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JP2014054094A - モータ駆動システム - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性が高く、且つ低コストの半導体素子を用いて電流の転流と巻線の切り替えを統合的に行うことができるモータ駆動システムSを提供する。
【解決手段】相巻線U、V、Wは、一端が第1インバータ14の出力端子に接続され、他端が第2インバータ15の出力端子に接続され、さらに、相巻線U、V、Wの一端が三相全波整流器16の入力端子に接続されている。また、三相全波整流器16には、正負端子の間を短絡する短絡回路17が接続され、この短絡回路17に半導体スイッチ18が設けられている。この半導体スイッチ18をオフした状態で、第1、第2インバータ14、1
5を同期して作動することにより、三相線間から見た直列導体数Mの電動機として作動する。また、半導体スイッチ18をオンした状態で第1インバータ14をオフとして、第2インバータ15を作動することにより、三相線間から見た直列導体数√3・Mの電動機として作動する。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に電気自動車用モータの駆動システムに関する技術であり、他に工作機械用、洗濯機用など、いわゆる可変速モータに対して広く適用できる技術である。
従来、電気自動車用のモータは、小型体格で少使用材料であり、かつ低速から高速まで広い範囲で高トルクおよび高効率特性を発揮することが望まれる。このような用途に対して、モータの電機子巻線を切り替えることにより、低速回転域と高速回転域とのそれぞれにおいて最適特性を発揮させる公知技術がある(特許文献1、2参照)。
ところが、電機子巻線の切り替えを行うためには、モータの電流の転流を制御するインバータとは別に、機械的接点であるコンタクタなどの電流切り替え装置や、その端子箱等を必要とする。このため、システムとして体格が大きくなり、且つ、配線も長くなる。また、機械接点を端子箱で覆うとしても、積年の塵埃や油煙などの侵入により、接点信頼性が低いなどの第1の問題点があった。
また、電機子巻線を複数に分けたり、多数のタップを設けるなど複雑で工程数を要し、電機子巻線が高コストとなる第2の問題点があった。
特開2012−110169号公報 特開平6−296350号公報
上記の第1、第2の問題点について、本願発明者は、機械的接点であるコンタクタを半導体スイッチにて置き換えること、また、電機子巻線は複数に分けることなく、単純に一つの巻線にすることで問題点を解決できないかを検討した。
しかし、コンタクタは、両方向電流を自由に流せるのに対して、半導体スイッチは寄生ダイオードを持ち、且つ、耐絶縁性が高いものは極めて高価であるという問題点があるため、簡単にはコンタクタを半導体スイッチに置き換えることが出来ない。また、電機子巻線の単純化も原理的に困難であった。
そこで、そもそもインバータが電流切り替え装置であることに鑑み、その機能を発展させることで、電流の転流と巻線の切り替えを実現できる簡素なモータ駆動システムを実現できないかと考えた。
本発明は、上記事情に基づいて成されたものであり、その目的は、コンタクタ等のメカ的機構を使用することなく、信頼性が高く、且つ低コストの半導体素子を用いて電流の転流と巻線の切り替えを統合的に行うことができるモータ駆動システムを提供することにある。
本発明に係るモータ駆動システムは、位相が120度ずつ異なる三つの相巻線を固定子に備えるモータと、三つの相巻線の一端がそれぞれ出力端子に接続される第1の三相インバータと、三つの相巻線の他端がそれぞれ出力端子に接続される第2の三相インバータと、三つの相巻線の一端がそれぞれ入力端子に接続される三相全波整流器と、この三相全波整流器の正負端子間を短絡する短絡回路と、この短絡回路に介在されて短絡回路を開閉できる短絡スイッチ素子とを備える。
上記の構成によれば、例えば、短絡スイッチ素子をオフ(三相全波整流器の正負端子間を開放)した状態で、第1、第2の三相インバータを同期して作動させると、モータは、三つの相巻線がΔ結線された三相モータの如く、それぞれの相巻線にそのまま電源電圧が印加される。よって、三相線間からみた直列導体数Mの少巻線仕様のモータとして作動できる。
また、短絡スイッチ素子をオン(三相全波整流器の正負端子間を短絡)すると共に、第1の三相インバータをオフした状態で、第2の三相インバータを作動させると、モータは、三つの相巻線がスター結線された三相モータの如く、それぞれの三相線間に対して電源電圧を印加できるので、直列導体数√3・Mの多巻線仕様のモータとして作動できる。
モータ駆動システムの回路構成図である。 同期モータの磁気回路を示す断面図である。 インホイールモータの断面図である。 スター結線作動モードの説明図である。 フルブリッジ作動モードの説明図である。 一般的な三相モータ(スター結線)の回路構成図である。 実施例1のトルク特性図である。
本発明を実施するための形態を以下の実施例により詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1は、本発明を電気自動車のインホイールモータに適用した一例を説明する。
実施例1のインホイールモータには、以下に説明するダブルステータ型の同期モータ1が使用される。
この同期モータ1は、図3に示す様に、ロータディスク2を介してハブシャフト3に連結される環状のロータ4と、このロータ4の径方向外側に配置される外側ステータ5と、ロータ4の径方向内側に配置される内側ステータ6と、同期モータ1の外側を覆うモータハウジング7とを備え、ホイール8の内側に組み込まれている。なお、ホイール8は、ハブシャフト3と一体に設けられたハブ3aにボルト9で固定されている。
ロータディスク2は、例えば、非磁性SUS材によって形成され、径方向の中央部に円筒状のボス部2aを有し、このボス部2aがハブシャフト3の外周にセレーション嵌合してハブシャフト3に対し回り止めされている。
モータハウジング7は、軸方向のリヤ側(図3の右側)が開口するアウタハウジング7aと、このアウタハウジング7aのリヤ側開口部を閉塞してアウタハウジング7aにボルトで締結されるリヤハウジング7bとで構成され、例えば、サスペンション(図示せず)を介して車体に固定されている。また、リヤハウジング7bは、径方向の内周側に円筒状の軸受部7cが一体に設けられ、この軸受部7cの内周に配置される軸受10を介してロータディスク2のボス部2aを相対回転自在に支持している。
ロータ4は、図2に示す様に、例えば、電磁鋼板を円環状にプレスで打ち抜いて形成されるコアシートを複数枚積層して構成されるロータ鉄心4aと、このロータ鉄心4aの径方向外周側に埋設される複数の永久磁石(以下、外側磁石11と呼ぶ)と、ロータ鉄心4aの径方向内周側に埋設される複数の永久磁石(以下、内側磁石12と呼ぶ)とで構成される。
外側磁石11と内側磁石12は、例えば、フェライト磁石であり、ロータ鉄心4aの軸方向(コアシートの積層方向)に貫通して形成される磁石挿入孔に挿入され、図2に示す様に、ロータ鉄心4aの周方向に外側ステータ5および内側ステータ6の磁極ピッチと同一ピッチに配置される。この外側磁石11および内側磁石12は、図中に記載した符号N、Sで表す様に、それぞれ周方向に極性が交互に異なり、且つ、径方向に対向する極性が同一極に着磁されている。
外側ステータ5は、図2に示す様に、複数の外スロット5bが周方向に等ピッチに形成された外側ステータ鉄心5aと、外スロット5bを通って外側ステータ鉄心5aに巻装される外側ステータ巻線(後述する)とで構成され、図3に示す様に、外側ステータ鉄心5aがアウタハウジング7aに固定されている。
内側ステータ6は、図2に示す様に、複数の内スロット6bが周方向に等ピッチに形成された内側ステータ鉄心6aと、内スロット6bを通って内側ステータ鉄心6aに巻装される内側ステータ巻線(後述する)とで構成され、連結プレート13(図3参照)によって外側ステータ鉄心5aと内側ステータ鉄心6aとが一体に固定されている。
外側ステータ鉄心5aと内側ステータ鉄心6aは、それぞれ、電磁鋼板より外スロット5bを打ち抜いた円環状の外側コアシート、および、内スロット6bを打ち抜いた円環状の内側コアシートを複数枚積層して構成される。
外側ステータ巻線と内側ステータ巻線は、それぞれ位相が120度ずつ異なる三つの相巻線U1、V1、W1と、U2、V2、W2とを有し、図1に示す様に、外側ステータ巻線の相巻線U1、V1、W1と、内側ステータ巻線の相巻線U2、V2、W2とが、各相毎に直列に接続されている。以下、直列に接続される相巻線U1、U2を相巻線Uと呼び、同様に、相巻線V1、V2を相巻線Vと呼び、相巻線W1、W2を相巻線Wと呼ぶ。
相巻線U、V、Wは、図1に示す様に、それぞれの一端が第1インバータ14の各出力端子u1、v1、w1に接続され、それぞれの他端が第2インバータ15の各出力端子u2、v2、w2に接続され、さらに、相巻線U、V、Wのそれぞれの一端は、6個のダイオードDで構成される三相全波整流器16の入力端子R、S、Tに接続されている。第1インバータ14および第2インバータ15は、それぞれのDC端子14a、14bおよびDC端子15a、15bが、直流電源である車両電池Bに接続され、DC端子14a、14b間および15a、15b間で、各相毎に直列に接続された一対のスイッチング素子Trをオンオフすることにより転流動作を制御する周知の三相電圧形インバータである。
三相全波整流器16には、正端子16aと負端子16bとの間を短絡する短絡回路17が接続され、この短絡回路17に半導体スイッチ18が設けられている。
なお、第1インバータ14と第2インバータ15の作動、および、半導体スイッチ18の開閉動作は、図示しないECU(電子制御装置)により制御される。
次に、同期モータ1の作動を説明する。
a)スター結線作動モード(請求項2に記載した低速駆動モード)
例えば、同期モータ1を低速回転域で駆動する場合は、図4に示す様に、半導体スイッチ18をオンすると共に、第1インバータ14を常時オフした状態で第2インバータ15を作動させる。この場合、半導体スイッチ18がオンすることで、三相全波整流器16の正負端子16a、16b間が短絡するため、相巻線U、V、Wの各一端が結線されて中性点を形成する。すなわち、図6に示す一般的なスター結線の三相モータ(相巻線U、V、Wの一端が結線されて中性点Oを形成し、相巻線U、V、Wの他端がインバータIに接続される)と同様の回路構成となる。
ECUは、第2インバータ15を構成する三組の上下スイッチング素子Trに対し、例えば、180°通電で互いに120°位相をずらしてオンオフ制御する(図4で丸印を付したスイッチング素子Trがオンしている)。これにより、スター結線の如く、相巻線U、V、Wの各線間に対して電源電圧が印加されるので、直列導体数√3・M(M=1相当たりの直列導体数)の多巻線仕様の電動機として作動する。
b)フルブリッジ作動モード(請求項2に記載した高速駆動モード)
例えば、同期モータ1を高速回転域で駆動する場合は、図5に示す様に、半導体スイッチ18をオフした状態で、第1インバータ14と第2インバータ15とを同期して作動させる。この場合、半導体スイッチ18がオフすることで、三相全波整流器16の正負端子16a、16b間が開放されるため、相巻線U、V、Wの各一端が中性点として結線されることはなく、等価的にΔ結線と同様の回路構成となる。
ECUは、第1インバータ14を構成する三組の上下スイッチング素子Trと、第2インバータ15を構成する三組の上下スイッチング素子Trに対し、例えば、180°通電で互いに120°位相をずらしてオンオフ制御する(図5で丸印を付したスイッチング素子Trがオンしている)。これにより、Δ結線の如く、相巻線U、V、Wにそのまま電源電圧が印加されるので、直列導体数Mの少巻線仕様の電動機として作動する。
(実施例1の効果)
実施例1に示すモータ駆動システムSは、上記のスター結線作動モードとフルブリッジ作動モードを回転数域に応じて適宜に選択することで、図7に示す様に、低速回転域から高速回転域までワイドレンジに最大トルクを得ることが可能となるため、インホイールモータの駆動システムSに適している。
また、実施例1のモータ駆動システムSは、コンタクタ等のメカ的機構を使用することなく、半導体素子を用いた第1インバータ14、第2インバータ15、三相全波整流器16、および半導体スイッチ18を使用して構成されるため、信頼性が高く、且つ、低コストなモータ駆動システムSを実現できる。
(変形例)
実施例1に記載した同期モータ1は、相巻線U、V、Wが、スタータ結線あるいはΔ結線の如く、予め結線されている訳ではないので、正弦波駆動に限らず、例えば、矩形波駆動、あるいは基本波に第3高調波をプラスした駆動方法が可能である。
実施例1では、ロータ4に永久磁石11、12を埋設した同期モータ1の事例を記載したが、本発明のモータ駆動システムSは、ロータ4に永久磁石を用いないリラクタンスモータにも適用できる。あるいは、誘導モータにも適用できる。
また、実施例1に記載した同期モータ1は、ロータ4の外側と内側とに外側ステータ5と内側ステータ6を有するダブルステータ型モータであるが、ステータをロータ4の外側あるいは内側に配置したシングルステータ型モータにも適用できる。
さらに、実施例1では、本発明を電気自動車のホイールインモータに適用した事例を説明したが、自動車用モータ以外に、例えば、工作機械用、洗濯機用などに使用される可変速モータに対して広く適用可能である。
S モータ駆動システム
1 同期モータ
5 外側ステータ(固定子)
6 内側ステータ(固定子)
14 第1インバータ(第1の三相インバータ)
15 第2インバータ(第2の三相インバータ)
16 三相全波整流器
17 短絡回路
18 半導体スイッチ(短絡スイッチ素子)
U 相巻線
V 相巻線
W 相巻線

Claims (3)

  1. 位相が120度ずつ異なる三つの相巻線(U、V、W)を固定子(5、6)に備えるモータ(1)と、
    前記三つの相巻線(U、V、W)の一端がそれぞれ出力端子(u1、v1、w1)に接続される第1の三相インバータ(14)と、
    前記三つの相巻線(U、V、W)の他端がそれぞれ出力端子(u2、v2、w2)に接続される第2の三相インバータ(15)と、
    前記三つの相巻線(U、V、W)の一端がそれぞれ入力端子(R、S、T)に接続される三相全波整流器(16)と、
    この三相全波整流器(16)の正負端子(16a、16b)間を短絡する短絡回路(17)と、
    この短絡回路(17)に介在されて前記短絡回路(17)を開閉できる短絡スイッチ素子(18)とを備えるモータ駆動システム。
  2. 請求項1に記載したモータ駆動システム(S)において、
    前記モータ(1)を低速域で駆動する低速駆動モードと、前記モータ(1)を高速域で駆動する高速駆動モードとが設定され、
    前記低速駆動モードでは、前記短絡スイッチ素子(18)をオンして前記正負端子(16a、16b)間を短絡し、且つ、前記第1の三相インバータ(14)をオフした状態で、前記第2の三相インバータ(15)を作動させ、
    前記高速駆動モードでは、前記短絡スイッチ素子(18)をオフして前記正負端子(16a、16b)間を開放した状態で、前記第1、第2の三相インバータ(14、15)を各相毎のフルブリッジインバータとして作動させることを特徴とするモータ駆動システム。
  3. 請求項1または2に記載したモータ駆動システム(S)において、
    電気自動車のホイール(8)内に組み込まれて、ハブシャフト(3)を直接駆動するインホイールモータに適用したことを特徴とするモータ駆動システム。
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