JP2014071288A - スクリーン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】映写機から投射された映像光を観察者に視認可能に表示するスクリーンであって、透光性を有するシート状の基材層と、基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備え、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って複数並べて配置され、光を透過する光透過部と、複数の光透過部間に配置され、光を散乱する光散乱部と、を有し、光散乱部は、スクリーンのスクリーン面を鉛直とする姿勢としたとき、観察者側となる半分及び下半分の少なくとも一方が、他方側半分よりも光を散乱させる材料の分散濃度が大きくなるように構成されている。
【選択図】図2
Description
ここに「光を散乱させることなく透過する」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
<固定型反射スクリーン>
図1は第一実施形態にかかるスクリーン100の斜視図であり、映写機10と併せて示した。本実施形態のスクリーン100は、反射型のスクリーンのうち、常設されるタイプのもの(固定型反射スクリーン)である。従ってスクリーン100は図1からわかるようにAで表した観察者の側が正面となり、正面側に映写機10が設置され、これとは反対側(背面側物体Bが存在する側)が背面側となる。
また、光散乱部116を透明なバインダー樹脂と該バインダー樹脂とは屈折率が異なる透明な散乱剤とを混合させた材料で構成してもよい。透明なバインダー樹脂としては光透過部115と同様なものを用いることができる。一方、当該透明な散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、ガンツ化成株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、散乱剤は中空粒子にすることも可能である。
なお、光散乱部116の屈折率は光透過部115の屈折率と同じであることが好ましい。これにより光透過部115と光散乱部116との界面における屈折、及びこれによる波長分散を防止することができ、画面に観察される虹状のムラ(模様)の発生を抑制できる。ここで屈折率が同じであるとは、界面における一方と他方とを構成する材料間で屈折率差が0以上0.14以下であることを意味する。
そのための具体的な手段例としては、光散乱部116の当該断面において、光を散乱させる材料の分布濃度を不均一にすることを挙げることができ、本実施形態では、例えば部位116bには上記した光散乱剤を含有させない、又は光散乱剤の分散濃度を部位116aに対して低くすることを挙げることができる。その他、部位116aと部位116bとを明確に分けることなく、光散乱層116の観察者側から背面側に向けて連続的、又は段階的に光散乱剤の濃度分布を減らしてもよい。このときの光散乱剤の一方側半分の光散乱剤の分散濃度と他方側半分の光散乱剤の分散濃度との濃度差は、5質量%以上が好ましく、さらに好ましくは10質量%以上である。
また、散乱反射をさせ易くするという観点から光散乱部116と光透過部115との界面のうち観察者側の部位(部位116a)を微小な凹凸が無数に形成された面であるマット面としてもよい。
光散乱部116の断面のうち、パネル111側(背面側)の幅は特に限定されないが、5μm以上150μm以下であることが好ましい。この幅が狭すぎると微細形状になるので加工が困難になる。一方、この幅が広すぎると金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
従って基材層117は、透光性を有するとともに光散乱層114の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層117を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
具体的には電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等が挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
帯電防止性向上のために用いることができる材料としては、電子伝導タイプではPEDOT−PSS(PEDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene);3,4−エチレンジオキシチオフェンポリマー)とPSS(poly(styrenesulfonate);スチレンスルホン酸ポリマー)とを共存)などが挙げられ、イオン導電タイプではリチウム塩系材料等が挙げられる。
また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物等が挙げられる。
このようにして充填された組成物120に対して適切な硬化方法を適用して硬化性樹脂を硬化させる。これにより部位116aが形成される。
以上により光散乱層114が形成される。
また、光散乱層114のうち基材層117とは反対側には接着層113を積層する。
スクリーン100によれば、光散乱部116に達した映像光が吸収されることなく散乱反射されて観察者に出射されるので、明るい映像光を提供することができる。すなわち、映写機10からの映像光を効率よく観察者側に反射させて出射することが可能である。
一方、観察者側からの外光は天井からの電灯光、窓ガラスからの太陽光等が多く、斜め上方からや、映像光に比べて水平に近い角度からスクリーン100に照射される成分が多い。従って、外光は光散乱部116のうち背面側の半分のいずれかに到達することが少なくない。
従って、スクリーン100によれば映像光を効果的に観察者側に提供するとともに外光は背面側に透過させ映像光に影響を与えないようにすることが可能となる。これによりコントラストが向上する。
さらにスクリーン100はコントラストを向上させるための手段として光を吸収させる部位を設けていないので、映像光や背面からの透過光を吸収してしまうことがなく明るい映像光及び明るい背面側の景色を提供すること可能となる。
そのための具体的な手段例としては、光散乱部116’の当該断面において、光を散乱させる材料の分布濃度を不均一にすることを挙げることができ、本実施形態では、例えば部位116’bには上記した光散乱剤を含有させない、又は光散乱剤の分散濃度を部位116’aに対して低くすることを挙げることができる。その他、部位116’aと部位116’bとを明確に分けることなく、連続的、又は段階的に光散乱剤の分散濃度を減らしてもよい。
本実施形態によればスクリーン100’の下方から照射される映像光L201は、光散乱の性能が高められた部位116’aに達し、ここで反射して散乱するので、散乱光の一部が観察者側に偏向される。これにより観察者に明るい映像光を提供することができる。
一方、観察者側からの外光は天井からの電灯光、窓ガラスからの太陽光等が多く、上方からスクリーン100’に照射される成分が多い。従って、外光は光散乱部116のうち部位116’bのいずれかに到達することが少なくない。そして当該外光は部位116’bから背面側に抜ける。
従って、スクリーン100’によっても映像光を効果的に観察者側に提供するとともに外光は背面側に透過させ映像光に影響を与えないようにすることが可能となる。これによりコントラストが向上する。
さらにスクリーン100’もコントラストを向上させるための手段として光を吸収させる部位を設けていないので、映像光や背面からの透過光を吸収してしまうことがなく明るい映像光及び明るい背面側の景色を提供すること可能となる。
図6は第二実施形態にかかるスクリーン200の斜視図であり、映写機10と併せて示した。本実施形態のスクリーン200は、反射型のスクリーンのうち、巻回及び展開が可能であるタイプのもの(ロール型反射スクリーン)である。従ってスクリーン200は図6からわかるように、展開した姿勢でAで表した観察者の側が正面となり、正面側に映写機10が設置され、これとは反対側(背面側物体Bが存在する側)が背面側となる。
一方、スクリーン200は使用しないときにはロール状に巻回して収納することが可能である。
<固定型透過スクリーン>
図8は第三実施形態にかかるスクリーン300の斜視図であり、映写機20と併せて示した。本実施形態のスクリーン300は、透過型のスクリーンのうち、常設されるタイプのもの(固定型透過スクリーン)である。従ってスクリーン300は図8からわかるようにAで表した観察者の側が正面側となり、これとは反対側である背面側に映写機20が設置される。
従って、スクリーン300は上記説明したスクリーン100の光散乱層114の代わりに光散乱層314を適用した点で異なる。さらに詳しくは、スクリーン100の光散乱層114の光散乱部116に代えて光散乱部316を適用した点が異なる。従ってここでは光散乱部316について説明する。
一方、当該透明な散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、ガンツ化成株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、散乱剤は中空粒子にすることも可能である。これにより効率よく光を透過散乱することができる。
なお、光散乱部316の屈折率は光透過部115の屈折率と同じであることが好ましい。これにより光透過部115と光散乱部316との界面における屈折、及びこれによる波長分散を防止することができ、画面に観察される虹状のムラ(模様)の発生を抑制できる。
そのための具体的な手段例としては、光散乱部316の当該断面において、光を透過散乱させる材料の分布濃度を不均一にすることを挙げることができ、本実施形態では、例えば部位316bには上記した透明な散乱剤を含有させない、又は透明な散乱剤の分散濃度を部位316aに対して低くすることを挙げることができる。その他、部位316aと部位316bとを明確に分けることなく、光散乱層316の観察者側から背面側に向けて連続的、又は段階的に透明な散乱剤の分散濃度を低くしてもよい。
光散乱部316のその他の構成は光散乱部116と同様である。
さらにスクリーン300はコントラストを向上させるための手段として光を吸収させる部位を設けていないので、映像光や背面からの透過光を吸収してしまうことがなく明るい映像光及び明るい背面側の景色を提供すること可能となる。
図10は第四実施形態にかかるスクリーン400の斜視図であり、映写機20と併せて示した。本実施形態のスクリーン400は、透過型のスクリーンのうち、巻回及び展開が可能であるタイプのもの(ロール型透過スクリーン)である。従ってスクリーン400は図10からわかるように、展開した姿勢でAで表した観察者の側が正面側となり、スクリーン400を挟んでこれとは反対側である背面側に映写機20が設置される。
一方、スクリーン400は使用しないときにはロール状に巻回して収納することが可能である。
参照例として、光散乱部に略均一に光散乱剤を分散した。用いたバインダーは光透過部と同じとし、屈折率は1.540である。また、光散乱剤は平均粒子径が3.5μmの透明粒子であり、屈折率1.590とした。バインダーに対する光散乱剤の分散濃度は20質量%とした。
実施例1として、図2の例に基づいて、厚さ方向の一方と他方とで光散乱剤の濃度が異なるスクリーンとした。すなわち光散乱部のうち、観察者側の半分の光散乱剤の濃度を16.6質量%、背面側の半分の光散乱剤の濃度を0質量%とした。ここに用いたバインダー及び光散乱剤の材料は参照例と同様である。
比較例1として、実施例1に対して、厚さ方向において光散乱剤の濃度分布を反対にしたスクリーンを作製した。すなわち光散乱部のうち、観察者側の半分の光散乱剤の濃度を0質量%、背面側の半分の光散乱剤の濃度を16.6質量%とした。ここに用いたバインダー及び光散乱剤の材料は参照例と同様である。
実施例2として、図5の例に基づいて、上下方向の一方と他方とで光散乱剤の濃度が異なるスクリーンとした。すなわち光散乱部のうち、下側の半分の光散乱剤の濃度を16.6質量%、上側の半分の光散乱剤の濃度を0質量%とした。ここに用いたバインダー及び光散乱剤の材料は参照例と同様である。
比較例2として、実施例2に対して、上下方向において光散乱剤の濃度分布を反対にしたスクリーンを作製した。すなわち光散乱部のうち、下側の半分の光散乱剤の濃度を0質量%、上側の半分の光散乱剤の濃度を16.6質量%とした。ここに用いたバインダー及び光散乱剤の材料は参照例と同様である。
図12には、上記各スクリーンを反射スクリーンとして用いたときの装置の配置を示した。図12からわかるように2000mm離隔して立設された2つの黒板間において、一方の黒板から1000mm間隔を有し、中心高さが床面から800mmとなるようにスクリーンを設置した。このとき室内の明るさは外光により550lxであった。
映写機(三洋化成株式会社製、PDG−DWL2500J)はその出光部が床面からの高さ500mm、スクリーン面からの水平距離が500mmとなる位置に設置し、スクリーンの中央に向けて光を投射できるように調整した。
輝度計(ミノルタ株式会社製、LS−110)はスクリーンの映写機側の中央正面で、黒板の位置で測定ができるように設置した。
明所白輝度は映写機にて白色光を投射したときの輝度、明所黒輝度は映写機から光を投射していないときの輝度をそれぞれ測定した。コントラストは明所白輝度と明所黒輝度との比で算出した。
明所白輝度は映写機にて白色光を投射したときの輝度、明所黒輝度は映写機から光を投射していないときの輝度をそれぞれ測定した。コントラストは明所白輝度と明所黒輝度との比で算出した。
20 映写機
100 スクリーン
111 パネル
112 積層体
113 接着層
114 光散乱層
115 光透過部
116 光散乱部
117 基材層
118 接着層
119 ハードコート層
200 スクリーン
211 保護層
300 スクリーン
314 光散乱層
315 光透過部
316 光散乱部
400 スクリーン
Claims (7)
- 映写機から投射された映像光を観察者に視認可能に表示するスクリーンであって、
透光性を有するシート状の基材層と、
前記基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備え、
前記光散乱層は、
前記基材層の一方の面に沿って複数並べて配置され、光を透過する光透過部と、
複数の前記光透過部間に配置され、光を散乱する光散乱部と、を有し、
前記光散乱部は、前記スクリーンのスクリーン面を鉛直とする姿勢としたとき、前記観察者側となる半分及び下半分の少なくとも一方が、他方側半分よりも光を散乱させる材料の分散濃度が大きくなるように構成されている、スクリーン。 - 前記光透過部は所定の断面を有して一方向に延びる形状を有し、前記光散乱部は複数の前記光透過部間に配置されることにより所定の断面を有して前記光透過部と同じ方向に延びる形状を備えており、
前記光散乱部はその延びる方向に直交する断面において、前記光散乱層の厚さ方向の一方側半分と他方側半分とで前記観察者側に配置されるべき一方側半分に含まれる前記光を散乱させる材料の分散濃度が、背面側となる前記他方側半分の分散濃度よりも大きくなるように構成されている請求項1に記載のスクリーン。 - 前記光透過部は所定の断面を有して一方向に延びる形状を有し、前記光散乱部は複数の前記光透過部間に配置されることにより所定の断面を有して前記光透過部と同じ方向に延びる形状を備えており、
前記光散乱部はその延びる方向に直交する断面において、前記スクリーンのスクリーン面を鉛直とする姿勢としたとき、前記光散乱層の層面に沿った方向の一方側半分と他方側半分とで下側となる前記一方側半分に含まれる前記光を散乱させる材料の分散濃度が、上側となる前記他方側半分の分散濃度よりも大きくなるように構成されている請求項1に記載のスクリーン。 - 前記光散乱部の前記光を散乱させる材料は白色又は銀色の顔料であり、散乱反射により光を散乱する請求項1〜3のいずれかに記載のスクリーン。
- 前記光散乱部には透明の樹脂と、該透明の樹脂とは屈折率が異なる粒子状の光散乱剤と、が充填され、前記光を散乱させる材料は前記粒子状の光散乱剤であり、前記光散乱部中を光が透過することにより光を散乱する請求項1〜3のいずれかに記載のスクリーン。
- 前記光透過部は光を散乱させることなく透過する材料により構成されている請求項1〜5のいずれかに記載のスクリーン。
- 少なくとも一方の最表面にはさらにハードコート性、防汚性、帯電防止、及び撥水性のうち少なくとも1つの機能を備えた層が積層されている請求項1〜6のいずれかに記載のスクリーン。
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