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JP2013217346A - ポンプ吸込管 - Google Patents

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JP2013217346A JP2012090626A JP2012090626A JP2013217346A JP 2013217346 A JP2013217346 A JP 2013217346A JP 2012090626 A JP2012090626 A JP 2012090626A JP 2012090626 A JP2012090626 A JP 2012090626A JP 2013217346 A JP2013217346 A JP 2013217346A
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崇 沖原
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孝英 長原
Daichi Torii
大地 鳥居
Takeshi Kazama
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Abstract

【課題】
ポンプの吸込管の曲り部で発生する二次流れを抑制して、ポンプ羽根車におけるキャビテーションの発生及び発生領域の偏りを抑制する。
【解決手段】
ポンプの吸込管20は、ポンプの羽根車吸込口に接続され、上下方向に配置される吸込管出口部6と、横方向に配置される吸込管入口部8と、吸込管出口部6と吸込管入口部8とを接続し、流れを横方向から上下方向に変化させる吸込管曲り部1とを備える。吸込管曲り部1はその縦断面において、内側の基準点からの距離Riが上流側から下流側に行くにつれて単調に増加する形状である。
【選択図】図2

Description

本発明はポンプ吸込管に係り、特に曲り部を有するポンプ吸込管に関する。
排水機場等のポンプ機場では、水路から吸込管を経て吸い込まれた水を、ポンプ本体で昇圧する構成が多く用いられる。その場合、吸込管が直管部だけではなく、曲り管部を有することもある。このような曲り管部を有するポンプ吸込管の例が、特許文献1、2に記載されている。
特許文献1には、吸込管に流入する流れの偏流を抑え、整流された水をポンプに導くために、立軸ポンプにおいて流入方向に向けて吸込口を開口させ、上方に向けて湾曲した整流曲管を吸込部先端に設けることが記載されている。ここで、整流曲管は、ベンド管状に構成され、ベンド管の中心軸よりもやや内側、すなわち曲率半径の小さい側にベンド管の曲率に応じた曲線(曲面)に形成されている。
特許文献2には、ポンプの吸込口の中心線の方向が水平または水平に近い角度を有し、吸込口の先端には直角状に曲がった曲り管を介して直線状の直管が低位レベルの液体中に挿入されるポンプの吸込管路において、曲り管からポンプに至る部分の液体の流れを改良するために、曲り管に仕切り板を設けることが記載されている。そして、仕切板はポンプに近い側で曲げられており、仕切板で仕切られた流路の中で、外側の流路の断面積は出口側、すなわちポンプ側で最大であり、内側の流路の断面積は出口側、すなわちポンプ側で最小となっている。
また、非特許文献1には、このような吸込管等に用いられる曲り管としての、案内羽根入りベンドについて開示がある。この文献においては、ベンド内に発生する二次流れや剥離を抑制してベンド内の損失を減少するために、薄板を中心角90度の円弧に曲げた案内羽根をベンドの中の同心に挿入して、案内羽根により分割される部分流路が同じ半径比になる位置に案内羽根を取り付けることが記載されている。
実開平1−76597号公報 実開昭58−33887号公報
「機械工学便覧 基礎編 α4 流体工学」、初版1刷、社団法人 日本機械学会、2006年1月、α4−73、77、78頁 原田正一 編著、「流れ学10章」、第1版、養賢堂、1989年2月、第42頁
ところで、非特許文献2に示されるように、曲り管へ流入する流れは、流路壁面と流体(水)との摩擦のために、流路壁面の近くでは速度が遅く、流路中心部では速度が速い流れとなっている。この流れが曲り部を流通するときに、流体に遠心力が作用する。この遠心力は、曲りに沿って円弧状に流れる方向(円弧周方向)の速度の二乗に比例して大きくなり、曲り部の内周側から外周側への方向(円弧半径方向)に作用する。
この結果、曲り部においては、非特許文献2に示されるように、曲り部の流路中心部の流体の主流は、遠心力の作用により曲り部の流路中心から外周側に向かう流れとなる。また、曲り部を通ることにより円弧状に曲げられる流体には、円弧半径方向に作用する遠心力により、円弧半径方向の圧力勾配が生じる。この場合、圧力は外周側で高く、内周側で低くなる。
一方、曲り部を流通する流れでは、流路中心部の主流に比べて円弧周方向の速度が遅い壁面近傍に、境界層が形成される。この境界層の流れは、遠心力の作用により流路中心から外側に向かう流れとなる流路中心部の主流と円弧周方向で釣り合うことができず、壁面に沿って圧力の高い外周側から圧力の低い内側に向かう流れを形成する。そして曲り部の中心軸と直交する断面では、流路中心部で流路中心から外側へ、壁面近傍で外側から壁面に沿って内側へ向かう流れとなる二次流れを形成する。
このことは、曲り部を有するポンプ吸込管でも同様に生じる。さらに、ポンプ吸込管では、曲り部を通過した後に二次流れが残ったまま羽根車吸込口に流体が流入すると、たとえ設計点であっても、羽根車吸込口で、羽根車吸込口における流体の流入角度と羽根車の羽根角度の食い違う領域が羽根車の回転軸に対して周方向に現れることがある。
吸込口における流体の流入角度と羽根車の羽根角度の食い違いが大きい領域では、羽根車の羽根先端付近の流体は、羽根に沿って流入せずに羽根先端に回り込む様に流入する。流体が、羽根先端に回り込む様に流入する部分では、羽根車に対する流体の相対速度が局所的に大きくなり、圧力が低下する。その結果、羽根車入口の圧力が低いポンプの運転条件では、羽根車の羽根先端付近の流体が羽根先端に回り込む様に流入する部分において、キャビテーションが局所的に発生し易くなる。
さらに、曲り部で発生して羽根車吸込口まで到達する二次流れの影響により、羽根車吸込口における流体の流入角度と羽根車の羽根角度の差が大きくなる領域は、羽根車の回転軸に対して周方向に偏って発生し、上記説明にある局所的に発生するキャビテーションも同様に発生領域が偏る。偏った領域でキャビテーションが発生した結果、気体で密度が低いキャビテーションの領域と通常の液体の領域との密度差により、羽根車に変動力が負荷され、ポンプに大きな振動や騒音が発生し易くなる。
上記特許文献1、2に記載の従来のポンプの吸込管また非特許文献1のベンドでは、仕切板を設けた曲り管や整流曲管を採用することにより、曲り部の流路中心部で内側から外側へ向かう二次流れを抑制しようとしている。しかし、仕切板を付加すると、設計や加工及び施工が複雑になり、コスト増に繋がる。また、非設計点(低流量域)での運転においては、羽根車のシュラウド側において、羽根車から吸込側に向かう逆流が生じることが一般的によく知られており、この逆流領域が大きくなると、逆流領域は仕切板や整流板にまでも及ぶことになる。その場合、逆流が仕切板や整流板に衝突して振動・騒音が発生し、この振動・騒音により仕切板や整流板が損傷するおそれがある。
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、ポンプ吸込管の曲り部で発生する二次流れを抑制して、ポンプの羽根車に発生するキャビテーションの発生を抑制すること及び発生領域の偏りを抑制することにある。また、吸込管の曲り部を単純な形状とすることにより、羽根車からの逆流の影響を低減することにある。
以下において、「縦断面」とはポンプの回転軸を含む平面であって、吸込管の中心軸を含む平面での断面である。また、「横断面」とは、吸込管の中心軸またはポンプの回転軸に直交する面での断面をいう。また、「基準点」とは、曲り管部(吸込管曲り部)を含むポンプの吸込管において、吸込管出口部と吸込管曲り部とが接続する平面と、吸込管入口部と吸込管曲り部とが接続する平面との交線上であって縦断面上の点をいう。さらに「エルボ」とは、非特許文献1のα4−77、78頁に記載のようにベンドに比較して小曲率半径のものを指すのが一般的であるが、本発明では、流れの曲り方向の加工に際して、ベンダー等の曲げ加工機を使用せず、複数の部材から作成したものを指すこととする。
上記目的を達成する本発明の特徴は、ポンプの羽根車吸込口に接続され、上下方向に配置される吸込管出口部と、横方向に配置される吸込管入口部と、前記吸込管出口部と前記吸込管入口部とを接続し、流れを横方向から上下方向に変化させる吸込管曲り部とを備えたポンプ吸込管において、前記吸込管出口部に前記吸込管曲り部が接続する接続平面と、前記吸込管入口部に前記吸込管曲り部が接続する接続平面との交線上であって縦断面上の点を基準点としたときに、縦断面における前記吸込管曲り部の内側端は、基準点からの距離が上流側から下流側に行くにつれて単調に増加する形状にある。
そしてこの特徴において、縦断面における前記吸込管曲り部の外側端の前記基準点からの距離が上流側から下流側に行くにつれて単調減少する形状であることが望ましく、前記吸込管曲り部は、横断面形状が実質的に円形であるのがよい。また、前記吸込管曲り部は、平板を曲げ加工して複数の筒状部材を形成し、この複数の筒状部材を接合してエルボ形状としたものでもよく、前記吸込管出口部は、前記吸込管曲り部との接続端部の内径が大きく、前記羽根車吸込口との接続端部の内径が小さい縮小管形状であってもよい。さらに、前記吸込管出口部の傾き角(α)は、前記吸込管曲り部の縦断面における内側の接線角度(β)であって前記吸込管曲り部と前記吸込管出口部との接続端部における接線角度と等しいかそれよりも大きい角度であってもよい。
本発明によれば、ポンプの吸込管曲り部の形状を、内側において基準点からの距離が、上流側から下流側に行くにつれて単調に増加するようにしたので、吸込管曲り部での遠心力に起因する圧力勾配を上流側から下流側に行くにつれて低下させることができる。これにより吸込管曲り部における二次流れを抑制できるので、ポンプ羽根車に発生するキャビテーションの発生及び発生領域の偏りを抑制できる。また、吸込管曲り部に案内羽根等を不要としたので吸込管曲り部の形状が単純化され、羽根車からの逆流の影響を低減できる。
本発明に係るポンプ装置の部分縦断面図である。 図1に示したポンプ装置が備えるポンプ吸込管の一実施例の縦断面図である。 本発明に係るポンプ吸込管の他の実施例の縦断面図である。 本発明に係るポンプ吸込管のさらに他の実施例の縦断面図である。 本発明に係るポンプ吸込管のさらに他の実施例の縦断面図である。 本発明に係るポンプ吸込管のキャビテーション特性を説明するグラフである。
以下、本発明に係るポンプ吸込管のいくつかの実施例を、図面を用いて説明する。図1は、ポンプ機場に配置されたポンプ装置の図であり、その一部を断面で示した図である。図2から図5は、本発明に係るポンプ吸込管20の各実施例の縦断面図である。なお、本発明の説明においては、縦断面図に示した吸込管曲り部1内の流路において、基準点に近い側を内側、基準点から遠い側を外側と呼ぶ。したがって、内側、外側は管の内外を指すものではない。
ポンプ装置30では、河川31から直接または河川31から導水路32を経由して、縦軸に配置されたポンプ40が導水路32に接続されたポンプ吸込管20から吸水し、貯水または排水施設45に給水する。ポンプ40の下端部には羽根車42が設けられており、羽根車42はモータ等の駆動機43に接続された回転軸41により回転駆動される。
このように構成されたポンプ装置30が備えるポンプ給水間の一実施例を、図2に縦断面図で示す。本実施例のポンプの吸込管20は、水平方向に流れる水を垂直方向に向きを変えて流すのに用いられる。そのため、ポンプの吸込管20は、ほぼ水平方向である横方向に配置される吸込管入口部8と、ほぼ垂直方向である上下方向に配置される吸込管出口部6と、吸込管入口部8と吸込管出口部6とを接続する吸込管曲り部1とを有している。吸込管入口部8と吸込管出口部6は、断面円形の直管である。したがって、吸込管入口部8の中心軸15aはほぼ水平方向であり、吸込管出口部6の中心軸15cはほぼ垂直方向である。
ここで本発明の特徴である、吸込管入口部8と吸込管出口部6とを接続する吸込管曲り部1は、以下のように構成されている。吸込管入口部8の出口側端部である吸込管曲り部入口2は、吸込管入口部8の中心軸15aに垂直な平面であり、鉛直面となっている。この鉛直平面を入口側基準面10と呼ぶ。また、吸込管出口部6の入口側端部である吸込管曲り部出口3は、吸込管出口部6の中心軸15cに垂直な平面であり、水平面となっている。この水平面を出口側基準面11と呼ぶ。
入口側基準面10と出口側基準面11とは交線で交差する。この交線を、基準線12と呼ぶ。一方、直管状に形成される吸込管入口部8及び吸込管出口部6の双方の中心線15a、15cを含む平面(縦断面)PLが、上記基準線12と交差する点は、吸込管曲り部1の基準点(原点O)を形成する。平面PLは、ポンプ40の回転軸41の中心線をも含んでいる。
この平面PL上において、基準点を中心とし、基準点から吸込管入口部8の出口側端部の上側端点Riの距離を半径とした内側円弧曲線4xを点線で示す。同様に、基準点を中心とし、基準点から吸込管入口部8の出口側端部の下側端点Roの距離を半径とした円弧曲線(外側端曲線5)を実線で示す。
外側端曲線5が出口側基準面11と交差する点Roは、吸込管曲り部出口3の右側端である。一方、吸込管曲り部出口3の左側端である点Riは、図2において内側円弧曲線4xが出口側基準面11と交差する点Ri2xよりも右側に位置している。すなわち、基準点から点Riの距離は、基準点から点Ri2xの距離より長い。
平面PLにおける吸込管曲り部1の内側端曲線4は、上記点Riと点Riとを結ぶ滑らかな曲線とし、吸込管曲り部入口2から吸込管曲り部出口3にかけて、基準点からの距離Riが単調に増加するように定める。すなわち、内側端曲線4上の点と基準点を結ぶ線が入口側基準面10となす角度(巻き角)が増加するにつれて、基準点から内側端曲線4上の点までの距離Riが単調に増加するように定める。平面PL上で、巻き角が同じ角度における基準点から内側端曲線4上の点及び外側端曲線5上の点の中間点を結ぶと、吸込管曲り部1の中心線15bが得られる。
このように構成した本実施例のポンプの吸込管20内を流れる水の動作について、以下に説明する。吸込管曲り部1で水平方向から垂直方向に流れ方向を曲げられて流れる水には、基準点からの距離に応じた遠心力が、吸込管曲り部1の内側から外側への方向に作用する。その結果、吸込管曲り部1の内側から外側への方向に圧力勾配が生じ、水の圧力は外側で高く、内側で低くなる。
つまり、吸込管曲り部1の中心線15bに直交する平面PLbにおいては、ρV/rの式で表される内側から外側への方向に局所的な圧力勾配が発生する。ここで、水の圧力がp、密度がρ、基準点からの距離がr、その距離rにおける水の平面PLbに対して垂直方向の速度成分がVである。
吸込管曲り部1の内側端曲線4の基準点からの距離Riを単調に増加すると、吸込管曲り部1の中心線15bの基準点からの距離は、内側円弧曲線4xで示した従来の曲り管の中心線の基準点からの距離より吸込管曲り部入口2から吸込管曲り部出口3にかけて大きくなる。これにより、圧力勾配の式の分母(基準点からの距離がr)が大きくなり、圧力勾配が、従来の曲り管よりも減少する。
吸込管曲り部1における内側から外側への方向の圧力勾配が減少したので、吸込管曲り部1の内側と外側の圧力差が減少し、吸込管曲り部1の壁面近傍に形成される境界層において、内側と外側の圧力差によって生じる壁面に沿った外側から内側に向かう流れが抑制され、吸込管曲り部1における二次流れが抑制される。
この結果、本実施例によれば、吸込管曲り部1の内部流路に仕切板等の流れ案内手段を設けなくとも、吸込管曲り部1で発生しやすい二次流れを抑制できる。従って、羽根車の吸込口まで到達するような二次流れを減少させることが可能になり、羽根車の吸込口における水の流入角度と羽根車の羽根角度の食い違いが羽根車の回転軸に対して周方向に不均一になることに起因するキャビテーションの発生及び発生領域の偏在を抑制することが可能になる。
図3に、本発明に係るポンプの吸込管20の他の実施例を、縦断面図で示す。本実施例が上記図2に示した実施例1と異なるのは、ポンプの吸込管20の吸込管曲り部1の内側の基準点からの距離Riに加え、外側の基準点からの距離Roも、吸込管曲り部入口2から吸込管曲り部出口3にかけて変化させたことにある。なお、吸込管曲り部1の内側端曲線4の形状は、上記図2に示した実施例1の形状と同一である。
すなわち、吸込管曲り部1の外側端曲線5は、従来の基準点からの距離Roが一定である外側円弧曲線5xの形状から、吸込管曲り部入口2から吸込管曲り部出口3にかけて単調に減少する形状に変更している。これにより、出口側基準面11と外側端曲線5との交点Roは、図3において、出口側基準面11と外側円弧曲線5xとの交点Ro2xよりも左側に位置する。なお、吸込管曲り部1の中心線15bに直交する平面PLbにおける断面積は、単調減少する縮流状態になる。
その結果、吸込管曲り部1を流れる水の流速が加速され、吸込管曲り部1の吸込管曲り部入口2側から吸込管曲り部出口3側にかけて壁面近傍の境界層の発達を抑制できる。従って、二次流れの原因の一つである吸込管曲り部1で発達する壁面近傍の境界層が抑制されるので、内側と外側の圧力差に起因する壁面に沿う外側から内側に向かう二次流れが一層低減される。
本実施例においても、吸込管曲り部1の内部流路に仕切板等の流れ案内手段を設けなくとも、吸込管曲り部1で発生しやすい二次流れを抑制できる。また、羽根車の吸込口まで到達するような二次流れを減少させることが可能になり、羽根車の吸込口における水の流入角度と羽根車の羽根角度の食い違いが羽根車の回転軸に対して周方向に不均一になることに起因するキャビテーションの発生を抑制すること及び発生領域の偏在を抑制することが可能になる。
図4に、本発明に係るポンプの吸込管20のさらに他の実施例を縦断面図で示す。本実施例が上記実施例1及び2と相違するのは、上記実施例1及び2では鋳物または旋作等の機械加工でポンプの吸込管20を製作していたのに対し、本実施例では製缶加工を組み合わせてポンプの吸込管20を製作することにある。本実施例では、図3に示した実施例2の形状を近似している。図3に示した吸込管曲り部1を、中心線15bに直交する複数の平面で分割し、分割された形状を製缶品で近似する。その後、各分割形状品を溶接してつなぎ合わせている。
図4に示した形状で具体的に説明すると、吸込管入口部8及び吸込管出口部6は、上記実施例1、2と同様に作成する。吸込管曲り部1は、90°流れ方向を変えるので、中心角θを22.5°ずつ、4等分した形状とする。この分割形状になるように平板に展開した素材を、曲げ加工し、曲り管部材1a〜1dを製作し、互いの端面を突合せ溶接する。図4では、曲り管部材1b、1c間を突合せ溶接部16bcで溶接した状態を示しているが、他の曲り管部材1a〜1d間及び曲り管部材1aと吸込管入口部8、曲り管部材1dと吸込管出口部6も同様に突合せ溶接で溶接される。このように溶接加工した結果、吸込管曲り部1はエルボ形に形成される。なお、平板を曲げ加工した曲り管部材1a〜1dで形成した流路は、各流路入口と流路出口の両端が円形状になっている。
本実施例によれば、ポンプの吸込管20の製造が容易になり、加工費を節減できる。また、コストの低減や納期の短縮が可能となる。なお、本実施例では、実施例2の形状について製缶化を適用しているが、実施例1に示した形状や以下に説明する実施例4の形状であっても同様に適用できる。また、図4では吸込管曲り部1は4分割としたが、それ以外の分割数であってもよい。
図4に、本発明に係るポンプの吸込管20のさらに他の実施例を、縦断面図で示す。本実施例が上記実施例1〜3と異なるのは、吸込管曲り部1ではなく、吸込管出口部6の形状を変化させたことにある。吸込管入口部8及び吸込管曲り部1には、上記実施例1〜3に示したもののいずれをも適用できる。
吸込管曲り部1の内側端曲線4上の任意の点Pにおける内側端曲線4の接線が、基準点と点Pを通る線となす角度を、接線角度βとする。吸込管出口部6を縮小管とし、その傾き角をαとする。傾き角αは、平面PLにおいて、吸込管出口部6の内側端の直線23が出口側基準面11となす角度である。なお、吸込管出口部6の中心線15cは、上記実施例1〜3と同様に、鉛直方向である。吸込管出口部6では、吸込管曲り部出口(吸込管出口部の下端)3から吸込管出口部6の上端7にかけて、横断面の断面積が小さくなる縮小管である。
本実施例によれば、吸込管出口部6が縮小管としたので、吸込管出口部6と吸込管曲り部1との接続位置において、吸込管曲り部1の内側端曲線4の出口端の点Riにおける接線角度βと吸込管出口部6の傾き角αとの角度差(α−β)が小さくなり、吸込管曲り部出口3側の流れの方向と吸込管出口部6の下端側の流れの方向とが合うことによって、吸込管出口部6で発生しやすい流れの乱れが低減され、吸込管出口部6での二次流れの減衰効果を促進できる。その結果、羽根車の吸込口における水の流入角度と羽根車の羽根角度の食い違いが羽根車の回転軸に対して周方向に不均一になることに起因するキャビテーションの発生及び発生領域の偏在を抑制することが可能になる。
なお、吸込管出口部6の傾き角αは、吸込管曲り部1の内側端曲線4の出口端の点Riにおける接線角度βよりも大きい角度であることが望ましく、90°を超えない値である。すなわち縮小管ではあるが、過度の縮小は避けるのがよい。
上記実施例4に用いた吸込管20を用いた場合のポンプのキャビテーション性能の実験結果を、従来の吸込管を用いた場合と比較して、図6に示す。従来の吸込管を用いた場合が点線で示されており、本発明に係る吸込管20を用いた場合を実線で示す。ここで、キャビテーション性能は、キャビテーションが発生するNPSH(Net Positive Suction Head)である。
横軸に設計点流量で正規化した流量Q/Qdを、縦軸にキャビテーションが発生するNPSHをポンプの設計点の全揚程で無次元化したキャビテーション係数σを示す。本発明に係る吸込管20を用いた場合、キャビテーション係数σは従来の吸込管20を用いた場合よりも低くなっており、キャビテーションが発生するNPSHが低いことが分かる。キャビテーションが発生するNPSHが低いので、羽根車入口の圧力が低い(NPSHが低い)ポンプの運転条件においても、キャビテーションが発生しにくくなる。
上記実施例1〜4では、吸込管入口部8及び吸込管出口部6の中心軸に直交する断面(横断面)をほぼ円形としたが、本発明はこのような円管だけでなく、楕円形等わずかに横方向に膨らんだ形状等であっても適用できる。なお、その場合であっても、中心軸を含む平面での断面形状で、吸込管曲り部1の内側端曲線4の基準点からの距離Riは単調増加することが必要である。
また、上記実施例1〜4では基準点からの距離Ri、Roや中心角θ、傾き角α、接線角度β等を、吸込管曲り部1の管内側を基準にしているが、管の肉厚を等厚とみなせるときは、管外側を基準にしてもよい。
1…吸込管曲り部、1a〜1d…曲り管部材、2…吸込管曲り部入口、3…吸込管曲り部出口、4…内側端曲線、4x…内側円弧曲線、5…外側端曲線、5x…外側円弧曲線、6…吸込管出口部、7…羽根車吸込口(吸込管出口部の上端)、8…吸込管入口部、9…吸込管入口端、10…入口側基準面、11…出口側基準面、12…基準線、15a、15b、15c…中心軸、16bc…突合せ溶接部、20…吸込管、30…ポンプ装置、31…河川、32…導水路40…ポンプ、41…回転軸、42…羽根車、43…駆動機(モータ)、45…貯水(排水)施設。

Claims (6)

  1. ポンプの羽根車吸込口に接続され、上下方向に配置される吸込管出口部と、横方向に配置される吸込管入口部と、前記吸込管出口部と前記吸込管入口部とを接続し、流れを横方向から上下方向に変化させる吸込管曲り部とを備えたポンプ吸込管において、
    前記吸込管出口部と前記吸込管曲り部とが接続する平面と、前記吸込管入口部と前記吸込管曲り部とが接続する平面との交線上であって縦断面上の点を基準点としたときに、前記吸込管曲り部の内側端はその縦断面において、基準点からの距離が上流側から下流側に行くにつれて単調に増加する形状であることを特徴とするポンプ吸込管。
  2. 縦断面における前記吸込管曲り部の外側端の前記基準点からの距離が、上流側から下流側に行くにつれて単調減少する形状であることを特徴とする請求項1に記載のポンプ吸込管。
  3. 前記吸込管曲り部は、横断面形状が実質的に円形であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポンプ吸込管。
  4. 前記吸込管曲り部は、平板を曲げ加工して複数の筒状部材を形成し、この複数の筒状部材を接合してエルボ形状としたものであること特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のポンプ吸込管。
  5. 前記吸込管出口部は、前記吸込管曲り部との接続端部の内径が大きく、前記羽根車吸込口との接続端部の内径が小さい縮小管形状であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のポンプ吸込管。
  6. 前記吸込管出口部の傾き角(α)は、前記吸込管曲り部の縦断面における内側端の接線角度(β)であって前記吸込管曲り部と前記吸込管出口部との接続端部における接線角度と等しいかそれよりも大きい角度であることを特徴とする請求項5に記載のポンプ吸込管。
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