JP2013127467A - 磁気感受性が低い時計ムーブメント - Google Patents

Abstract

【課題】 外部磁界に対する感受性が低い強磁性体で作製されたヒゲゼンマイを含む時計ムーブメントを提案する。
【解決手段】 本発明は、バー（２）と地板（４）との間に装着されるバネつき（７）テンプ（５）発振子（３）を含み、ヒゲゼンマイ（７）は強磁性体から形成される時計ムーブメントに関する。本発明によれば、ヒゲゼンマイ（７）で所定の分極状態を維持し、外部磁場がない状態でヒゲゼンマイ（７）を完全またはほぼ完全に飽和磁化にするために、ヒゲゼンマイの面に磁場を形成する永久磁化手段を含むための、ヒゲゼンマイ用の磁気分極素子（１５）を含むことを特徴とする。本発明は時計の分野に関する。
【選択図】図１

Description

本発明は、磁気感受性が低い時計ムーブメントに関し、さらに具体的には、バネつきテンプ発振子を含む当該種類の時計ムーブメントに関する。

テンプ発振子の分野では、現在の鉄ニッケルまたは鉄コバルトによるヒゲゼンマイの補償合金の主な弱点は、磁場に対する感受性である。したがって、磁場がないと時刻合わせが完全に行われる腕時計は、外部磁界の影響に曝されると、数十秒進んだり、遅れたりすることがある。日常生活では磁気放射にますます曝されるようになる。

これらの欠点を克服するために、代替のヒゲゼンマイは、たとえばニオブを含む常磁性体、あるいは、たとえばシリコンを含む反磁性体によって開発されている。しかし、これらのヒゲゼンマイは、現在の鉄ニッケルまたは鉄コバルトによるヒゲゼンマイに比して開発するのがきわめて困難であり、製造するにも高価である。

本発明の目的は、外部磁界に対する感受性が低い強磁性体で作製されたヒゲゼンマイを含む時計ムーブメントを提案することによって上記の欠点の全部または一部を克服することである。

したがって、本発明は、バーと地板との間に装着されるバネつきテンプ発振子を含み、ヒゲゼンマイは強磁性体から形成される時計ムーブメントに関し、ヒゲゼンマイで所定の分極状態を維持することを目的とし、ムーブメントの外部に磁場がない状態でヒゲゼンマイをほぼ完全または完全に飽和磁化にするために、ヒゲゼンマイの面に磁場を形成する永久磁化手段を含むための、ヒゲゼンマイ用の磁気分極素子を含むことを特徴とする。

本発明によれば、時計が干渉磁場から離れると、ヒゲゼンマイは時刻合わせの際に使用したわずかに分極した状態に戻り、すなわち、外部磁界に曝される前と実質的に同じ周波数に戻ることがまさに有利である。このため、外部磁界は、ムーブメントの動作と、ムーブメントが外部磁界に曝されるほんの短時間にわずかな影響を及ぼすのみであることがわかる。

本発明の他の有利な特徴によれば、
永久磁化手段の磁力線はヒゲゼンマイのヒゲの軸の向きであり、
永久磁化手段は少なくとも１つの永久磁石および／または永久的に作動する電磁石を含み、
永久磁化手段はヒゲゼンマイの材料の保磁力の少なくとも３倍の磁場を発生させ、
永久磁化手段は少なくとも１ｍＴの磁場を発生させ、
磁気分極素子は時計ムーブメントのバー、ヒゲ持ちまたは地板などの固定部に固定され、
磁気分極素子は時計ムーブメントのテンプまたはヒゲゼンマイなどの可動部に固定される。

さらに、本発明は時計に関し、前述の変形例のいずれかによる時計ムーブメントを含むことを特徴とする。

他の特徴および利点は、図１を参照して非限定例を示す以下の記載から明らかとなる。

本発明による時計ムーブメントの部分図である。

図１は、本発明に従って、時計に装着することを目的とした時計ムーブメント１の部分図を示す。ムーブメント１は、ムーブメントを調整するためにテンプ５とヒゲゼンマイ７を含む発振子３を含むのが好ましい。発振子３は受け２と地板４との間に装着されるのが好ましい。

また、図１は、ムーブメント１がスイスアンクル１１を含む逃げシステム９と、ムーブメントの動きを配信するためのがんぎ車１３とを含むのが好ましいことを示している。逃げシステム９は、バー６およびバー８と地板４との間に装着されるのが好ましい。

本発明によれば、ヒゲゼンマイ７はＮｉｖａｒｏｘ ＣＴ（登録商標）、エリンバー、Ｎｉ−Ｓｐａｎ Ｃ（登録商標）またはコエリンバーなどの強磁性体から形成されることが有利である。したがって、ヒゲゼンマイ７は超強磁性であるが、本発明によるムーブメント１は、磁気感度がきわめて低いことが有利である。

本発明によれば、ムーブメント１は、外部磁界に曝した後にムーブメント１の変化を抑えるように、ヒゲゼンマイで所定の分極状態を維持するためのヒゲゼンマイ７用の磁気分極素子１５を含むことがまさに有利である。これは、磁気分極素子１５が、時計ムーブメント１の外部の磁場によって引き起こされるヒゲゼンマイの分極状態が変化することを防ぐための、ヒゲゼンマイ７の面に磁場を形成する永久磁化手段を含むという事実によって可能となる。

磁化手段の磁力線は、磁化を容易にするためにヒゲゼンマイ７のヒゲの軸の向きであるのが好ましい。さらに、磁化手段によって発生する磁場は、たとえば、ミューメタルの部品、すなわち、透磁率がきわめて高く、磁力線を導くことを可能にするものを使用することによって閉磁場となるのが好ましい。

したがって、ムーブメント１が設定されると、ヒゲゼンマイ７は、磁場が強くなり、すなわち、ほぼ完全または完全に飽和磁化にすることから、外部磁界に移動しても磁気特徴はほとんど変化しないか、あるいは変化しないことがわかる。このため、外部磁場が存在しない場合、ヒゲゼンマイ７の分極の状態は、磁化手段の存在によって再現される。したがって、磁化手段は、外部磁界が磁化手段の保磁力以下となるように選択されるのが好ましいことがわかる。

これにより、永久磁化手段は、少なくとも１つの永久磁石および／または少なくとも１つの永久的に作動する電磁石を含み、ヒゲゼンマイ７の材料の保磁力Ｈ_Cの少なくとも３倍、好ましくは４倍の磁場を発生させるものの、飽和磁化を超えないことが好ましい。したがって、上に引用した材料に対して、永久磁化手段は少なくとも１ｍＴの磁場を発生させることが好ましいことがわかる。

その結果、本発明による分極素子１５は、外部磁界に入ると、時計ムーブメント１の動作を安定した状態に維持しない。しかし、時計が外部磁場から再び離れると、ヒゲゼンマイ７は時刻合わせの際に使用したわずかに分極した状態に戻り、すなわち、外部磁界に曝される前と実質的に同じ周波数に戻る。このため、外部磁界は、ムーブメント１の動作と、ムーブメント１が外部磁界に曝されるほんの短時間にわずかな影響を及ぼすのみであることがわかる。

本発明によれば、磁気分極素子１５は時計ムーブメント１の固定部または可動部に固定される。したがって、磁気分極素子１５は、バーおよび／またはヒゲ持ちに、さらに／あるいは地板および／またはテンプ５および／またはヒゲゼンマイ７に同じように良好に固定してよい。さらに具体的には、図１に示すように、永久磁化手段１７は、たとえば、ヒゲゼンマイ７のヒゲ玉上または中に、さらに／あるいは、ヒゲゼンマイ７のヒゲ上または中に、さらに／あるいは、ヒゲゼンマイ７の終端曲線上たは中に移動させてもよい。

無論、本発明は例示する実施例に限定されず、当業者に明らかとなるさまざまな変形例および代替例にすることが可能である。特に、他の構成の磁気分極素子１５を想定してもよい。また、他の種類の永久磁化手段を選択することを想定することも可能である。

Claims (11)

1. バー（２）と地板（４）との間に装着されるテンプ（５）を有する発振子（３）が設けられ、ヒゲゼンマイ（７）は強磁性体から形成される時計ムーブメントであって、前記ヒゲゼンマイ（７）で所定の分極状態を維持し、外部磁場がない状態で前記ヒゲゼンマイ（７）を完全またはほぼ完全に飽和磁化にするために、前記ヒゲゼンマイの面に磁場を形成する永久磁化手段を含むための、前記ヒゲゼンマイ用の磁気分極素子（１５）を含むことを特徴とする時計ムーブメント（１）。
2. 前記永久磁化手段（１７）の磁力線は、前記ヒゲゼンマイ（７）のヒゲの軸の向きであることを特徴とする請求項１に記載の時計ムーブメント（１）。
3. 前記永久磁化手段（１７）は、少なくとも１つの永久磁石を含むことを特徴とする請求項１または２に記載の時計ムーブメント（１）。
4. 前記永久磁化手段（１７）は、少なくとも１つの永久的に作動する電磁石を含むことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の時計ムーブメント（１）。
5. 前記永久磁化手段（１７）は、前記ヒゲゼンマイ（７）の材料の保磁力の少なくとも３倍の磁場を発生させることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の時計ムーブメント（１）。
6. 前記永久磁化手段（１７）は、少なくとも１ｍＴの磁場を発生させることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項に記載の時計ムーブメント（１）。
7. 前記磁気分極素子（１５）は、前記時計ムーブメントの固定部に固定されることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１項に記載の時計ムーブメント（１）。
8. 前記磁気分極素子（１５）は、前記時計ムーブメント（１）の前記バー（２）、ヒゲ持ちまたは前記地板（４）に固定されることを特徴とする請求項７に記載の時計ムーブメント（１）。
9. 前記磁気分極素子（１５）は、前記時計ムーブメントの可動部に固定されることを特徴とする請求項１〜８のいずれか１項に記載の時計ムーブメント（１）。
10. 前記磁気分極素子（１５）は、前記テンプ（５）または前記ヒゲゼンマイ（７）に固定されることを特徴とする請求項９に記載の時計ムーブメント（１）。
11. 請求項１〜１０に記載の時計ムーブメント（１）を含むことを特徴とする時計。