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JP2013051159A - 表示装置 - Google Patents

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JP2013051159A
JP2013051159A JP2011189133A JP2011189133A JP2013051159A JP 2013051159 A JP2013051159 A JP 2013051159A JP 2011189133 A JP2011189133 A JP 2011189133A JP 2011189133 A JP2011189133 A JP 2011189133A JP 2013051159 A JP2013051159 A JP 2013051159A
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Yojiro Matsuda
陽次郎 松田
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Abstract

【課題】 異なる色を発する有機EL素子に共通に形成された発光層を有する表示装置において、電荷阻止層を発光層間に設けずに、各有機EL素子を効率よく発光させる。
【解決手段】 第1の有機EL素子3Gの第1の発光層13Gが第2の有機EL素子3Rと第3の有機EL素子3Bに共通に形成され、第1の発光層13Gと第2の有機EL素子3Rの第2の発光層13Rとの界面、第1の発光層13Gと第3の有機EL素子3Bの第3の発光層13Bとの界面にエネルギー障壁が形成されている。
【選択図】 図1

Description

有機EL素子を備えた表示装置に関する。
近年盛んに開発されている有機EL素子は、陽極と、少なくとも発光層を含む有機化合物と、陰極と、が積層された構成を成している。また、赤、緑、青の三色の有機EL素子を用いた多色表示装置では、赤、緑、青それぞれの発光層が各色の画素形状に合わせたパターニング用の金属マスクを用いて真空蒸着されるのが一般的な製造方法である。
表示装置における画素サイズの微細化が進み、画素形状に合わせたパターニング用の金属マスクも高精細なものになっている。その結果、高精細な金属マスクの製造および維持管理が困難になっている。
特許文献1では、青色発光層を画素領域の全面に渡って形成し、赤発光層および緑色発光層は青色発光層の上層に積層して形成される構成が開示されている。青色発光層に関しては高精細マスクを使用することなく画素領域の全面に形成することで、パターニング用の金属マスクの使用回数を減らし、且つ、発光効率の低い青色の画素面積を大きくすることにより、表示装置の寿命を改善することができるとしている。
上記構成では、赤色および緑色の有機EL素子において、画素領域全面に形成された青色発光層は発光させずに、積層された赤色および緑色発光層のみを発光させる必要がある。しかし、赤色発光層や緑色発光層の構成によっては、赤色発光層、緑色発光層内を電子が通り抜けて、青色発光層まで電子が漏れ、青色発光層が発光してしまい、赤色発光層および緑色発光層を効率よく発光させることが困難な場合がある。
また、特許文献1では、赤色発光層と青色発光層の間、および緑色発光層と青色発光層の間に電子阻止層を設けてもよいことが開示されているが、電子阻止層などの電荷阻止層を設ける構成では素子の駆動電圧が上昇してしまう。
特開2007−066862号公報
本発明は、異なる色を発する有機EL素子に共通に形成された発光層を有する表示装置において、電荷阻止層を発光層間に設けずに、各有機EL素子を効率よく発光させることを課題とする。
本発明は、第1の色を発する第1の有機EL素子と、前記第1の色とは異なる第2の色を発する第2の有機EL素子と、前記第1の色と第2の色とは異なる第3の色を発する第3の有機EL素子と、を有し、前記有機EL素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間にある発光層とを備えている表示装置であって、前記第1の有機EL素子の第1の発光層は、前記第2の有機EL素子と前記第3の有機EL素子に共通に形成されており、前記第2の有機EL素子の第2の発光層は、前記第1の発光層に接しかつ、前記第1の発光層よりも前記陽極側に形成されており、前記第3の有機EL素子の第3の発光層は、前記第1の発光層に接しかつ、前記第1の発光層よりも前記陰極側に形成されており、前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、下記の関係式(A)及び(B)を満たすように構成されていることを特徴とする。
|HOMO|>|HOMO| ・・・(A)
|LUMO|<|LUMO| ・・・(B)
ここで、LUMO、HOMOはそれぞれ、前記第1の発光層のLUMO準位エネルギー、HOMO準位エネルギーを表し、HOMOは前記第2の発光層のHOMO準位エネルギーを表し、LUMOは前記第3の発光層のLUMO準位エネルギーを表している。
本発明は、異なる色を発する有機EL素子に共通に形成された発光層を有する表示装置において、電荷阻止層を発光層間に設けずに、各有機EL素子を効率よく発光させることができる。
本発明に係る表示装置の一例を示す模式図 本発明に係る各有機EL素子の発光層のエネルギーバンドを示す模式図 本発明に係る表示装置の他の一例を示す模式図
以下、本発明の表示装置について、実施形態を挙げて図面を参照して説明する。尚、本明細書で特に図示又は記載されない部分に関しては、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。また以下に説明する実施の形態は、発明の一つの実施形態であって、これらに限定されるものではない。
特に、以下の実施形態では、第1の色、第2の色、第3の色をそれぞれ緑色、赤色、青色としている。また、第1の有機EL素子、第2の有機EL素子、第3の有機EL素子をそれぞれ、緑色の有機EL素子、赤色の有機EL素子、青色の有機EL素子としている。また、第1の発光層、第2の発光層、第3の発光層をそれぞれ緑色の発光層、赤色の発光層、青色の発光層としている。しかし、本発明は、この構成に限られるものではない。
図1(a)は、本実施形態に係る表示装置を示す斜視模式図である。本実施形態の表示装置は、有機EL素子を備える画素1を複数有している。そして、複数の画素1はマトリックス状に配置され、表示領域2を形成している。なお、画素とは1つの発光素子の発光領域に対応した領域を意味している。本実施形態の表示装置では、発光素子は有機EL素子であり、画素1のそれぞれに1つの色の有機EL素子が配置されている。有機EL素子の発光色としては、赤色、緑色、青色、黄色、シアン、マゼンタ、白色などが挙げられる。また、本実施形態の表示装置には、発光色の異なる複数の画素(例えば赤色を発する画素、緑色を発する画素、及び青色を発する画素)からなる画素ユニットが複数配列されている。画素ユニットとは、各画素の混色によって所望の色の発光を可能とする最小の単位を示す。
図1(b)は、図1(a)のA−B線における部分断面模式図である。画素1は、基板10上に、陽極11と、正孔輸送層12と、有機化合物を含む発光層13R(13G,13B)と、電子輸送層14と、陰極15と、を備える有機EL素子3R(3G,3B)からなる。なお、有機EL素子3Rは、赤色を発する有機EL素子であり、素子内の赤色発光層13Rが発光する。同様に、有機EL素子3G,3Bは、それぞれ緑色を発する有機EL素子、青色を発する有機EL素子であり、それぞれ素子内の緑色発光層13G、青色発光層13Bが発光する。
陽極11は隣の画素の陽極11と分離されて形成されており、陰極15との異物によるショートを防ぐために、画素(より具体的には、陽極11)間に絶縁層20が設けられている。また、正孔輸送層12、電子輸送層14、陰極15は、図1(b)のように隣の画素と共通で形成されていてもよいし、画素毎にパターニングされて形成されてもよい。
各有機EL素子は、外部の酸素や水分が侵入しないように、封止キャップ30によって封止されている。また、封止キャップ30の内側には、乾燥剤が入れられている。
本実施形態では、緑色の有機EL素子3Gの緑色発光層13Gが、有機EL素子3R,13Gの領域にわたって一体で形成されており、いわゆる緑色発光層13Gはコモン発光層となっている。この構成により、発光層をパターニングする高精細な金属マスクの使用回数を減らすことができる。
さらに、赤色の有機EL素子3Rにおいては、赤色発光層13Rが緑色発光層13Gに接して、緑色発光層13Gの陽極11側に配置されている。また、青色の有機EL素子3Bにおいては、青色発光層13Bが緑色発光層13Gに接して、緑色発光層13Gの陰極15側に配置されている。そして、本実施形態では、赤色発光層13Rとコモン発光層である緑色発光層13Gとの間、青色発光層13Bとコモン発光層である緑色発光層13Gとの間に電荷阻止層を設けない構成である。
さらに、電荷阻止層を設けない構成でも、赤色の有機EL素子3R、青色の有機EL素子3Bを効率よく発光させるために、赤色発光層13R、青色発光層13B、緑色発光層13Gの構成を工夫している。すなわち、本実施形態では、赤色発光層13R、青色発光層13B、緑色発光層13GのそれぞれのLUMO(最低空軌道)準位エネルギーあるいはHOMO(最高被占軌道)準位エネルギーが関係式(1)及び(2)を満たしている。
|HOMO|>|HOMO| ・・・(1)
|LUMO|<|LUMO| ・・・(2)
ここで、LUMO、HOMOはそれぞれ、緑色発光層13GのLUMO準位エネルギー、HOMO準位エネルギーを表している。また、HOMOは、赤色発光層13RのHOMO準位エネルギーを表している。また、LUMOは、青色発光層13BのLUMO準位エネルギーを表している。
なお、緑色発光層13GのLUMO準位エネルギー、HOMO準位エネルギーとは、緑色発光層13Gが発光材料のみからなる場合は、その発光材料のLUMO準位エネルギー、HOMO準位エネルギーのことである。また、緑色発光層13Gがホスト材料と発光ドーパント材料を含む場合は、ホスト材料のLUMO準位エネルギー、HOMO準位エネルギーが緑色発光層13GのLUMO準位エネルギー、HOMO準位エネルギーである。赤色発光層13RのHOMO準位エネルギー、青色発光層13BのLUMO準位エネルギーも同様に定義される。
図2(a)は、関係式(1)を満たす赤色発光層13Rと緑色発光層13Gのエネルギーバンドを示している。このように、緑色発光層13GのHOMOの絶対値が赤色発光層13RのHOMOの絶対値よりも大きい(|HOMO|>|HOMO|)。よって、赤色発光層13Rと緑色発光層13Gとの界面にエネルギー障壁が形成され、このエネルギー障壁によって、赤色発光層13Rから緑色発光層13G(コモン発光層)への正孔の移動がブロックされる。この結果、赤色発光層13Rで正孔と電子が効率よく再結合し、その再結合エネルギーを赤色発光層13Rの発光に利用することが可能になる。
図2(b)は、関係式(2)を満たす緑色発光層13Gと青色発光層13Bのエネルギーバンドを示している。このように、緑色発光層13GのLUMOの絶対値が青色発光層13BのLUMOの絶対値よりも小さい(|LUMO|<|LUMO|)。よって、緑色発光層13Gと青色発光層13Bとの界面にエネルギー障壁が形成され、このエネルギー障壁によって、青色発光層13Bから緑色発光層13G(コモン発光層)への電子の移動がブロックされる。この結果、青色発光層13Bで正孔と電子が効率よく再結合し、その再結合エネルギーを青色発光層13Bの発光に利用することが可能になる。
このように、上記の関係式を満たすことによって、赤色の有機EL素子3Rではコモン発光層への正孔漏れが防止され、青色の有機EL素子3Bではコモン発光層への電子漏れが防止されることで、有機EL素子3R,3Gを効率よく発光させることができる。なお、コモン発光層と称してはいるが、赤色の有機EL素子3Rおよび青色の有機EL素子3Bにおいては、コモン発光層は発光しない。本発明において、発光しないとは、全く発光しない、あるいは視認されない程度の強度でしか発光しないことをいう。
本実施形態の他の例として、図3に示したような、赤色発光層13Rが緑色発光層13Gの陰極15側に形成され、青色発光層13Bが陽極11側に形成された構成でもよい。この場合には、赤色発光層13RのLUMO準位エネルギーをLUMOとし、赤色発光層13Rと緑色発光層13GのLUMO準位エネルギーの関係が、関係式(2)を満たすようにすればよい。さらに、青色発光層13BのHOMO準位エネルギーをHOMOとし、青色発光層13Bと緑色発光層13GのHOMO準位エネルギーの関係が、関係式(1)を満たすようにすればよい。
また、本実施形態では、コモン発光層として緑色発光層13Gを例に挙げたが、特にこれに限定されるものではない。コモン発光層として、青色発光層13Bや赤色発光層13Rなどの他の色の発光層を適用することもできる。例えば、青色発光層13Bをコモン発光層とし、赤色発光層13Rをコモン発光層の陽極11側、緑色発光層13Gをコモン発光層の陰極15側に形成する場合には、以下のようにすればよい。すなわち、青色発光層13BのLUMO準位エネルギー、HOMO準位エネルギーをそれぞれ、LUMO、HOMOとし、緑色発光層13GのLUMO準位エネルギーLUMOとをする。そして、赤色発光層13Rと青色発光層13BのHOMO準位エネルギーの関係が関係式(1)を満たし、緑色発光層13Gと青色発光層13BのLUMO準位エネルギーの関係が関係式(2)を満たすように構成すればよい。
本実施形態は、基板10側から陽極11、正孔輸送層12、発光層、電子輸送層14、陰極15の順で積層されているが、逆の構成、つまり、基板10側から陰極15、電子輸送層14、発光層、正孔輸送層12、陽極11の順で積層されていてもよい。
また、本発明の表示装置は、基板10側から有機EL素子の光が出射されるボトムエミッション型の表示装置でもいいし、基板10とは反対側から有機EL素子の光が出射されるトップエミッション型の表示装置であってもよい。
次に、各部材に関して具体的に説明する。
基板10は、ガラス、プラスチック等の絶縁性の基板や、シリコン基板などを用いることができる。また、基板10は、トランジスタやMIM素子等のスイッチング素子が上記の絶縁性の基板等に形成されていてもよい。また、その場合には、基板10には、スイッチング素子の凹凸を平坦化するための平坦化膜を有していてもよい。
陽極11および陰極15は、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム錫、酸化インジウム亜鉛などの透明酸化物導電層や、Al,Ag,Cr,Ti,Mo,W,Au,Mg,Csなどの金属単体やそれらの合金からなる金属層などを用いることができる。さらには、陽極11および陰極15は、透明酸化物導電層と金属層の積層膜や、複数の金属層の積層膜で構成されていてもよい。
正孔輸送層12は、正孔注入性、正孔輸送性を備える有機化合物の単層又は複数の層からなる。一方、電子輸送層14は、電子注入性、電子輸送性を備える有機化合物の単層又は複数の層からなる。また、必要に応じて、正孔輸送層12として、発光層から陽極11側に電子が移動するのを抑制するために、電子阻止層を設けることもできる。また、電子輸送層14として、正孔阻止層を設けることもできる。また、正孔輸送層12、電子輸送層14として、発光層で発生した励起子の拡散を抑制するための励起子阻止層を設けることもできる。なお、正孔輸送層12と電子輸送層14は、必須ではなく、有機EL素子の構成によってはなくてもよい。
発光層としては、特に制限はなく公知の材料を適用することが可能である。また、発光層は、発光材料のみで構成されていてもよいし、発光ドーパント材料とホスト材料との混合層であってもよい。また、発光層は、ホスト材料と発光ドーパント材料の他に、アシストドーパント材料を含んでいてもよい。また、本発明において、ホスト材料とは、発光層内の成分のうち最も重量成分が多い材料のことをいう。また、発光材料、発光ドーパント材料は、蛍光材料、燐光材料のどちらでもよい。
本実施形態では、コモン発光層として緑色発光層13Gを配置しており、緑色発光層13Gは関係式(1)及び(2)を満たすことから、ワイドバンドギャップな材料が緑色発光層13Gのホスト材料あるいは発光材料として緑色発光層13G内に含まれていることが好ましい。ワイドバンドギャップな材料は、緑色の燐光発光材料を発光ドーパント材料として用いる場合に組み合わされるホスト材料が挙げられる。
絶縁層20としては、アクリル樹脂や、ポリイミド樹脂などの樹脂材料、窒化珪素などの無機材料を用いることができ、また樹脂材料と無機材料との積層膜も用いることができる。また、絶縁層20は必須ではなく、陽極11と陰極15とがショートしない構成であればなくてもよい。
封止キャップ30としては、ガラスやプラスチックなどのキャップ上の部材を用いることができる。また、封止キャップ30は、例えばガラス板などの板状の部材と、この部材と基板10とを接着するために表示領域2の周囲に配置されたシール剤と、で構成されてもよい。また、封止キャップ30と有機EL素子の陰極15との間の空間は、窒素やアルゴン等のガスが封入されていてもよいし、アクリル樹脂などの樹脂材料で充填されていてもよい。
有機EL素子を封止する構成であればどんなものでもよく、封止キャップ30の代わりに、有機EL素子の陰極15上に、窒化珪素や酸化珪素、酸化アルミナなどの無機材料からなる封止膜が配置された構成でもよい。さらに封止膜は、2層以上の無機材料からなる積層膜で構成されていてもよし、無機材料と樹脂材料の積層膜で構成されていてもよい。
本発明の表示装置としては、テレビ受像機、パーソナルコンピュータの表示部に用いられる。他には、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置の表示部や電子ビューファインダに用いられてもよい。撮像装置は、撮像するための撮像光学系やCMOSセンサなどの撮像素子をさらに有している。
また、本実施形態の表示装置は、携帯電話の表示部、携帯ゲーム機の表示部等に用いられてもよいし、さらには、携帯音楽再生装置の表示部、携帯情報端末(PDA)の表示部、カーナビゲーションシステムの表示部に用いられてもよい。
本実施例におけるHOMO(最高被占軌道)準位エネルギーは、光電子分光法(AC−2 理研機器製)を用いて測定した。また、LUMO(最低空軌道)準位エネルギーは、HOMO準位エネルギーから紫外・可視分光法(UV/VIS V−560 日本分光製)を用いて測定した吸収スペクトルの吸収端から求めたバンドギャップを差し引いて算出した。
(実施例1)
図1に示す構成の表示装置を作製した。本実施例は、第1の実施形態に対応している。また、本実施例は、基板10側の面から光を取り出すボトムエミッション型の表示装置である。
まず、ガラス基板上に低温ポリシリコンTFT(薄膜トランジスタ)を形成し、その上に窒化珪素からなる層間絶縁膜とアクリル樹脂からなる平坦化膜を形成して、図1(a)に示す基板10を作製した。この基板10上にITO膜をスパッタリング法にて100nmの厚さで形成した。続いて、ITO膜を画素毎にパターニングして陽極11を形成した。
陽極11の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法によりパターニングして絶縁層20を形成した。次に、イソプロピルアルコール(IPA)で超音波洗浄して煮沸洗浄後に乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄した後、以下の有機化合物層を真空蒸着法により下記の構成で成膜した。
まず、表示領域2の全体に化合物1を60nmの厚さで蒸着して、共通の正孔輸送層12を成膜した。次に、表示領域2の全体に化合物2を10nmの厚さで蒸着して、共通の電子阻止層を成膜した(不図示)。
Figure 2013051159
次に、赤色の有機EL素子3Rの画素に対応する位置に、化合物3で表されるホスト材料と化合物4で表される赤色発光ドーパント材料とを共蒸着(体積比99:1)して、膜厚20nmの赤色発光層13Rをマスクで成膜した。
次に、化合物5で表されるホスト材料と化合物6で表される緑色発光ドーパント材料とを共蒸着(体積比90:10)して、膜厚20nmの緑色発光層13Gを表示領域2の全面にわたって成膜した。
次に、青色の有機EL素子3Bの画素に対応する位置に、化合物7で表されるホスト材料と化合物8で表される青色発光ドーパント材料とを共蒸着(体積比95:5)して、膜厚20nmの青色発光層13Bをマスクで成膜した。
なお、赤色発光層13Rのホスト材料である化合物3のHOMO準位エネルギー、LUMO準位エネルギーはそれぞれ、5.77eV、2.85eVであった。また、緑色発光層13Gのホスト材料である化合物5のHOMO準位エネルギー、LUMO準位エネルギーはそれぞれ、5.94eV、2.42eVであった。また、青色発光層13Bのホスト材料である化合物7のHOMO準位エネルギー、LUMO準位エネルギーはそれぞれ、5.72eV、2.77eVであった。
Figure 2013051159
次に、表示領域2の全体に化合物8を10nmの厚さで蒸着して、共通のホールブロック層を成膜した(不図示)。続いて、表示領域2の全体に化合物9を30nmの厚さで蒸着して、共通の電子輸送層14を成膜した。
Figure 2013051159
次に、表示領域2の全体にフッ化リチウム(LiF)の薄膜を0.5nmの厚さで蒸着し電子注入層(不図示)を形成した後、アルミニウム金属を100nmの厚さで蒸着して、陰極15を成膜した。最後に、窒素雰囲気中のグローブボックスにおいて、乾燥剤を入れた封止キャップ30により表示領域2の全体を封止した。
赤色発光層13Rと緑色発光層13Gと青色発光層13Bは、関係式(1)及び(2)を満たしていた。よって、赤色の有機EL素子3Rと青色の有機EL素子3Bにおいては、コモン発光層である緑色発光層13Gによってキャリア(正孔もしくは電子)が効果的にブロックされることになると考える。
このようにして得られた表示装置の特性を評価した。各画素に所望の電流を通電すると、
赤色の有機EL素子3Rと、緑色の有機EL素子3Gと、青色の有機EL素子3Bのそれぞれが良好な赤色発光、緑色発光、青色発光の発光特性を示した。
(比較例1)
本比較例は、緑色発光層13Gの構成以外は実施例1と同様の表示装置を作製した。
緑色発光層13Gは、化合物11で表されるホスト材料と化合物12で表される緑色発光ドーパント材料とを共蒸着(体積比98:2)して、膜厚20nmに成膜した。
なお、緑色発光層13Gのホスト材料である化合物11のHOMO準位エネルギー、LUMO準位エネルギーはそれぞれ、5.64eV、2.85eVであった。
Figure 2013051159
このようにして得られた表示装置の特性を評価した。各画素に所望の電流を通電すると、緑色の有機EL素子3Gに関しては良好な緑色発光の特性を示した。しかし、赤色の有機EL素子3Rと青色の有機EL素子3Bに関しては、単色の赤色発光と青色発光の特性が得られずに、それぞれ緑色発光の成分が混ざった不十分な発光特性を示した。
これは、本比較例においては、|HOMO|<|HOMO|かつ|LUMO|>|LUMO|の関係となっていたためであると考える。つまり、赤色の有機EL素子3Rと青色の有機EL素子3Bにおいて、コモン発光層へのキャリア(正孔と電子)漏れが防止されずに、赤色発光層13Rおよび青色発光層13B内で電子と正孔が効率よく再結合できなかったと考える。
(実施例2)
図3に示す構成の有機EL素子が配置された表示装置を作製した。本実施例は、第2の実施形態に対応している。また、本実施例は、基板10とは反対側の面から光を取り出すトップエミッション型の有機EL素子である。
本実施例は、陽極11と陰極15の構成、各発光層の積層の構成と形成順序、電子注入層の構成が実施例1と異なっている。以下に実施例1とは異なる部分のみ説明する。
陽極11は、アルミニウム合金とITO膜で構成されていた。具体的には、反射電極としてアルミニウム合金を200nmの厚さで成膜した後、ITO膜を20nmの厚さで成膜し、アルミニウム合金とITO膜を画素毎にパターニングして形成した。
そして、正孔輸送層12の上に、青色発光層13B、緑色発光層13G、赤色発光層13Rの順に各発光層を形成した。
本実施例の青色発光層13Bは、化合物13で表されるホスト材料と化合物14で表される青色発光ドーパント材料とを共蒸着(体積比95:5)して、膜厚20nmで成膜した。
また、緑色発光層13Gは、化合物15で表されるホスト材料と上記の化合物6で表される緑色発光ドーパント材料とを共蒸着(体積比90:10)して、膜厚20nmで成膜した。
また、本実施例の赤色発光層13Rは、化合物16で表されるホスト材料と化合物17で表される赤色発光ドーパント材料とを共蒸着(体積比96:4)して、膜厚20nmで成膜した。
なお、青色発光層13Bのホスト材料である化合物13のHOMO準位エネルギー、LUMO準位エネルギーはそれぞれ、5.68eV、2.74eVであった。また、緑色発光層13Gのホスト材料である化合物15のHOMO準位エネルギー、LUMO準位エネルギーはそれぞれ、5.99eV、2.53eVであった。また、赤色発光層13Gのホスト材料である化合物16のHOMO準位エネルギー、LUMO準位エネルギーはそれぞれ、5.77eV、2.77eVであった。
Figure 2013051159
電子注入層(不図示)は、電子輸送層14の上に、上記の化合物9と炭酸セシウムをセシウム濃度が8.3wt%となるように共蒸着して厚さ60nmで成膜した。
陰極15は、電子注入層の上に、スパッタリング法によりIZO膜を30nmの厚さで成膜した。
赤色発光層13Rと緑色発光層13Gと青色発光層13Bは、関係式(1)及び(2)を満たしていた。よって、赤色の有機EL素子3Rと青色の有機EL素子3Bにおいては、コモン発光層である緑色発光層13Gによってキャリア(正孔もしくは電子)が効果的にブロックされることになると考える。
このようにして得られた表示装置の特性を評価した。各画素に所望の電流を通電すると、
赤色の有機EL素子3Rと、緑色の有機EL素子3Gと、青色の有機EL素子3Bのそれぞれが良好な赤色発光、緑色発光、青色発光の発光特性を示した。
(比較例2)
本比較例は、緑色発光層13Gの構成以外は実施例2と同様の表示装置を作製した。
緑色発光層13Rは、比較例1の緑色発光層13Gと同じ構成であった。
このようにして得られた表示装置の特性を評価した。各画素に所望の電流を通電すると、緑色の有機EL素子3Gと青色の有機EL素子3Bに関しては良好な緑色発光と青色発光の特性を示した。しかし、赤色の有機EL素子3Rに関しては、単色の赤色発光の特性が得られずに、緑色発光の成分が混ざった不十分な発光特性を示した。
これは、本比較例においては、|HOMO|<|HOMO|かつ|LUMO|>|LUMO|の関係となっていたためであると考える。つまり、赤色の有機EL素子3Rと青色の有機EL素子3Bにおいて、コモン発光層へのキャリア(正孔と電子)漏れが防止されずに、赤色発光層13Rおよび青色発光層13B内で電子と正孔が効率よく再結合できなかったと考える。
3R 赤色の有機EL素子
3G 緑色の有機EL素子
3B 青色の有機EL素子
11 陽極
13R 赤色発光層
13G 緑色発光層
13B 青色発光層
15 陰極

Claims (1)

  1. 第1の色を発する第1の有機EL素子と、前記第1の色とは異なる第2の色を発する第2の有機EL素子と、前記第1の色と第2の色とは異なる第3の色を発する第3の有機EL素子と、を有し、前記有機EL素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間にある発光層とを備えている表示装置であって、
    前記第1の有機EL素子の第1の発光層は、前記第2の有機EL素子と前記第3の有機EL素子に共通に形成されており、
    前記第2の有機EL素子の第2の発光層は、前記第1の発光層に接しかつ、前記第1の発光層よりも前記陽極側に形成されており、
    前記第3の有機EL素子の第3の発光層は、前記第1の発光層に接しかつ、前記第1の発光層よりも前記陰極側に形成されており、
    前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、下記の関係式(A)及び(B)を満たすように構成されていることを特徴とする表示装置。
    |HOMO|>|HOMO| ・・・(A)
    |LUMO|<|LUMO| ・・・(B)
    ここで、LUMO、HOMOはそれぞれ、前記第1の発光層のLUMO準位エネルギー、HOMO準位エネルギーを表し、HOMOは前記第2の発光層のHOMO準位エネルギーを表し、LUMOは前記第3の発光層のLUMO準位エネルギーを表している。
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