JP2013156470A - 電子写真用トナー、該トナーを用いた現像剤、及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも結着樹脂を含むトナー母体粒子に、脂肪酸金属塩を外添してなる電子写真用トナーであって、走査型電子顕微鏡を用いて15kV、1000倍で撮影し、80μm×110μmの範囲をEDS元素マッピングで抽出し、長径0.2μm以上のドメインについて検出したときの全検出個数が1個以上40個以下であり、長径が7μm以上のドメインが存在せずかつ長径が2μm以下のドメインが80個数%以下であることを特徴とする電子写真用トナー。
【選択図】なし
Description
しかしながら、脂肪酸金属塩は、トナー粒子から遊離して帯電付与部材に付着し、帯電性能に悪影響を及ぼすことがあり、特許文献1の方法では不十分である。
しかし、画像の高精細化高画質化のため、トナーの小粒径化や球形化を図ると、残留トナーのすり抜けが厳しくなり、残留トナーのすり抜け防止と、帯電性とを両立させることは困難である。
しかし、省エネルギー化のために低温定着性を向上させたトナーは、軟化点の低い結着樹脂が使用されるため、脂肪酸金属塩を付着させるための機械的ストレスをトナーに与えることは困難である。
(1)「少なくとも結着樹脂を含むトナー母体粒子に、脂肪酸金属塩を外添してなる電子写真用トナーであって、走査型電子顕微鏡を用いて15kV、1000倍で撮影し、80μm×110μmの範囲をEDS元素マッピングで抽出し、長径0.2μm以上のドメインについて検出したときの全検出個数が1個以上40個以下であり、長径が7μm以上のドメインが存在せずかつ長径が2μm以下のドメインが80個数%以下であることを特徴とする電子写真用トナー」、
(2)「前記脂肪酸金属塩の含有量がトナー母体粒子100重量部に対して0.10重量部以上0.50重量部以下であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真用トナー」、
(3)「前記脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の電子写真用トナー」、
(4)「無機微粒子をさらに外添してなり、該無機微粒子のトナー粒子への被覆率が50%以上85%以下であり、該無機微粒子のトナー粒子からの遊離率が15%以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の電子写真用トナー」、
(5)「前記結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真用トナー」、
(6)「前記トナー母体粒子は、トナー材料を含む油相の水系媒体分散液または乳化液から造粒してなるものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の電子写真用トナー」、
(7)「前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法であって、トナー母体粒子と無機微粒子とを混合し、トナー母体粒子表面を無機微粒子で被覆する無機微粒子添加工程と、該無機微粒子添加後のトナー粒子と脂肪酸金属塩とを混合し、脂肪酸金属塩を外添する脂肪酸金属塩添加工程を含むことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法」、
(8)「前記脂肪酸金属塩添加工程における混合速度が45m/s以下である前記第(7)項に記載のトナーの製造方法」、
(9)「前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の電子写真用トナーを含むことを特徴とする現像剤」、
(10)「静電潜像像担持体の表面を帯電させる帯電工程と、前記像担持体の表面を露光することによって前記像担持体上に潜像する露光工程と、トナー収納容器に収納されたトナーを所定部へ移送する移送工程と、前記潜像を前記トナーで現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体の中間転写体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、前記記録媒体乃至前記中間転写体に転写し切れなかった前記記録媒体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング工程を少なくとも含む画像形成方法であって、前記トナーが、前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の電子写真用トナーであることを特徴とする画像形成方法」。
さらに、低温定着性と保存安定性に優れた電子写真用トナーが提供される。
また、前記トナーを用いた現像剤、及び画像形成方法が提供される。
本発明のトナーは、トナー粒子表面に脂肪酸金属塩を均一に付着させた、従来のトナーとは異なり、トナー粒子表面の脂肪酸金属塩粒子数を減らし局在化させたものである。
すなわち、少なくとも結着樹脂を含むトナー母体粒子に、脂肪酸金属塩を外添してなる電子写真用トナーであって、走査型電子顕微鏡を用いて15kV、1000倍で撮影し、80μm×110μmの範囲をEDS元素マッピングで抽出し、長径0.2μm以上のドメインについて検出したときの全検出個数が1個以上40個以下であり、長径が7μm以上のドメインが存在せずかつ長径が2μm以下のドメインが80個数%以下である。
長径が2μm以下のドメインは、80個数%以下であり、60個数%以下であることが好ましい。
80個数%よりも多いと、経時での現像剤中での攪拌により、トナー粒子表面の脂肪酸金属塩粒子と、他のトナー粒子やキャリア粒子等との、衝突頻度が高くなり、衝突に伴い、脂肪酸金属塩が、トナー粒子間のバインダーとなって、凝集物の生成が促され、帯電安定性の低下、トナー飛散、トナー落ちが発生する。
本発明に用いられる脂肪酸金属塩粒子の脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びモンタン酸等の一価の飽和脂肪酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸等の多価の飽和脂肪酸、クロトン酸及びオレイン酸等の一価の不飽和脂肪酸、並びにマレイン酸及びシトラコン酸等の多価の不飽和脂肪酸を挙げることができ、本発明には8〜35個の炭素元素を有する飽和または不飽和の脂肪酸の金属塩が好ましく使用できる。
また、金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、銅、ルビニウム、銀、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケルの塩及びその混合物を含むがこれらには制限されない。
上記した中でも、脂肪酸としてはステアリン酸がより望ましく、金属としては亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムの中から選ばれるものがより望ましい。
その中でも、特にステアリン酸亜鉛を用いるのが最適である。ステアリン酸亜鉛は、より効果的に像担持体との摩擦低減を図れると共に、少量でも感光体表面に一様な潤滑剤の被膜形成が可能である。
また、脂肪酸金属塩は、市販されているものを分級等により、予め、長径が2μm未満のものや、7μmを越えるものを除去して用いてもよい。
0.10重量部未満であると、感光体へと供給される量が十分ではなく、満足なフィルミング抑制効果が得られない。0.50重量部を越えると、他のトナー粒子及びキャリアとの接触頻度が高くなり、経時でのトナーへの汚染によるトナー凝集が促進される。
本発明のトナーは、前記脂肪酸金属塩に加えて、無機微粒子を外添することができる。
トナー母体粒子と脂肪酸金属塩との間に無機微粒子が存在し、脂肪酸金属塩がトナー母体粒子に直接付着していないことが好ましい。トナー母体粒子と脂肪酸金属塩との間に無機微粒子が存在することにより、トナーの帯電安定性を低下させることなく、クリーニング性を向上できる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
流動性向上剤で表面処理された疎水性シリカ、疎水性酸化チタンであること好ましい。
これらは、単独でも2種以上併用してもよい。
前記流動性向上剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。
また、被覆率が50%以上85%以下であることが好ましく、トナー中の無機微粒子の含有量は、0.01重量%以上5.0重量%以下であることが好ましく、0.01重量%以上2.0重量%以下であることがさらに好ましい。
また、前記無機微粒子のトナー粒子からの遊離率は15%以下であることが好ましい。
脂肪酸金属塩粒子のトナー母体粒子への添加は、混合速度が5m/s以上55m/s以下であることが望ましく、20〜30m/sがさらに望ましい。
混合速度が5m/s未満であると、脂肪酸金属塩がトナー粒子から脱離し易くなり、混合速度が55m/s以上であると、混合ストレスにより、脂肪酸金属塩が分断し小粒径化し、トナー粒子全体に付着し易くなり、経時での帯電安定性が悪化する。
また、混合時間は処理量によるが、1〜3分間程度であることが好ましい。
他の外添剤よりも先に脂肪酸金属塩を混合すると、他の外添剤混合工程においても、脂肪酸金属塩が混合ストレスを受け、脂肪酸金属塩が小粒径化しトナー母体粒子への付着が加速され、経時での帯電性が悪化する。
トナー母体粒子への無機微粒子及び脂肪酸金属塩粒子の添加の方法は、高速流動式混合機等を用いて外添することができる。
トナー母体粒子は、結着樹脂を少なくとも含み、必要に応じて、着色剤、ワックス等の離型剤、その他後述する副成分を含むことができる。
前記結着樹脂は、トナー用として用いられている従来公知のものを使用できるが、良好な低温定着性が得られることから、ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂は、低温定着性向上のために軟化点を低くしても、他の樹脂に比べ耐衝撃性に優れ、トナーの耐ストレス性を向上させることができ、かつ、分子構造中に親水基を有し、比較的極性が高いため、水系媒体との親和性に優れ、よりトナー粒子表面の平滑化を達成しやすい。
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、ポリエステル樹脂の分子量、構成モノマーなどが、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ポリエステル樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸を脱水縮合することにより得られる。
なお、ポリエステル樹脂を架橋させるためには、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等の3価以上のアルコールを併用することが好ましい。
本発明のトナーは、非結晶性のポリエステル樹脂に加えて、結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
トナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性をもつがゆえに定着開始温度付近において、急激な粘度低下を示す熱溶融特性を示す。したがって、溶融開始温度での急激な粘度低下により良好な低温定着性が得られる。
結晶性ポリエステル樹脂の酸成分としては、二重結合(C=C結合)を有する炭素数2〜12のジカルボン酸、もしくは、炭素数2〜12の飽和ジカルボン酸、特にフマル酸、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1、−8オクタン二酸、1,10―デカン二酸、1,12ドデカン二酸およびこれらの誘導体であることが好ましい。
中でも、吸熱ピーク温度と吸熱ショルダー温度の差をより小さくする点で、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1、−8オクタンジオール、1,10―デカンジオール、1,12ドデカンジオールのいずれか一種類のアルコール成分と、フマル酸、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1、−8オクタン二酸、1,10―デカン二酸、1,12―ドデカン二酸のいずれか一種類のジカルボン酸成分のみで構成されることが好ましい。
本発明の結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができるが、簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1もしくは990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを例としてあげることができる。
結晶性ポリエステル樹脂の分子量分布は、o−ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布で、横軸をlog(M)、縦軸を重量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5〜4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)で3000〜30000、数平均分子量(Mn)で1000〜10000、Mw/Mnが1〜10であることが好ましい。
更には、重量平均分子量(Mw)で5000〜15000、数平均分子量(Mn)で2000〜10000、Mw/Mnが1〜5であることが好ましい。
本発明の離型材としては、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ロウ類及びワックス類としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。また、これら天然ワックスのほか、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレン等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド系化合物;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、などを用いてもよい
着色剤としては、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポン等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
磁性材料としては、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。なお、磁性材料は、トナーの色調の点から、白色のものが好ましい。本発明のトナーは、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、長期に亘り、高品位な画像を形成することができる。したがって、本発明のトナーは、各種分野で使用することができ、特に、電子写真法による画像形成に使用することが好ましい。
トナー母体粒子の製造方法としては、トナー材料を含む油相の水系媒体分散液または乳化液から造粒することができ、例えば、少なくとも、活性水素基を有する化合物、該活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、及び、結着樹脂を有機溶媒中に溶解又は分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋反応又は伸長反応させ、溶媒を除去し、界面活性剤等を洗浄して得られる。
そして、このポリエステルプレポリマーとアミン類等の活性水素基含有化合物との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られる変性ポリエステル樹脂は、低温定着性を維持しながらホットオフセット性を向上させることができる。
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などを用いることができるが、これらの中でも、水が特に好ましい。水と混和可能な溶剤としては、水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などを用いることができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。また、低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のトナーは、体積平均粒径が2〜6μmであることが好ましく、3〜5.5μmであることがより好ましい。
なお、トナーの体積平均粒径及び数平均粒径は、コールターカウンター法を用いて測定することができる。
本発明のトナーは、単独またはキャリアと混合して、一成分現像剤、または二成分現像剤等として用いることができ、磁性一成分現像法、非磁性一成分現像法、二成分現像法等の公知の各種電子写真法に用いることができる。
近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等には、寿命向上等の点で、二成分現像剤を用いることが好ましい。
本発明のトナーを一成分現像剤として用いると、トナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を抑制することができ、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性が得られる。
また、本発明のトナーを二成分現像剤として用いると、長期に亘るトナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
なお、画像濃度の確保の点では、芯材として、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき、高画質化に有利である点では、芯材として、Cu−Zn系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料を用いることが好ましい。
また、ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体等が挙げられる。ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
導電粉の材料としては、例えば、金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。なお、導電粉は、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。平均粒径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。樹脂層は、例えば、シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布液を調製した後、公知の塗布方法により、芯材の表面に塗布液を塗布して、乾燥及び焼付を行なうことにより形成することができる。
さらに、焼付方法としては、外部加熱方式及び内部加熱方式のいずれであってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロ波を用いる方法等が挙げられる。
本発明の現像剤収容容器は、本発明の現像剤が収容されているが、容器としては、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができるが、容器本体とキャップを有するもの等が挙げられる。また、容器本体の大きさ、形状、構造、材質等は、特に限定されないが、形状は、円筒状等であることが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより、内容物である現像剤が排出口側に移行することが可能であり、スパイラル状の凹凸の一部又は全てが蛇腹機能を有することが特に好ましい。さらに、材質は、特に限定されないが、寸法精度がよいものであることが好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、BS樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
本発明のフルカラー画像形成方法は、電子写真感光体を帯電手段により帯電させる帯電工程と、前記帯電された電子写真感光体上に露光手段により静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を形成された電子写真感光体上にトナーを含む現像手段によりトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を一次転写手段により中間転写体上に転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を二次転写手段により記録材上に転写する二次転写工程と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材を含む定着手段により記録材上に定着させる定着工程と、前記一次転写手段によりトナー像を中間転写体上に転写した電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニング手段によりクリーニングするクリーニング工程とを備えている。そして、現像工程において使用するトナーが、上述の本発明の製造方法で製造されたトナーである。本発明のフルカラー画像形成方法は、二次転写工程において、トナー像の記録材への転写の線速度は300〜1000mm/secであり、二次転写手段のニップ部での転写時間は0.5〜20msecとすることが好ましい。また、本発明のフルカラー画像形成方法は、タンデム方式の電子写真画像形成プロセスを採用することが好ましい。
本発明の画像形成方法において使用される帯電装置としては、例えば図1及び図2に示した接触式の帯電装置を用いることができる。
図1に接触式帯電装置の一種であるローラ式帯電装置(500)の一例の概略構成を示した。被帯電体である像担持体としての感光体(505)は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(505)に接触させた帯電部材である帯電ローラ(501)は芯金(502)とこの芯金(502)の外周に同心一体にローラ上に形成した導電ゴム層(503)を基本構成とし、芯金の両端を不図示の軸受け部材などで回転自由に保持させるとともに、不図示の加圧手段によって感光ドラムに所定の加圧力で押圧させており、本図の場合はこの帯電ローラ(501)は感光体(505)の回転駆動に従動して回転する。帯電ローラ(501)は、直径9mmの芯金上に100,000Ω・cm程度の中抵抗の導電ゴム層(503)を被膜して直径16mmに形成されている。帯電ローラ(501)の芯金(502)と図示の電源(504)とは電気的に接続されており、電源(504)により帯電ローラ(501)に対して所定のバイアスが印加される。これにより感光体(505)の周面が所定の極性、電位に一様に帯電処理される。
本発明で使われる帯電装置の形状としてはローラ式帯電装置の他にも、磁気ブラシ式帯電装置、ファーブラシ式帯電装置など、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシ式帯電装置を用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。また、ファーブラシ式帯電装置を用いる場合、例えばファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属、および金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電装置とする。
図3は、磁気ブラシ式帯電装置の例の概略構成を示した図でもある。被帯電体、像担持体としての感光体(515)は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(515)に対して、磁気ブラシによって構成されるブラシローラ(511)が、ブラシ部(513)の弾性に抗して所定の押圧力をもって所定のニップ幅で接触させてある。
本発明において感光体の潜像を現像するに際しては、交互電界を印加することが好ましい。図4に示した現像器(600)において、現像時、現像スリーブ(601)には、電源(602)により現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。背景部電位と画像部電位は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって現像部(603)に向きが交互に変化する交互電界が形成される。この交互電界中で現像剤のトナーとキャリアが激しく振動し、トナー(605)が現像スリーブ(601)およびキャリアへの静電的拘束力を振り切って感光体(604)に飛翔し、感光体の潜像に対応して付着する。なお、トナー(605)は、上述の本発明の製造方法で製造されたトナーである。
本発明の画像形成方法において使用される定着装置としては、例えば図4に示した帯電装置を用いることができる。図4に示す定着装置は、誘導加熱手段(760)の電磁誘導により加熱される加熱ローラ(710)と、該加熱ローラ(710)と平行に配置された定着ローラ(720)(対向回転体)と、該加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)とに張り渡され、該加熱ローラ(710)により加熱されるとともに少なくともこれらの何れかのローラの回転により矢印A方向に回転する無端帯状の定着ベルト(耐熱性ベルト、トナー加熱媒体)(730)と、該定着ベルト(730)を介して定着ローラ(720)に圧接されるとともに定着ベルト(730)に対して順方向に回転する加圧ローラ(740)(加圧回転体)とから構成されている。
基体(731):ポリイミド(PI)樹脂などの樹脂層 ・発熱層(732):Ni、Ag、SUS等の導電材料層 ・中間層(733):均一定着のための弾性層 ・離型層(734):離型効果とオイルレス化のための弗素樹脂材料等の樹脂層
離型層(734)の厚さとしては、10μmから300μm程度が望ましく、特に200μm程度が望ましい。このようにすれば、図5に示すような定着装置(700)において、記録材(770)上に形成されたトナー像(T)を定着ベルト(730)の表層部が十分に包み込むため、トナー像(T)を均一に加熱溶融することが可能になる。離型層(734)の厚さ、即ち表面離型層は経時耐磨耗性を確保するためには最低10μmは必要である。また、離型層(734)の厚さが300μmよりも大きい場合には、定着ベルト(730)の熱容量が大きくなってウォームアップにかかる時間が長くなる。さらに、トナー像定着工程において定着ベルト(730)の表面温度が低下しにくくなって、定着部出口における融解したトナーの凝集効果が得られず、定着ベルト(730)の離型性が低下してトナー像(T)のトナーが定着ベルト(730)に付着し、いわゆるホットオフセットが発生する。なお、定着ベルト(730)の基体として、上記金属からなる発熱層(732)としてもよいが、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂などの耐熱性を有する樹脂層を用いてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーによりトナー像とする現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに記録材上に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材により記録材上に定着させる定着手段定着工程と、前記転写手段によりトナー像を中間転写体又は記録材上に転写した後の電子写真感光体表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備えた画像形成装置における各手段のうち、少なくとも電子写真感光体、及び現像手段を含む上記手段を一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在としたものである。そして、現像手段には、上述の本発明の製造方法によって製造したトナー
を備えている。現像手段及び帯電手段としては、上述の現像装置及び帯電装置が好適に使用できる。
本発明のフルカラー画像形成方法において使用されるフルカラー画像形成装置としては、例えば、図8に示したタンデム方式の画像形成装置(100)を用いることができる。図8において、画像形成装置(100)は電子写真方式によるカラー画像形成を行なうための画像書込部(120Bk、120C、120M、120Y)、画像形成部(130Bk、130C、130M、130Y)、給紙部(140)から主に構成されている。画像信号を元に、画像処理部(図示せず)で画像処理を行ない、画像形成用の黒(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色信号に変換し、画像書込部(120Bk、120C、120M、120Y)に送信する。画像書込部(120Bk、120C、120M、120Y)は、例えば、レーザ光源、回転多面鏡等の偏向器、走査結像光学系及びミラー群(いずれも図示せず)からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部(130Bk、130C、130M、130Y)に各色信号に応じた画像書込を行なう。
上記樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,10−デカン二酸2300g、1、8−オクタンジオール2530g、ハイドロキノン4.9gを入れ、180℃で8時間反応させた後、215℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaにて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
DSCのピーク温度は、70度GPC測定での分子量はMw13000、Mn3200 Mw/Mn3.5であった。
金属製2L容器に[結晶性ポリエステル樹脂]を100部、酢酸エチル400部入れ、75度加熱溶解させた後、氷水浴中で27℃分の速度で急冷した。これにガラスビーズ(3mmφ)500mlを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)で10時間粉砕を行い、[結晶性ポリエステル分散液]を得た。
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価51であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。
[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。 [ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、イソフタル酸100部、テレフタル酸108部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で220℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸30部を入れ、180℃、常圧で3時間反応し、[非結晶性ポリエステル1]を得た。
[非結晶性ポリエステル1]は、数平均分子量1600、重量平均分子量4800、Tg55℃、酸価17であった。
水1200部、Pigment Blue 15:3(大日精化製)540部、[非結晶性ポリエステル樹脂]1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて80℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチCy]を得た。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[非結晶性ポリエステル1]378部、離型材(HNP−51;日本精蝋製)110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチCy]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[非結晶性ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1042.3部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
[顔料・WAX分散液1]664部、[プレポリマー1]を109.4部、[結晶性ポリエステル分散液1]を73.9部、[ケチミン化合物1]4.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い[母体トナー1]を得た。母体トナー1の体積粒径は5.2μmであった。
ステアリン酸140部をエタノール1000部に投入し75℃で混合したもの対して、水酸化亜鉛50部をゆっくり加え、投入後1時間混合した。その後20℃まで冷却し、生成物を取り出し、150℃で乾燥させ、エタノールを除去した。得られたステアリン酸亜鉛の固形物をハンマーミルで粗粉砕し、ジェット気流式粉砕機(I−20ジェットミル、日本ニューマチック社製)により微粉砕を行い、風力式分級機(DS−20・DS−10分級機、日本ニューマチック社製)にてカットポイント5.6μmで分級を行い、体積平均粒径が5.0μmのステアリン酸亜鉛を得た。
ステアリン酸140部をエタノール1000部に投入し75℃で混合したもの対して、水酸化カルシウム30部をゆっくり加え、投入後1時間混合した。その後20℃まで冷却し、生成物を取り出し、150℃で乾燥させ、エタノールを除去した。得られたステアリン酸亜鉛の固形物をハンマーミルで粗粉砕し、ジェット気流式粉砕機(I−20ジェットミル、日本ニューマチック社製)により微粉砕を行い、風力式分級機(DS−20・DS−10分級機、日本ニューマチック社製)でカットポイント5.6μmで分級を行い、体積平均粒径が5.0μmのステアリン酸カルシウムを得た。
[母体トナー1] 100部
シリカ (NX−90G:日本アエロジル社製:20nm) 1.1部
疎水性シリカ (RY−50:日本アエロジル社製:40nm) 1.1部
酸化チタン (MT−150:テイカ社製:15nm) 0.6部
上記材料をヘンシェルミキサー20Bを用い、層内温度を25〜30℃に保った上で、周速45m/sで10分混合した。
混合後、ステアリン酸亜鉛を0.30部添加し、更に周速25m/sで2分間混合した。
混合終了後36μmの超音波振動装置で篩がけを行い、トナー1を得た。
ステアリン酸亜鉛の添加量を0.05部に代える他は実施例1と同様にしてトナー2を得た。
ステアリン酸亜鉛の添加量を0.15部に代える他は実施例1と同様にしてトナー3を得た。
ステアリン酸亜鉛の添加量を0.45部に代える他は実施例1と同様にしてトナー4を得た。
ステアリン酸亜鉛の添加量を0.55部に代える他は実施例1と同様にしてトナー5を得た。
ステアリン酸亜鉛をステアリン酸カルシウムに代える他は実施例1と同様にしてトナー6を得た。
[母体トナー1] 100部
ステアリン酸亜鉛 0.30部
上記材料を、ヘンシェルミキサー20Bを用い、周速25m/sで2分間合した。
NX−90G:日本アエロジル社製:20nm) 1.1部
疎水性シリカA (RY−50:日本アエロジル社製:40nm) 1.1部
酸化チタン (MT−150:テイカ社製:15nm) 0.6部
混合後、上記材料を添加し、層内温度を25〜30℃に保った上で、周速45m/sで10分混合した。
混合終了後36μmの超音波振動装置で篩がけを行い、トナー7を得た。
ステアリン酸亜鉛添加後の混合強度を10m/sに代える他は実施例1と同様にしてトナー8を得た。
ステアリン酸亜鉛添加後の混合強度を40m/sに代える他は実施例1と同様にしてトナー9を得た。
ステアリン酸亜鉛添加後の混合強度を50m/sに代える他は実施例1と同様にしてトナー10を得た。
微粒子の添加量を以下のように代える他は実施例1と同様にしてトナー11を得た。
シリカ(NX−90G:日本アエロジル社製:20nm) 0.75部
疎水性シリカ (RY−50:日本アエロジル社製:40nm) 0.75部
酸化チタン (MT−150:テイカ社製:15nm) 0.40部
微粒子の添加量を以下のように代える他は実施例1と同様にしてトナー12を得た。
シリカ(NX−90G:日本アエロジル社製:20nm) 1.24部
疎水性シリカ (RY−50:日本アエロジル社製:40nm) 1.24部
酸化チタン (MT−150:テイカ社製:15nm) 0.65部
[母体トナー1]を[母体トナー2]に代える他は実施例1と同様にしてトナー13を得た。
ステアリン酸亜鉛を加えない他は実施例1と同様にしてトナー14を得た。
ステアリン酸亜鉛の添加量を0.80部に代える他は実施例1と同様にしてトナー15を得た。
[母体トナー1] 100部
ステアリン酸亜鉛 0.05部
上記材料を、ヘンシェルミキサー20Bを用い、周速50m/sで2分間合した。
NX−90G:日本アエロジル社製:20nm) 1.1部
疎水性シリカA (RY−50:日本アエロジル社製:40nm) 1.1部
酸化チタン (MT−150:テイカ社製:15nm) 0.6部
混合後、上記材料を添加し、層内温度を25〜30℃に保った上で、周速45m/sで10分混合した。
混合終了後36μmの超音波振動装置で篩がけを行い、トナー16を得た。
ステアリン酸亜鉛の添加量を0.50部に代える他は比較例3と同様にしてトナー17を得た。
走査型電子顕微鏡を用いて15kV、1000倍で撮影し、80μm×110μmの範囲をEDS元素マッピングにより脂肪酸金属塩の金属成分を検出した。
得られた画像から画像解析ソフト(Paint Shop)を用いて画像処理を行い2値化した。
このとき2値化を実行する閾値を70とした。得られた画像から画像解析ソフト(Image Pro+)を用いて、長径0.2μm以上の脂肪酸金属塩を検出し、全検出個数と全検出個数に対する、長径で2μm以下の個数を算出した。
外添剤の被覆率は以下の式によって導かれる。
H=Σ(√3×Dv×Pt/(2π・da・Pa)×Ca×100)
Dv:トナーの平均粒径
Pt:トナーの新比重
da:外添剤の1次平均粒径
Pa:外添剤の真比重
Ca:トナー中の外添剤の量(%)
無機金属微粒子が複数ある場合は、個々の粒子径、真比重、外添量を確認の上、被覆率を算出する。外添剤の1次平均粒子径はSEM写真から計算し、トナーの平均粒径はコールタマルチサイザーIIIにて計算した。
脂肪族金属塩及び無機微粒子の遊離率測定方法について説明する。
(1)200mlの軟膏瓶に、イオン交換水を100ml、界面活性剤を含有した33%ドライウエル水溶液(商品名ドライウエル、富士写真フイルム株式会社製)を4.4ml添加し、その混合液にトナー5gを加えて手振り30回でよく混ぜ、1時間以上静置する。
(2)手振り20回で攪拌後、超音波ホモジナイザー(商品名homogenizer、形式VCX750、CV33、SONICS&MATERIALS有限会社製)を用いて、出力50%にダイヤルを設定し、2分間超音波エネルギーを付与する。
超音波条件振動時間:60秒連続振幅:20W(30%)振動開始温度:23±1.5℃。
(3)分散液をろ紙(商品名定性ろ紙(No.2、110mm)、アドバンテック東洋株式会社製)で吸引ろ過し、再度イオン交換水で2回洗浄しろ過し、遊離した添加剤を除去後、トナー粒子を乾燥させる。
(4)添加剤除去前後のトナーの添加剤量を蛍光X線法で定量し、添加剤遊離量を遊離率として評価する。
前項(1)乃至(4)の方法により測定された分散前及び分散後におけるトナーの添加剤量の値を下式:遊離外添剤率=(分散前外添剤量−分散後の残留外添剤量)/分散前外添剤量×100 に代入して得られた値を遊離率とする。
蛍光X線については、シリカはSi、酸化チタンはTiを測定することで、それぞれの遊離率を算出した。
画像形成装置( 株式会社リコー製、imagio MP C5000)を用いて、各トナーを用いて画像面積率5 % チャート連続100,000 枚出力する。耐久試験を実施後の複写機内のトナー汚染状態を目視にて、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎ : トナー汚れがまったく観察されず良好な状態である。
○ : わずかに汚れが観察される程度であり問題とならない。
△ : 少し汚れが観察される程度である。
× : 許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる。
各現像剤を用いて、画像面積率1 2 % の文字画像パターンを用いて、連続10万枚出力する耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。スリーブ上から現像剤を少量採取し、ブローオフ法により帯電量変化を求め、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
○ : 帯電量の変化が5μc/g未満である。
△ : 帯電量の変化が5μc/g 以上10μc/g以下である。
× : 帯電量の変化が10μc/gを超える。
画像面積率100% 、75% 、及び50% の帯チャートを1,000枚出力後の現像ローラ、及び感光体上のフィルミングを観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎ : まったくフィルミングが発生していない。
○ : うっすらとフィルミングの発生を確認できる。
△ : スジ状にフィルミングが発生している。
× : 全面にフィルミングが発生している。
リコー製Ricoh Pro C751ex 機を改造し、使用した。0-10,000枚までを23℃/50%RH、10,000枚-20,000までを28℃/85%、20,000-30,000までを15℃/30%可で画像面積率5%画像と20%を1000枚ごとに交互に出力した。この実機作像を3セットで90,000枚まで実施し得られたサンプル画像を10,000枚ごとにドット画像とベタ画像を出力し、定着パットですった後の画像濃度残存率から下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○ : サンプル画像それぞれの画像濃度残存率が85%以上のもの。
△ : サンプル画像それぞれの画像濃度残存率が70〜85%のもの。
× : サンプル画像それぞれの画像濃度残存率が70%以下のもの。
500 ローラ式帯電装置
501 帯電ローラ
502 芯金
503 導電ゴム層
504 電源
505 感光体
510 ブラシ式帯電装置
511 ファーブラシローラ
513 ブラシ部
514 電源
515 感光体
(図4の符号)
600 現像器
601 現像スリーブ
602 電源
603 現像部
604 感光体
605 トナー
(図5及び図6の符号)
700 定着装置
710 加熱ローラ
720 定着ローラ
721 芯金
722 弾性部材
730 無端帯状の定着ベルト
731 基体
732 発熱層
733 中間層
734 離型層
740 加圧ローラ
741 芯金
742 弾性部材
760 誘導加熱手段
761 励磁コイル
762 コイルガイド板
763 励磁コイルコア
764 励磁コイルコア支持部材
770 記録材
(図7の符号)
800 プロセスカートリッジ
801 感光体
802 帯電手段
803 現像手段
804 現像剤
805 現像手段
806 クリーニング手段
(図8の符号)
100 感光体
120Bk,120C,120M,120Y 画像書込部
130Bk,130C,130M,130Y 画像形成部
140 給紙部
150 定着装置
160 レジストローラ
170 2次転写ローラ
180 2次転写ベルト
200Bk,200C,200M,200Y 現像装置
210Bk,210C,210M,210Y 感光体
215Bk,215C,215M,215Y 帯電装置
220 中間転写ベルト
230Bk,230C,230M,230Y 1次転写装置
241 導電性ローラ
242 導電性ローラ
243 導電性ローラ
250Bk,250C,250M,250Y トナー移送管
261 導電性ファーブラシ
262 プレ転写チャージャ
300Bk,300C,300M,300Y クリーニング装置
(図9の符号)
10Y、10C、10M、10K 感光体
14 第1の支持ローラ
15 第2の支持ローラ
16 第3の支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
21 露光手段
22 2次転写手段
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 手差しトレイ
53 給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
58 分離ローラ
62 1次転写装置
100 画像形成装置
110 複写装置本体
120 タンデム画像形成装置
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
Claims (10)
- 少なくとも結着樹脂を含むトナー母体粒子に、脂肪酸金属塩を外添してなる電子写真用トナーであって、走査型電子顕微鏡を用いて15kV、1000倍で撮影し、80μm×110μmの範囲をEDS元素マッピングで抽出し、長径0.2μm以上のドメインについて検出したときの全検出個数が1個以上40個以下であり、長径が7μm以上のドメインが存在せずかつ長径が2μm以下のドメインが80個数%以下であることを特徴とする電子写真用トナー。
- 前記脂肪酸金属塩の含有量がトナー母体粒子100重量部に対して0.10重量部以上0.50重量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
- 前記脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナー。
- 無機微粒子をさらに外添してなり、該無機微粒子のトナー粒子への被覆率が50%以上85%以下であり、該無機微粒子のトナー粒子からの遊離率が15%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記トナー母体粒子は、トナー材料を含む油相の水系媒体分散液または乳化液から造粒してなるものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法であって、トナー母体粒子と無機微粒子とを混合し、トナー母体粒子表面を無機微粒子で被覆する無機微粒子添加工程と、該無機微粒子添加後のトナー粒子と脂肪酸金属塩とを混合し、脂肪酸金属塩を外添する脂肪酸金属塩添加工程を含むことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
- 前記脂肪酸金属塩添加工程における混合速度が45m/s以下である請求項7に記載のトナーの製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真用トナーを含むことを特徴とする現像剤。
- 静電潜像像担持体の表面を帯電させる帯電工程と、前記像担持体の表面を露光することによって前記像担持体上に潜像する露光工程と、トナー収納容器に収納されたトナーを所定部へ移送する移送工程と、前記潜像を前記トナーで現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体の中間転写体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、前記記録媒体乃至前記中間転写体に転写し切れなかった前記記録媒体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング工程を少なくとも含む画像形成方法であって、前記トナーが、請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
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