JP2013089625A - 非水系リチウム型蓄電素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両面負極5の一方の面にのみ、負極活物質層の上に金属リチウム箔6を圧着する圧着工程と、電極積層体1において両面負極の上面となる面に金属リチウム箔6が圧着された両面負極5と両面負極の下面となる面に金属リチウム箔6が圧着された両面負極5とを含んで、両面正極7aと金属リチウム箔6が圧着された両面負極5とを、セパレータ4を介して交互に積層して電極積層体1とする積層工程と、前記電極積層体1を外装体に収納して非水系電解液を注入する注液工程と、を含む。
【選択図】 図2
Description
上記駆動システム向けの蓄電素子が果たす役割の一つとして、内燃機関または燃料電池を、最大効率を発揮できる一定の出力で運転させたまま、該駆動システムの負荷の増減を吸収することがあげられる。
上記駆動システムに使用される蓄電素子に求められる第一の要求は、入出力特性が優れていることである。これは、短時間の間に蓄電素子がどれだけの量のエネルギーを吸収または放出できるかが重要であるためである。
上述の電気二重層キャパシタとしては、電解液が水系のもの(以下、「水系キャパシタ」という。)と非水系のもの(以下、「非水系キャパシタ」という。)が知られている。
ところで、このような蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタが提案されている。
リチウムイオンキャパシタの具体的な正極および負極の材料としては、正極に活性炭、負極に黒鉛などの炭素質材料を用いた蓄電素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、非水系リチウム型蓄電素子において、一般に負極活物質として使用される炭素質材料は、最初にリチウムイオンを吸蔵(充電)したときに、該炭素質材料の表面に非水電解液由来の反応物とリチウムイオンとを含む固体電解質膜が形成されること、及び通常の放電条件では放電できないようなリチウムイオンが該炭素質材料の内部に溜まったりすることに起因して、最初に吸蔵した該リチウムイオンのすべてを放出することはできず、該蓄電素子内の通常の充放電に関与できるリチウムイオンの損失を招くことが知られている。特に、比表面積が大きい炭素質材料の場合はこのリチウムイオンの損失が顕著である。
このプリドープは、特に電解液以外にリチウムイオン供給源のないリチウムイオンキャパシタにおいては、必須であるといえる。
しかしながら、最も負極活物質層へのリチウムイオンのプリドープが早く、確実に実施できる方法は、負極活物質層の表面に金属リチウム箔を貼り付け、非水電解液を注入することである。このような例として、厚み10μm以上70μm以下の金属リチウム箔を用いることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
一方、厚みが20μmの金属リチウム箔は、面積1cm2あたり約4.12mAhの電気量(リチウムの分子量6.94、密度0.534g/cm3から計算された電気量。)に相当するリチウム量であり、携帯電話などに使用される民生用リチウムイオン電池の電極の単位面積あたりの容量である約3mAh/cm2の約1.4倍の量である。
従って、厚みが20μmの金属リチウム箔を完全に負極活物質層に吸蔵させるためには、民生用リチウムイオン二次電池の負極活物質層の少なくとも約1.4倍以上、通常は集電体の片面あたり100μmを超える厚い負極活物質層が必要となる。
なお、本発明においては、「駆動システム用の蓄電素子が高出力素子である」とは、該蓄電素子が3.8V以上4.4V以下の開放端子電圧を示すまで充電した後、25℃の環境下で、一定電流で1秒間放電を維持できる最大電流値で放電したときの電極体積あたりのエネルギー密度が3.0Wh/L以上である蓄電素子、または、一定電流で5秒間放電を維持できる最大電流値で放電したときの電極体積あたりのエネルギー密度が10.0Wh/L以上である蓄電素子をいう。
すなわち、工業的に入手可能な金属リチウム箔を負極に吸収させるためには厚い負極が必要となり、結果的に高出力素子が得られないという課題があった。
しかしながら、この場合、負極活物質層のリチウムイオン濃度が活物質層の面内で均一になりにくく、局所的に活物質層内のリチウムイオン濃度が増加するために、通常の充放電で電解液や正極から供給されるリチウムイオンが樹脂状結晶、すなわちデンドライトとして金属析出する恐れがあり、充放電の繰り返しによる容量低下、長期安定性の低下を引き起こすという欠点がある。
このように、高出力素子を実現するためには、リチウム金属の蓄電素子内部への均一なプリドープ方法の開発が急務であった。
しかしながら、当該方法はプリドープに要する時間が長くかかる。
そこで、別の改良方法として、正極集電体として貫通孔を有さない金属箔を使用し、負極集電体として貫通孔を有する金属箔を使用し、負極集電体ごとに1枚の金属リチウム箔で両面の負極活物質層にプリドープする方法が提案されている(特許文献6参照)。
そして、非水系リチウム型蓄電素子の形状がたわんでいる場合は、該蓄電素子を複数接続してなる蓄電モジュールを作製した際、そのたわみが複数重なり合う事で、平坦な形状として計算された設計値を実体積が大きく上回ってしまう。
また、蓄電モジュールから電流を取り出す際、個々の蓄電素子から発生する熱を放熱するために、該蓄電素子の両側から熱伝導のよい金属板で押さえつける構造にすることが知られている。しかしながら、たわみが生じた場合、たわみにより、該金属板と該蓄電素子が十分に接触していない部分の放熱が妨げられる事になる。
そこで、本発明は、たわみの少ない非水系リチウム型蓄電素子の製造方法、非水系リチウム型蓄電素子および当該非水系リチウム型蓄電素子を組み込んだ蓄電モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る非水系リチウム型蓄電素子の製造方法は、正極集電体の両面に正極活物質層が形成された両面正極と、貫通孔を有する負極集電体の両面にリチウムを吸蔵および脱離し得る負極活物質を含む負極活物質層が形成された両面負極とを、セパレータを介して交互に複数積層した電極積層体、ならびにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液が外装体に収納されてなる非水系リチウム型蓄電素子の製造方法であって、前記両面負極の一方の面にのみ、前記負極活物質層の上に金属リチウム箔を圧着する圧着工程と、前記電極積層体において前記両面負極の上面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極と、前記両面負極の下面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極とを含むように、前記両面正極と前記両面負極とをセパレータを介して交互に積層する積層工程と、前記電極積層体を外装体に収納して非水系電解液を注入する注液工程と、を含むことを特徴としている。
また、本発明の請求項6に係る非水系リチウム型蓄電素子は、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法を用いて作製したことを特徴としている。
さらに、本発明の請求項7に係る蓄電モジュールは、請求項6記載の非水系リチウム型蓄電素子を2個以上含んでなることを特徴としている。
図1は、本発明を適用した非水系リチウム型蓄電素子100の一例を示す、模式図である。
一般に、蓄電素子は、正極、セパレータ、負極、電解液、及び外装体を主な構成要素とする。本発明の蓄電素子はリチウム塩を溶解させた有機溶媒(以下、「非水系電解液」という。)を電解液とする、非水系リチウム型蓄電素子100である。
リチウムプリドープ前の電極積層体1は、図2に示すように、セパレータ4を介して、負極5および正極7が交互に積層され、負極5の一方の面にはさらに金属リチウム箔6が張り付けられている。
通常、電極積層体1の両端以外に配置される正極7は両面正極7aとなる。電極積層体1の両端に配置される正極7は片面正極7bおよび両面正極7aのどちらでもよいが、片面正極7bであることがスペース効率上好ましい。前記正極集電体は金属箔であることが好ましく、さらに、1μm以上80μm以下の厚みのアルミニウム箔であることが好ましい。本発明の実施の形態においては、正極集電体は貫通孔がないものが使用される。
活性炭を正極活物質として使用するときには、そのBET比表面積は重要であり、1000m2/g未満では単位重量あたりの容量が小さくなり、入出力特性も低下するため好ましくない。また、3000m2/gより大きくなると、単位重量あたりの容量は大きくなり、入力特性も良好ではあるものの、かさ高くなり、電極としたときの単位容積あたりの容量が低下するため好ましくない。
上記正極活物質には、必要に応じて導電性炭素材料からなる導電性フィラーを混合する事ができる。このような導電性フィラーとしては、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維、黒鉛、これらの混合物などが好ましい。正極活物質層における導電性フィラーの含有量は、正極活物質と導電性フィラーおよび結着剤等の固形材料成分の合計量100質量%に対して0質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下の範囲がさらに更に好ましい。
正極活物質、更に必要に応じて添加された導電性フィラー(以下、これらをまとめて「正極合材」と呼ぶ。)を正極活物質層として正極集電体の上に塗布固着させるための結着剤としては、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、などを使用することができる。正極活物質層における結着剤の含有量は、正極活物質、導電性フィラーおよび結着剤等の固形材料成分の合計量100質量%に対して3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下の範囲が更に好ましい。結着剤の含有量が20質量%よりも多いと正極活物質の表面を結着剤が覆ってしまい、イオンの出入りが遅くなり高出力が得られなくなるため好ましくない。また、結着剤の含有量が3質量%未満であると、正極合材を充分な接着強度で正極集電体に固着させる事ができなくなる。そのため、正極活物質層と正極集電体の接触抵抗が大きくなり高出力が得られにくくなったり、正極合材が電極加工中に脆く崩れて蓄電素子が作れなくなったり、こぼれた正極合材が蓄電素子の内部短絡の原因になったりするため好ましくない。
正極7は、正極合材と結着剤等とを溶媒に分散させたペーストを作製し、このペーストを正極集電体上に塗布し、乾燥させ、必要に応じてプレスして正極活物質層を形成する事で得られる。塗布方法は、ペーストの物性および塗布厚に応じて適宜選択することができる。また、溶媒を使用せずに乾式で正極合材と結着剤とを混合してプレス成型して活物質層とし、これを正極集電体に導電性結着剤を使用して貼り付ける事も可能である。これら正極活物質層の厚みは、通常30μm以上200μm以下程度が好ましい。厚みが30μm未満であると、蓄電素子の内部が集電体およびセパレータばかりになり、全体としての活物質の割合が低減するため、該蓄電素子の容量あたりのエネルギー密度が低下する。また厚みが200μmよりも厚くなると、蓄電素子は高エネルギー密度になるが、数秒という時間で使用したときの入出力特性が低下する。
そして、負極5および正極7は、図2に示すように、負極5の片面の負極活物質層はセパレータ4を介して正極7の正極活物質層と対向し、負極5の他方の面の負極活物質層はこの負極5に張り付けられた金属リチウム箔6およびセパレータ4を順次介して正極7の正極活物質層と対向するように配置されている。
空隙率が10%未満であると、片面の負極活物質層側から供給されるリチウムイオンの濃度が、両面の活物質層間で均一になりにくく、金属リチウム箔6の負極活物質層への吸収に時間がかかったり、負極活物質層中のリチウムイオン濃度の不均一が生じたりするため好ましくない。また、両面の活物質層間でリチウムイオンの濃度が均一になる時間を短縮させるためには、空隙率が高い程好ましいが、70%よりも高いと集電体、さらには負極5の機械的な強度を確保する事が難しく、特に塗布方法で電極を作製することが困難になり、電極としての取り扱いが困難になる。
負極活物質のBET法による比表面積は1m2/g以上1500m2/g以下である事が好ましく、10m2/g以上1200m2/g以下がより好ましく、20m2/g以上1000m2/g以下が更に好ましい。比表面積が1m2/gより小さいと大電流による放電や充電が出来なくなるという問題が発生し、比表面積が1500m2/gより大きいと嵩高くなり、電極化した時の単位体積あたりの容量が低下するため、蓄電素子の高エネルギー密度化が困難になる。
また、60μm以上の金属リチウム箔を使用する場合には、工業的に入手可能な30μmの金属リチウム箔を従来通りに貫通孔を有さない負極集電体の両面に形成された負極活物質層の両面にそれぞれ圧着することで同等の効果を達成することが可能であり、1枚に代えて2枚圧着する必要があるため手間は掛かるものの、本願発明の効果が充分に奏されないからである。
ここで、厚み1μmの金属リチウム箔6は単位面積あたり約0.206mAh/cm2の電気量(リチウムの分子量6.94、密度0.534g/cm3から計算された電気量。)に相当する。本発明においては負極集電体が貫通孔を有するため、これが両面の負極活物質層に供給されることになる。したがって片面あたりは0.103mAh/cm2である。このため、「B/A」が「0.103」を超えると金属リチウム箔6が完全に負極活物質層にリチウムイオンとして吸蔵されることがなく、リチウム金属のまま系に残るため、サイクルによる容量低下や長期安定性の低下などを引き起こすため好ましくない。また、初回の充電電気量0.103の3/4に相当する0.077未満のリチウムイオンを導入した場合には、初期のリチウムイオンの損失を充分補うことができず、そのため蓄電素子を充電したときに負極の電位を金属リチウムの酸化還元電位付近まで下げることが困難になり、その結果として蓄電素子の高電圧化が難しくなることから、蓄電素子のエネルギー密度が低下したり、無理に蓄電素子の電圧を上げると正極の電位が高くなりすぎて電解液の分解が起きるなどしたりして、長期の安定性の点で好ましくない。
リチウムイオン二次電池などでは、組み立て時の精度ばらつきを考慮して、通常、負極よりも正極の方が周囲約0.5mm程度小さく、正極を負極が覆い隠すような積層構造をしている。本発明の蓄電素子でも正極を負極が覆い隠すような構造が好ましい。
負極集電体の両面に負極活物質層を有し、かつ片面の負極活物質層上に金属リチウム箔6が圧着された負極5は、その両面がセパレータ4を介して正極7と対向するように積層されて例えばラミネートフィルムから形成された外装体21に挿入される。
好ましくは、図2に示すように、負極(両面負極)5と両面正極7aとセパレータ4とを、負極(両面負極)5/セパレータ4/両面正極7a/セパレータ4/負極(両面負極)5の順に積層した部分電極積層体2を1つ以上含むように、正極7、負極5、及びセパレータ4を積層することで電極積層体1を作製する。また、通常、電極積層体1の両端以外に配置される正極は両面正極7aを用いる。また、電極積層体1の両端に配置される正極は両面正極7aおよび片面正極7bのいずれであっても適用することができるが、スペース効率上、片面正極7bを用いることが望ましい。
図4は、負極(両面負極)5を8枚有する電極積層体1において、8枚の負極5のうち、上層側の4枚の負極5はその上面に金属リチウム箔6が圧着され、下層側の4枚の負極5はその下面に金属リチウム箔6が圧着されている。
したがって、上層から4番目の負極5、つまり上面に金属リチウム箔6が圧着された負極5と、5番目の負極5、つまり下面に金属リチウム箔6が圧着された負極5とは、これらに圧着された金属リチウム箔6が両面正極7aに対して面対称の位置関係となり、すなわち部分電極積層体2を構成する。
したがって、上層から4番目の負極5、つまり下面に金属リチウム箔6が圧着された負極5と、5番目の負極5、つまり上面に金属リチウム箔6が圧着された負極5とは、これらに圧着された金属リチウム箔6が両面正極7aに対して面対称の位置関係となり、すなわち部分電極積層体2を構成する。
したがって、図4から図6のいずれの積層方法も適用できる。なお、この他様々な圧着方向での積層形態が考えられるが、隣接する両面負極5の金属リチウム箔6の圧着方向が反対となる部分電極積層体2が1つ以上あれば良く、記載した図面の限りではない。
したがって、要は、金属リチウム箔6が上面に配置された負極5と金属リチウム箔6が下面に配置された負極5とを含めば、少なくともこれら負極5におけるたわみは抑制されるため、金属リチウム箔6が上面に配置された負極5と金属リチウム箔6が下面に配置された負極5とを含むように、電極積層体1を構成すればよい。金属リチウム箔6が上面に配置された負極5の数と金属リチウム箔6が下面に配置された負極5の数とが同数または同数程度であるほど好ましく、具体的には、金属リチウム箔6が上面に配置された負極5の数と金属リチウム箔6が下面に配置された負極5の数との比が2:3以上3:2以下であることが好ましい。
非水系電解液中の電解質濃度は、0.5mol/L以上2.0mol/L以下の範囲が好ましい。0.5mol/L未満では陰イオンが不足して蓄電素子の容量が低下する。また、2.0mol/Lを超えると未溶解の塩が該電解液中に析出したり、該電解液の粘度が高くなりすぎたりすることによって、逆に伝導度が低下して出力特性が低下する。
まず、負極5及び正極7を、電極タブ(電極のうち、電極活物質が塗工されていない集電体のみの部分をいう。)を有するように打ち抜いた(以下、打ち抜き後のものを単に「正極」、「負極」という。)。負極5の片面の負極活物質層に接するように略同面積の金属リチウム箔6を圧着し、正極7と負極5との間にポリエチレン製のセパレータ4をはさみ込んで電極積層体1とする。ここで、正極タブが電極積層体1の片方の短辺側、負極タブが電極積層体1の対向する短辺側を向くように積層する。
一般的に、厚みが4mmまたは5mm以上となる電極積層体から収容カップ成形の必要性が増してくる。
非水系電解液を注入された蓄電素子は、前記電解液の注入口を仮封口し、所定温度に調整された恒温環境で所定時間保持されることで、金属リチウム箔6がリチウムイオンになりすべて負極5に吸蔵される(プリドープ工程)。温度は、常温以上80℃以下程度が好ましく、時間は1時間以上1週間以内が好ましい。温度が常温より低く、時間が1時間より短い場合においては、前記金属リチウム箔6が充分にリチウムイオンになっていないことが予想され、反対に、80℃より高く、または1週間以上保持した場合においては、電解液や電極表面の劣化につながり、蓄電素子の内部抵抗を増加させることが予想される。
ただし、上記作製方法は一般的な一例を示したものであって、請求項に記載される以外の作製方法を限定するものではない。
完成した非水系リチウム型蓄電素子100のたわみは、図7に示したような方法で定量化することができる。
電極積層体1を収容しているラミネート外装体カップ部24(またはカップ形状になっている部分)の長さをx(図7(b))、非水系リチウム型蓄電素子100を平面上に水平に置いた際の電極積層体1を収容しているラミネート外装体カップ部24の端部(または、カップ形状になっている部分の端部)と平面との距離をy(図7(a))とすると、たわみ=y/xと表すことが可能である。
<実施例1>
市販のピッチ系活性炭(BET比表面積1955m2/g)150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ300gを入れたステンレス製バットの上に置き、当該ステンレス製バットを電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱処理を行うことによって、前記ピッチ系活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔性材料を作製した。
上記で得た複合多孔性材料83.4質量部、アセチレンブラック8.3質量部およびPVdF(ポリフッ化ビニリデン)8.3質量部とNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。
次いで、複合多孔性材料のスラリーをこの銅箔の両面に塗布し、次いで乾燥し、次いでプレスして、負極活物質層の厚さが片面あたり50μmの両面負極(以下単に「負極」という。)5を得た。
負極5と正極7との間にポリエチレン製のセパレータ(旭化成ケミカルズ製、厚み24μm)4を各々はさみ込み、片面正極7b、セパレータ4、負極5、セパレータ4、両面正極7a、…、セパレータ4、負極5、セパレータ4、片面正極7bの順に積層し、片面正極7b:2枚、負極5:21枚、両面正極7a:20枚が積層されてなる電極積層体1を作製した。
この電極積層体1をポリプロピレンとアルミ箔の積層体からなるラミネートフィルムで形成された容器に入れ、ECとMECを1:4の体積比率で混合した非水溶媒に1mol/Lの濃度でLiN(SO2C2F5)2を溶解した非水電解液を注入して密閉し、非水系リチウム型蓄電素子100を作成した。
作製した非水系リチウム型蓄電素子100にたわみは見られず、y/x=0.0001であり、負極活物質層に圧着した金属リチウム箔6は、60時間後にはすべて消失していた。
同じく片面正極7b:2枚、負極5:21枚、両面正極7a:20枚が積層されてなる電極積層体1を作製した。
このとき、電極積層体1を構成する両面負極5のうち、上側半分の10枚の両面負極5については、図4のごとく、金属リチウム箔6を両面負極5の上面に配置し、下側半分の11枚の両面負極5については金属リチウム箔6を両面負極5の下面に配置した。金属リチウム箔6の配置位置が異なること以外は、実施例1と同様にして電極積層体1を作製し、実施例1と同様にして非水系リチウム型蓄電素子100を作製した。
作製した非水系リチウム型蓄電素子100のたわみは、y/x=0.001であった。
同じく片面正極7b:2枚、負極5:21枚、両面正極7a:20枚が積層されてなる電極積層体1を作製した。
このとき、電極積層体1を構成する両面負極5のうち、上側半分の10枚の両面負極5については、図5のごとく、金属リチウム箔6を両面負極5の下面に配置し、下側半分の11枚の両面負極5については金属リチウム箔6を両面負極5の上面に配置した。金属リチウム箔6の配置位置が異なること以外は、実施例1と同様にして電極積層体1を作製し、実施例1と同様にして非水系リチウム型蓄電素子100を作製した。
作製した非水系リチウム型蓄電素子100のたわみは、y/x=0.001であった。
同じく片面正極7b:2枚、負極5:21枚、両面正極7a:20枚が積層されてなる電極積層体1を作製した。
このとき、電極積層体1を構成する両面負極5における金属リチウム箔6の貼り付け面を、図6のごとく、上層側から2枚毎に逆となるように配置した。金属リチウム箔6の配置位置が異なること以外は、実施例1と同様にして電極積層体1を作製し、実施例1と同様にして非水系リチウム型蓄電素子100を作製した。
作製した非水系リチウム型蓄電素子100のたわみは、y/x=0.0001であった。
同じく片面正極7b:2枚、負極5:21枚、両面正極7a:20枚が積層されてなる電極積層体1を作製した。
このとき、図8のごとく、電極積層体1を構成する21枚全ての両面正極7aについて金属リチウム箔6をその下面に配置した。金属リチウム箔6の配置位置が異なること以外は、実施例1と同様にして電極積層体1を作製し、実施例1と同様にして非水系リチウム型蓄電素子100を作製した。
作製した非水系リチウム型蓄電素子100のたわみは、y/x=0.009であった。
実施例1から実施例4のように、負極(両面負極)5と両面正極7aとセパレータ4とを負極(両面負極)5/セパレータ4/両面正極7a/セパレータ4/負極(両面負極)5の順に積層した部分電極積層体2を1つ以上含み、且つ部分電極積層体2において、負極(両面負極)5に圧着された金属リチウム箔6の圧着方向が、セパレータ4及び両面正極7aを介して隣接する負極(両面負極)5に圧着されている金属リチウム箔6の圧着方向と面対称となるように積層した場合の、非水系リチウム型蓄電素子100のたわみは、0.001〜0.0001程度であるのに対し、負極5の下面に金属リチウム箔6が位置するように配置した比較例1の場合には、非水系リチウム型蓄電素子100のたわみは0.009であり、比較例1の方がたわみが大きいことが確認された。
2 部分電極積層体
4 セパレータ
5 両面負極
6 金属リチウム箔
7 正極
7a 両面正極
7b 片面正極
9 負極の負極活物質層未塗工部(負極タブ)
21 外装体
22 負極端子用リードタブ
23 正極端子用リードタブ
24 ラミネート外装体カップ部
25 ラミネート外装体シール部
Claims (7)
- 正極集電体の両面に正極活物質層が形成された両面正極と、貫通孔を有する負極集電体の両面にリチウムを吸蔵および脱離し得る負極活物質を含む負極活物質層が形成された両面負極とを、セパレータを介して交互に複数積層した電極積層体、ならびにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液が外装体に収納されてなる非水系リチウム型蓄電素子の製造方法であって、
前記両面負極の一方の面にのみ、前記負極活物質層の上に金属リチウム箔を圧着する圧着工程と、
前記電極積層体において前記両面負極の上面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極と、前記両面負極の下面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極とを含むように、前記両面正極と前記両面負極とをセパレータを介して交互に積層する積層工程と、
前記電極積層体を外装体に収納して非水系電解液を注入する注液工程と、を含むことを特徴とする非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。 - 前記積層工程は、前記圧着工程後の第1の両面負極と第2の両面負極とが第1の両面正極に対して面対称の位置関係となるように前記第1の両面負極/第1のセパレータ/前記第1の両面正極/第2のセパレータ/前記第2の両面負極の順に積層されてなる部分電極積層体を含んで、前記両面正極と前記圧着工程後の両面負極とを、前記セパレータを介して交互に積層して前記電極積層体とすることを特徴とする請求項1記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
- 前記積層工程は、前記圧着工程後の前記第1の両面負極と前記第2の両面負極とが前記第1の両面正極に対して面対称の位置関係となり且つ前記第2の両面負極と前記圧着工程後の第3の両面負極とが、第2の両面正極に対して面対称の位置関係となるように、前記第1の両面負極/第1のセパレータ/前記第1の両面正極/第2のセパレータ/前記第2の両面負極/第3のセパレータ/前記第2の両面正極/第4のセパレータ/前記第3の両面負極の順に積層されてなる、前記第2の両面負極を共有する2組の前記部分電極積層体を含んで、前記両面正極と前記圧着工程後の両面負極とを、前記セパレータを介して交互に積層して前記電極積層体とすることを特徴とする請求項2記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
- 前記積層工程は、前記部分電極積層体を含み且つ、前記金属リチウム箔が圧着された面が前記電極積層体における上側となるように配置された両面負極の数と、前記金属リチウム箔が圧着された面が前記電極積層体における下側となるように配置された両面負極の数との比が、予め設定された比となるように、前記両面正極と前記圧着工程後の両面負極とを、前記セパレータを介して交互に積層して前記電極積層体とすることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
- 前記金属リチウム箔が圧着された面が前記電極積層体における上側となるように配置された両面負極の数と、前記金属リチウム箔が圧着された面が前記電極積層体における下側となるように配置された両面負極の数との比は、2:3以上3:2以内の値であることを特徴とする請求項4に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。
- 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法を用いて作製したことを特徴とする非水系リチウム型蓄電素子。
- 請求項6記載の非水系リチウム型蓄電素子を2個以上含んでなることを特徴とする蓄電モジュール。
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