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JP2013139372A - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながらも、可視光に対する透明性が高い光学ガラスを、より安価に提供する。
【解決手段】光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でB成分を5.0%〜40.0%、La成分を10.0%〜40.0%、ZnO成分を10.0%〜40.0%含有し、1.75以上の屈折率(n)を有し、30以上40以下のアッベ数(ν)を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、プリフォーム及び光学素子に関する。
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器や、プロジェクタやプロジェクションテレビ等の画像再生(投影)機器等の各種光学機器の分野では、光学系で用いられるレンズやプリズム等の光学素子の枚数を削減し、光学系全体を軽量化及び小型化する要求が強まっている。
光学素子を作製する光学ガラスの中でも特に、光学系全体の軽量化及び小型化を図ることが可能な、1.75以上の屈折率(n)を有し、30以上40以下のアッベ数(ν)を有する高屈折率低分散ガラスの需要が非常に高まっている。このような高屈折率低分散ガラスとしては、特許文献1〜3に代表されるようなガラス組成物が知られている。
特開昭48−059116号公報 特開昭52−103412号公報 特開2004−161506号公報
光学ガラスの材料コストを低減するために、光学ガラスの原料はなるべく安価であることが望まれる。ところが、特許文献1〜3に記載されたガラス組成物は、原料が高価な成分であるTa成分やNb成分、並びに、Gd成分やYb成分等の希土類成分を多量に含んでいるため、こうした要求に十分応えるものとは言い難い。
これらの高価な成分の代わりに、TiO2成分のような比較的安価な高屈折率成分を多く含有させて、所望の屈折率等の光学特性を得ることも考えられる。しかし、このような安価な高屈折率成分を多く含有するガラスは着色していることが多く、可視光を透過させるレンズやプリズム等の光学素子の用途に用いるには好適でない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、可視光を透過させる光学素子に好適な光学ガラスを、より安価に得ることにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、B成分及びLa成分を含有するガラスに対して、ZnO成分を10.0%以上含有することにより、比較的安価なZnO成分によってガラスの材料コストが低減されながらも、所望の屈折率及びアッベ数が維持され、且つガラスの着色が低減されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でB成分を5.0〜40.0%、La成分を10.0〜40.0%及びZnO成分を10.0〜40.0%含有し、1.75以上の屈折率(n)を有し、30以上40以下のアッベ数(ν)を有する光学ガラス。
(2) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
Gd成分 0〜5.0%
成分 0〜5.0%
Yb成分 0〜5.0%
Lu成分 0〜5.0%
Ta成分 0〜15.0%
である(1)記載の光学ガラス。
(3) 酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量和(Gd+Y+Yb+Lu+Ta)が15.0%以下である(1)又は(2)に記載の光学ガラス。
(4) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、Nb成分の含有量が20.0%以下である(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラス。
(5) 酸化物換算組成のガラス全質量に対するLn成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)の質量和が10.0%以上40.0%以下である(1)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
(6) 酸化物換算組成の質量比ZnO/(Ln+Ta+Nb)が0.31以上である(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
(7) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
TiO成分 0〜20.0%
WO成分 0〜25.0%
である(1)から(6)のいずれか記載の光学ガラス。
(8) 酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量和(TiO+Nb+WO)が20.0%以下である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
(9) 酸化物換算組成の質量比TiO/(TiO+Nb+WO)が0.50以下である(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
(10) 酸化物換算組成の質量比(TiO+Nb+WO)/Lnが0.16以上である(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
(11) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、SiO成分の含有量が15.0%以下である(1)から(10)のいずれか記載の光学ガラス。
(12) 酸化物換算組成の質量比SiO/Bが1.00未満である(1)から(11)のいずれか記載の光学ガラス。
(13) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、LiO成分の含有量が5.0%以下である(1)から(12)のいずれか記載の光学ガラス。
(14) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
MgO成分 0〜10.0%
CaO成分 0〜10.0%
SrO成分 0〜10.0%
BaO成分 0〜10.0%
である(1)から(13)のいずれか記載の光学ガラス。
(15) 酸化物換算組成のガラス全質量に対するRO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が15.0%未満である(1)から(14)のいずれか記載の光学ガラス。
(16) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
NaO成分 0〜5.0%
O成分 0〜5.0%
CsO成分 0〜5.0%
である(1)から(15)のいずれか記載の光学ガラス。
(17) 酸化物換算組成のガラス全質量に対するRnO成分(式中、RnはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上)の質量和が10.0%以下である(1)から(16)のいずれか記載の光学ガラス。
(18) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
成分 0〜10.0%
GeO成分 0〜10.0%
Bi成分 0〜10.0%
ZrO成分 0〜15.0%
Al成分 0〜5.0%
Ga成分 0〜5.0%
TeO成分 0〜15.0%
SnO成分 0〜1.0%
Sb成分 0〜1.0%
である(1)から(17)のいずれか記載の光学ガラス。
(19) (1)から(18)のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
(20) (1)から(18)のいずれか記載の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォーム。
(21) (20)に記載の精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形してなる光学素子。
(22) (1)から(18)のいずれか記載の光学ガラスを軟化させ、金型内でプレス成形を行うガラス成形体の製造方法。
本発明によれば、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、可視光を透過させる光学素子に好適な光学ガラスを、より安価に得ることができる。
本発明の光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でB成分を5.0〜40.0%、La成分を10.0〜40.0%及びZnO成分を10.0〜40.0%含有し、1.75以上の屈折率(n)を有し、30以上40以下のアッベ数(ν)を有する。B成分及びLa成分を含有するガラスに対して、ZnO成分を10.0%以上含有することにより、比較的安価なZnO成分によってガラスの材料コストが低減されながらも、所望の屈折率及びアッベ数が維持され、且つガラスの着色が低減されて可視光透過率が高められる。それとともに、B成分及びLa成分をベースとすることにより、1.75以上の屈折率(n)及び30以上のアッベ数(ν)を有しながらも、より着色が少なく可視光透過率の高いガラスが得易くなる。屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、可視光を透過させる光学素子に好適な光学ガラスを、より安価に得ることができる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中で特に断りがない場合、各成分の含有量は、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
成分は、ガラス形成成分であり、本発明の光学ガラスに必須の成分である。
特に、B成分を5.0%以上含有することで、安定なガラスの形成を促して失透を低減し、且つガラスの熱的安定性を高めることができる。従って、B成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは6.0%、さらに好ましくは7.0%、さらに好ましくは9.0%を下限とする。なお、B成分の含有量は、15.0%以上にしてもよく、17.0%超にしてもよい。
一方、B成分の含有量を40.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑え、且つ化学的耐久性の悪化を抑えることができる。従って、B成分の含有量は、好ましくは40.0%、より好ましくは30.0%、さらに好ましくは25.0%を上限とする。
成分は、原料としてHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いることができる。
La成分は、10.0%以上含有することで、ガラスの屈折率及びアッベ数を高める成分である。また、希土類元素の中では比較的安価であり、ガラスの材料コストの上昇を抑えるのに有効な成分である。そのため、La成分は、本発明の光学ガラスに含めるべき成分である。従って、La成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは15.0%を下限とし、さらに好ましくは17.0%超とし、さらに好ましくは20.0%を下限とし、さらに好ましくは25.0%超とする。
一方、La成分の含有量を40.0%以下にすることで、ガラスの失透を低減できる。従って、La成分の含有量は、好ましくは40.0%、より好ましくは38.0%、さらに好ましくは36.0%を上限とする。
La成分は、原料としてLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)等を用いることができる。
ZnO成分は、本発明の屈折率及びアッベ数の範囲では、10.0%以上含有しても屈折率及びアッベ数への影響が小さい成分である。そのため、本願発明者らは、ZnO成分を10.0%以上含有することで、所望の屈折率及びアッベ数を維持しながらもガラスの材料コストを低減でき、且つガラスの失透を低減できることを見出した。すなわち、ZnO成分は、本発明の光学ガラスに含めるべき成分である。加えて、ZnO成分は、ガラスの溶融性を向上してガラスの製造コストも下げる成分である。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは10.0%を下限とし、より好ましくは15.0%超、さらに好ましくは16.5%を下限とし、さらに好ましくは20.0%超とする。
一方で、ZnO成分の含有量を40.0%以下にすることで、ZnO成分の過剰な含有による失透を抑えることができる。また、溶融ガラスの粘性の低下が抑えられることで、ガラスへの脈理の発生を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは40.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは32.0%を上限とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF等を用いることができる。
Gd成分、Y成分、Yb及びLu成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率及びアッベ数を高め、且つ失透を低減する任意成分である。
一方で、これら成分の各々の含有量を5.0%以下にすることで、これら高価な成分の使用が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。また、これら成分の過剰な含有によるガラスのアッベ数の必要以上の上昇や、失透を抑えることができる。従って、これら成分の各々の含有量は、好ましくは5.0%を上限とし、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.6%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.3%未満とする。
Gd成分、Y成分、Yb及びLu成分は、原料としてGd、GdF、Y、YF、Yb、Lu等を用いてガラス内に含有できる。
Ta成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、且つ失透を低減する任意成分である。
一方で、Ta成分の含有量を15.0%以下にすることで、高価なTa成分の使用が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。また、Ta成分の使用の低減により、原料の溶解温度が低くなり、原料の溶解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストをも低減できる。従って、Ta成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とし、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Ta成分は、原料としてTa等を用いてガラス内に含有できる。
本発明の光学ガラスにおける、Gd成分、Y成分、Yb成分、Lu成分及びTa成分の合計量は、15.0%以下であることが好ましい。これにより、所望の屈折率及びアッベ数を維持しながらも、これらの高価な成分の使用が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。従って、質量和(Gd+Y+Yb+Lu+Ta)は、好ましくは15.0%を上限とし、より好ましくは7.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満とする。
Nb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、失透を低減し、且つアッベ数を低く調整できる任意成分である。そのため、Nb成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超としてもよい。
一方で、Nb成分の含有量を20.0%以下にすることで、高価なNb成分の使用が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。また、ガラス製造時の溶解温度の上昇が抑えられるため、ガラスの製造コストも低減できる。また、Nb成分によるガラスの可視光透過率の低下を抑えられる。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とする。
Nb成分は、原料としてNb等を用いることができる。
本発明の光学ガラスにおける、Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)の合計量は、10.0%以上40.0%以下であることが好ましい。
特に、この合計量を10.0%以上にすることで、ガラスのアッベ数を高めることができる。従って、Ln成分の合計量(質量和)は、好ましくは10.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは25.0%を下限とする。
一方、この合計量を40.0%以下にすることで、ガラスの失透を低減しながらも、高価な希土類の使用が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。従って、Ln成分の質量和は、好ましくは40.0%、より好ましくは38.0%、さらに好ましくは35.0%を上限とする。
本発明の光学ガラスは、ZnO成分の含有量に対する、Ln成分、Ta成分及びNb成分の合計量の比率が0.31以上であることが好ましい。これにより、材料コストが安く、且つ屈折率やアッベ数への影響を与え難いZnO成分の含有量が増加することで、所望の屈折率及びアッベ数を有するガラスの材料コストを低減できる。従って、酸化物換算組成の質量比ZnO/(Ln+Ta+Nb)は、好ましくは0.31、より好ましくは0.35、さらに好ましくは0.38を下限とする。
なお、この質量比の上限は特に限定されないが、好ましくは2.00、より好ましくは1.50、さらに好ましくは1.00であってもよい。
TiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高くでき、且つアッベ数を低く調整できる任意成分である。そのため、TiO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超としてもよい。
一方で、TiO成分の含有量を20.0%以下にすることで、TiO成分が結晶核になることによるガラスの失透を抑制し、アッベ数の必要以上の低下を抑え、且つTiO成分の含有によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高めることができる。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは6.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは4.2%を上限とし、さらに好ましくは3.94%未満とする。
TiO成分は、原料としてTiO等を用いてガラス内に含有できる。
WO成分は、0%超含有する場合に、他の高屈折率成分によるガラスの着色を低減しながら屈折率を高め、アッベ数を低く調整し、且つガラスの失透を低減できる任意成分である。従って、WO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超としてもよい。
一方で、WO成分の含有量を25.0%以下にすることで、WO成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高めることができる。従って、WO成分の含有量は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは13.0%を上限とし、さらに好ましくは10.65%未満、さらに好ましくは9.0%未満とする。
WO成分は、原料としてWO等を用いてガラス内に含有できる。
本発明の光学ガラスにおける、TiO成分、WO成分及びNb成分の合計量は、20.0%以下が好ましい。これにより、これら成分の過剰な含有による、ガラスの可視光透過率の低下や失透を抑えることができる。従って、質量和(TiO+Nb+WO)は、好ましくは20.0%、より好ましくは17.5%、さらに好ましくは16.0%を上限とする。
なお、質量和(TiO+Nb+WO)の下限は、0%であってもよいが、0%超であることが好ましい。質量和(TiO+Nb+WO)を0%超含有する場合、ガラスの材料コストを低減するためにTa成分や希土類の含有量を低減しても、ガラスの屈折率及び分散を高めることができるため、40以下のアッベ数を確保し易くできる。また、これによりガラスの失透を低減できる。従って、質量和(TiO+Nb+WO)は、好ましくは0%超、より好ましくは5.0%超、さらに好ましくは10.0%超とする。
本発明の光学ガラスにおける、TiO成分、Nb成分及びWO成分の合計量に対するTiO成分の含有量の比率は、0.50以下が好ましい。これにより、透過率を悪化させるTiO成分を含有していても、着色を低減して可視光透過率を高めることができる。従って、酸化物換算組成の質量比TiO/(TiO+Nb+WO)は、好ましくは0.50、より好ましくは0.48、さらに好ましくは0.45を上限とする。
本発明の光学ガラスにおける、Ln成分の含有量に対するTiO成分、Nb成分及びWO成分の合計量の比率は、0.16以上が好ましい。これにより、屈折率を高める成分の中でもアッベ数を低くするTiO成分、Nb成分及びWO成分の比率が高められるため、ガラスの屈折率を高めながらもアッベ数を低くできる。従って、酸化物換算組成の質量比(TiO+Nb+WO)/Lnは、好ましくは0.16、より好ましくは0.20、さらに好ましくは0.25を下限とする。なお、この質量比の上限は特に限定されないが、好ましくは2.00、より好ましくは1.50、さらに好ましくは1.00であってもよい。
SiO成分は、0%超含有する場合に、溶融ガラスの粘度を高められ、且つガラスの失透を低減できる任意成分である。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは1.0%超、より好ましくは2.0%超、さらに好ましくは4.0%超としてもよい。特に、SiO成分を含有し且つLiO成分の含有量を低減することで、ガラスの耐失透性を高めることができる。
一方で、SiO成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラス転移点の上昇を抑え、且つ屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%を上限とする。
SiO成分は、原料としてSiO、KSiF、NaSiF等を用いてガラス内に含有できる。
本発明の光学ガラスにおける、B成分の含有量に対するSiO成分の含有量の比率は、1.00未満が好ましい。これにより、SiO成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。従って、酸化物換算組成の質量比SiO/Bは、好ましくは1.00未満、より好ましくは0.90未満、さらに好ましくは0.80未満とする。なお、この質量比SiO/Bは、SiO成分の含有によってガラスの失透を低減できる観点では、好ましくは0.05、より好ましくは0.10、さらに好ましくは0.20を下限としてもよい。
LiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの溶融性を改善し、且つガラスを再加熱したときの失透を低減できる任意成分である。
一方で、LiO成分の含有量を5.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つLiO成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。特に、LiO成分を含むガラスは、屈折率が低くなり易く、アッベ数が高くなり易い。そのため、LiO成分を含むガラスでは、屈折率を高め且つアッベ数を低くするため、ガラス転移点を高める性質があり且つ材料コストが高い成分である、Nb成分をはじめとする高屈折率成分(屈折率を高める成分)を多く含んでいる。本願発明の光学ガラスでは、このような高屈折率成分の含有量を少なくしてプレス成形に耐えうるガラス転移点を有しながらも、所望の屈折率及びアッベ数を有するガラスを得るため、LiO成分の含有量を低減することが好ましい。従って、LiO成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とし、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.35%未満、さらに好ましくは0.3%未満とする。
LiO成分は、原料としてLiCO、LiNO、LiF等を用いることができる。
MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を調整し、ガラスの溶融性を高め、且つ失透を低減できる任意成分である。
一方で、これら成分の各々の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の必要以上の低下や、失透を抑えることができる。従って、MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分の各々の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは7.5%を上限とし、さらに好ましくは3.5%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、原料としてMgCO、MgF、CaCO、CaF、Sr(NO、SrF、BaCO、Ba(NO、BaF等を用いることができる。
本発明の光学ガラスでは、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の合計量は15.0%未満が好ましい。これにより、RO成分の過剰な含有による、ガラスの屈折率の低下や、液相温度の上昇を抑えることができる。従って、RO成分の合計量(質量和)は、好ましくは15.0%未満、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは7.0%未満とする。
NaO成分、KO成分及びCsO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの溶融性を改善し、且つガラスを再加熱したときの失透を低減できる任意成分である。
一方で、これら成分の各々の含有量を5.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つこれら成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、NaO成分、KO成分及びCsO成分の各々の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。
NaO成分、KO成分及びCsO成分は、原料としてNaNO、NaF、NaSiF、KCO、KNO、KF、KHF、KSiF、CsCO、CsNO等を用いることができる。
本発明の光学ガラスでは、RnO成分(式中、RnはLi、Na、K及びCsからなる群より選択される1種以上)の合計量は10.0%以下が好ましい。これにより、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つRnO成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、RnO成分の合計量(質量和)は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を下げて失透を低減できる任意成分である。
一方で、P成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性の低下を抑えられる。従って、P成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
成分は、原料としてAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO等を用いることができる。
GeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、ガラスの液相温度を下げられる任意成分である。
一方で、高価なGeO成分を低減することで、本発明におけるガラスの材料コストを低減できる効果を高められる。従って、GeO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。
GeO成分は、原料としてGeO等を用いることができる。
Bi成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高め、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。
一方で、Bi成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの失透を低減し且つガラスの着色を低減することで、ガラスの可視光透過率を高めることができる。従って、Bi成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Bi成分は、原料としてBi等を用いることができる。
ZrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの高屈折率及び低分散に寄与でき、且つガラスの失透を低減できる任意成分である。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは0%超としてもよく、より好ましくは0.1%、さらに好ましくは0.5%、さらに好ましくは1.0%を下限としてもよい。
一方で、ZrO成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラス製造時の溶解温度の上昇を抑えることでガラスの製造コストの上昇を抑えられる。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
ZrO成分は、原料としてZrO、ZrF等を用いることができる。
Al成分及びGa成分は、0%超含有する場合に、ガラスの化学的耐久性を高められ、且つガラス溶融時の失透を低減できる任意成分である。
一方で、Al成分及びGa成分の各々の含有量を5.0%以下にすることで、これら成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減することができる。また、高価なGa成分を低減することで、ガラスの材料コストを低減できる。従って、Al成分及びGa成分の各々の含有量は、好ましくは5.0%を上限とし、より好ましくは3.0%未満とし、さらに好ましくは1.0%を上限とする。
Al成分及びGa成分は、原料としてAl、Al(OH)、AlF、Ga、Ga(OH)等を用いることができる。
TeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つガラス転移点を低くできる任意成分である。
一方で、TeO成分の含有量を15.0%以下にすることで、TeO成分と溶解設備(特にPt等の貴金属)との合金化が低減されるため、溶解設備の長寿命化を図ることができる。また、高価なTeO成分を低減することで、ガラスの材料コストを低減できる。従って、TeO成分の含有量は、好ましくは15.0%を上限とし、より好ましくは11.9%未満、さらに好ましくは7.0%未満とする。
TeO成分は、原料としてTeO等を用いることができる。
SnO成分は、0%超含有する場合に、溶融ガラスを清澄でき、且つガラスの可視光透過率を高められる任意成分である。
一方で、SnO成分の含有量を1.0%以下にすることで、溶融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を生じ難くすることができる。また、SnO成分と溶解設備(特にPt等の貴金属)との合金化が低減されるため、溶解設備の長寿命化を図ることができる。従って、SnO成分の含有量は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.5%、さらに好ましくは0.3%を上限とする。
SnO成分は、原料としてSnO、SnO、SnF、SnF等を用いることができる。
CeO2成分は、0%超含有する場合に、溶融ガラスを清澄化できる任意成分である。
一方で、CeO2成分の含有量を1.0%以下にすることで、着色による可視光透過率の低下を抑制できる。従って、CeO2成分の含有率は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.5%、さらに好ましくは0.3%を上限とする。
CeO2成分は、原料としてCeO2、Ce(OH)3等を用いることができる。
Sb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの可視光透過率を高め、且つガラスを溶融する際に脱泡できる任意成分である。
一方で、Sb成分の含有量を1.0%以下にすることで、ガラス溶融時における過度の発泡を抑えられる。また、Sb成分が溶解設備(特にPt等の貴金属)と合金化し難くなることで、溶解設備の長寿命化を図れる。また、Sb成分の含有量が多すぎると、ガラスの可視光透過率がかえって低くなる。従って、Sb成分の含有量は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.5%を上限とし、さらに好ましくは0.1%未満とする。
Sb成分は、原料としてSb、Sb、NaSb・5HO等を用いることができる。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤、脱泡剤或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
他の成分を、本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
さらに、PbO等の鉛化合物、及び、Th、Cd、Tl、Os、Be、Seの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、光学ガラスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、この光学ガラスを製造し、加工し、及び廃棄できる。
本発明における各成分の含有量の範囲は、酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表されているため直接的にモル%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各成分のモル%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
成分 5.0〜70.0モル%、
La成分 3.0〜20.0モル%及び
ZnO成分 15.0〜60.0モル%
並びに
Gd成分 0〜3.0モル%、
成分 0〜5.0モル%、
Yb成分 0〜3.0モル%、
Lu成分 0〜3.0モル%、
Ta成分 0〜7.0モル%、
Nb成分 0〜20.0モル%、
TiO成分 0〜40.0モル%、
WO成分 0〜25.0モル%、
SiO成分 0〜30.0モル%、
LiO成分 0〜30.0モル%、
MgO成分 0〜50.0モル%、
CaO成分 0〜40.0モル%、
SrO成分 0〜30.0モル%、
BaO成分 0〜35.0モル%、
NaO成分 0〜25.0モル%、
O成分 0〜20.0モル%、
CsO成分 0〜10.0モル%、
成分 0〜15.0モル%、
GeO成分 0〜10.0モル%、
Bi成分 0〜5.0モル%、
ZrO成分 0〜18.0モル%、
Al成分 0〜15.0モル%、
Ga成分 0〜5.0モル%、
TeO成分 0〜25.0モル%、
SnO成分 0〜0.3モル%又は
Sb成分 0〜1.0モル%
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で1200〜1400℃の温度範囲で3〜4時間熔融し、攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
[物性]
本発明の光学ガラスは、高屈折率及び高アッベ数(低分散)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.75、より好ましくは1.78、さらに好ましくは1.80を下限とする。この屈折率の上限は、好ましくは2.20、より好ましくは2.10、さらに好ましくは2.00であってもよい。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは30、より好ましくは32、さらに好ましくは35を下限とし、好ましくは40、より好ましくは39.8、さらに好ましくは39.5を上限とする。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズであっても光の波長による焦点のずれ(色収差)が小さくなる。加えて、このような低分散を有することで、例えば高分散(低いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせた場合に、高い結像特性等を図ることができる。
従って、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
本発明の光学ガラスは、可視光透過率、特に可視光のうち短波長側の光の透過率が高く、それにより着色が少ないことが好ましい。特に、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ)は、好ましくは400nm、より好ましくは380nm、さらに好ましくは360nmを上限としてもよい。また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す最も短い波長(λ80)は、好ましくは500nm、より好ましくは490nm、さらに好ましくは480nmを上限としてもよい。これらにより、ガラスの吸収端が可視領域から外れ、より幅広い可視域の波長の光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスをレンズ等の可視光を透過させる光学素子に好適に用いることができる。
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスから形成されたゴブやガラスブロックに対して研削及び研磨を行って光学素子の形状を得る方法、光学ガラスから形成されたゴブやガラスブロックを再加熱して成形(リヒートプレス成形)して得られたガラス成形体を研削及び研磨する方法、及び、ゴブやガラスブロックを切断して研磨したプリフォーム材、若しくは公知の浮上成形等により成形されたプリフォーム材を超精密加工された金型で成形(精密プレス成形)して光学素子の形状を得る方法により、ガラス成形体を作製することができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このようにして作製されるガラス成形体は、様々な光学素子及び光学設計に有用である。特に、本発明の光学ガラスから、精密プレス成形等の手段を用いて、レンズやプリズム、ミラー等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、カメラやプロジェクタ等のような光学素子に可視光を透過させる光学機器に用いたときに、高精細で高精度な結像特性等を実現しつつ、これら光学機器における光学系の小型化を図ることができる。
本発明の実施例(No.1〜No.72)及び比較例(No.A)の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、並びに分光透過率が5%及び80%を示す波長(λ及びλ80)の結果を表1〜表10に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
これら実施例及び比較例のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表1〜表10に示した各実施例及び比較例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で1100〜1500℃の温度範囲で2〜5時間溶解した後、攪拌均質化して泡切れ等を行ってから金型に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。
ここで、実施例及び比較例のガラスの屈折率及びアッベ数は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01−2003に基づいて測定した。なお、本測定に用いたガラスとして、アニール条件を徐冷降下速度を−25℃/hrとして、徐冷炉で処理を行ったガラスを用いた。
また、実施例及び比較例のガラスの可視光透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、λ(透過率5%時の波長)及びλ80(透過率80%時の波長)を求めた。
Figure 2013139372
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本発明の実施例の光学ガラスは、λ80(透過率80%時の波長)がいずれも500nm以下、より詳細には450nm以下であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ(透過率5%時の波長)がいずれも400nm以下、より詳細には350nm以下であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、着色が少なく、可視光透過率が高いことが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.75以上、より詳細には1.80以上であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が30以上、より詳細には35以上であるとともに、このアッベ数(ν)は40以下、より詳細には39以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例(No.A)のガラスに比べてTa成分の含有量が少なく、且つZnO成分の含有量が多いため、材料コストが低減されている。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら安価に作製でき、且つ着色が少なく可視光透過率が高いことが明らかになった。そのため、本発明の実施例の光学ガラスは、可視光を透過させる用途に好適に用いられることが推察される。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、リヒートプレス成形を行った後で研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。また、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、精密プレス成形用プリフォームを形成し、精密プレス成形用プリフォームをレンズ及びプリズムの形状に精密プレス成形加工した。いずれの場合も、成形型との融着の問題や、加熱軟化後のガラスへの乳白化及び失透等の問題は生じず、安定に様々なレンズ及びプリズムの形状に加工することができた。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (22)

  1. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でB成分を5.0〜40.0%、La成分を10.0〜40.0%及びZnO成分を10.0〜40.0%含有し、1.75以上の屈折率(n)を有し、30以上40以下のアッベ数(ν)を有する光学ガラス。
  2. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    Gd成分 0〜5.0%
    成分 0〜5.0%
    Yb成分 0〜5.0%
    Lu成分 0〜5.0%
    Ta成分 0〜15.0%
    である請求項1記載の光学ガラス。
  3. 酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量和(Gd+Y+Yb+Lu+Ta)が15.0%以下である請求項1又は2に記載の光学ガラス。
  4. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、Nb成分の含有量が20.0%以下である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
  5. 酸化物換算組成のガラス全質量に対するLn成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)の質量和が10.0%以上40.0%以下である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。
  6. 酸化物換算組成の質量比ZnO/(Ln+Ta+Nb)が0.31以上である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
  7. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    TiO成分 0〜20.0%
    WO成分 0〜25.0%
    である請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。
  8. 酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量和(TiO+Nb+WO)が20.0%以下である請求項1から7のいずれか記載の光学ガラス。
  9. 酸化物換算組成の質量比TiO/(TiO+Nb+WO)が0.50以下である請求項1から8のいずれか記載の光学ガラス。
  10. 酸化物換算組成の質量比(TiO+Nb+WO)/Lnが0.16以上である請求項1から9のいずれか記載の光学ガラス。
  11. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、SiO成分の含有量が15.0%以下である請求項1から10のいずれか記載の光学ガラス。
  12. 酸化物換算組成の質量比SiO/Bが1.00未満である請求項1から11のいずれか記載の光学ガラス。
  13. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、LiO成分の含有量が5.0%以下である請求項1から12のいずれか記載の光学ガラス。
  14. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    MgO成分 0〜10.0%
    CaO成分 0〜10.0%
    SrO成分 0〜10.0%
    BaO成分 0〜10.0%
    である請求項1から13のいずれか記載の光学ガラス。
  15. 酸化物換算組成のガラス全質量に対するRO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が15.0%未満である請求項1から14のいずれか記載の光学ガラス。
  16. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    NaO成分 0〜5.0%
    O成分 0〜5.0%
    CsO成分 0〜5.0%
    である請求項1から15のいずれか記載の光学ガラス。
  17. 酸化物換算組成のガラス全質量に対するRnO成分(式中、RnはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上)の質量和が10.0%以下である請求項1から16のいずれか記載の光学ガラス。
  18. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    成分 0〜10.0%
    GeO成分 0〜10.0%
    Bi成分 0〜10.0%
    ZrO成分 0〜15.0%
    Al成分 0〜5.0%
    Ga成分 0〜5.0%
    TeO成分 0〜15.0%
    SnO成分 0〜1.0%
    Sb成分 0〜1.0%
    である請求項1から17のいずれか記載の光学ガラス。
  19. 請求項1から18のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
  20. 請求項1から18のいずれか記載の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォーム。
  21. 請求項20に記載の精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形してなる光学素子。
  22. 請求項1から18のいずれか記載の光学ガラスを軟化させ、金型内でプレス成形を行うガラス成形体の製造方法。
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