図1において、医療支援システム10は、予め登録された支援登録者が所持する外部端末11を利用して担当医(主治医)の判断や処置等について支援するものである。この医療支援システム10では、担当医の支援要請発行指示に応答して、外来や救急搬送などで受け入れた患者の案件ごとに医療支援任務が開始される。医療支援任務では、担当医と支援登録者である医療スペシャリストとの間で、医療情報に基づいて意見交換を行うことができる。
医療支援システム10は、病院内に構築された院内システム14と、この院内システム14にネットワーク12を介して接続される外部端末11とからなる。支援登録者として、担当医を除く医師例えば内科医,外科医,看護師,検査技師を含む医療スペシャリストの他に、病院の事務員などを含めることもできる。
外部端末11は、医療支援システム10の支援登録者が個々に所持する。この外部端末11としては、例えば医療支援システム用の専用アプリケーション(以下、支援アプリケーションという)がインストールされ、無線LAN(Local Area Network、構内通信網)でインターネット接続されたノート型パソコンが用いられる。外部端末11のモニタ11aには、支援要請受信画面や医療支援任務のための各種の画面が表示される。また、外部端末11に設けられたマウスやキーボードなどの操作を通じて、医療支援任務等での各種指示や文字の入力を行うことができる。
また、外部端末11には赤色発光ダイオード11bが設けられている。また、図示しないスピーカーやサイレンが設けられていてもよい。支援登録者が医療支援任務に参加している場合に、赤色発光ダイオード11bは点灯あるいは点滅をして周囲に医療支援対応中である旨を報知する。スピーカーが設けられている場合には、スピーカーにより「医療支援中です」等というアナウンスが行われ、サイレンが設けられている場合には、サイレンによりビープ音が発せられる。
なお、外部端末11としては、パーソナル情報端末(PDA、Personal Digital Assistant)、携帯端末、ノート型パソコン等、通信機能を有し、また各種画面を表示し、必要な入力を行うことができる装置であれば任意のものを用いることができる。携帯性を必要としない場合は、デスクトップ型のコンピュータであってもよい。あるいは、携帯性を必要とする場合には、タッチスクリーン機能を有するスマートフォン(高機能携帯電話機)であってもよい。
外部端末11と院内システム14とは、ネットワーク12で接続される。ネットワーク12は、外部端末11と院内システム14との相互間で通信ができるように接続するものであればよく、例えば、インターネット、専用線、携帯電話回線、公衆無線LANなどや、それらが混在するものでもよい。外部端末11は、このネットワーク12を介して、病院外及び病院内で院内システム14と通信を行うことができる。外部端末11と院内システム14は、例えばVPN(Virtual Private Network、仮想閉域網)接続されて情報漏洩の防止が図られる。
院内システム14は、電子カルテサーバ22、検査画像サーバ23、院内端末24、医療支援装置25、これらを接続する院内LAN26、医療支援装置25とネットワーク12との間に設けられるファイヤウォール27などで構成されている。情報を提供するサーバとして、電子カルテサーバ22、検査画像サーバ23の他に、例えば、血液検査や病理検査の結果を提供するサーバなどが設けられてもよい。
院内LAN26は、病院内に構築されたネットワークである。ファイヤウォール27は、ネットワーク12を介した外部端末11と医療支援装置25との医療支援任務のための通信だけを許容する。これにより、医療支援装置25や院内LAN26に接続された各機器への不正なアクセスを阻止し、情報漏洩や情報の改竄を防止する。
院内端末24は、外科や内科などの各診療科や救急センターの診察室、処置室等に配置してあり、担当医によって操作される。この院内端末24は、パ−ソナルコンピュータに電子カルテ用のプログラム、検査依頼プログラム、医療支援用プログラムなどからなるアプリケーションをインストールしたものである。担当医は、この院内端末24を通じて、電子カルテの参照及び入力、X線撮影などの検査依頼、検査画像の参照、支援要請、医療支援任務での発言などを行うことができる。院内端末24のモニタ24aには、電子カルテ、検査画像、支援要請発行画面、医療支援任務に関する各種画面が表示される。また、院内端末24から医療支援装置25にアクセスし、支援登録者の追加や解除を行うことができる。
電子カルテサーバ22は、患者個々の個人情報をデータベース22aに記録及び保存し、必要に応じて提供する。個人情報としては、患者の氏名、患者ID(Identification Data、識別情報)、生年月日、性別、体重、身長などがある。新規の患者の場合には、新規登録用端末(図示省略)上で基本情報の入力操作を行うことにより、新規の患者IDが自動的に作成される。
また、電子カルテサーバ22は、院内端末24から電子カルテに入力された、所見や投薬情報などを含むカルテ情報をデータベース22aに記録及び保存し、必要に応じて提供する。このカルテ情報には、診療受付時に受付端末(図示省略)で発行される受付ID、上述の患者ID、担当医の医師IDが付加されている。また、カルテ情報に検査画像が含まれている場合には、その検査画像に画像IDが付加されている。
検査画像サーバ23は、CT(Computed Tomography、コンピュータ断層撮影)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging、核磁気共鳴画像)装置等のモダリティ31が接続されている。検査画像サーバ23は、モダリティ31で得られたCT画像等の検査画像をデータベース23aに記録及び保存し、必要に応じてそれら情報を提供する。検査画像サーバ23は、院内端末24から検査依頼を受け付け、それに基づく指示をモダリティ31の操作端末31aに表示する。技師の操作によってモダリティ31による患者の撮影が完了すると、得られた検査画像は、画像ID、撮影時刻、撮影技師の技師ID、受付ID、患者IDなどが付加されて、データベース23aに記録される。
医療支援中には、医療支援対象患者の受付ID,患者IDが医療支援装置25から電子カルテサーバ22,検査画像サーバ23に通知される。これにより、電子カルテサーバ22は、その受付IDに対応する電子カルテの内容に更新がある度に、その更新内容を医療支援装置25に送信する。また、検査画像サーバ23は、その患者IDに対応する検査画像が新たに撮影される度に、その検査画像を医療支援装置25に送信する。
医療支援装置25に送られた電子カルテの更新内容や新たな検査画像には、それぞれの重要性を表す重要度が自動的に付される。ここで、重要度は、例えば1〜10の10段階評価により各医療情報に数値で付される指標であり、重要度1は重要度が最も低く、重要度10は重要度が最も高い指標である。電子カルテの更新内容や新たな検査画像に付される重要度の初期設定値はいずれも7となっており、これらの重要度は、それぞれ個別に担当医が変更することができる。
医療支援装置25は、電子カルテの更新内容や新たな検査画像を受信する度に、それぞれに付された重要度と共に電子カルテの更新内容や新たな検査画像を自動的に各端末へ一斉に配信する。なお、担当医の操作により、電子カルテの更新内容や新たな検査画像が選択されてから手動で配信されるようにしてもよい。
医療支援装置25は、管理サーバ33、端末制御サーバ34、配信サーバ35などで構成される。管理サーバ33は、支援登録者の追加及び解除、支援登録者の医療支援任務への参加の認証(確認及び記録等)を行う。この管理サーバ33には、支援登録者情報が記録されるデータベース33aが接続されている。支援登録者の追加、解除、情報変更は、院内端末24または管理専用端末(図示省略)から管理サーバ33にアクセスして行われる。支援登録者が追加された場合には、管理サーバ33は、新たな支援登録者情報をデータベース33aに記録し、解除された場合には、その支援登録者情報をデータベース33aから削除する。
支援登録者情報には、支援登録者ID、氏名、医師や看護師、検査技師などの医療資格、専門分野、認証用のID及びパスワード、使用する外部端末11の種類及び固有ID番号、その外部端末11の宛先などが含まれる。固有ID番号としては、例えば外部端末11のネットワークインターフェースに付与されているMAC(Media Access Control、媒体アクセス制御)アドレスや携帯電話のSIM(Subscriber Identity Module、加入者識別モジュール)カードに記録されたIMSI(International Mobile Subscriber Identity、移動加入者識別番号)と呼ばれる番号などを用いることができる。宛先は、IP(Internet Protocol、通信規約)アドレス、メールアドレス、携帯電話の電話番号などである。
なお、同一の支援登録者について、複数の外部端末11及び宛先を記録して、複数の外部端末11を利用できるようにしてもよい。また、同一の外部端末11に対してMACアドレスやIMSIなどの複数の固有ID番号を記録して、外部端末11が利用する通信方式に応じた固有ID番号を用いて認証を行ってもよい。
医療支援任務へ支援登録者が参加する際には、外部端末11から自分の認証用ID及びパスワードを入力する。入力された認証用ID及びパスワードは、管理サーバ33に送られる。また、使用端末の固定ID番号は、自動的に管理サーバ33に送られる。管理サーバ33は、認証用ID,パスワード及び固定ID番号が登録されているものと合致するかどうか判断する。登録されているものと一致していると管理サーバ33が判断した場合には、管理サーバ33は外部端末11の操作者を医療支援任務の参加者と認定する。
また、院内端末24から支援要請指示がなされた場合には、管理サーバ33は、データベース33aにアクセスして、担当医が指定した支援登録者の配信先を抽出する。その配信先が、配信サーバ35に送られる。
端末制御サーバ34は、支援アプリケーションを通して外部端末11を制御する。端末制御サーバ34は、例えば医療支援任務の終了後、外部端末11上に保存されている配信情報の削除などを行う。
配信サーバ35は、各重要度が付された医療情報、例えば、支援要請指示、更新内容などを外部端末11に配信する。配信サーバ35は、院内端末24から入力された支援要請指示に基づいて、担当医が指定した支援登録者の外部端末11に支援要請を配信する。支援要請には、後述する初期配信情報(要請時配信情報)が含まれている。
初期配信情報には、例えば、担当医によって入力された支援要請コメント、モダリティ31で撮影された検査画像、電子カルテの記載内容などといった基本情報と、患者ID、受付ID、受付時刻、経過時間、配信時刻、配信ID、配信先情報、各検査画像の画像ID及び撮影したモダリティの装置IDなどの付加情報とが含まれる。電子カルテの記載内容や検査画像は、例えば受付ID、画像IDをキーにして電子カルテサーバ22,検査画像サーバ23から配信サーバ35により取得される。基本情報には、それぞれ重要度の情報が自動的に付される。重要度の初期設定値はいずれも10段階における7となっており、これらの重要度は、それぞれ個別に担当医が変更することができる。
また、医療支援任務の開始後、必要に応じて担当医師により追加配信情報が作成される。この追加配信情報としては、カルテの更新内容、検査画像サーバ23からの新たな検査画像等があり、これらには重要度が付されている。配信サーバ35は、追加配信情報を各外部端末11及び担当医の院内端末24に一斉に配信する。
認定された医療支援者は、初期配信情報や追加配信情報に対して、支援のための発言を、院内端末24または外部端末11で行うことができる。配信サーバ35は、院内端末24または外部端末11から送信される発言などの応答情報についても、それぞれに付された重要度とともに受信し、各外部端末11や院内端末24に一斉に配信する。各応答情報に対して送信される発言などについても、前述の応答情報として同様に取り扱われる。
応答情報の付加情報としては、配信時刻、配信ID、配信先情報、発言時刻、発言者の名前、発言者の支援登録者IDがある。発言者の名前は、発言を送信した外部端末11を所持する支援登録者から特定すればよい。追加配信情報の付加情報として、患者ID、配信時刻、配信ID、配信先情報、画像IDや撮影時刻、撮影したモダリティの装置IDなどがある。なお、検査画像は、適当なサイズに縮小されてから配信される。
また、配信サーバ35は、各外部端末11の宛先を記録する参加リストを保持している。認証された支援登録者の外部端末11の宛先が参加リストに追加され、離脱通知を送った支援登録者の宛先が参加リストから外される。
配信サーバ35には、データベース35aが接続されている。このデータベース35aには、外部端末11や院内端末24に配信された初期配信情報、追加配信情報や応答情報などの医療情報が記録される。これらの配信情報と応答情報は、それぞれの基本情報に重要度と付した状態で記録される。
図2に示すように、配信サーバ35は、重要度集計処理部36と、表示制御部37と、受信状態設定部38と、情報配信部39aと、情報受信部39bと、及び閲覧有無検出部40とを含む。
重要度集計処理部36は、発言や画像データなどの医療情報ごとに付された重要度が担当医または医療支援者によって変更されたときに、各重要度を集計処理して、集計重要度を算出する。この集計重要度には、単純平均又は医療資格等に基づいた重み付けをした上で平均値を求める加重平均等が用いられる。また、重要度集計処理部36は、重要度判定部36aを有し、重要度(送信時に付されているもの)がある一定の閾値以上である場合、例えば重要度が7以上の時に、重要情報と判定する。受信状態設定部38は、配信サーバ35から重要情報の配信を受けようとする各端末に対して、各端末からの送信を一時中止して、配信サーバ35から配信される重要情報を受信しやすい状態に設定する。
表示制御部37は、外部端末11及び院内端末24の表示を制御する。表示制御部37は、表示方法変更部37aと、関連表示制御部37bと、経過時間制御部37cとを有する。表示方法変更部37aは、重要度集計処理部36からの集計重要度に応じて、各端末における表示方法を変更する指令を出す。関連表示制御部37bは、各端末に指令を出すことにより、各端末における各情報の関連表示を制御する。経過時間制御部37cは、医療支援任務の原因となった事象発生からの経過時間を管理し、各端末においてその経過時間を表示させる。
表示方法変更部37aは、情報の点滅表示を各端末へ指令する機能、情報を表示するテキスト色の変更を各端末へ指令する機能、情報を表示するフォントスタイルの変更を各端末へ指令する機能、情報を表示するフォントサイズの変更を各端末へ指令する機能を備える。
医療情報が文字である場合には、表示方法については、例えば、次の4通りがあり、その中の1つが採用される。第1番目は、情報の集計重要度に応じて点灯表示と点滅表示との2段階の方法で情報を表示するものである。例えば、集計重要度が0以上7未満の場合には点灯表示がされ、集計重要度が7以上10以下の場合には点滅表示がされる。これにより、例えば集計重要度が5から7に変化した場合には、表示方法変更部37aの指令を受けて、その情報の表示が点灯表示から点滅表示に切り替えられる。
第2番目は、情報の集計重要度に応じて、表示する色を変更するものである。例えば、集計重要度が0以上3未満の場合には青色表示がされ、集計重要度が3以上6未満の場合には緑色表示がされ、集計重要度が6以上8未満の場合には黄色表示がされ、集計重要度が8以上9未満の場合には橙色表示がされ、集計重要度が9以上10以下の場合には赤色表示がされる。集計重要度が5から7に変化した場合には、表示方法変更部37aの指令を受けて、緑色の表示が黄色の表示に切り替えられる。
第3番目は、集計重要度に応じて、表示するフォントを変更するものである。例えば、集計重要度が0以上5未満の場合には通常のフォントでの表示がされ、集計重要度が5以上7未満の場合には斜体での表示がされ、集計重要度が7以上10以下の場合には太字での表示がされる。集計重要度が5から7に変化した場合には、斜体の表示が太字の表示に切り替えられる。
第4番目は、集計重要度に応じて、表示するフォントのサイズを変更するものである。例えば、集計重要度が0以上4未満の場合にはフォントサイズ8ptでの表示がされ、集計重要度が4以上7未満の場合にはフォントサイズ10pでの表示がされ、集計重要度が7以上9未満の場合にはフォントサイズ12pでの表示がされ、集計重要度が9以上10以下の場合にはフォントサイズ16pでの表示がされる。集計重要度が5から7に変化した場合には、フォントサイズが10pから12pに切り替えられる。
また、医療情報が検査画像である場合には、検査画像のサムネイルを囲う枠について、点灯と点滅との間で切り替えたり、枠の色を切り替えたりする。あるいは、検査画像に付された文字情報について、医療情報が文字である場合に行ったものと同様の表示の切り替えをしても構わない。
また、表示制御部37は、情報配信部39aから院内端末24もしくは外部端末11への重要情報の受信完了の旨を、院内端末24もしくは外部端末11のモニタ24a,11aに対して自動的に表示するように、院内端末24もしくは外部端末11に対して指令を出す受信表示指令部としての機能を有する。また、表示制御部37は、情報配信部39aから院内端末24もしくは外部端末11へ配信された重要情報を、院内端末24もしくは外部端末11のモニタ24a,11aに対して自動的に表示するように、院内端末24もしくは外部端末11に対して指令を出す情報表示指令部としての機能を有する。
情報配信部39aは、各端末に医療情報を配信する。情報配信部39aは、医療支援の依頼の時は、支援登録者全員の外部端末11に初期配信情報を送信して支援要請を行い、参加を承諾した支援登録者(参加者)には、患者の状態の情報を含む追加医療情報を入手する度に、一斉に配信する。情報受信部39bは、管理サーバ33及び各端末から医療情報を受信する。閲覧有無検出部40は、医療情報を受信した各端末において、その医療情報が閲覧されたか否かを検出する。特に重要情報が閲覧されていない場合には、その旨が閲覧有無検出部40から重要度集計処理部36に伝達され、重要度集計処理部36において集計重要度を高くする処理が行われる。
図3に示すように、外部端末11には、前述のように支援用アプリケーションがインストールされており、これを実行することによって、外部端末11は、制御部41、通信部42、表示部43、入力部44として機能する。制御部41は、通信部42、表示部43、入力部44を統括的に制御する。通信部42は、ネットワークインターフェースなどを含み、ネットワーク12,ファイヤウォール27を介して医療支援装置25と通信を行う。表示部43は、モニタ11aなどを含み、支援要請受信画面や医療支援任務の関連表示画面などを表示する。入力部44は、マウスやキーボードなどを含み、この入力部44からの入力操作により、医療支援任務の参加や医療支援任務での発言の入力、検査画像の参照等が行われる。
外部端末11がオン及びスリープ状態となっている間も医療支援装置25からの支援要請を受信できるように、制御部41、通信部42の一部の機能が常に作動している。通信部42を介して支援要請を受信すると、制御部41は、表示部43に支援要請受信画面を表示させる。なお、支援要請を受信したときに、音や振動などを用いて支援登録者に報知することが好ましい。また、赤色発光ダイオード11bの点滅などによって支援登録者に報知してもよい。
図4において、支援要請発行画面51は、院内端末24のモニタ24aに表示される。支援要請発行画面51は、例えば院内端末24の電子カルテ画面で所定の操作を行うことにより表示される。この支援要請発行画面51での入力・設定内容に基づいて、支援要請発行指示が院内端末24から医療支援装置25に送られる。
支援要請発行画面51において、付加情報としての「患者氏名」、「患者ID」、「受付時刻」、「受付ID」、「経過時間」は、電子カルテサーバ22のデータベース22aから自動的に検索されて表示される。なお、これらのうちの「患者ID」、「受付時刻」、「受付ID」、「経過時間」は、支援要請の際に各外部端末11に配信されるが、「患者氏名」については個人を特定する情報となるので配信されない。
担当医は、コメント記入欄52に支援要請コメントを基本情報の一つとして記入する。コメント記入欄52のすぐ下には、重要度設定欄52aが設けられており、担当医自身が支援要請コメントの内容の重要度を初期値「7」から変更することができる。カルテ内容確認ボタン53をマウスでクリックすることにより、支援要請の際に配信される電子カルテの内容、例えば患者の症状や担当医の所見、診療経過などを表示するウインドウが開く。また、電子カルテの内容の重要度を初期値「7」から変更することができる重要度設定欄(図示なし)が設けられている。
また、支援要請発行画面51の検査画像リスト54には、医療支援の際に配信される検査画像の画像IDがリスト表示されている。支援要請発行画面51を起動すると、院内端末24は、検査画像サーバ23に自動的にアクセスし、受付IDをキーにして検査画像の画像IDを取得し、その画像IDを検査画像リスト54に表示する。
検査画像リスト54において、各画像IDには、確認ボタン54a,削除ボタン54bが設けられている。確認ボタン54aをクリックすると、対応する検査画像が検査画像サーバ23から取得されてモニタ24aに表示される。削除ボタン54bがクリックされると、その画像IDが検査画像リスト54から外され、配信すべき検査画像から外される。
また、検査画像リスト54には、検査画像を追加するための追加ボタン54cが設けられている。追加ボタン54cをクリックすると、検査画像の選択画面が表示される。選択画面で配信すべき検査画像を追加すると、検査画像リスト53に画像IDが追加される。これにより、過去に撮影された同じ患者の検査画像などを配信することができる。
また、検査画像リスト54には、重要度設定欄54dが設けられており、担当医が各検査画像の重要度を初期値「7」から変更することができる。
さらに、支援要請発行画面51には、支援要請の配信先を指定する配信先指定部55が含まれる。この例では、全支援登録者を配信先とする「全員」の他に、医療資格(職種)や、医師の専門分野などといった医療従事者の属性情報に応じて配信先を指定できる。医療資格としては、「医師」,「看護師」,「レントゲン技師」などを、専門分野としては「循環器・血管」,「脳外科」,「呼吸器・肺外科」などを指定することができる。これらは、同時に複数を指定することができる。
発行指示ボタン56がクリックされると、支援要請発行画面51で入力及び設定された医療情報は、院内端末24から医療支援装置25に送られる。支援要請発行画面51で指定された配信先情報は、管理サーバ33に送られる。また、受付IDや,支援要請コメント及び支援要請コメントに設定された重要度の情報や、画像IDが付された各検査画像及び各検査画像に設定された重要度の情報は、配信サーバの情報受信部39bに送られる。情報受信部39bが受信した情報は、情報配信部39aから、指定された各配信先に配信される。
配信サーバ35の情報配信部39aは、外部端末11に支援要請を配信する。外部端末11のモニタ11aは、図5に示す支援要請受信画面58が表示される。この支援要請受信画面58には、初期配信情報として患者ID,受付ID,受付時刻,経過時間,支援要請コメント61及びその重要度,電子カルテの内容62,検査画像リスト63及び各検査画像の検査ID及び重要度が表示される。支援要請コメント61の重要度は重要度表示欄61aに、各検査画像の重要度は重要度表示欄63bに、それぞれ表示される。検査画像リスト63に設けられた参照ボタン63aをクリックすることにより、検査画像を別のウインドウで参照することができる。
また、外部端末11に表示された支援要請受信画面58には、参加ボタン65、不参加ボタン66が設けられている。参加ボタン65をクリックすると、認証画面(図示せず)が開く。支援登録者は、認証用IDとパスワードを認証画面に入力し、それが医療支援装置25の管理サーバ33で認証されると、その支援登録者は参加者となる。また、支援登録者が不参加ボタン66をクリックすると、その旨が医療支援装置25に通知される。
医療支援任務が開始されると、担当医や支援登録者からの発言はその都度、院内端末24や外部端末11から医療支援装置25に集められ、図6に示す関連表示画面68が作成される。この関連表示画面68は、外部端末11のモニタ11aに表示される。関連表示画面68には、支援登録者からの発言を含む応答情報が、コメントや検査画像に関連付けて表示される。
関連表示画面68の情報表示部73は、支援要請コメント61やその他の各発言に対する発言などを表示する発言リスト欄と、検査画像及びその画像に対する発言などを表示する検査画像リスト欄とを有する。本実施形態においては、発言が、どのコメント,画像あるいは発言に対して行われたものであるかが関連付けられて表示される。なお、支援要請コメント61,検査画像,発言の表示方法は、これに限らない。
発言リスト欄の一番上には、支援要請コメント61を表示するコメントボックス74が表示される。このコメントボックス74の下方に、発言ボックス75が表示される。支援要請コメント61に対してされた支援登録者の発言は、コメントボックス74に関連付けられて、発言ボックス75に表示される。発言ボックス75に表示された発言に対してされた発言は、発言ボックス75の下方に、関連付けられて表示される。コメントボックス74及び発言ボックス75には、その発言以外に、発言者及び発言時刻などが表示される。
また、コメントボックス74及びそれぞれの発言ボックス75には、各参加者が、そのボックス内に表示された支援要請コメント61や発言の内容を評価するための評価設定ボタン74a,74b及び75a,75bが設けられている。評価設定ボタン74a,75aは、それぞれ、支援要請コメントや発言の内容が重要な情報であると評価する時にクリックするボタンであり、1回操作することにより重要度が所定のランク、例えば1段階上がる。評価設定ボタン74b,75bは、それぞれ、支援要請コメント61や発言の内容が重要ではないと評価する時にクリックするボタンであり、1回操作することにより重要度が所定のランク、例えば1段階下がる。なお、関連表示画面68には、各情報の重要度を表示する表示エリア(図示なし)が形成されており、評価設定ボタン74a,74b,75a,75bの操作により医療支援者が定めた重要度が表示される。
評価設定ボタン74a,74b,75a,75bがクリックされたときには、評価をした者の操作する各外部端末11からネットワーク12を介して、変更された重要度が配信サーバ35の重要度集計処理部36に送信される。発言内容に対する重要度の情報の全てが重要度集計処理部36に送信されることにより、送信者による重要度の情報と、評価者による重要度の情報とが重要度集計処理部36で集計される。集計された集計重要度の情報に基づいて、支援要請コメント61や発言の集計重要度がそれぞれ決められる。表示制御部37は、決められた集計重要度に基づき、各端末に対し、支援要請コメント61や発言の表示方法を変更するよう指令を出す。
検査画像リスト欄には、検査画像のサムネイル画像76が撮影の順番に表示される。このそれぞれのサムネイル画像76の下方には、サムネイル画像76の元となる検査画像に対してされた発言を表示する発言ボックス75が表示される。発言ボックス75には、発言者及び発言時刻などが表示される。
サムネイル画像76を生成するために、表示部41は、配信サーバ35の情報配信部39aにより配信された検査画像のサイズを縮小する。サムネイル画像76をクリックすると、サムネイル画像76の元となっている検査画像が表示される検査画像表示画面が開く。なお、例えば、配信サーバ35の表示制御部37がサムネイル画像76を生成して、情報配信部39aにより検査画像とともに配信してもよい。
また、サムネイル画像76には、各参加者が、その内容を評価するための評価設定ボタン76a,76bが設けられている。評価設定ボタン76aは、サムネイル画像76の元となっている検査画像が重要な情報であると評価する時にクリックするボタンであり、1回操作することにより重要度が所定のランク、例えば1段階上がる。評価設定ボタン76bは、サムネイル画像76の元となっている検査画像が重要ではないと評価する時にクリックするボタンであり、1回操作することにより重要度が所定のランク、例えば1段階下がる。なお、関連表示画面68には、重要度を表示する表示エリア(図示なし)が形成されており、評価設定ボタン76a,76bの操作で設定された重要度が表示される。
評価設定ボタン76a,76bによる重要度の設定は、評価をした者の操作する各外部端末11からネットワーク12を介して配信サーバ35の重要度集計処理部36に送信される。発言内容に対する重要度と同様に検査画像に対する重要度も、重要度集計処理部36に集計され、支援要請コメント61や発言の集計重要度がそれぞれ算出される。表示制御部37は、集計重要度に基づき、各端末に対し、検査画像の表示方法を変更するよう指令を出す。
表示部43は、配信サーバ35の情報配信部39aからの配信があるごとに、発言リスト欄及び検査画像リスト欄の表示を更新する。なお、関連表示画面68を表示する代わりに、コメントボックス74,発言ボックス75,サムネイル画像76を時系列順に表示してもかまわない。この場合、情報の関連付けを担保することはできないが、代わりに検査画像や発言が送信された順番が明確化するという利点がある。
また、情報表示部73の上には、患者ID,受付ID,経過時間,及び支援要請を行った担当医の名前が表示される。情報表示部73の下部には、発言ボタン77,電子カルテ参照ボタン78,終了ボタン79が表示される。発言ボタン77をクリックすると、発言入力画面がポップアップする。カルテ参照ボタン78をクリックすると、電子カルテの内容が表示される。なお、発言入力画面(図示せず)とは、発言内容を入力して送信するための画面のことであり、発言入力欄83,送信ボタン84,及びキャンセルボタン85(いずれも図7,8参照)で構成されている。
終了ボタン79は、医療支援任務から離脱する際に操作される。終了ボタン79をクリックすると、制御部41は、離脱通知を医療支援装置25に送信する。配信サーバ35の情報配信部39aは、この離脱通知を送信してきた外部端末11への配信を停止する。
関連表示画面68において、コメントボックス74あるいはその下方に表示される発言ボックス75をクリックすると、表示部43は、図7に示す発言表示画面81を表示する。発言表示画面81には、患者ID,受付時刻,受付ID,経過時間の他、クリックしたボックスに表示されていた発言を表示する発言表示欄82、及び発言入力欄83が表示される。
発言表示欄82内には、各参加者が、その発言内容を評価するための評価設定ボタン82a,82bが設けられている。評価設定ボタン82aは、その発言内容が重要な情報であると評価する時にクリックするボタンであり、評価設定ボタン82bは、その発言内容が重要ではないと評価する時にクリックするボタンである。評価設定ボタン82a,82bは、評価設定ボタン74a,74b,75a,75bと同様の機能を有するものであるので、その詳細な説明は省略する。
発言入力欄83内には、入力部44のキーボードなどを利用して発言を入力することができる。発言入力欄83のすぐ下には、発言者自身が、入力した発言の内容の重要度を1〜10の10段階に設定できる重要度設定欄83aが設けられている。
送信ボタン84が押されると、発言入力欄83に入力された発言は、発言者によってその発言に設定された重要度の情報とともに、制御部41により、通信部42を介して医療支援装置25に送信される。発言内容は情報受信部39bにより、重要度の情報は重要度集計処理部37によりそれぞれ受信され、いずれも情報配信部39aにより参加者の外部端末11及び担当医の院内端末24に配信される。
また、キャンセルボタン85は、この発言表示画面81を閉じて、直前に表示されていた画面に戻るためのものである。また、発言表示画面81には、電子カルテ参照ボタン78が表示されている。これを操作することにより、発言入力中に電子カルテの内容を参照することができる。なお、この発言表示画面81に、検査画像を参照するための参照ボタンを設けてもよい。
関連表示画面68において、サムネイル画像76あるいはその下方に表示される発言ボックス75をクリックした場合には、表示部43は画面を切り替えて図8に示すような、検査画像表示画面86を表示する。検査画像表示画面86には、患者ID,受付時刻,受付ID、経過時間の他、サムネイル画像76あるいは発言ボックス75に対応する検査画像87、及び発言表示画面81と同様の発言入力欄83が表示される。検査画像87は、X線画像、CT画像などの検査画像の種別、検査画像ID,撮影時刻とともに表示される。
参加者は、この検査画像表示画面86上で検査画像87の詳細を見ることができる。なお、CT画像やMRI画像などを表示する場合には、表示する検査画像の切断面や向きをコントロールするためのツールバーが表示され、これを操作することで任意の切断面、向きで検査画像87を見ることができる。
また、検査画像87には、各参加者が、検査画像87を評価するための評価設定ボタン87a,87bが設けられている。評価設定ボタン87aは、検査画像87が重要な情報であると評価する時にクリックするボタンであり、評価設定ボタン87bは、検査画像87が重要ではないと評価する時にクリックするボタンである。評価設定ボタン87a,87bは、評価設定ボタン76a,76bと同様の機能を有するものであるので、その詳細な説明は省略する。
検査画像表示画面86には、送信ボタン84、キャンセルボタン85、電子カルテ参照ボタン78が表示される。これらの各ボタンの機能は、発言表示画面81に表示されているものと同じである。なお、支援要請受信画面58の参照ボタン63aの操作により、検査画像表示画面86を参照した場合には、発言入力欄83、送信ボタン84、キャンセルボタン85は表示されない。
医療支援任務の開始後、院内端末24のモニタ24aには、図9に示すように、電子カルテ91と情報表示部73とを含む総合画面88が表示される。このように、外部端末11と同じ情報表示部73をモニタ24aに表示することにより、参加者の発言内容などを担当医が容易に理解できるようにしている。なお、コメントボックス74の評価設定ボタン74a,74b及び発言ボックス75の評価設定ボタン75a,75bを使って、院内端末24からも、発言の内容を評価することができる。評価設定ボタン74a,74b,75a,75bは、外部端末11のモニタ11aに表示されているものと同じなので、その詳細の説明は省略する。
総合画面88には、発言ボタン92,終了ボタン93が設けられている。発言ボタン92の操作により、担当医の発言を入力して送信することができる。送信された発言は、院内LAN26を通して医療支援装置25に送られる。終了ボタン93は、院内端末24から医療支援任務の終了通知を医療支援装置25に送信するものである。医療支援装置25は、終了通知に応答して、医療支援任務を終了させる。
次に、医療支援システム10の作用について図10,図11,図12,図13を参照しながら説明する。医療支援システム10による医療支援任務は、例えば、医師が患者の病気やケガの診断や処置等について、専門医の助言を受けたい場合に利用する。患者は、外来患者でも入院患者でもかまわない。
医療支援任務が必要となった場合には、担当医は院内端末24を操作して、その患者の電子カルテ画面から所定の操作を行って、図4に示される支援要請発行画面51を表示する。患者IDや受付IDは、電子カルテから読み取られるので、担当医はこれらを入力したり選択したりする必要はない。
担当医は、支援要請発行画面51のコメント記入欄52に支援要請コメントを入力する。支援要請コメントは、任意の内容でよいが、例えば支援要請を必要としている理由や助言の欲しい内容などを記入する。担当医は、さらに、カルテ内容確認ボタン53をクリックして、配信される電子カルテの内容の確認を行う。院内端末24は、受付IDをキーにして、配信される電子カルテの内容を電子カルテサーバ22から取得し、これを表示する。電子カルテの内容に不足があれば、担当医は電子カルテに不足内容を入力するか、あるいはコメント記入欄52に支援要請コメントとして入力する。
また、担当医は、コメント記入欄52に記載の事項に付す重要度を1〜10の10段階で重要度設定欄52aにて設定する。なお、この重要度の初期設定は7となっており、重要度設定欄52aで特に設定をしない場合には、コメント記入欄52に記載の事項に付される重要度は7となる。
検査画像リスト54には、既に撮影されている検査画像の各画像IDが表示されている。担当医は、検査画像を確認する場合には、確認ボタン54aをクリックする。確認ボタン54aのクリックに応答して、その画像IDの検査画像が、検査画像サーバ23から取得されて表示される。なお、検査画像の配信が不要であると担当医が判断した場合には、削除ボタン54bをクリックし、該当の画像IDを検査画像リスト54から削除する。
過去に撮影された検査画像を支援要請時に配信する場合には、追加ボタン54cをクリックする。このクリックに応答して、選択画面がポップアップする。この選択画面を使って、所望の一つ以上の検査画像が選択され、検査画像リスト54に選択された各検査画像の画像IDが追加される。担当医は、重要度設定欄54dにおいて、各検査画像の表示エリアに表示されている重要度を初期値「7」から変更することができる。
担当医は、支援内容の配信先、例えば医療資格及び専門分野等を配信先指定部55で指定した後に、発行指示ボタン56をクリックする。これにより、患者ID,受付時刻,受付ID,事象発生後の経過時間,支援要請コメント、各検査画像及びそれぞれの検査画像に付された各画像IDを含む支援要請が、院内端末24から医療支援装置25に送られる。また、援要請発行指示を送信した担当医の名前もあわせて送られる。支援要請の送信後、院内端末24のモニタ24aには、図9に示す総合画面88が表示される。
支援要請を医療支援装置25が受信すると、支援要請で指定された配信先が管理サーバ33に送られる。管理サーバ33は、支援者登録リストに基づいてデータベース33aにアクセスして、指定された配信先に該当する支援登録者の宛先を検索する。
例えば、配信先として「医師」を指定している場合には、医療資格が「医師」となっている支援登録者の宛先が検索される。また、配信先として「消化器」の医師を指定している場合には、専門分野情報が「消化器」となっている支援登録者の宛先が検索される。このようにして、検索された宛先を配信先として配信サーバ35の情報受信部39bに送られる。なお、配信先として「全員」を指定している場合には、データベース33aに記録されている全ての支援登録者宛先が検索される。
また、支援要請に含まれた受付ID、経過時間、支援要請コメント、画像IDが配信サーバ35の情報受信部39bに送られる。情報受信部39bは、受付IDに示される電子カルテの内容を電子カルテサーバ22から取得し、また各画像IDに対応する検査画像を検査画像サーバ23から取得する。この後、患者ID,受付ID,受付時刻,経過時間,支援要請コメント及びその重要度,電子カルテの内容,各検査画像及びその重要度,画像ID,担当医の名前を初期配信情報とする。そして、この初期配信情報を含む支援要請を配信サーバ35の情報配信部39aから配信する。
初期配信情報を含む支援要請は、ファイヤウォール27,ネットワーク12を介して、検索された宛先、すなわち、支援要請発行画面で指定された支援登録者の外部端末11に送信される。初期配信情報を含む支援要請の内容は、データベース35aに記録される。
支援要請を受信すると、外部端末11には、図5に示される支援要請受信画面58が表示される。支援登録者は、外部端末11上で、支援要請受信画面58に表示されている支援要請コメント61とその重要度、カルテ内容62を参照する。支援登録者は、さらに必要に応じて、検査画像リスト63の参照ボタン63aにクリックすることで、検査画像を参照する。また、重要度表示欄63bで、各検査画像の重要度を確認することができる。
そして、支援登録者は、要請された医療支援任務に参加できるか否か、あるいは経過を観察するか否かに応じ、医療支援任務への参加あるいは不参加を判断し、それに応じて参加ボタン65あるいは不参加ボタン66をクリックする。不参加ボタン66をクリックすると、この不参加の旨が外部端末11から医療支援装置25に通知される。これにより、この後の医療支援任務の発言などが、その外部端末11には配信されることはない。また、不参加の通知後に支援要請受信画面58が閉じられる。
一方、参加ボタン65をクリックすると、モニタ11aに認証用IDとパスワードの入力画面(図示省略)が表示される。支援登録者は、キーボードなどを使用して、事前に設定されている認証用IDとパスワードを入力してから送信する。これにより、入力した認証用ID,パスワードとともに、参加通知が外部端末11からネットワーク12,ファイヤウォール27を介して医療支援装置25に送られる。
入力された認証用ID,パスワードは、管理サーバ33で受信される。また、管理サーバ33は、この受信時に得られる情報から、それを送信した外部端末11を識別する。この後、管理サーバ33は、識別した外部端末11に対応する認証用ID,パスワードと、外部端末11から入力された認証用ID,パスワードが一致しているか否かを判断する。
認証用IDまたはパスワードが一致していないときには、配信サーバ35を介して認証用IDまたはパスワードが間違っている旨を外部端末11に送信し、認証用ID,パスワードの再入力を求める。なお、識別された外部端末11がデータベース33aに見つからない場合は、外部端末11が登録されていない旨を表示させる。
認証用ID及びパスワードが一致した場合には、その支援登録者は、医療支援任務の参加者と認められる。そして、その参加者の宛先が配信サーバ35の情報受信部39bに送られて、参加リストに加入される。外部端末11からの認証用ID,パスワード,参加通知を受信するごとに同様の処理を行って、支援登録者の認証を行い、その宛先を参加リストに追加する。
参加リストに登録された外部端末11には、情報配信部39aから認証の正常完了通知が送られる。この正常完了通知を受信すると、図6に示されるように、外部端末11のモニタ11aに関連表示画面68が表示される。参加者がまだ発言を行っていないときには、関連表示画面68の情報表示部73には、支援要請コメント61が表示されたコメントボックス74と、検査画像リスト54に登録した検査画像のサムネイル画像76と、それらに対する評価設定ボタン74a,74b,76a,76bとのみが表示されている。
また、正常完了通知を受信すると、外部端末11に設けられた赤色発光ダイオード11bが点滅し、これに加えて、もしくは代えて、スピーカーやサイレン(図示せず)からアナウンスやビープ音が発せられる。これにより、その人物が医療支援任務に参加している旨が、周囲に報知される。
関連表示画面68から支援要請コメント61の内容を参照する場合には、コメントボックス74をクリックして発言表示画面81を開く。発言内容を参照する場合には、発言ボックス75をクリックして発言表示画面81を開く。検査画像を参照する場合には、サムネイル画像76をクリックして検査画像画面86を開く。電子カルテの内容を参照する場合には、カルテ参照ボタン78をクリックして、それを表示すればよい。
また、各支援登録者は、関連表示画面68から支援要請コメント61や各検査画像が重要であるか否かを評価することができる。各支援登録者は、評価設定ボタン74a,74bをクリックすることにより、コメントボックス74に表示された支援要請コメント61の重要度のランクを変更することができる。また、各支援登録者は、各評価設定ボタン76a,76bをクリックすることにより、サムネイル画像76の元となっている各検査画像の重要度のランクを変更することができる。
参加者は、発言を行う場合には、発言ボタン77をクリックする。この操作に応答して発言入力画面が表示される。発言者は、発言入力欄83に助言や所見などの発言を入力し、その発言内容の重要度を重要度設定欄83aに設定した後に、送信ボタン84をクリックする。これにより、発言がその重要度とともに応答情報として医療支援装置25に送信される。
外部端末11からの発言は、その重要度とともに、配信サーバ35の情報受信部39bで受信される。発言内容は、配信サーバ35の情報配信部39aによって参加者の外部端末11、及び担当医の院内端末24に配信される。また、配信された発言が応答情報としてデータベース35aに記録される。外部端末11及び院内端末24では、参照した支援要請コメントや発言や検査画像に関連付けて、その発言を記載した発言ボックス75が表示され、情報表示部73が更新される。コメントボックス74と発言ボックス75と検査画像76との関連付けは、関連表示制御部37bによって制御される。
また、発言ボックス75には、その内容に対する評価設定ボタン75a,75bが設けられる。それぞれの参加者は、評価設定ボタン75a,75bにクリックすることにより、その内容が重要であるか否かの評価をすることができる。評価に関する情報は、配信サーバ35の重要度集計処理部36に送信される。外部端末11もしくは院内端末24から発言が送信されるごとに情報表示部73が更新され、新たな発言ボックス75が、評価設定ボタン75a,75bと共に表示される。この発言ボックス75にクリックすると、図7に示す発言表示画面81が開いて、配信された発言を詳細に見ることができる。
一方、患者IDから、モダリティ31で取得された検査画像が医療支援中の患者のものであることが検査画像サーバ23によって検知されると、この検査画像に自動的に重要度7の情報が付される。そして、この検査画像は、重要度の情報と共に、配信サーバ35の情報受信部39bに送られる。この検査画像は、情報配信部39aによって、その検査画像が各参加者の外部端末11及び院内端末24に配信される。
外部端末11及び院内端末24の各モニタ11a,24aに表示される各情報表示部73には、配信された検査画像のサムネイル画像76が、評価設定ボタン76a,76bとともに表示される。サムネイル画像76にクリックすることにより、図8に示す検査画像画面86が開いて、配信された検査画像を参照することができる。また、評価設定ボタン76a,76bにクリックすることにより、各参加者が、その検査画像を重要であるか否かの評価をすることができる。モダリティ31で患者の検査画像が取得されるごとに同様な手順で検査画像が配信されて、サムネイル画像76が情報表示部73内に表示される。
また、発言表示画面81あるいは検査画像画面86からも、発言入力画面から行うのと同様にして発言を行うことができる。発言者は、この発言内容に対しても、発言入力画面から行うのと同様にして重要度を設定することができる。
また、担当医が院内端末24から電子カルテに入力を行うと、電子カルテサーバ22によってデータベース22a上のカルテ情報が更新される。追加された電子カルテの内容は、配信サーバ35の情報受信部39bに送られる。そして、配信サーバ35の情報配信部39aにより、追加された電子カルテの内容が追加配信情報として参加者の外部端末11に配信される。これにより、参加者は、更新された電子カルテの内容を見ることができる。
図12のフローチャートを用いて、配信サーバ35による医療情報送信処理について説明する。ここでいう医療情報とは、支援要請後に配信される追加配信情報と、配信情報に対してされる応答情報のことを指す。具体的には、担当医により追加される電子カルテ情報、新たにモダリティ31にて取得される検査画像、担当医からの発言、参加者からの発言のことを指す。以下には、重要度が7である検査画像が医療情報として配信される場合と、重要度が5である参加者からの発言が医療情報として配信される場合とについて説明する。
まず、重要度が7である検査画像が配信される場合について説明する。重要度判定部36aは、新たに取得された検査画像の重要度7を取得する(重要度取得ステップS1)。なお、この重要度は、初期設定に基づくものと、担当医または発言者自身によって医療情報に対して設定されたものとがあり、いずれも情報の送信時に付されている。
次に、重要度判定部36aは、取得した重要度が予め設定した閾値以上であるか否かを判定する(判定ステップS2)。閾値が7に設定されている場合には、検査画像は重要情報であると判定される。そのため、検査画像が配信される前に、受信状態設定部38は、外部端末11及び院内端末からの情報の送信を一時中止にして、外部端末11及び院内端末24が検査画像を受信しやすい状態にする(受信状態設定ステップS3)。その後、情報配信部39aは、外部端末11及び院内端末24に検査画像を配信する(情報配信ステップS4)。
検査画像が各端末に配信されると、表示制御部37は、各端末に対し、検査画像の受信を完了した旨の表示をするよう、指令を出す(自動受信表示ステップS5)。各端末は、この指令を受けて、検査画像の受信を完了した旨の表示をする。また、表示制御部37は、各端末に対し、検査画像を自動的に表示するよう、指令を出す(自動情報表示ステップS6)。各端末は、この指令を受けて、検査画像を各モニタ24a,11aに表示する。なお、検査画像の受信を完了した旨及び検査画像の表示方法は、検査画像に付された重要度に応じて適宜選択される。
次に、重要度が5である参加者からの発言が配信される場合について説明する。この場合には、判定ステップS2において、この発言の重要度5が閾値7未満であるので、重要度判定部36aは、この発言は重要情報ではないと判定する。そのため、受信状態設定ステップS3が行われることなく、外部端末11及び院内端末に、この発言が配信される。その後、自動受信表示ステップS5及び自動情報表示ステップS6は行われない。
図12に記載の医療情報送信処理の機能を配信サーバ35に設けることで、配信を受ける全ての外部端末11及び院内端末24に重要な医療情報を迅速かつ確実に配信することができる。また、重要情報の受信を完了した旨を表示し、重要情報そのものを受信完了後に表示するので、重要情報を一目で確認でき、重要情報の見落しが防止される。そのため、迅速かつ確実に担当医及び参加者の間で重要情報を共通認識することができ、適切に医療支援任務を遂行することができる。
また、担当医が共通認識を持つべき情報を高い重要度で配信すれば、担当医から参加者に対して医療知識の伝授を行うことが可能となる。また、参加者の中に高い専門知識を有するものがいる場合に、その参加者からの発言を高い重要度で配信すれば、担当医及び他の参加者に対して、医療教育を行うことが可能となる。また、情報の送信者の医療資格や専門分野などといった属性情報に応じて、情報に付される重要度の初期値を設定することもできる。
さらに、配信サーバ35は、各参加者によって評価設定ボタンを通じて配信済みの医療情報が評価されることにより、その医療情報の重要度の値が1段階以上変化した場合に、その医療情報の表示方法を変更する機能を有する。図13のフローチャートを用いて、この表示方法を変更する処理について説明する。
まず、発言者により重要度が5であると設定された発言に対して、集計重要度が7に変化した場合について説明する。この発言が配信された後、この発言が表示された発言ボックス75に設けられた評価設定ボタン75a,75bと、発言ボックス75から開かれる発言表示画面81に設けられた評価設定ボタン82a,82bとがクリックされると、変更された重要度が各参加者の各端末から重要度集計処理部36に送信される。発言者が設定した発言内容に対する重要度の情報と、各参加者が評価設定ボタン75a,75b,82a,82bを通じて発言内容に対して設定した重要度の情報とが、配信サーバ35に送られる。
配信サーバ35の重要度集計処理部36は、この発言に対する集計重要度を算出する。例えば、発言者による重要度5と、各参加者の重要度設定値との平均値が、集計重要度として算出される(重要度集計ステップS11)。なお、各参加者の重要度設定値は、評価設定ボタン75a,82aが押された回数をAとし、評価設定ボタン75b,82bが押された回数をBとすると、(A−B+5)で求めてもよい。
重要度集計処理部36により、例えば、集計重要度が7.2であると算出された場合には、内部では重要度は7.2としておきながらも、各端末の表示に関しては集計重要度が7のものとして扱われる。集計重要度が5から7に変化しているため、集計重要度の変化は2であると算出される(集計重要度変化算出ステップS12)。この場合には、この発言について、表示方法変更ステップS13が行われる。
表示方法変更部37aは、この発言の表示形態を、集計重要度が5の形態から集計重要度が7の形態に変更するよう各端末に指示する。各端末は、各発言の表示形態を変更する(表示方法変更ステップS13)。
上述の第1番目の表示方法が採用されている場合には、表示方法変更部37aの指令を受けて、その発言の表示が点灯表示から点滅表示に切り替えられる。上述の第2番目の表示方法が採用されている場合には、表示方法変更部37aの指令を受けて、緑色の表示が黄色の表示に切り替えられる。上述の第3番目の表示方法が採用されている場合には、斜体の表示が太字の表示に切り替えられる。上述の第4番目の表示方法が採用されている場合には、フォントサイズが10pから12pに切り替えられる。
なお、一度表示方法が変更されると、集計重要度変化算出ステップS12は、情報配信時に決定された重要度を比較基準にするのではなく、直前の表示方法変更時の集計重要度を比較基準とするよう切り替えられる。
一方、集計重要度変化算出ステップS12において、集計重要度の変化が無いものと算出された医療情報には、表示方法変更ステップS13は行われない。
また、例えば、重要度集計処理部36の集計重要度が5.1から5.9に変化した場合には、集計重要度は変化していないものとして処理される。一方、重要度集計処理部36の集計重要度が5.9から6.1に変化した場合には、集計重要度は5から6へ1段階変化したものとして処理される。
ここでは参加者の発言について説明したが、支援要請コメントや検査画像などについても、同様の重要度及び表示方法変更の処理が行われる。なお、支援要請コメントについて重要度の処理が行われる場合には、担当医の重要度設定値(又は初期設定値7)及び評価設定ボタン74a,74bが重要度の処理に用いられる。また、検査画像について重要度の処理が行われる場合には、担当医の重要度設定値(又は初期設定値7)及び評価設定ボタン76a,76b,87a,87bが重要度の処理に用いられる。
図13に記載の表示方法変更機能を配信サーバ35に設けることで、客観的に重要な情報を目立つように表示しているため、客観的に重要な情報の閲覧を逃してしまうことが防止される。そのため、迅速かつ確実に担当医及び参加者の間で重要情報を共通認識することができ、適切に医療支援任務を遂行することができる。
重要度集計処理部36は、情報の評価者の医療資格や専門分野などといった属性情報に応じて、重要度にウェイトを設けて処理することができる。例えば、医師の資格を持つものが評価した重要度のウェイトを1.2とし、看護師の資格を持つものが評価した重要度のウェイトを0.8とすることができる。また、脳梗塞について医療支援を行っている場合には、脳を専門分野とする医療従事者が評価した重要度のウェイトを1.5とすることができる。
経過時間制御部37cは、任意の医療情報の配信後の経過時間を端末ごとに把握することができる。閲覧有無検出部40は、任意の医療情報が閲覧されているか否かを端末ごとに把握することができる。そのため、配信サーバ35は、端末ごとに、受信された医療情報が未閲覧のまま、どの程度の時間が経過しているかを把握することができる。そのため、例えば、重要度集計処理部36は、端末ごとに、この経過時間に依存して、未閲覧の医療情報の重要度を高く設定することができる。例えば、未閲覧の医療情報の表示は、所定時間が経過するごとに、重要度を1段階上げる。そのため、重要度の高い医療情報の閲覧忘れをより防止することができる。
また、閲覧有無検出部40は、ある端末において未閲覧となっている医療情報がその他の端末で閲覧された回数を検出することができる。そのため、例えば、重要度集計処理部36は、この回数に依存して、端末ごとに、未閲覧の医療情報の重要度を高く設定することができる。これにより、未閲覧の医療情報の表示は、その他の参加者の閲覧回数の増加に伴って、より重要度の高い時の表示に切り替えられる。そのため、客観的に共有すべき医療情報の閲覧忘れをより防止することができる。
また、ある参加者が、重要な情報を未閲覧にしている場合には、情報表示部73,発言表示画面81,及び検査画像表示画面86の端部に設けた領域に注意喚起を表示することもできる。この注意喚起についても、当該未閲覧の情報の重要度に依存して、上述のように、点滅の有無、表示の色彩、フォント、及びサイズを変更して表示することができる。
なお、各参加者が、配信された情報の表示方法をある程度カスタマイズできることが望ましい。例えば、情報表示部73,発言表示画面81,及び検査画像表示画面86の表示箇所やそのスペースの配分などをカスタマイズして、利便性を高めることができる。
上記のようにして医療支援任務が進行し、情報表示部73に表示される発言、検査画像を参照しながら担当医と参加者は意見交換を行い、また参加者から担当医に助言を与えることができる。そして、担当医は適切な診断、処置を行うことができる。
本発明に係る医療支援装置及び医療支援システムによれば、配信された情報は、互いに関連付けて外部端末や院内端末に表示される。さらに、更新情報があれば、自動的に外部端末や院内端末に配信され、表示が自動的に更新されるので、良好な医療支援環境を実現することができる。さらに、重要度に応じて情報の配信方法が変更されるので、重要な情報を確実に配信することができる。また、集計重要度に応じて、情報の表示方法が変更されるので、担当医や参加者は重要な情報を見逃すことなく閲覧することができる。この医療支援装置及びシステムを使用することによって、適切な医療行為を適時に施すことができる。
ところで、進行中の医療支援任務から離脱する場合、参加者は終了ボタン79をクリックする。これにより、その参加者の外部端末11から離脱通知が医療支援装置25に送信され、配信サーバ35の情報配信部39aが、その参加者の宛先情報を参加リストから削除する。これにより、離脱通知を送信した外部端末11には、配信が行われなくなる。また、端末制御サーバ34は、ネットワーク12を介して、離脱した外部端末11に保存されている配信情報を削除する。
十分な支援が得られて処置が完了し、医療支援任務を終了する場合には、担当医が院内端末24で終了ボタン93を操作する。この操作に応答して、終了通知が医療支援装置25に送られる。これととともに、配信サーバ35の情報配信部39aから参加者の外部端末11に終了通知が送られ、また端末制御サーバ34は、ネットワーク12を介して、外部端末11に保存されている配信情報を削除する。
本発明は、例えば、緊急医療の現場でも有効に適用することができる。外部端末は、携帯端末やスマートフォンなどであってもよい。その場合においては、それぞれの端末に合わせて、支援要請受信画面58,関連表示画面68,情報表示部73,発言入力画面,発言表示画面81,検査画像表示画面86の表示形式などを適宜変更することが望ましい。