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JP2013035011A - 温度推定方法および温度推定装置 - Google Patents

温度推定方法および温度推定装置 Download PDF

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JP2013035011A JP2011172312A JP2011172312A JP2013035011A JP 2013035011 A JP2013035011 A JP 2013035011A JP 2011172312 A JP2011172312 A JP 2011172312A JP 2011172312 A JP2011172312 A JP 2011172312A JP 2013035011 A JP2013035011 A JP 2013035011A
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Abstract

【課題】事前に熱伝達の形態を予測した上で解析することなく、連続鋳造機における鋼片の局所的な温度分布の正確な予測をする。
【解決手段】本発明の温度推定方法は、連続鋳造機における鋼片の温度推定を行う位置を入力する入力ステップ(S1)と、熱伝達係数を計算するための操業条件を取得する取得ステップ(S2)と、操業条件に基づいて前記位置における複数の熱伝達係数を計算する計算ステップ(S3〜S8)と、複数の熱伝達係数のうち一つを選択する選択ステップ(S9)と、選択した熱伝達係数を用いて伝熱計算を行う伝熱計算ステップ(S10)とを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、連続鋳造機における鋼片の温度推定方法および温度推定装置に関するものである。
現在の製鉄プロセスにおいては、精錬した溶鋼を鋳造して鋼片を製造する方法として、連続鋳造法と呼ばれる手法が一般に用いられている。これは、連続鋳造法が溶鋼を連続的に処理できるため生産性に優れており、バッチ式である鋳型へ溶鋼を流し込む方法に比べて熱効率がよく省エネルギーだからである。さらに、連続鋳造法は、介在物の浮上除去による内部品質の安定などが可能であるという利点もある。
ところで、連続鋳造法においては、液体の状態である溶鋼を、装置内に注入、冷却して、最終的に固体である鋼片とする。この冷却が強すぎると装置内の鋼片温度が低くなりすぎて、強度が過大となり装置内を通過させることが困難となる。一方、冷却が弱すぎると、凝固部の強度が過小となり、装置内を通過する際にその強度の過小となった部分が破断して、内部の未凝固の溶鋼が機外に流出する、いわゆるブレークアウトと呼ばれる事故を引き起こすことがある。したがって、連続鋳造法においては、適切な冷却条件の制御による温度の適正な管理が求められる。そこで、経験的な知見に基づいた温度推定方法などが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
与えられた冷却条件に対して、温度の推移を予測するにあたっては、鋼片外部との熱のやり取り(熱伝達)のしやすさをあらわす値である熱伝達係数を正確に予測することが重要である。熱伝達係数は、冷却手法および環境などによって大きく変動する。従来から、各冷却手法に対して適切な熱伝達係数を決定する研究が多数行われており、冷却手法について温度推移を予測するに当たって必要となる熱伝達係数を推定する式も、多数提案されている(例えば非特許文献1参照)。
連続鋳造機内では、平均的な鋳造条件などを考慮して、装置の場所に応じて異なる冷却装置を配置していることが一般的である。したがって、連続鋳造機内における鋼片の温度を正確に予測するには、スプレーなどの冷却装置や推定される温度などをもとに、その場所に応じた適切な熱伝達形態を予測し、それに対応した熱伝達係数を算出する式を用いて、温度の推移を予測する必要がある。そこで従来、鋳造方向の場所に応じて熱伝達係数を求める式を変化させ、温度推移を予測する方法が広く行われている(例えば特許文献3、4、5参照)。
特開昭63−235055号公報 特開平08−276258号公報 特開昭60−54257号公報 特開昭60−54258号公報 特開2003−136208号公報
「鉄鋼製造プロセスにおける冷却技術」(日本鉄鋼協会),1988,p.70-71
近年、連続鋳造の生産性と品質のさらなる向上が求められている。生産性向上の手法としてはたとえば鋳造速度を高めるという手法がとられる。しかしながら、鋳造速度が向上すると凝固不良による製造トラブルが起き易くなる。加えて、冷却度合いの不均一に由来すると想定される熱応力の発生とそれに起因する割れなどの表面性状の不良、鋼片内部の凝固度合いの不均一に由来する鋼片中心部の成分不均一部、いわゆる中心偏析なども発生しやすくなる。このような事態を回避するために、均一に冷却する技術の開発が求められていた。このためには、鋼片の局所的な温度分布を正確に予測する技術が重要である。
しかしながら、従来の局所的な温度分布の予測方法では、事前に温度予測位置での熱伝達係数の変化の度合いを予測する必要があるという課題があった。そのため、予測値を実測値にあわせるために適当な補正係数を与えたりすることも多く、合理性および汎用性に欠ける場合も往々にして存在した。さらに、熱伝達係数を求める式は、スプレーの水量などに関して適用範囲があるのが普通であるが、場合によっては不適当な水量で適用した計算が行われる場合もあった。これらの問題は、熱伝達の形態は局所的に変化しているのに対して、事前に熱伝達の形態を予測した上で解析することに起因するものである。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、事前に熱伝達の形態を予測した上で解析することなく、連続鋳造機における鋼片の局所的な温度分布を予測可能な温度推定方法およびそのための装置を提供することである。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る温度推定方法は、連続鋳造機における鋼片の温度推定を行う位置を入力する入力ステップと、熱伝達係数を計算するための操業条件を取得する取得ステップと、前記操業条件に基づいて前記位置における複数の熱伝達係数を計算する計算ステップと、前記複数の熱伝達係数のうち一つを選択する選択ステップと、前記選択した熱伝達係数を用いて伝熱計算を行う伝熱計算ステップとを含むことを特徴とする。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る温度推定装置は、連続鋳造機における鋼片の温度推定を行う位置を入力する入力手段と、熱伝達係数を計算するための操業条件を取得する取得手段と、前記操業条件に基づいて前記位置における複数の熱伝達係数を計算する計算手段と、前記複数の熱伝達係数のうち一つを選択する選択手段と、前記選択した熱伝達係数を用いて伝熱計算を行う伝熱計算手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る温度推定方法および温度推定装置によれば、事前に熱伝達の形態を予測した上で解析することなく、連続鋳造機における鋼片の局所的な温度分布の予測をすることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る連続鋳造機の概略構成を示す模式図である。 図2は、本発明の実施形態に係る温度推定方法を示すフローチャートである。 図3は、従来技術の温度推定方法を示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施形態に係る温度推定方法と比較例とによる鋼片内部の凝固位置の推定位置を示すグラフである。 図5は、本発明の実施形態に係る温度推定装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る連続鋳造機における鋼片の温度推定方法および温度推定装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る連続鋳造機の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る連続鋳造機1は、溶鋼2が注入されるタンディッシュ3と、浸漬ノズル4を介してタンディッシュ3から注がれた溶鋼2を表面の凝固シェル5が樹枝状晶に成長するまで整形しつつ半凝固させる銅製の鋳型6と、鋳型6から半凝固状態の鋼片7を垂直下方に引き抜きつつ冷却する鋼片支持ロール8aと、鋼片支持ロール8aによって引き抜かれた鋼片7を冷却搬送する鋼片支持ロール8bと、鋼片支持ロール8bによって搬送された鋼片7を水平方向に冷却搬送する鋼片支持ロール8cと、鋼片支持ロール8cによって搬送された鋼片7を所定の長さに切断するガス切断機9とを備える。ガス切断機9によって切断された鋼片7は、圧延工程等の後工程へと順次送られる。
本発明の実施形態における連続鋳造機1における鋼片は、鋳型6により鋳型表面からの抜熱により冷却される。その後、鋼片支持ロール8aから8cによる搬送区間(すなわち二次冷却帯)において、鋼片は、スプレーから噴霧された水または空気による抜熱と、ロールと鋼片が接触することによる抜熱と、輻射による抜熱と、対流による抜熱との組み合わせにより冷却される。ここで、スプレーの噴霧には、水スプレー冷却、ミストスプレー冷却などがある。
以下、上記説明した連続鋳造機1の例を用いて、本発明の実施形態にかかる温度推測方法について説明する。まず、本発明の実施形態の説明に前提として用いる、境界条件および熱伝達係数について説明する。
ここで云う境界条件とは、鋼片の伝熱計算する際の鋼片表面における境界条件である。本発明の実施形態に係る温度推測方法では、時間および位置に応じた局所的な温度を正確に予測するためにこの境界条件を時間および位置に応じて変化させる。その変化させるピッチは、どの程度の短い時間あるいは細かい領域の温度を予測するかに応じて任意に設定すればよい。温度の変化を予測したい時間の間隔をδt(s)とする場合、δtより小さな値とすることにより、境界条件の時間変化を反映させた温度を予測することが可能となる。また、位置による変化については、鋳造速度をVc(m/s)とするとき、位置による変化がVc(m/s)×δt(s)より大きな値であれば、境界条件の位置による変化を反映させた温度を予測することが可能となる。
なお、境界条件の変化は、実際の熱伝達の形態が変化していることを再現させるためのものであり、実際の熱伝達の形態が変化していないところにおいては、変化させる必要がないことは当然である。実用的には、計算の複雑さ及び計算量並びに境界条件の測定の確かさ、さらに対象物である鋼材の熱伝導率などを考慮すると、時間については1(s)程度が下限となり、位置については5(mm)程度が実質的な下限となる。
ここで云う熱伝達係数とは、鋼片とその外部との間の熱エネルギーの伝え易さを表す値である。温度予測のための境界条件としては、温度および熱伝達係数などが挙げられるが、本発明の実施形態にかかる温度推測方法では、熱伝達係数を用いる。表面温度を境界条件として規定した場合、内部温度の予測は容易となる。しかしながら、連続鋳造方法における鋼片のように高温の媒体では、温度計によって測定された温度は必ずしも鋼片の実際の温度と対応しないことがあり、その正確な温度を知ることが困難であることが多い。とりわけ、時間および位置によって局所的に変化する温度を予測したい場合、そのような正確な温度を知ることは一層困難である。したがって、温度を境界条件として与えることは望ましくない。一方、熱伝達係数は、本発明の実施形態にかかる温度予測方法のように、時間および位置によって局所的に熱伝達の形態が変化した場合の温度を予測する用途に好適である。
なお、境界条件の設定は、連続鋳造のように鋼片の表面に媒体を噴射あるいは接触させることによって冷却させるような装置の場合、鋼片の表面に対して設定することが通常である。しかし、何らかの方法により、たとえば電磁誘導による加熱あるいは何らかの方法により内部から冷却する機構がある場合は鋼片内部に境界条件を設定してもよい。
以下、上述した本発明の実施形態に係る温度推定方法の例を図2を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る温度推定方法では、時間および位置による局所的に変化する熱伝達の形態を推定するにあたって、その場面において予想される熱伝達係数を複数計算し、その複数の熱伝達係数の中から最適な熱伝達係数を選定することによって行う。
図2は、本発明の実施形態に係る温度推定方法を示すフローチャートである。まず、本発明の実施形態に係る温度推定方法を適用する位置を入力する(ステップS1)。そして、その位置および時間における送水量および空気の送り量など、熱伝達係数の計算に必要な操業条件の値を取得する(ステップS2)。これらの操業条件の値は、操業のデータをスプレーノズルなどの配置、性能などオフラインで求められた情報を使って計算して求めてもよいし、何らかの方法で実測した値を用いてもよい。
次に、ステップS2で取得した値に基づいて、ステップS1で入力した位置および時間における熱伝達係数を複数計算する(ステップS3〜S8)。以下で説明する本発明の実施形態に係る温度推定方法では、複数の熱伝達係数として、水スプレーの熱伝達係数Hと、ミストスプレーの熱伝達係数Hと、強制対流の熱伝達係数Hと、輻射による熱伝達係数Hと、ロール接触による熱伝達係数Hと、自然対流による熱伝達係数Hとの6種類の熱伝達係数を計算する。
ステップS3は、水スプレーの熱伝達係数Hを計算するものである。例えば、この熱伝達係数を計算する式としては、前掲非特許文献1の「日本鉄鋼協会:「鉄鋼製造プロセスにおける冷却技術」(1988),p.70」に基づく下式を用いることができる。
Figure 2013035011
ステップS4は、ミストスプレーの熱伝達係数Hを計算するものである。例えば、この熱伝達係数を計算する式としては、前掲非特許文献1の「日本鉄鋼協会:「鉄鋼製造プロセスにおける冷却技術」(1988),p.71」に基づく下式を用いることができる。
Figure 2013035011
ステップS5は、強制対流の熱伝達係数Hを計算するものである。例えば、この熱伝達係数を計算する式としては、以下の式を用いることができる。
Figure 2013035011
ステップS6は、輻射による熱伝達係数Hを計算するものである。例えば、この熱伝達係数を計算する式としては、以下のステファン-ボルツマンの式を用いることができる。
Figure 2013035011
なお、放射率は定形境界条件ファイルなど、雰囲気温度は計算設定ファイルなどに別途保存したデータを参照して用いる。
ステップS7は、ロール接触による熱伝達係数Hを計算するものである。接触圧、ロール径などを元に算出する方法、事前に採集されたデータを元に算出する方法があるが、本例においては定形境界条件ファイルに別途保存したデータを参照して、当該位置に配置されるロールの熱伝達係数を取得する。
ステップS8は、自然対流による熱伝達係数Hを計算するものである。例えば、この熱伝達係数を計算する式としては、以下の式を用いることができる。ただし、雰囲気温度Tambientは計算設定ファイルに別途保存したデータを参照して用いる。
Figure 2013035011
上記のように、水スプレーの熱伝達係数Hと、ミストスプレーの熱伝達係数Hと、強制対流の熱伝達係数Hと、輻射による熱伝達係数Hと、ロール接触による熱伝達係数Hと、自然対流による熱伝達係数Hとを計算した後、これらの中から最大値のものを熱伝達係数Hとして選択する(ステップS9)。その後、ステップS9で選択された熱伝達係数を使って伝熱計算を行う(ステップS10)。
なお、上述説明した実施形態では、熱伝導係数を選択する方法として、最大値のものを選択する方法を用いたが、本発明の実施には、この例に限らず、例えば、中央値を算出する方法、最小値を算出する方法、また降順に並べた場合、先頭から2番目に来る値を選定する方法など任意の順番にある値を選定する方法も挙げられる。また、求めた熱伝達係数の単純平均値、降順に並べたときの3つの任意の順番の値(例えば、最大値;中央値;最小値)を相加平均して求められる値を使う三分法などを使ってもかまわない。
上述説明した実施形態のように最大値を用いる方法であれば、例えば水と空気を併用するミストスプレーにおいて、スプレーノズルの中心に近くて水と空気が多量にあたる所と、中心から離れて水と空気がほとんどあたらなくなった所とにおける熱伝達形態が、それぞれ相当に妥当な選定をできることが実験的に確かめられている。したがって、本発明の実施において、最大値ならびにそれに準じた値を熱伝達係数として選定することがより好ましい。
以下、本発明の実施形態に係る温度推定方法の効果を、従来技術の温度推定方法との比較により検討する。ここでは、本発明の実施形態に係る温度推定方法の効果として、鋼片内部の凝固位置の位置を推定する。すなわち、鋼片内部における凝固温度に達する位置をもって温度推定の指標とした。
図3は、本発明の実施形態との比較に用いる従来技術の温度推定方法(比較例)を示すフローチャートである。以下で説明する比較例のフローチャートは、上述の本発明の実施形態にかかる温度推定方法と共通する部分が多いので、適宜省略して説明を行う。
まず、比較例においても、温度推定方法を適用する位置を入力し、熱伝達係数の計算に必要な操業条件を取得する(ステップS1’、S2’)。そして、スプレーの配置情報をもとに、入力された解析位置が水スプレー設置箇所であるかを判定し(ステップS3’)、水スプレー設置箇所である場合、水スプレーの熱伝達係数を計算する(ステップS4’)。一方、入力された解析位置がミストスプレー設置箇所であるかを判定し(ステップS5’)、ミストスプレー設置箇所である場合、ミストスプレーの熱伝達係数を計算する(ステップS6’)。さらに、入力された解析位置がロール設置箇所であるかを判定し(ステップS7’)、ロール設置箇所である場合、ロール接触による熱伝達係数を計算する(ステップS8’)。
さらに、鋼片端部における解析位置でのスプレーとの距離ならびに予測される凡その温度をもとに熱伝達の形態を推定し、それをもとに熱伝達率を計算する。具体的には、スプレーとの距離が離れている(最端部にあるスプレーの噴霧範囲の外にある)、かつ推定温度が300度以上の場合(ステップS9’)、輻射による熱伝達率を計算する(ステップS10’)。また、スプレーとの距離が離れていない場合(ステップS11’)、強制対流による熱伝達率を計算し(ステップS12’)、それ以外の場合(ステップS11’)、自然対流による熱伝達率を計算する(ステップS13’)。このように計算した熱伝達係数を用いて伝熱計算を行う(ステップS14’)。
上記のように熱伝達係数を求めた比較例と、本発明の実施形態に係る温度推定方法とで、鋼片内部の温度分布を算出し、この結果から鋼片内部の凝固位置を推定した。
図4は、本発明の実施形態に係る温度推定方法と比較例とによる鋼片内部の凝固位置の推定位置を示すグラフである。図4に示されるグラフでは、鋼片の凝固位置の超音波による測定結果を合わせて記載している。図4に示されるグラフにおいて、横軸は鋼片の中央から凝固位置までの距離を表し、縦軸はメニスカス(すなわち鋳型内の溶鋼の表面位置)からの凝固位置までの距離を表している。
図4に示されるグラフより明らかなように、本発明の実施形態に係る温度推定方法は、従来技術による比較例よりも、実際の凝固位置の絶対位置における正確さに加え、その幅方向の分布形状も正確に再現できている。この結果は、本発明の実施形態に係る温度推定方法は、従来技術による比較例よりも正確に温度推定をできることを示している。
最後に、上述説明した本発明の実施形態に係る温度推定方法を実施する温度推定装置の機能構成の一例を説明する。ただし、本発明の実施形態に係る温度推定方法を実施するには、以下に説明する温度推定装置の例に限らず、本発明の実施環境にあわせて適宜構成を変更することが好ましい。
図5は、本発明の実施形態に係る温度推定装置の機能構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、温度推定装置10は、例えばワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータを用いて実現され、演算処理部11と記憶部12とを備える。また、温度推定装置10は、付随的に入力手段13と表示手段14を備える。
入力手段13は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等の各種入力装置によって実現されるものであり、操作入力に応じた入力信号を演算処理部11に出力する。表示手段14は、LCDやELディスプレイ、CRTディスプレイ等の表示装置によって実現されるものであり、演算処理部11から入力される表示信号をもとに各種画面を表示する。
記憶部12は、更新記憶可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵あるいはデータ通信端子で接続されたハードディスク、CD−ROM等の情報記憶媒体およびその読取装置等によって実現されるものである。この記憶部12には、温度推定装置10を動作させ、この温度推定装置10が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等が予め保存され、あるいは処理の都度一時的に保存される。例えば、記憶部12には、操業条件12aと熱伝達係数12bとが格納される。
操業条件12aは、上述説明した温度推定方法における、送水量および空気の送り量など、熱伝達係数の計算に必要なデータである。すなわち、操業条件12aは、先述の定形境界条件ファイルおよび計算設定ファイルなどを格納する。熱伝達係数12bは、水スプレーの熱伝達係数H、ミストスプレーの熱伝達係数H、強制対流の熱伝達係数H、輻射による熱伝達係数H、ロール接触による熱伝達係数H、および自然対流による熱伝達係数Hを計算するための計算式を示すデータおよびプログラムである。
演算処理部11は、熱伝達係数計算手段11aと最大熱伝達係数選択手段11bと伝熱計算手段11cとを備える。これら熱伝達係数計算手段11a、最大熱伝達係数選択手段11b、および伝熱計算手段11cは、記憶部12に格納されたプログラムによって実現することも、ハードウェアとして実現することも可能である。熱伝達係数計算手段11aは、記憶部12の操業条件12aおよび熱伝達係数12bを参照して、熱伝達係数を計算し、最大熱伝達係数選択手段11bは、熱伝達係数計算手段11aによって計算された熱伝達係数の中から最大値をとる熱伝達係数を選択し、伝熱計算手段11cは、最大熱伝達係数選択手段11bにより選択された熱伝達係数を用いて伝熱計算を行う。
以上より、本発明の実施形態に係る温度推定方法は、連続鋳造機1における鋼片7の温度推定を行う位置を入力する入力ステップ(ステップS1)と、熱伝達係数を計算するための操業条件を取得する取得ステップ(ステップS2)と、操業条件に基づいて当該位置における複数の熱伝達係数を計算する計算ステップ(ステップS3〜S8)と、複数の熱伝達係数のうち一つを選択する選択ステップ(ステップS9)と、選択した熱伝達係数を用いて伝熱計算を行う伝熱計算ステップ(ステップS10)とを含むので、事前に熱伝達の形態を予測した上で解析することなく、連続鋳造機における鋼片の局所的な温度分布の正確な予測をすることができる。
本発明の実施形態に係る温度推定方法における選択ステップ(ステップS9)は、複数の熱伝達係数のうち最大値を取るものを選択するので、実験的に最も妥当な選択をすることができる。
本発明の実施形態に係る温度推定方法における計算ステップ(ステップS3〜S8)は、複数の熱伝達係数として、水スプレーの熱伝達係数H、ミストスプレーの熱伝達係数H、強制対流の熱伝達係数H、輻射による熱伝達係数H、ロール接触による熱伝達係数H、および自然対流による熱伝達係数Hを計算することが考えられる。
また、本発明の実施形態に係る温度推定装置は、連続鋳造機1における鋼片7の温度推定を行う位置を入力する入力手段13と、熱伝達係数を計算するための操業条件12aを取得する取得手段と、操業条件に基づいて当該位置における複数の熱伝達係数を計算する熱伝達係数計算手段11aと、複数の熱伝達係数のうち一つを選択する最大熱伝達係数選択手段11bと、選択した熱伝達係数を用いて伝熱計算を行う伝熱計算手段11cとを備えるので、事前に熱伝達の形態を予測した上で解析することなく、連続鋳造機における鋼片の局所的な温度分布の正確な予測をすることができる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明の実施においては、温度の計算をするための手法として、物理的に合理的なものであるならどのような手法を用いてもかまわない。たとえば熱伝導方程式をたて、それを解析的あるいは数値計算的に解き、時間および位置による変化を計算する方法、あるいは、ある定常条件を仮定して、それを用いて主として位置による変化を計算する方法、あるいは実験などによって測定された関係式を用いて計算する方法などが挙げられる。本発明を適用するにあたっては、このいずれの方法を用いてもかまわない。また、ここに挙げた方法以外であっても、それが合理的なものであるなら、それを用いてもかまわない。なお、電子計算機を用いた数値計算を用いて熱伝導方程式を数値的に解いていく方法は、境界条件が時間および位置で変化するような系においても解を求めることが出来るため好ましい。また、温度を予測したい対象物の形状を離散化し、熱伝導方程式をその離散化した点の間での差分方程式として扱い、数値的に解いていく方法はさまざまな形状でも温度を予測できるので、さらに好ましい。
1 連続鋳造機
2 溶鋼
3 タンディッシュ
4 浸漬ノズル
5 凝固シェル
6 鋳型
7 鋼片
8a〜c 鋼片支持ロール
9 ガス切断機
10 温度推定装置
11 演算処理部
12 記憶部
13 入力手段
14 表示手段

Claims (4)

  1. 連続鋳造機における温度推定を行う鋼片の位置を入力する入力ステップと、
    熱伝達係数を計算するための操業条件を取得する取得ステップと、
    前記操業条件に基づいて前記位置における複数の熱伝達係数を計算する計算ステップと、
    前記複数の熱伝達係数のうち一つを選択する選択ステップと、
    前記選択した熱伝達係数を用いて伝熱計算を行う伝熱計算ステップと、
    を含むことを特徴とする温度推定方法。
  2. 前記選択ステップは、前記複数の熱伝達係数のうち最大値を取るものを選択することを特徴とする請求項1に記載の温度推定方法。
  3. 前記計算ステップは、前記複数の熱伝達係数として、水スプレーの熱伝達係数、ミストスプレーの熱伝達係数、強制対流の熱伝達係数、輻射による熱伝達係数、ロール接触による熱伝達係数、および自然対流による熱伝達係数を計算することを特徴とする請求項2に記載の温度推定方法。
  4. 連続鋳造機における鋼片の温度推定を行う位置を入力する入力手段と、
    熱伝達係数を計算するための操業条件を取得する取得手段と、
    前記操業条件に基づいて前記位置における複数の熱伝達係数を計算する計算手段と、
    前記複数の熱伝達係数のうち一つを選択する選択手段と、
    前記選択した熱伝達係数を用いて伝熱計算を行う伝熱計算手段と、
    を備えることを特徴とする温度推定装置。
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