JP2013216802A - 固形描画材及び固形描画具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも樹脂成分、ワックス成分、色材及び中空樹脂粒子を含有する固形描画材において、前記樹脂成分として、ロジン及びロジン変成物のうち少なくとも一方を0.5重量%以上20重量%以下の範囲で含有し、前記ワックス成分として、融点45℃以上のグリセリン脂肪酸エステル及びペンタエリスリトール脂肪酸エステルのうちの少なくとも一方を8重量%以上50重量%以下の範囲で含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
一方、強度を強くするため、樹脂量を増量すると、細く成形することはできても硬いため、コート紙、プラスチック、金属、ガラス、ホワイトボード等の平滑な非吸収面に描画することができない点に課題がある。
上記の「ワックス」と総称されるもののうち、「脂肪酸と高級一価または二価のアルコール」と定義されるほとんどのものが、ロジン及びロジンのグリセリンエステル等ロジン変成物との相溶性が劣る。
これに対して、三価(グリセリン)、あるいは四価(ペンタエリスリトール)のアルコールと脂肪酸のエステルは、ロジン及びロジンのグリセリンエステル等ロジン変成物との相溶性が良い。
以上より、本願では、「常温で固体または半固体の有機物」であって「常温から100℃付近までの温度範囲で溶融し、溶融粘度の低いもの」、特に、その溶融する温度(融点)が110℃以下であるものを「ワックス」と称することとする。
上記の課題に鑑み、本願の第1の発明は、少なくとも樹脂成分、ワックス成分、色材及び中空樹脂粒子を含有する固形描画材20において、
前記樹脂成分として、ロジン及びロジン変成物のうち少なくとも一方を0.5重量%以上20重量%以下の範囲で含有し、
前記ワックス成分として、融点45℃以上のグリセリン脂肪酸エステル及びペンタエリスリトール脂肪酸エステルのうちの少なくとも一方を8重量%以上50重量%以下の範囲で含むことを特徴とする。
これらは、化成品、天然物を区別することなく、単独、又は2種以上混合して用いることも可能であり、目的とする固形描画材20の着色性、硬さによって適宜選択される。
この樹脂成分の含有率は0.5重量%以上20重量%以下の範囲にあることとなっている。この含有率が0.5重量%を下回ると、平滑面での定着性が劣り着色が不十分であり、また強度的に弱く、実用的でない。一方、20重量%を上回ると硬く、やはり平滑面での定着性が劣り着色が不十分となる。
上記ワックス成分の含有率は8重量%以上50重量%以下の範囲にあることとなっている。この含有率が8重量%を下回ると硬く、平滑面での定着性が劣り着色が不十分となる。一方、50重量%を上回ると強度的に弱くなり、実用的でない。
本発明における「中空樹脂粒子」としては架橋スチレンアクリル樹脂粒子等公知の体質材をすべて用いることができる。
また、本願の第2の発明は、前記第1の発明の特徴に加え、前記樹脂成分と前記ワックス成分との比率が2:1〜1:25の範囲にあることを特徴とする。
樹脂成分の含有量がワックス成分に対し1:25より少ないと、得られる固形描画材20が脆く、また平滑面での定着性が劣り着色が不十分となる。また、樹脂成分の含有量がワックス成分に対し2:1より多いと固形描画材20が硬くなってしまい、着色性が不十分である。
要するに、樹脂成分と、ワックス成分とが好適な比率(すなわち、2:1〜1:25の範囲内)で混合されれば、平滑面での定着性が良好で、着色が良い固形描画材20が得られることになる。
なお、樹脂成分とワックス成分との混合は、事前に溶融混合しておくことも可能であるし、また、固形描画材20の製造工程において、他の配合物とミキサー中等で混合することも可能であり、その製造方法については特に限定されない。
また、本願の第3の発明は、前記第1の発明の特徴に加え、中空樹脂粒子を5重量%以上含むことを特徴とする。
この中空樹脂粒子の含有量が5重量%を下回ると、透明プラスチック、ガラス等透明な板面に適度に濃く明確に描画することができず、薄い描画面となり、好ましくない。また、この中空樹脂粒子は、あまり多量に添加しても期待される性能向上には役立たず、かえって阻害してしまう。その上限の添加量は通常、固形分で15重量%程度である。
また、本願の第4の発明は、前記第1の発明の特徴に加え、前記樹脂成分、ワックス成分、顔料、中空樹脂粒子の他に融点が40℃以下の成分を4.5重量%以下の範囲で含有することを特徴とする。
すなわち、融点が45℃を下回るグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルや、ホホバ油等のワックス、スピンドル油、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油等の天然又は合成油であっても、上記の各成分の好適な含有量に影響を及ぼさない範囲であれば使用することができる。特に融点が40℃以下の成分(たとえば、融点が40℃以下のワックスやオイル等の有機成分)でも、固形描画剤20の全体に占める含有量が4.5重量%以下であれば使用することができる。しかし、固形描画材20を細く成形したい場合や、先端を尖らせたい場合には、強度の観点から、これらの低融点成分はなるべく含有しないことが望ましい。
また、本願の第5の発明は、前記第1の発明の特徴に加え、前記樹脂成分以外の追加樹脂成分としてポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体のうちの少なくとも一方を20重量%以下の範囲で含有するとともに、
前記ワックス成分以外の追加ワックス成分として融点45℃以上のパラフィンワックス、オゾケライト、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックスから成る群から選ばれる1種又は2種以上の混合物を30重量%以下の範囲で含むことを特徴とする。
すなわち、追加樹脂成分として、20重量%以下のポリエチレン及び/又はエチレン−酢酸ビニル共重合体を、強度向上、硬さ、書き味調整等の目的で、前記樹脂成分と併用することができる。この追加樹脂成分が20重量%を超えると、成形性や、コート紙、プラスチック、金属、ガラス、ホワイトボード等の平滑な非吸収面に対する着色力が劣り、薄い描線となるため、好ましくない。
なお、以上の場合、前記樹脂成分と前記追加樹脂成分との合計含有量は、コート紙、プラスチック、金属、ガラス、ホワイトボード等の平滑な非吸収面に描画する場合の描線濃度、定着性を考慮すると30重量%以下とすることが好ましい。
追加ワックス成分として用いられるオゾケライト、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックスは従来公知のものがすべて使用できるが、パラフィンワックスは強度の点で、融点45℃以上であることが好ましい。その含有量はコート紙、プラスチック、金属、ガラス、ホワイトボード等の平滑な非吸収面に描画する場合の描線濃度、定着性の点で30重量%以下とすることが好ましい。
また、前記ワックス成分と前記追加ワックス成分との合計含有量は、概ね70重量%以下が好ましいが、強度の点で65重量%以下が望ましい。さらに、コート紙、プラスチック、金属、ガラス、ホワイトボード等の平滑な非吸収面に描画する場合の描線濃度、定着性を考慮すると60重量%以下とすることが望ましい。
また、本願の第6の発明は、前記第5の発明の特徴に加え、前記ポリエチレンは低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンから成る群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であり、
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体は酢酸ビニル含有量が30重量%以下、かつ、メルトフローレートが2g/分以上であることを特徴とする。
また、本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、その他配合材との混練性、成形性や、コート紙、プラスチック、金属、ガラス、ホワイトボード等の平滑な非吸収面に描画する場合の描線濃度、定着性の点に鑑みれば、酢酸ビニル含有量が30重量%以下、メルトフローレートが2g/分以上であるものから選択することが好ましい。
また、本願の第7の発明は、前記第5又は第6の発明の特徴に加え、前記追加樹脂成分と、前記追加ワックス成分との比率が3:1〜1:20の範囲にあることを特徴とする。
ここで、追加樹脂成分の比率が追加ワックス成分に対して3:1より多い場合は固形描画材20が硬くなってしまい、着色性が不十分となる。また、追加樹脂成分の比率が追加ワックス成分に対して1:20より少ない場合は、得られる固形描画材20が脆くなってしまい、強度的に不十分である。
また、本願の第8の発明は、前記第1の発明の特徴に加え、前記色材として蛍光染料又は蛍光顔料を含むことを特徴とする。
本来、色材としては、染料、比重があまり重くない一般的な顔料、二酸化チタン以外の顔料を適宜使用することができる。しかし、本発明の固形描画材は、下地が透けて見えることも一つの特徴であるため、アンダーラインマーカーとして利用可能であるので、塗布した箇所を目立たせるためには、染料あるいは顔料の一部または全部を蛍光染料又は蛍光顔料とすれば、下地の隠ぺいをせず、かつ、塗布部分のハイライトを行うことのできる固形描画材とすることができる。
このハイライトされた塗布部分は、完全には隠ぺいされていないものの、半隠ぺいの状態である。ここに、半透明のシート、特に、固形描画材と同色の半透明シートを上から被せると、ほぼ完全な隠ぺい状態となる。この半透明シートを被せた状態で、複写機によりコピーを行っても、複写物では、その塗布された部分は像が消されて見ることはできなくなる。これによって、たとえば、教科書等の一部に本発明の固形描画材によってマーキングを行い、その上から半透明シートを被せ、コピーを撮れば、即席の穴埋め問題集を作成することができる。
蛍光顔料としては、昼光蛍光染料を例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂及びその共縮重合体等の合成樹脂に昼光蛍光強度が最大になる濃度で溶解し、蛍光性樹脂の微粉体としたものであり、その合成樹脂は、製造時の加熱、攪拌、混練、押し出し成形等に充分耐え得る耐熱性を有するものが好ましい。このような耐熱性の合成樹脂を用いた蛍光顔料を使用する事により製造時に顔料の凝集がなく良好な発色が得られる。かかる蛍光顔料としては、シンロイヒカラーSB−11(レッド・オレンジ)、シンロイヒカラーSB−13(レッド)、シンロイヒカラーSB−14(オレンジ)、シンロイヒカラーSB−15(イエロー)、シンロイヒカラー17(ピンク)、シンロイヒカラーSB−37(マゼンタ)等のシンロイヒカラーSBシリーズ(シンロイヒ社製)、エポカラーFP−112(ピンク)、エポカラーFP−113(レッド)、エポカラーFP−114(レッド)、エポカラーFP−115(レッド)、エポカラーFP−116(オレンジ)、エポカラーFP−117(イエロー)、エポカラーFP−101(ホワイト)、エポカラーFP−10(ピンク)、エポカラーFP−20(レッド)、エポカラーFP−30(レッド)、エポカラーFP−40(オレンジ)、エポカラーFP−3000(イエロー)、エポカラーFP−3000G(イエロー)、エポカラーFP−1007H(グリーン)、エポカラーFP−1025H(グリーン)、エポカラーFP−1050(ブルー)等のエポカラーFPシリーズ(日本触媒社製)、NKW−2100Eシリーズ、NKW−6200Eシリーズ(日本蛍光社製)、Ryudye−LUMINOUSシリーズ(大日本インキ社製)等を使用することができる。
また、本願の第9の発明に係る固形描画具10は、前記第1の発明に係る固形描画材20と、
該固形描画材20の外周面に2周以上巻き回される保護シート30とを備え、
該固形描画材20は該保護シート30ごと鉛筆削り器で切削可能であることを特徴とする。
「保護シート30」とは、この固形描画材20の外周面に、手指の汚れ防止や固形描画材20の保護あるいや補強のために巻き回されるシート状構造物をいう。
そして、この固形描画材20にこの保護シート30が巻き回されているものが「固形描画具10」である。
なお、保護シート30の材質としての紙については、吸湿により繊維が膨潤することで切削性が悪くなることを考慮し、アート紙又はコート紙等表面加工した紙や、ポリプロピレン製等の樹脂を配合した合成紙が望ましい。
また、強度及び切削時のカスの散乱防止の点で、保護シート30の内面側の一部又は全部に接着剤が塗布されていることが望ましい。この接着剤の材質は、これまでシール、シート、フィルム等に使用されてきたものであれば、特に限定はなく、いずれも使用可能である。
また、本発明では固形描画材20に保護シート30を2周以上巻き回すが、極端に薄いと皺になりやすい。また、あまりに厚ければ、最内層の辺縁と重なる部分に段差ができやすく、常温では巻きにくく、そして時間が経てば剥れやすい。よって保護シート30の厚さは概ね1μm以上かつ200μm以下が好ましく、5μm以上かつ150μm以下がさらに望ましい。
また、上記各成分以外にも、従来公知のカルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ケトンワックス、ポリプロピレンワックス、各種脂肪酸アミドのワックス類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等の金属石鹸も適宜選択し、配合することとしてもよい。
この場合、これらの成分と、前記ワックス成分(又は前記ワックス成分及び前記追加ワックス成分)との合計含有量は、概ね70重量%以下が好ましい。なお、強度の点に鑑みれば65重量%以下が望ましく、さらにはコート紙、プラスチック、金属、ガラス、ホワイトボード等の平滑な非吸収面に描画する場合の描線濃度、定着性を考慮すると60重量%以下とすることが望ましい。
その他、本発明において、描線を水で溶解させたり、拭き取ったりする目的で、従来水溶性色鉛筆等で公知の界面活性剤、紫外線吸収剤等各種添加剤をこれまで述べてきた強度、平滑な非吸収面への描画、容易な消去性等の特徴を低下させない範囲で配合してもよい。
これに対して、本発明の固形描画材では、特定の樹脂、ワックス類の組み合わせ、比率により、オイル等液体成分の含有量を極限まで減量でき、その結果、強く、かつ平滑な非吸収面へ描画可能な固形描画材が得られた。
すなわち、本発明によれば、滑らかな書き味を有し、特にコート紙、プラスチック、金属、ガラス、ホワイトボード等の平滑な非吸収面に対しても適度に濃く描画可能であって、描画した部分をハイライトすることが可能で、上から半透明のシートを被せた場合、複写機によるコピーにおいて描画した部分が複写されない固形描画材が提供される。さらに詳しくは、透明プラスチック、ガラス等透明な板面に濃く明確に描画可能でありながら、優れた曲げ強度等の機械的強度を有し、折れにくい固形描画材が提供される。また、上記の非吸収面に描画した場合、布、ティッシュペーパー等紙類、ホワイトボード消去具等で容易に消去できる固形描画材が提供される。また、このような固形描画材の外周を保護シートで被覆しつつ、この保護シートに剥離や離断等のためのミシン目や切れ目等の特別の構造を設けることなく、固形描画材の摩耗に伴って描画可能な先端部分を新たに露出させることが可能な固形描画具が提供される。
(1−1)実施例1
ハゼロウ(融点52℃):43重量%
ロジン:16重量%
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):31重量%
ジスアゾイエローAAA:2重量%
フタロシアニングリーン:8重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、断面が一辺8.0mm×8.0mmの図1(A)に示すような緑色の固形描画材20を得た。
ステアリン酸グリセリド(融点61℃):43重量%
ロジンエステル:16重量%
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):30重量%
パーマネントレッド:11重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、直径8.0mmの図1(B)に示すような赤色の固形描画材20を得た。
ウルシロウ(融点52℃):15重量%
ロジンエステル:6重量%
フィッシャー・トロプシュワックス(融点110℃) 21重量%
モンタンワックス:12重量%
低密度ポリエチレン(住友化学):15重量%
カオリン(RC−1、竹原化学工業社製):6重量%
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):15重量%
ジスアゾイエローAAA:10重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、直径8.0mmの図1(B)に示すような黄色の固形描画材20を得た。
ウルシロウ(融点52℃):22重量%
ロジン:9重量%
パラフィンワックス135F(日本精蝋):23重量%
マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋):5重量%
エチレン−酢酸ビニル共重合体:13重量%
(酢酸ビニル含有量:28重量%、メルトフローレート:15g/分)
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製):8重量%
特1号酸化亜鉛(ハクスイテック社製):10重量%
群青:6重量%
フタロシアニンブルー:4重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、直径8.0mmの図1(B)に示すような青色の固形描画材20を得た。
ハゼロウ(融点52℃):34重量%
ロジンエステル:12重量%
パラフィンワックス155F(日本精蝋):15重量%
低密度ポリエチレン(住友化学):5重量%
エチレン−酢酸ビニル共重合体:3重量%
(酢酸ビニル含有量:28重量%、メルトフローレート:40g/分)
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):21重量%
ピラゾロンオレンジ:10重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、直径8.0mmの図1(B)に示すような橙色の固形描画材20を得た。
ステアリン酸グリセリド(融点61℃):43重量%
ロジンエステル:16重量%
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):30重量%
パーマネントレッド:11重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、図2に示すような直径7.0mm、長さ120mmの赤色の固形描画材20を得た。これに、接着剤を含めた厚さ100μm、横138mm、縦120mmのポリプロピレン合成紙製の保護シート30を図3に示すように5周巻き回し、図2に示すような直径8.0mm、長さ120mmの固形描画具10を得た。
上記実施例6の保護シート30を、接着剤を含めた厚さ100μm、横138mm、縦120mmの二軸延伸ポリプロピレン製の保護シート30に置き換えたこと以外は、上記実施例6と同様の製法で直径8.0mm、長さ120mmの固形描画具10を得た。
上記実施例6の保護シート30を、接着剤を含めた厚さ100μm、横138mm、縦120mmのアート紙製の保護シート30に置き換えたこと以外は、上記実施例6と同様の製法で直径8.0mm、長さ120mmの固形描画具10を得た。
ハゼロウ(融点52℃):43重量%
ロジン:16重量%
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):31重量%
ジスアゾイエローAAA:2重量%
フタロシアニングリーン:8重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、直径7.0mm、長さ120mmの緑色の固形描画材20を得た。これに、接着剤を含めた厚さ80μm、横141mm、縦120mmのポリ塩化ビニル製の保護シート30を6周巻き回し、直径7.9mm、長さ120mmの固形描画具10を得た。
上記実施例9の保護シート30を、接着剤を含めた厚さ80μm、横141mm、縦120mmのスチレン製の保護シート30に置き換えたこと以外は、上記実施例9と同様の製法で直径7.9mm、長さ120mmの固形描画具10を得た。
ハゼロウ(融点52℃):43重量%
ロジン:16重量%
タルク:17重量%
二酸化チタン:14重量%
ジスアゾイエローAAA:2重量%
フタロシアニングリーン:8重量%
上記配合組成物をニーダーで加熱混合、分散させた後に2本ロールで混練した後、加熱溶融させ、所定の型に流し込み、冷却、固化して、断面が一辺8.0mm×8.0mmの図1(A)に示すような緑色の固形描画材を得た。
ハゼロウ(融点52℃): 40重量%
パラフィンワックス155F(日本精蝋):10重量%
ホワイトミネラルオイル:10重量%
タルク:16重量%
二酸化チタン:14重量%
ジスアゾイエローAAA:2重量%
フタロシアニングリーン:8重量%
上記配合組成物をニーダーで加熱混合、分散させた後に2本ロールで混練した後、加熱溶融させ、所定の型に流し込み、冷却、固化して、断面が一辺8.0mm×8.0mmの緑色固形描画材を得た。
ハゼロウ(融点52℃):15重量%
パラフィンワックス135F(日本精蝋):10重量%
ロジン:16重量%
非晶性ポリα−オレフィン:0.5重量%
ホワイトミネラルオイル:10重量%
タルク:24.5重量%
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):14重量%
ジスアゾイエローAAA:2重量%
フタロシアニングリーン:8重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、冷却、固化して、断面が一辺8.0mm×8.0mmの緑色固形描画材を得た。
ウルシロウ(融点52℃):15重量%
フィッシャー・トロプシュワックス(融点110℃):21重量%
モンタンワックス:12重量%
低密度ポリエチレン(住友化学):21重量%
カオリン:6重量%
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):15重量%
ジスアゾイエローAAA:10重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、直径8.0mmの黄色固形描画材を得た。
ウルシロウ(融点52℃):22重量%
パラフィンワックス135F(日本精蝋):23重量%
マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋):5重量%
エチレン−酢酸ビニル共重合体:22重量%
(酢酸ビニル含有量:28重量%、メルトフローレート:15g/分)
タルク:8重量%
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):10重量%
群青:6重量%
フタロシアニンブルー:4重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、直径8.0mmの青色固形描画材を得た。
ハゼロウ(融点52℃):34重量%
パラフィンワックス155F(日本精蝋):15重量%
低密度ポリエチレン(住友化学):15重量%
エチレン−酢酸ビニル共重合体:5重量%
(酢酸ビニル含有量:28重量%、メルトフローレート:40g/分)
炭酸カルシウム:6重量%
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):15重量%
ピラゾロンオレンジ:10重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、直径8.0mmの橙色固形描画材を得た。
上記実施例6の保護シート30を、接着剤を含めた厚さ100μm、横138mm、縦120mmの上質紙製の保護シートに置き換えたこと以外は、上記実施例6と同様の製法で直径8.0mm、長さ120mmの固形描画具を得た。
上記実施例6と同様の配合組成物をディスパーにて加熱混合し、分散させた後に2本ロールで混練した後、加熱溶融させ、所定の型に流し込み、直径7.8mm、長さ120mmの赤色の固形描画材を得た。これに、厚さ80μm、横28mm、縦120mmのポリプロピレン合成紙製の保護シートを巻き回し、合わせ部を接着剤で貼り合わせ、直径8.0mm、長さ120mmの固形描画具を得た。
上記比較例7の保護シートを、厚さ80μm、横28mm、縦120mmのアート紙製の保護シートに置き換えたこと以外は、上記比較例7と同様の製法で直径8.0mm、長さ120mmの固形描画具を得た。
ウルシロウ(融点52℃):15重量%
フィッシャー・トロプシュワックス(融点110℃):21重量%
モンタンワックス:12重量%
低密度ポリエチレン(住友化学):21重量%
カオリン:6重量%
SX866(a)(中空架橋スチレンアクリル樹脂粒子、JSR社製、粉末):15重量%
ジスアゾイエローAAA:2重量%
フタロシアニングリーン:8重量%
上記配合組成物をディスパーにて加熱混合させ、分散させた後に加熱溶融したまま、所定の型に流し込み、直径8.0mmの緑色の固形描画材を得た。
上記実施例6と同様の固形描画材の外周面に接着剤を塗布し、外径8.0mm、内径7.1の木軸に装填し、直径8.0mm、長さ120mmの固形描画具を得た。
上記実施例1〜5及び比較例1〜6の固形描画材について、強度、紙、PETフィルム、ガラス、ホワイトボードに描画する際の着色性及び消去性について、評価、確認した。
各固形描画材について、23℃の温度下、支点間40mmで3点曲げ強度測定し、折損した際の荷重(単位:N)を求めた。
実施例1並びに比較例1〜3に係る固形描画材はカッターナイフで先端を切削して尖らせた。実施例2〜5及び比較例4〜6に係る固形描画材は小型ミニシャープナーで先端を切削して尖らせた。これらのそれぞれを用いて、コピー用紙、PETフィルム、ガラス坂、ホワイトボード(WB)に描画し、その時の着色性をA〜Eの5段階で評価した。評価基準は以下のとおりとした。
A″:描線が濃すぎ、下地の文様や文字が全く見えなかった。
A′:描線が濃すぎ、下地の文様や文字が見えにくかった。
A:描線が濃く、はっきり見えるが、下地の文様や文字もよく判別できる程度であった。
B:描線が薄すぎてマーキングが見え辛かったが、下地の文様や文字もよく判別できる程度であった。
C:描線が薄すぎてマーキングが見え辛く、マーキングの有無が分からない。
D:描線はかなり掠れており、注意しないと見えない。
E:描線はほとんど見えない、若しくは描けない。
上記(2−2)でコピー用紙に描いた描線の上に光透過率50%のPETフィルムを被せ、RICOH社製 imagio MP C6001の白黒コピーの標準状態でコピーを行い、その時の消去性をA〜Eの5段階で評価した。評価基準は下記のとおりとした。
A:下地の文字は完全に消え全く判別できなかった。
B:下地の文字は一部見えるが判別できなかった。
C:下地の文字は薄く見え注意深い観察により判別可能である。
D:下地の文字はやや薄く見え普通に判別できる。
E:下地の文字は普通に見え問題なく判別できる。
上記(2−2)でPETフィルム、ガラス坂、ホワイトボードに描いた描線をティッシュペーパーで擦り、その時の消去性をA〜Eの5段階で評価した。評価基準は下記のとおりとした。
A:良く消えて全く跡が残らない。
B:消えるが少し跡が残る。
C:描線の形が消えずに残る。
D:ほとんど消えない。
E:全く消えない(ただし、上記(2−2)の評価がD又はEであった場合はこの評価とした)。
上記実施例1〜5及び比較例1〜6を用いた上記各評価方法についての評価結果を、下記表1に示す。
まず、比較例1はハゼロウのみでロジン等が配合されていないため、描画時に先端が折れやすかった。また、軟らかい割りに平滑面に対して滑ってしまい、下地の文様や文字が見える程度に描画できない結果となった。
比較例2は、オイル量が多いため、描画時に先端が折れやすかった。また、平滑面に描いた描線を擦って消す際、描線を引き伸ばして消えにくかった。
比較例3〜5は強度も強く、紙に描画する場合はほとんど問題なかったが、平滑面に描画する場合、滑って描画ができない、という結果となった。
上記実施例6〜10及び比較例6〜11の固形描画具について、強度及び鉛筆削り器による切削性について評価した。
各固形描画材について、23℃又は40℃の温度下、支点間60mmで3点曲げ強度測定し、折損した際の荷重(単位:N)を求めた。
モニター5名に、三菱鉛筆製ミニ鉛筆削り器(商品名:ポケットシャープナーDPS−101 PLT)を用いて常温・常湿(23℃、50%)の環境下及び高温・高湿(35℃、80%)の環境下にて先端が尖るように(図4参照)切削させたうえで、その切削性を下記の1〜5点の5段階で官能評価させ、その平均点を求めた。
1:著しく悪い。
2:悪い。
3:良くも悪くもない。
4:良い。
5:著しく良い。
各実施例及び比較例を用いた上記評価方法についての評価結果を、下記表2に示す。
比較例6で保護シートとして使用した上質紙は、堅く吸湿しやすいため、これを巻き回した比較例6では、固形描画材を同じくする実施例1に比べ、明らかに切削性が劣ることとなった。特に高温・高湿の条件下では、保護シートが破れるという結果となった。
比較例7及び8は、保護シートの巻き回しが1周のため弱くて折れやすく、固形描画具としては強度不足であった。また、保護シートの接着材は重ね合わせる部位のみに塗布されていたため、保護シートが固形描画材から剥れやすかった。このことによって、固形描画材を同じくする実施例6に比べ、明らかに切削性が劣ることとなった。
比較例9は切削性については問題なかったが、強度が著しく弱く、折れやすいため実用には適さないと思われる。
比較例10は、同じ固形描画材を使用した実施例6よりも木軸を備える分だけ堅牢で強度は強かった。しかし、木軸の厚さが0.1mmと薄かったため、固形描画材との接着強度が弱く、特に高湿条件下では軸が割れてしまい、実施例6に比べ切削性の評価が著しく低下することとなった。
Claims (12)
- 少なくとも樹脂成分、ワックス成分、色材及び中空樹脂粒子を含有する固形描画材において、
前記樹脂成分として、ロジン及びロジン変成物のうち少なくとも一方を0.5重量%以上20重量%以下の範囲で含有し、
前記ワックス成分として、融点45℃以上のグリセリン脂肪酸エステル及びペンタエリスリトール脂肪酸エステルのうちの少なくとも一方を8重量%以上50重量%以下の範囲で含むことを特徴とする固形描画材。 - 前記樹脂成分と前記ワックス成分との比率が2:1〜1:25の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の固形描画材。
- 前記中空樹脂粒子を5重量%以上含むことを特徴とする請求項1記載の固形描画材。
- 前記樹脂成分、ワックス成分、顔料、中空樹脂粒子の他に融点が40℃以下の成分を4.5重量%以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1記載の固形描画材。
- 前記樹脂成分以外の追加樹脂成分としてポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体のうちの少なくとも一方を20重量%以下の範囲で含有するとともに、
前記ワックス成分以外の追加ワックス成分として融点45℃以上のパラフィンワックス、オゾケライト、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックスから成る群から選ばれる1種又は2種以上の混合物を30重量%以下の範囲で含むことを特徴とする請求項1記載の固形描画材。 - 前記ポリエチレンは低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンから成る群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であり、
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体は酢酸ビニル含有量が30重量%以下、かつ、メルトフローレートが2g/分以上であることを特徴とする請求項5記載の固形描画材。 - 前記追加樹脂成分と、前記追加ワックス成分との比率が3:1〜1:20の範囲にあることを特徴とする請求項5又は6記載の固形描画材。
- 前記色材として蛍光顔料又は蛍光染料を含むことを特徴とする請求項1記載の固形描画材。
- 請求項1記載の固形描画材と、
該固形描画材の外周面に2周以上巻き回される保護シートとを備え、
該固形描画材は該保護シートごと鉛筆削り器で切削可能であることを特徴とする固形描画具。 - 前記保護シートは、表面加工紙又は合成紙で形成されていることを特徴とする請求項9記載の固形描画具。
- 前記保護シートは、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又は二軸延伸ポリプロピレンにより形成されていることを特徴とする請求項9記載の固形描画具。
- 前記保護シートの内面側の一部又は全部に接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項9、10又は11記載の固形描画具。
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