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JP2018067482A - リチウムイオン二次電池及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池及びその製造方法 Download PDF

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JP2018067482A JP2016206094A JP2016206094A JP2018067482A JP 2018067482 A JP2018067482 A JP 2018067482A JP 2016206094 A JP2016206094 A JP 2016206094A JP 2016206094 A JP2016206094 A JP 2016206094A JP 2018067482 A JP2018067482 A JP 2018067482A
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Abstract

【課題】本発明の目的は、ガスポケットとガス除去工程を廃して生産性を高めたリチウムイオン二次電池を提供することにある。【解決手段】正極、負極、および正極と負極との間に介在するセパレータならびに非水電解液を、ラミネートフィルムからなる外装材に封入されたリチウムイオン二次電池であって、正極活物質は層状岩塩構造リチウム化合物と、スピネル型マンガン酸リチウムとを含み、負極活物質はチタン酸リチウムを含み、60℃の環境下で800サイクルの充放電を行った電池内における電池容量あたりのガスの量が3ml/Ah以下となることを特徴とする、リチウムイオン二次電池とする。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池及びその製造方法に関する。
近年、携帯機器、ハイブリット自動車、電気自動車、家庭用蓄電用途にリチウムイオン二次電池の研究開発が盛んに行われている。これらの分野に用いられるリチウムイオン二次電池は、安全性の高さ、長期サイクル安定性、高容量などが求められている。
長期サイクル安定性を阻害する課題の一つとして、充放電サイクル時におけるガス発生が挙げられる。ガス発生によって電池容器が膨らむと、電極間距離が広がることによって電池特性の低下に繋がる。特に外装材としてラミネートフィルムを用いた電池は、金属容器を用いた電池に比べて内圧上昇の影響を受けやすいため、ガス発生への対処が大きな課題となっている。
特許文献1には、発生したガスを溜め込むガスポケットをラミネートフィルムの成型時に設け、エージング工程に供した後にガスポケットを開封し、発生したガスを除去した後に再シールすることによって、電池の膨れを抑制する方法が提案されている。
特開2014−238946
しかしながら、特許文献1の方法では、エージング工程で発生したガスの除去が必要になることから、ガスポケットの再シール時にシール不良が発生することによる生産性低下が課題である。更に大量のガスが発生するため、大きなガスポケットを要することから、自動生産ラインを流すことが出来ず、やはり生産性が低下する。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものである。その目的はガスポケットとガス除去工程が必要なく、生産性が向上されたリチウムイオン二次電池およびその製造方法を提供することである。
すなわち、本発明は、正極、負極、および正極と負極との間に介在するセパレータならびに非水電解液を、ラミネートフィルムからなる外装材に封入したリチウムイオン二次電池であって、正極活物質は層状岩塩構造リチウム化合物と、スピネル型マンガン酸リチウムとを含み、負極活物質はチタン酸リチウムを含み、60℃の環境下で800サイクルの充放電を行った電池内における、電池容量あたりのガスの量が3ml/Ah以下となるリチウムイオン二次電池とする。
また、正極、負極、および正極と負極との間に介在するセパレータならびに非水電解液を、ラミネートフィルムからなる外装材に封入したリチウムイオン二次電池の製造方法において、正極活物質として層状岩塩構造リチウム化合物と、スピネル型マンガン酸リチウムとを使用し、負極活物質としてチタン酸リチウムを使用し、充電状態を40%以上とした電池を25℃以上50℃以下の環境下で、エージングする。
本発明によれば、ガスポケットとガス除去工程が必要なくなるため電池の生産性が向上する。
は、リチウムイオン二次電池の断面図である。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1はリチウムイオン二次電池の断面図を示す。リチウムイオン二次電池10は、負極1、正極2およびセパレータ3からなる積層体、ならびに非水電解質4が外装材5に封入されており、負極1および正極2に接続されるタブ6が、外装材5の外に、その一部が導出されている。
<負極>
正極及び負極は、リチウムイオンの挿入及び脱離、すなわち電極反応をする機能を有し、当該電極反応により、リチウムイオン二次電池の充電及び放電が為される。
正極及び負極には各々、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能な活物質を含む活物質層が集電体の表面に形成されている。
活物質は、電極反応に寄与する物質である。
負極活物質としては、少なくともチタン酸リチウムを用いる。
チタン酸リチウムの中でも、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さい点から、スピネル構造のチタン酸リチウムが特に好ましい。チタン酸リチウムには、たとえばNbなどのリチウム、チタン以外の元素が微量含まれていてもよい。
集電体は、活物質層から集電をする部材である
負極集電体としては、銅、SUS、ニッケル、チタン、アルミニウムおよびそれらの合金が好ましい。
負極集電体の厚みは、10μm以上100μm以下であることが好ましい。この範囲内であれば、電池作製時の取扱い性、コスト、得られる電池特性の点でバランスが取り易い。なお、集電体は、金属材料(銅、SUS、ニッケル、チタン、およびそれらの合金)の表面に負極の電位で反応しない金属を被覆したものも用いることもできる。
負極は導電助材を含んでいてもよい。導電助材とは、電極の導電性を補助する目的で、正極活物質および負極活物質に含まれる、導電性または半導電性の物質である。
導電助材としては、特に限定されないが、金属材料または炭素材料が好ましい。金属材料の場合は、銅、およびニッケルなど、炭素材料の場合は天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、およびファーネスブラックなどが挙げられる。これら導電助材は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
本発明において、負極に含まれる導電助材の量は、負極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。このような範囲であれば、負極の導電性が確保される。また、後述のバインダーとの接着性が維持され、集電体との接着性が十分に得ることができる。
本発明の負極には、活物質および導電助材を集電体に結着させる目的で、バインダーを使用してよい。
バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミドおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好適に用いられる。
バインダーは負極の作製しやすさから、非水溶媒または水に溶解または分散されていることが好ましい。
非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、またはテトラヒドロフランが好適に用いられる。
これら非水溶媒に分散剤、増粘剤を加えてもよい。
本発明において、負極に含まれるバインダーの量は、負極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。このような範囲であれば、負極活物質と導電助材との接着性が維持され、集電体との接着性が十分に得ることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池における好ましい負極の一形態としては、負極活物質、導電助材、およびバインダーの混合物を集電体上に形成する方法があるが、作製方法の容易さから、上記混合物および溶媒でスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体上に塗工した後に、溶媒を除去することによって負極を作製する方法が好ましい。
スラリーの作製方法は従来公知の条件、方法を使用すればよい。また、塗工、溶媒除去についても従来公知の条件、方法を使用すればよい。
本発明において、負極の厚みは、特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。この範囲内であれば、所望の電池容量と出力密度を有する電池を得ることが出来る。
本発明において、負極の密度は、1.0g/cm3以上3.0g/cm3以下であることが好ましい。この範囲内であれば電子伝導性が確保し易いのに加えて、後述の非水電解質が負極内に浸透でき、リチウムイオン伝導性の向上、およびガス発生の抑制効果が期待できる。
負極活物質、導電助材との接触が十分にあり、かつ後述の非水電解質が負極内に浸透しやすいことから、負極の密度は、1.3g/cm3以上、2.7g/cm3以下より好ましく、負極活物質、導電助材との接触と、非水電解質の負極内へ浸透しやすさが最もバランスが取れている、1.5g/cm3以上、2.5g/cm3以下がさらに好ましい。
負極の密度は、所望の厚みまで電極を圧縮することによって制御することが出来る。圧縮は、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いておこなうことができる。電極の圧縮は、後述の正極を形成する前でも、後でもよい。
負極の密度は、負極活物質層の厚みおよび重量から算出することが出来る。
<正極>
正極活物質としては、層状岩塩構造リチウム化合物と、スピネル型マンガン酸リチウムとを含むものとする。これら正極活物質を用いることにより、電池におけるガス発生が抑止され、かつ電池の充電終止電圧が高電圧化される。その結果、ガスポケットとガス除去工程を不要とするリチウムイオン二次電池となる。
層状岩塩構造リチウム化合物としては、LiaNibCocMndXeO2(但し、Xは、B、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Ga、Ge、Sr、Zr、Nb、Mo、In、Snからなる群から選択される少なくとも1種、0<a≦1.2、0≦b、c、d、e≦1、およびb+c+d+e=1)で表される化合物が好ましい。
これらの中でも、ガス発生減少、および充電終止電圧の高電圧化の効果が大きいことから、LiNi1/3Co1/3Mn1/32、LiNi0.5Co0.2Mn0.32、LiNi0.5Mn0.52、LiMn0.4Ni0.4Co0.22、LiMn0.1Ni0.1Co0.82、LiNi0.8Co0.16Al0.042、LiNi0.8Co0.15Al0.052、LiNiO2、LiMnO2、およびLiCoO2から選ばれる一種がより好ましく、特に大きい効果が得られる、LiCoO2が特に好ましい。これら層状岩塩型構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物には、LiaNibCocMnde2のaが1より大きい、いわゆるリチウムリッチ系もふくまれる。
スピネル型マンガン酸リチウムとしては、Li1+xyMn2-x-y4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素(但し、Mnは除く)からなる群から選択される少なくとも1種)で表される化合物が好ましい。これらの中でも、Li1+xAlyMn2-x-y4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)で表される化合物がより好ましい。
本発明に用いられる正極活物質は、スピネル型マンガン酸リチウムの重量をAとし、層状岩塩型構造リチウム化合物の重量をBとした場合に0.01≦B/(A+B)≦0.1の範囲で、スピネル型マンガン酸リチウムおよび層状岩塩型構造リチウム化合物を用いることが好ましい。このような範囲の場合、ガス発生抑止の効果が大きく、さらに充電終止電圧の高電圧化の効果が大きい。
本発明の正極に用いる集電体は、アルミニウムおよびその合金であることが好ましい。前記アルミニウムは、正極反応雰囲気下で安定であることから、特に限定されないが、JIS規格1030、1050、1085、1N90、1N99等に代表される高純度アルミニウムであることが好ましい。
正極集電体の厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。この範囲内であれば、電池作製時の取扱い性、コスト、得られる電池特性の点でバランスが取り易い。なお、集電体は、アルミニウム以外の金属(銅、SUS、ニッケル、チタン、およびそれらの合金)の表面に正極の電位で反応しない金属を被覆したものも用いることもできる。
本発明の正極には導電助材を含有させてもよい。
導電助材としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、炭素材料が好ましい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、およびファーネスブラックなどが挙げられる。これら炭素材料は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
本発明の正極に含まれる導電助材の量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。この範囲であれば、正極の導電性が良好となり、後述のバインダーとの接着性が維持され、集電体との接着性を十分に得ることができる。
本発明の正極にはバインダーを含有させてよい。
バインダーは、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミド、およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
バインダーは正極の作製しやすさから、非水溶媒または水に溶解または分散されていることが好ましい。
非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
本発明の正極に含まれるバインダーの量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。上記範囲であれば、正極活物質と導電助材との接着性が維持され、集電体との接着性が十分に得ることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池における好ましい正極の一形態としては、正極活物質、導電助材、およびバインダーの混合物を集電体上に形成する方法があるが、作製方法の容易さから、上記混合物および溶媒でスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体上に塗工した後に、溶媒を除去することによって負極を作製する方法が好ましい。スラリーの作製は従来公知の条件、方法を使用すればよい。また、塗工、溶媒除去についても従来公知の条件、方法を使用すればよい。
正極の厚みは、特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。この範囲内であれば、所望の電池容量と出力密度を有する電池を得ることが出来る。
本発明の正極の密度は、1.0g/cm3以上4.0g/cm3以下であることが好ましい。この範囲内であれば、この範囲内であれば電子伝導性が確保し易いのに加えて、後述の非水電解質が正極全体に行き渡り、ガス発生の抑制効果が得られる。
正極活物質、導電助材との接触が十分にあり、かつ非水電解質が正極内に浸透しやすいことから、正極の密度は、1.5g/cm3以上、3.5g/cm3以下がさらに好ましく、正極活物質、導電助材との接触と、非水電解質の正極内への浸透しやすさが最もバランスが取れている、2.0g/cm3以上、3.0g/cm3以下が特に好ましい。
正極の密度は、所望の厚みまで電極を圧縮することによって制御することが出来る。圧縮方法は、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いておこなうことができる。電極の圧縮は、前述の負極を形成する前でも、後でもよい。
前記正極の密度は、正極活物質層の厚みおよび重量から算出することが出来る。
<セパレータ>
セパレータは、正極と負極との間に設置され、電極同士の短絡を防ぐと共にこれらの間のリチウムイオンの伝導を仲介する媒体としての機能を有する。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いるセパレータは、前述の正極と負極との間に設置され、絶縁性かつ後述の非水電解質を含むことが出来る構造であればよく、
例えば、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、及びそれらを2種類以上複合したものの織布、不織布、微多孔膜などが挙げられる。サイクル特性の安定性が優れることから、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリポロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、及びそれらを2種類以上複合したものの不織布であることが好ましい。
セパレータには、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤が含まれてもよいし、金属酸化物等が被覆されていてもよい。
セパレータの厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。この範囲内であれば、正極と負極が短絡することを防ぎつつ、電池の抵抗が高くなることを抑えることが出来る。経済性、取り扱いの観点から、15μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
セパレータの空隙率は、30%以上、90%以下であることが好ましい。30%未満であると、リチウムイオンの拡散性が低下するためサイクル特性が著しく低下し、一方、90%より高い場合は、電極の凹凸がセパレータを貫通しショートする恐れが非常に高くなる。リチウムイオンの拡散性の確保、およびショートの防止のバランスの観点から、35%以上、85%以下がより好ましく、前記バランスが特に優れていることから、40%以上、80%以下が特に好ましい。
<非水電解質>
非水電解質は、正極と負極との間のイオン伝達を媒介する機能を有する。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いる非水電解質は、特に限定されないが、非水溶媒に溶質を溶解させた非水電解液、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液を高分子に含浸させたゲル電解質などを用いることができる。
非水溶媒としては、環状の非プロトン性溶媒及び/又は鎖状の非プロトン性溶媒を含むことが好ましい。
環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、環状スルホン及び環状エーテルなどが例示される。
鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、及びアセトニトリルなどの一般的に非水電解質の溶媒として用いられる溶媒を用いても良い。
環状の非プロトン性溶媒または鎖状の非プロトン性溶媒としては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジオキソラン、プロピオン酸メチルなどを好適に用いることができる。これら溶媒は1種類で用いてもよいし、2種類以上混合しても用いてもよいが、後述の溶質を溶解させやすさ、リチウムイオンの伝導性の高さから、2種類以上混合した溶媒を用いることが好ましい。
環状の非プロトン性溶媒および鎖状の非プロトン性溶媒を混合する場合、高温時の安定性が高く、且つ低温時のリチウム伝導性が高いことから、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、およびメチルプロピルカーボネートに例示される鎖状カーボネートのうち1種類以上、と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトンに例示される環状カーボネートのうち1種類以上との混合が好ましく、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、およびジエチルカーボネートに例示される鎖状カーボネートのうち1種類以上と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートに例示される環状カーボネートのうち1種類以上との混合がより好ましい。
鎖状カーボネートと、環状カーボネートとの混合溶媒における混合比は、鎖状カーボネート:環状カーボネート=5体積%:95体積%〜95体積%:5体積%の範囲であることが好ましい。この範囲内であれば、非水溶媒の粘度が適度な範囲に収まるため所望の電池特性、とくにレート特性が得られるとともに、後述の溶質を所望の両溶解させることが可能となる。所望の粘度、かつ所望の溶質量のバランスが良好であることから、混合比は、鎖状カーボネート:環状カーボネート=10体積%:90体積%〜90体積%:10体積%の範囲であることがより好ましく、前記バランスが特に良好であることから、鎖状カーボネート:環状カーボネート=20体積%:80体積%〜80体積%:20体積%の範囲であることがさらに好ましい。
溶質は、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiBOB(Lithium Bis (Oxalato) Borate)、LiN(SO2CF32であれば好適に用いられる。
電解液に含まれる溶質の濃度は、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましい。このような範囲とすることで、リチウムイオン伝導性と、溶質の溶解性が良好となる。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いる非水電解質の量は、特に限定されないが、電池容量1Ahあたり、0.1mL以上であることが好ましい。この量であれば、電極反応に伴うリチウムイオンの伝導を確保でき、所望の電池性能が発現する。
非水電解質は、あらかじめ正極、負極およびセパレータに含ませてもよいし、正極側と負極側との間にセパレータを配置したものを倦回、あるいは積層した後に添加してもよい。
<積層体>
積層体としては、長尺の正極、セパレータ、負極の順に重ねてこれを捲回したもの、枚葉の正極、セパレータ、負極をこの順番に所定枚数重ねたもの、長尺のセパレータを九十九折のように折り畳みながら間に枚葉の正極と負極を挿入したもの、などが挙げられるが、いずれも好適に用いられ得る。
積層体において、正極、負極、セパレータは事前に乾燥により水分除去して使用することが、ガス発生低減の観点から好ましい。乾燥は一般的な加熱容器を用いて行えばよい。更に減圧下で加熱を実施することにより、効率よく水分除去することが可能となる。
積層体の正極、負極それぞれには、導電性のタブが接続され、タブの一部は外装材の外部に導出される。
タブは、リチウムイオン二次電池と外部機器とを電気的に繋ぐ部材である。
タブとしては、導電体であれば好適に用いられ、性能とコストとのバランスが良好である点から、アルミニウムがより好ましい。
<外装材>
外装材は、積層体および非水電解質を、リチウムイオン二次電池の外にある水分および空気から保護する機能を有する。
本発明に係る外装材の材料としては、ラミネートフィルムを用いる。
ラミネートフィルムは、熱などによりフィルムが封止されることによって空間が形成されることが出来る。そして空間外部からの水分の侵入を防ぎ、空間内部から非水電解質が漏洩することを防ぐ機能を有する。
ラミネートフィルムの具体的な例としては、金属箔にヒートシール用の熱可塑性樹脂層を設けた複合フィルムが挙げられる。
複合フィルムの金属箔は外部からの水分の侵入を防ぎつつシート全体の強度を向上させるものであれば特に限定されないが、水分遮断性と重量ならびにコストの面から、アルミ箔が好適に用いられ得る。シート全体の強度が確保できるのであれば、金属箔の代わりに蒸着やスパッタリングなどにより金属層を設けても良い。
複合フィルムの熱可塑性樹脂層の組成については特に限定されないが、ヒートシール可能な温度範囲ならびに非水電解質の遮断性の観点から、ポリエチレンやポリプロピレンが好適に用いられ得る。
金属箔と熱可塑性樹脂との密着性を向上させるため、両者の間に接着層を設けていても良いし、金属箔の酸化防止のため、熱可塑性樹脂層を設けるのとは反対側の面に、保護層を設けていても良い。
外装材には、電極、セパレータおよび非水電解質からなる積層体が封入される電池部が形成される。電池部は、外装材に絞り加工を施ことにより形成されることが好ましい。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、60℃の環境下で800サイクル充放電を行った電池内におけるガス量が電池容量1Ahあたりで換算して3ml以下となる。電池内のガス量をこのような値とすることにより、一般的なラミネートフィルム外装材の強度であってもガスによる破裂および電池性能低下が生じないため、リチウムイオン二次電池にガスポケットが不要となる。
サイクル充放電の好適な方法としては、まず単体の電池を0.5C相当の電流値で、電圧が2.7Vに到達するまで定電流充電し、その後、充電された電池を1C相当の電流値で、電圧が2.0Vに達するまで定電流放電し、そして、これら充放電を所定の回数行なう方法が挙げられる。
<リチウムイオン二次電池の製造方法>
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、外装材の形成された電池部に、少なくとも積層体および非水電解質を封入することにより得られる。
非水電解質の封入は、予め積層体に含浸させた状態で電池部に封入してもよいし、積層体を電池部に封入した後に注入してもよい。封入作業時に漏れて電池特性の低下に繋がることを防ぐため、後者の方法をとることが好ましい。そして、電池系内に空気が残ってしまうと、積層体の構成が崩れて電池性能に支障が生じ、ガス発生時の外装材の強度耐性に支障が生じる場合があるため、非水電解質注入後のヒートシールは減圧下で行うことが好ましい。
具体的な例として、まず、外装材となる2枚のアルミラミネートフィルムに、絞り加工により電池部となる窪みを形成する。その後、電池部に積層体を配置する。その後、、非水電解質注液用のスペースを残した、外装材の外周部をヒートシールする。その後、未シール部分から非水電解質を電池部に注入し、減圧しながら未シール部分のヒートシールを行う。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の製造方法は、所定の充電状態、温度、時間で静置するエージング工程を経る。
エージング工程は、25℃以上50℃以下の範囲の温度で実施することを要する。このような範囲の温度とすることでガス発生が抑制される。
エージング工程の時間について、下限は10時間が好ましい。また上限は300時間が好ましく、200時間以上300時間以下がより好ましい。これらのエージング時間において、エージング工程を複数回に分けて実施しても良い。
エージング中のリチウムイオン電池の充電状態(SOC)は、40%以上100%以下であることを要し、エージング効率の観点から、100%が好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法において、正極活物質をスピネル型マンガン酸リチウムと層状岩塩構造リチウム化合物とを含むものとし、かつ前記エージング工程を行うことにより、電池内のガス量を低減されたリチウムイオン二次電池が得られる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
実施例ならびに比較例で得られた評価は、次の方法により行った。
(電池内のガス量評価)
実施例と比較例におけるエージング前後ならびにサイクル特性評価前後のリチウムイオン二次電池のガス発生量の評価を、アルキメデス法、すなわちリチウムイオン二次電池の浮力を用いて評価した。
まず、リチウムイオン二次電池の重量を電子天秤で測定した。次に、比重計(アルファミラージュ株式会社製、品番:MDS−3000)を用いて水中での重量を測定した。そして、これら重量の差をとることによって浮力を算出した。この浮力を水の密度(1.0g/cm3)で除することによって、リチウムイオン二次電池の体積を算出した。
このときエージング工程前後の体積変化をエージングガス発生量とし、サイクル特性評価前後の体積変化をサイクルガス発生量とし、これらガス発生量の総和を電池内のガス量とした。
(リチウムイオン二次電池のサイクル特性評価)
実施例または比較例で作製したリチウムイオン二次電池を、充放電装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続し、サイクル運転を行った。
まず、60℃の環境下で、0.5C相当の電流値で電池電圧が終止電圧2.7Vに到達するまで定電流充電を行った。その後、定電圧充電に切り替え、0.02C相当の電流値まで低下した時点で充電を停止した。続いて、1.0C相当の電流値で定電流放電を行い、電池電圧が2.0Vに達した時点で放電を停止した。そして、これを1サイクルとして充放電を800回繰り返した。
サイクル特性の安定性は、1回目の放電容量を100としたときの、800回目の放電容量維持率で評価した。800回目の放電容量で80%以上を良好、80%未満を不良とした。
(製造例1)
(正極の製造)
正極に用いる正極活物質として、スピネル型のマンガン酸リチウム(Li1.1Al0.1Mn1.84)ならびにコバルト酸リチウム(LiCoO2)を用いた。
まず、Li1.1Al0.1Mn1.84、LiCoO2、導電助材(アセチレンブラック)、およびバインダー(PVdF)を、それぞれ固形分濃度で84重量部、4重量部、6重量部、および6重量部の混合物のスラリーを作製した。なお、バインダーは固形分濃度5wt%のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液に調整したものを使用し、後述の塗工をしやすいように、さらにNMPを加えて粘度調整した。
次に、このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔に塗工した後に、120℃のオーブンで乾燥させ、その後、アルミ箔の両面に対して実施した後、さらに170℃で真空乾燥することによって正極を作製した。
(負極の製造)
負極活物質として、スピネル型のチタン酸リチウム(Li4/3Ti5/34)を用いた。
まず、負極活物質、アセチレンブラック、およびPVdFを、それぞれ固形分濃度で100重量部、5重量部、および5重量部の混合物のスラリーを作製した。なお、バインダーは固形分濃度5wt%のNMP溶液に調製したものを使用し、後述の塗工をしやすいように、さらにNMPを加えて粘度調整した。
次に、このスラリーをアルミニウム箔(20μm)に塗工した後に、120℃のオーブンで乾燥させ、その後、アルミ箔の両面に対して実施した後、さらに170℃で真空乾燥することによって負極を作製した。
(電池の製造)
電極は、製造例の正極および負極を用いた。セパレータは、ポリプロピレン製(20μm厚み)を用いた。
最初に、作製した正極、負極を、80℃で12時間減圧乾燥した。
次に、負極/セパレータ/正極の順に正極を15枚、負極を16枚使用して積層体を得た。このとき最外層はどちらもセパレータとなるようにした。
次に、両端の正極および負極にアルミニウムタブを振動溶着させた。
次に、外装材となる二枚のアルミラミネートフィルムを準備し、プレスにより電池部となる窪みを形成後、前記電極積層体を入れた。その後、非水電解質注液用のスペースを残した外周部を180℃×7秒でヒートシールした。
次に、未シール箇所から非水電解質(エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=15/15/70vol%、LiPF6 1mol/L)を入れた。
そして、減圧しながら外装材の未シール箇所を180℃×7秒でヒートシールして、外装材を封止した。以上の工程を経て、電池を得た。
(実施例1)
製造例1で得られた電池について、0.2C相当の電流値で電池電圧が終止電圧2.7Vに到達するまで定電流充電を行った後、定電圧充電に切り替え、0.02C相当の電流値まで低下した時点で充電を停止した。
続いて1.0C相当の電流値で定電流放電を行い、電池電圧が2.0Vに達した時点で放電を停止した。そして、これを2サイクル繰り返した。
次に、電池電圧が終止電圧2.7V、かつSOC100%に到達するまで充電を行った。
そして、充電後の電池を45℃の環境下で10日間放置することで、エージング工程が完了したリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例2)
エージング工程の条件を35℃、10日間とする以外は実施例1と同様の操作を実施し、リチウムイオン二次電池を得た。
(実施例3)
エージング工程の条件を25℃、10日間とする以外は実施例1と同様の操作を実施し、リチウムイオン二次電池を得た。
(実施例4)
エージング工程における電池の充電状態をSOC50%とする以外は実施例1と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。
(実施例5)
エージング工程における電池の充電状態をSOC40%とする以外は実施例1と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。
(比較例1)
エージング工程の条件を55℃、10日間とする以外は実施例1と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。
(比較例2)
エージング工程の条件を70℃、10日間とする以外は実施例1と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。
(比較例3)
エージング工程の条件を15℃、10日間とする以外は実施例1と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。
実施例ならびに比較例のリチウムイオン二次電池の評価結果を表1に示す。
実施例1〜5のリチウムイオン二次電池は、放電容量維持率が80%より高く、良好であった。特にSOCが50%以下である実施例4〜5よりも、SOC100%である実施例1〜3の方が、ガス量が更に少なくなった。
一方で比較例1は、エージングガス発生量が3ml/Ahより多く、放電容量維持率が80%未満となった。比較例2は、ガス量が多すぎて電池セルが大きく膨らんでしまい、サイクル特性評価を実施することが出来なかった。そして比較例3はサイクルガス発生量が3ml/Ahより多く、放電容量維持率が80%未満となった。
以上の結果から、本発明により、ガスポケットならびにガス抜き工程を設けなくても、性能の優れたリチウムイオン二次電池が得られることが明らかとなった。
1 負極
2 正極
3 セパレータ
4 非水電解質
5 外装材
6 タブ
10 リチウムイオン二次電池

Claims (4)

  1. 正極、負極、および正極と負極との間に介在するセパレータならびに非水電解液を、ラミネートフィルムからなる外装材に封入したリチウムイオン二次電池であって、正極活物質は層状岩塩構造リチウム化合物と、スピネル型マンガン酸リチウムとを含み、負極活物質はチタン酸リチウムを含み、60℃の環境下で800サイクルの充放電を行った電池内における、電池容量あたりのガスの量が3ml/Ah以下となることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記層状岩塩構造リチウム化合物がLiCoO2であり、前記スピネル型マンガン酸リチウムがLi1+xAlyMn2-x-y4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 正極、負極、および正極と負極との間に介在するセパレータならびに非水電解液を、ラミネートフィルムからなる外装材に封入したリチウムイオン二次電池の製造方法であって、正極活物質として層状岩塩構造リチウム化合物と、スピネル型マンガン酸リチウムとを使用し、負極活物質としてチタン酸リチウムを使用し、充電状態(SOC)を40%以上とした電池を25℃以上50℃以下の環境下でエージングすることを特徴とする、リチウムイオン二次電池の製造方法。
  4. 前記エージングにおける電池の充電状態(SOC)を100%とすることを特徴とする、請求項3に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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