を安定して接着できるように、プライマー組成物を用いずに自動車の内外装部品同士を直接接着させても安定して十分な接着性を確保することができるウレタン接着剤組成物が求められている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、種々の被着体に対してプライマー組成物を用いることなく安定して優れた接着性を有するウレタン接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明は、次に示す(1)〜(4)である。
(1) ウレタンプレポリマーと、
塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体と、を含有し、
前記塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体の含有量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して1質量部以上15質量部以下であることを特徴とするウレタン接着剤組成物。
(2) エステル系可塑剤を含み、
前記エステル系可塑剤の含有量が前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して5質量部以上45質量部以下である上記(1)に記載のウレタン接着剤組成物。
(3) 前記塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体は、前記塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体中にヒドロキシアルキルアクリレートを1質量%以上15質量%以下含む上記(1)または(2)に記載のウレタン接着剤組成物。
(4) フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理またはイトロ処理の何れかで表面処理を施したポリプロピレン樹脂の接着面に塗布される上記(1)から(3)の何れか1つに記載のウレタン接着剤組成物。
(1) ウレタンプレポリマーと、
塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体と、を含有し、
前記塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体の含有量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して1質量部以上15質量部以下であることを特徴とするウレタン接着剤組成物。
(2) エステル系可塑剤を含み、
前記エステル系可塑剤の含有量が前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して5質量部以上45質量部以下である上記(1)に記載のウレタン接着剤組成物。
(3) 前記塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体は、前記塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体中にヒドロキシアルキルアクリレートを1質量%以上15質量%以下含む上記(1)または(2)に記載のウレタン接着剤組成物。
(4) フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理またはイトロ処理の何れかで表面処理を施したポリプロピレン樹脂の接着面に塗布される上記(1)から(3)の何れか1つに記載のウレタン接着剤組成物。
本発明によれば、種々の被着体に対してプライマー組成物を用いることなく安定して優れた接着性を有することができる。
以下、この発明について詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本実施形態に係る接着剤組成物(以下、「本実施形態の組成物」という。)は、ウレタンプレポリマーと、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体とを含むウレタン接着剤組成物である。本実施形態の組成物は、ウレタンプレポリマーを含有する主剤と、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体を含有する硬化剤とを含む。
<主剤>
本実施形態の組成物に含まれる主剤は、ウレタンプレポリマーを含有する。
本実施形態の組成物に含まれる主剤は、ウレタンプレポリマーを含有する。
(ウレタンプレポリマー)
本実施形態の組成物の主剤に含有されるウレタンプレポリマーは、分子内に複数のイソシアネート基を分子末端に含有するプレポリマーである。ウレタンプレポリマーは、取り扱いの観点から室温で液状であるものが好ましい。ウレタンプレポリマーの作製方法は、特に制限されるものではなく、従来より公知の方法が挙げられる。ウレタンプレポリマーは、例えば、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、イソシアネート基(NCO基)がヒドロキシ基(OH基)に対して過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物である。ウレタンプレポリマーは、一般に、0.5質量%以上10質量%以下のNCO基を分子末端に含有するものである。このイソシアネート基は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素のいずれに結合していてもよい。
本実施形態の組成物の主剤に含有されるウレタンプレポリマーは、分子内に複数のイソシアネート基を分子末端に含有するプレポリマーである。ウレタンプレポリマーは、取り扱いの観点から室温で液状であるものが好ましい。ウレタンプレポリマーの作製方法は、特に制限されるものではなく、従来より公知の方法が挙げられる。ウレタンプレポリマーは、例えば、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、イソシアネート基(NCO基)がヒドロキシ基(OH基)に対して過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物である。ウレタンプレポリマーは、一般に、0.5質量%以上10質量%以下のNCO基を分子末端に含有するものである。このイソシアネート基は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素のいずれに結合していてもよい。
ウレタンプレポリマーを作製する際に使用されるポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物;これらのイソシアネート化合物のカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物と後述するポリオール化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマー;などが挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ウレタンプレポリマーを作製する際に使用されるポリオール化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオールのいずれであってもよい。ポリオール化合物として、具体的には、ポリプロピレンエーテルジオール、ポリエチレンエーテルジオール、ポリプロピレンエーテルトリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシブチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリマーポリオール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、シリコーンポリオール等が挙げられる。また、ヒマシ油などの天然系のポリオール化合物を使用してもよい。
上述したポリオールは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ポリオールとして、数平均分子量300以上15000以下が好ましく、400以上6000以下のポリエーテルポリオールがより好ましい。ポリエーテルポリオールの数平均分子量が上述の範囲であるとコストと物性(接着強度および柔軟性)との両面のバランスで優れる。
上記ウレタンプレポリマーを作製する際のポリオールとポリイソシアネートの当量比は、例えば、ポリオール中のヒドロキシ基に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)が、1.2〜2.2であるのが好ましく、1.5〜1.8であるのがより好ましい。
上記ウレタンプレポリマーの数平均分子量は2000以上であり、2000以上15000以下であることが好ましく、2000以上10000以下であることがより好ましい。
本実施形態の組成物の主剤としては、イソシアネート化合物を含有する1成分湿気硬化型ウレタン接着剤を使用することができる。1成分湿気硬化型ウレタン接着剤としては、例えば、横浜ゴム株式会社製、WS−292等を使用することができる。上記WS−292は、上記ウレタンプレポリマーに補強剤としてカーボンブラック、充填剤として炭酸カルシウムおよび触媒などを加え、自動車の内外装部品同士の接着をさせる目的で自動車の内外装部品の接着面に対して使用される、1成分系湿気硬化型のウレタン接着剤である。この場合、WS−292を使用するには接着面に予め専用プライマーを塗布する必要がある。
<硬化剤>
本実施形態の組成物に含まれる硬化剤は、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体を含有する。塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体とは、水酸基を有するアクリレートと塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との三次元共重合体である。水酸基を有するアクリレート(本実施形態では、水酸基含アクリレートともいう。)としては、ヒドロキシアルキルアクリレートが好ましく用いられる。ヒドロキシアルキルアクリレートのヒドロキシアルキル部分の水酸基数は1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。また、ヒドロキシアルキル基の炭素数は10以下が好ましく、6以下がより好ましい。このようなヒドロキシアルキルアクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレートなどが挙げられる。また、ヒドロキシアルキルアクリレートはヒドロキシアルキル基の炭素数が異なる2種以上を併用することができる。また、ヒドロキシアルキルアクリレートのアルキル基部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
本実施形態の組成物に含まれる硬化剤は、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体を含有する。塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体とは、水酸基を有するアクリレートと塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との三次元共重合体である。水酸基を有するアクリレート(本実施形態では、水酸基含アクリレートともいう。)としては、ヒドロキシアルキルアクリレートが好ましく用いられる。ヒドロキシアルキルアクリレートのヒドロキシアルキル部分の水酸基数は1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。また、ヒドロキシアルキル基の炭素数は10以下が好ましく、6以下がより好ましい。このようなヒドロキシアルキルアクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレートなどが挙げられる。また、ヒドロキシアルキルアクリレートはヒドロキシアルキル基の炭素数が異なる2種以上を併用することができる。また、ヒドロキシアルキルアクリレートのアルキル基部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
塩化ビニルはオレフィン単独重合体の一種である。オレフィン単独重合体として、例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ臭化ビニル、ポリ臭化ビニリデン、ヨウ化ビニル、ヨウ化ビニリデンなどが挙げられる。本実施形態においては、塩化ビニルが用いられる。
塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体の含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して1質量部以上15質量部以下であり、好ましくは3質量部以上12質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上10質量部以下である。塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体の含有量が1質量部以上の場合には、可塑剤が被着体側に移動するのを抑制できるため、被着体との接着性が十分得られると共に耐熱接着性および耐水接着性を向上させることができる。また、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体の含有量が15質量部以下の場合には、被着体との接着性が十分得られると共に、得られる硬化物は十分高い強度を有することができる。そのため、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体の含有量が上記範囲内である場合には、本実施形態の組成物は、オレフィン系樹脂などのポリプロピレン樹脂からなる被着体に対してプライマー組成物を用いることなく安定して優れた接着性を有する。
塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体は、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体中にヒドロキシアルキルアクリレートを1質量%以上15質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。ヒドロキシアルキルアクリレートの含有量が1質量%以上の場合には、可塑剤が被着体側に移動するのを抑制できるため、組成物の被着体との接着性を向上させることができる。また、ヒドロキシアルキルアクリレートの含有量が15質量%以下の場合には、組成物の被着体との接着性を十分向上させることができる。そのため、ヒドロキシアルキルアクリレートの含有量が上記範囲内である場合には、ポリプロピレン樹脂からなる被着体に対してプライマー組成物を用いることなく安定した接着性を維持するのに寄与することができる。
(可塑剤)
本実施形態の組成物は、主剤または硬化剤に可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤は、エステル系可塑剤であることが好ましい。エステル系可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系可塑剤、フマル酸エステル系可塑剤、スルホン酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、安息香酸エステル系可塑剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本実施形態においては、コストおよび作業性という観点から、可塑剤としてフタル酸エステル系可塑剤を用いることが好ましい。フタル酸エステル系可塑剤は例えばフタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニルなどの可塑剤として公知の化合物であり、各種市販品を用いることができる。
本実施形態の組成物は、主剤または硬化剤に可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤は、エステル系可塑剤であることが好ましい。エステル系可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系可塑剤、フマル酸エステル系可塑剤、スルホン酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、安息香酸エステル系可塑剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本実施形態においては、コストおよび作業性という観点から、可塑剤としてフタル酸エステル系可塑剤を用いることが好ましい。フタル酸エステル系可塑剤は例えばフタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニルなどの可塑剤として公知の化合物であり、各種市販品を用いることができる。
可塑剤の含有量は、好ましくは5質量部以上45質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上30質量部以下である。可塑剤の含有量が5質量部以上の場合には、良好な物性とくに弾性を付与することができる。また、可塑剤の含有量が45質量部以下の場合には、良好な作業性を付与することができる。そのため、可塑剤の含有量が上記範囲内である場合には、接着剤のゴム弾性と作業性の両方を接着剤へ付与することができる。
(充填剤)
本実施形態の組成物は、主剤または硬化剤に充填剤を含有するようにしてもよい。主剤及び硬化剤に含有される充填剤は、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、カーボンブラック、ホワイトカーボン、シリカ、ガラス、カオリン、タルク(ケイ酸マグネシウム)、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、クレー、焼成クレー、ベントナイト、ガラス、ガラス繊維、石綿、ガラスフィラメント、粉砕石英、ケイソウ土、ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、あるいはこれらの表面処理品等の無機質充填剤;カーボネート類、有機ベントナイト、ハイスチレン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、変性メラミン樹脂、環化ゴム、リグニン、エボナイト粉末、セラック、コルク粉末、骨粉、木粉、セルロースパウダー、ココナッツ椰子がら、木材パルプ等の有機質充填剤;ランプブラック、チタンホワイト、ベンガラ、チタンイエロー、亜鉛華、鉛丹、コバルトブルー、鉄黒、アルミ粉等の無機顔料およびネオザボンブラックRE、ネオブラックRE、オラゾールブラックCN、オラゾールブラックBa(いずれもチバ・ガイギー社製)、スピロンブルー2BH(保土ヶ谷化学社製)等の有機顔料等が挙げられる。中でも、所望の特性を付与するために、カーボンブラックと炭酸カルシウムを用いることが好ましい。これらのカーボンブラックおよび炭酸カルシウムとしては、特に限定されず、通常市販されているものを用いることができる。例えば、カーボンブラックは、米国材料試験協会規格における、N110、N220、N330、N550、N770等あるいはこれらの混合物が挙げられ、炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの充填剤は、1種単独でも2種以上を併用しても使用することができる。
本実施形態の組成物は、主剤または硬化剤に充填剤を含有するようにしてもよい。主剤及び硬化剤に含有される充填剤は、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、カーボンブラック、ホワイトカーボン、シリカ、ガラス、カオリン、タルク(ケイ酸マグネシウム)、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、クレー、焼成クレー、ベントナイト、ガラス、ガラス繊維、石綿、ガラスフィラメント、粉砕石英、ケイソウ土、ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、あるいはこれらの表面処理品等の無機質充填剤;カーボネート類、有機ベントナイト、ハイスチレン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、変性メラミン樹脂、環化ゴム、リグニン、エボナイト粉末、セラック、コルク粉末、骨粉、木粉、セルロースパウダー、ココナッツ椰子がら、木材パルプ等の有機質充填剤;ランプブラック、チタンホワイト、ベンガラ、チタンイエロー、亜鉛華、鉛丹、コバルトブルー、鉄黒、アルミ粉等の無機顔料およびネオザボンブラックRE、ネオブラックRE、オラゾールブラックCN、オラゾールブラックBa(いずれもチバ・ガイギー社製)、スピロンブルー2BH(保土ヶ谷化学社製)等の有機顔料等が挙げられる。中でも、所望の特性を付与するために、カーボンブラックと炭酸カルシウムを用いることが好ましい。これらのカーボンブラックおよび炭酸カルシウムとしては、特に限定されず、通常市販されているものを用いることができる。例えば、カーボンブラックは、米国材料試験協会規格における、N110、N220、N330、N550、N770等あるいはこれらの混合物が挙げられ、炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの充填剤は、1種単独でも2種以上を併用しても使用することができる。
(触媒)
本実施形態の組成物は、主剤と硬化剤との何れか一方または両方に触媒を含有するようにしてもよい。触媒は主剤及び硬化剤に含まれる重合体と反応可能なものであれば特に制限されない。触媒としては、特に限定されず、例えば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンオキサイド、ジブチルチンジメトキシド、ジブチルチンジマレエート、ジブチルチンビスアセチルアセトナート、ジブチルチンシリレート、オクチル酸ビスマスなどの金属触媒;オクタン酸錫、オクチル酸錫、ブタン酸錫、ナフテン酸錫、カプリル酸錫、オレイン酸錫、ラウリン酸錫等の2価の有機錫化合物;ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫ジオレエート、ジブチル錫ベンゾエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジフェニル錫ジアセテート、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機錫化合物;ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)などのような錫系キレート化合物;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン等の第一級アミン;ジブチルアミン等の第二級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、キシリレンジアミン等のポリアミン;トリエチレンジアミンおよびその誘導体、2−メチルトリエチレンジアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の環状アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール化合物;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール化合物等のアミン化合物およびそのカルボン酸塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセタート等の第四級アンモニウム塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物等が挙げられる。これらの中でも、微量で大きな触媒能を有するという観点から、錫系触媒、アミン系触媒が好ましい。これらの触媒は、1種単独でも2種以上を併用しても使用することができる。
本実施形態の組成物は、主剤と硬化剤との何れか一方または両方に触媒を含有するようにしてもよい。触媒は主剤及び硬化剤に含まれる重合体と反応可能なものであれば特に制限されない。触媒としては、特に限定されず、例えば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンオキサイド、ジブチルチンジメトキシド、ジブチルチンジマレエート、ジブチルチンビスアセチルアセトナート、ジブチルチンシリレート、オクチル酸ビスマスなどの金属触媒;オクタン酸錫、オクチル酸錫、ブタン酸錫、ナフテン酸錫、カプリル酸錫、オレイン酸錫、ラウリン酸錫等の2価の有機錫化合物;ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫ジオレエート、ジブチル錫ベンゾエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジフェニル錫ジアセテート、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機錫化合物;ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)などのような錫系キレート化合物;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン等の第一級アミン;ジブチルアミン等の第二級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、キシリレンジアミン等のポリアミン;トリエチレンジアミンおよびその誘導体、2−メチルトリエチレンジアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の環状アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール化合物;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール化合物等のアミン化合物およびそのカルボン酸塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセタート等の第四級アンモニウム塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物等が挙げられる。これらの中でも、微量で大きな触媒能を有するという観点から、錫系触媒、アミン系触媒が好ましい。これらの触媒は、1種単独でも2種以上を併用しても使用することができる。
本実施形態の組成物は主剤、硬化剤および上記任意の各成分を混合することにより得ることができる。本実施形態の組成物は、主剤、硬化剤および上記任意の各成分の他に、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤を含むことができる。添加剤としては、上記可塑剤、充填剤および硬化促進剤(触媒)の他に、例えば、硬化剤、反応性希釈剤、チクソトロピー性付与剤、シランカップリング剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、乾性油、接着性付与剤、分散剤、脱水剤、紫外線吸収剤、溶剤等が挙げられる。これらの中の2種類以上を含有してもよい。添加剤等は一般的な方法で混練して組成物とし、架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本実施形態の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
本実施形態の組成物の使用方法は、特に限定されるものではない。例えば、上記の主剤と硬化剤とをロータリー式ミキサー、スタティックミキサーなどを用いて十分に混合した後、被着体に塗布後、非被着体と貼り合わせ、両被着体を圧着し、接着構造物を形成する。
このように、本実施形態の組成物は、ウレタンプレポリマーと、所定量の塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体とを含有するウレタン接着剤組成物である。ウレタンプレポリマーに塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体を所定量含むことで、被着体がオレフィン系樹脂などのポリプロピレン樹脂などの難接着性の材料で形成されている場合であっても被着体の表面にプライマー組成物を塗布していなくても安定して優れた接着性を有することができる。すなわち、被着体がオレフィン系樹脂などのポリプロピレン樹脂で形成されている場合には、被着体の表面にプライマーを設けて組成物中に含まれる可塑剤が被着体側に移動するのを抑制し、硬化物と被着体との接着性を高めるようにする必要があった。これに対し、本実施形態の組成物によれば、組成物中に所定量の塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体が含まれているため、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体が可塑剤を吸着して可塑剤が被着体側に移動するのを抑制することができる。そのため、本実施形態の組成物によれば、被着体がオレフィン系樹脂などのポリプロピレン樹脂などの難接着な樹脂材料で形成されている場合であっても被着体の表面にプライマー組成物を塗布していなくても優れた接着性を有することができる。また、耐水劣化後の接着性の保持率(耐水接着性)及び耐熱劣化後の接着性の保持率(耐熱接着性)にも優れる。また、本実施形態の組成物は、ポリプロピレン樹脂などの樹脂材料を用いて形成される被着体にコロナ処理、プラズマ処理、イトロ処理またはフレーム処理などの表面処理を施した場合であっても、同様に、被着体の表面にプライマー組成物を塗布していなくても安定して優れた接着性を有することができる。よって、本実施形態の組成物は、従来より用いられている被着体、ポリプロピレン樹脂などの難接着な樹脂材料で形成されている被着体など種々の被着体に対してプライマー組成物を用いることなく安定して優れた接着性を有することができる。
このように、本実施形態の組成物は上記のような特性を有することから、自動車や車両(新幹線、電車)、船舶、航空機、建築・土木、エレクトロニクス、宇宙産業分野その他の工業製品の接着剤として用いることができ、特に自動車や車両などの内外装部品の構造用の接着剤として好適に用いることができる。例えば、本実施形態の組成物は、自動車のボディ、フロントドア、リヤドア、バックドア、フロントバンパー、リアバンパー、ロッカーモールなど自動車の内外装部品などの接着対象物に塗布される接着剤として用いることができる。また、本実施形態の組成物は、コロナ処理、プラズマ処理、イトロ処理、フレーム処理などの表面処理を施したプラスチックやポリプロピレン樹脂などのような材料を用いて形成された接着対象物同士の接着性、表面処理を施したプラスチックやポリプロピレン樹脂などのような材料を用いて形成された接着対象物と金属を用いて形成される構造物との接着性を向上させることができるため、自動車の構造用接着剤として好適に用いることができる。
以上、本実施形態の組成物について詳細に説明したが、本発明は上記に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種の変更および改良を行ってもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<接着剤組成物の作製>
[ウレタンプレポリマーの作製]
ポリプロピレンエーテルトリオール(「EXCENOL5030」、数平均分子量5000、旭硝子株式会社製)600gと、ポリプロピレンエーテルジオール(「EXCENOL2020」、数平均分子量2000の旭硝子株式会社製)300gとを質量比が70対30となるようにフラスコに投入して混合し、100℃〜130℃に加熱し、減圧下で脱水した。その後、溶解した4,4−ジフェニルジイソシアネート(商品名「スミジュール44S」、住友バイエルジャパン株式会社製)をフラスコに投入してNCO基/OH基の当量比(NCOmol/OHmol)が1.70となる量を混合し、約24時間、窒素雰囲気下で反応を進め、ウレタンプレポリマーを作製した。
[ウレタンプレポリマーの作製]
ポリプロピレンエーテルトリオール(「EXCENOL5030」、数平均分子量5000、旭硝子株式会社製)600gと、ポリプロピレンエーテルジオール(「EXCENOL2020」、数平均分子量2000の旭硝子株式会社製)300gとを質量比が70対30となるようにフラスコに投入して混合し、100℃〜130℃に加熱し、減圧下で脱水した。その後、溶解した4,4−ジフェニルジイソシアネート(商品名「スミジュール44S」、住友バイエルジャパン株式会社製)をフラスコに投入してNCO基/OH基の当量比(NCOmol/OHmol)が1.70となる量を混合し、約24時間、窒素雰囲気下で反応を進め、ウレタンプレポリマーを作製した。
[主剤の作製]
このようにして得られたウレタンプレポリマーにウレタンプレポリマー100質量部当り、表1に示す各成分を、同表に示す配合量(質量部)で配合し、混合機を用いて真空雰囲気下で10分間これらを均一に混合して、表1に示される主剤1〜主剤3を作製した。各主剤におけるそれぞれの成分の配合量(質量部)を表1に示す。
このようにして得られたウレタンプレポリマーにウレタンプレポリマー100質量部当り、表1に示す各成分を、同表に示す配合量(質量部)で配合し、混合機を用いて真空雰囲気下で10分間これらを均一に混合して、表1に示される主剤1〜主剤3を作製した。各主剤におけるそれぞれの成分の配合量(質量部)を表1に示す。
[共重合体の作製]
表2に示す塩化ビニルと酢酸ビニルとその他とを同表に示す配合量(質量部)で配合して、表2に示される各共重合体を作製した。各共重合体におけるそれぞれの成分の配合量(質量部)を表2に示す。なお、表2に示すその他の物質の括弧内はその他の物質の質量部を示す。
表2に示す塩化ビニルと酢酸ビニルとその他とを同表に示す配合量(質量部)で配合して、表2に示される各共重合体を作製した。各共重合体におけるそれぞれの成分の配合量(質量部)を表2に示す。なお、表2に示すその他の物質の括弧内はその他の物質の質量部を示す。
[硬化剤の作製]
ポリエーテルトリオール(「EXCENOL3030」、数平均分子量3000、旭硝子株式会社製)に表2に示す各共重合体のパウダーを分散させて、ポリエーテルトリオールと表2に示す各共重合体とを表1に示す配合量(質量部)で配合し、硬化剤を作製した。各硬化剤におけるそれぞれの成分の配合量(質量部)を表1に示す。
ポリエーテルトリオール(「EXCENOL3030」、数平均分子量3000、旭硝子株式会社製)に表2に示す各共重合体のパウダーを分散させて、ポリエーテルトリオールと表2に示す各共重合体とを表1に示す配合量(質量部)で配合し、硬化剤を作製した。各硬化剤におけるそれぞれの成分の配合量(質量部)を表1に示す。
[接着剤組成物の作製]
上記で得られた主剤と硬化剤とを表1に示す配合量(質量部)で配合して均一に混合して、同表に示される実施例および比較例の各接着剤組成物を作製した。各実施例および比較例における主剤および硬化剤の組み合わせと主剤および硬化剤の各成分の配合量(質量部)を表1に示す。
上記で得られた主剤と硬化剤とを表1に示す配合量(質量部)で配合して均一に混合して、同表に示される実施例および比較例の各接着剤組成物を作製した。各実施例および比較例における主剤および硬化剤の組み合わせと主剤および硬化剤の各成分の配合量(質量部)を表1に示す。
上記表1、2に示される各成分は、以下のとおりである。
・カーボンブラック:「エルフテック8」、キャボット社製
・可塑剤:エステル系可塑剤(フタル酸ジイソデシル(「DIDP」、三菱化学社製))
・炭酸カルシウム:「SB青」、白石カルシウム社製
・アミン触媒1:ジモルフォリノジエチルエーテル(DMDEE)、三井化学ファイン社製
・アミン触媒2:N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン(X−DM)、三共エアプロダクツ(株)社製
・アミン触媒3:2−メチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Me−Dabco)、エアープロダクツジャパン社製
・錫触媒:ジオクチル錫ジラウレート(DOTL)(「ネオスタン U−810」、日東化成社製)
・ポリエーテルトリオール:「EXCENOL3030」、数平均分子量3000、旭硝子株式会社製
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体:「ソルバインTA2」、ヒドロキシアクリレート含量13質量%、日信化学工業会社製
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体:「ソルバインC」、日信化学工業会社製
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体:「ソルバインA」、日信化学工業会社製
・カーボンブラック:「エルフテック8」、キャボット社製
・可塑剤:エステル系可塑剤(フタル酸ジイソデシル(「DIDP」、三菱化学社製))
・炭酸カルシウム:「SB青」、白石カルシウム社製
・アミン触媒1:ジモルフォリノジエチルエーテル(DMDEE)、三井化学ファイン社製
・アミン触媒2:N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン(X−DM)、三共エアプロダクツ(株)社製
・アミン触媒3:2−メチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Me−Dabco)、エアープロダクツジャパン社製
・錫触媒:ジオクチル錫ジラウレート(DOTL)(「ネオスタン U−810」、日東化成社製)
・ポリエーテルトリオール:「EXCENOL3030」、数平均分子量3000、旭硝子株式会社製
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体:「ソルバインTA2」、ヒドロキシアクリレート含量13質量%、日信化学工業会社製
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体:「ソルバインC」、日信化学工業会社製
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体:「ソルバインA」、日信化学工業会社製
<評価>
上記で得られた各実施例および比較例の各組成物について、以下に示す方法で、硬化後の接着性、接着強度の評価を行った。評価結果を表1に示す。
上記で得られた各実施例および比較例の各組成物について、以下に示す方法で、硬化後の接着性、接着強度の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[試験体の作製]
まず、本実施形態の接着剤組成物を用いて得られる試験体を作製した。図1は、各実施例及び比較例で用いた一対の試験体を示す図である。図1に示すように、被着材として表面をIPA(イソプロピルアルコール)で清掃した後、コロナ処理したオレフィン樹脂板11、12(25mm×150mm×3mm)とを準備した。次いで、オレフィン樹脂板11、12の間の対向面側の接合部(25mm×10mm)13に、表3に示す各実施例及び比較例の接着剤組成物14を接着剤組成物14の厚さが3mm程度になるようにそれぞれ塗布し、オレフィン樹脂板11、12を圧着し、20℃、60%RHで168時間養生して接着剤組成物14を硬化させ、試験体15を作製した。
まず、本実施形態の接着剤組成物を用いて得られる試験体を作製した。図1は、各実施例及び比較例で用いた一対の試験体を示す図である。図1に示すように、被着材として表面をIPA(イソプロピルアルコール)で清掃した後、コロナ処理したオレフィン樹脂板11、12(25mm×150mm×3mm)とを準備した。次いで、オレフィン樹脂板11、12の間の対向面側の接合部(25mm×10mm)13に、表3に示す各実施例及び比較例の接着剤組成物14を接着剤組成物14の厚さが3mm程度になるようにそれぞれ塗布し、オレフィン樹脂板11、12を圧着し、20℃、60%RHで168時間養生して接着剤組成物14を硬化させ、試験体15を作製した。
[接着性]
接着剤組成物14の硬化物の接着性は、試験体15のオレフィン樹脂板11またはオレフィン樹脂板12の一端を持ち、180度に曲げてオレフィン樹脂板11とオレフィン樹脂板12とが剥離した際の破壊形態を目視で観察して評価した。破壊形態の評価は、接着面積に対する接着剤組成物14の硬化物(接着剤)の破壊形態とその面積の割合(%)を数字で表して行った。評価結果を表1に示す。凝集破壊(CF)の割合が高いほど接着剤組成物14の接着剤の接着性は優れ、接着剤組成物14の接着剤とオレフィン樹脂板11、12との界面剥離(AF)またはオレフィン樹脂板11、12の表面に接着剤組成物14の接着剤が薄く残って接着剤組成物14の硬化物がオレフィン樹脂板11、12の界面付近で薄層破壊(tcf)したものの割合が高いほど接着剤組成物14の接着剤の接着性が劣ると評価した。
(接着性の評価基準)
破壊状態がCF100である場合は接着剤組成物14の接着剤の接着性が良好であると評価した。
接着剤組成物14の硬化物の接着性は、試験体15のオレフィン樹脂板11またはオレフィン樹脂板12の一端を持ち、180度に曲げてオレフィン樹脂板11とオレフィン樹脂板12とが剥離した際の破壊形態を目視で観察して評価した。破壊形態の評価は、接着面積に対する接着剤組成物14の硬化物(接着剤)の破壊形態とその面積の割合(%)を数字で表して行った。評価結果を表1に示す。凝集破壊(CF)の割合が高いほど接着剤組成物14の接着剤の接着性は優れ、接着剤組成物14の接着剤とオレフィン樹脂板11、12との界面剥離(AF)またはオレフィン樹脂板11、12の表面に接着剤組成物14の接着剤が薄く残って接着剤組成物14の硬化物がオレフィン樹脂板11、12の界面付近で薄層破壊(tcf)したものの割合が高いほど接着剤組成物14の接着剤の接着性が劣ると評価した。
(接着性の評価基準)
破壊状態がCF100である場合は接着剤組成物14の接着剤の接着性が良好であると評価した。
[耐水接着性]
20℃、60%RHで168時間養生した試験体15を、40℃の温水に360時間浸漬した後、上記と同様に、試験体15のオレフィン樹脂板11またはオレフィン樹脂板12の一端を持ち、180度に曲げてオレフィン樹脂板11とオレフィン樹脂板12とが剥離した際の破壊形態を目視で観察して評価した。破壊形態の評価は、上記と同様、接着面積に対する接着剤組成物14の接着剤の破壊形態とその面積の割合(%)を数字で表して行った。
20℃、60%RHで168時間養生した試験体15を、40℃の温水に360時間浸漬した後、上記と同様に、試験体15のオレフィン樹脂板11またはオレフィン樹脂板12の一端を持ち、180度に曲げてオレフィン樹脂板11とオレフィン樹脂板12とが剥離した際の破壊形態を目視で観察して評価した。破壊形態の評価は、上記と同様、接着面積に対する接着剤組成物14の接着剤の破壊形態とその面積の割合(%)を数字で表して行った。
[耐熱接着性]
20℃、60%RHで168時間養生した試験体15を、80℃のオーブン中に360時間放置して後、上記と同様に、試験体15のオレフィン樹脂板11またはオレフィン樹脂板12の一端を持ち、180度に曲げてオレフィン樹脂板11とオレフィン樹脂板12とが剥離した際の接着剤の破壊形態を目視で観察して評価した。破壊形態の評価は、上記と同様、接着面積に対する接着剤組成物14の接着剤の破壊形態とその面積の割合(%)を数字で表して行った。
20℃、60%RHで168時間養生した試験体15を、80℃のオーブン中に360時間放置して後、上記と同様に、試験体15のオレフィン樹脂板11またはオレフィン樹脂板12の一端を持ち、180度に曲げてオレフィン樹脂板11とオレフィン樹脂板12とが剥離した際の接着剤の破壊形態を目視で観察して評価した。破壊形態の評価は、上記と同様、接着面積に対する接着剤組成物14の接着剤の破壊形態とその面積の割合(%)を数字で表して行った。
[接着強度]
接着強度の評価は、試験体15を用いて剪断強度を測定した。剪断強度は、JIS K6850−1999に準じて、20℃、60%RHの条件下で引張速度50mm/分で各接着剤組成物14の剪断強度を測定した。
(接着強度の評価基準)
剪断強度が4.0MPa以上である場合は接着剤組成物14の硬化物の接着性が良好であると評価した。
接着強度の評価は、試験体15を用いて剪断強度を測定した。剪断強度は、JIS K6850−1999に準じて、20℃、60%RHの条件下で引張速度50mm/分で各接着剤組成物14の剪断強度を測定した。
(接着強度の評価基準)
剪断強度が4.0MPa以上である場合は接着剤組成物14の硬化物の接着性が良好であると評価した。
表1に示す結果から、実施例1〜5の各接着剤組成物を用いて得られた試験体15の接着剤の破壊形態は何れも凝集破壊(CF100)であり、接着剤の剪断強度が4.2MPa以上であった。よって、実施例1〜5の各接着剤組成物を用いて得られる接着剤は何れも安定して優れた接着性及び接着強度を有することが確認された。これに対して、比較例1〜5の各接着剤組成物を用いて得られた試験体15の接着剤の破壊形態は何れもAFかtcfであり、接着剤の剪断強度も殆どが3.0MPa以下であった。よって、比較例1〜5の各接着剤組成物を用いて得られた接着剤は何れも接着性及び接着強度が劣ることが確認された。
よって、実施例1〜5の各接着剤組成物の方が比較例1〜5の各接着剤組成物で形成された接着剤よりもコロナ処理などで表面処理されたオレフィン樹脂板11、12に対して安定して接着することができると共に接着剤の強度も高くできることが判明した。
したがって、本実施形態の組成物は、ウレタンプレポリマーと、所定量の塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体とを含有することにより、接着剤の強度も高く、ポリプロピレン樹脂で形成される難接着性塗装板に対してプライマー組成物を用いなくても安定して優れた接着性を有し、信頼性の高い接着剤組成物を得ることができることが判明した。
11、12 オレフィン樹脂板
13 接合部
14 接着剤組成物
15 試験体
13 接合部
14 接着剤組成物
15 試験体
Claims (4)
- ウレタンプレポリマーと、
塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体と、
を含有し、
前記塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体の含有量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して1質量部以上15質量部以下であることを特徴とするウレタン接着剤組成物。 - エステル系可塑剤を含み、
前記エステル系可塑剤の含有量が前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して5質量部以上45質量部以下である請求項1に記載のウレタン接着剤組成物。 - 前記塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体は、前記塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体中にヒドロキシアルキルアクリレートを1質量%以上15質量%以下含む請求項1または2に記載のウレタン接着剤組成物。
- フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理またはイトロ処理の何れかで表面処理を施したポリプロピレン樹脂の接着面に塗布される請求項1から3の何れか1つに記載のウレタン接着剤組成物。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019094384A (ja) * | 2017-11-20 | 2019-06-20 | オート化学工業株式会社 | 硬化性組成物 |
-
2012
- 2012-10-23 JP JP2012233655A patent/JP2014084390A/ja active Pending
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JP2019094384A (ja) * | 2017-11-20 | 2019-06-20 | オート化学工業株式会社 | 硬化性組成物 |
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