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JP2013166417A - ハイブリッド車両の駆動装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の駆動装置 Download PDF

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JP2013166417A JP2012029590A JP2012029590A JP2013166417A JP 2013166417 A JP2013166417 A JP 2013166417A JP 2012029590 A JP2012029590 A JP 2012029590A JP 2012029590 A JP2012029590 A JP 2012029590A JP 2013166417 A JP2013166417 A JP 2013166417A
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Abstract

【課題】ハイブリッド車両の燃費性能を向上させる。
【解決手段】ハイブリッド車両は動力分割機構を備えており、動力分割機構を構成する各回転要素には、エンジン、モータジェネレータM2、駆動輪出力軸が連結される。駆動輪から動力分割機構が切り離されるEVモードから、エンジンを始動して動力分割機構を駆動輪に接続するOD1モードに切り換える際には、まず動力分割機構のブレーキ機構が締結され、動力分割機構はエンジン動力を増速して出力する増速状態に切り換えられる。そして、エンジンに接続されるキャリアの回転数がNcに達するまで、モータジェネレータM2の回転数を負側に増速され、エンジンが始動される。このように、動力分割機構を増速状態にしてエンジンを始動することにより、モータジェネレータM2の回転変動を抑制することができ、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
【選択図】図15

Description

本発明は、動力分割機構を備えるハイブリッド車両の駆動装置に関する。
遊星歯車列等からなる動力分割機構を備えたハイブリッド車両が開発されている(例えば、特許文献1参照)。動力分割機構の各回転要素には、エンジン、モータジェネレータ、駆動輪出力軸が接続されている。そして、各回転要素の拘束を解くことにより、動力分割機構を介してエンジン動力をモータジェネレータと駆動輪出力軸とに分配することが可能となる。この動力分割機構を備えたハイブリッド車両においては、モータジェネレータの回転数を制御することにより、車速に関係なく効率の良い領域でエンジンを作動させることができ、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
特開2001−112112号公報
ところで、動力分割機構を備えたハイブリッド車両は、低速走行時にエンジンを停止させて燃費性能を向上させる一方、高速走行時にエンジンを始動させて動力性能を確保することが多い。すなわち、低速走行から高速走行に移行する際にエンジンを始動する必要があるが、動力分割機構の各回転要素の拘束が解かれた状態では、モータジェネレータからエンジンに始動トルクを伝達することが不可能となる。このため、エンジン始動時には、動力分割機構の各回転要素を拘束した状態、つまり動力分割機構を介してエンジンとモータジェネレータとを直結した状態に制御していた。しかしながら、エンジンとモータジェネレータとを直結してエンジンを始動することは、走行状況によってはハイブリッド車両の電費性能や燃費性能を低下させる要因となっていた。
本発明の目的は、ハイブリッド車両の電費燃費性能を向上させることにある。
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、駆動輪出力軸に連結される第1モータジェネレータを備え、前記駆動輪出力軸にモータ動力を伝達するモータ駆動系と、エンジン、第2モータジェネレータおよび前記駆動輪出力軸に連結される動力分割機構を備え、前記動力分割機構を介して前記駆動輪出力軸にエンジン動力を伝達するエンジン駆動系と、前記駆動輪出力軸と前記動力分割機構との間に設けられ、前記モータ駆動系に前記エンジン駆動系を接続する締結状態と、接続を解除する解放状態とに切り換えられるクラッチ機構と、前記動力分割機構を構成する複数の回転要素のうち1つの回転要素と固定部材とを締結することにより、エンジン動力を増速して前記駆動輪出力軸に伝達する増速状態に前記動力分割機構を切り換えるブレーキ機構と、所定車速を上回る状態のもとで前記クラッチ機構を解放状態から締結状態に切り換える際に、前記ブレーキ機構を締結したまま前記第2モータジェネレータを駆動して前記エンジンを始動する制御手段とを有することを特徴とする。
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、前記制御手段は、所定駆動力を下回るとともに減速して所定車速を下回る場合に、前記ブレーキ機構を締結したまま前記クラッチ機構を解放して前記エンジンを停止させ、所定駆動力を下回るとともに加速して所定車速を上回る場合に、前記ブレーキ機構を締結したまま前記エンジンを始動して前記クラッチ機構を締結することを特徴とする。
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、前記動力分割機構は、共線図上で、前記第2モータジェネレータに連結される回転要素、前記ブレーキ機構に連結される回転要素、前記エンジンに連結される回転要素、前記駆動輪出力軸に連結される回転要素の順に配列される構成であることを特徴とする。
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、前記動力分割機構を構成する複数の回転要素のうち、前記第2モータジェネレータに連結される回転要素は、第1サンギヤであり、前記ブレーキ機構に連結される回転要素は、前記第1サンギヤにピニオンギヤを介して噛み合う第2サンギヤであり、前記エンジンに連結される回転要素は、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するキャリアであり、前記駆動輪出力軸に連結される回転要素は、前記ピニオンギヤに噛み合うリングギヤであることを特徴とする。
本発明によれば、クラッチ機構を締結してモータ駆動系にエンジン駆動系を接続する際に、所定車速を上回る状態のもとではブレーキ機構を締結しながら第2モータジェネレータを駆動してエンジンを始動している。これにより、エンジン始動時における第2モータジェネレータの回転変動を抑制することができ、第2モータジェネレータの消費電力を抑制することができるため、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置つまりパワーユニットを示す概略図である。 パワーユニットの制御系を示すブロック図である。 各走行モードにおけるクラッチ、モータジェネレータ、エンジンの作動状態を示す説明図である。 各走行モードの切換順序を示す説明図である。 (a)および(b)はシリーズモードにおけるパワーユニットの作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)はEVモードにおけるパワーユニットの作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)はPS1モードにおけるパワーユニットの作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)はPS2モードにおけるパワーユニットの作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)はOD1モードにおけるパワーユニットの作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)はOD2モードにおけるパワーユニットの作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)は直結モードにおけるパワーユニットの作動状態を示す概略図および共線図である。 低中車速領域で参照されるモードマップの一例を示す説明図である。 (a)〜(c)はEVモードからPS1モードに切り換える際のエンジン始動手順を示す共線図である。 (a)〜(c)はEVモードからPS1モードに切り換える際のエンジン始動手順を示す共線図である。 (a)〜(c)はEVモードからOD1モードに切り換える際のエンジン始動手順を示す共線図である。 (a)および(b)はEVモードからOD1モードに切り換える際におけるエンジン始動手順の比較例を示す共線図である。 EVモードからOD1モードに切り換える際におけるエンジン始動手順の比較例を示す共線図である。 本発明の他の実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置つまりパワーユニットを示す概略図である。 本発明の他の実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置つまりパワーユニットを示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置つまりパワーユニット10を示す概略図である。図1に示すように、ハイブリッド車両に搭載されるパワーユニット10は、動力源として内燃機関であるエンジン11を備えるとともに、動力源として第1モータジェネレータM1および第2モータジェネレータM2を備えている。
エンジン11と第2モータジェネレータM2との間には、遊星歯車列によって構成される動力分割機構12が設けられている。動力分割機構12は、エンジン11のクランク軸13にダンパ機構14を介して連結されるキャリア(回転要素)15と、キャリア15に回転自在に支持されるピニオンギヤ(回転要素)16とを有している。ピニオンギヤ16には第1ギヤ部16aおよび第2ギヤ部16bが形成されており、第1ギヤ部16aと第2ギヤ部16bとは同軸上に配置されている。第1ギヤ部16aには第1サンギヤ(回転要素)17が噛み合っており、第2ギヤ部16bには第2サンギヤ(回転要素)18が噛み合っている。第1サンギヤ17にはモータ出力軸19を介してモータジェネレータM2のロータ20aが連結されており、第2サンギヤ18には中空軸21を介してシンクロハブ22が固定されている。また、ピニオンギヤ16の第1ギヤ部16aにはリングギヤ(回転要素)23が噛み合っており、リングギヤ23には中空軸24を介してスプライン歯25が固定されている。さらに、パワーユニット10のケース(固定部材)26にはスプライン歯27が固定されている。図1に示すように、シンクロハブ22の一端側にはスプライン歯25が配置されており、シンクロハブ22の他端側にはスプライン歯27が配置されている。すなわち、シンクロハブ22の両端には、シンクロハブ22を挟むようにスプライン歯25,27が配置されている。
図1に示すように、シンクロハブ22の外周部には、軸方向に移動自在にシンクロスリーブ30が噛み合っている。シンクロスリーブ30にはフォーク部材31が装着されており、フォーク部材31はアクチュエータ32の伸縮ロッド32aに連結されている。シンクロスリーブ30を矢印a方向に移動させることにより、シンクロスリーブ30をスプライン歯25に噛み合わせることが可能となる。これにより、シンクロスリーブ30を介して第2サンギヤ18とリングギヤ23とを締結することが可能となる。一方、シンクロスリーブ30を矢印b方向に移動させることにより、シンクロスリーブ30をスプライン歯27に噛み合わせることが可能となる。これにより、シンクロスリーブ30を介して第2サンギヤ18とケース26とを締結することが可能となる。また、シンクロスリーブ30を図1に示す中立位置に移動させることにより、シンクロスリーブ30はシンクロハブ22だけに噛み合った状態となる。
これらのシンクロハブ22、スプライン歯25およびシンクロスリーブ30によって、第2サンギヤ18とリングギヤ23とを締結する締結状態と、締結を解除する解放状態とに切り換えられるクラッチCL3が構成されている。また、シンクロハブ22、スプライン歯27およびシンクロスリーブ30によって、第2サンギヤ18とケース26とを締結する締結状態と、締結を解除する解放状態とに切り換えられるクラッチCL4が構成されている。このクラッチCL4は、サンギヤ18をケース26に固定するブレーキ機構として機能している。これらのクラッチCL3,CL4は共用される1つのシンクロスリーブ30を有しており、アクチュエータ32によってシンクロスリーブ30をスライドさせることにより、双方のクラッチCL3,CL4の作動状態を切り換えることができる。すなわち、シンクロスリーブ30を矢印a方向に移動させることにより、クラッチCL3を締結状態に切り換えることができ、クラッチCL4を解放状態に切り換えることができる。また、シンクロスリーブ30を図1に示す中立位置に移動させることにより、クラッチCL3,CL4を共に解放状態に切り換えることができる。さらに、シンクロスリーブ30を矢印b方向に移動させることにより、クラッチCL4を締結状態に切り換えることができ、クラッチCL3を解放状態に切り換えることができる。
図1に示すように、リングギヤ23とスプライン歯25とを連結する中空軸24には駆動ギヤ33が固定されており、この駆動ギヤ33に噛み合う従動ギヤ34が中空軸24に平行となる前輪出力軸(駆動輪出力軸)35に回転自在に支持されている。従動ギヤ34にはスプライン歯36が固定されており、このスプライン歯36に隣接するシンクロハブ37が前輪出力軸35に固定されている。また、シンクロハブ37の外周部には、軸方向に移動自在にシンクロスリーブ38が噛み合っている。シンクロスリーブ38にはフォーク部材39が装着されており、フォーク部材39はアクチュエータ40の伸縮ロッド40aに連結されている。アクチュエータ40によってシンクロスリーブ38を矢印a方向に移動させることにより、シンクロスリーブ38をスプライン歯36に噛み合わせることが可能となる。これにより、シンクロスリーブ38を介してリングギヤ23と前輪出力軸35とを連結することが可能となる。一方、シンクロスリーブ38を図1に示す中立位置に移動させることにより、シンクロスリーブ38をシンクロハブ37だけに噛み合わせることができ、前輪出力軸35からリングギヤ23を切り離すことが可能となる。このように、前輪出力軸35と従動ギヤ34との間には、シンクロハブ37、スプライン歯36およびシンクロスリーブ38からなるクラッチ(クラッチ機構)CL1が設けられている。なお、前輪出力軸35の一端部にはデファレンシャル機構41が接続されており、前輪出力軸35はデファレンシャル機構41を介して駆動輪である前輪42fに連結されている。
また、前輪出力軸35の他端部には従動ギヤ43が固定されており、この従動ギヤ43に噛み合う駆動ギヤ44が前輪出力軸35に平行となる中空軸45に固定されている。中空軸45にはシンクロハブ46が固定されており、このシンクロハブ46に隣接するスプライン歯47が、モータジェネレータM1のモータ出力軸48に固定されている。また、シンクロハブ46の外周部には、軸方向に移動自在にシンクロスリーブ49が噛み合っている。シンクロスリーブ49にはフォーク部材50が装着されており、フォーク部材50はアクチュエータ51の伸縮ロッド51aに連結されている。アクチュエータ51によってシンクロスリーブ49を矢印a方向に移動させることにより、シンクロスリーブ49をスプライン歯47に噛み合わせることが可能となる。これにより、シンクロスリーブ49を介してモータジェネレータM1のロータ52aを前輪出力軸35に連結することが可能となる。一方、シンクロスリーブ49を図1に示す中立位置に移動させることにより、シンクロスリーブ49をシンクロハブ46だけに噛み合わせることができ、前輪出力軸35からモータジェネレータM1を切り離すことが可能となる。このように、モータジェネレータM1と駆動ギヤ44との間には、シンクロハブ46、スプライン歯47およびシンクロスリーブ49からなるクラッチCL2が設けられている。なお、前輪出力軸35の一端部には駆動ギヤ60が固定されており、この駆動ギヤ60に噛み合う従動ギヤ61が前輪出力軸35に平行となる後輪出力軸(駆動輪出力軸)62に固定されている。モータジェネレータM1の中心を貫通して後方に延びる後輪出力軸62には、トランスファクラッチ63等を介して駆動輪である後輪42rに連結されている。
これまで説明したように、パワーユニット10にはモータジェネレータM1が設けられており、モータジェネレータM1によってモータ駆動系MDが構成されている。このようなモータ駆動系MDを設けることにより、モータジェネレータM1からのモータ動力を前輪出力軸35に伝達することが可能となる。また、パワーユニット10には、エンジン11、第2モータジェネレータM2および動力分割機構12によって構成されるエンジン駆動系EDが設けられている。このようなエンジン駆動系EDを設けることにより、動力分割機構12を介してエンジン11からのエンジン動力を前輪出力軸35に伝達することが可能となる。さらに、前輪出力軸35と動力分割機構12との間、つまりモータ駆動系MDとエンジン駆動系EDとの間には、クラッチCL1が設けられている。このクラッチCL1を締結することにより、モータ駆動系MDにエンジン駆動系EDが接続される一方、クラッチCL1を解放することにより、モータ駆動系MDからエンジン駆動系EDが切り離される。
続いて、図2はパワーユニット10の制御系を示すブロック図である。図2に示すように、モータジェネレータM1のステータ52bにはインバータ64が接続されており、モータジェネレータM2のステータ20bにはインバータ65が接続されている。また、双方のインバータ64,65には、通電ライン66,67を介してバッテリ68が接続されている。ハイブリッド車両には、電動機および発電機として機能するモータジェネレータM1,M2のトルクや回転数(回転速度)を制御するモータ制御ユニット(制御手段)70が設けられている。モータ制御ユニット70は、後述する車両制御ユニット73からのモータ動力要求値に基づいて制御信号を設定し、このモータ動力要求値が得られるようにインバータ64,65に制御信号を出力する。また、ハイブリッド車両には、バッテリ68の充電状態SOC、電流、電圧、温度等を監視するバッテリ制御ユニット71が設けられている。さらに、ハイブリッド車両には、エンジン11のトルクや回転数(回転速度)を制御するエンジン制御ユニット(制御手段)72が設けられている。エンジン制御ユニット72は、車両制御ユニット73からのエンジン動力要求値に基づいて制御信号を設定し、このエンジン動力要求値が得られるように図示しないスロットルバルブやインジェクタ等に制御信号を出力する。
そして、各制御ユニット70〜72を統括的に制御するとともに、アクチュエータ32,40,51やトランスファクラッチ63等を制御するため、ハイブリッド車両には車両制御ユニット(制御手段)73が設けられている。車両制御ユニット73には、セレクトレバーの操作状況を検出するインヒビタスイッチ74、アクセルペダルの操作状況を検出するアクセルペダルセンサ75、ブレーキペダルの操作状況を検出するブレーキペダルセンサ76、車速を検出する車速センサ77等が接続されている。車両制御ユニット73は、各種センサ74〜77からの情報に基づいて車両状態(運転手の要求駆動力や車速等)を判定し、所定のモードマップを参照して車両状態に応じた走行モードを設定する。そして、車両制御ユニット73は、車両状態および走行モードに応じたエンジン動力やモータ動力を設定し、各制御ユニット70〜72やアクチュエータ32,40,51等に対して制御信号を出力する。なお、各制御ユニット70〜73は、通信ネットワーク78を介して相互に接続されている。また、各制御ユニット70〜73は、制御信号等を演算するCPU、制御プログラム、演算式およびマップデータ等を格納するROM、一時的にデータを格納するRAM等によって構成されている。
続いて、車両状態に応じて設定される各走行モードについて説明する。図3は各走行モードにおけるクラッチCL1〜CL4、モータジェネレータM1,M2、エンジン11の作動状態を示す説明図である。図4は各走行モードの切換順序を示す説明図である。図5(a)および(b)はシリーズモードにおけるパワーユニット10の作動状態を示す概略図および共線図である。図6(a)および(b)はEVモードにおけるパワーユニット10の作動状態を示す概略図および共線図である。図7(a)および(b)はPS1モードにおけるパワーユニット10の作動状態を示す概略図および共線図である。図8(a)および(b)はPS2モードにおけるパワーユニット10の作動状態を示す概略図および共線図である。図9(a)および(b)はOD1モードにおけるパワーユニット10の作動状態を示す概略図および共線図である。図10(a)および(b)はOD2モードにおけるパワーユニット10の作動状態を示す概略図および共線図である。図11(a)および(b)は直結モードにおけるパワーユニット10の作動状態を示す概略図および共線図である。なお、図5(a)〜図11(a)の概略図においては、ダンパ機構14、後輪出力軸62、トランスファクラッチ63を省いて図示している。また、図5(b)〜図11(b)の共線図において、符号Sαは第1サンギヤ17を示し、符号Sβは第2サンギヤ18を示し、符号Cはキャリア15を示し、符号Rはリングギヤ23を示している。
図3および図4に示すように、図示するハイブリッド車両には、走行モードとして、シリーズモード、EVモード、PS1モード、PS2モード、OD1モード、OD2モードおよび直結モードの7つの走行モードが設定されている。図3および図5に示すように、シリーズモードにおいては、クラッチCL2,CL3が締結される一方、クラッチCL1,CL4が解放される。これにより、前輪出力軸35にモータジェネレータM1が接続される一方、前輪出力軸35から動力分割機構12のリングギヤ23が切り離される。また、第2サンギヤ18とリングギヤ23とが締結されることから、動力分割機構12を介してエンジン11とモータジェネレータM2とは直結された状態となる。このシリーズモードは、例えば要求駆動力の大きな低車速領域での走行モードとなっている。シリーズモードを設定することにより、エンジン動力によってモータジェネレータM2を発電させながら、モータジェネレータM1のモータ動力を用いた走行が可能となる。これにより、モータジェネレータM1に多くの電力を供給することができ、大きなモータトルクを得ることが可能となる。なお、シリーズモードにおいては、前輪出力軸35からリングギヤ23が切り離されることから、停車時においてもモータジェネレータM2による発電が可能となっている。また、シリーズモードでの走行中に要求駆動力が低下した場合には、モータジェネレータM2の発電を停止させるEVモードに切り換えられる。図3および図6に示すように、シリーズモードからEVモードに切り換える際には、クラッチCL3が解放されるとともにエンジン11およびモータジェネレータM2が停止される。このEVモードを設定することにより、要求駆動力が低下した場合にエンジン11を停止させることができ、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
図3および図7に示すように、パワースプリットモードとも言われるPS1モードにおいては、クラッチCL1,CL2が締結される一方、クラッチCL3,CL4が解放される。これにより、前輪出力軸35にモータジェネレータM1が接続されるとともに、前輪出力軸35に動力分割機構12のリングギヤ23が接続される。また、第2サンギヤ18およびリングギヤ23の拘束が解かれることから、動力分割機構12を介してエンジン動力をリングギヤ23とモータジェネレータM2とに分配することでき、モータジェネレータM2の回転数を制御することでリングギヤ23の無段変速が可能となる。このPS1モードは、例えば要求駆動力の大きな低中車速領域での走行モードとなっている。PS1モードを設定することにより、エンジン動力を無段変速させながら前輪出力軸35に伝達するとともに、モータジェネレータM1のモータ動力を前輪出力軸35に伝達しながら、ハイブリッド車両を走行させることが可能となる。続いて、PS1モードでの走行中に高車速領域に達した場合には、前輪出力軸35からモータジェネレータM1を切り離して走行するPS2モードに切り換えられる。図3および図8に示すように、PS1モードからPS2モードに切り換える際には、PS1モードの状態からクラッチCL2が解放されるとともにモータジェネレータM1が停止される。このPS2モードを設定することにより、高車速領域においてモータジェネレータM1を駆動輪42f,42rから切り離すことが可能となる。これにより、モータジェネレータM1の引きずり損失を解消することができ、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
図3および図9に示すように、オーバードライブモードとも言われるOD1モードにおいては、クラッチCL1,CL2,CL4が締結される一方、クラッチCL3が解放される。これにより、前輪出力軸35にモータジェネレータM1が接続されるとともに、前輪出力軸35に動力分割機構12のリングギヤ23が接続される。また、第2サンギヤ18がケース26に固定されることから、エンジン動力を固定変速比で増速してリングギヤ23に伝達することが可能となる。このOD1モードは、例えば要求駆動力の小さな中車速領域での走行モードとなっている。OD1モードを設定することにより、エンジン動力を増速させながら前輪出力軸35に伝達するとともに、モータジェネレータM1のモータ動力を前輪出力軸35に伝達しながら、ハイブリッド車両を走行させることが可能となる。続いて、OD1モードでの走行中に高車速領域に達した場合には、前輪出力軸35からモータジェネレータM1を切り離して走行するOD2モードに切り換えられる。図3および図10に示すように、OD1モードからOD2モードに切り換える際には、OD1モードの状態からクラッチCL2が解放されるとともにモータジェネレータM1が停止される。このOD2モードを設定することにより、高車速領域においてモータジェネレータM1を駆動輪42f,42rから切り離すことが可能となる。これにより、モータジェネレータM1の引きずり損失を解消することができ、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
図3および図11に示すように、直結モードにおいては、クラッチCL1,CL3が締結される一方、クラッチCL2,CL4が解放される。これにより、前輪出力軸35に動力分割機構12のリングギヤ23が接続される。また、第2サンギヤ18とリングギヤ23とが締結されることから、動力分割機構12を介してエンジン11とモータジェネレータM2とは直結された状態となる。この直結モードは、例えば要求駆動力の大きな高車速領域での走行モードとなっている。直結モードを設定することにより、前述したOD1モードやOD2モードよりも変速比を増大つまりダウンシフトさせることが可能となる。すなわち、直結モードにおいては、エンジン動力を等速で前輪出力軸35に伝達することができるため、大きな駆動力でハイブリッド車両を走行させることが可能となる。なお、高車速領域において実行される直結モードにおいては、前述したPS2モードやOD2モードと同様に、駆動輪42f,42rからモータジェネレータM1が切り離されるようになっている。
続いて、低中車速領域における走行モードの切り換えについて説明する。図12は低中車速領域で参照されるモードマップの一例を示す説明図である。図12に示すように、低車速領域において要求駆動力が小さい場合には、走行モードとしてEVモードが選択される。EVモードにおいては、クラッチCL1が解放されてクラッチCL2が締結されることから、前輪出力軸35からエンジン駆動系EDが切り離される一方、前輪出力軸35に対してモータ駆動系MDが接続された状態となる。このEVモードは、モータ駆動系MDからのモータ動力のみを用いて車両を走行させる走行モードとなっている。
また、低中車速領域において要求駆動力が大きい場合には、走行モードとしてPS1モードが選択される。PS1モードにおいては、クラッチCL1,CL2が共に締結されることから、前輪出力軸35にモータ駆動系MDおよびエンジン駆動系EDが接続された状態となる。また、クラッチCL3,CL4が共に解放されることから、動力分割機構12はエンジン動力を無段変速させる無段変速状態となる。このPS1モードは、モータ駆動系MDから出力されるモータ動力と、エンジン駆動系EDから無段変速されて出力されるエンジン動力とを合わせて車両を走行させる走行モードである。
さらに、中車速領域において要求駆動力が小さい場合、つまり所定駆動力を下回るとともに所定車速を上回る場合には、走行モードとしてOD1モードが選択される。OD1モードにおいては、クラッチCL1,CL2が共に締結されることから、前輪出力軸35にモータ駆動系MDおよびエンジン駆動系EDが接続された状態となる。また、クラッチCL3が解放されてクラッチCL4が締結されることから、動力分割機構12はエンジン動力を固定変速比で増速させる増速状態となる。このOD1モードは、モータ駆動系MDから出力されるモータ動力と、エンジン駆動系EDから増速されて出力されるエンジン動力とを合わせて車両を走行させる走行モードである。
図12に示すように、要求駆動力の増大や車速の上昇により、走行モードをEVモードからPS1モードやOD1モードに切り換える際には、EVモードでの走行中にエンジン11を始動する必要がある。続いて、PS1モードに切り換える際のエンジン始動手順について説明した後に、OD1モードに切り換える際のエンジン始動手順について説明する。図13〜図14はEVモードからPS1モードに切り換える際のエンジン始動手順を示す共線図である。また、図15はEVモードからOD1モードに切り換える際のエンジン始動手順を示す共線図である。なお、図13〜図14に示すように、PS1モードに切り換える際のエンジン始動手順として、状況に応じて適宜選択される3つのエンジン始動手順が設定されている。また、図13〜図15において、符号Ncで示す回転数はエンジン11の始動回転数を意味しており、符号Nrで示す回転数は現在の車速に対応するリングギヤ23の回転数を意味している。
まず、EVモードからPS1モードに切り換える際のエンジン始動手順について説明する。図13(a)に示すように、クラッチCL3を締結することにより、動力分割機構12は直結状態に切り換えられる。次いで、図13(b)に示すように、リングギヤ23の回転数がNrに達するまで、モータジェネレータM2の回転数を正側に増速させた後に、クラッチCL1が締結される。続いて、図13(c)に示すように、クラッチCL3を解放することにより、動力分割機構12は無段変速状態に切り換えられる。そして、車速に連動するリングギヤ23を支点にキャリア15の回転数がNcに達するまで、モータジェネレータM2の回転数を正側に増速させた後に、エンジン11が始動される。このように、図13に示すエンジン始動手順においては、動力分割機構12を直結状態にしてクラッチCL1を同期させてから締結した後に、動力分割機構12を無段変速状態にしてエンジン11を始動している。
図14(a)に示すように、クラッチCL3を解放することにより、動力分割機構12は無段変速状態に切り換えられる。次いで、図14(b)に示すように、停止するエンジン11を支点にリングギヤ23の回転数がNrに達するまで、モータジェネレータM2の回転数を負側に増速させた後に、クラッチCL1が締結される。続いて、図14(c)に示すように、車速に連動するリングギヤ23を支点にキャリア15の回転数がNcに達するまで、モータジェネレータM2の回転数を正側に増速させた後に、エンジン11が始動される。このように、図14に示すエンジン始動手順においては、動力分割機構12を無段変速状態にしてクラッチCL1を同期させてから締結した後に、動力分割機構12の無段変速状態を維持したままエンジン11を始動している。
続いて、EVモードからOD1モードに切り換える際のエンジン始動手順について説明する。図15(a)に示すように、クラッチCL4を締結することにより、動力分割機構12は増速状態に切り換えられる。次いで、図15(b)に示すように、固定されるサンギヤ18を支点にキャリア15の回転数がNcに達するまで、モータジェネレータM2の回転数を負側に増速させた後に、エンジン11が始動される。続いて、固定されるサンギヤ18を支点にリングギヤ23の回転数がNrに達するまで、モータジェネレータM2の回転数を負側に増速させた後に、クラッチCL1が締結される。このように、図15に示すエンジン始動手順においては、動力分割機構12を増速状態にしてエンジン11を始動した後に、動力分割機構12の増速状態を維持したままクラッチCL1を同期させてから締結している。
図15(a)〜(c)で説明したように、車両制御ユニット73は、車速の上昇に伴って走行モードをEVモードからOD1モードに切り換える際に、クラッチCL4を締結して動力分割機構12の増速状態を維持したまま、モータジェネレータM2を駆動してエンジン11を始動回転させている。これにより、エンジン11を始動してOD1モードに切り換える際に、モータジェネレータM2の回転変動を抑制することが可能となる。このように、モータジェネレータM2の回転数変動幅を抑制することにより、モータジェネレータM2の消費電力を抑制することができるため、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。つまり、ハイブリッド車両の電費性能および燃費性能(電費燃費性能)を向上させることが可能となる。また、モータジェネレータM2の回転数変動幅が抑制されることから、エンジン11を素早く始動することができ、EVモードからOD1モードに素早く切り換えることが可能となる。さらに、モータジェネレータM2の回転数変動幅が抑制されることから、エンジン11の不要な負荷変動を抑制することができ、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
続いて、動力分割機構12を直結状態や無段変速状態に制御してエンジン11を始動した場合を比較例として挙げ、動力分割機構12を増速状態に制御することで得られる効果について説明する。ここで、図16(a)、図16(b)および図17はEVモードからOD1モードに切り換える際におけるエンジン始動手順の比較例を示す共線図である。なお、図16(a)および(b)には図13の手順に相当するエンジン始動手順が示され、図17には図14の手順に相当するエンジン始動手順が示されている。
図16(a)に示すように、動力分割機構12を直結状態に切り換えた後に、モータジェネレータM2を正側に増速させ、エンジン11が始動される(符号L1)。続いて、動力分割機構12の直結状態を維持したまま、モータジェネレータM2を正側に増速させ、クラッチCL1が締結される(符号L2)。さらに、動力分割機構12を無段変速状態に切り換えた後に、サンギヤ18が停止するまでモータジェネレータM2を負側に増速させ、クラッチCL4が締結されて動力分割機構12が増速状態に切り換えられる(符号L3)。
また、図16(b)に示すように、動力分割機構12を直結状態に切り換えた後に、モータジェネレータM2を正側に増速させ、クラッチCL1が締結される(符号L1)。続いて、動力分割機構12を無断変速状態に切り換えた後に、キャリア15の回転数がNcに達するまで、モータジェネレータM2の回転数を負側に増速させ、エンジン11が始動される(符号L2)。さらに、動力分割機構12を無段変速状態に維持したまま、サンギヤ18が停止するまでモータジェネレータM2を負側で減速させ、クラッチCL4を締結して動力分割機構12が増速状態に切り換えられる(符号L3)。
また、図17に示すように、動力分割機構12を無段変速状態に切り換えた後に、モータジェネレータM2を負側に増速させ、クラッチCL1が締結される(符号L1)。続いて、動力分割機構12の無段変速状態を維持したまま、モータジェネレータM2を負側で減速させ、エンジン11を始動する(符号L2)。さらに、動力分割機構12を無段変速状態に維持したまま、サンギヤ18が停止するまでモータジェネレータM2を負側で減速させ、クラッチCL4を締結して動力分割機構12が増速状態に切り換えられる(符号L3)。
このように、EVモードからOD1モードに切り換える際に、動力分割機構12を増速状態以外に制御した場合、つまり動力分割機構12を直結状態や無段変速状態に制御した場合には、モータジェネレータM2の回転数が大きく変動することになる。このように、モータジェネレータM2の回転数変動幅を広げることは、モータジェネレータM2の消費電力を増大させ、ハイブリッド車両の燃費性能が低下させる要因となる。また、モータジェネレータM2の回転数変動幅を広げることは、エンジン11の始動遅延を招くことから、EVモードからOD1モードへの素早い切り換えが困難となる。さらに、モータジェネレータM2の回転数変動幅を広げることは、エンジン11の不要な負荷変動を招くことから、ハイブリッド車両の燃費性能を低下させる要因となる。これに対し、本発明においては、動力分割機構12を増速状態に保持したままエンジン11を始動することにより、前述した燃費性能や始動遅延に関する問題を解消することが可能となるのである。
また、図12に矢印αで示すように、要求駆動力が所定駆動力を下回るとともに、ハイブリッド車両が加速して所定車速を上回る場合に、EVモードからOD1モードへの切り換えが判定される。この場合には、前述したように、クラッチCL4を締結したままエンジン11が始動され、エンジン始動後にクラッチCL1が締結される。一方、図12に矢印βで示すように、要求駆動力が所定駆動力を下回るとともに、ハイブリッド車両が減速して所定車速を下回る場合に、OD1モードからEVモードへの切り換えが判定される。この場合には、クラッチCL4を締結したままクラッチCL1が解放されてエンジン11が停止される。このように、OD1モードからEVモードに切り換えられる際には、その後の再加速時において素早くOD1モードに切り換えるため、クラッチCL4を締結した状態で保持している。また、所定駆動力を下回りながら減速して所定車速を下回る際に、PS1モードを挟むことなくOD1モードからEVモードに直に切り換えるようにしたので、モータ駆動系MDからエンジン駆動系EDを素早く切り離すことができ、モータジェネレータM1による回生効率を向上させることが可能となる。なお、図12のモードマップにおいては、各モードが直線で区画されているが、これに限られることはなく、曲線等で各モードが区画される他のモードマップでも良いことは言うまでもない。すなわち、前述した所定駆動力や所定車速は固定値に限られることはなく、各モードの判定基準となる所定駆動力を車速に応じて変化させても良く、各モードの判定基準となる所定車速を要求駆動力に応じて変化させても良い。
また、図1に示す場合には、クラッチCL3によって、第2サンギヤ18とリングギヤ23とを締結しているが、これらの回転要素に限られることはなく、動力分割機構12を構成する3つ以上の回転要素を締結しても良く、動力分割機構12を構成する他の回転要素同士を締結しても良い。ここで、図18は本発明の他の実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置つまりパワーユニット80を示す概略図である。なお、図18において、図1に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。図18に示すように、エンジン11に連結されるキャリア15には、中空軸81を介してスプライン歯82が固定されている。このスプライン歯82はシンクロハブ22の一端側に配置されており、シンクロスリーブ30を矢印a方向に移動させることにより、シンクロスリーブ30をスプライン歯82に噛み合わせることが可能となる。このように、シンクロハブ22、スプライン歯82およびシンクロスリーブ30によって、第2サンギヤ18とキャリア15とを締結するクラッチCL3を構成しても良い。また、前述の説明では、ブレーキ機構として機能するクラッチCL4によって、第2サンギヤ18をケース26に固定しているが、これに限られることはなく、動力分割機構12を構成する他の回転要素をケース26に固定しても良い。
また、図19は本発明の他の実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置つまりパワーユニット90を示す概略図である。なお、図19において、図1に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。図19に示すように、エンジン11にダンパ機構14を介して連結される入力軸91には、キャリア15が連結されるとともにシンクロハブ92が連結されている。このシンクロハブ92の外周部には、軸方向に移動自在にシンクロスリーブ93が噛み合っている。シンクロスリーブ93をスプライン歯25に噛み合わせることにより、シンクロスリーブ93を介してキャリア15とリングギヤ23とを連結することが可能となる。このように、シンクロハブ92、スプライン歯25およびシンクロスリーブ93によって、キャリア15とリングギヤ23とを締結するクラッチCL3が構成されている。また、入力軸91の外側には中空軸94が回転自在に設けられており、この中空軸94の一端側には第1サンギヤ17が固定される一方、中空軸94の他端側には伝達ギヤ列95を介してモータジェネレータM2が連結されている。
また、モータジェネレータM1のモータ出力軸48には駆動ギヤ96が固定されており、この駆動ギヤ96に噛み合う従動ギヤ97が前輪出力軸35に回転自在に設けられている。さらに、従動ギヤ97にはスプライン歯98が固定されており、このスプライン歯98に隣接するシンクロハブ99が前輪出力軸35に固定されている。また、シンクロハブ99の外周部には、軸方向に移動自在にシンクロスリーブ100が噛み合っている。シンクロスリーブ100をスプライン歯98に噛み合わせることにより、シンクロスリーブ100を介してモータジェネレータM1を前輪出力軸35に連結することが可能となる。このように、シンクロハブ99、スプライン歯98およびシンクロスリーブ100によって、駆動輪42f,42rにモータジェネレータM1を接続するクラッチCL2が構成されている。
このような構成のパワーユニット90であっても、EVモードからOD1モードに切り換える際には、クラッチCL4を締結して動力分割機構12の増速状態を維持したまま、モータジェネレータM2からのモータ動力によってエンジン11を始動回転させることにより、モータジェネレータM2の回転変動を抑制しながら走行モードを切り換えることが可能となる。これにより、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させるとともに、エンジン11を素早く始動して走行モードを素早く切り換えることが可能となる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、図1、図18、図19に示すように、2つのサンギヤ17,18を用いて動力分割機構12を構成することにより、共線図上で、モータジェネレータM2に連結される回転要素、前記クラッチCL4に連結される回転要素、エンジン11に連結される回転要素、前輪出力軸35に連結される回転要素の順に配列しているが、動力分割機構12の構成としては図示する構成に限られることはない。例えば、2つのリングギヤを用いて動力分割機構を構成しても良く、2つのキャリアを用いて動力分割機構を構成しても良い。
また、図示する場合には、回転同期機能を備えたシンクロメッシュによってクラッチCL1〜CL4を構成しているが、これに限られることはなく、噛合クラッチであるドグクラッチによってクラッチCL1〜CL4を構成しても良い。さらに、クラッチCL1〜CL4としては、シンクロメッシュやドグクラッチ等の噛合クラッチに限られることはなく、摩擦クラッチによってクラッチCL1〜CL4を構成しても良い。なお、図示するパワーユニット10,80,90は、四輪駆動用のパワーユニットであるが、これに限られることはなく、前輪駆動用や後輪駆動用のパワーユニットに対して本発明を適用しても良い。
10 パワーユニット(駆動装置)
11 エンジン
12 動力分割機構
15 キャリア(回転要素)
16 ピニオンギヤ(回転要素)
17 第1サンギヤ(回転要素)
18 第2サンギヤ(回転要素)
23 リングギヤ(回転要素)
26 ケース(固定部材)
35 前輪出力軸(駆動輪出力軸)
62 後輪出力軸(駆動輪出力軸)
70 モータ制御ユニット(制御手段)
72 エンジン制御ユニット(制御手段)
73 車両制御ユニット(制御手段)
80 パワーユニット(駆動装置)
90 パワーユニット(駆動装置)
MD モータ駆動系
ED エンジン駆動系
M1 モータジェネレータ(第1モータジェネレータ)
M2 モータジェネレータ(第2モータジェネレータ)
CL1 クラッチ(クラッチ機構)
CL4 クラッチ(ブレーキ機構)

Claims (4)

  1. 駆動輪出力軸に連結される第1モータジェネレータを備え、前記駆動輪出力軸にモータ動力を伝達するモータ駆動系と、
    エンジン、第2モータジェネレータおよび前記駆動輪出力軸に連結される動力分割機構を備え、前記動力分割機構を介して前記駆動輪出力軸にエンジン動力を伝達するエンジン駆動系と、
    前記駆動輪出力軸と前記動力分割機構との間に設けられ、前記モータ駆動系に前記エンジン駆動系を接続する締結状態と、接続を解除する解放状態とに切り換えられるクラッチ機構と、
    前記動力分割機構を構成する複数の回転要素のうち1つの回転要素と固定部材とを締結することにより、エンジン動力を増速して前記駆動輪出力軸に伝達する増速状態に前記動力分割機構を切り換えるブレーキ機構と、
    所定車速を上回る状態のもとで前記クラッチ機構を解放状態から締結状態に切り換える際に、前記ブレーキ機構を締結したまま前記第2モータジェネレータを駆動して前記エンジンを始動する制御手段とを有することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
  2. 請求項1記載のハイブリッド車両の駆動装置において、
    前記制御手段は、所定駆動力を下回るとともに減速して所定車速を下回る場合に、前記ブレーキ機構を締結したまま前記クラッチ機構を解放して前記エンジンを停止させ、所定駆動力を下回るとともに加速して所定車速を上回る場合に、前記ブレーキ機構を締結したまま前記エンジンを始動して前記クラッチ機構を締結することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
  3. 請求項1または2記載のハイブリッド車両の駆動装置において、
    前記動力分割機構は、共線図上で、前記第2モータジェネレータに連結される回転要素、前記ブレーキ機構に連結される回転要素、前記エンジンに連結される回転要素、前記駆動輪出力軸に連結される回転要素の順に配列される構成であることを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置において、
    前記動力分割機構を構成する複数の回転要素のうち、
    前記第2モータジェネレータに連結される回転要素は、第1サンギヤであり、
    前記ブレーキ機構に連結される回転要素は、前記第1サンギヤにピニオンギヤを介して噛み合う第2サンギヤであり、
    前記エンジンに連結される回転要素は、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するキャリアであり、
    前記駆動輪出力軸に連結される回転要素は、前記ピニオンギヤに噛み合うリングギヤであることを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
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