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JP2013003542A - 光学素子集合体、光学素子、光学素子集合体の製造方法、及び、光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子集合体、光学素子、光学素子集合体の製造方法、及び、光学素子の製造方法 Download PDF

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JP2013003542A
JP2013003542A JP2011137875A JP2011137875A JP2013003542A JP 2013003542 A JP2013003542 A JP 2013003542A JP 2011137875 A JP2011137875 A JP 2011137875A JP 2011137875 A JP2011137875 A JP 2011137875A JP 2013003542 A JP2013003542 A JP 2013003542A
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Keiji Arai
啓司 新井
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Konica Minolta Advanced Layers Inc
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Abstract

【課題】樹脂と基板とが重なる部分を切断しても、切断面のチッピング及び樹脂の剥離並びに基板の界面破壊を防止することができる光学素子集合体を提供すること。
【解決手段】光学素子集合体は、基板101と、リフロー耐性が劣化しない範囲で柔軟性を付与した第1及び第2樹脂層102,103の樹脂102bとの間に、樹脂の内部応力を緩和可能でそれ自体低応力かつ低膜密度の金属酸化物膜104を設けている。これにより、基板101と第1及び第2樹脂層102,103とが重なる部分を切断する際に、切断面のチッピング及び切断時の応力に起因する第1及び第2樹脂層102,103の剥離や、基板101の界面破壊が発生することを防ぎ、ダイシング耐性を向上させることができる。結果として、その後のリフロー工程において、基板101から第1及び第2樹脂層102,103が剥離せず、光学素子の信頼性を向上させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板上に複数の光学素子部を含む樹脂層が形成されたウェハーレンズ等の光学素子集合体、この光学素子集合体をダイシングして個片化することにより得られる光学素子及びそれらの製造方法に関する。
撮影用レンズ等の光学素子の製造方法として、多数のレンズ部に相当する成形部を有する成形型の中央に一定量の樹脂材料を供給し基板で押し広げた後に、樹脂材料を硬化し成形物を離型することで得られたウェハーレンズ等のレンズ集合体をダイシングして個片化することにより、個々の光学素子を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、樹脂供給の時間短縮及びレンズ毎の樹脂量の均一化に有利である。また、硬化性樹脂材料を用いた場合はリフロー工程に対応可能となり、電子部品とともにリフロー工程で基板に実装することが可能になる。
ここで、リフロー工程に対応可能な硬化性樹脂は、高い耐熱性と硬さとを有するが、一方で、脆く、かつ硬化収縮しやすい性質を有する。そのため、特許文献1の方法では、成形品をダイシングする際に樹脂と基板とが重なる部分に刃が入ると、樹脂の脆性に起因する切断面のチッピング(欠け)及び切断時の応力に起因する樹脂の剥離や基板の界面破壊が発生する場合がある。これにより、その後のリフロー工程等において光学素子の外観不良や性能劣化等が起こるおそれがある。
特開2009−226638号公報
本発明は、樹脂と基板とが重なる部分を切断しても、切断面のチッピング及び樹脂の剥離並びに基板の界面破壊を防止することができる光学素子集合体、及び、これを切断することにより得られる光学素子を提供することを目的とする。
また、本発明は、上述の光学素子集合体を製造するための光学素子集合体の製造方法、及び、この光学素子集合体を用いた光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る光学素子集合体は、基板と、基板の少なくとも一方の面上に設けられる金属酸化物膜と、金属酸化物膜上に設けられ互いに樹脂で繋がった複数のレンズ部を有する樹脂層と、を備え、樹脂層の損失正接は、0.30以上0.50以下であり、金属酸化物膜の膜密度は、1.5g/cm以上2.0g/cm以下である。ここで、損失正接は、貯蔵弾性率E'と損失弾性率E"との比E"/E'であり、tanδで表わされる。損失正接は、材料が変形する際に材料がどのくらいエネルギーを吸収するかを示す物性値である。樹脂の損失正接tanδは、樹脂の架橋密度と相関があり、樹脂の柔軟性や耐熱性に影響する。具体的には、損失正接tanδが0に近い程、樹脂は硬く脆くなり柔軟性が低いものの、耐熱性が向上する。逆に、損失正接tanδが1に近い程、樹脂は柔軟性を有するが、耐熱性が劣化する。一方、金属酸化物膜の膜密度は、膜の応力及び硬度と相関がある。具体的には、膜密度が高い程、金属酸化物膜は応力が大きく、硬く脆くなり柔軟性が低いものの、密着性が向上する。逆に、膜密度が低い程、金属酸化物膜は応力が小さく、柔軟性が向上するものの、密着性が劣化する。
本発明者は、樹脂の損失正接tanδを適度な範囲に設定するとともに、樹脂と基板との間に適度な膜密度をもつ金属酸化物膜を介在させることにより、樹脂及び金属酸化物膜のいずれか一方のみが柔軟性を有するだけでは達成することができない、樹脂の耐熱性を維持しつつダイシング時のチッピング、樹脂の剥離、基板の界面破壊を回避するという効果を達成し得ることを見出し、本発明に至った。
上記光学素子集合体によれば、基板と、リフロー耐性が劣化しない範囲で架橋密度を下げて柔軟性を付与した樹脂層との間に、樹脂の内部応力を緩和可能でそれ自体低応力かつ低膜密度の金属酸化物膜を設けている。これにより、基板と樹脂とが重なる部分を切断する際に、切断面のチッピング(欠け)及び切断時の応力に起因する樹脂の剥離や、基板の界面破壊が発生することを防ぎ、ダイシング耐性を向上させることができる。結果として、その後のリフロー工程において、基板から樹脂が剥離せず、光学素子の信頼性を向上させることができる。つまり、樹脂の柔軟性と、樹脂の下地となる金属酸化物膜の柔軟性とを確保することにより、光学素子をリフロー工程のような高温下にさらしても樹脂が剥離せず、光学素子の信頼性を改善させることができる。
本発明の具体的な態様又は観点では、上記光学素子集合体において、樹脂層の25℃における貯蔵弾性率は、2GPa以上3GPa以下である。ここで、貯蔵弾性率は、材料が内部に蓄えられた応力を保持する能力を示す物性値である。貯蔵弾性率が上記範囲を満たす樹脂は比較的柔らかく、ダイシング耐性をより向上させることができる。
本発明の別の観点では、金属酸化物膜の圧縮応力は、90MPa以上150MPa以下である。ここで、圧縮応力は、材料に圧縮荷重が作用したときに生じる応力を示す物性値である。圧縮応力が上記範囲を満たすことにより、切断時に樹脂層の内部応力を緩和させることができ、ダイシング耐性をより向上させることができる。
本発明のさらに別の観点では、樹脂層の切断される部分の膜厚は、100μm以下である。この場合、ダイシング耐性をより向上させることができる。
本発明のさらに別の観点では、金属酸化物膜は、赤外線反射膜及び反射防止膜のいずれか一方である。
本発明のさらに別の観点では、樹脂層は、基板の少なくとも一方の面の全面に形成されている。この場合、レンズ生産時間を短縮可能な基板又は成形型の中央に樹脂を供給して成形する中央滴下プロセスを採用しても、ダイシング耐性及び光学素子の信頼性を向上させることができる。
上記課題を解決するため、本発明に係る光学素子は、上述の光学素子集合体をダイシングして複数のレンズ部を個片化することにより得られる。
上記光学素子によれば、光学素子集合体が基板と樹脂層との間に金属酸化物膜を有し、樹脂層及び金属酸化物膜が柔軟性を有することにより、光学素子の切断面にチッピングや樹脂の剥離等が生じることを防ぐことができる。結果として、切断した光学素子をリフロー工程のような高温下にさらしても樹脂が剥離せず、光学素子の信頼性を改善させることができる。
上記課題を解決するため、本発明に係る光学素子集合体の製造方法は、基板の少なくとも一方の面上に金属酸化物膜を形成する膜形成工程と、膜形成工程後、金属酸化膜上に互いに樹脂で繋がった複数のレンズ部を有する樹脂層を形成する樹脂成形工程と、を備え、樹脂層の損失正接が0.30以上0.50以下であり、金属酸化物膜の膜密度が1.5g/cm以上2.0g/cm以下である。
上記光学素子集合体の製造方法によれば、基板と樹脂層との間に金属酸化物膜を設け、樹脂層及び金属酸化物膜が柔軟性を有することにより、光学素子の切断面にチッピングや樹脂の剥離等が生じることを防ぐことができる。結果として、切断した光学素子をリフロー工程のような高温下にさらしても樹脂が剥離せず、光学素子の信頼性を改善させることができる光学素子集合体を製造することができる。
本発明の具体的な態様又は観点では、上記光学素子集合体の製造方法において、金属酸化物膜は、真空蒸着及びスパッタリングのいずれかによって形成される。この場合、金属酸化物膜の膜密度を上記範囲に形成することができる。これにより、金属酸化物膜に柔軟性を付与することができる。
上記課題を解決するため、本発明に係る光学素子の製造方法は、上述の光学素子集合体の製造方法によって得られた光学素子集合体を、複数のレンズ部毎に基板及び樹脂層を切断する切断工程を備える。
上記光学素子の製造方法によれば、光学素子集合体の基板と樹脂層との間に金属酸化物膜を設け、樹脂層及び金属酸化物膜が柔軟性を有することにより、光学素子の切断面にチッピングや樹脂の剥離等が生じることを防ぐことができる。結果として、切断した光学素子をリフロー工程のような高温下にさらしても樹脂が剥離せず、光学素子の信頼性を改善させることができる光学素子を製造することができる。
(A)は、複合レンズの断面図であり、(B)は、ウェハーレンズの平面図であり、(C)は、(A)に示すウェハーレンズのAA矢視断面図である。 (A)は、第1実施形態のウェハーレンズ及び複合レンズの製造のために用いるマスター型の斜視図であり、(B)は、サブマスター型の斜視図である。 (A)〜(F)は、ウェハーレンズ及び複合レンズの製造工程を説明するための図である。 ウェハーレンズ及び複合レンズの製造工程を説明するためのフローチャートである。 複合レンズの製造工程のうちダイシング工程について説明するための図である。
図面を参照して、本発明の一実施形態に係る光学素子の製造方法によって製造される複合レンズについて説明する。
A)複合レンズ
図1(A)に示すように、複合レンズ200は、第1レンズ要素11と、第2レンズ要素12と、これらの間に挟まれた平板部13と、金属酸化物膜104と、絞り105とを有する。平板部13は、後述するウェハーレンズ100の基板101をカットラインDX(図1(B)及び図5参照)で切り出した部分である。複合レンズ200は、平面視において矩形の外形を有する。
第1レンズ要素11は、樹脂製であり、平板部13の一方の面101a上に形成されている。第1レンズ要素11は、第1レンズ本体11aと第1フランジ部11bとを有する。第1レンズ本体11aは、例えば凸形状の非球面型のレンズ部であり、第1光学面11dを有している。周囲の第1フランジ部11bは、第1光学面11dの周囲に広がる平坦な第1フランジ面11gを有する。第1フランジ面11gは、光軸OAに垂直なXY面に対して平行に配置されている。
第2レンズ要素12は、第1レンズ要素11と同様に、樹脂製であり、平板部13の他方の面101b上に形成されている。第2レンズ要素12は、第2レンズ本体12aと第2フランジ部12bとを有する。第2レンズ本体12aは、例えば凹形状の非球面型のレンズ部であり、第2光学面12dを有している。周囲の第2フランジ部12bは、第2光学面12dの周囲に広がる平坦な第2フランジ面12gを有する。第2フランジ面12gは、光軸OAに垂直なXY面に対して平行に配置されている。
複合レンズ200において、第1及び第2レンズ要素11,12の形状は同一でも異なる形状であってもよい。複合レンズ200は、ウェハーレンズ100を後述するダイシングによって切り出すことで得られる。複合レンズ200は、例えば別途準備したホルダに収納され、撮像レンズとして撮像回路基板に接着するなどして相互に固定される。なお、複合レンズ200の材料、金属酸化物膜104、絞り105等については、以下で詳述する。
B)ウェハーレンズ
B−1)ウェハーレンズの構造
図1(B)、1(C)に示すように、光学素子集合体であるウェハーレンズ100は、円盤状であり、基板101と、第1樹脂層102と、第2樹脂層103と、金属酸化物膜104と、絞り105とを有する。
ウェハーレンズ100のうち基板101は、円形の平板であり、ガラスで形成されている。基板101の外径は、第1及び第2樹脂層102,103の外径と略同じである。基板101の厚さは、基本的には光学的仕様によって決定されるが、ウェハーレンズ100の離型時において破損しない程度の厚さとなっている。
第1樹脂層102は、樹脂製であり、基板101の一方の面101a上に形成されている。第1樹脂層102は、平面視において円形の外形を有する。第1樹脂層102は、多数の第1レンズ要素11をXY面内で2次元的に配列している。これらの第1レンズ要素11は、平坦な連結部11cを介して一体に成形されている。各第1レンズ要素11と連結部11cとを合わせた表面は、転写によって一括成形される第1成形面102aとなっている。第1レンズ要素11のうち第1フランジ部11bの外周は、連結部11cともなっている。
第1樹脂層102は、光硬化性樹脂で形成されている。光硬化性樹脂には、光硬化性樹脂の重合を開始させる光重合開始剤及び粘度を調整するための単官能又は多官能のモノマーが含まれている。光硬化性樹脂としては、比較的小さい硬化収縮率を有するものを用いる。具体的には、例えばエポキシ系樹脂等を使用することができる。エポキシ系樹脂を使用する場合、光重合開始剤のカチオン重合又はアニオン重合により反応硬化させることができる。粘度調整用の単官能又は多官能のモノマーとしては、例えば、エポキシ系モノマーを用いることができる。具体的には、アリルグリシジルエーテル(単官能)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(2官能)、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル(3官能)等のモノマーを使用することができる。損失正接tanδを小さくする場合は3官能モノマーを多く、損失正接tanδを大きくする場合は単官能モノマーを多くするようにこれらの使用割合を変化させればよい。
ここで、第1樹脂層102の損失正接tanδは、0.30以上0.50以下となっている。ここで、損失正接tanδとは、貯蔵弾性率E'と損失弾性率E"との比E"/E'で表される。損失正接tanδは、材料が変形する際に材料がどのくらいエネルギーを吸収するかを示す。樹脂の損失正接tanδは、樹脂の架橋密度と相関があり、樹脂の柔軟性や耐熱性に影響する。具体的には、損失正接tanδが0に近い程、樹脂は硬く脆くなり柔軟性が低いものの、耐熱性が向上する。逆に、損失正接tanδが1に近い程、樹脂は柔軟性を有するが、耐熱性が劣化する。また、貯蔵弾性率E'は材料が内部に蓄えられた応力を保持する能力を示し、損失弾性率E"は材料が内部に蓄えられた応力を熱として散逸する能力を示す。貯蔵弾性率E'及び損失弾性率E"は、所定周波数の剪断歪みを与えながら温度を変化させて粘弾性測定装置の測定値をプロットし、得られたグラフの傾きから算出することができる。また、第1樹脂層102の25℃における貯蔵弾性率は、2GPa以上3GPa以下となっている。これにより、第1樹脂層102は、切断面のチッピングや剥離が生じないような柔軟性及びリフロー工程に耐え得る耐熱性を有する。ここで、リフロー工程とは、ウェハーレンズ100又はウェハーレンズ100から切り出した複合レンズ200に電子部品等を実装するために高温加熱する工程である。第1樹脂層102の切断される部分の厚さは、100μm以下、好ましくは80μm以下となっており、第1レンズ要素11の第1フランジ部11bの厚さよりも比較的薄くなっている。
第2樹脂層103は、第1樹脂層102と同様に、樹脂製であり、基板101の他方の面101b上に形成されている。第2樹脂層103は、平面視において円形の外形を有する。第2樹脂層103は、多数の第2レンズ要素12をXY面内で2次元的に配列している。これらの第2レンズ要素12は、平坦な連結部12cを介して一体に成形されている。各第2レンズ要素12と連結部12cとを合わせた表面は、転写によって一括成形される第2成形面103aとなっている。第2レンズ要素12のうち第2フランジ部12bの外周は、連結部12cともなっている。第2フランジ面12gは、光軸OAに垂直なXY面に対して平行に配置されている。
第2樹脂層103に用いられる光硬化性樹脂は、第1樹脂層102の光硬化性樹脂と同様のものである。ただし、両樹脂層102,103を同一の光硬化性樹脂で形成する必要はなく、別の光硬化性樹脂で形成することができる。
本実施例では、金属酸化物膜104は、赤外線を反射するための赤外線反射膜である。金属酸化物膜104は、基板101上の全面に略均一な厚さ及び密度に形成されている。つまり、金属酸化物膜104は、基板101と第1樹脂層102との間、及び基板101と第2樹脂層103との間に設けられている。金属酸化物膜104は、例えば干渉フィルターであり、高屈折材料として例えばTa、TiO等を、低屈折材料として例えばSiO等を交互に積層させて形成されている。金属酸化物膜104は、例えば真空蒸着、スパッタリング等によって形成する。金属酸化物膜104の厚さは、例えば40nm以上60nm以下となっている。金属酸化物膜104の膜密度は、1.5g/cm以上2.0g/cm以下となっている。また、金属酸化物膜104の圧縮応力は、90MPa以上150MPa以下、好ましくは100MPa以上130MPa以下となっている。これにより、金属酸化物膜104は、第1及び第2樹脂層102,103の樹脂の内部応力を緩和可能な柔軟性を有する。純粋なガラス最表面は高密度な酸化珪素となっていると考えられるが、表面処理(成膜)をしないガラス上に樹脂を成形すると、硬化時の内部応力が直に反映され、ダイシングおよび環境試験時に割れが発生する。これに対して、ガラス表面に比較的低密度な金属酸化物膜を設けると、この金属酸化物膜がその上に設けられる樹脂の応力緩和層として機能し、ダイシング時におけるチッピングや樹脂の剥離等の問題及びリフロー時に生じる光学性能の劣化等の問題の発生を抑制するものと考えられる。なお、金属酸化物膜104は、第1及び第2樹脂層102,103の内部応力を緩和することができレンズの光学性能に影響を与えないものであれば、赤外線反射膜の機能を有していなくてもよい。
絞り105は、金属酸化物膜104と第1樹脂層102との間、及び金属酸化物膜104と第2樹脂層103との間に設けられている。絞り105は、絞り部材である絞り本体105aと、開口105bとを有する。絞り本体105aは、基板101の少なくともいずれか一方の面101a,101bの第1及び第2レンズ本体11a,12aを除いた領域の一部に形成されている。絞り本体105aは、第1及び第2レンズ本体11a,12aに干渉しないように配置されている。また、図1(B)に示すように、絞り本体105aは、ウェハーレンズ100の切断予定部分AR1、すなわちダイシングラインDX以外の領域AR2に形成されている。これにより、ウェハーレンズ100の切断予定部分AR1は、他の領域に比較して薄くなっている。開口105bは、略円形であり、第1及び第2レンズ本体11a,12aに対応する位置に形成されている。絞り本体105aは、遮光性の金属膜、レジスト、シリコン成膜物、カーボン成膜物等で形成されている。絞り105は、ウェハーレンズ100の切断予定部分AR1に形成されていないため、絞り105の内部応力を考慮しなくてもよい。なお、絞り105は、基板101と第1樹脂層102との間及び基板101と第2樹脂層103との間のいずれか一方に設けるのみでもよい。また、絞り105を設けなくてもよい。
B−2)光硬化性樹脂
以下、第1及び第2樹脂層102,103の形成に用いられる光硬化性樹脂のうち一例のエポキシ系樹脂について説明する。
エポキシ系樹脂としては、エポキシ基を持ち光により重合硬化するものであれば特に限定されず、硬化開始剤としてカチオン発生剤、アニオン発生剤等を用いることができる。エポキシ系樹脂は、硬化収縮率が低いため、成形精度の優れたレンズとすることができる点で好ましい。
エポキシ系樹脂の種類としては、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が挙げられる。その一例として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2'−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル等を重合したものを挙げることができる。
B−3)光重合開始剤
以下、第1及び第2樹脂層102,103に用いられる光重合開始剤(UV開始剤)の詳細について説明する。光重合開始剤は、基本的には光硬化性樹脂との組み合わせで選択する。光重合開始剤としては、エポキシ系樹脂の場合、紫外域(400nm以下)の波長に吸収極大を持ち、当該紫外域の波長でカチオン発生、又はアニオン発生するものであれば、いずれも用いることができる。なお、光重合開始剤の選択にあたっては、ウェハーレンズ100の使用波長域での透過率を低下させないように配慮し、硬化光に対する吸光度が適度となるように考慮する。
カチオン発生する光重合開始剤には、スルフォニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、フェロセニウム塩、ジエチレントリアミン等がある。スルフォニウム塩には、例えば、CYRACURE UVI−6976、UVI−6992(いずれもダウ・ケミカル製)、サンエイドSI−60L、SI−80L(三新化学製)、アデカオプトマーSP−150、SP−170(ADEKA製)、Uvacure1590(ダイセルUCB製)等がある。ヨードニウム塩タイプでは、UV9380C(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン製)、IRGACURE 250(チバジャパン製)等がある。
アニオン発生する光重合開始剤には、アルキルリチウム、カルバメート誘導体、オキシムエステル誘導体、光アミン発生剤等がある。
光重合開始剤の添加量は、光硬化性樹脂に対して、0.001質量%〜5質量%、好ましくは0.01質量%〜3質量%、さらに好ましくは0.05質量%〜1質量%である。
C)成形型
C−1)マスター型
以下、図2(A)、2(B)を参照しつつ、図1(A)に示す複合レンズ200及び図1(B)等に示すウェハーレンズ100を製造するための成形型の一例について説明する。ウェハーレンズ100の成形には、成形型として、マスター型30と、サブマスター型40とが用いられる。
図2(A)に示すように、マスター型30は、直方体状であり、その端面30a上に、後述するサブマスター型40の第2転写面43を形成するための第1転写面31を有する。この第1転写面31は、最終的に得られるウェハーレンズ100の第1樹脂層102の第1成形面102aのポジ型に対応する。第1転写面31は、第1成形面102aのうち第1光学面11dを形成するための第1光学転写面31aと、第1フランジ面11gを形成するための第1フランジ転写面31bとを含む。第1光学転写面31aは、アレイ状に複数個配置されており、略半球の凸形状に形成されている。
マスター型30は、一般に金属材料で形成されている。金属材料としては、例えば鉄系材料や鉄系合金、非鉄系合金等が挙げられる。鉄系材料としては、例えば熱間金型、冷間金型、プラスチック金型、高速度工具鋼、一般構造用圧延鋼材、機械構造用炭素鋼、クロム・モリブデン鋼、ステンレス鋼が挙げられる。そのうち、プラスチック金型としては、例えばプリハードン鋼、焼入れ焼戻し鋼、時効処理鋼がある。プリハードン鋼としては、例えばSC系、SCM系、SUS系が挙げられる。SC系には例えばPXZが挙げられる。SCM系としては例えばHPM2、HPM7、PX5、IMPAXが挙げられる。SUS系としては、例えばHPM38、HPM77、S−STAR、G−STAR、STAVAX、RAMAX−S、PSLが挙げられる。鉄系合金としては、例えば特開2005−113161や特開2005−206913に示されている合金が挙げられる。非鉄系合金としては主に、銅合金、アルミ合金、亜鉛合金がよく知られており、例えば特開平10−219373、特開2000−176970に示されている合金が挙げられる。なお、マスター型30は金属ガラスやアモルファス合金から構成されてもよい。金属ガラスとしては、例えばPdCuSiやPdCuSiNi等が挙げられる。金属ガラスはダイヤモンド切削における被削性が高く、工具の磨耗が少ない。アモルファス合金としては、例えば無電解又は電解のニッケルリンメッキ等があり、ダイヤモンド切削における被削性がよい。これらの高被削性材料は、マスター型30全体を構成してもよいし、メッキやスパッタ等の方法によって特に光学転写面の表面だけを覆ってもよい。
C−2)サブマスター型
図2(B)に示すように、樹脂型であるサブマスター型40は、四角板状であり、樹脂部であるサブマスター成形部41と光透過性のサブマスター基板42とを有する。サブマスター成形部41とサブマスター基板42とは、積層構造となっている。サブマスター成形部41は、その端面41a上に、ウェハーレンズ100の第1成形面102aを形成する第2転写面43を有する。この第2転写面43は、ウェハーレンズ100の第1成形面102aのネガ型に対応する。第2転写面43は、第1成形面102aのうち第1光学面11dを形成するための第2光学転写面43aと、第1フランジ面11gを形成するための第2フランジ転写面43bとを含む。第2光学転写面43aは、第1光学転写面31aによって転写され、アレイ状に複数個配置されており、略半球の凹形状に形成されている。
サブマスター成形部41は、樹脂材料41bによって形成されている。樹脂材料41bとしては、光硬化性樹脂が挙げられ、上記ウェハーレンズ100の第1樹脂層102と同様のエポキシ系樹脂等が使用可能である。なお、アクリル樹脂、アリルエステル樹脂、ビニル系樹脂等も使用可能である。樹脂材料41bは、透明であることが好ましい。
サブマスター成形部41の第2転写面43上には、離型剤が塗布されている。離型剤として、例えばオプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)が挙げられる。サブマスター成形部41と離型剤との間には、離型剤の密着性を良くするために無機酸化物膜が設けられている。無機酸化物膜として、例えばSiO等が挙げられる。無機酸化物膜は、例えば真空蒸着、スパッタリング等によって形成する。なお、樹脂材料41bは、離型性の良好な樹脂、すなわち離型剤を塗布しなくても離型できる樹脂を用いてもよい。
サブマスター基板42は例えば石英、ガラス、シリコンウェハー、金属、樹脂等の平滑性を有する材料で形成されている。透明性又は光透過性の観点(サブマスター型40の上からでも下からでも光照射できるという点)を考慮すると、サブマスター基板42は、好ましくは石英やガラス等から構成される。
以上、ウェハーレンズ100のうち第1樹脂層102を成形するために用いるマスター型30及びサブマスター型40ついて説明したが、第2樹脂層103を成形する際にも同様の型を用いる。この場合、例えばマスター型30については凹形状の第1転写面31を有するものを用い、サブマスター型40については凸形状の第2転写面43を有するものを用いる。これにより、第2樹脂層103の第2成形面103aは、サブマスター型40によって形成される。
D)ウェハーレンズ及び複合レンズの製造方法
図3(A)〜3(F)、図4、図5を参照しつつ、上述のマスター型30及びサブマスター型40を使用して行われるウェハーレンズ100の製造工程について説明する。なお、以下では第1樹脂層102の成形について説明するが、第2樹脂層103の成形についても同様の工程を行う。また、図3(A)〜3(F)は、基板101の一方の面に対して順に後述するステップS14〜S17の各工程を行うことを図示しているが、基板101の両面に各工程を行ってから次の工程を行ってもよい。
まず、研削加工等によって第1樹脂層102の最終形状に対応するマスター型30(図3(A)参照)を作製する(ステップS11)。次に、マスター型30上に樹脂材料41bを塗布し、マスター型30の上方からサブマスター基板42を押圧しながら不図示のUV発生装置により紫外線を照射させ、間に挟まれた樹脂材料41bを光硬化させる(ステップS12)。この際、樹脂材料41bにマスター型30の第1転写面31が転写され、樹脂材料41bに第2転写面43(第2光学転写面及び第2フランジ転写面)が形成される。これにより、サブマスター成形部41が形成される。UV発生装置で用いる光源の例としては、キセノンアークランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UVレーザー、キセノンフラッシュランプ、LED等が挙げられる。なお、サブマスター基板42上の転写位置を変えて本工程のサブマスター型硬化工程(ステップS12)と次工程のサブマスター型離型工程(ステップS13)とを繰り返し、第2転写面43をさらにアレイ状に形成してもよい。
次に、図3(B)に示すように、マスター型30からサブマスター成形部41とサブマスター基板42とを一体として離型することで、サブマスター型40が作製される(ステップS13)。その後、図示を省略するが、サブマスター型40の第2転写面43に無機酸化物膜を形成する。無機酸化物膜は、例えば真空蒸着やスパッタリング等によって形成する。さらに、この無機酸化物膜上に離型剤を塗布する。
次に、ウェハーレンズ100を作製する。まず、図3(C)に示すように、金属酸化物膜104を基板101の両面に形成する(ステップS14)。金属酸化物膜104は、例えば真空蒸着、スパッタリング等によって形成する。例えば、真空蒸着によって金属酸化物膜104を形成する場合、真空装置60を用いて高屈折材料と低屈折材料とを基板101の一方の面101a上に交互に積層させる。真空装置60の駆動装置61の動作により、蒸着源62から高屈折材料として例えばTaを加熱し気化又は昇華させて基板101の一方の面101a上に付着させる。また、駆動装置61の動作により、蒸着源63から低屈折材料として例えばSiOを加熱し気化又は昇華させて基板101の一方の面101a上に付着させる。金属酸化物膜104は、膜厚が例えば40nm以上60nm以下、膜密度が1.5g/cm以上2.0g/cm以下、圧縮応力が90MPa以上150MPa以下となるように形成されている。
次に、図3(D)に示すように、基板101の両表面上の金属酸化物膜104の面上に絞り105を形成する(ステップS15)。絞り105は、例えば金属酸化物膜104の両面上に蒸着やスパッタリング等によって不透明な金属膜を成膜し、その後、開口105bを形成するためのパターニングをすることよって形成する。また、絞り105は、暗色のフォトレジストを成膜し、その後、開口105bを形成するためのパターニングをすることによっても形成することができる。
次に、図3(E)に示すように、サブマスター型40上に樹脂102b(第1樹脂層102を形成する光硬化性樹脂)を塗布し、サブマスター型40の上方から基板101を押圧しながら不図示のUV発生装置により紫外線を照射させ、間に挟まれた樹脂102bを光硬化させる(ステップS16)。この際、樹脂102bにサブマスター型40の第2転写面43が転写され、樹脂102bに第1成形面102a(第1光学面11d及び第1フランジ面11g)が形成される。これにより、第1樹脂層102が形成される。なお、光硬化の後、完全に硬化させるために熱によって硬化させてもよい。
なお、図示を省略するが、続けて上述と同様の工程で基板101の他方の面101bに第2樹脂層103を形成してもよい。
その後、図3(F)に示すように、サブマスター型40から第1樹脂層102と基板101とを一体として離型する(ステップS17)。第1樹脂層102が形成されていない場合、同様の工程を行うことで第2樹脂層103が形成され、サブマスター型40の離型によってウェハーレンズ100が完成する。なお、第1及び第2樹脂層102,103を形成した後にウェハーレンズ100を一括離型することもできる。
その後、図5に示すように、カットラインDXに沿ってウェハーレンズ100を切断、すなわちダイシングする(ステップS18)。ここで、カットラインDXは、基板101、第1及び第2樹脂層102,103、金属酸化物膜104が重なる部分に設定されており、絞り105上には設定されていない。カットラインDXにおける各樹脂層102,103の膜厚は、ダイシング耐性をより向上させるために、100μm以下、より好ましくは80μm以下とすることが望ましい。ウェハーレンズ100は、四角柱状に切り出され、複合レンズ200となる。第1及び第2樹脂層102,103の樹脂102bと金属酸化物膜104とがともに柔軟性を有することにより、切断時に樹脂102bの急激な応力解放及び脆性破壊(チッピング)が発生しない。そのため、チッピングを起点に樹脂102bが基板101から剥離するという状態が生じない。
以上説明した光学素子集合体等によれば、基板101と、リフロー耐性が劣化しない範囲で架橋密度を下げて柔軟性を付与した第1及び第2樹脂層102,103の樹脂102bとの間に、樹脂の内部応力を緩和可能でそれ自体低応力かつ低膜密度の金属酸化物膜104を設けている。これにより、基板101と第1及び第2樹脂層102,103とが重なる部分、すなわちカットラインDXを切断する際に、切断面のチッピング(欠け)及び切断時の応力に起因する第1及び第2樹脂層102,103の剥離や、基板101の界面破壊が発生することを防ぎ、ダイシング耐性を向上させることができる。結果として、その後のリフロー工程において、基板101から第1及び第2樹脂層102,103が剥離せず、光学素子の信頼性を向上させることができる。つまり、樹脂102bの柔軟性と、樹脂102bの下地となる金属酸化物膜104の柔軟性とを確保することにより、光学素子である複合レンズ200をリフロー工程のような高温下にさらしても第1及び第2樹脂層102,103が剥離せず、複合レンズ200の信頼性を改善させることができる。
〔実施例1〕
以下、本発明の製造方法によって製造された複合レンズ200の評価試験の結果について説明する。
本実施例では、第1樹脂層102を形成するための樹脂102bとして、エポキシ系樹脂を用いた。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。また、光重合開始剤としてカチオン系光重合開始剤である芳香族スルフォニウム、又はジエチレントリアミンを用いた。樹脂102bの損失正接tanδの値は、樹脂材料に添加する粘度調整用のエポキシ系モノマーの使用割合を変化させることにより調整した。エポキシ系モノマーとして、具体的には、アリルグリシジルエーテル(単官能)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(2官能)、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル(3官能)を用いた。エポキシ系モノマーは、損失正接tanδを小さくする場合は3官能モノマーを多く、損失正接tanδを大きくする場合は単官能モノマーを多くするようにこれらの使用割合を変化させた。基板101としては、4インチ径で厚さ0.3mmの円形のガラス平板を用いた。そして、レンズ径が2mm、光軸OA上の厚みが0.35mmのレンズが9×9の81個マトリクス状に並ぶように、成形型を用いて成形した。ウェハーレンズ100の硬化工程(上記ステップS16に相当)は、室温下で水銀ランプを用いて20mWの強度で、600秒間UV光の照射を行った後、150℃で加熱を1時間行った。カットラインDXの膜厚は、樹脂を押し広げる際の圧力制御により調整される。ダイシング工程(上記ステップS18に相当)において、ダイシングには、ダイシングソーDAD3350(ディスコ社製)を用いた。ダイシングは、スピンドル回転数を13000/分、ブレード厚を0.1mm、カット速度を2.0mm/分とし、個片化後の複合レンズ200の一辺の長さが2.2mm、カットラインDXの幅が0.2mmとなるようにして行った。
表1は、複合レンズ200と、比較例の複合レンズとを評価試験した結果を示したものである。評価試験は、ダイシング時における樹脂の剥離の有無(ダイシング耐性)、加熱における樹脂の剥離の有無(加熱後の信頼性)、温度サイクル試験(TC(Temperature Cycling)試験)における樹脂の剥離の有無(TC試験後の信頼性)によって行った。比較例は、基板上の金属酸化膜、樹脂層の条件を変更したものである。樹脂層の貯蔵弾性率E'及び損失弾性率E''は、直径8mm、厚さ1mmの測定用樹脂サンプルを作製し、これをパラレルプレートに挟み込み、粘度・粘弾性測定装置レオストレスRS6000(ハッケ社製)を用いて周波数1Hzの剪断歪みを与えながら、5℃/minの昇温温度で−5℃から75℃まで温度を変化させて、各温度における測定値をグラフにプロットし、その傾きから算出した。損失正接tanδは、算出された貯蔵弾性率E'と損失弾性率E''とを用いて、損失正接tanδ=損失弾性率E''/貯蔵弾性率E'の式から算出した。金属酸化物膜の膜密度は、X線回折装置MXP21(マックサイエンス社製)を用いて測定した。金属酸化物膜の圧縮応力は、平坦度測定機FT−900(ニデック社製)を用いて測定した。
ダイシング耐性における樹脂の剥離の有無の評価は、ダイシング後の複合レンズの平板部に対する樹脂層(第1レンズ要素)の剥離の有無について顕微鏡観察をして行った。
加熱における樹脂の剥離の有無の評価は、125℃のオーブンで24時間加熱後の複合レンズの平板部に対する樹脂層(第1レンズ要素)の剥離の有無について顕微鏡観察をして行った。
TC試験における樹脂の剥離の有無の評価は、85℃の状態及び−40℃の環境にそれぞれ30分間置くことを1サイクルとして、これを50サイクル繰り返し、複合レンズの平板部に対する樹脂層(第1レンズ要素)の剥離の有無について顕微鏡観察をして行った。
以上の各試験において、個片化した複合レンズの状態を評価した。剥離、界面破壊が生じた複合レンズが全体の10%未満の場合に「◎」とし、10%以上30%未満の場合に「○」とし、30%以上50%未満の場合に「△」とし、50%以上の場合に「×」とした。ダイシング耐性の試験結果が「×」、すなわち不良となった場合は、信頼性の試験は行っていない。なお、「△」、「○」、「◎」の評価がダイシング耐性又は信頼性の許容範囲となる。
表1の金属酸化物膜は、(i)〜(iv)のいずれも蒸着法を用いて形成したが、蒸着法(iii)のみイオンアシストを用いた。具体的には、蒸着法(i)、(ii)、(iv)は、成膜時の酸素ガス圧を1.2×10−2Paにして、基板101側から順にTa、SiO、Ta、SiOの層を形成した。蒸着法(i)では、成膜温度250℃でTaとSiOとを蒸着した。この場合、形成された金属酸化物膜の膜厚は46nmであった。この金属酸化物膜は赤外線反射機能を有していない。蒸着法(ii)では、成膜温度300℃でTaとSiOとを蒸着した。この場合、形成された金属酸化物膜の膜厚は48nmであった。この金属酸化物膜は赤外線反射機能を有していない。蒸着法(iv)では、成膜温度280℃でTaとSiOとを蒸着した。この場合、形成された金属酸化物膜の膜厚は50nmであった。この金属酸化物膜は赤外線反射機能を有する。一方、蒸着法(iii)は、成膜時の酸素ガス圧を2.0×10−2Paにして、基板101側からTiO、SiO、TiO、SiOの層を形成し、イオンビーム時に酸素60sccm、アルゴンを20sccmを導入した。蒸着法(iii)では、成膜温度120℃でTiOとSiOとを蒸着した。この場合、形成された金属酸化物膜の膜厚は56nmであった。この金属酸化物膜は赤外線反射機能を有していない。
Figure 2013003542
表1に示すように、サンプル3、4、6、9、10、12、13、16、17、19、20は、樹脂の損失正接が0.30以上0.50以下であり、金属酸化物膜の膜密度が1.5g/cm以上2.0g/cm以下であり、カットラインDX(樹脂の切断される部分)の膜厚が80μm以下の条件を満たした。この場合、複合レンズは、各試験において許容範囲となる結果となった。このうちサンプル3、6、9、12、16、19は、樹脂の25℃における貯蔵弾性率が2GPa以上3GPa以下であり、金属酸化物膜の圧縮応力が90MPa以上150MPa以下の条件も満たした。この場合、複合レンズは、各試験において比較的良好な結果となった。
一方、サンプル2、8、15のように、基板上に金属酸化物膜を設けない場合、ダイシング耐性が不良となった。サンプル1、7、14は、樹脂の損失正接が0.30以上0.50以下の条件を満たさず、各試験のいずれかにおいて評価が不良となった。また、サンプル5、11、18は、金属酸化物膜の圧縮応力が90MPa以上150MPa以下の条件を満たさず、各試験のいずれかにおいて評価が不良となった。
以上、本実施形態に係る光学素子集合体等について説明したが、本発明に係る光学素子集合体等は上記のものには限られない。例えば、上記実施形態において、第1及び第2光学面11d,12dの形状、大きさは、用途や機能に応じて適宜変更することができる。
また、上記実施形態において、第1及び第2樹脂層102,103を基板101の全面に形成したが、第1及び第2樹脂層102,103を基板101の全面に形成せずに、例えば、第1及び第2レンズ要素11,12とこれに隣接する第1及び第2レンズ要素11,12との間が一部樹脂で繋がっていてもよい。
また、上記実施形態において、ウェハーレンズ100は、円盤状である必要はなく、楕円形等の各種輪郭を有するものとできる。例えばウェハーレンズ100を当初から四角板状に成形することで、ダイシング工程を簡略化することができる。
また、上記実施形態において、ウェハーレンズ100内に形成される第1及び第2レンズ要素11,12の数も、図示の9つに限らず、2つ以上の複数とすることができる。この際、第1及び第2レンズ要素11,12の配置は、ダイシングの都合から格子点上が望ましい。さらに、隣接するレンズ要素11,12の間隔も、図示のものに限らず、加工性等を考慮して適宜設定することができる。
また、上記実施形態において、ウェハーレンズ100ではなく、第1及び第2レンズ要素11,12の数が1つである成形品を成形してもよい。この場合、複合レンズ200は、ウェハーレンズ100から切り出されるのではなく、第1及び第2フランジ部11b,12bの外形に沿って切断される。
また、上記実施形態において、サブマスター型40の第2転写面43に樹脂を塗布したが、基板101の一方の面101a及び他方の面101bに樹脂を塗布してもよい。
また、上記実施形態において、基板101の一方の面101a及び他方の面101bに予めカップリング剤を塗布してもよい。また、マスター型30の第1転写面31に予め離型剤を塗布してもよい。
また、上記実施形態において、ウェハーレンズ100の基板101の一方の面101a又は他方の面101bにのみ樹脂層を設けてもよい。
また、上記実施形態において、切断予定部分AR1に絞り105の絞り本体105aを設けていないが、ウェハーレンズ100の切断時に第1及び第2樹脂層102,103等に影響を与えなければ、設けてもよい。
また、上記実施形態において、金属酸化物膜104は、赤外線反射膜であるとしたが、反射防止膜であってもよい。
11,12…レンズ要素、 11a,12a…レンズ本体、 11b,12b…フランジ部、 11d,12d…光学面、 11g,12g…フランジ面、 13…平板部、 30…マスター型、 31a,43a…光学転写面、 31b,43b…フランジ転写面、 40…サブマスター型、 41…サブマスター成形部、 41b…樹脂材料、 42…サブマスター基板、 60…真空装置、 100…ウェハーレンズ、 101…基板、 102,103…樹脂層、 102b…樹脂、 104…金属酸化物膜、 105…絞り、 200…複合レンズ、 OA…光軸

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板の少なくとも一方の面上に設けられる金属酸化物膜と、
    前記金属酸化物膜上に設けられ互いに樹脂で繋がった複数のレンズ部を有する樹脂層と、
    を備え、
    前記樹脂層の貯蔵弾性率E'と、前記樹脂層の損失弾性率E"との比E"/E'で表される、前記樹脂層の損失正接は、0.30以上0.50以下であり、
    前記金属酸化物膜の膜密度は、1.5g/cm以上2.0g/cm以下であることを特徴とする光学素子集合体。
  2. 前記樹脂層の25℃における貯蔵弾性率は、2GPa以上3GPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子集合体。
  3. 前記金属酸化物膜の圧縮応力は、90MPa以上150MPa以下であることを特徴とする請求項1及び2のいずれか一項に記載の光学素子集合体。
  4. 前記樹脂層の切断される部分の膜厚は、100μm以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の光学素子集合体。
  5. 前記金属酸化物膜は、赤外線反射膜及び反射防止膜のいずれか一方であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の光学素子集合体。
  6. 前記樹脂層は、前記基板の少なくとも一方の面の全面に形成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の光学素子集合体。
  7. 請求項1から6までのいずれか一項に記載の光学素子集合体をダイシングして複数のレンズ部を個片化することにより得られることを特徴とする光学素子。
  8. 基板の少なくとも一方の面上に金属酸化物膜を形成する膜形成工程と、
    前記膜形成工程後、前記金属酸化膜上に互いに樹脂で繋がった複数のレンズ部を有する樹脂層を形成する樹脂成形工程と、
    を備え、
    前記樹脂層の損失正接が0.30以上0.50以下であり、
    前記金属酸化物膜の膜密度が1.5g/cm以上2.0g/cm以下であることを特徴とする光学素子集合体の製造方法。
  9. 前記金属酸化物膜は、真空蒸着及びスパッタリングのいずれかによって形成されることを特徴とする請求項8に記載の光学素子集合体の製造方法。
  10. 請求項9及び10のいずれか一項に記載の光学素子集合体の製造方法によって得られた光学素子集合体を、複数のレンズ部毎に前記基板及び前記樹脂層を切断する切断工程を備えることを特徴とする光学素子の製造方法。
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