JP2013124977A - トレッド厚さ測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水槽に貯留された液体に被検体であるタイヤのトレッド表面を浸す前に、当該トレッド表面に液体と同一の液体を噴霧する工程と、水槽の液体に浸されたトレッド表面に向けて超音波を発振し、反射波を受信してタイヤの最外に位置するベルトの深さを測定する工程とを備えるようにした。
【選択図】図5
Description
また、タイヤによっては、ベルト層のうち最外に位置するベルトにのみ繊維ベルトが適用される場合がある。このような場合には、渦電流センサでスチールコードにより形成されるベルト表面までの厚さを測定し、バフ掛けにおいてトレッドとともに繊維ベルトを除去し、新たに配設されるトレッドにバフ掛けにより除去した繊維ベルトに代わる新たな繊維ベルトを含ませておくことでリトレッドが行なわれている。しかし、貼着面に新たに配設されるトレッドの製造において、繊維ベルトを含めてトレッドを製造するとトレッド製造に係るコストが増加し、ひいてはリトレッドに係る製造コストまでも増加させてしまう。
しかしながら、タイヤを水に浸すと、タイヤ素材の物性と水の物性との関係からタイヤ表面には無数の気泡が付着してしまう。タイヤ表面の特にトレッド表面に気泡が付着した状態で超音波を発振しても気泡部分において超音波が伝播しないためベルトの位置を正確に測定することができない。
本態様によれば、水槽に貯留された液体にタイヤのトレッド表面が浸る前に、水槽に貯留された液体と同一の液体を噴霧してトレッド表面を湿らす(ぬらす)ことにより、トレッド表面が水槽の液体に入水するときに、トレッド表面に気泡が付着することを抑制することができる。よって、気泡が付着していない状態で液体に浸されたトレッド表面に向けて超音波を発振し、トレッド表面やベルト層のうち半径方向最外に位置する最外ベルト表面から反射された反射波を受信することで、精度良くタイヤ表面から最外ベルト表面までの厚さを測定することができる。
本態様によれば、ベルトの深さの測定前に、水槽内に貯留される液体を水流として浸されたトレッド表面に噴出することにより、トレッド表面に気泡が付着していても、付着した気泡を水流によって洗い流すことにより、気泡を確実に無くすことができるので、より精度良くトレッド厚さを測定することができる。
まず、本発明のトレッド厚さ測定装置1によりトレッド厚さDが測定されるタイヤTの構造について説明する。図1に示すように、被検体であるタイヤTは、例えば使用済みのタイヤであって、複数のベルト91乃至94により構成されるベルト層90をトレッド部に有する。ベルト層90は、タイヤ半径方向の内側に位置するベルト91乃至93と、タイヤ半径方向の最外に位置するベルト94とにより構成される。ベルト91乃至93がスチールコードにより形成されるスチールベルト、ベルト94が非金属の繊維コードによって形成された繊維ベルトである。本実施形態におけるトレッド厚さDは、トレッド表面Tsからベルト層90のうち最外に位置するベルト94のベルト表面94aまでの距離をいう。
トレッド厚さ測定装置1は、被検体であるタイヤTを昇降させるタイヤ昇降装置2と、タイヤTのトレッド厚さDの測定に使用する水槽31を昇降させる水槽昇降装置3と、被検体であるタイヤTを固定するタイヤ固定装置4とにより構成される。
タイヤ昇降装置2は、被検体であるタイヤTを搭載するタイヤ搭載部15と、当該タイヤ搭載部15に搭載されたタイヤTを昇降するタイヤ昇降機構16とを備える。
タイヤ昇降機構16は、一対のX字型リンク17と、X字型リンク17の交差角度を制御する油圧シリンダ18とを備える。X字型リンク17は、リンク動作をガイドする下側ガイド部材19及び上側ガイド部材20と、一対のリンク片21,22とにより構成される。下側ガイド部材19及び上側ガイド部材20は、断面I字状の部材によって構成される。下側ガイド部材19及び上側ガイド部材20は、それぞれ、一端側に円孔19A;20Aと、他端側から一端側に向けて延長する長孔19B;20Bとを有する。各リンク片21;22は、長尺な板状部材であって、延長方向の中心に中心孔21C、一端側に軸21A;22A、他端側に長孔19B;20Bに沿って回転可能な大きさの車輪21B;22Bとを備える。一対のリンク片21;22は、車輪21Bが同一方向に面するように重ね、互いの中心孔21Cを一致させて、ボルト等の軸部材23を貫通させることにより互いに回転可能に支持される。
また、上側ガイド部材20の円孔20Aに他方のリンク片22の軸22Aを嵌入させることで上側ガイド部材20に対して他方のリンク片22が回転可能に固定され、上側ガイド部材20の長孔20Bに一方のリンク片21の車輪21Bをはめることにより長孔20Bに沿って一方のリンク片21が移動可能に支持される。
タイヤ搭載部15は、一対の支持板27;27と、一対の支持板27;27により支持される一対のローラ28;28とにより構成される。
支持板27は、くの字状に形成された平板であって、延長方向がタイヤ搬入方向に沿って設けられる。支持板27は、くの字状に突出する頂部を搭載板25に向け、延長方向中央において搭載板25の支持部29;29にそれぞれ回転自在に取り付けられる。ローラ28は、一対の支持板27;27の間に挟まれ、支持板27;27の両端側において支持板27;27間を貫通する軸により回転自在に支持される。
具体的には、タイヤ搭載部15にタイヤTを搭載するときには、スライダ30をタイヤ搬入方向上流側に移動させることで、タイヤ搭載部15を傾斜させ、上流側に位置するローラ28を下向き、下流側に位置するローラ28を上向きに移動させる。そして、タイヤ搭載部15にタイヤTが搬入されると、スライダ30を搬入方向下流側に移動させてタイヤ搭載部15を水平にする。また、タイヤTを搬出するときには、スライダ30をタイヤ搬入方向上流側に移動させてタイヤ搭載部15をタイヤ搬入方向に傾斜させる。
タイヤ搭載部15が傾斜することにより、重量のあるタイヤTであっても、タイヤ搭載部15に容易にタイヤTを搬入出することができる。また、タイヤ搭載部15に搭載されたタイヤTをタイヤ昇降装置2が昇降させることにより、後述のタイヤ固定装置4のタイヤ固定位置まで作業者の力を必要とすることなく重量の軽いタイヤから重いタイヤまでを昇降させることができる。
水槽昇降装置3は、水槽31を昇降させる水槽昇降機構32を備える。なお、水槽昇降機構32の構成は、タイヤ昇降機構16と同一構成のため説明を省略する。水槽昇降機構32の搭載板33上には、水槽31が固定される。
水槽31は、液体34を貯留する空間と、液体34に浸されるトレッド表面Tsに付着する気泡を除去する気泡除去装置35と、貯留された液体34表面の波打ちによる気泡の発生を抑制する気泡発生抑制手段39とを備える。
水槽31は、上側が開口する箱型で、内部に液体34を貯留し、被検体であるタイヤTのトレッド表面Tsが液体34に浸る大きさの開口部31aを有する(図4参照)。水槽31に貯留される液体34には、例えば水を用いる。なお、液体34は、水に限らず超音波を伝播する媒体であれば良い。なお、水槽31の他の形状として、底部31B(図4参照)が三角形状や円弧形状であっても良い。つまり、タイヤの曲面に沿った形状で水槽31を形成することにより、水槽31内に貯留する液体34の水量を少なくすることができる。
ポンプ36は、水槽31内に貯留する液体34に水没した状態で使用される例えば水中ポンプであって、水槽31の底部31Bの底面に図外の固定手段により固定される。ポンプ36によって吸引された液体34は、噴霧ノズル37と噴流ノズル38とに送出される。
つまり、噴流ノズル38から吐出される水流を水槽31に浸された状態のトレッド表面Tsに噴出することにより、入水時にトレッド表面Tsに付着してしまった気泡を洗い流し、後工程において実施される超音波測定を正確に行うことが可能となる。
ポンプ36は、測定制御装置100と接続され、測定制御装置100から出力される信号に基づいて動作する。なお、噴霧ノズル37からの液体34の噴霧や噴流ノズル38からの水流の噴出は、ポンプ36の駆動により生じるものとして説明したが、噴霧ノズル37や噴流ノズル38に個別にバルブを設け、ポンプ36の駆動時に個別に動作させるようにしても良い。
なお、気泡発生抑制手段39の開口部39aは、後述の厚さ測定装置45の超音波探触子59が取り付けられる探触子支持アーム62が貫通し、タイヤ幅方向に移動する測定動作を妨げない大きさに形成される。
タイヤ固定装置4は、タイヤ昇降装置2がタイヤTを昇降させる昇降位置に配置される。具体的には、タイヤ昇降装置2及び水槽昇降装置3が移動するレール8;8を跨いで配置される。
タイヤ固定装置4は、レール8;8を挟んで配設される左,右本体40;70と、左,右本体40;70にそれぞれ設けられタイヤTを固定する一対の左右リム体42;72と、左右リム体42;72によって固定されたタイヤTに内圧を印加する内圧印加手段44と、内圧が印加された状態のタイヤTのトレッド表面Tsの外形形状を測定する形状測定手段46と、タイヤTのトレッド表面Tsからベルト94までのトレッド厚さDを測定する厚さ測定装置45と、タイヤ乾燥手段77を備える。
左本体40は、レール8:8の延長方向に対して直交方向に延長する左主軸41と、左主軸41の一端に取り付けられ、タイヤTを支持する左リム体42と、タイヤTを回転させるタイヤ回転手段43と、リム体42;72に支持されたタイヤT内に内圧を印加する内圧印加手段44とを備える。
左主軸41は、中空円筒状に形成され、タイヤ昇降装置2の上方において、レール8の延長方向に対して直交方向に延長する。左主軸41は、一端側が左本体40内においてベアリング等により回転可能に支持され、他端側が左本体40の一側面側から右本体70側に突出する。左主軸41の一端側は、内圧印加手段44と接続される。
モータ53は、左本体40に内蔵され、モータ53の回転軸が左本体40の一側面から突出するように固定される。駆動プーリ54は、軸側プーリ55よりも小径な大きさで左本体40から突出するモータ53の回転軸に取り付けられる。軸側プーリ55は、左主軸41に取り付けられた左リム体42と、左本体40との間に取り付けられる。ベルト56は、駆動プーリ54と軸側プーリ55とに掛け渡され、モータ53の回転力を駆動プーリ54を介して軸側プーリ55に伝達することで左主軸41を回転させる。モータ53は、測定制御装置100と接続され、測定制御装置100から出力される信号に基づいて駆動する。
右リム体72は、左リム体42と同様に円錐台状に形成され、右主軸71と同心となるように取り付けられる。右リム体72は、外周面に、左リム体42の複数の段部51に対応する複数の段部81を備え、段部81は、左リム体42の段部51と同一寸法、同一形状に形成される。右リム体72は、左リム体42とは異なり、中実に形成される。左リム体42と右リム体72とでタイヤTのビード部を挟み込み、左リム体42及び右リム体72の段部51;81のいずれかにビード部を密着させることにより、左リム体42の外周面、タイヤ内周面、右リム体72の外周面及び小径面72aで形成される閉空間に左リム体42の中空部52に供給される空気が充填されることでタイヤTに内圧が印加される。
変位手段57は、鉛直変位機構60と、鉛直変位機構60に取り付けられる幅方向変位機構61とを備える。鉛直変位機構60は、例えば一対のリニアガイドにより構成され、左本体40と右本体70とにリニアガイドがそれぞれ配置される。具体的には、左本体40と右本体70とが互いに対向する壁面40a;70aに、一方のリニアガイドと他方のリニアガイドとが互いに対向するように設けられる。リニアガイドは、レール60Aとレール60Aに沿って移動するスライダ60Bと、スライダ60Bの駆動源となるサーボモータ60Cを備える。リニアガイドは、各レール60A;60Aの延長方向が鉛直方向に沿うように各壁面40a;70aに固着され、スライダ60B;60Bが互いに対向し、スライダ60B;60Bとを結ぶ線が水平となるようにレール60A;60Aに配設される。サーボモータ60Cは、後述の測定制御装置100から出力される信号に基づいて同期して駆動され、レール60Aに沿ってスライダ60Bを鉛直方向上下に移動させる。
幅方向変位機構61のスライダ61Bには、超音波探触子59が取り付けられる探触子支持アーム62と、形状測定手段46としてのレーザセンサ63(図8参照)とが固定される。
探触子支持アーム62は、スライダ61Bから水平方向に延長する水平延長部62Aと、下方に向かって斜めに延長してタイヤT及び水槽31との干渉を回避する回避部62Bと、再び水平方向に延長する探触子取付部62Cとからなり、探触子取付部62Cの先端が左主軸41及び右主軸71とを結ぶ軸線の鉛直下方近傍まで延長する。探触子取付部62Cの先端には、超音波探触子59が取り付けられる。
図9(a)に示すように、厚さ測定装置45は、タイヤTを左右リム体42;72に着脱するときなど測定を行わないときには待避位置である右本体70側に移動する。次に、図9(b)に示すように、左右リム体42;72によってタイヤTが固定されると、超音波探触子59がトレッド表面Tsの一端側で対面する測定準備位置まで移動させる。次に、図9(c)に示すように、水槽31を上昇させることでトレッド表面Tsと超音波探触子59とが液体34に浸される。
なお、トレッド厚さDを測定するタイヤTの大きさが異なるときには、超音波探触子59とトレッド表面Tsとの距離が同一条件となるように鉛直変位機構60を駆動して調整すれば良い。
測定制御装置100は、制御部110と、演算部120と、記憶部130とにより構成される。
制御部110は、タイヤ昇降装置2のタイヤ昇降機構16の油圧シリンダ18の伸縮を制御することでタイヤTをタイヤ固定位置まで昇降させる制御と、タイヤ搭載部15の傾斜を制御するスライダ30の移動とを制御する。
また、制御部110は、水槽昇降装置3の水槽昇降機構32の油圧シリンダ18の伸縮を制御して、水槽31の昇降を制御する。
また、制御部110は、水槽31に設けられた気泡除去装置35のポンプ36の駆動を制御して、噴霧ノズル37から霧状の液体34の噴霧と、噴流ノズル38から液体34の水流の噴出を制御する。
また、制御部110は、タイヤ昇降装置2及び水槽昇降装置3を移動させるスライダ9の駆動源であるサーボモータ11の回転を制御して、タイヤ昇降装置2及び水槽昇降装置3の位置を制御する。
また、制御部110は、厚さ測定装置45の変位手段57の鉛直変位機構60のサーボモータ60C及び幅方向変位機構61のサーボモータ61Cとを制御して、形状測定手段46のレーザセンサ63による形状測定の動作を制御して、測定した形状を記憶部130に出力する。
記憶部130は、超音波測定による各測定位置における反射波の波形と、算出されたトレッド厚さDとを記憶する。
トレッド厚さ測定装置1のタイヤ固定装置に測定対象であるタイヤTの固定から開始される。まず、図11(a)に示すように、タイヤ昇降装置2のスライダ30を移動させ、タイヤ搭載部15を搬入側に傾斜させて、作業者によるタイヤTの搬入準備を行う。次に、作業者がタイヤTを搬入路のスロープ7に沿って転動させながらタイヤ搭載部15に搭載する。次に、図11(b)に示すように、スライダ30を移動させてタイヤ搭載部15を水平にしてタイヤTが自立するように搭載する。次に、図11(c)に示すように、タイヤ昇降機構16の油圧シリンダ18を縮短させることでリンク片21;22の車輪21B;22Bを長孔19B;20Bに沿って移動させてタイヤ搭載部15を上昇させる。詳細には、タイヤTの中心と左右リム体42;72の軸心とが一致する高さまでタイヤTを上昇させる。
よって、タイヤTをリトレッドするときに、本発明に係るトレッド厚さ測定装置1によりトレッド厚さDを測定することで、最外に位置するベルト94の素材に関わらず、タイヤTを傷つけることなくバフ掛けするときのバフ量を正確に設定することができる。なお、バフ量とは、最外に位置するベルト94から所定厚さ残すようにトレッドを切削する厚さである。
9 スライダ、15 タイヤ搭載部、16 タイヤ昇降機構、31 水槽、
32 水槽昇降機構、35 気泡除去装置、36 ポンプ、37 噴霧ノズル、
38 噴流ノズル、42;72 リム体、43 タイヤ回転手段、44 内圧印加手段、
45 厚さ測定装置、58 超音波発振器、59 超音波探触子、
94 ベルト、94a ベルト表面、100 測定制御装置、
T タイヤ、Ts トレッド表面。
Claims (2)
- 水槽に貯留された液体に被検体であるタイヤのトレッド表面を浸す前に、当該トレッド表面に前記液体と同一の液体を噴霧する工程と、
前記水槽の液体に浸されたトレッド表面に向けて超音波を発振し、反射波を受信してタイヤの最外に位置するベルトの深さを測定する工程と、
を備えたトレッド厚さ測定方法。 - 前記ベルトの深さの測定前に、水槽内に貯留される液体を水流として、浸されたトレッド表面に噴出する工程をさらに備える請求項1に記載のトレッド厚さ測定方法。
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