以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示す液晶パネル製造システム1は、長方形形状の透明なガラス材料から成るパネル状の基板2の端部に設けられた複数の電極部2aのそれぞれに駆動回路等の部品(電子部品)3を実装するものであり、ACF貼着装置11、仮圧着装置12、第1の本圧着装置13、第2の本圧着装置14及び検査装置15がこの順で連結されて成る。これらの装置11〜15はホストコンピュータ16によって統合制御されて動作し、ホストコンピュータ16から生産指令が出されているとき、上記装置11〜15の各々は部品実装作業の中における各担当分の作業工程を実行する。
ここで、基板2上の複数の電極部2aは、図2に示すように、一の長辺と一の短辺のそれぞれに一列に並んで設けられている。すなわち、基板2の一の長辺と一の短辺のそれぞれには、複数の電極部2aから成る電極部列2Lが形成されている。
ACF貼着装置11は、上流工程側から供給された基板2を受け取り、基板2上の各電極部2aに図2に示すようにACFテープの切片4を貼着したうえで、その基板2を下流工程側の仮圧着装置12に搬出する。
仮圧着装置12は、ACF貼着装置11から搬出された基板2を受け取り、基板2の各電極部2aに貼着されたACFテープの切片4上に部品3を装着(仮圧着)したうえで、その基板2を下流工程側の第1の本圧着装置13に搬出する。
第1の本圧着装置13は、仮圧着装置12から搬出された基板2を受け取り、基板2の長辺側の各電極部2aに仮圧着された部品3を熱圧着(本圧着)したうえで、その基板2を下流工程側の第2の本圧着装置14に搬出する。
第2の本圧着装置14は、第1の本圧着装置13から搬出された基板2を受け取り、基板2の短辺側の各電極部2aに仮圧着された部品3を熱圧着(本圧着)したうえで、その基板2を下流工程側の検査装置15に搬出する。
検査装置15は、第2の本圧着装置14から搬出された基板2を受け取り、基板2の各電極部2aに本圧着された部品3の検査及び種々の判定処理を行ったうえで、その基板2を液晶パネル製造システム1の外部に搬出する。
次に、液晶パネル製造システム1における部品実装装置である仮圧着装置12について説明する。図3、図4及び図5において仮圧着装置12は、基台21上に、基板2を保持して移動させる基板保持移動部22、部品3の供給を行う部品供給部23、部品供給部23より供給される複数の部品3を受け取って所定の吸着位置に移送する部品移送部24及び部品移送部24によって吸着位置に移送された部品3を吸着(ピックアップ)して基板保持移動部22に保持させた基板2に装着(仮圧着)する部品装着部25を備えている。
以下、説明の便宜上、オペレータOP(図3及び図4)から見て基台21の左右方向をX軸方向、オペレータOPから見て基台21の前後方向をY軸方向、基台21の上下方向をZ軸方向とする。また、オペレータOPから見て基台21の右側を右方、左側を左方とし、オペレータOPから見て基台21の手前側を前方、奥側を後方とする。
図4及び図5において、基板保持移動部22は、基台21に対してX軸方向に相対移動自在に設けられたXテーブル31、Xテーブル31に対してY軸方向に移動自在に設けられたYテーブル32、Yテーブル32に対してZ軸回りに回転自在に設けられたθテーブル33及びθテーブル33の上面に設けられた基板保持テーブル34を備えて成る。基板保持テーブル34の上面には基板2が水平姿勢に保持される。
このように、本実施の形態における仮圧着装置12において、基板保持移動部22は、電極部2aを有した基板2を保持する基板保持部として機能する。
図3及び図6において、部品供給部23は、部品3を載せたテープTPを搬送する左右2つのテープ搬送部41と、左右のテープ搬送部41それぞれが搬送するテープTPから部品3を打ち抜く左右2つの部品打ち抜き部42を備えて成る。
図3及び図6において、左右のテープ搬送部41はそれぞれ、テープTPの供給(繰出し)を行うテープ供給リール41aと、テープ供給リール41aより供給されるテープTPを巻き取るテープ巻取りリール41bと、テープ供給リール41aより供給されるテープTPよりカバーテープCTを剥がして巻き取るカバーテープ巻取りリール41cから成る。各テープ搬送部41では、テープ供給リール41a、テープ巻き取りリール41b及びカバーテープ巻取りリール41cが同期して回転することにより、テープ供給リール41aからのテープTPの供給、テープ巻き取りリール41bによるテープTPの巻き取り及びカバーテープ巻き取りリール41cによるテープTPからのカバーテープCTの巻き取りが行われ、カバーテープCTが剥がされたテープTPの一部が水平面内方向(X軸方向)に搬送される。
図5及び図6において、左右の部品打ち抜き部42は、基台21に対して固定された下側金型42aと、下側金型42aの上方を上下動される上側金型42bから成る。下側金型42aと上側金型42bの間には、テープ搬送部41によって水平面内方向に搬送されるテープTPが通っており、上側金型42bを下側金型42aに対して下降させることにより、テープTPから部品3を打ち抜くことができる。
図3及び図6において、部品移送部24は、基台21上をX軸方向に延びて設けられたX軸ガイド51、X軸ガイド51に対してY軸方向に相対移動自在に設けられた左右のY軸テーブル52、各Y軸テーブル52に対してX軸方向に移動自在に設けられた左右のX軸テーブル53及び各X軸テーブル53上に設けられた左右2つの移送ヘッド54を備えている。
各移送ヘッド54はX軸テーブル53に対してZ軸回りに回転自在に設けられており、テーブル駆動モータ55(図5及び図6)によって駆動されて水平面内で回転されるインデックス型のターンテーブル56と、ターンテーブル56から上方に延びて設けられた複数(ここでは7つ)の受け取りノズル57(前述の部品受け取り手段)を備えている。これら複数の受け取りノズル57は、図示しないアクチュエータによって、ターンテーブル56に対して個別に昇降させることができる。
各移送ヘッド54は、ターンテーブル56を一定角度回転させることによって、複数の受け取りノズル57のうちのいずれかひとつを部品打ち抜き部42の下側金型42aの下方の位置(この位置を以下、「部品供給位置」と称する)に位置させる動作、部品供給位置に位置させた受け取りノズル57を上昇させる動作(図5中に破線で示す受け取りノズル57参照)、部品供給位置で上昇させた受け取りノズル57により、部品打ち抜き部42によって打ち抜かれた部品3を下方から支持して受け取った後、その受け取りノズル57を下降させる動作から成る一連の動きを繰り返す。このようにして移送ヘッド54は、テープTPから連続的に打ち抜かれる複数の部品3をそれぞれ異なる受け取りノズル57によって次々と受け取る。
各移送ヘッド54は、複数の受け取りノズル57によって部品打ち抜き部42によって打ち抜かれた複数の部品3を受け取ったら部品装着部25の側の所定の位置へ移動し、部品3を受け取った複数の受け取りノズル57のうちのひとつを所定の位置(この位置を以下、「ノズル移動位置」と称する)に位置させることによって、部品装着部25による部品3の吸着位置(この吸着位置は後述する左右の装着ヘッド63に対応して左右2つある)に部品3を移送する。
左右の移送ヘッド54はそれぞれ、対応する吸着位置(左側の移送ヘッド54には左側の吸着位置が対応し、右側の移送ヘッド54には右側の吸着位置が対応する)に移送した部品3が部品装着部25の吸着ツール63a(後述)によって吸着(ピックアップ)されたら、ターンテーブル56を一定角度回転させて、部品3が吸着された受け取りノズル57の隣に位置する受け取りノズル57によって吸着位置に部品3が新たに移送されるようにする。
図3、図4及び図5において、部品装着部25は、基台21に立設された左右一対の支柱61a及びこれら一対の支柱61aに掛け渡されて基台21の横方向(X軸方向)に延びた横部材61bから成る門型フレーム61と、門型フレーム61の横部材61bに沿ってX軸方向に移動自在に設けられた左右のX軸移動体62と、各X軸移動体62に対してY軸方向に移動自在に設けられた左右2つの装着ヘッド63と、基台21に設けられて装着ヘッド63の下方に位置するバックアップ部64と、バックアップ部64に設けられた2つのカメラ65を有して成る(図7も参照)。
図3及び図5において、装着ヘッド63は下方に延びたひとつのノズル状の吸着ツール63aを備えている。左右2つの装着ヘッド63が備える各吸着ツール63aは、図示しないエア供給源からの真空圧の供給を受けて部品3の真空吸着及びその解除動作を行う。
各吸着ツール63aは、X軸移動体62の下方に位置する断面L状のブラケット66に設けられた昇降モータ67によって昇降自在であるとともに、ブラケット66を介して取り付けられた回転モータ68によって垂直軸回りに回転自在である。回転モータ68の駆動軸68aと吸着ツール63aの間にはギヤ式の動力伝達機構から成る減速機69が介装されており、回転モータ68は駆動軸68aの回転動作により減速機69を駆動して吸着ツール63aを垂直軸回りに回転させる。
このように、本実施の形態における仮圧着装置12において、吸着ツール63aは、垂直軸回りに回転自在に設けられて部品3を吸着するものとなっている。
ここで、減速機69を構成するギヤ間にはバックラッシが存在するため、回転モータ68の駆動軸68aを回転させた場合に、回転モータ68の駆動軸68aに対する吸着ツール63aの不追従が生じ得るが、回転モータ68の駆動軸68aを一の方向(第1の方向とする)に回転させることによって回転モータ68の駆動軸68aに対する吸着ツール63aの追従が得られた後は、その後回転モータ68の駆動軸68aを第1の方向に回転させる限りは必ず回転モータ68の駆動軸68aに対する吸着ツール63aの追従が得られるので、最終的に回転モータ68の駆動軸68aを第1の方向に回転させて吸着ツール63aの位置決め(回転方向の位置決め)を行うようにしている。この回転モータ68の駆動軸68aの回転方向(第1の方向)を、本実施の形態では吸着ツール63aを上方から見たときに反時計回りに回転させる方向であるとし、この第1の方向を「順方向」と称する。一方、この順方向とは反対の方向であって、吸着ツール63aを上方から見たときに時計回りに回転させる回転モータ68の駆動軸68aの回転方向(第2の方向とする)を、本実施の形態では「逆方向」と称する。
このように、本実施の形態における仮圧着装置12において、回転モータ68は、動力伝達機構である減速機69を介して吸着ツール63aを回転させる駆動軸68aを有し、この駆動軸68aを最終的に第1の方向(順方向)に回転させることによって吸着ツール63aの回転方向の位置決めを行うものとなっている。
図5においてバックアップ部64は、基板保持移動部22と部品供給部23の間をX軸方向に延びて設けられたX軸部材64aと、X軸部材64aに沿って水平移動自在に設けられたスライダ64b(図7も参照)と、スライダ64bの上部からY軸方向前方に張り出して設けられたバックアップステージ64c(図3及び図7も参照)から成る。スライダ64b内の上部には、基板保持テーブル34に保持された基板2の下面の一部を吸着して基板2をバックアップステージ64cに対して固定することによって基板2の平面度を確保する複数の吸着部64dが設けられている。基板保持移動部22は、基板保持テーブル34に保持された基板2上の長辺側又は短辺側に形成された電極部列2Lがバックアップステージ64cの直上に位置するように基板2を保持する(図5に示す状態参照)。
左右の装着ヘッド63はそれぞれ、部品移送部24の対応する移送ヘッド54によって対応する吸着位置(左側の装着ヘッド63には左側の移送ヘッド54及び左側の吸着位置が対応し、右側の装着ヘッド63には右側の移送ヘッド54及び右側の吸着位置が対応する)に移送された部品3を吸着ツール63aによって真空吸着し、基板保持移動部22に保持された基板2の各電極部2aに部品3を装着する。このとき基板2の電極部2aの下方にはバックアップ部64のバックアップステージ64cが位置され、装着ヘッド63は部品3を電極部2aごとバックアップステージ64cに押し付けるようにする(図5)。なお、基板保持移動部22に保持された基板2の長辺側の各電極部2aと短辺側の各電極部2aには、仮圧着装置12の上流工程側に設置されたACF貼着装置11によってACFテープの切片4が貼着された状態となっている(図4参照)。
図5及び図7において、2つのカメラ65はバックアップ部64が備えるスライダ64bの下部(バックアップステージ64cの下方)に取り付けられたカメラ支持部64eによって撮像視野を上方に向けた状態で支持されている。バックアップステージ64cには各カメラ65の光軸CJに沿って上下方向に延びた2つの貫通孔64fが設けられており、2つのカメラ65は基板保持移動部22に保持された基板2の電極部2aの両端部(電極部列2Lの延びる方向に沿った両端部)に設けられた2つの電極部側マーク2m又は装着ヘッド63の吸着ツール63aに吸着された部品3に設けられた2つの部品側マーク3mを、貫通孔64fを介して下方から視認することができるようになっている。なお、基板2は透明なガラス材料から成るため、基板2の上面に設けられた電極部側マーク2mを基板2の下方からカメラ65によって視認することができる。
基板保持移動部22に保持された基板2の位置決め動作(基板保持移動部22を構成するXテーブル31の基台21に対するX軸方向への移動動作、Yテーブル32のXテーブル31に対するY軸方向への移動動作及びθテーブル33のYテーブル32に対するZ軸回りの回転動作)は、仮圧着装置12が備える制御装置70(図8)が図示しないアクチュエータ等から成る基板保持部駆動機構71(図8)の作動制御を行うことによってなされる。
部品供給部23を構成する左右のテープ搬送部41によるテープTPの搬送動作は、制御装置70が図示しないアクチュエータ等から成るテープ搬送機構72(図8)の作動制御を行うことによってなされる。部品供給部23を構成する左右の部品打ち抜き部42によるテープTPからの部品3の打ち抜き動作は、制御装置70が図示しないアクチュエータ等から成る部品打ち抜き部駆動機構73(図8)の作動制御を行うことによってなされる。
部品移送部24を構成する左右の移送ヘッド54による部品3の移送動作(X軸ガイド51に対する各Y軸テーブル52のY軸方向への移動動作、各Y軸テーブル52に対するX軸テーブル53のX軸方向への移動動作、各X軸テーブル53に対するターンテーブル56のZ軸回りの回転動作及びターンテーブル56に対する各受け取りノズル57の昇降動作)は、制御装置70が前述のテーブル駆動モータ55を含むアクチュエータ等から成る部品移送部駆動機構74(図8)の作動制御を行うことによってなされる。
部品装着部25における左右の装着ヘッド63の移動動作(門型フレーム61の横部材61bに対する各X軸移動体62のX軸方向への移動動作及び各X軸移動体62に対する装着ヘッド63のY軸方向への移動動作)は、制御装置70が図示しないアクチュエータ等から成る装着ヘッド移動機構75(図8)の作動制御を行うことによってなされる。
各装着ヘッド63による部品3の吸着及びその解除動作は、制御装置70が前述の図示しないエア供給源と繋がるアクチュエータ等から成る真空吸着動作制御機構76(図8)の作動制御を行って吸着ツール63a内に真空圧を供給し、或いは吸着ツール63a内に正圧を供給して吸着ツール63a内の真空破壊を行うことによってなされる。
図8に示すように、制御装置70には、画像認識部70a、部品角度算出部70b、電極部角度算出部70c、電極部角度仮設定値設定部70d、判断部70e、目標回転位置算出部70f、吸着ツール位置決め制御部70g及び装着制御部70hが備えられている(図8)。
各カメラ65の撮像動作は制御装置70によって制御され(図8)、各カメラ65の撮像動作によって得られた画像データは制御装置70の画像認識部70aに送られて画像認識がなされる。
部品角度算出部70bは、吸着ツール63aに吸着された部品3の水平面内方向の角度である部品角度の検出に用いられ、電極部角度算出部70cは、基板保持移動部22に保持された基板2の電極部2a(バックアップステージ64cの直上に位置された電極部列2Lの中の電極部2a)の水平面内方向の回転角度である電極部角度の検出に用いられる。
部品角度は、図9(a)に示すように、部品3に設けられた2つの部品側マーク3mを結ぶ線S1のX軸から順方向(図9(a),(b)では反時計回り)にとった角度θであり、以下、「部品角度θ」と記す。制御装置70の部品角度算出部70b(図8)は、2つのカメラ65の撮像動作によって得られる2つの部品側マーク3mの画像認識結果に基づいて、その部品側マーク3mを備えた部品3の部品角度θを算出する。
電極部角度は、図9(b)に示すように、電極部2aの両端部に設けられた2つの電極部側マーク2mを結ぶ線S2のX軸から順方向にとった角度φであり、以下、「電極部角度φ」と記す。制御装置70の電極部角度算出部70cは、2つのカメラ65の撮像動作によって得られる2つの電極部側マーク2mの画像認識結果に基づいて、その電極部側マーク2mを備えた電極部2aの電極部角度φを算出する。なお、後述するように、部品3を電極部2aに装着するときの手順上、電極部角度φの検出は部品角度θの検出の後になる。
このように、本実施の形態において、2つのカメラ65と制御装置70の部品角度算出部70bは、仮圧着装置12において、吸着ツール63aに吸着された部品3の水平面内方向の回転角度である部品角度θを検出する部品角度検出手段として機能し、2つのカメラ65と制御装置70の電極部角度算出部70cは、部品角度検出手段(2つのカメラ65及び制御装置70の部品角度算出部70b)により部品角度θが検出された後、基板保持移動部22に保持された基板2の電極部2aの水平面内方向の角度である電極部角度φを検出する電極部角度検出手段として機能する。
制御装置70の電極部角度仮設定値設定部70dは、上記電極部角度検出手段(2つのカメラ65と制御装置70の電極部角度算出部70c)による電極部角度φの検出と並行して電極部角度φの仮設定値(以下、電極部角度仮設定値φ1と記す)の設定を行う。ここで電極部角度仮設定値φ1は、同一の基板2上に一列に並んだ複数の電極部2aから成る電極部列2Lに対して行う2回目以降の電極部2aへの部品3の装着時については、前回の部品3の装着時に電極部角度検出手段により検出された電極部角度φが設定される(詳細は後述)。
制御装置70の判断部70e(判断手段)は、電極部角度仮設定値設定部70dにおいて設定された電極部角度仮設定値φ1と部品角度検出手段(2つのカメラ65及び制御装置70の部品角度算出部70b)により検出された部品角度θ及び回転モータ68の駆動軸68aの直前の回転方向とに基づいて、吸着ツール63aに吸着された部品3の角度を電極部角度仮設定値φ1に一致させるとした場合に、回転モータ68の駆動軸68aを第1の方向(順方向)に回転させる前に、動力伝達機構である減速機69内に存在するバックラッシに起因する回転モータ68の駆動軸68aに対する吸着ツール63aの不追従が生じないようにするために回転モータ68の駆動軸68aを第1の方向とは反対の第2の方向(逆方向)に回転させる動作(アンチバックラッシ動作)を実行する必要があるか否かの判断を行う。
ここで、上記回転モータ68の駆動軸68aの直前の回転とは、吸着ツール63aに吸着させた部品3を基板2の電極部2aに装着した後、回転モータ68の駆動軸68aを所定の原回転位置(駆動軸の回転角が0°となる位置)に復帰させるときの回転をいうが、回転モータ68の駆動軸68aについてアンチバックラッシ動作を行うか否かの判断において、回転モータ68の駆動軸68aの直前の回転が関係するのは、吸着ツール63aは前述のように、回転モータの駆動軸を最終的に順方向(第1の方向)に回転させて位置決めするようになっていることから、回転モータ68の駆動軸68aの直前の回転方向が順方向であったことは、回転モータ68の駆動軸68aを現在の位置からそのまま順方向に回転させたとしてもバックラッシに起因する吸着ツール63aの不追従が生じないことを意味し、回転モータ68の駆動軸68aの直前の回転方向が逆方向(第2の方向)であったことは、回転モータ68の駆動軸68aを現在の位置からそのまま順方向に回転させると、バックラッシに起因する吸着ツール63aの不追従が生じ得ることを意味するからである。
制御装置70の目標回転位置算出部70f(目標回転位置算出手段)は、部品角度検出手段により検出された部品角度θと電極部角度検出手段により検出された電極部角度φとに基づいて、吸着ツール63aに吸着された部品3の角度を電極部角度検出手段により検出された電極部角度φに一致させる場合の吸着ツール63aの回転位置(原回転位置からの回転角)である目標回転位置の算出を行う。
制御装置70の吸着ツール位置決め制御部70g(吸着ツール位置決め制御手段)は、判断部70eによりアンチバックラッシ動作を実行する必要がないと判断された場合には、電極部角度検出手段による電極部角度φの検出が行われた後に回転モータ68の駆動軸68aを順方向(第1の方向)に回転させて吸着ツール63aを目標回転位置算出部70fにより算出された目標回転位置に位置決めし、判断部70eによりアンチバックラッシ動作を実行する必要があると判断された場合には、電極部角度検出手段による電極部角度φの検出と並行して回転モータ68の駆動軸68aを逆方向(第2の方向)に回転させるアンチバックラッシ動作を行い、電極部角度検出手段による電極部角度φの検出が行われた後に回転モータ68の駆動軸68aを順方向に回転させて吸着ツール63aを目標回転位置算出部70fにより算出された目標回転位置に位置決めする。
制御装置70の装着制御部70h(装着制御手段)は、目標回転位置算出部70fにより算出された目標回転位置に位置決めされた吸着ツール63aを基板2に対して下降させて吸着ツール63aに吸着された部品3を基板2の電極部2aに装着させる。
なお、この装着制御部70hにより部品3が基板2の電極部2aに装着された後、吸着ツール位置決め制御部70gは、回転モータ68の作動制御を行って、回転モータ68の駆動軸68aを原回転位置に復帰させる動作を行う。
図8において、制御装置70には入出力装置としてのタッチパネル77が接続されており、オペレータOPはこのタッチパネル77を介してメッセージを受けることができるとともに、タッチパネル77を介して必要な指令入力を行うことができる。
制御装置70は、前述のように、回転モータ68の駆動軸68aを最終的に順方向に回転させることによって吸着ツール63aの回転モータ68の駆動軸68aの順方向(第1の方向)への回転に追従させた状態で吸着ツール63aの回転方向の位置決めを行う。このため制御装置70の判断部70eは、電極部角度仮設定値設定部70dにおいて設定された電極部角度仮設定値φ1と部品検出手段により検出された部品角度θから得られる角度α1(=φ1−θ)が零(「0」)又は正の値、すなわちα1≧0であり(図10(a))かつ、回転モータ68の駆動軸68aの直前の回転方向が順方向であった場合には、回転モータ68の駆動軸68aをそのまま角度α1(この角度α1は通常、目標回転位置に近い値となる)だけ順方向(第1の方向)に回転させても減速機69内に存在するバックラッシに起因する回転モータ68の駆動軸68aに対する吸着ツール63aの不追従が生じることはないので、部品3の角度を設定した目標回転位置に一致させる場合、アンチバックラッシ動作を実行する必要はないと判断する。
一方、制御装置70の判断部70eは、電極部角度仮設定値設定部70dにおいて設定された電極部角度仮設定値φ1と部品検出手段により検出された部品角度θから得られる角度α1(=φ1−θ)が零(「0」)又は正の値、すなわちα1≧0であるが(図10(a))、回転モータ68の駆動軸68aの直前の回転方向が逆方向であった場合には、回転モータ68の駆動軸68aをそのまま角度α1だけ順方向(第1の方向)に回転させると、減速機69内に存在するバックラッシに起因する回転モータ68の駆動軸68aに対する吸着ツール63aの不追従が生じてしまうので、部品3の角度を目標回転位置に一致させる場合、最終的に駆動軸68aを順方向に回転させる前に、駆動軸68aを逆方向に回転させる動作(アンチバックラッシ動作)を実行する必要があると判断する。
また、制御装置70の判断部70eは、電極部角度仮設定値設定部70dにおいて設定された電極部角度仮設定値φ1と部品検出手段により検出された部品角度θから得られる角度α1(=φ1−θ)が負の値、すなわちα1<0であった場合(図10(b))には、回転モータ68の駆動軸68aをそのまま逆方向(第2の方向)に回転させると、減速機69内に存在するバックラッシに起因する回転モータ68の駆動軸68aに対する吸着ツール63aの不追従が生じてしまうので、部品3の角度を目標回転位置に一致させる場合、最終的に駆動軸68aを順方向に回転させる前に、駆動軸68aを逆方向に回転させる動作(アンチバックラッシ動作)を実行する必要があると判断する。
制御装置70の吸着ツール位置決め制御部70gは、判断部70eにおいてアンチバックラッシ動作を実行する必要がないと判断された場合には、電極部角度検出手段による電極部角度φの検出が行われた後に、回転モータ68の駆動軸68aを現在位置からそのまま順方向(第1の方向)に回転させて、吸着ツール63aに吸着された部品3の角度が電極部角度φに一致するように、吸着ツール63aを目標回転位置算出部70fにおいて算出された目標回転位置に位置決めする。
一方、制御装置70の吸着ツール位置決め制御部70gは、判断部70eにおいてアンチバックラッシ動作を実行する必要があると判断された場合には、電極部角度検出手段による電極部角度の検出と並行して回転モータ68の駆動軸68aを逆方向(第2の方向)に回転させるアンチバックラッシ動作を行う。ここで行うアンチバックラッシ動作では、回転モータ68の駆動軸68aを、アンチバックラッシ動作の後に行う最終的な順方向(第1の方向)への駆動軸68aの回転中に、吸着ツール63aが駆動軸68aに追従するようになる(すなわち、回転モータ68の駆動軸68aの回転位置によって吸着ツール63aの回転位置を制御できるようになる)角度β(図10(b))だけ逆方向(第2の方向)に回転させるようにする。そして、このアンチバックラッシ動作の後、制御装置70の吸着ツール位置決め制御部70gは、電極部角度検出手段による電極部角度φの検出が行われた後に、回転モータ68の駆動軸68aを順方向(第1の方向)に回転させて、吸着ツール63aに吸着された部品3の角度が検出した電極部角度φに一致するように、吸着ツール63aを目標回転位置算出部70fにおいて算出された目標回転位置に位置決めする。
次に、図11のメインルーチンのフローチャート及び図12のサブルーチンのフローチャートを用いて、仮圧着装置12により基板2上の電極部2aに部品3を仮圧着(装着)する仮圧着作業の実行手順(仮圧着装置12による部品実装方法)について説明する。これには先ず、制御装置70は、上流工程側の装置であるACF貼着装置11より送られてきた基板2(この基板2が備える各電極部2aにはACFテープの切片4が貼着されている)を図示しない基板搬入装置によって仮圧着装置12内に搬入し、その基板2を基板保持移動部22の基板保持テーブル34上に水平姿勢に保持した後(図11に示すステップST1)、基板保持部駆動機構71の作動制御を行って基板2を前述のように位置決めする(図11に示すステップST2)。
このようにステップST1は、仮圧着装置12による部品実装方法において、基板保持部である基板保持移動部22に基板2を保持させる基板保持工程となっている。
制御装置70は、ステップST1の基板の搬入及びステップST2の基板2の保持及び位置決めと並行して、左右の移送ヘッド54による部品3の受け取りを行う(図11に示すステップST3)。この左右の移送ヘッド54による部品3の受け取りでは、先ず、制御装置70は、左右の移送ヘッド54をそれぞれ部品供給部23の側に移動させ、各移送ヘッド54が備える複数の受け取りノズル57のうち、部品3の受け取りを行っていないものをその移送ヘッド54に対応する部品供給位置(左側の移送ヘッド54であれば左側の部品供給位置、右側の移送ヘッド54であれば右側の部品供給位置)に位置させる。そして、左右のテープ搬送部41を作動させてテープTPの搬送を行いつつ、対応する部品打ち抜き部42(左側のテープ搬送部41に対しては左側の部品打ち抜き部42、右側のテープ搬送部41に対しては右側の部品打ち抜き部42)を作動させてテープTPから部品3を打ち抜くことによって部品供給部23による左右2箇所の部品供給位置への部品3の供給を行い、部品供給部23の左右2箇所の部品供給位置に供給された(部品打ち抜き部42によって打ち抜かれた)部品3が各部品供給位置に位置させた左右の移送ヘッド54それぞれの受け取りノズル57によって受け取られるようにする。
制御装置70は、左右の移送ヘッド54による部品3の受け取りを行ったら、左右の移送ヘッド54をそれぞれ部品装着部25の側へ移動させて、部品3を受け取った状態の複数の受け取りノズル57のひとつを前述のノズル移動位置に位置させて、部品3の吸着位置への移送を行う(図11に示すステップST4)。
制御装置70は、左右の移送ヘッド54により部品3を吸着位置に移送したら、図11に示すステップST5における部品3の装着動作(図12に示すサブルーチン)に入る。
部品3の装着動作では先ず、左右の装着ヘッド63をそれぞれ対応する吸着位置の直上に移動させ、吸着ツール63aによって、吸着位置に移送された部品3を吸着(ピックアップ)する(図12に示すステップST11)。
このようにステップST11は、仮圧着装置12による部品実装方法において、吸着ツール63aに部品3を吸着させる部品吸着工程となっている。
制御装置70は、各装着ヘッド63に部品3を吸着させたら、2つのカメラ65の上方に基板2がない状態でカメラ65の上方に部品3を吸着させた吸着ツール63aを(すなわち部品3を)進出させ(図12に示すステップST12)、その部品3に設けられた2つの部品側マーク3mを2つのカメラ65によって撮像し、得られた2つの部品側マーク3mの位置に基づいて、部品角度算出部70bにより(すなわち部品角度検出手段により)、部品角度θを検出する(図12に示すステップST13)。
このようにステップST13は、仮圧着装置12による部品実装方法において、吸着ツール63aに吸着させた部品3の水平面内方向の回転角度である部品角度θを検出する部品角度検出工程となっている。
制御装置70は、部品角度θの検出を行ったら、吸着ツール63aを移動させてカメラ65の上方から部品3を退去させるとともに、基板2をカメラ65の上方に進出させる(図12に示すステップST14)。そして、制御装置70は、部品3の装着対象となっている電極部2aの近傍に設けられた2つの電極部側マーク2mを2つのカメラ65で撮像し、得られた2つの電極部側マーク2mの位置に基づいて、電極部角度算出部70cにより、電極部角度φを検出する(図12に示すステップST15)。
このようにステップST15は、仮圧着装置12による部品実装方法において、部品角度θを検出した後、基板保持移動部22に保持させた基板2の電極部2aの水平面内方向の角度である電極部角度φを検出する電極部角度検出工程となっている。
上記ステップST15において、電極部角度φが検出されたら、制御装置70の目標回転位置算出部70fは、部品角度検出手段により検出された部品角度θと電極部角度検出手段により検出された電極部角度φとに基づいて、吸着ツール63aに吸着された部品3の角度を電極部角度検出手段により検出された電極部角度φに一致させる場合の吸着ツール63aの回転位置である目標回転位置の算出を行う(図12に示すステップST16)。
なお、上記のように、部品角度θを検出してから電極部角度φを検出するようにしているのは、前述のように、基板2をバックアップ部64により支持する際に、電極部2aの近傍位置の下面側を吸着部64dにより吸着して基板の平面度を確保するようにしているため、電極部角度φを検出してから部品角度θを検出するようにすると、吸着部64dによる基板2の吸着を一旦開放しなければならず、吸着部64dによる吸着動作の繰り返しによる煩瑣と再度吸着部64dにより基板2を吸着したときに基板2の位置が最初の状態(電極部角度φを検出したときの状態)からずれてしまうことを避けるためである。
このようにステップST16は、ステップST13で検出した部品角度θとステップST15で検出した電極部角度φとに基づいて、吸着ツール63aに吸着させた部品3の角度を検出した電極部角度φに一致させる場合の吸着ツール63aの回転位置である目標回転位置の算出を行う目標回転位置算出工程となっている。
ステップST13の後、制御装置70は、電極部角度仮設定値設定部70dにおいて電極部角度仮設定値φ1を設定する(図12に示すステップST17)。そして、制御装置70は、判断部70eにおいて、ステップST17で設定した電極部角度仮設定値φ1と部品角度算出部70bおいて算出した(部品角度検出手段により検出した)部品角度θ及び回転モータ68の駆動軸68aの直前の回転方向とに基づいて、吸着ツール63aに吸着させた部品3の角度を電極部角度仮設定値φ1に一致させるとした場合に、アンチバックラッシ動作を実行する必要があるか否かの判断を行う(図12に示すステップST18)。
このように、上記ステップST17は、電極部角度φの検出と並行して電極部角度仮設定値φ1の設定を行う電極部角度仮設定値設定工程となっており、ステップST18は、設定した電極部角度仮設定値φ1と検出した部品角度θの関係等に基づいて、吸着ツール63aに吸着させた部品3の角度を電極部角度仮設定値φ1に一致させるとした場合に、回転モータ68の駆動軸68aを順方向(第1の方向に)回転させる前に、動力伝達機構である減速機69内に存在するバックラッシに起因する回転モータ68の駆動軸68aに対する吸着ツール63aの不追従が生じないようにするために回転モータ68の駆動軸68aを順方向(第1の方向)とは反対の逆方向(第2の方向)に回転させるアンチバックラッシ動作を実行する必要があるか否かの判断を行う判断工程となっている。
制御装置70の電極部角度仮設定値設定部70dが設定する電極部角度仮設定値φ1は、同一の基板2上に一列に並んだ複数の電極部2aから成る電極部列2Lに対して行う最初(1回目)の電極部2aへの部品3の装着時については、想定し得る逆方向の最大値を使用し(このため、最初の部品3の装着時には、必ずアンチバックラッシ動作が実行される)、同一の基板2上に一列に並んだ複数の電極部2aから成る電極部列2Lに対して行う2回目以降の電極部2aへの部品3の装着時については、前回の部品3の装着時に電極部角度検出手段により検出された電極部角度φを使用する。
なお、2回目以降の電極部2aへの部品3の装着時において、電極部角度仮設定値φ1に、前回の部品3の装着時に電極部角度検出手段により検出された電極部角度φを用いるのは、同一の基板2上に一列に並んだ複数の電極部2aから成る電極部列2Lでは、その電極部列2Lを構成する各電極部2aの電極部角度φは互いにほぼ等しくなるものと予想されるからである。
ステップST18でアンチバックラッシ動作を行う必要があると判断した場合には、制御装置70の吸着ツール位置決め制御部70gは、吸着ツール63aを逆方向に角度βだけ回転させてアンチバックラッシ動作を実行する(図12に示すステップST19)。
ここで、制御装置70の吸着ツール位置決め制御部70gは、上記ステップST17〜ステップST19の工程を、ステップST14〜ステップST16の工程が行われている間に(ステップST14〜ステップST16と並行して)行う。
制御装置70は、ステップST16とステップST19がともに終了したら、吸着ツール63aを順方向に回転させて、吸着ツール63aをステップST16で算出した目標回転位置に位置決めする(図12に示すステップST20)。これにより、吸着ツール63aに吸着させた部品3の角度がステップST15で検出された電極部角度φに一致する。
ステップST20において吸着ツール63aを目標回転位置に位置決めしたら、制御装置70の装着制御部70hは、昇降モータ67を作動させて吸着ツール63aを下降させ、部品3を電極部2aに押し付けることによって、部品3を電極部2aに装着(仮圧着)する(図12に示すステップST21)。そして、ステップST21において部品3が基板2の電極部2aに装着されたら、制御装置70の吸着ツール位置決め部70gは、回転モータ68の作動制御を行って、回転モータ68の駆動軸68aを原回転位置に復帰させる(図12に示すステップST22)。これにより部品3の装着動作のサブルーチン(メインルーチンのステップST5)が終了し、メインルーチンに戻る。
このように本実施の形態において、ステップST19及びステップST20は、ステップST18でアンチバックラッシ動作を実行する必要がないと判断した場合には、ステップST15の電極部角度φの検出を行った後に回転モータ68の駆動軸68aを順方向(第1の方向)に回転させて吸着ツール63aを目標回転位置に位置決めし、ステップST18でアンチバックラッシ動作を実行する必要があると判断した場合には、ステップST15の電極部角度φの検出と並行して回転モータ68の駆動軸68aを逆方向(第2の方向)に回転させるアンチバックラッシ動作を行い(ステップST19)、ステップST15で電極部角度φの検出を行った後に回転モータ68の駆動軸68aを順方向(第1の方向)に回転させて吸着ツール63aを目標回転位置に位置決めする吸着ツール位置決め工程となっている。
また、ステップST21は、ステップST20で目標回転位置に位置決めした吸着ツール63aを基板2に対して下降させて吸着ツール63aに吸着させた部品3を基板2の電極部2aに装着させる部品装着工程となっており、ステップST22は、回転モータ68の駆動軸68aを原回転位置に復帰させる原回転位置復帰工程となっている。
このように、本実施の形態における部品実装装置としての仮圧着装置12及びこの仮圧着装置12による部品実装方法では、電極部角度φの検出結果を待たずに電極部角度仮設定値φ1を設定(仮定)して回転モータ68の駆動軸68aについてアンチバックラッシ動作の実行の要否を判断し、アンチバックラッシ動作が必要であると判断したときは、電極部角度φの検出を待たずにアンチバックラッシ動作を実行するようになっているので、従来のようにアンチバックラッシ動作が電極部角度φの検出終了後に開始されていた場合よりも基板2上の電極部2aへの部品3の装着タクトが向上する。
制御装置70は、メインルーチンのステップST5が終了したら、現在、部品3の装着対象となっている基板2に対する全部品3の装着が終了しているか否かの判断を行う(図11に示すステップST6)。仮圧着装置12は、基板2の長辺側の各電極部2aに部品3を仮圧着した後、次いで基板保持部駆動機構71によって基板2を90度回転させて基板2の短辺側の各電極部2aに部品3を仮圧着するので、現在、部品3の装着対象となっている基板2に対する全部品3の装着が終了したか否かは、基板2の長辺側及び短辺側の電極部2aの全てに部品3が装着されたかどうかによって判断する。
制御装置70は、ステップST6において、現在、部品3の装着対象となっている基板2に対する部品3の装着が終了していないと判断した場合にはステップST5に戻って部品3の装着動作を継続する。ここで、基板2の長辺側の電極部列2Lを構成する電極部2aへの部品3の装着動作から短辺側の電極部列2Lを構成する電極部2aへの部品3の装着動作に切り替わった場合であって、短辺側の電極部列2Lを構成する電極部2aについて最初に部品3を装着するときには、仮設定値φ1には想定される逆方向の最大値を用いるようにする。
一方、制御装置70は、ステップST6において、現在部品3の装着対象となっている基板2に対する部品3の装着が終了していると判断した場合には、仮圧着装置12から基板2を搬出して基板2の一枚当たりの仮圧着作業を終了する(図11に示すステップST7)。
このようにして仮圧着装置12から搬出された基板2は第1の本圧着装置13に搬入され、基板2の長辺側の電極部2aに仮圧着された部品3が本圧着された後、第1の本圧着装置13から搬出されて、第2の本圧着装置14に搬入される。そして、第2の本圧着装置14において基板2の短辺側の電極部2aに仮圧着された部品3が本圧着された後、第2の本圧着装置14から搬出されて検査装置15に搬入され、検査装置15において、基板2の電極部2aに装着された各部品3の検査がなされる。
以上説明したように、本実施の形態における仮圧着装置12及び仮圧着装置12による部品実装方法では、電極部角度φの検出と並行して電極部角度φの仮設定値(電極部角度仮設定値φ1)の設定を行い、その設定した電極部角度仮設定値φ1と検出した部品角度θ及び回転モータ68の駆動軸68aの直前の回転方向とに基づいて、吸着ツール63aに吸着させた部品3の角度を電極部角度仮設定値φ1に一致させるとした場合に、回転モータ68の駆動軸68aを順方向(第1の方向)に回転させる前に、順方向とは反対の逆方向(第2の方向)に回転させるアンチバックラッシ動作を実行する必要があるか否かの判断を行い、アンチバックラッシ動作を実行する必要があると判断した場合には、電極部角度φの検出と並行してアンチバックラッシ動作を行い、電極部角度φの検出を行った後に回転モータ68の駆動軸68aを順方向に回転させて吸着ツール63aを算出した目標回転位置に位置決めするようになっていることから、アンチバックラッシ動作が電極部角度φの検出の後に行われることはなく、部品ひとつ当たりに要する電極部2aへの装着時間を短縮することができるので、基板2の生産性を向上させることができる。
また、本実施の形態における仮圧着装置12及び仮圧着装置12による部品実装方法では、同一の基板2上に一列に並んだ複数の電極部2aから成る電極部列2Lに対して行う2回目以降の電極部2aへの部品3の装着時、電極部角度仮設定値設定部70dにより設定される電極部角度仮設定値φ1として、前回の部品3の装着時に電極部角度検出手段(2つのカメラ65及び制御装置70の電極部角度算出部70c)により検出された電極部角度φが用いられるようになっており、設定される電極部角度仮設定値φ1と、その後に実際に検出される電極部角度φとはほぼ一致する可能性が高い(φ1≒φとなる可能性が高い)ことから、電極部角度仮設定値φ1を設定してアンチバックラッシ動作を行った後、実際の電極部角度φを検出した結果に基づいてアンチバックラッシ動作時における回転角度(角度β)が大き過ぎたり小さ過ぎたりするようなことはなく、この面からも部品3のひとつ当たりに要する電極部2aへの装着時間を短縮して基板2の生産性を向上させることができる。