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JP2013199389A - InP系膜の製造方法およびそれに用いられる複合基板 - Google Patents

InP系膜の製造方法およびそれに用いられる複合基板 Download PDF

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JP2013199389A
JP2013199389A JP2012067261A JP2012067261A JP2013199389A JP 2013199389 A JP2013199389 A JP 2013199389A JP 2012067261 A JP2012067261 A JP 2012067261A JP 2012067261 A JP2012067261 A JP 2012067261A JP 2013199389 A JP2013199389 A JP 2013199389A
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Kazunari Sato
一成 佐藤
Yuki Seki
裕紀 関
Yoshiyuki Yamamoto
喜之 山本
Hideki Matsubara
秀樹 松原
Masashi Yoshimura
雅司 吉村
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】主面の面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜が低コストで得られるInP系膜の製造方法およびそれに用いられる複合基板を提供する。
【解決手段】本InP系膜の製造方法は、酸に溶解する支持基板11と、支持基板11の主面11m側に配置されている単結晶膜13と、を含み、支持基板11の主面11m内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい複合基板10を準備する工程と、支持基板11の主面11m側に配置されている単結晶膜13の主面13m上にInP系膜20を成膜する工程と、を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、主面の面積が大きく反りの小さいInP系膜の製造方法およびそれに用いられる複合基板に関する。
InP系膜は、発光デバイス、電子デバイスなどの半導体デバイスの基板および半導体層として、好適に用いられる。かかるInP系膜を製造するための基板としては、その基板とInP系膜との間で、格子定数および熱膨張係数を一致させるまたは一致に近づける観点から、InP基板が最も優れている。ところが、InP基板は、希少金属であるInを含有しているため、Si基板などに比べて非常に高価である。
このため、InP系膜を成膜するための基板として、一般に、Si基板が用いられている。しかしながら、Si基板とInP結晶とでは、それらの格子定数および熱膨張係数が大きく異なる。
このため、Si基板とInP結晶との間の格子定数および熱膨張係数の不整合を緩和して結晶性が良好なInP系膜を成長させるために、たとえば、特開2001−127339号公報(特許文献1)は、半導体発光素子を製造する際に、Si基板にInP系膜を成長させる際に、Si基板上にバッファ層として第1のGaAs層、InGaAs層、第2のGaAs層、およびInxGa1-xP層とInyGa1-yP層(x>y)との交互層もしくはInxAl1-xP層とInyAl1-yP層(x>y)との交互層を設けて、かかるバッファ層上にInP系膜を成長させることを開示する。
特開2001−127339号公報
特開2001−127339号公報(特許文献1)で開示される方法により製造される半導体発光素子においては、Si基板とInP系膜との間の熱膨張係数が異なるため、反りを発生する場合があり、また発光素子の主面を大きくすることができないという問題があった。また、Si基板とInP系膜との間に複雑な構成のバッファ層を形成する必要があるため、InP系膜の製造コストが増大するという問題もあった。
本発明は、上記問題点を解決して、InP結晶と熱膨張係数が一致または近似しかつ除去が容易な支持基板を含む低コストの主面の面積が大きい複合基板を用いてInP系膜を成膜することにより、主面の面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜が得られ、また、その後支持基板を除去することにより、主面の面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜を効率よく低コストで取り出すことができるInP系膜の製造方法およびそれに用いられる複合基板を提供することを目的とする。
本発明は、ある局面に従えば、酸に溶解する支持基板と、支持基板の主面側に配置されている単結晶膜と、を含み、支持基板の主面内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい複合基板である。
本発明にかかる複合基板において、支持基板は、シリカとアルミナとマグネシアとで形成されるSiO2−Al23−MgO複合酸化物を含むことができる。
本発明は、別の局面に従えば、酸に溶解する支持基板と、支持基板の主面側に配置されている単結晶膜と、を含み、支持基板の主面内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい複合基板を準備する工程と、支持基板の主面側に配置されている単結晶膜の主面上にInP系膜を成膜する工程と、を含むInP系膜の製造方法である。
本発明にかかるInP系膜の製造方法において、InP系膜を成膜する工程の後に、支持基板を酸に溶解することにより除去する工程をさらに含むことができる。また、支持基板の単結晶膜の主面の面積を45cm2以上とすることができる。また、InP系膜を成膜する工程は、単結晶膜の主面上にInP系バッファ層を形成するサブ工程と、InP系バッファ層の主面上にInP系単結晶層を形成するサブ工程と、を含むことができる。
本発明によれば、InP結晶と熱膨張係数が一致または近似しかつ除去が容易な支持基板を含む低コストの主面の面積の大きい複合基板を用いてInP系膜を成膜することにより主面の面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜が得られる。また、その後複合基板から支持基板を除去することにより、主面の面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜を効率よく低コストで取り出すことができる。
本発明にかかる複合基板の一例を示す概略断面図である。 本発明にかかるInP系膜の製造方法の一例を示す概略断面図である。ここで、(A)は複合基板を準備する工程を示し、(B)はInP系膜を成膜する工程を示し、(C)は支持基板を除去する工程を示す。 本発明における複合基板を準備する工程の一例を示す概略断面図である。
[複合基板]
図1を参照して、本発明の一実施形態である複合基板10は、酸に溶解する支持基板11と、支持基板11の主面11m側に配置されている単結晶膜13と、を含み、支持基板11の主面11m内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい。
本実施形態の複合基板10は、支持基板11の主面11m内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて0.8倍より大きく1.2倍より小さいため、支持基板11の主面11m上に形成された単結晶膜13の主面13m上に、主面13mの面積が大きくても、転位密度が低く結晶性が良好なInP系膜を成膜することができる。また、支持基板11が酸に溶解するため、複合基板10の単結晶膜13の主面13m上にInP系膜を成膜した後、支持基板11を酸により除去することにより、単結晶膜13の主面13m上に成膜された転位密度が低く結晶性が良好なInP系膜が効率よく低コストで得られる。
(支持基板)
本実施形態の複合基板10の支持基板11は、支持基板11の主面11m上に形成された単結晶膜13の主面13m上に、主面の面積が大きく転位密度が低く結晶性が良好なInPs系膜を成膜する観点から、支持基板11の主面11m内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さいことが必要であり、0.82倍より大きく1.1倍より小さいことが好ましく、0.98倍より大きく1.02倍より小さいことがより好ましい。また、支持基板11は、成膜したInP系膜から支持基板を効率よく低コストで除去する観点から、酸に溶解する必要がある。
支持基板11は、支持基板11の主面11m内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて0.8倍より大きく1.2倍より小さく、かつ、酸で溶解するものであれば特に制限はなく、単結晶であっても、多結晶であっても、非結晶であってもよいが、熱膨張係数の調整が容易な観点から、多結晶である焼結体が好ましい。
支持基板11は、その熱膨張係数の調整が容易で、酸に溶解する観点から、ケイ素酸化物および金属酸化物の少なくともひとつを含むことが好ましい。たとえば、ケイ素酸化物としてシリカ(SiO2)を含む支持基板11は、フッ化水素酸(HF)などに溶解する。また、マグネシア(MgO)を含む支持基板11は、フッ化水素酸(HF)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)などに溶解する。上記観点から、支持基板11は、ムライト(3Al23・2SiO〜2Al23・SiOまたはAl613Si2)−マグネシア(MgO)複合酸化物などのシリカ(SiO2)とアルミナ(Al23)とマグネシア(MgO)とで形成されるSiO2−Al23−MgO複合酸化物などのケイ素酸化物および金属酸化物の複合酸化物を含むことがより好ましい。ここで、支持基板11において、シリカなどのケイ素酸化物、アルミナ、マグネシアなどの金属酸化物などの組成成分の種類および比率は、X線回折により測定することができる。
さらに、支持基板11は、その原料の種類と比率とを変えることにより、その膨張係数の調整が容易で、InP結晶の熱膨張係数に比べて0.8倍より大きく1.2倍より小さい範囲内の熱膨張係数が容易に得られる観点から、ムライト−マグネシア複合酸化物などのシリカ(SiO2)とアルミナ(Al23)とマグネシア(MgO)とで形成されるSiO2−Al23−MgO複合酸化物などのケイ素酸化物および金属酸化物の複合酸化物を含む焼結体が特に好ましい。
このとき、支持基板11およびInP結晶の熱膨張係数は、一般に、それらの温度により大きく変動することから、如何なる温度または温度領域における熱膨張係数によって決めるかが重要である。本発明においては、複合基板上に反りの小さいInP系膜を製造することを目的とするものであり、室温から昇温させてInP系膜の成膜温度で複合基板上にInP系膜を成膜した後室温まで降温させて複合基板上に成膜されたInP系膜を取り出すことから、室温からInP系膜の成膜温度までにおける支持基板およびInP結晶の平均熱膨張係数を、それぞれ支持基板およびInP結晶の熱膨張係数として取り扱うことが適正と考えられる。本発明においては、支持基板およびInP結晶の熱膨張係数は、室温(具体的には25℃)から800℃までにおける平均熱膨張係数により決定することにする。
(単結晶膜)
本実施形態の複合基板10の支持基板11の主面11m側に配置される単結晶膜13は、反りが小さく転位密度が低く結晶性の良好なInP系膜を成長させる観点から、InP結晶(正方晶系の閃亜鉛鉱型構造)と同じ正方晶系の結晶構造を有するものが好ましく、主面13mが(001)面であるSi膜(正方晶系のダイヤモンド型構造)、主面13mが(001)面であるGaAs膜(正方晶系の閃亜鉛鉱型構造)、主面13mが(001)面であるInP膜(正方晶系の閃亜鉛鉱型構造)などが好ましい。
また、複合基板10における単結晶膜13の主面13mの面積は、特に制限はないが、主面の面積が大きいInP系膜を成長させる観点から、45cm2以上であることが好ましい。
(接着層)
本実施形態の複合基板10は、支持基板11と単結晶膜13との接合強度を高める観点から、支持基板11と単結晶膜13との間に接着層12が形成されていることが好ましい。接着層12は、特に制限はないが、支持基板11と単結晶膜13との接合強度を高める効果が高く酸により除去できる観点から、SiO2層などのケイ素酸化物層、Si34層などのケイ素窒化物層、MgO層などの金属酸化物層、TiN層などの金属窒化物層などが好ましい。ここで、SiO2層はフッ化水素酸(HF)に溶解し、Si34層はフッ化水素酸(HF)または加熱リン酸(150℃〜160℃に加熱されたリン酸(H3PO4)をいう、以下同じ。)に溶解し、MgO層は硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、またはリン酸(H3PO4)に溶解し、TiN層は硝酸(HNO3)に溶解する。
(複合基板の製造方法)
複合基板の製造方法は、後述するInP系膜の製造方法における複合基板の準備工程と同様である。
[InP系膜の製造方法]
図2を参照して、本発明の別の実施形態であるInP系膜の製造方法は、酸に溶解する支持基板11と、支持基板11の主面11m側に配置されている単結晶膜13と、を含み、支持基板11の主面11m内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい複合基板10を準備する工程(図2(A))と、支持基板11の主面11m側に配置されている単結晶膜13の主面13m上にInP系膜20を成膜する工程(図2(B))と、を含む。ここで、InP系膜とは、III族元素としてInを含みV族元素としてPを含むIII−V族化合物で形成されている膜をいい、たとえばInxAlyGa1-x-yzAs1-z膜(x>0、y≧0、x+y≦1、0<z≦1)が挙げられる。
本実施形態のInP系膜の製造方法によれば、酸に溶解する支持基板11と、支持基板11の主面11m側に配置されている単結晶膜13と、を含み、支持基板11の主面11m内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい複合基板10を用いて、複合基板10の単結晶膜13の主面13m上にInP系膜20を成膜することにより、主面の面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜20が効率よく得られる。
(複合基板の準備工程)
図2(A)を参照して、本実施形態のInP系膜の製造方法は、まず、酸に溶解する支持基板11と、支持基板11の主面11m側に配置されている単結晶膜13と、を含み、支持基板11の主面11m内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい複合基板10を準備する工程を含む。
上記の複合基板10は、支持基板11の主面11m内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい支持基板11と単結晶膜13とを含んでいるため、単結晶膜13の主面13m上に主面の面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜20を成膜することができる。また、上記の複合基板10は、支持基板11が酸に溶解するため、支持基板11を除去することにより、主面の面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜を効率よく低コストで取り出すことができる。
また、複合基板10の支持基板11の主面11m側に単結晶膜13を配置する方法には、特に制限はなく、支持基板11の主面11m上に単結晶膜13を成長させる方法(第1の方法)、支持基板11の主面11mに、下地基板(図示せず)の主面上に成膜させた単結晶膜13を貼り合わせた後下地基板を除去する方法(第2の方法)、支持基板11の主面11mに単結晶(図示せず)を貼り合わせた後その単結晶を貼り合わせ面から所定の深さの面で分離することにより支持基板11の主面11m上に単結晶膜13を形成する方法(第3の方法)などが挙げられる。
支持基板が多結晶の焼結体である場合には、上記の第1の方法が困難であるため、上記の第2および第3のいずれかの方法が好ましく用いられる。上記の第2の方法において、支持基板11に単結晶膜13を貼り合わせる方法には、特に制限はなく、支持基板11の主面11mに直接単結晶膜13を貼り合わせる方法、支持基板11の主面11mに接着層12を介在させて単結晶膜13を貼り合わせる方法などが挙げられる。上記の第3の方法において、支持基板11に単結晶を貼り合わせる方法には、特に制限はなく、支持基板11の主面11mに直接単結晶を貼り合わせる方法、支持基板11の主面11mに接着層12を介在させて単結晶を貼り合わせる方法などが挙げられる。
上記の複合基板10を準備する工程は、特に制限はないが、効率的に低コストで品質の高い複合基板10を準備する観点から、たとえば、図3を参照して、上記の第2の方法においては、支持基板11を準備するサブ工程(図3(A))と、下地基板30の主面30n上に単結晶膜13を成膜するサブ工程(図3(B))と、支持基板11と単結晶膜13とを貼り合わせるサブ工程(図3(C))と、下地基板30を除去するサブ工程(図3(D))と、含むことができる。
図3(C)を参照して、支持基板11と単結晶膜13とを貼り合わせるサブ工程においては、支持基板11の主面11m上に接着層12aに形成し(図3(C1))、下地基板30の主面30n上に成長させられた単結晶膜13の主面13n上に接着層12bを形成した(図3(C2))後、支持基板11上に形成された接着層12aの主面12amと下地基板30上に成膜された単結晶膜13上に形成された接着層12bの主面12bnとを貼り合わせることにより、接着層12aと接着層12bとが接合して形成された接着層12を介在させて支持基板11と単結晶膜13とが貼り合わされる(図3(C3))。しかし、支持基板11と単結晶膜13とが互いに接合可能なものであれば、支持基板11と単結晶膜13とを、接着層12を介在させることなく直接貼り合わせることができる。
支持基板11と単結晶膜13とを貼り合わせる具体的な手法としては、特に制限はないが、貼り合わせ後高温でも接合強度を保持できる観点から、貼り合わせ面を洗浄しそのまま貼り合わせた後600℃〜1200℃程度に昇温して接合する直接接合法、貼り合わせ面を洗浄しプラズマやイオンなどで活性化させた後に室温(たとえば25℃)〜400℃程度の低温で接合する表面活性化法などが好ましく用いられる。
こうして得られる複合基板10において、支持基板11、単結晶膜13および接着層12の材料および物性については、上述の通りであるため、ここでは繰り返さない。ここで、複合基板10における単結晶膜13の主面13mの面積は、特に制限はないが、主面の面積が大きいInP系膜を成膜する観点から、45cm2以上であることが好ましい。
(InP系膜の成膜工程)
図2(B)を参照して、本実施形態のInP系膜の製造方法は、次に、複合基板10における単結晶膜13の主面13m上にInP系膜20を成膜する工程を含む。
上記の複合基板の準備工程において準備された複合基板10は、支持基板11の主面11m内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい支持基板11と単結晶膜13を含んでいるため、単結晶膜13の主面13m上に主面20mの面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜20を成膜することができる。
InP系膜20を成膜する方法には、特に制限はないが、転位密度が低く結晶性の良好なInP系膜を成膜する観点から、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MBE(分子線エピタキシ)法、昇華法などの気相法、HB(水平ブリッジマン)法、VB(垂直ブリッジマン)法、LEC(液体封止チョクラルスキー)法などの液相法などが好ましく挙げられる。
InP系膜20を成膜する工程は、特に制限はないが、転位密度が低く結晶性が良好なInP系膜20を成膜する観点から、複合基板10の単結晶膜13の主面13m上にInP系バッファ層21を形成するサブ工程と、InP系バッファ層21の主面21m上にInP系単結晶層23を形成するサブ工程と、を含むことが好ましい。ここで、InP系バッファ層21とは、InP系膜20の一部分であり、InP系膜20の別の一部分であInP系単結晶層23の成長温度に比べて低い温度で成長させられる結晶性が低いまたは非結晶の層をいう。
InP系バッファ層21を形成することにより、InP系バッファ層21上に形成されるInP系単結晶層23と単結晶膜13との間の格子定数の不整合が緩和されるため、InP系単結晶層23の結晶性が向上しその転位密度が低くなる。この結果、InP系膜20の結晶性が向上しその転位密度が低くなる。
なお、単結晶膜13上にInP系膜20として、InP系バッファ層21を成長させることなく、InP系単結晶層23を成長させることもできる。かかる方法は、単結晶膜13とその上に成膜するInP系膜20との間の格子定数の不整合が小さい場合に好適である。
本実施形態のInP系膜の製造方法において、InP系膜20を成膜する工程(図2(B))の後に、支持基板11を酸に溶解することにより除去する工程(図2(C))をさらに含むことができる。複合基板10の支持基板11の主面11m側に配置されている単結晶膜13の主面13m上にInP系膜20を成膜した後、支持基板11を酸に溶解させて除去することにより、主面の面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜20を効率よく取り出すことができる。
(支持基板の除去工程)
図2(C)を参照して、本実施形態のInP系膜の製造方法は、次に、支持基板11を、酸に溶解することにより、除去する工程を含むことができる。
上記の複合基板の準備工程において準備された複合基板10は、支持基板11が酸に溶解するため、酸に溶解させて支持基板11を除去することにより、単結晶膜13の主面13m上に成膜された主面20mの面積が大きく反りが小さく結晶性が良好なInP系膜20が取り出される。ここで、単結晶膜13がInP単結晶膜などのInP系単結晶膜で形成されている場合には、全体がInP系材料で形成されているInP系膜が得られる。
(実施例1)
1.InP結晶の熱膨張係数の測定
垂直ブリッジマン法により成長させた、転位密度が5×103cm-2のInP単結晶から、サイズが3.5mm×3.5mm×18mmの評価用サンプルを切り出した。ここで、InP単結晶は熱膨張係数に関して方向特異性がないため、切り出し方向は任意とした。
上記の評価用サンプルについて、室温(25℃)から800℃まで昇温したときの平均熱膨張係数をTMA(熱機械分析)により測定した。具体的には、(株)リガク製TMA8310を用いて示差膨張方式により窒素ガス流通雰囲気下で評価サンプルの熱膨張係数を測定した。かかる測定により得られたInP結晶の25℃から800℃までにおける平均熱膨張係数αInPは、4.60×10-6/℃であった。
2.複合基板の準備工程
(1)支持基板を準備するサブ工程
図3(A)を参照して、支持基板11の材料として、SiO2とAl23とMgOとの所定のモル比の混合物をアルゴンガス雰囲気下一軸方向に50MPaの圧力をかけて1700℃で1時間焼結させることにより、8種類のSiO2−Al23−MgO系焼結体A〜Hを準備した。かかる8種類のSiO2−Al23−MgO系焼結体A〜Hには、X線回折により確認したところ、いずれについてもSiO2、Al23およびMgOが存在していた。また、上記8種類のSiO2−Al23−MgO系焼結体のそれぞれからサイズが3.5mm×3.5mm×18mm(長手方向は焼結体から切り出される支持基板の主面に実質的に平行な方向)の測定用サンプルを切り出した。ここで、SiO2−Al23−MgO系焼結体は熱膨張係数に関して方向特異性がないため、切り出し方向は任意とした。それらの測定用サンプルについて、上記と同様にして、室温(25℃)から800℃まで昇温下時の平均熱膨張係数αSを測定した。
SiO2−Al23−MgO系焼結体Aは、SiO2とAl23とMgOとのモル比(以下、モル比SiO2:Al23:MgOという)が60:35:5であり、25℃から800℃までにおける平均熱膨張係数αS(以下、単に平均熱膨張係数αSという)は3.50×10-6/℃であり、InP結晶の平均熱膨張係数αInPに対する焼結体の熱膨張係数αSの比(以下、αS/αInP比という)は0.761であった。SiO2−Al23−MgO系焼結体Bは、モル比SiO2:Al23:MgOが60:30:10であり、平均熱膨張係数αSが3.70×10-6/℃であり、αS/αInP比が0.804であった。SiO2−Al23−MgO系焼結体Cは、モル比SiO2:Al23:MgOが60:25:15であり、平均熱膨張係数αSが3.80×10-6/℃であり、αS/αInP比が0.826であった。SiO2−Al23−MgO系焼結体Dは、モル比SiO2:Al23:MgOが55:25:20であり、平均熱膨張係数αSが4.55×10-6/℃であり、αS/αInP比が0.989であった。SiO2−Al23−MgO系焼結体Eは、モル比SiO2:Al23:MgOが55:20:25であり、平均熱膨張係数αSが4.65×10-6/℃であり、αS/αInP比が1.011であった。SiO2−Al23−MgO系焼結体Fは、モル比SiO2:Al23:MgOが50:25:25であり、平均熱膨張係数αSが5.00×10-6/℃であり、αS/αInP比が1.087であった。SiO2−Al23−MgO系焼結体Gは、モル比SiO2:Al23:MgOが50:15:35であり、平均熱膨張係数αSが5.50×10-6/℃であり、αS/αInP比が1.196であった。SiO2−Al23−MgO系焼結体Hは、モル比SiO2:Al23:MgOが40:30:30であり、平均熱膨張係数αSが6.00×10-6/℃であり、αS/αInP比が1.304であった。
上記のSiO2−Al23−MgO系焼結体A〜Hから、直径4インチ(101.6mm)で厚さ1mmの支持基板をそれぞれ切り出して、それぞれの支持基板の両主面を鏡面に研磨して、支持基板A〜Hとした。すなわち、支持基板A〜Hの25℃から1000℃までにおける平均熱膨張係数は、それぞれSiO2−Al23−MgO系焼結体A〜Hの25℃から800℃までにおける平均熱膨張係数に等しい。結果を表1にまとめた。
(2)下地基板上に単結晶膜を成膜するサブ工程
図3(B)を参照して、下地基板30として、鏡面に研磨された(001)面の主面30nを有する直径5インチ(127mm)で厚さ0.5mmのSi基板を準備した。
上記のSi基板(下地基板30)の主面30n上に、単結晶膜13として厚さ0.4μmのInP膜をMOCVD法により成膜した。成膜条件は、原料ガスとしてTMI(トリメチルインジウム)ガスおよびPH3(ホスフィン)ガスを使用し、キャリアガスとしてH2ガスを使用し、成膜温度(基板温度)650℃、成膜圧力は20kPaとした。なお、こうして得られたInP膜(単結晶膜13)の主面13mは、(001)面からのオフ角が±1°以内の面方位を有し、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定した10μm×10μmの正方形領域におけるRMS(二乗平均平方根)粗さ(JIS B0601:2001に規定する二乗平均平方根粗さRqをいう。以下同じ)が1nm以下の鏡面であった。
(3)支持基板と単結晶膜とを貼り合わせるサブ工程
図3(C)中の(C1)を参照して、図3(A)の支持基板A〜H(支持基板11)のそれぞれの主面11m上に厚さ2μmのSiO2膜をCVD(化学気相堆積)法により成膜した。次いで、支持基板A〜H(支持基板11)のそれぞれの主面11m上の厚さ2μmのSiO2膜を、CeO2スラリーを用いて研磨することにより、厚さ0.2μmのSiO2層だけ残存させて、接着層12aとした。これにより、支持基板A〜H(支持基板11)のそれぞれの主面11mの空隙が埋められ、平坦な主面12amを有する厚さ0.2μmのSiO2層(接着層12a)が得られた。
また、図3(C)中の(C2)を参照して、図3(B)のSi基板(下地基板30)上に成膜されたInP膜(単結晶膜13)の主面13n上に厚さ2μmのSiO2膜をCVD法により成膜した。次いで、この厚さ2μmのSiO2膜を、CeO2スラリーを用いて研磨することにより、厚さ0.2μmのSiO2層だけ残存させて、接着層12bとした。
次いで、図3(C)中の(C3)を参照して、支持基板A〜H(支持基板11)のそれぞれに形成されたSiO2層(接着層12a)の主面12amおよびSi基板(下地基板30)上に成膜されたInP膜(単結晶膜13)上に形成されたSiO2層(接着層12b)の主面12bnをアルゴンプラズマにより清浄化および活性化させた後、SiO2層(接着層12a)の主面12amとSiO2層(接着層12b)の主面12bnとを貼り合わせて、窒素雰囲気下300℃で2時間熱処理した。
(4)下地基板を除去するサブ工程
図3(D)を参照して、支持基板A〜H(支持基板11)の裏側(単結晶膜13が貼り合わされていない側)の主面および側面をワックス40で覆って保護した後、10質量%のフッ化水素酸および3質量%の硝酸を含む混酸水溶液を用いて、エッチングによりSi基板(下地基板30)を除去した。こうして、支持基板A〜H(支持基板11)のそれぞれの主面11m側にInP膜(単結晶膜13)が配置された複合基板A〜Hが得られた。
3.InP系膜の成膜工程
図2(B)を参照して、複合基板A〜H(複合基板10)のInP膜(単結晶膜13)の主面13m(かかる主面は(001)面である。)上に、それぞれMOCVD法によりInP膜(InP系膜20)を成膜した。InP膜(InP系膜20)の成膜においては、成膜条件は、原料ガスとして原料ガスとしてTMI(トリメチルインジウム)ガスおよびPH3(ホスフィン)ガスを使用し、キャリアガスとしてH2ガスを使用し、成膜温度(基板温度)650℃、成膜圧力20kPaで厚さ5μmのInP単結晶層(InP系単結晶層23)を成長させた。ここで、InP単結晶層の成長速度は1μm/hrであった。その後、複合基板A〜HのそれぞれにInP膜が成膜されたウエハA〜Hを10℃/minの速度で室温(25℃)まで冷却した。
室温まで冷却後に成膜装置から取り出されたウエハA〜Hについて、ウエハの反り、InP膜のクラック本数密度および転位密度を測定した。ここで、ウエハの反りの形状および反り量は、InP膜の主面をCorning Tropel社のFM200EWaferを用いて観察される光干渉縞により測定した。InP膜のクラック本数密度は、ノマルスキー顕微鏡を用いて単位長さ当りのクラック本数を測定し、1本/mm未満を「極少」、1本/mm以上10本/mm未満を「少」、10本/mm以上を「多」と評価した。InP膜の転位密度は、CL(カソードルミネッセンス)による暗点の単位面積当たりの個数を測定した。なお、本実施例においてInP膜に発生したクラックは、膜を貫通しない微小なものであった。
ウエハAは、InP膜側が凹状に反り、反り量が70μmであり、InP膜のクラック本数密度が多であり、InP膜の転位密度が10×103cm-2であった。ウエハBは、InP膜側が凹状に反り、反り量が30μmであり、InP膜のクラック本数密度が少であり、InP膜の転位密度が7×103cm-2であった。ウエハCは、InP膜側が凹状に反り、反り量が25μmであり、InP膜のクラック本数密度が少であり、InP膜の転位密度が4×103cm-2であった。ウエハDは、InP膜側が凸状に反り、反り量が10μmであり、InP膜のクラック本数密度が極少であり、InP膜の転位密度が1×103cm-2であった。ウエハEは、InP膜側が凸状に反り、反り量が15μmであり、InP膜のクラック本数密度が極少であり、InP膜の転位密度が2×103cm-2であった。ウエハFは、InP膜側が凸状に反り、反り量が35μmであり、InP膜のクラック本数密度が少であり、InP膜の転位密度が5×103cm-2であった。ウエハGは、InP膜側が凸状に反り、反り量が40μmであり、InP膜のクラック本数密度が少であり、InP膜の転位密度が9×103cm-2であった。ウエハHは、InP膜側が凸状に反り、反り量が80μmであり、InP膜のクラック本数密度が多であり、InP膜の転位密度が10×103cm-2であった。
4.支持基板の除去工程
図2(C)を参照して、上記で得られたウエハA〜Hを、10質量%のフッ化水素酸水溶液に浸漬することにより、支持基板A〜H(支持基板11)およびSiO2層(接着層12)を溶解させることにより除去して、InP単結晶膜(単結晶膜13)の主面13m上に成膜されたInP膜A〜H(InP系膜20)が得られた。なお、ウエハA〜Hから支持基板A〜HおよびSiO2層が除去されたInP膜A〜H(InP系膜20)においても反りがCorning Tropel社のFM200EWaferを用いて観察される光干渉縞による測定により認められ、InP膜A〜Hの反りの大小関係には、ウエハA〜Hにおける反りの大小関係が維持されていた。
Figure 2013199389
表1を参照して、支持基板の主面内の熱膨張係数(平均熱膨張係数αS)がInP結晶の熱膨張係数(平均熱膨張係数αInP)の0.8倍より大きく1.2倍より小さい(すなわち、0.8<(αS/αInP比)<1.2)支持基板を有する複合基板を用いることにより(ウエハB〜G)、反り小さく転位密度が低く結晶性の良好なInP膜を成膜することができた。また、InP膜の反りおよび転位密度をさらに低減する観点から、複合基板の支持基板の主面内の熱膨張係数(平均熱膨張係数αS)は、InP結晶の熱膨張係数(平均熱膨張係数αInP)の0.82倍より大きく1.1倍より小さいこと(すなわち、0.82<(αS/αInP比)<1.1)(ウエハC〜F)が好ましく、InP結晶の熱膨張係数αInPの0.98倍より大きく1.02倍より小さいこと(すなわち、0.98<(αS/αInP比)<1.02)(ウエハD〜E)がより好ましい。
なお、上記実施例においては、複合基板上に非ドーピングのInP膜を成膜した例を示したが、ドーピングによりn型またはp型の導電性が付与されたInP膜を成膜した場合、ドーピングにより比抵抗が高められたInP膜を成膜した場合にも、上記実施例とほぼ同一の結果が得られた。
また、InP膜に替えてInxAlyGa1-x-yzAs1-z膜(0<x<1、y≧0、x+y≦1、0<z<1)などのInP系膜を成膜した場合にも上記実施例と同様の結果が得られた。特に、InP膜に替えてInxAlyGa1-x-yzAs1-z膜(0.5<x<1、y≧0、x+y≦1、0.5<z<1)を成膜する場合には、上記実施例とほぼ同一の結果が得られた。
また、InP系膜(具体的にはInxAlyGa1-x-yzAs1-z膜(0<x≦1、y≧0、x+y≦1、0<z≦1)など)は、In、Al、GaなどのIII族元素および/またはP、AsなどのV族元素の組成比を変えて複数成膜することもできる。すなわち、InP膜に替えてInxAlyGa1-x-yzAs1-z膜(0<x≦1、y≧0、x+y≦1、0<z≦1)などのInP系膜を、In、Al、GaなどのIII族元素および/またはP、AsなどのV族元素の組成比を変えて複数成膜することができる。
本発明の実施においては、InP系膜の成膜の際にELO(Epitaxial Lateral Overgrowth;ラテラル成長)技術などの公知の転位低減技術を適用できる。
また、複合基板にInP系膜を成膜した後に、複合基板の支持基板などを除去する際には、InP系膜を別の支持基板に転写してもよい。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 複合基板、11 支持基板、11m,12m,12am,12bn,13m,13n,20m,21m,23m,30n 主面、12,12a,12b 接着層、13 単結晶膜、20 InP系膜、21 InP系バッファ層、23 InP系単結晶層、30 下地基板、40 ワックス。

Claims (6)

  1. 酸に溶解する支持基板と、前記支持基板の主面側に配置されている単結晶膜と、を含み、
    前記支持基板の主面内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい複合基板。
  2. 前記支持基板は、シリカとアルミナとマグネシアとで形成されるSiO2−Al23−MgO複合酸化物を含む請求項1に記載の複合基板。
  3. 酸に溶解する支持基板と、前記支持基板の主面側に配置されている単結晶膜と、を含み、前記支持基板の主面内の熱膨張係数が、InP結晶の熱膨張係数に比べて、0.8倍より大きく1.2倍より小さい複合基板を準備する工程と、
    前記支持基板の主面側に配置されている前記単結晶膜の主面上にInP系膜を成膜する工程と、を含むInP系膜の製造方法。
  4. 前記InP系膜を成膜する工程の後に、前記支持基板を酸に溶解することにより除去する工程をさらに含む請求項3に記載のInP系膜の製造方法。
  5. 前記支持基板の前記単結晶膜の主面の面積が45cm2以上である請求項3または請求項4に記載のInP系膜の製造方法。
  6. 前記InP系膜を成膜する工程は、前記単結晶膜の主面上にInP系バッファ層を形成するサブ工程と、前記InP系バッファ層の主面上にInP系単結晶層を形成するサブ工程と、を含む請求項3から請求項5のいずれかに記載のInP系膜の製造方法。
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