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JP2014054925A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2014054925A JP2012201067A JP2012201067A JP2014054925A JP 2014054925 A JP2014054925 A JP 2014054925A JP 2012201067 A JP2012201067 A JP 2012201067A JP 2012201067 A JP2012201067 A JP 2012201067A JP 2014054925 A JP2014054925 A JP 2014054925A
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Abstract

【課題】操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗の低減が達成された空気入りタイヤ2の提供。
【解決手段】タイヤ2は、それぞれがトレッド4の端よりも半径方向略内側に位置する一対のビード10と、それぞれが軸方向においてカーカス12の外側に位置する一対のサイド部6と、それぞれが軸方向においてサイド部6の内側に位置する一対の補強層18とを備える。それぞれのサイド部6は、サイドウォール30と、クリンチ部32とを備える。サイドウォール30は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。クリンチ部32は、半径方向においてこのサイドウォール30の内側に位置している。このクリンチ部32の複素弾性率は、7.2MPa以上8.8MPa以下である。このクリンチ部32の損失正接は、0.10以上0.12以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
タイヤは、トレッドと、このトレッドの端から半径方向略内向きに延びるサイドウォールとを備えている。車両における燃料の消費効率の向上の観点から、このサイドウォールの厚みが低減されることがある。この厚みの低減は、タイヤの剛性に影響する。過小な厚みは、操縦安定性を阻害してしまう。
操縦安定性及び乗り心地の両立の観点から、タイヤのサイドウォールの内側においてカーカスに沿って延在するストリップエイペックスが設けられることがある。このタイヤでは、操縦安定性を損なうことなく、サイドウォールの厚みが有効に低減される。このようなタイヤの一例が、特開2010−149677公報に開示されている。
特開2010−149677公報
タイヤは、サイドウォールの半径方向内側にクリンチ部を備えている。このクリンチ部は、架橋ゴムからなる。燃料の消費効率の向上の観点から、低い損失正接を有するクリンチ部を採用し、タイヤの転がり抵抗の低減が図られることがある。しかし、低損失正接のクリンチ部は、複素弾性率が低いため、タイヤの剛性を低下させてしまう。低い複素弾性率を有するクリンチ部の採用は、操縦安定性の低下を招来するという問題がある。
本発明の目的は、操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗の低減が達成された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端よりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されており半径方向において上記トレッドの内側に位置するカーカスと、それぞれが軸方向において上記カーカスの外側に位置する一対のサイド部と、それぞれが軸方向においてこのサイド部の内側に位置する一対の補強層とを備えている。それぞれのサイド部は、サイドウォールと、クリンチ部とを備えている。このサイドウォールは、上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びている。このクリンチ部は、半径方向においてこのサイドウォールの内側に位置している。このクリンチ部の複素弾性率は、7.2MPa以上8.8MPa以下である。このクリンチ部の損失正接は、0.10以上0.12以下である。それぞれのビードは、コアと、このコアから半径方向略外向きに延びるエイペックスとを備えている。このエイペックスの硬度は、65以上80以下である。それぞれの補強層は、上記エイペックスの先端部分から上記カーカスに沿って半径方向略外向きに延びている。この補強層の硬度が、65以上80以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記クリンチ部の厚みの、上記エイペックスの厚みに対する比率は、0.36以上0.44以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、その内縁を通り軸方向に延在する線が基準とされ、この基準線から赤道までの半径方向高さH1、この基準線から上記補強層の外端までの半径方向高さH2及びこの基準線から上記クリンチ部の外端までの半径方向高さH3が、上記正規リムに装着されない状態で計測されたとき、この高さH2のこの高さH1に対する比率が0.54以上0.66以下であり、この高さH3の上記高さH1に対する比率が0.36以上0.44以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記エイペックスの先端が位置する部分における上記補強層の厚みが、0.9mm以上1.1mm以下である。
本発明に係る空気入りタイヤでは、操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗の低減が達成される。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1に示されたタイヤの一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたタイヤ2は、トレッド4、サイド部6、ウィング8、ビード10、カーカス12、ベルト14、バンド16、補強層18、クッション20、インナーライナー22及びチェーファー24を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。この図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ2は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。
トレッド4は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、トレッド面26を備えている。このトレッド面26は、路面と接地する。トレッド面26には、溝28が刻まれている。この溝28により、トレッドパターンが形成されている。トレッド面26に溝28が刻まれなくてもよい。
サイド部6は、軸方向においてカーカス12の外側に位置している。このサイド部6は、サイドウォール30と、クリンチ部32とを備えている。サイドウォール30は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール30は、架橋ゴムからなる。サイドウォール30は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール30は、カーカス12の外傷を防止する。
クリンチ部32は、半径方向においてサイドウォール30の内側に位置している。図示されていないが、このタイヤ2が正規リム(以下、リム)に装着されたとき、このクリンチ部32がリムのフランジに当接する。これにより、ビード10が保護される。
クリンチ部32は、架橋されたゴム組成物からなる。このタイヤ2では、クリンチ部32の損失正接(tanδ)は0.12以下である。このクリンチ部32の損失正接は低い。低損失正接のクリンチ部32は、転がり抵抗の低減に寄与しうる。このタイヤ2では、クリンチ部32の損失正接は0.10以上である。このクリンチ部32は、適度な剛性を有している。このタイヤ2では、応答遅れが抑制されるとともに、良好な応答の線形感が維持される。このタイヤ2では、クリンチ部32による操縦安定性への影響が抑えられている。このクリンチ部32は、操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗の低減に寄与しうる。
このタイヤ2では、クリンチ部32の複素弾性率は7.2MPa以上8.8MPa以下である。このクリンチ部32は、操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗の低減に寄与しうる。この観点から、このクリンチ部32の複素弾性率は7.5MPa以上が好ましく、8.5MPa以下が好ましい。
本明細書では、損失正接及び複素弾性率は、「JIS K 6394」の規定に準拠して測定される。測定条件は、以下の通りである。
粘弾性スペクトロメーター:岩本製作所の「VESF−3」
初期歪み:10%
動歪み:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70℃
ビード10は、トレッド4の端よりも半径方向略内側に位置している。このビード10は、軸方向においてクリンチ部32の内側に位置している。ビード10は、コア34と、このコア34から半径方向外向きに延びるエイペックス36とを備えている。コア34は、リング状である。コア34は、非伸縮性ワイヤーが巻かれてなる。典型的には、コア34にスチール製ワイヤーが用いられる。エイペックス36は、半径方向外向きに先細りである。
エイペックス36は、架橋されたゴム組成物からなる。このタイヤ2では、エイペックス36の硬度は65以上80以下である。このエイペックス36は、タイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性及び乗り心地に優れる。
本明細書では、硬度はJIS−A硬度である。この硬度は、「JIS−K6253」の規定に準拠して、23℃の環境下で、タイプAのデュロメータによって測定される。
このタイヤ2では、エイペックス36が操縦安定性及び乗り心地に効果的に寄与しうるという観点から、その複素弾性率は、45MPa以上が好ましく、65MPa以下が好ましい。このエイペックス36の損失正接は、0.10以上が好ましく、0.20以下が好ましい。
カーカス12は、カーカスプライ38からなる。カーカスプライ38は、両側のビード10の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール30の内側に沿っている。カーカスプライ38は、コア34の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。このカーカスプライ38は、赤道からそれぞれのビード10に向かって延在する本体40と、この本体40から半径方向略外向きに延在する一対の折返し部42とから構成されている。
図示されていないが、カーカスプライ38は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は70°から90°である。換言すれば、このカーカス12はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト14は、カーカス12の半径方向外側に位置している。ベルト14は、カーカス12と積層されている。ベルト14は、カーカス12を補強する。ベルト14は、内側層44及び外側層46からなる。図示されていないが、内側層44及び外側層46のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層44のコードの傾斜方向は、外側層46のコードの傾斜方向とは逆である。このコードの材質は、スチールである。このコードに、有機繊維が用いられてもよい。カーカス12を効果的に補強しうるという観点から、その材質がスチールとされたコードが好ましい。
バンド16は、ベルト14の端の部分を覆っている。このバンド16は、エッジバンド16とも称される。図示されていないが、このバンド16は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。バンド16は、いわゆるジョイントレス構造を有する。このコードによりベルト14が拘束されるので、ベルト14のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。ベルト14のリフティングを効果的に抑制し、汎用性に優れるという観点から、この有機繊維としては、ナイロン繊維が好ましい。
補強層18は、軸方向において、サイド部6の内側に位置している。この補強層18は、エイペックス36の先端48の部分からカーカス12に沿って半径方向略外向きに延びている。この補強層18の半径方向内側に位置する端50(以下、内端)は、半径方向において、エイペックス36の先端48よりも内側に位置している。この補強層18は、軸方向において、エイペックス36と重なり合っている。この補強層18の半径方向外側に位置する端52(以下、外端)は、半径方向においてカーカスプライ38の一部をなす折返し部42の端54よりも外側に位置している。この補強層18の外端52が、半径方向において、この折返し部42の端54よりも内側に位置してもよい。この場合、この補強層18の外端52の部分がこの折返し部42で覆われる。
図示されているように、このタイヤ2では、補強層18はカーカスプライ38を構成する本体40と折返し部42との間に挟まれている。この補強層18の内端50は、エイペックス36とこの本体40との間に位置している。この補強層18が、その内端50がエイペックス36と折返し部42との間に位置するように構成されてもよい。
補強層18は、架橋されたゴム組成物からなる。このタイヤ2では、補強層18の硬度は65以上85以下である。この補強層18は、このタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性及び乗り心地に優れる。
このタイヤ2では、補強層18が操縦安定性及び乗り心地に効果的に寄与しうるという観点から、その複素弾性率は、45MPa以上が好ましく、65MPa以下が好ましい。この補強層18の損失正接は、0.10以上が好ましく、0.20以下が好ましい。
このタイヤ2では、補強層18のゴム組成物はエイペックス36のゴム組成物と同等とされるのが好ましい。これにより、タイヤ2の剛性が効果的に向上される。しかも、補強層18にエイペックス36のゴム組成物と同等のゴム組成物を用いることは、タイヤ2の製造に使用する材料の集約に寄与しうる。このタイヤ2は、生産コストの低減に寄与しうる。
このタイヤ2では、クリンチ部32の厚みはエイペックス36の厚みよりも小さい。このクリンチ部32は、転がり抵抗の低減に寄与しうる。前述したように、補強層18はタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2では、クリンチ部32の厚み低減と、補強層18の採用により、操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗の低減が達成されている。しかも、小さな厚みを有するクリンチ部32は、補強層18の採用に伴う、タイヤ2の質量増加を抑制しうる。
図1において、実線BLは基準線を表している。符号PEは、このタイヤの内縁を表している。この基準線BLは、タイヤ2の内縁PEを通る軸方向に延びる線である。両矢印H1は、基準線BLからこのタイヤ2の赤道56までの半径方向高さを表している。この高さH1は、タイヤ2の断面高さと称される。両矢印H2は、基準線BLから補強層18の外端52までの半径方向高さを表している。両矢印H3は、基準線BLからクリンチ部32の外端58までの半径方向高さを表している。両矢印H4は、基準線BLから補強層18の内端50までの半径方向高さを表している。両矢印H5は、基準線BLからエイペックス36の先端48までの半径方向高さを表している。両矢印H6は、基準線BLから折返し部42の端54までの半径方向高さを表している。高さH1、高さH2、高さH3、高さH4、高さH5及び高さH6は、このタイヤ2が正規リムに装着されない状態で計測される。換言すれば、これらはデフレート状態で計測される。
このタイヤ2では、高さH2の高さH1に対する比率は0.54以上0.66以下が好ましい。この比率が0.54以上に設定されることにより、補強層18がタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2では、応答遅れが抑制されるとともに応答の線形感が向上される。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から、この比率は0.58以上がより好ましい。この比率が0.66以下に設定されることにより、補強層18による剛性過大が抑制される。このタイヤ2では、良好な乗り心地が維持される。この観点から、この比率は0.62以下がより好ましい。
このタイヤ2では、高さH4の高さH1に対する比率は0.13以上0.20以下が好ましい。この比率が0.13以上に設定されることにより、補強層18による剛性過大が抑制される。このタイヤ2では、良好な乗り心地が維持される。この比率が0.20以下に設定されることにより、補強層18がタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。
このタイヤ2では、高さH3の高さH1に対する比率は0.36以上0.44以下が好ましい。この比率が0.36以上に設定されることにより、クリンチ部32がタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から、この比率は0.38以上がより好ましい。この比率が0.44以下に設定されることにより、クリンチ部32による操縦安定性への影響が抑制される。しかも、このクリンチ部32が転がり抵抗の低減に効果的に寄与しうる。この観点から、この比率は0.42以下がより好ましい。
このタイヤ2では、高さH5の高さH1に対する比率は0.20以上0.30以下が好ましい。この比率が0.20以上に設定されることにより、エイペックス36がタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この比率が0.30以下に設定されることにより、エイペックス36による剛性過大が抑制される。このタイヤ2では、優れた乗り心地が維持される。
このタイヤ2では、高さH6の高さH1に対する比率は0.45以上0.50以下が好ましい。この比率が0.45以上に設定されることにより、折返し部42がタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この比率が0.50以下に設定されることにより、折返し部42による剛性過大が抑制される。このタイヤ2では、優れた乗り心地が維持される。
図2には、図1に示されたタイヤ2の一部が拡大された断面図が示されている。この図2において、両矢印a1で示されているのはクリンチ部32の厚みである。この厚みa1は、このクリンチ部32の外面から外向きに突出するクリンチャーライン60がないとした場合における、このクリンチ部32の最大厚みで表される。両矢印a2で示されているのは、エイペックス36の厚みである。この厚みa2は、このエイペックス36の最大厚みで表される。このタイヤ2では、コア34に近接する位置でこのエイペックス36の厚みは最大となる。両矢印a3で示されているのは、補強層18の厚みである。この厚みa3は、エイペックス36の先端48の部分における補強層18の厚みで表される。
このタイヤ2では、厚みa1の厚みa2に対する比率は0.36以上0.44以下が好ましい。この比率が0.36以上に設定されることにより、クリンチ部32がビード10の部分の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から、この比率は0.38以上がより好ましい。この比率が0.44以下に設定されることにより、小さな厚みのクリンチ部32を備えたタイヤ2が得られうる。このクリンチ部32は、転がり抵抗の低減に寄与しうる。しかも、このクリンチ部32による操縦安定性への影響が抑制される。この観点から、この比率は0.42以下がより好ましい。
このタイヤ2では、厚みa3は0.9mm以上1.1mm以下が好ましい。この厚みa2が0.9mm以上に設定されたタイヤ2では、補強層18がタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2では、応答の線形感が維持されつつ、応答遅れが改善される。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この厚みa2が1.1mm以下に設定されたタイヤ2では、補強層18による剛性過大が抑制される。このタイヤ2では、応答遅れの低下が抑制されつつ、応答の線形性が改善される。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。しかも、このタイヤ2では、転がり抵抗が低減される。
本発明では、特に記載がない限り、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ2の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記表2に示された仕様を備えた乗用車用タイヤを得た。このタイヤのサイズは、175/65R15 84Sである。このタイヤでは、補強層の外端までの半径方向高さH2のタイヤ断面高さH1に対する比率(H2/H1)は0.6とされた。クリンチ部の外端までの半径方向高さH3のタイヤ断面高さH1に対する比率(H3/H1)は、0.4とされた。クリンチ部の厚みa1のエイペックスの厚みa2に対する比率(a1/a2)は、0.4とされた。補強層の厚みa3は、1.0mmとされた。クリンチ部の損失正接(tanδ)は、0.11とされた。このクリンチ部の複素弾性率E*は、8.0MPaとされた。このタイヤでは、エイペックスと補強層とは同じゴム組成物からなる。エイペックス及び補強層それぞれのtanδは、0.15とされた。エイペックス及び補強層それぞれの硬度は、70とされた。
[実施例2−3及び比較例6−7]
クリンチ部のtanδ及び複素弾性率E*を下記の表2に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−3及び比較例6−7のタイヤを得た。
[実施例4−7]
比率(H2/H1)を下記の表3に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例4−7のタイヤを得た。
[実施例8−11]
比率(H3/H1)を下記の表4に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例8−11のタイヤを得た。
[実施例12−15]
比率(a1/a2)を下記の表5に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例12−15のタイヤを得た。
[実施例16−19]
厚みa3を下記の表6に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例16−19のタイヤを得た。
[実施例20−21及び比較例8−9]
エイペックス及び補強層それぞれのtanδ及び硬度を下記の表7に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例20−21及び比較例8−9のタイヤを得た。
[比較例1−5]
補強層を設けることなく、比率H3/H1、比率(a1/a2)、クリンチ部のtanδ、その複素弾性率E*、エイペックスのtanδ及びその硬度を下記の表1の通りとした他は実施例1と同様にして、比較例1−5のタイヤを得た。なお、比較例1は、従来のタイヤである。
[応答遅れ及び応答の線形感]
タイヤを15×5.5JJのリムに組み込み、フロントタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填し、リアタイヤに内圧が220kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が1300ccである前輪駆動の乗用車に装着した。ドライバーに、この乗用車をレーシングサーキットで運転させて、応答遅れ及び応答の線形感を評価させた。この結果が、指数として下記の表1から7に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[転がり抵抗]
転がり抵抗試験機を用い、下記の測定条件で転がり抵抗を測定した。
使用リム:15×6−J(アルミニウム合金製)
内圧:220kPa
荷重:4.6kN
速度:80km/h
この結果が、実施例1が基準とされた指数として、下記の表1から7に示されている。数値が小さいほど好ましい。
Figure 2014054925
Figure 2014054925
Figure 2014054925
Figure 2014054925
Figure 2014054925
Figure 2014054925
Figure 2014054925
表1から7に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された空気入りタイヤは、種々の車両にも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイド部
8・・・ウィング
10・・・ビード
12・・・カーカス
14・・・ベルト
16・・・バンド
18・・・補強層
30・・・サイドウォール
32・・・クリンチ部
34・・・コア
36・・・エイペックス
38・・・カーカスプライ
40・・・本体
42・・・折返し部
44・・・内側層
46・・・外側層

Claims (4)

  1. その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端よりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されており半径方向において上記トレッドの内側に位置するカーカスと、それぞれが軸方向において上記カーカスの外側に位置する一対のサイド部と、それぞれが軸方向においてこのサイド部の内側に位置する一対の補強層とを備えており、
    それぞれのサイド部が、サイドウォールと、クリンチ部とを備えており、
    このサイドウォールが、上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びており、
    このクリンチ部が、半径方向においてこのサイドウォールの内側に位置しており、
    このクリンチ部の複素弾性率が、7.2MPa以上8.8MPa以下であり、
    このクリンチ部の損失正接が、0.10以上0.12以下であり、
    それぞれのビードが、コアと、このコアから半径方向略外向きに延びるエイペックスとを備えており、
    このエイペックスの硬度が、65以上80以下であり、
    それぞれの補強層が、上記エイペックスの先端部分から上記カーカスに沿って半径方向略外向きに延びており、
    この補強層の硬度が、65以上80以下である、空気入りタイヤ。
  2. 上記クリンチ部の厚みの、上記エイペックスの厚みに対する比率が、0.36以上0.44以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. その内縁を通り軸方向に延在する線が基準とされ、この基準線から赤道までの半径方向高さH1、この基準線から上記補強層の外端までの半径方向高さH2及びこの基準線から上記クリンチ部の外端までの半径方向高さH3が、上記正規リムに装着されない状態で計測されたとき、
    この高さH2のこの高さH1に対する比率が、0.54以上0.66以下であり、
    この高さH3の上記高さH1に対する比率が、0.36以上0.44以下である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記エイペックスの先端が位置する部分における上記補強層の厚みが、0.9mm以上1.1mm以下である請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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