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JP2013229155A - 固体酸化物型燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料の浪費を抑制しながら、安定に燃料電池モジュール内の温度を制御することができる固体酸化物型燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明は、固体酸化物型燃料電池(1)であって、燃料電池モジュール(2)と、燃料供給手段(38)と、温度検出手段(142)と、検出温度に基づいて、燃料電池モジュール内の温度を制御する制御手段(110)と、を有し、制御手段は、検出温度が第1の温度帯域から外れると、第1の温度帯域の内側の第2の温度帯域内に検出温度が入るように制御する第1温度制御手段(110a)と、一旦第2の温度帯域内に入ると、その温度を維持すべく制御する第2温度制御手段(110b)と、を有し、第1温度制御手段による制御は、検出温度が第2の温度帯域内に入ると、第2温度制御手段による制御に切り換えられ、第1の温度帯域から外れると第1温度制御手段による制御に切り換えられることを特徴としている。
【選択図】図12

Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池に係わり、特に、需要電力に応じた可変の発電電力を生成する固体酸化物型燃料電池に関する。
固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」とも言う)は、電解質として酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を取り付け、一方の側に燃料ガスを供給し、他方の側に酸化剤(空気、酸素等)を供給して、比較的高温で動作する燃料電池である。
特許第4474688号公報(特許文献1)には、固体電解質型燃料電池が記載されている。この燃料電池においては、燃料電池モジュールが適正に発電することができる上限の温度と下限の温度の間を温度監視帯域として設定し、燃料電池モジュール内の温度が、この帯域内に入るように制御を行っている。具体的には、この燃料電池においては、燃料電池モジュール内の温度が上限温度よりも高くなった場合には、発電量に応じて予め設定されている燃料供給量を所定量減少させ、下限温度よりも低くなった場合には、燃料供給量を所定量増加させることにより、燃料電池モジュール内の温度を適正範囲に維持している。
一般に、燃料電池モジュールは極めて熱容量が大きいため、内部の温度変化は極めて緩慢であり、温度制御を行った結果が実際に温度変化として検出されるまでに、数十分乃至数時間のタイムラグがある。例えば、燃料電池モジュール内の温度を上昇させるべく、燃料供給量を増量する補正を行った場合、その結果として燃料電池モジュール内の温度が実際に上昇し始めるのは、増量補正から数十分乃至数時間後になる。このため、燃料電池モジュール内の温度に対して、最適な一点の温度を目標としてフィードバック制御を行うと、目標の温度に対してオーバーシュートと、アンダーシュートが繰り返されることとなり、燃料電池モジュール内の温度は不安定に乱高下する結果となる。
特許第4474688号公報記載の燃料電池においては、このような燃料電池モジュールの特性を考慮して、燃料電池モジュール内の温度が、ある程度の幅をもった温度帯域内に入るように制御を行っている。このような温度制御を行うことにより、極めて熱容量が大きくフィードバック制御が困難な、固体電解質型燃料電池の温度制御における特有の課題を解決している。
特許第4474688号公報
しかしながら、特許第4474688号公報記載の燃料電池のように、燃料電池モジュール内の温度を、最適な一点の目標温度に収束させるのではなく、ある程度の幅を持った温度帯域に入るように制御を行うと、必要以上に燃料が消費され、発電効率が低下するという問題がある。即ち、この燃料電池において、燃料電池モジュール内の温度が、何らかの原因で、設定された温度帯域の上限温度よりも高くなると、温度制御により燃料供給量が変更され、燃料電池モジュール内の温度が所定の温度帯域まで戻される。このように、所定の温度帯域まで低下された後、燃料電池モジュール内の温度は、多くの場合、温度帯域の上限温度付近で長時間推移することとなる。所定の温度帯域は、燃料電池モジュールの運転に最適な温度の上下に、許容できる温度のマージンを設けることにより設定されている。従って、燃料電池モジュール内の温度が、所定の温度帯域の上限温度付近で作動されると、最適な温度よりも高い温度で運転が行われることとなり、この高い温度を維持するために不要な燃料が浪費される結果となる。
また、特許第4474688号公報記載の燃料電池において、燃料電池モジュール内の温度を収束させる温度帯域を狭く設定した場合には、温度制御のオーバーシュート又はアンダーシュートにより、設定された温度帯域を通り抜けてしまい、制御が不安定となる。即ち、設定された温度帯域よりも高くなった温度を低下させるべく温度制御を行った場合、燃料電池モジュール内の温度は、制御のアンダーシュートにより、上限温度及び下限温度を通り越して、下限温度よりも低い温度まで低下してしまう。即ち、温度帯域が狭い場合には、一点の目標温度を目標としてフィードバック制御が行われた場合と同様に、温度が不安定となる。このように、設定された温度帯域が広い場合には、不要な燃料が消費され、設定された温度帯域が狭い場合には、温度制御が不安定となる。本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。
従って、本発明は、燃料の浪費を抑制しながら、安定に燃料電池モジュール内の温度を制御することができる固体酸化物型燃料電池を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、需要電力に応じた可変の発電電力を生成する固体酸化物型燃料電池であって、燃料電池セルスタックを備えた燃料電池モジュールと、この燃料電池モジュールに燃料を供給する燃料供給手段と、燃料電池モジュールに発電用の酸化剤ガスを供給する発電用酸化剤ガス供給手段と、燃料電池モジュール内の温度を検出する温度検出手段と、燃料供給手段及び発電用酸化剤ガス供給手段を制御して、需要電力に応じた電力を生成すると共に、温度検出手段によって検出された検出温度に基づいて、燃料電池モジュール内の温度を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、検出温度が予め設定された第1の温度帯域から外れると、第1の温度帯域の内側に予め設定された第2の温度帯域内に検出温度が入るように、燃料電池モジュール内の温度を制御する第1温度制御手段と、検出温度が一旦第2の温度帯域内に入ると、その検出温度を維持すべく、燃料電池モジュール内の温度を制御する第2温度制御手段と、を有し、第1温度制御手段による制御は、検出温度が第2の温度帯域内に入ると、第2温度制御手段による制御に切り換えられ、第2温度制御手段による制御は、検出温度が第1の温度帯域から外れると、第1温度制御手段による制御に切り換えられることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、燃料供給手段及び発電用酸化剤ガス供給手段から、燃料電池セルスタックを備えた燃料電池モジュールに、燃料及び発電用酸化剤ガスが供給される。制御手段は、燃料供給手段及び発電用酸化剤ガス供給手段を制御して、需要電力に応じた電力を生成し、また、温度検出手段によって検出された検出温度に基づいて、燃料電池モジュール内の温度を制御する。制御手段は、第1温度制御手段及び第2温度制御手段を有する。第1温度制御手段は、検出温度が第1の温度帯域から外れると、第1の温度帯域の内側に設定された第2の温度帯域内に検出温度が入るように、燃料電池モジュール内の温度を制御する。第2温度制御手段は、検出温度が一旦第2の温度帯域内に入ると、その検出温度を維持すべく、燃料電池モジュール内の温度を制御する。また、第1温度制御手段による制御は、検出温度が第2の温度帯域内に入ると、第2温度制御手段による制御に切り換えられ、第2温度制御手段による制御は、検出温度が第1の温度帯域から外れると、第1温度制御手段による制御に切り換えられる。
一般に、固体酸化物型燃料電池の燃料電池モジュールは、熱容量が大きく、温度変化が極めて緩慢であるため、或る温度に収束させるべく温度制御を行うと、オーバーシュート、アンダーシュートを繰り返し、燃料電池モジュール内の温度が不安定になりやすい。この問題を解決するために、燃料電池モジュール内の温度を或る一点の温度に収束させるのではなく、温度が所定の幅をもった温度帯域内に入るように制御を行うことが知られている。しかしながら、このように、燃料電池モジュール内の温度が所定の温度帯域内に入るように制御を行うと、温度は、温度帯域内の上限値付近で推移する時間が長くなり、これにより、燃料が浪費されるという問題を、本件発明者は見い出した。即ち、燃料電池モジュール内の最適な温度よりも高く設定された温度帯域の上限値付近に温度が維持されると、必要以上に高い温度に維持するための燃料が浪費されることとなる。
上記のように構成された本発明によれば、第1温度制御手段は、検出温度が第1の温度帯域から外れると、第1の温度帯域の内側に設定された第2の温度帯域内に検出温度が入るように制御する。この結果、燃料電池モジュール内の温度は、第1の温度帯域よりも狭い第2の温度帯域内まで一旦引き戻されるので、燃料電池モジュール内の温度が第1の温度帯域の上限値付近で長時間推移することが少なくなり、燃料の浪費を抑制することができる。また、第2温度制御手段は、検出温度が一旦第2の温度帯域内に入ると、その検出温度を維持すべく制御を行う。このため、温度の第2の温度帯域内への収束を目標とする制御による過剰なオーバーシュート、アンダーシュートを回避することができ、温度を安定化させることができる。また、第2温度制御手段による制御にも関わらず、燃料電池モジュール内の温度が第1の温度帯域から外れた場合には、第1温度制御手段による制御に切り換えられるので、温度を確実に第2の温度帯域内へ復帰させることができる。
本発明において、好ましくは、第2の温度帯域は、実質的に幅をもたない所定の目標温度として設定されており、第1温度制御手段は、検出温度が予め設定された第1の温度帯域から外れると、検出温度が目標温度に到達するまで燃料電池モジュール内の温度を制御する。
このように構成された本発明によれば、検出温度が第1の温度帯域から外れた場合、第1温度制御手段は、検出温度が目標温度に到達するまで制御するので、より適切な温度から第2温度制御手段による制御を開始することができる。
本発明において、好ましくは、第1温度制御手段は、少なくとも、検出温度と目標温度との偏差に基づいて、燃料電池モジュール内の温度を制御し、第2温度制御手段は、実質的に、検出温度の時間当たりの変化率のみに基づいて、燃料電池モジュール内の温度を制御する。
このように構成された本発明によれば、第1温度制御手段は目標温度との偏差に基づいて温度制御を行うので、温度が目標温度から離れるほど操作量を大きくすることができ、温度を確実に目標温度に到達させることができる。また、第2温度制御手段は、実質的に、検出温度の時間当たりの変化率のみに基づいて温度制御を行うので、操作量が過大になり、制御が不安定になるのを防止することができる。
本発明において、好ましくは、目標温度は、第1の温度帯域の中間値よりも低い温度に設定されている。
このように構成された本発明によれば、目標温度が第1の温度帯域の中間値よりも低い温度に設定されているので、燃料電池モジュールの経年変化等により、燃料電池モジュールの作動温度が上昇した場合でも、燃料電池モジュール内の温度が第1の温度帯域から外れにくく、長期的に安定した温度制御を行うことができる。
本発明の固体酸化物型燃料電池によれば、燃料の浪費を抑制しながら、安定に燃料電池モジュール内の温度を制御することができる。
本発明の一実施形態による燃料電池装置を示す全体構成図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す正面断面図である。 図2のIII-III線に沿った断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の起動時の動作を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の停止時の動作を示すタイムチャートである。 需要電力の変化と、燃料供給量、及び燃料電池モジュールから実際に取り出される電流の関係を模式的に示したグラフである。 燃料供給電流値に対する燃料供給量を示す図である。 燃料供給電流値に対する発電用空気供給量を示す図である。 本発明の一実施形態における温度制御のフローチャートである。 本発明の一実施形態における温度制御の一例を示すタイムチャートである。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して密封空間8が形成されている。この密閉空間8の下方部分である発電室10には、燃料と酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(図5参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(図4参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料と残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。
また、この燃焼室18の上方には、燃料を改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、改質器20の熱を受けて空気を加熱し、改質器20の温度低下を抑制するための空気用熱交換器22が配置されている。
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2及び図3により、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールの内部構造を説明する。図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿って断面図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密閉空間8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器20は、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられ、また、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20aと改質部20bを形成され、これらの蒸発部20aと改質部20bには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気(純水)が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
次に、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。この空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、図3に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a,74b,74c,74d,74e,74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。
空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。
空気分配室72のそれぞれには、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に余熱された空気を導入する。
次に、マニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されている。また、図3に示すように、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80が形成され、この排気ガス室通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、図1に示す上述した温水製造装置50に接続されている。
図2に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に図4により燃料電池セルユニット16について説明する。図4は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図4に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル16の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
次に図5により燃料電池セルスタック14について説明する。図5は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図5に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。空気極用接続部102bは、外側電極層92の表面を上下方向に延びる鉛直部102cと、この鉛直部102cから外側電極層92の表面に沿って水平方向に延びる多数の水平部102dとから形成されている。また、燃料極用接続部102aは、空気極用接続部102bの鉛直部102cから燃料電池セルユニット16の上下方向に位置する内側電極端子86に向って斜め上方又は斜め下方に向って直線的に延びている。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図5では左端の奥側及び手前側)に位置する2個の燃料電池セルユニット16の上側端及び下側端の内側電極端子86には、それぞれ外部端子104が接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に図6により本実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)に取り付けられたセンサ類等について説明する。図6は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示すブロック図である。
図6に示すように、固体酸化物型燃料電池1は、制御部110を備え、この制御部110には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置112、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置114、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置116が接続されている。なお、この報知装置116は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。
次に、制御部110には、以下に説明する種々のセンサからの信号が入力されるようになっている。
先ず、可燃ガス検出センサ120は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。
CO検出センサ122は、本来排気ガス通路80等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。
貯湯状態検出センサ124は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
電力状態検出センサ126は、インバータ54及び分電盤(図示せず)の電流及び電圧等を検知するためのものである。
発電用空気流量検出センサ128は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。
改質用空気流量センサ130は、改質器20に供給される改質用空気の流量を検出するためのものである。
燃料流量センサ132は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
水流量センサ134は、改質器20に供給される純水の流量を検出するためのものである。
水位センサ136は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。
圧力センサ138は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。
排気温度センサ140は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
発電室温度センサ142は、図3に示すように、燃料電池セル集合体12の近傍の前面側と背面側に設けられ、燃料電池セルスタック14の近傍の温度を検出して、燃料電池セルスタック14(即ち燃料電池セル84自体)の温度を推定するためのものである。
燃焼室温度センサ144は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。
排気ガス室温度センサ146は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。
改質器温度センサ148は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。
外気温度センサ150は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)が屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
これらのセンサ類からの信号は、制御部110に送られ、制御部110は、これらの信号によるデータに基づき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38、改質用空気流量調整ユニット44、発電用空気流量調整ユニット45に、制御信号を送り、これらのユニットにおける各流量を制御するようになっている。
次に図7により本実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)による起動時の動作を説明する。図7は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の起動時の動作を示すタイムチャートである。
最初は、燃料電池モジュール2を温めるために、無負荷状態で、即ち、燃料電池モジュール2を含む回路を開いた状態で、運転を開始する。このとき、回路に電流が流れないので、燃料電池モジュール2は発電を行わない。
先ず、改質用空気流量調整ユニット44から改質用空気を第1ヒータ46を経由して燃料電池モジュール2の改質器20へ供給する。また、同時に、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気を第2ヒータ48を経由して燃料電池モジュール2の空気用熱交換器22へ供給し、この発電用空気が、発電室10及び燃焼室18に到達する。
この直ぐ後、燃料流量調整ユニット38からも燃料ガスが供給され、改質用空気が混合された燃料ガスが、改質器20及び燃料電池セルスタック14、燃料電池セルユニット16を通過して、燃焼室18に到達する。
次に、点火装置83により着火して、燃焼室18にある燃料ガスと空気(改質用空気及び発電用空気)とを燃焼させる。この燃料ガスと空気との燃焼により排気ガスが生じ、この排気ガスにより、発電室10が暖められ、また、排気ガスが燃料電池モジュール2の密封空間8内を上昇する際、改質器20内の改質用空気を含む燃料ガスを暖めると共に、空気熱交換器22内の発電用空気も暖める。
このとき、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、改質用空気が混合された燃料ガスが改質器20に供給されているので、改質器20において、式(1)に示す部分酸化改質反応POXが進行する。この部分酸化改質反応POXは、発熱反応であるので、起動性が良好となる。また、この昇温した燃料ガスが燃料ガス供給管64により燃料電池セルスタック14の下方に供給され、これにより、燃料電池セルスタック14が下方から加熱され、また、燃焼室18も燃料ガスと空気が燃焼して昇温されているので、燃料電池セルスタック14は、上方からも加熱され、この結果、燃料電池セルスタック14は、上下方向において、ほぼ均等に昇温可能となっている。この部分酸化改質反応POXが進行しても、燃焼室18では継続して燃料ガスと空気との燃焼反応が持続される。
mn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
部分酸化改質反応POXの開始後、改質器温度センサ148により改質器20が所定温度(例えば、600℃)になったことを検知したとき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、燃料ガスと改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスを改質器20に供給する。このとき、改質器20においては、上述した部分酸化改質反応POXと後述する水蒸気改質反応SRとが併用されたオートサーマル改質反応ATRが進行する。このオートサーマル改質反応ATRは、熱的に内部バランスが取れるので、改質器20内では熱的に自立した状態で反応が進行する。即ち、酸素(空気)が多い場合には部分酸化改質反応POXによる発熱が支配的となり、水蒸気が多い場合には水蒸気改質反応SRによる吸熱反応が支配的となる。この段階では、既に起動の初期段階は過ぎており、発電室10内がある程度の温度まで昇温されているので、吸熱反応が支配的であっても大幅な温度低下を引き起こすことはない。また、オートサーマル改質反応ATRが進行中も、燃焼室18では燃焼反応が継続して行われている。
式(2)に示すオートサーマル改質反応ATRの開始後、改質器温度センサ146により改質器20が所定温度(例えば、700℃)になったことを検知したとき、改質用空気流量調整ユニット44による改質用空気の供給を停止すると共に、水流量調整ユニット28による水蒸気の供給を増加させる。これにより、改質器20には、空気を含まず燃料ガスと水蒸気のみを含むガスが供給され、改質器20において、式(3)の水蒸気改質反応SRが進行する。
mn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
mn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
この水蒸気改質反応SRは吸熱反応であるので、燃焼室18からの燃焼熱と熱バランスをとりながら反応が進行する。この段階では、燃料電池モジュール2の起動の最終段階であるため、発電室10内が十分高温に昇温されているので、吸熱反応が進行しても、発電室10が大幅な温度低下を招くこともない。また、水蒸気改質反応SRが進行しても、燃焼室18では継続して燃焼反応が進行する。
このようにして、燃料電池モジュール2は、点火装置83により点火した後、部分酸化改質反応POX、オートサーマル改質反応ATR、水蒸気改質反応SRが、順次進行することにより、発電室10内の温度が徐々に上昇する。次に、発電室10内及び燃料電池セル84の温度が燃料電池モジュール2を安定的に作動させる定格温度よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュール2を含む回路を閉じ、燃料電池モジュール2による発電を開始し、それにより、回路に電流が流れる。燃料電池モジュール2の発電により、燃料電池セル84自体も発熱し、燃料電池セル84の温度も上昇する。この結果、燃料電池モジュール2を作動させる定格温度、例えば、600℃〜800℃になる。
この後、定格温度を維持するために、燃料電池セル84で消費される燃料ガス及び空気の量よりも多い燃料ガス及び空気を供給し、燃焼室18での燃焼を継続させる。なお、発電中は、改質効率の高い水蒸気改質反応SRで発電が進行する。
次に、図8により本実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を説明する。図8は、本実施形態により固体酸化物型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を示すタイムチャートである。
図8に示すように、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、先ず、燃料流量調整ユニット38及び水流量調整ユニット28を操作して、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させる。
また、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させると同時に、改質用空気流量調整ユニット44による発電用空気の燃料電池モジュール2内への供給量を増大させて、燃料電池セル集合体12及び改質器20を空気により冷却し、これらの温度を低下させる。その後、改質器20の温度が所定温度、例えば、400℃まで低下したとき、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給を停止し、改質器20の水蒸気改質反応SRを終了する。この発電用空気の供給は、改質器20の温度が所定温度、例えば、200℃まで低下するまで、継続し、この所定温度となったとき、発電用空気流量調整ユニット45からの発電用空気の供給を停止する。
このように、本実施形態においては、燃料電池モジュール2の運転停止を行うとき、改質器20による水蒸気改質反応SRと発電用空気による冷却とを併用しているので、比較的短時間に、燃料電池モジュールの運転を停止させることができる。
次に、図9乃至図13を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池1の制御を説明する。
図9は、需要電力の変化と、燃料供給量、及び燃料電池モジュールから実際に取り出される電流の関係を模式的に示したグラフである。
図9に示すように、燃料電池モジュール2は、図9の最上段に示す需要電力に応じた電力を生成できるように制御される。制御手段である制御部110は、需要電力に基づいて、燃料電池モジュール2が生成すべき目標の電流である燃料供給電流値Ifを、図9の2段目のグラフに示すように設定する。燃料供給電流値Ifは、概ね需要電力の変化に追従するように設定されるが、燃料電池モジュール2の応答速度は需要電力の変化に対して極めて緩慢であるため、需要電力の短周期の急激な変化には追従せず、需要電力に緩やかに追従するように設定される。また、需要電力が固体酸化物型燃料電池の定格発電電力を超えた場合には、燃料供給電流値Ifは定格発電電力に対応する電流値まで追従し、それ以上の電流値に設定されることはない。
制御部110は、図9の3段目のグラフに示すように、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38を制御して、燃料供給電流値Ifに対応する電力が生成できる流量の燃料供給量Frを燃料電池モジュール2に供給する。なお、燃料供給量に対する実際に発電に使用される燃料の割合である燃料利用率が一定であるとすれば、燃料供給電流値Ifと燃料供給量Frは比例する。図9のグラフは、燃料供給電流値Ifと燃料供給量Frが比例するものとして描かれているが、実際には、燃料利用率は運転状態に応じて変更される。
さらに、図9の最下段のグラフに示すように、制御部110は、燃料電池モジュール2から取り出すことができる電流値である取出可能電流Iinvをインバータ54に対して指示する信号を出力する。インバータ54は、時々刻々急激に変化する需要電力に応じ、取出可能電流Iinvの範囲内で燃料電池モジュール2から電流(電力)を取り出す。需要電力が取出可能電流Iinvを上回る部分については、系統電力から供給され、これが買電力となる。ここで、図9に示すように、制御部110がインバータ54に指示する取出可能電流Iinvは、電流が増加傾向にある場合、燃料供給量Frの変化に対して所定時間遅れて変化するように設定される。例えば、図9の時刻t10においては、燃料供給電流値If及び燃料供給量Frが上昇を始めた後、遅れて、取出可能電流Iinvの増加が開始される。また、時刻t12においても、燃料供給電流値If及び燃料供給量Frの増加の後、遅れて、取出可能電流Iinvの増加が開始される。このように、燃料供給量Frを増加させた後、実際に燃料電池モジュール2から取り出す電力を増加させるタイミングを遅らせている。
これにより、燃料電池モジュール2に供給された燃料が改質器20において改質され、その後、改質された燃料が分散室であるマニホールド66に流入し、燃料電池セルスタック14を構成する各燃料電池セルユニット16に分配されるまでの時間遅れに対処している。また、燃料が各燃料電池セルユニット16に分配された後、実際の発電反応が可能になるまでにも時間を要し、電力を増加させるタイミングは、この時間も考慮して設定されている。これにより、各燃料電池セルユニット16において燃料枯れが発生し、燃料電池セルユニット16が損傷されるのを確実に防止している。なお、図9は、燃料供給量Frの増加と、取出可能電流Iinvの増加のタイミングをマクロ的、概略的に示したものである。
また、上述したように、各燃料電池セルユニット16に供給され、発電に利用されずに残った残余燃料は、各燃料電池セルユニット16の上端から流出し、そこで発電用の空気によって燃焼される。この燃焼熱は、燃料電池セルスタック14の上方に配置された改質器20を加熱すると共に、燃料電池モジュール2の内部を加熱する。また、燃料電池モジュール2の内部には、蓄熱材である断熱材7が配置されており、燃料電池モジュール2内の熱の外気への消散を抑制している。断熱材7は、非常に大きな熱容量を有しているため、燃料電池モジュール2の運転中に内部で発生した多量の熱が断熱材7に蓄積される。
このため、図9に基づいて説明したように、燃料供給量Frを増加させた後、所定時間遅れて取出可能電流Iinvを増加させた場合、この間に供給された燃料は発電に利用されることなく各燃料電池セルユニット16の上端で燃焼され、燃料電池モジュール2内の加熱に利用される。また、このようにして発生した燃焼熱は、燃料電池モジュール2内の断熱材7に蓄積される。このように、発電電力が頻繁に変更され、燃料供給量の増減が繰り返されると、発電に利用されずに残る残余燃料が増加し、これが燃料電池モジュール2内を加熱するので、燃料電池モジュール2内の温度は上昇傾向となる。
次に、図10乃至図13を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池1の温度制御を説明する。
図10は燃料供給電流値に対する燃料供給量を示す図であり、図11は燃料供給電流値に対する発電用空気供給量を示す図である。
上述したように、制御部110(図6)は、需要電力Pに基づいて、燃料電池モジュール2が生成すべき目標の電流である燃料供給電流値Ifを設定する。図10は、このように設定された燃料供給電流値Ifに対して予め設定されている燃料供給量を示すグラフである。このように、燃料電池モジュール2に供給される燃料の量は、燃料電池モジュール2が生成すべき電力に応じて予め設定されている。なお、電力(電流)を生成するために消費される燃料の量は、電力の増加に比例して増加する。一方、燃料電池モジュール2によって電力を生成するためには、燃料電池モジュール2内を適正温度に維持する必要があり、この温度維持のためにも燃料が消費される。即ち、各燃料電池セルユニット16において発電に使用されずに残った残余燃料は、各燃料電池セルユニット16の上端から流出し、そこで燃焼されて、燃料電池モジュール2内の加熱に利用される。
一方、各燃料電池セルユニット16は、電力(電流)を生成する際に発電熱を発生する。このため、燃料電池セルスタック14による発電電力が大きい場合には、燃料電池モジュール2の内部は発電熱によっても強く加熱され、発電電力が小さい場合には発電熱による加熱も少なくなる。この発電熱の減少を補うために、本実施形態においては、図10に示すように燃料供給量が設定されている。即ち、燃料供給電流値Ifが大きい領域では燃料供給量が多く、燃料供給電流値Ifが低下すると共に燃料供給量も減少されているが、燃料供給電流値Ifが少なくなるに従って、燃料供給量の減少幅は少なくなっている。このため、発電電力が小さい場合には、供給された燃料のうちの発電に利用される燃料の割合である燃料利用率が低くなる。燃料利用率を低く設定することにより、発電に利用されずに残る残余燃料が増加し、この残余燃料が燃焼されることにより燃料電池モジュール2内が加熱され、発電熱の減少が補償される。
また、図11は、燃料供給電流値Ifに応じて予め設定されている発電用空気供給量を示すグラフである。図11に示すように、発電用空気供給量も、燃料供給量と同様に、燃料供給電流値Ifが大きい領域では発電用空気供給量が多く、燃料供給電流値Ifが低下すると共に発電用空気供給量も減少されているが、燃料供給電流値Ifが少なくなるに従って、発電用空気供給量の減少幅が少なくなるように設定されている。制御部110は、発電用酸化剤ガス供給手段である発電用空気流量調整ユニット45を制御して、図11に基づいて決定された量の発電用空気を燃料電池モジュール2に供給する。
次に、図12及び図13を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池1の温度制御を具体的に説明する。
図12は、本実施形態における温度制御のフローチャートである。図13は、本実施形態における温度制御の一例を示すタイムチャートであり、時間に対する燃料電池モジュール2内の温度変化を示している。
上述したように、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1において、制御部110は、燃料供給電流値Ifに基づいて、図10を使用して燃料供給量を決定している。制御部110に内蔵された第1温度制御手段110a及び第2温度制御手段110b(図6)は、図10により決定された燃料供給量に補正を加えることにより燃料供給量を増減し、燃料電池モジュール2内の温度を所定の温度帯域に維持するように制御している。
図12は、第1温度制御手段110a及び第2温度制御手段110bにより実行される温度制御のフローチャートであり、固体酸化物型燃料電池1の発電運転中において、所定の時間間隔で繰り返し実行される。本実施形態においては、燃料電池モジュール2内の温度を維持すべき第1の温度帯域Wとして、下限温度Ta=723℃、上限温度Tb=737℃が設定され、この第1の温度帯域W内の目標温度として、T0=728℃が設定されている。好ましくは、燃料電池モジュール2が最適な作動をする目標温度T0が第1の温度帯域Wの中間値よりも低い温度になるように、第1の温度帯域Wを設定する。一般に、燃料電池モジュール2の作動温度は、経年変化、燃料電池セルスタック14の劣化等により上昇する傾向がある。目標温度T0が、第1の温度帯域Wの中間値よりも低い温度になるように第1の温度帯域Wを設定しておくことにより、燃料電池モジュール2の作動温度が上昇した場合でも、燃料電池モジュール2の温度が第1の温度帯域Wから外れにくくなり、温度制御を安定させることができる。
第1温度制御手段110aは、燃料電池モジュール2内の温度が第1の温度帯域Wから外れると、第1の温度帯域Wの内側に設定された目標温度T0に到達するように、燃料供給量を補正して、第1温度制御を実行する。第2温度制御手段110bは、燃料電池モジュール2内の温度が目標温度T0に到達した後、燃料電池モジュール2内の温度が維持されるように、燃料供給量を補正して、第2温度制御を実行する。
まず、図12のステップS1においては、燃料電池モジュール2内の温度が、温度検出手段である発電室温度センサ142により検出される。次に、ステップS2においては、発電室温度センサ142によって検出された検出温度Tが、下限温度Ta以上、上限温度Tb以下の第1の温度帯域W内であるか否かが判断される。検出温度Tが第1の温度帯域W内である場合にはステップS3に進み、検出温度Tが第1の温度帯域W外である場合にはステップS5に進む。図13に示す例では、時刻t0において、検出温度Tは第1の温度帯域W内であるため、ステップS3に進む。
次に、ステップS3においては、第1温度制御フラグFが1であるか否かが判断される。第1温度制御フラグFは、第1温度制御の実行中であるか否かを示すフラグであり、第1温度制御の実行中はF=1に設定され、第2温度制御の実行中はF=0に設定される。第1温度制御の詳細については後述する。第1温度制御フラグFが1である場合にはステップS6に進み、第1温度制御フラグFが0である場合にはステップS4に進む。図13に示す例では、時刻t0において、第1温度制御フラグF=0であるため、ステップS4に進む。
次に、ステップS4においては、第2温度制御手段110bによる第2温度制御が実行される。第2温度制御では、燃料電池モジュール2内の温度が維持されるように、燃料供給量が補正される。具体的には、時刻t0の所定時間前の燃料電池モジュール2内の温度TPから、時刻t0における燃料電池モジュール2内の温度Tが減じられ、その値に微分制御用のフィードバックゲインK1を乗じることにより、燃料補正量Q1が計算される。この燃料補正量Q1によって補正された燃料供給量により、燃料電池モジュール2の制御が行われ、図12のフローチャートの1回の処理が終了する。
例えば、時刻t0における温度が、所定時間前の温度よりも上昇している場合には、値(TP−T)は負の値となり、この値にゲインK1を乗じることにより、燃料補正量Q1が負の値として計算される。このように、本実施形態においては、第2温度制御手段110bは、検出温度Tの時間当たりの変化率のみに基づいて、第2温度制御を実行する。第2温度制御手段110bは、燃料供給電流値Ifに基づいて、図10を使用して決定された燃料供給量を、燃料補正量Q1だけ減量補正する。これにより、図10により予め設定されている燃料供給量が燃料補正量Q1だけ減じられるので、発電に利用されずに残る残余燃料が減少し、残余燃料の燃焼熱が減少することにより、燃料電池モジュール2内の温度が低下傾向となる。逆に、時刻t0における温度が所定時間前の温度よりも低下している場合には、燃料補正量Q1が正の値として計算され、図10を使用して決定された燃料供給量が増量補正される。これにより、残余燃料が増加して、燃料電池モジュール2内の温度が上昇傾向となる。
このように、第2温度制御手段110bによる第2温度制御は、燃料電池モジュール2内の温度を従前の温度に維持すべく作用する。なお、本実施形態においては、所定時間前の温度TPとして、1分前の温度が使用されている。また、本実施形態においては、図10を使用して決定された燃料供給量が減量補正された場合においても、発電に利用される燃料が不足することのないように、即ち、燃料利用率が1を超えることがないよう、燃料利用率が適正な値の範囲内となるように、補正量が制限されている。
図13に例示するタイムチャートにおいては、時刻t0の後、燃料電池モジュール2内の温度が上昇し、時刻t1において、上限温度Tbを超えている。このような温度上昇は、例えば、需要電力が頻繁に変動することにより、発電電力の増加前に先行して燃料供給量を増加させることによる余剰燃料の増加が原因となって発生する。上記のように、時刻t0〜t1の間においても、温度を従前の温度に維持すべく第2温度制御手段110bによる第2温度制御が実行されているが、燃料電池モジュール2の運転条件等によっては、第2温度制御開始時の温度から大きくずれる場合がある。このような場合においても、第2温度制御では、第2温度制御開始時の温度からのずれの大きさに従って燃料補正量Q1が増大することはないので、制御によるオーバーシュート、アンダーシュートが発生しにくい。さらに、本実施形態においては、微分制御用のフィードバックゲインK1が比較的小さな値に設定されているため、過補償による温度の不安定な変動を回避している。
図13の時刻t1において、燃料電池モジュール2内の温度が上限温度Tbを超えると、図12のフローチャートにおいては、ステップS2の後、ステップS5が実行される。ステップS5においては、第1温度制御フラグFが1にされる。即ち、第2温度制御手段110bによる第2温度制御が実行されている状態において、燃料電池モジュール2内の温度が第1の温度帯域Wから外れると、温度制御は、第1温度制御手段110aによる第1温度制御に切り換えられる。
次いで、ステップS6においては、第1温度制御手段110aにより、燃料補正量Q1が計算される。具体的には、目標温度T0から時刻t1における燃料電池モジュール2内の温度Tが減じられ、その値に比例制御用のフィードバックゲインK0を乗じることにより、燃料補正量Q1が計算される。このため、温度Tが目標温度T0よりも高い場合には、(T0−T)は負の値となり、この値にゲインK0を乗じることにより、負の燃料補正量Q1が計算される。これにより、図10を使用して決定された燃料供給量が、燃料補正量Q1により減量補正される。
続いて、ステップS7においては、燃料電池モジュール2内の温度Tが、目標温度T0に復帰したか否かが判断される。温度Tが目標温度T0に復帰した場合にはステップS8に進み、目標温度T0に復帰していない場合には、図12のフローチャートの1回の処理が終了する。
図13に示す例においては、時刻t1において上限温度Tbを超えた後、第1温度制御が実行されるが、その後も、時刻t2まで、燃料電池モジュール2内の温度Tは上昇する。従って、時刻t1以降、図12に示すフローチャートにおいて、ステップS1→S2→S5→S6→S7→リターンの処理が繰り返し実行される。また、時刻t1〜t2間においては、燃料電池モジュール2内の温度Tと目標温度T0の差も増大するので、これらの差に比例して、燃料補正量Q1も負の方向に増加する。即ち、時刻t1〜t2間においては、燃料供給量が次第に大きく減量補正されるようになる。このように、第1温度制御においては、燃料電池モジュール2内の温度Tが目標温度T0から大きく外れるほど大幅に燃料供給量が補正されるので、燃料電池モジュール2内の温度Tを確実に目標温度T0に向けて復帰させることができる。次いで、時刻t2以後は、燃料電池モジュール2内の温度Tは低下に転じるので、燃料供給量の減量補正幅は減少される。
さらに、時刻t3において、燃料電池モジュール2内の温度Tが第1の温度帯域W内に復帰すると、図12に示すフローチャートにおいては、ステップS2に続いてステップS3が実行される。時刻t3においては、第1温度制御フラグF=1であるため、ステップS3の後、ステップS6が実行される。従って、時刻t3以降は、図12に示すフローチャートにおいて、ステップS1→S2→S3→S6→S7→リターンの処理が繰り返し実行され、第1温度制御が継続される。このように、第1温度制御手段110aによる第1温度制御は、燃料電池モジュール2内の温度Tが第1の温度帯域Wから外れたとき開始されるが、温度Tが第1の温度帯域Wに復帰した後も継続される。
図13の時刻t3において温度Tが第1の温度帯域W内に復帰した後も、温度Tが上限温度Tbと目標温度T0の間で推移している間は、第1温度制御手段110aによる第1温度制御が継続される。次いで、時刻t4において、温度Tが目標温度T0に到達する(T=T0)と、図12に示すフローチャートにおいては、ステップS7に続いてステップS8が実行される。ステップS8においては、第1温度制御フラグFが0に変更される。時刻t4において第1温度制御フラグFが0に変更された後は、図12に示すフローチャートにおいて、ステップS1→S2→S3→S4→リターンの処理が繰り返し実行されるようになる。即ち、温度制御が、第1温度制御手段110aによる第1温度制御から第2温度制御手段110bによる第2温度制御に切り換えられる。
なお、本実施形態においては、燃料電池モジュール2内の検出温度Tが、その検出の分解能に対して、極めて緩やかに変化するので、温度Tが目標温度T0に到達すると、温度T=目標温度T0の条件が必ず満足される。一方、検出温度Tの分解能が非常に細かいと、温度Tが目標温度T0に到達しても温度T=目標温度T0の条件が満たされない場合がある。例えば、検出温度Tが低下傾向にある状態において、目標温度T0よりも高い温度が検出された後、次に図12に示すフローチャートが実行された際には、目標温度T0を通り越して、目標温度T0よりも低い温度Tが検出される場合がある。このように、検出温度Tの分解能が細かく設定されている場合には、検出温度Tが、目標温度T0を跨いで変化した時点において、検出温度Tが目標温度T0に到達したと判断して、温度制御を第1温度制御から第2温度制御に切り換えるように、本発明を構成することもできる。
図13の時刻t4において温度Tが目標温度T0に到達した後は、温度Tが第1の温度帯域Wから外れるまでは、第2温度制御手段110bによる第2温度制御が継続される。また、検出温度Tが、下限温度Taよりも低い温度に低下した場合には、同様に、温度制御が、第2温度制御手段110bによる第2温度制御から第1温度制御手段110aによる第1温度制御に切り換えられる。この場合には、比例制御用のフィードバックゲインK0を乗じて計算される燃料補正量Q1は正の値となり、図10を使用して決定された燃料供給量が、燃料補正量Q1により増量補正される。これにより、燃料電池モジュール2内の温度Tは上昇傾向となり、温度Tは第1の温度帯域Wに復帰される。また、第1温度制御手段110aによる第1温度制御は、温度Tが第1の温度帯域Wに復帰された後も継続され、温度Tが目標温度T0に到達すると、第2温度制御手段110bによる第2温度制御に切り換えられる。
本発明の実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、第1温度制御手段110aは、検出温度Tが第1の温度帯域Wから外れる(図13の時刻t1)と、検出温度Tが第1の温度帯域Wの内側に設定された目標温度T0に到達するように制御する(図12のステップS6、図13の時刻t1〜t4)。この結果、燃料電池モジュール2内の温度は、第1の温度帯域W内の目標温度T0まで一旦到達される(図13の時刻t4)ので、燃料電池モジュール2内の温度が第1の温度帯域Wの上限値Tb付近で長時間推移することが少なくなり、燃料の浪費を抑制することができる。また、第2温度制御手段110bは、検出温度Tが一旦目標温度T0に到達すると、その検出温度Tを維持すべく制御を行う(図12のステップS4、図13の時刻t4〜)。このため、温度の目標温度T0への収束を目標とする制御による過剰なオーバーシュート、アンダーシュートを回避することができ、温度を安定化させることができる。また、第2温度制御手段110bによる制御にも関わらず、燃料電池モジュール2内の温度が第1の温度帯域Wから外れた場合には、第1温度制御手段110aによる制御に切り換えられる(図12のステップS2→S5)ので、温度を確実に目標温度T0へ復帰させることができる。
また、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、検出温度Tが第1の温度帯域Wから外れた場合、第1温度制御手段110aは、検出温度Tが目標温度T0に到達するまで(図13の時刻t4まで)制御するので、燃料電池モジュールの最適な作動温度に設定されている目標温度T0から第2温度制御手段110bによる制御を開始することができる。
さらに、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、第1温度制御手段110aは目標温度T0との偏差に基づいて温度制御を行う(図12のステップS6)ので、温度Tが目標温度T0から離れるほど操作量である燃料補正量Q1を大きくすることができ、温度Tを確実に目標温度T0に到達させることができる。また、第2温度制御手段110bは、検出温度の時間当たりの変化率に相当する(TP−T)のみに基づいて温度制御を行うので、操作量が過大になり、制御が不安定になるのを防止することができる。
また、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、目標温度T0が第1の温度帯域Wの中間値よりも低い温度に設定されているので、燃料電池モジュール2の経年変化等により、燃料電池モジュール2の作動温度が上昇した場合でも、燃料電池モジュール2内の温度が第1の温度帯域Wから外れにくく、長期的に安定した温度制御を行うことができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、第1温度制御手段110aによる第1温度制御は、実質的に幅をもたない所定の目標温度T0に到達するまで実行されていたが、変形例として、所定の温度範囲に入るまで第1温度制御が継続されるように、本発明を構成することもできる。このように構成された変形例においては、第1の温度帯域Wの内側に、目標温度T0を含む、より狭い第2の温度帯域W2を設定しておく。第1温度制御手段110aは、検出温度Tが予め設定された第1の温度帯域Wから外れると、予め設定された第2の温度帯域W2内に検出温度Tが入るように、燃料電池モジュール2内の温度を制御する。この第1温度制御手段110aによる制御は、検出温度Tが第2の温度帯域W2内に入ると、第2温度制御手段110bによる制御に切り換えられ、第2温度制御手段110bによる制御は、検出温度Tが第1の温度帯域W1から外れると、第1温度制御手段110aによる制御に切り換えられる。このように構成された変形例によれば、第1温度制御から第2温度制御への切り換えを確実に行うことができる。
また、上述した実施形態では、第1温度制御においては、比例制御用のフィードバックゲインK0のみを用いた比例制御が実行され、第2温度制御においては、微分制御用のフィードバックゲインK1のみを用いた微分制御が実行されていたが、変形例として、各温度制御において、比例制御、微分制御、及び積分制御等の他の制御を混在させることもできる。この場合においては、第1温度制御では、第1の温度帯域W1から外れた温度を、目標温度T0に到達させ又は第2の温度帯域W2内に入るように制御する比例制御、積分制御等に基づく操作量(燃料補正量Q1)が支配的になるように、各フィードバックゲインを設定する。また、第2温度制御では、目標温度T0に到達し、又は第2の温度帯域W2入った検出温度Tを維持するように制御する微分制御等に基づく操作量(燃料補正量Q1)が支配的になるように、各フィードバックゲインを設定する。第1、第2温度制御を、本変形例のように構成することにより、第1と第2の温度制御の間を円滑に移行することができる。
さらに、上述した実施形態では、第1の温度帯域W1及び目標温度T0は、燃料電池モジュール2の発電電力に関わらず一定値に設定されていたが、変形例として、これらの値が発電電力に応じて異なるように、本発明を構成することができる。即ち、各発電電力に対して燃料電池モジュール2が作動可能な温度範囲を第1の温度帯域Wとして発電電力毎に設定しておくと共に、各発電電力に対して最適な燃料電池モジュール2の作動温度を目標温度T0として発電電力毎に設定しておく。さらに、第1温度制御手段110a及び第2温度制御手段110bを、発電電力に応じて変化する第1の温度帯域W及び目標温度T0に基づいて作動させる。このように構成された変形例によれば、燃料電池モジュール2を、発電電力に応じたより適切な温度範囲で作動させることができる。
1 固体酸化物型燃料電池
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
7 断熱材(蓄熱材)
8 密封空間
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット(固体酸化物型燃料電池セル)
18 燃焼室(燃焼部)
20 改質器
22 空気用熱交換器
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット(水供給手段)
30 燃料供給源
38 燃料流量調整ユニット(燃料供給手段)
40 空気供給源
44 改質用空気流量調整ユニット
45 発電用空気流量調整ユニット(発電用酸化剤ガス供給手段)
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置
52 制御ボックス
54 インバータ
66 マニホールド(分散室)
76 空気導入管
76a 吹出口
83 点火装置
84 燃料電池セル
110 制御部(制御手段)
110a 第1温度制御手段
110b 第2温度制御手段
112 操作装置
114 表示装置
116 警報装置
126 電力状態検出センサ(買電力検出手段)
132 燃料流量センサ(燃料供給量検出センサ)
138 圧力センサ(改質器圧力センサ)
140 排気温度センサ
142 発電室温度センサ(温度検出手段)
148 改質器温度センサ
150 外気温度センサ

Claims (4)

  1. 需要電力に応じた可変の発電電力を生成する固体酸化物型燃料電池であって、
    燃料電池セルスタックを備えた燃料電池モジュールと、
    この燃料電池モジュールに燃料を供給する燃料供給手段と、
    上記燃料電池モジュールに発電用の酸化剤ガスを供給する発電用酸化剤ガス供給手段と、
    上記燃料電池モジュール内の温度を検出する温度検出手段と、
    上記燃料供給手段及び上記発電用酸化剤ガス供給手段を制御して、需要電力に応じた電力を生成すると共に、上記温度検出手段によって検出された検出温度に基づいて、上記燃料電池モジュール内の温度を制御する制御手段と、を有し、
    上記制御手段は、検出温度が予め設定された第1の温度帯域から外れると、上記第1の温度帯域の内側に予め設定された第2の温度帯域内に検出温度が入るように、上記燃料電池モジュール内の温度を制御する第1温度制御手段と、検出温度が一旦上記第2の温度帯域内に入ると、その検出温度を維持すべく、上記燃料電池モジュール内の温度を制御する第2温度制御手段と、を有し、
    上記第1温度制御手段による制御は、検出温度が上記第2の温度帯域内に入ると、上記第2温度制御手段による制御に切り換えられ、上記第2温度制御手段による制御は、検出温度が上記第1の温度帯域から外れると、上記第1温度制御手段による制御に切り換えられることを特徴とする固体酸化物型燃料電池。
  2. 上記第2の温度帯域は、実質的に幅をもたない所定の目標温度として設定されており、上記第1温度制御手段は、検出温度が予め設定された上記第1の温度帯域から外れると、検出温度が上記目標温度に到達するまで上記燃料電池モジュール内の温度を制御する請求項1記載の固体酸化物型燃料電池。
  3. 上記第1温度制御手段は、少なくとも、検出温度と上記目標温度との偏差に基づいて、上記燃料電池モジュール内の温度を制御し、上記第2温度制御手段は、実質的に、検出温度の時間当たりの変化率のみに基づいて、上記燃料電池モジュール内の温度を制御する請求項2記載の固体酸化物型燃料電池。
  4. 上記目標温度は、上記第1の温度帯域の中間値よりも低い温度に設定されている請求項2記載の固体酸化物型燃料電池。
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