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JP2014040035A - 熱制御性シート - Google Patents

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JP2014040035A
JP2014040035A JP2012183014A JP2012183014A JP2014040035A JP 2014040035 A JP2014040035 A JP 2014040035A JP 2012183014 A JP2012183014 A JP 2012183014A JP 2012183014 A JP2012183014 A JP 2012183014A JP 2014040035 A JP2014040035 A JP 2014040035A
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Tamotsu Gomibuchi
保 五味渕
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Hiraoka and Co Ltd
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Hiraoka and Co Ltd
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Abstract

【課題】
色相の自由度が高く、周辺景観への悪影響が無く、冬季は熱線透過性を示し、夏季は熱線遮蔽性を示す、熱制御性シートの提供。
【解決手段】
本発明の熱制御性シートは、近赤外線可変散乱層を含む可撓性シートであって、前記近赤外線可変散乱層が、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物からなる透明マトリックス樹脂と、前記透明マトリックス樹脂中に分散して含む平均粒子径1〜20μmの透明粒子と、近赤外線透過性着色剤とによって構成され、前記透明粒子が架橋アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル−ポリスチレン共重合体粒子、及びガラス粒子から選ばれた少なくとも1種であって、前記透明マトリックス樹脂の屈折率と、前記透明粒子の屈折率との差が、可撓性シート温度が0〜10℃において0.01以下、可撓性シート温度が60〜70℃において0.03以上0.06以下を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、低温時には近赤外線を取り入れることのできる熱線透過性を示し、高温時には近赤外線を散乱して熱線遮蔽性を示す、熱制御性シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、色相の自由度が高く、冬季は近赤外線を透過して、膜構造物内部に太陽熱を取り入れることができ、夏季は太陽光に含まれる近赤外線を散乱することで、このシートにより構成した膜構造物内部の温度上昇を抑制することができ、かつ、可視光の散乱による周辺景観への悪影響が少ない、特にテント倉庫、イベント用大型テント、農園芸用ハウス、日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、ブラインド、シートシャッター等に好適に用いることの出来る、熱制御性シートに関するものである。
塩化ビニル樹脂は比較的安価で、組成に応じて耐候性、耐熱性、耐寒性、難燃性など、さまざまな特性を付与する事ができる汎用性の高い樹脂である。特に塩化ビニル樹脂に可塑剤を加えた軟質塩化ビニル樹脂を用いたシートは、高周波ウェルダーや熱風による融着縫製が可能で、組立や施工が容易であり、色相や構造等デザインの自由度が高い等の理由から、テント倉庫、イベント用大型テント、農園芸用ハウス、日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、ブラインド、シートシャッター等広い分野で利用されている。しかしながら、従来のシートは、太陽輻射に含まれる近赤外線に対して透過又は吸収が大きく、シートのおもて面側から透過した近赤外線は裏面側の空間を直接暖め、また吸収された近赤外線はシートの温度を上昇させて、輻射熱としてシートおもて面側だけでなく裏面側からも放出されるため、例えばテント倉庫に用いた場合、夏場の強い日差しの下ではテント倉庫内部の温度が極度に高くなり、人が長時間作業することが困難であった。また、日光に照らされたシートの温度は70℃を超える事があり、テント倉庫の様に高いテンションのかかる用途では、融着縫製部が軟化して破壊する恐れもあった。日除けテントに用いた場合は、日差しを遮ってまぶしさを防ぎ、紫外線を減少させる効果はあっても、冷涼効果に関してはほとんど効果がないのが実情であった。テント倉庫の場合、対策として、通常の建築物同様冷房を用いれば内部の温度を下げることも可能であるが、冷房の効率が非常に悪くなり、エネルギーコストやそれに伴う環境面への負担を考えると好ましい方法ではなかった。
この様なシートにおいて、酸化チタン等の無機白色顔料を含有する白色のシートを用いることによって、太陽輻射が含む近赤外線を散乱させてその透過を防ぎ、またシート自体の温度上昇を抑えられることが知られている。しかし、通常の白色顔料を用いて十分な効果を得るためには、多量に加える必要があるため、シートの色相は白、アイボリー、明るいグレー等白系統に限定されるという問題があった。また、これらの白色顔料は近赤外線だけでなく可視光線をも強く散乱させるため、屋外で用いられた場合は太陽光の反射がまぶしく、景観上の問題を有していた。これに対して本発明者は、屈折率1.8以上、粒子径分布0.3〜3.0μm、アスペクト比1.0〜3.0の不定形無機化合物粒子を含む遮熱層を有するシートを提案した。(特許文献1参照)特許文献1の遮熱層に含まれる不定形無機化合物粒子は、近赤外線を選択的に散乱するため、これを含んだシートは、従来のシートに比べ、炎天下での表面温度が10〜15℃低く、レベルの高い遮熱性を発現するものであった。この不定形無機化合物粒子は近赤外線を強く散乱する一方、可視光線の散乱はやや弱いため、太陽光の反射によるまぶしさを多少軽減する事ができ、また、有彩色顔料を更に加えてシートに着色することも可能であった。しかし、不定形無機化合物粒子の色相への影響は避けられないため、原色に近い色相の顔料を加えたとしてもパステル調となり、彩度の高い膜材を得る事はできない制約があった。また、まぶしさを充分に抑える為には、明度の低い色相とする必要があるが、そのために濃色系の顔料を含有させると、濃色系の顔料に一般に含まれるカーボンブラックによって近赤外線が吸収されてシートの温度を上昇させ、その熱が輻射熱としてシート裏面側から放出されることで、遮熱性が低下してしまう問題があった。
遮熱性を得て、しかも自由に彩色するために、例えば、白色顔料を近赤外線反射性および/または近赤外線透過性色素で被覆した有彩色や黒色の複合顔料を用いる方法(例えば特許文献2参照)や、近赤外線反射層の上に近赤外線透過性の着色層を形成する方法(例えば特許文献3参照)等が提案されている。これらの方法をシートに応用すれば、色相の制限無く、夏季の冷涼効果を得ることができ、そのシートで構成したテント倉庫などの構造体内部の冷房効率向上に寄与することができる。しかし、冬季には太陽輻射に含まれる近赤外線を内部に取り入れることができず、暖房効率はむしろ低下する問題があった。
透明な熱可塑性樹脂と、その熱可塑性樹脂中に分散した透明粒子とを含むシートにおいて、常温では熱可塑性樹脂と粒子の屈折率が近く透明性であり、高温時には屈折率に差を生じることで光を散乱する、可逆的な調光効果を示す窓材向けのシートも提案されている。(例えば特許文献4参照)このシートは、窓ガラスや透明なプラスチック板に積層して用いることで、シート温度が20℃程度の時に太陽光を透過させて明かりと熱を取り入れることができ、50℃程度では太陽光を散乱して透過光の明るさを調整し、且つ日差しを遮ることで遮熱性を示す事ができる。しかし、熱可塑性樹脂が透明であるため、シートの温度がせいぜい50℃程度までしか上昇せず、熱可塑性樹脂と粒子の屈折率差が十分でないため、得られる遮熱性が充分とは言えないものであった。さらに、このシートをテント倉庫などの構造体用に用いると、高温時に外部に対して太陽光を散乱してまぶしく、景観上の問題を有していた。
以上述べた様に、冬季は近赤外線を透過して、膜構造物内部に太陽熱を取り入れる熱線透過性を有し、夏季は太陽光に含まれる近赤外線を散乱して熱線遮蔽性を示すことができ、色相に制限が無く、しかも光散乱による景観上の問題が無いシートは、これまで提案されていない。
特開2007−055177号公報 特開2002−249676号公報 特開2004−314596号公報 特開2009−275133号公報
本発明は、色相の自由度が高く、冬季は熱線透過性を示して、膜構造物内部に太陽熱を取り入れることができ、夏季は光散乱による景観上の問題無しに太陽光に含まれる近赤外線を散乱することで熱線遮蔽性を示して、このシートにより構成した膜構造物内部の温度上昇を抑制することができる、熱制御性シートを提供しようとするものである。
本発明者は、上記課題を解決する為鋭意検討を行った結果、屈折率の温度依存性が大きな透明マトリックス樹脂と、屈折率の温度依存性が小さい透明粒子と、近赤外線透過性着色剤とを組み合わせることで上記課題を解決できることに想到した。さらに、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物は、可塑剤の量と種類を調整することで屈折率の調整が容易であり、かつ、屈折率の温度依存性が比較的大きいため、課題解決のために最適な透明マトリックス樹脂であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の熱制御性シートは、近赤外線可変散乱層を含む可撓性シートであって、前記近赤外線可変散乱層が、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物からなる透明マトリックス樹脂と、前記透明マトリックス樹脂中に分散して含む平均粒子径1〜20μmの透明粒子と、近赤外線透過性着色剤とによって構成され、前記透明粒子が架橋アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル−ポリスチレン共重合体粒子、及びガラス粒子から選ばれた少なくとも1種であって、前記透明マトリックス樹脂の屈折率(JISK7142A法準拠)と、前記透明粒子の屈折率(JISK7142B法準拠)との差が、可撓性シート温度が0〜10℃において0.01以下、可撓性シート温度が60〜70℃において0.03以上0.06以下を有することを特徴とする。
本発明の熱制御性シートは、前記可撓性シート温度が0〜10℃においては熱線透過性を発現し、かつ、可撓性シート温度が60〜70℃に於いては熱線遮蔽性を示すことが好ましい。
本発明の熱制御性シートは、前記近赤外線可変散乱層において、前記透明粒子の含有量が、体積比で、前記マトリックス樹脂100に対して、30〜150であることが好ましい。
本発明の熱制御性シートにおいて、前記近赤外線透過性着色剤が、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、カルボニウム系、アントラキノン系、キノフタロン系、アゾ系、アゾメチン系、キナクリドン系の有機顔料および有機染料から選ばれた1種または2種以上であり、前記近赤外線可変散乱層において、前記透明マトリックス樹脂100質量部に対して前記近赤外線透過性着色剤を0.05〜5質量部含むことが好ましい。
本発明の熱制御性シートにおいて、前記軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物が、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して40〜150質量部の可塑剤を含むことが好ましい。
本発明の熱制御性シートにおいて、前記可撓性シートが、繊維性編織物を基布として含む積層体であることが好ましい。
本発明の熱制御性シートは、前記可撓性シートが、最外層に少なくとも1層の防汚層を有することが好ましい。
本発明の熱制御性シートにおいて、波長780〜1600nmの近赤外線の透過率(JISR3106準拠)が、シート温度が0〜10℃では30%以上であり、60〜70℃では15%以下であることが好ましい。
本発明によれば、冬季は膜構造物内部に太陽熱を取り入れることができる熱線透過性を示し、夏季は太陽熱を散乱して遮蔽する熱線遮蔽性を示す、熱制御性のシートを、色相の制限無く提供する事ができる。特に繊維性編織物を基布として含むシートは、テント倉庫、イベント用大型テント、農園芸用ハウス、日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、ブラインド、シートシャッター等に好適に用いることができる。
本発明の熱制御性シートの断面の一例を示す図 本発明の熱制御性シートの断面の一例を示す図 実施例・比較例において、熱線透過性および熱線遮蔽性の評価に用いた 小型テントを示す図
本発明の熱制御性シートは、近赤外線可変散乱層を含む可撓性シートであって、その形態は、樹脂シート(樹脂フィルム)、または、ターポリン、帆布等の防水性シートである。このうち樹脂シートは、カレンダー成型法、Tダイス押出法、あるいはキャスティング法などにより製造することができ、近赤外線可変散乱層単層であっても良く、近赤外線可変散乱層を含む複数の樹脂層からなる積層体であっても良い。ターポリン、帆布等の防水性シートは、近赤外線可変散乱層と繊維性編織物からなる基布とを含む積層体であり、近赤外線可変散乱層は基布の一方の面のみに形成されても良く、両面に形成されても良い。近赤外線可変散乱層が基布の一方の面のみに形成される場合、基布のもう一方の面側には近赤外線可変散乱層以外の樹脂層が形成されても良い。帆布は、ペーストゾルを用いるディッピング加工(繊維性編織物への両面加工)、及びコーティング加工(繊維性編織物への片面加工、または両面加工)等によって製造することができる。ターポリンはカレンダー成型法、Tダイス押出法またはキャスティング法により成型された樹脂フィルム又は樹脂シートを、繊維性編織物の片面または両面に接着層を介在して積層する方法、あるいは粗目状の繊維性編織物の両面に目抜け空隙部を介して熱ラミネート積層する方法により製造することができ、さらにディッピング加工、またはコーティング加工と、樹脂フィルム積層の組み合わせによっても実施可能である。
本発明の近赤外線可変散乱層は、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物からなる透明マトリックス樹脂と、この透明マトリックス樹脂中に分散した平均粒子径1〜20μmの透明粒子と、近赤外線透過性着色剤とを必須の成分として含むものである。透明マトリックス樹脂と透明粒子とは、0〜10℃の低温時において屈折率が同程度であり、具体的には0〜10℃(589nm)における屈折率差が0.01以下である。これによって、冬季、シート温度が低い状態では、太陽光に含まれる近赤外線を取り入れて、熱線透過性を発現することができる。また、両者の屈折率の温度依存性に差を有し、60〜70℃の高温時において屈折率差を0.03以上0.06以下とすることで、夏季にシートの温度が高い状態で太陽光に含まれる近赤外線を散乱して、熱線遮蔽性を発現することができる。更に近赤外線透過性着色剤で着色することで、色相の制約無しに、冬季は近赤外線を取り入れることができ、夏季の可視光の散乱による周辺景観への影響を抑えることができる。
本発明において透明マトリックス樹脂を構成する軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物は、少なくともポリ塩化ビニル樹脂と可塑剤とを含む組成物である。軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物が可塑剤を含むことで、得られるシートに柔軟性を与えるばかりでなく、加える可塑剤の種類と量に応じて透明マトリックス樹脂の屈折率を調整し、0〜10℃における透明粒子との屈折率差を0.01以下とする事ができる。また、可塑剤を含むことで、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物のガラス転移温度を調整して、0〜10℃の低温域から60〜70℃の高温域にかけての透明マトリックス樹脂の屈折率変化幅を大きくし、60〜70℃の高温時において透明粒子との屈折率差を0.03以上とすることができる。ここで、樹脂の屈折率の温度依存性は、一般にガラス転移温度以下では小さく、ガラス転移温度を超えると大きくなるため、0〜10℃の低温域から60〜70℃の高温域にかけての屈折率の変化幅を大きくするためには、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物のガラス転移温度をそれらの温度域より低くすることが好ましく、具体的には−10℃未満である事が好ましく、−20℃未満であることがより好ましい。
本発明の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物において用いることのできるポリ塩化ビニル樹脂としては、乳化重合によって得られた数平均分子量P=700〜3800、好ましくは1000〜2000のペースト塩化ビニル樹脂、懸濁重合によって得られた数平均分子量P=700〜3800、好ましくは1000〜2000のストレート塩化ビニル樹脂に加え、数平均分子量P=700〜3800、好ましくは1000〜2000の、塩化ビニル共重合体樹脂(共重合成分は2〜30質量%)を包含する。塩化ビニル共重合体樹脂としては具体的に、塩化ビニル−エチレン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、塩化ビニル−アクリル酸共重合体樹脂、及び塩化ビニル−ウレタン共重合体樹脂などである。
本発明の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物において、用いることのできる可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジノルマルヘキシル、フタル酸ジアリルなど)、脂肪酸エステル系可塑剤(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなど)、リン酸エステル系可塑剤(リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸クレジルフェニル)、ポリエステル系可塑剤(アジピン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなど)、スルホン酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル可塑剤、アクリル系ポリマー可塑剤、シクロヘキサンジカルボン酸エステル系可塑剤、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、
2官能以上のアクリレートモノマー(トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなど)、などから1種又は2種以上を選択して用いる事ができる。用いる可塑剤の種類と量に応じて、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物の0〜10℃における屈折率と、0〜10℃の低温域から60〜70℃の高温域にかけての屈折率の変化幅、および、近赤外線可変散乱層の柔軟性や樹脂強度を調整する。軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物において、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、可塑剤は40〜150質量部であることが好ましく、50〜120質量部であることがより好ましい。可塑剤が40質量部未満では、得られる熱制御性シートの柔軟性が不足する事があり、0〜10℃の低温域から60〜70℃の高温域にかけての屈折率の変化幅が小さくなり、60〜70℃の高温時の熱線遮蔽性が不充分となる事がある。一方、可塑剤が150質量部を超えると、近赤外線可変散乱層の耐熱強度が低下し、このシートを用いて熱融着縫製部を有する構造物を形成した場合に、縫製部の耐熱耐久性が得られないことがある。また、可塑剤を多量に加えると、シート形成後に可塑剤がシート表面に移行しやすくなり、移行した可塑剤に汚れが付着して、シート外観が損なわれることがある。
本発明において軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、必要に応じてこの他にも従来公知の添加剤を含む事ができる。含まれる添加剤として例えば、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着剤、架橋剤、滑剤、加工助剤、抗菌剤、防黴剤、充填剤などが挙げられる。
本発明の近赤外線可変散乱層において、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物中に分散する透明粒子は、可視光から近赤外線(波長380〜1600nm)にかけての光に対して吸収が少なく、10℃(波長589nm)における屈折率が1.49〜1.54であり、0〜70℃の温度範囲において軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物に比べて屈折率の温度依存性が低く、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物を成型加工する際の熱による溶融や変形がなく、可塑剤を吸収して膨潤することがない事が好ましい。その様な特性を有する透明粒子として、本発明においては、架橋アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル−ポリスチレン共重合体粒子、及びガラス粒子から選ばれた1種または2種以上が用いられる。アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、および、アクリル−ポリスチレン共重合体樹脂からなる粒子を用いるのは、これらの樹脂が透明性に優れる点、屈折率が比較的ポリ塩化ビニル樹脂に近いため、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物の低温時の屈折率を近似させやすい点、および、ポリ塩化ビニル樹脂への親和性に優れる点からである。また、架橋粒子に限定されるのは、近赤外線可変散乱層を成型する際の熱による粒子の溶融や変形を防ぎ、可塑剤の吸収を抑制するためである。ガラスは組成により屈折率が大きく異なるため、ガラス粒子を用いる場合、屈折率が1.49〜1.54の範囲のガラスを選択して用いる必要があり、その条件を満たすガラスとしては、例えばソーダライムガラスが挙げられる。透明粒子の屈折率について、1.49未満では、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物の低温時の屈折率を透明粒子と同程度に調整するために、低屈折率の可塑剤を多量に加えることが必要となり、近赤外線可変散乱層の耐熱強度が低下し、熱制御性シートを熱融着縫製した場合に、縫製部の耐久性が損なわれる事がある。一方、屈折率が1.54を超えるとポリ塩化ビニル樹脂と可塑剤の組み合わせにおいて、低温時の屈折率を透明粒子と同程度に調整する事が困難となることがあり、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物のガラス転移温度が高くなって、60〜70℃の高温時における屈折率差が不充分になる事がある。また、
透明粒子の形状には特に制約は無く、球状、歪んだ球状、碁石状、ラグビーボール状などの他、大きな塊を粉砕して得た不定形の粒子であっても良い。透明粒子の平均粒子径は1〜20μmが好ましく3〜15μmがより好ましい。平均粒子径が1μm未満では、60〜70℃の高温時における近赤外線の散乱が不充分となることがある。平均粒子径が20μmを超えると、光の散乱に波長依存性(短波長の光の散乱が大きく、長波長の光の散乱が小さい)を生じ、380〜780nmの可視光領域に虹彩模様が発生して、熱制御性シートの外観が損なわれることがある。また、近赤外線(780nm〜1600nm)は可視光より波長が長いため、より散乱が小さくなり、熱線遮蔽性が低くなる事がある。近赤外線可変散乱層における透明粒子の含有量は、体積比で、透明マトリックス樹脂(軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物)100に対して透明粒子が30〜150である事が好ましく、40〜100であることがより好ましい。透明粒子が30未満では60〜70℃の高温時の熱線遮蔽性が充分に得られない事がある。一方、150を超えると近赤外線可変散乱層を形成する際の加工性が損なわれる事があり、さらに、形成した近赤外線可変散乱層の樹脂強度が低くなり、得られる熱制御性シートの耐久性が損なわれる事がある。
本発明の近赤外線可変散乱層において、近赤外線透過性着色剤としては、波長780〜1600nmの近赤外線領域に吸収と反射が少ない顔料および染料が好ましく、例えば、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、カルボニウム系、アントラキノン系、キノフタロン系、アゾ系(モノアゾ、ジスアゾ、縮合ジスアゾ等)、アゾメチン系、キナクリドン系等の、有機顔料および有機染料などが例示され、これらから1種または2種以上選択して用いられる事が好ましい。近赤外線透過性着色剤の添加量は、透明マトリックス樹脂(軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物)100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましい。近赤外線透過性着色剤をこの範囲で含むことで、近赤外線領域の光の透過および散乱を妨げずに、人の目に見える可視光領域において任意の色相を付与することができる。このため、高温時に透明マトリックス樹脂と透明粒子の屈折率に差を生じて太陽光を散乱させた際に、近赤外線領域の光は散乱させながら、可視光領域の光の散乱を抑えて、人の目が感じるまぶしさを抑制することができる。また、これらの着色剤は波長780〜1600nmの近赤外線領域を全く吸収しないわけではなく、近赤外線領域の一部に吸収を有するため、近赤外線透過性着色剤をこの範囲で含むことで、太陽光に曝された際に近赤外線可変散乱層の温度を適度に上昇させることができる。温度上昇の過程で透明マトリックス樹脂の屈折率が徐々に低くなり、その結果透明粒子との屈折率差がしだいに大きくなって、低温時の熱線透過性から高温時の熱線遮蔽性が連続的に特性が変化する。太陽光に曝されても、近赤外線可変散乱層の温度は際限なく上昇するわけではなく、近赤外線の散乱が大きくなるに従い上昇速度は鈍くなり、熱制御性シートから輻射される熱エネルギーや、周辺の空気による冷却なども加味され、真夏の炎天下であっても60〜70℃で安定し、それ以上過度に温度が上がることは無い。また、冬季には空気による冷却の影響が大きくなるため、晴天であってもシート温度は最高30〜40℃程度に止まり、近赤外線を適度に透過することができる。ここで、近赤外線透過性着色剤の添加量が透明マトリックス樹脂100質量部に対して、0.05質量部未満では、着色が弱く、高温時に太陽光を散乱してまぶしく、景観上問題となることがあり、近赤外線可変散乱層の温度上昇速度が低くなり、シート温度が熱線遮蔽性を示す温度に達するまでの間に構造体内部空間の温度を上昇させてしまう事がある。添加量が5質量部を超えると、近赤外線可変散乱層における近赤外線の吸収が大きくなり、低温時の熱線透過性および高温時の熱線遮蔽性が不充分となることがある。
近赤外線可変散乱層には、これら近赤外線透過性着色剤の他に、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、所望の色相を得るために、調色のための無機顔料を加えても良い。無機顔料を用いる場合、波長780〜1600nmの近赤外線領域に吸収が少ないものが好ましく、その様な無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、三酸化アンチモン、酸化クロム、酸化鉄、スズドープ酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズなどの白色または有彩色の金属酸化物粒子、及び、ルチル型、ヘマタイト型、またはスピネル型構造を有し、チタン、亜鉛、アンチモン、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、マグネシウム、銅、マンガン、アルミニウム、ニオブ、及びケイ素の内2種以上の成分を含んでなる有彩色の金属複合酸化物粒子などが例示される。これらの無機顔料は透明マトリックス樹脂への分散性を高めたり、光触媒活性を抑制したりするために、表面が無機或いは有機物質でコーティングされていても良い。これらの無機顔料は、780nm〜1600nmの近赤外線に対して吸収は少ないものの、その領域の波長の一部または全域にわたって散乱するため、近赤外線可変散乱層に加える場合の添加量は、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して8質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。添加量が8量部を超えると、低温時の熱線透過性が得られないことがある。また、無機顔料の平均粒子径は0.15〜0.40μmであることが好ましく、0.20〜0.35μmであることがより好ましい。無機顔料の平均粒子径がこの範囲であれば、可視光線領域において調色の効果を得つつ、顔料粒子による近赤外線領域の散乱が抑えられ、低温時の熱線透過性が損なわれない。平均粒子径が0.15μm未満であると着色力が弱く、調色することができない事があり、0.40μmを超えると近赤外線領域の散乱が大きくなり、低温時の熱線透過性が損なわれることがある。
本発明の熱制御性シートは、繊維性編織物を基布として含む積層体である事が好ましい。繊維性編織物を含むことで、熱制御性シートに強度と耐久性を付与することができ、テント倉庫、イベント用大型テント、日除けテント、日除けモニュメント、装飾テントなどへの応用が可能となる。繊維性編織物に用いられる素材としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維などの合成繊維、木綿、麻などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの無機繊維が挙げられ、これらは単独または2種以上からなる混用繊維によって構成されていてもよく、その形状はマルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、モノフィラメント糸条、スプリットヤーン糸条、テープヤーン糸条などいずれであってもよい。本発明に使用する繊維性編織物は、織布の場合平織、綾織、繻子織、模紗織などいずれの構造をとるものでもよいが、平織織物は、得られる採光膜材の縦緯物性バランスに優れているため好ましく用いられる。編布としてはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましく用いられる。これら編織物は、少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目状の編織物(空隙率は最大80%、好ましくは5〜50%)、及び非粗目状編織物(空隙率5%未満で糸条間に実質上間隙が形成されていない編織物)を包含する。
本発明の熱制御性シートは、経時的な汚れの付着による熱線透過性、或いは熱線遮蔽性の低下を防止し、且つ美観を維持するために、近赤外線可変散乱層上に少なくとも1層の防汚層を設けることが好ましい。防汚層は本発明の目的を阻害せず、極度の隠蔽性を伴わないものであれば、その形成方法及び素材に特に限定はなく、例えば、溶剤に可溶化されたアクリル系樹脂もしくはフッ素系樹脂の少なくとも1種以上からなる樹脂溶液を塗布して形成した塗膜、これらにシリカ微粒子、またはコロイダルシリカを含む塗膜、オルガノシリケート及び/又はその縮合体を含む塗布剤で塗布し親水性被膜層を形成したもの、光触媒性無機材料(例えば光触媒性酸化チタン)と結着剤とを含む塗布剤を塗布し光触媒層を形成したもの、少なくとも最外表面がフッ素系樹脂により形成されたフィルムを接着剤もしくは熱溶融加工により積層したもの等から適宜選んで用いることができる。
防汚層には、紫外線吸収剤を添加してもよい。防汚層が紫外線吸収剤を含むことで、透明マトリックス樹脂の耐候劣化、および、近赤外線透過性着色剤の退色を抑制することができる。防汚層に用いる紫外線吸収剤には特に限定は無く、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系、サリシレート系、シアノアクリルレート系等の有機系紫外線吸収剤や、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等からなる超微粒子金属酸化物系紫外線吸収剤から適宜選択して用いる事ができる。なお、超微粒子金属酸化物系紫外線吸収剤を用いる場合、光触媒活性を抑制し、凝集を抑えるために、表面が無機或いは有機物質で被覆されていても良く、被覆物質としては、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ハイドロキシアパタイトなどが好適に用いられる。また、超微粒子金属酸化物系紫外線吸収剤の平均粒子径は、0.01〜0.10μmである事が好ましい。平均粒子径がこの範囲にあることで、可視光領域および近赤外線領域の光散乱がほとんど無く、透明性の高い防汚層とする事ができ、熱制御性シートの色相、熱線透過性、および、熱線遮蔽性への影響が少なくなる。
上述の防汚層と近赤外線可変散乱層との間には、必要に応じて、防汚層と近赤外線可変散乱層との接着性を付与するための接着層、光触媒による樹脂の分解を妨げるための保護層、近赤外線可変散乱層に含まれる添加剤が防汚層に移行するのを妨げるための添加剤移行防止層、等が形成されていてもよい。また、本発明の熱制御性シートの、防汚層が形成された面とは反対の面に、防汚層との高周波加熱融着性及び熱風融着性を付与するための裏面接着層が形成されていても良い。あるいは、熱制御性シートをロール状に巻き取って保管している間に、裏面側の近赤外線可変散乱層もしくは熱可塑性樹脂層に含まれる添加剤が、巻き重ねられた防汚層上に移行して防汚性が低下するのを防ぐために、裏面側(防汚層とは反対の面)に添加剤移行防止層が形成されていても良い。
本発明の熱制御性シートは、以上の様な構成とすることで、0〜10℃の低温時に近赤外線を透過して熱線透過性を示すことができ、60〜70℃の高温時には近赤外線を散乱して熱線遮蔽性を示すことができる。この際、シートの温度が0〜10℃の低温時には、波長780〜1600nmの近赤外線の透過率(JISR3106準拠)が30%以上である事が好ましく、50%以上である事がより好ましい。低温時の近赤外線の透過率が30%未満では、低温時の熱線透過性が不足し、このシートで膜構造物を構成した場合、内部に熱を取り入れにくくなることがある。一方、シートの温度が60〜70℃の高温時には、波長780〜1600nmの近赤外線の透過率(JISR3106準拠)が15%以下である事が好ましい。高温時の近赤外線の透過率が15%を超えると、膜構造物内部にを構成した場合、内部の温度が極度に高くなり、人が長時間作業することが困難となったり、冷房を用いる場合のエネルギーコストやそれに伴う環境面への負担が大きくなる恐れがある。
本発明を下記実施例、および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
以下実施例および比較例において、下記の試験方法により屈折率差、熱線透過性、熱線遮蔽性を評価した。
<透明マトリックス樹脂および透明粒子の屈折率差>
実施例および比較例で透明マトリックス樹脂を構成するのに用いた軟質塩化ビニル樹脂組成物より、カレンダー法により厚さ200μmのフィルムを形成し、JISK7142A法に準拠して10℃と60℃の屈折率(波長589nm)を測定した。一方、実施例および比較例で用いた透明粒子の10℃と60℃の屈折率(波長589nm)を、JISK7142B法(ベッケ線法)に準拠して求めた。但し、浸液としてカーギル標準液((株)モリテックス製)を使用した。これらの結果から、10℃における屈折率差と、60℃における屈折率差を求めた。
<近赤外線領域の透過率>
実施例および比較例で得たシートについて、JISR3106に準拠して、波長780〜1600nmの近赤外線領域の分光透過率を、シートのおもて面側を分光光度計の入射側に向けて、シート温度10℃と60℃でそれぞれ測定した。
<熱線透過性および熱線遮蔽性>
実施例および比較例で作成したシート(1)について、おもて面を外側として、屋根部および側壁部を覆った小型テント(図3参照)を作成し、周辺に高い建物の無い3階建てのビル屋上(コンクリート床面)にテント屋根部の傾斜面の一方を真南に向けて、外部との空気の流通が無い状態に設置し、冬季(1月)および夏季(8月)のテント内温度変化を継続的に測定し、記録した。得られた測定データの記録から、快晴が二日続いた二日目の日の朝(8時)、午後(14時)のテント内温度を抽出して冬季の熱線透過性(太陽熱を取り入れて内部を暖める効果)と夏季の熱線遮蔽性を評価した。また、テント内温度を測定した時刻のシート温度を、熱伝対センサを用いた接触式の表面温度計により測定した。シート温度の測定箇所は、南側に向けたテント屋根部の傾斜面中央とした。さらに、午後(14時)のシート温度測定時に、テントの南側、3m離れた位置から傾斜部を見て、シート外観とまぶしさの程度を観察し、以下の様に評価した。
外観:
1、直射日光下において、冬季、夏季ともに透明粒子の光散乱によるシート外観へ
の影響がほとんどない
2、直射日光下において、冬季または夏季に、透明粒子の光散乱によるシート外観
への影響が顕著である
まぶしさ:
1、まぶしさを感じず、直視することができた
2、非常にまぶしく、直視することができなかった
なお、テント設置と同じビルの屋上において、床面から1.2mの高さに百葉箱を設置し、上記測定時の外気温も継続的に測定し、環境温度との差を比較した。
テントサイズ:(図3)
床面から軒先までの高さ 50cm
底面 たて×よこ 50cm×50cm
屋根部 傾斜角20°
床面から主棟までの高さ 59cm
テント内温度測定位置
テント内中央部床面から、高さ30cmにセンサーを配置(図示せず)
[実施例1]
下記配合1の軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる透明マトリックス樹脂と、下記透明粒子1と、下記近赤外線透過性着色剤1とを、質量比で100:43:1となるよう混合し、バンバリーミキサーで熱溶融混練して、樹脂混合物1を得た。この樹脂混合物1を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmの鮮やかな赤色の近赤外線可変散乱層用フィルム1−1を成型した。一方、配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて、厚さ0.25mmのフィルム1−2を成型した。次いで、得られたフィルム1−1とフィルム1−2の中間に下記基布1を挿入し、熱圧着により積層して、ターポリン状のシートを得た。更に、このシートのフィルム1−1の面上に、下記配合2の樹脂組成物を、グラビアコーターを用いて30g/mとなるよう塗布し、120℃で1分間乾燥して6g/mの防汚層を形成して、実施例1のシートを得た。得られたシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表1に示す。
<配合1>軟質塩化ビニル樹脂組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 60質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 5質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
<透明粒子1>
メタクリル酸メチル−スチレンの共重合架橋微粒子 79質量部
*屈折率(10℃)1.52、平均粒子径5μm
*軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して43質量部
体積比で軟質塩化ビニル樹脂組成物100に対して45
<近赤外線透過性着色剤1>
C.I.ピグメントレッド209(キナクリドン系有機顔料) 1.8質量部
*軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して1質量部
<配合2>防汚層用樹脂組成物
商標:アクリプレンペレットHBS001(三菱レイヨン(株)製)20質量部
紫外線吸収剤 0.2質量部
*酸化アルミニウムで被覆した平均粒子径0.02μmの酸化亜鉛超微粒子
トルエン−MEK(50/50重量比) (溶剤) 80質量部
<基布1>
ポリエステル833dtexマルチフィラメントを用いた粗目状平織布
密度 たて(経糸) 18本/インチ よこ(緯糸) 19本/インチ
[実施例2]
透明粒子1の量を174質量部(軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して94質量部/体積比で軟質塩化ビニル樹脂組成物100に対して100)に変更して、近赤外線可変散乱層における透明マトリックス樹脂と、透明粒子1と、近赤外線透過性着色剤1との質量比を100:94:1としてバンバリーミキサーで熱溶融混練して、樹脂混合物2を得た。この樹脂混合物2を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.25mmの鮮やかな赤色の近赤外線可変散乱層用フィルム2−1を成型した。一方、配合1の軟質塩化ビニル樹脂の熱溶融混練物を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて、厚さ0.25mmのフィルム2−2を成型した。次いで、得られたフィルム2−1とフィルム2−2の中間に基布1を挿入し、熱圧着により積層して、ターポリン状のシートを得た。更に、このシートのフィルム2−1の面上に、実施例1と同様にして防汚層を形成して、実施例2のシートを得た。得られたシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表1に示す。
[実施例3]
平均粒子径5μmの透明粒子1の代わりに、平均粒子径15μmの下記透明粒子2を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3のターポリン状のシートを得た。実施例3においても、近赤外線可変散乱層は実施例1と同等の外観であった。このシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表1に示す。
<透明粒子2>
メタクリル酸メチル−スチレンの共重合架橋微粒子 79質量部
*屈折率(10℃)1.52、平均粒子径15μm
*軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して43質量部
体積比で軟質塩化ビニル樹脂組成物100に対して45
[実施例4]
配合1の代わりに下記配合3の軟質塩化ビニル樹脂組成物を、10℃における屈折率が1.52の透明粒子1の代わりに、10℃における屈折率が1.50の下記透明粒子3を、それぞれ用い、近赤外線透過性着色剤の量を下記の様に調整して、近赤外線可変散乱層における透明マトリックス樹脂と、透明粒子と、近赤外線透過性着色剤との質量比を100:45:1とした以外は実施例1と同様にして、実施例4のシートを得た。このシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表1に示す。
<配合3>軟質塩化ビニル樹脂組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(可塑剤)
100質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
<透明粒子3>
架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子 96質量部
*屈折率(10℃)1.50、平均粒子径5μm
*軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して45質量部
体積比で軟質塩化ビニル樹脂組成物100に対して45
<近赤外線透過性着色剤1>
C.I.ピグメントレッド209(キナクリドン系有機顔料) 2.1質量部
*軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して1質量部
[実施例5]
近赤外線透過性着色剤1の代わりに下記近赤外線透過性着色剤2を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5のシートを得た。実施例5において近赤外線可変散乱層は鮮やかな黄色外観であった。得られたシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表1に示す。
<近赤外線透過性着色剤2>
C.I.ピグメントイエロー155(縮合ジスアゾ系有機顔料) 1.8質量部
*軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して1質量部
[実施例6]
近赤外線透過性着色剤1の代わりに下記近赤外線透過性着色剤3を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6のシートを得た。実施例6において近赤外線可変散乱層は鮮やかな青色外観であった。得られたシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表1に示す。
<近赤外線透過性着色剤3>
C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニン系有機顔料) 1.8質量部
*軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して1質量部
[実施例7]
近赤外線透過性着色剤に加えて、近赤外線領域に吸収が少ない無機顔料として、二酸化ケイ素で被覆した酸化チタン粒子(平均粒子径0.21μm)を、1.1質量部(軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して0.6質量部)更に加えた以外は、実施例6と同様にして実施例7のシートを得た。実施例7において近赤外線可変散乱層は水色外観であった。得られたシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表1に示す。
[実施例8]
近赤外線透過性着色剤1の代わりに下記近赤外線透過性着色剤4(3種の有機顔料の混合物)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例8のシートを得た。実施例8において近赤外線可変散乱層は黒色外観であった。得られたシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表1に示す。
<近赤外線透過性着色剤4>
C.I.ピグメントレッド209(キナクリドン系有機顔料) 0.8質量部
C.I.ピグメントイエロー155(縮合ジスアゾ系有機顔料) 0.5質量部
C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニン系有機顔料) 0.5質量部
*混合物合計で軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して1質量部
実施例1〜8のシートは全て、透明マトリックス樹脂の屈折率と、透明粒子の屈折率との差が、可撓性シート温度が0〜10℃において0.01以下、可撓性シート温度が60〜70℃において0.03以上0.06以下を満たしており、冬季にシート温度0〜10℃において熱線透過性を、夏季にシート温度60〜70℃において熱線遮蔽性を有するシートであった。実施例1は鮮やかな赤色のシートであり、冬季にシート温度が低い状態では、近赤外線可変散乱層に含まれる透明粒子の存在を視認することはできなかった。シート温度が60〜70℃では、僅かに透明粒子による光の散乱を認識する事ができたが、外観上ほとんど影響は無く、夏季に、直射日光下でシート温度が60℃以上になっても、散乱光をまぶしく感じることはなかった。実施例2は実施例1よりも透明粒子の量が多く、そのため夏季の熱線遮蔽性は実施例1より優れていた。夏季の透明粒子による光の散乱は実施例1より僅かに強かったが、まぶしさを感じるほどではなかった。実施例3は実施例1よりも粒子径の大きな透明粒子2を用いたが、その平均粒子径が20μm以下(15μm)であった為散乱に波長依存性を生じず、低温時の熱線透過性、高温時の熱線遮蔽性、低温時高温時の外観などに関して、実施例1と同程度の結果であった。実施例4は、実施例1で用いた屈折率1.52の透明粒子1から、屈折率1.50の透明粒子3に置き換えたが、軟質塩化ビニル樹脂組成物の組成を変更して10℃における屈折率を調整したことで、実施例1と同等の結果を得ることができた。実施例5、実施例6はそれぞれ実施例1とは色相が異なるが、どちらも鮮やかな色彩であり、低温時の熱線透過性、高温時の熱線遮蔽性は、色相によって僅かに差を生じていたものの実施例1と同等であった。このわずかな差は、使用した顔料の近赤外線領域における吸収特性の差であると思われる。また、実施例5、実施例6は外観上の問題も無く、夏季に、直射日光下でシート温度が60℃以上になっても、散乱光をまぶしく感じることはなかった。実施例7は、パステル調の色相を得るために、実施例6の近赤外線可変散乱層に、無機顔料として更に粒子径の小さな酸化チタンを加えたシートであるが、0〜10℃の低温時の熱線透過性、および、60〜70℃の高温時の熱線遮蔽性は、ともに実施例6とほぼ同等であり、夏季に、直射日光下でシート温度が60℃以上になっても、散乱光をまぶしく感じることはなかった。実施例8の近赤外線可変散乱層は黒色外観を有しているが、10℃における近赤外線透過率は他の実施例と大きな差は無く、冬季の熱線透過性が優れていた。60℃における近赤外線透過率も他の実施例と同等であり、夏季の熱線遮蔽性も優れていた。また、夏季に、直射日光下でシート温度が60℃以上になった状態では、透明粒子による光の散乱は全く認識できず、まぶしく感じることも無かった。
[比較例1]
透明粒子1の代わりに、平均粒子径が30μmの下記透明粒子4を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1のシートを得た。得られたシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表2に示す。
<透明粒子4>
メタクリル酸メチル−スチレンの共重合架橋微粒子 79質量部
*屈折率1.52(10℃)、平均粒子径30μm
*軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して43質量部
体積比で軟質塩化ビニル樹脂組成物100に対して45
比較例1のシートは、0〜10℃の低温時には実施例1と同様鮮やかな赤色を示しており、熱線透過性も良好であった。しかし、透明粒子の平均粒子径が30μmと大きく、シート温度が60〜70℃において光の散乱に波長依存性を生じ、可視光領域において波長の短い青よりも波長の長い赤の散乱が小さくなって虹彩模様が発生して、外観が損なわれていた。また、近赤外線透過率において、10℃では30%以上であり、60℃では15%以下であるものの、実施例1のシートに比べて60℃の近赤外線透過率がやや高かった。この結果は夏季の熱線遮蔽性の評価にも現れており、各実施例に比べて劣っていた。これは、光の散乱の波長依存性により、波長の長い近赤外線の散乱が小さくなり、その分近赤外線を透過させてしまった為であると考えられる。
[比較例2]
透明粒子1を加えなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1のシートを得た。このシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表2に示す。
比較例2のシートは、鮮やかな赤色のシートであり、近赤外線透過率は、10℃、60℃ともに高かった。従って、0〜10℃の低温時には実施例1と同様、良好な熱線透過性を示したが、60〜70℃の高温時における熱線遮蔽性は全く有していなかった。
[比較例3]
近赤外線透過性着色剤を加えなかった以外は実施例1と同様にして、比較例3のシートを得た。このシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表2に示す。
比較例3のシートは、0〜10℃の低温時には無色で透明なシートであり、10℃における近赤外線透過率も高く、良好な熱線透過性を有していた。60℃においては透明マトリックス樹脂と透明粒子との屈折率差が0.049となり、散乱により近赤外線透過率が低下するが、着色剤を含まない為、夏季の直射日光下でもシート温度が60℃まで上昇せず、小型テントを用いた評価においては、夏季の熱線遮蔽性は各実施例に比べて大きく劣る結果であった。また、夏季においては、シートは白濁外観となり、夏季の直射日光下では可視光を散乱して非常にまぶしかった。
[比較例4]
透明粒子および近赤外線透過性着色剤を加えず、無機顔料として、表面をシリカでコーティングした平均粒子径1μmの酸化チタン粒子(屈折率2.73)15質量部(軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して8.1質量部、体積比で軟質塩化ビニル樹脂組成物100に対して2.3)を加えた以外は実施例1と同様にして、比較例4のシートを得た。得られたシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表2に示す。
比較例4のシートは透明粒子を含まないが、近赤外線を散乱させる粗粒酸化チタンを含むことで、10℃、60℃ともに近赤外線透過率が低く、夏季は熱線遮蔽性を示したが、冬季の熱線透過性は有していなかった。また、白色の外観を有し、夏季だけでなく冬季においても、直射日光下で可視光を散乱して非常にまぶしかった。
[比較例5]
透明粒子3の代わりに、下記透明粒子4(非架橋ポリメタクリル酸メチル)を用いた以外は、実施例4と同様、配合3の軟質塩化ビニル樹脂組成物と、透明粒子4と、近赤外線透過性着色剤1とを質量比100:45:1となるように混合して、バンバリーミキサーで熱溶融混練して、樹脂混合物比−5を得た。この樹脂混合物比−5を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させようとしたところ、ロールに粘着してしまい、フィルムを形成することができなかった。そのため、比較例5については、基布を挿入したシートを得る事ができなかった。ただし、熱プレス機により、樹脂混合物比−5からなる厚さ0.25mmのフィルムを形成し、フィルム温度10℃と60℃における近赤外線透過率のみ測定した。結果を表2に示す。
<透明粒子4>
非架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子 96質量部
*屈折率1.49(10℃)、平均粒子径8μm
比較例5では非架橋のポリメタクリル酸メチル微粒子を用いた為、軟質塩化ビニル樹脂組成物および近赤外線透過性着色剤と混合して、バンバリーミキサーで熱溶融混練した際に粒子が溶融して塩化ビニル樹脂と溶け合い、樹脂混合物の滑性が不足して、カレンダーでフィルムを形成する事ができず、各実施例の様に基布と積層したターポリン状のシートを形成できなかった。そのため、小型テントを使用した評価は行わなかったが、プレスで形成したフィルムは、10℃、60℃ともに近赤外線透過率の高いフィルムであり、透明マトリックス樹脂と透明粒子の屈折率差による近赤外線透過率の変化がみられなかったことから、比較例5は夏季の熱線遮蔽性を有さないものであると考えられる。
[比較例6]
近赤外線透過性着色剤4(3種の有機顔料の混合物、合計で1.8質量部)の代わりにカーボンブラック3質量部(軟質塩化ビニル樹脂組成物100質量部に対して2質量部)を加えた以外は、実施例8と同様にして、比較例6のシートを得た。得られたシートについて、防汚層を形成した面をおもて面として各種試験に供した結果を表2に示す。
比較例6のシートは、実施例8同様黒色外観のシートであり、冬季、夏季ともに直射日光下で可視光の散乱によるまぶしさは感じられなかった。近赤外線透過率については、温度にかかわりなく実施例8よりも低い値を示しており、冬季の熱線透過性は実施例8に比べて低かった。一方、近赤外線透過率が低いにもかかわらず、夏季の熱線遮蔽性についても実施例8より劣っていた。これは、実施例8のシートが、高温時には散乱により近赤外線を遮蔽しているのに対し、比較例5のシートはカーボンブラックの吸収により近赤外線を遮蔽しているため、シートの温度が上昇して、その熱が輻射熱としてシート裏面側からテント内に放出され、小型テント内の温度を上昇させたことによると思われる。
本発明の熱制御性シートは、色相の自由度が高く、冬季は近赤外線を透過して、膜構造物内部に太陽熱を取り入れることができ、夏季は太陽光に含まれる近赤外線を散乱することで、このシートにより構成した膜構造物内部の温度上昇を抑制することができ、かつ、可視光の散乱による周辺景観への悪影響が無い。そのため、特にテント倉庫、イベント用大型テント、農園芸用ハウス、日除けテント、日除けモニュメント、装飾テント、ブラインド、シートシャッター等に用いることで、色相の制限無く、1年を通して快適な環境を提供することができ、冷房・暖房にかかるエネルギーを削減することができる。
1:熱制御性シート
2:近赤外線可変散乱層
3:基布
4:近赤外線可変散乱層以外の樹脂層
5:防汚層
6:小型テント
7:実施例、比較例で作成したシート

Claims (8)

  1. 近赤外線可変散乱層を含む可撓性シートであって、前記近赤外線可変散乱層が、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物からなる透明マトリックス樹脂と、前記透明マトリックス樹脂中に分散して含む平均粒子径1〜20μmの透明粒子と、近赤外線透過性着色剤とによって構成され、前記透明粒子が架橋アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル−ポリスチレン共重合体粒子、及びガラス粒子から選ばれた少なくとも1種であって、前記透明マトリックス樹脂の屈折率(JISK7142A法準拠)と、前記透明粒子の屈折率(JISK7142B法準拠)との差が、可撓性シート温度が0〜10℃において0.01以下、可撓性シート温度が60〜70℃において0.03以上0.06以下を有することを特徴とする、熱制御性シート。
  2. 前記可撓性シート温度が0〜10℃においては熱線透過性を発現し、かつ、可撓性シート温度が60〜70℃に於いては熱線遮蔽性を示す、請求項1に記載の熱制御性シート。
  3. 前記近赤外線可変散乱層において、前記透明粒子の含有量が、体積比で、前記マトリックス樹脂100に対して、30〜150である、請求項1または2に記載の熱制御性シート。
  4. 前記近赤外線透過性着色剤が、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、カルボニウム系、アントラキノン系、キノフタロン系、アゾ系、アゾメチン系、キナクリドン系の有機顔料および有機染料から選ばれた1種または2種以上であり、前記近赤外線可変散乱層において、前記透明マトリックス樹脂100質量部に対して前記近赤外線透過性着色剤を0.05〜5質量部含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の熱制御性シート。
  5. 前記軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物が、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して40〜150質量部の可塑剤を含む、請求項1〜4いずれか1項に記載の熱制御性シート。
  6. 前記可撓性シートが、繊維性編織物を基布として含む積層体である、請求項1〜5いずれか1項に記載の熱制御性シート。
  7. 前記可撓性シートが、最外層に少なくとも1層の防汚層を有する、請求項1〜6いずれか1項に記載の熱制御性シート。
  8. 波長780〜1600nmの近赤外線の透過率(JISR3106準拠)が、シート温度が0〜10℃では30%以上であり、60〜70℃では15%以下である、請求項1〜7いずれか1項に記載の熱制御性シート。
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