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JP2013049589A - セラミック体と金属体との接合体 - Google Patents

セラミック体と金属体との接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な機械強度を有するとともに高い耐熱性を有する、セラミック体と金属体との接合体を提供する。
【解決手段】窒化珪素質セラミック体2と、Niを主成分とする金属体4と、前記窒化珪素質セラミック体と前記金属体との間に配置されて前記窒化珪素質セラミック体と前記金属体とを接合している接合部6とを備えるセラミック体と金属体との接合体であって、前記接合部は、前記窒化珪素質セラミック体に接している、主成分としてCrを含むとともにNを含む第1接合層12と、該第1接合層と前記金属体との間に配置されて前記第1接合層と接している、Cr、N、およびTiを含む第2接合層14とを有し、該第2接合層に比べて前記第1接合層の方が、Crの含有割合が高いことを特徴とするセラミック体と金属体との接合体。
【選択図】図2

Description

本発明は、セラミック体と金属体との接合体に関する。
近年、ロボットやモーター等の産業機器の高性能化に伴い、大電力・高能率インバーター等パワーモジュールの変遷が進んでおり、半導体素子等を含む電子回路等から発生する熱量も増加している。回路素子等から発する熱を放出するための放熱基板や、電気配線として機能する金属パターンを備えた配線基板として、機械的強度と熱伝導性に優れた窒化珪素等のセラミック基板に、熱伝導性に優れ電気抵抗も小さい銅からなる金属体が接合された、いわゆる銅貼り基板が用いられている。セラミック体と銅との接合技術は従来より様々な検討がなされ、ロウ付けによる接合や直接接合など、種々の接合方法が提案されて利用されている。例えば下記特許文献1には、活性金属法によってセラミック体と銅部材とを接合する技術の一例が記載されている。
特開平6−216499号公報
近年、回路素子の小型化による発熱領域の部分的集中や、装置の小型化にともなう放熱基板の小型化等にともない、放熱基板や回路配線の銅(金属層)の温度が部分的に集中して十分に放熱ができず、従来に比べて銅の温度が高くなる場合が多くなっている。このような銅温度の上昇にともない、銅自体の酸化や熱による部分的溶融が発生し、銅部材の機械的強度の劣化、電気的短絡などの問題が生じる場合があった。銅に比べて耐熱性が高い金属としては、例えばNiが知られているが、Niは活性金属法による接合が困難な金属として知られており、放熱基板や回路基板として十分な強度で接合することもできず、十分な機械強度を有するとともに高い耐熱性を有する、セラミック体と金属体との接合体は、従来提案されていなかった。
かかる課題を解決するため、本願発明では、窒化珪素質セラミック体と、Niを主成分とする金属体と、前記窒化珪素質セラミック体と前記金属体との間に配置されて前記窒化珪素質セラミック体と前記金属体とを接合している接合部とを備えるセラミック体と金属体との接合体であって、前記接合部は、前記窒化珪素質セラミック体に接している、主成分としてCrを含むとともにNを含む第1接合層と、該第1接合層と前記金属体との間に配置されて前記第1接合層と接している、Cr、N、およびTiを含む第2接合層とを有し、該第2接合層に比べて前記第1接合層の方が、Crの含有割合が高いことを特徴とするセラミック体と金属体との接合体を提供する。
本発明のセラミック体と金属体との接合体は、窒化珪素質セラミック体と、Niを主成分とする金属体とが高強度に接合されている。本発明のセラミック体と金属体との接合体は、十分な機械強度を有するとともに、高い耐熱性を有する。
本発明のセラミック体と金属との接合体の一実施形態について説明する図であり、(a)は概略上面図、(b)は概略断面図である。 図1(b)に示す放熱基板1の一部を拡大して示す断面図である。 放熱基板の断面を、走査型電子顕微鏡で観察して得られた写真(断面SEM写真)であり、(a)はCr元素の分布状態を示す図、(b)はN元素の分布状態を示す図、(c)はTi元素の分布状態を示す図、(d)はNi元素の分布状態を示す図である。
以下、本発明のセラミック体と金属体との接合体について詳細に説明する。放熱基板1は、窒化珪素質セラミック体2(セラミック体2)と、ニッケル(Ni)を主成分とする金属体4と、セラミック体2と金属体4との間に配置されてセラミック体2と金属体4とを接合している接合部6とを備えている。
なお、以下に説明する各層における元素の含有割合(質量%)は、例えば走査型電子顕微鏡装置を用いて行う、従来公知のEDS(エネルギー分散型X線分析法)によって求めることができる。例えば、EDAX社製PHOENIXを用い、加速電圧15kVで各原子に対応するスペクトルを求め、各原子に対応するスペクトル強度から算出することができる。
セラミック体2は窒化珪素(Si)を90質量%以上含有するセラミックス基板であり、機械的強度が比較的高く、かつ熱伝導率も比較的高い。本実施形態では、セラミック体2の厚みは、例えば0.05〜1.5mmとされている。
金属体4は、Niを90質量%以上含有する金属板からなり、セラミック体2の両方の主面に接合部6を介して接合されている。この金属板は、図1(a)に示すように、平面視において所定形状にパターニングされており、複数の部分に分割されている。金属体4の表面には、発熱体となる回路素子や発光素子が実装される。例えばセラミック体2の一方主面2Aに図示しない回路素子や発光素子が実装された場合、一方主面2Aの側の金属体4は、これら素子に電気信号や駆動電力を入出力するための電気配線として機能するとともに、発光素子や回路素子からの熱エネルギーを受けて周囲の雰囲気に放熱するための放熱体としても機能する。また、他方主面2Bに接合された金属体4にも、熱伝導率が高い
セラミック体2から熱エネルギーが伝わり、他方主面2Bの側の金属体4からも余分な熱
エネルギーを効率的に放出することができる。
接合部6は、第1接合層12と、第2接合層14と、第3接合層16とを有する。接合部6は、Ni、クロム(Cr)、チタン(Ti)、およびリン(P)を含んでいる。第1接合層12はセラミック体2に接しており、主成分としてCrを含むとともに窒素(N)を含んでいる。第2接合層16は、第1接合層12と金属体4との間に配置されて第1接合層12と接しており、Cr、N、およびTiを含んでいる。第3接合層16は、第2接合層14と金属体4との間に配置されて、第2接合層14および金属体4と接しており、主成分としてNiを含むとともにCrおよびTiを含む。なお、ある層における主成分とは、その層における含有割合が50質量%より高いことをいう。
第1接合層12の各成分の含有割合は、例えばCrが55〜65質量%、Nが5〜15質量%となっている。第1接合層12は、さらにTiを含有するが、Tiの含有割合が5質量%以下と低い。第1接合層12は、CrとNの化合物を多く含んでおり、第2接合層14に比べて第1接合層12の方が、Crの含有割合が高くなっている。第1接合部12におけるNは、主にセラミック体2から拡散した成分であり、第1接合部12とセラミック
体2との境界部分においてCrと化合しており、第1接合層12にはCrとNとの合金が
多く含まれている。このCrとNとの合金は、セラミック体との接合強度が高い。接合部
6は、セラミック体2との接合部分に近い側に、集中して多くのCrを含有する第1接合層12を備え、この第1接合層12によってセラミック体2と良好に接合している。
また、主成分としてCrを含むとともにNを含む第1接合層12は、Niを主成分とする金属体4等に比べて熱膨張係数がセラミック体2に近く、放熱基板1全体の温度が上昇した場合において、接合部6とセラミック体2との接合部分に発生する、この熱膨張の程度の違いに応じた熱応力が比較的小さくされている。
第2接合部14の各成分の含有割合は、例えばCrが20〜40質量%、Niが20〜40質量%、Tiが5〜15質量%、Nが5〜10質量%となっている。第2接合層14は
Tiを含み、第1接合層12に比べてTiの含有割合が高い。また、後述する第3接合層16に比べて第2接合層14の方が、Crの含有割合が高く、第3接合層16に比べて第2接合層14の方が、Tiの含有割合が高い。第2の接合層14には、Cr、N、NiおよびTiの各元素が、十分な量含まれている。
Tiは活性が強く、多くの金属元素と反応して金属体とセラミック体との接合に寄与するが、Niとは反応性が強過ぎて合金化が過度に進行し、NiとTiとを含む金属層は、ボイド等が発生しやすい傾向があった。例えば、本実施形態のセラミック体2と金属体4とを、従来公知のAg−Cu−Tiロウを用いて、NiとTiとの合金を主成分とする接合層を形成した場合、NiがTiと過度に反応して合金化が進み、接合層に空洞が生じ、十分な接合強度をもつ接合層を形成することが困難である。一方、本実施形態では、第2の接合層12は、Cr、N、NiおよびTiを含むとともに、各元素がバランスよく合金化されており、空洞等の欠陥部分は少ない。本実施形態では、CrとNの化合物を多く含むとともに、Ti化合物は比較的少ない第1の接合層12がセラミック体2と高強度に接合されており、さらに、この第1接合層12の表面に対して、Tiを比較的多く含んだ第2の接合層が強固に接合されている。
また、従来広く用いられている、Ag−Cu―Tiメタライズでは、接合に寄与する活性金属であるTiが、金属体とセラミック体との接合部分に集中し、この接合部分にTiを主成分とする金属層が形成される。この金属層は酸化し易く、従来のAg−Cu−Tiメタライズ層が高温に晒された場合など、端面におけるCuの露出部分から、内部に向けて例えば酸化反応が進行する。従来のAg−Cu−Tiメタライズでは、この酸化反応の進行によって接合強度が比較的大きく低減する場合があった。一方、本実施形態では、第1接合層12が、主にCrを含むとともにNを含んで構成されており、第2接合層14に
おけるTiの含有割合も5〜15質量%と小さい。このため、接合部6の端部における各層(第1接合層12、第2接合層14、第3接合層16)の露出部からの反応(酸化や還元など)の進行が比較的少なく、高い温度に上昇した場合であっても、比較的強い接合強度で比較的長時間使用し続けることができる。
第3接合層16は、例えばNiを75〜85質量%、Crを1〜5質量%、Tiを0.
55質量%含有する。第3接合層は、Niからなるロウ材層に、CrやTiが少量拡散されている。Niを90質量%以上含有する、ほぼNi単体からなる金属体4に比べて、Cr元素やTi元素が拡散している第3接合層16は、第2接合層14や第1接合層12に比べて熱膨張係数がセラミック体2に近い。第3接合層16を有することで、放熱基板1全体の温度が上昇した場合における、接合部6とセラミック体2との接合部分に発生する熱応力が比較的小さくされている。
本実施形態の放熱基板1は、かかる接合部6によって、セラミック体2と、Niを主成分とする金属体4とが、強固に接合されている。
[放熱基板の作製工程]
次に、放熱基板1の作製方法について説明しておく。放熱基板1は、Si34を90
質量%以上含有するセラミック体2の両主面に、NiP、Cu、Tiを含むペースト層を
塗布した後、ペースト層を焼成してメタライズ層を形成し、形成したこのメタライズ層にNiロウを介して金属体4を接合させることで形成される。
《ペースト層の形成》
具体的にはまず、Si34 を90質量%以上含有するセラミック体2を準備し、このセラミック体2の両主面に、例えば従来周知の厚膜ペースト法を用い、ペースト層を被着させる。具体的には、例えば、NiPの粉末とCrの粉末とTiの粉末とを所定量計量し
、エチルセルロースなどのバインダーをテルピネオールなどの有機溶剤で溶剤したビヒクルと、上記の各粉末とをミキサーで混合し、ペーストを作成する。作成したこのペーストを、スクリーン印刷などでセラミック体2の所定部分に塗布する。これら、NiP粉末とCr粉末とTi粉末との配合割合、ひいてはペースト層における含有割合は、例えばNiPが60〜80質量%、Crが10〜30質量%、Tiが1〜5質量%であることが望ましい。
《ペースト層の焼成・メタライズ層の形成》
次に、ペースト層が形成された状態のセラミック体2を真空雰囲気で焼成し、セラミック体2の表面にメタライズ層を形成する。焼成温度は例えば1000℃〜1500℃とする。
《ロウ材を用いた金属体の接合》
メタライズ層を形成した後、Niロウ材を介して、メタライズ層12に金属体4を接合する。本実施形態では、金属体4として、図1(a)に示す形状に予め加工されたものを用いる。Niロウは、Niを89質量%含むとともに、Pを11質量%含有する。具体的
には、セラミック体2の表面に形成されたメタライズ層の表面に、Niロウ材を介して金属体4を配置し、全体を約1000℃に昇温した後、室温まで冷却する。以上の工程を経て放熱基板1を形成することができる。
メタライズ層形成時の昇温、およびロウ材層の形成時の昇温の際、ペースト層に含まれていたCrがセラミック体2の側に偏在するように拡散し、セラミック体2の境界部分において、セラミック体2に含まれていたNとこのCrとが化合する。セラミック体2の境界部分には、CrとNとの化合物を多く含む第1接合層12が形成される。ペーストに含まれていたTiは、セラミック体2の側への拡散の程度がCrに比べて弱く、第1の接合層12と金属体4との間の部分においてCrやNi等と良好に化合し、第2の接合層14が形成される。第3の接合層16は、ロウ材層を用いた金属体の接合の際、Niロウ材にCrやTi等が拡散することで形成される。
以下、本発明の実施例を示すとともに、本発明の効果の一例について説明しておく。
まず、上記実施形態の放熱基板の一例の断面を観察した結果を示しておく。図3(a)は、上記工程を経て作製された放熱基板の断面を、走査型電子顕微鏡で観察して得られた写真(断面SEM写真)であり、当該断面におけるCr元素の分布状態を示す図である。また、図3(b)は当該断面におけるN元素の分布状態を示す図である。また、図3(c
)は、当該断面におけるTi元素の分布状態を示す図である。また、図3(d)は、当該断面におけるNi元素の分布状態を示す図である。図3(a)〜(d)のいずれも、より色が白い領域に、対応する各元素がより多く含まれていることを示している。走査型電子顕微鏡は、例えば日立製S−800を用い、加速電圧15kVで撮影した。
また、観察像を撮影する際、同じ電子顕微鏡装置を用いて行ったEDS分析(エネルギー分散型X線分光分析)の結果、図3(a)〜(d)に示すA、B、Cの各領域における元
素の含有割合(質量%、および原子数%)は、下記表1のとおりであった。
図3(a)〜(d)および表1から明らかなように、金属体とセラミック体との接合部には、セラミック体に接している、主成分としてCrを含むとともにNを含む第1接合層(領域Aに対応)と、第1接合層と金属体との間に配置されて第1接合層と接している、
Cr、N、およびTiを含む第2接合層(領域Bに対応)と第2接合層と金属体との間に
配置されて第2接合層と接している、主成分としてNiを含むとともにCrおよびTiを含む第3接合層(領域Cに対応)とが形成されている。Crは第1接合層に偏在する一方
、Tiは第2の接合層に偏在していることがわかる。また、第3接合層には、Niのみでなく、CrおよびTiを含有している。
上述の製造工程を経て作製された、本実施形態の放熱基板について、引っ張り試験を行った。引っ張り試験では、セラミック体を固定した状態で、金属体のみを把持し、金属体をセラミック体から引き剥がす方向に力をかけた。実験の結果、放熱基板の破壊モードは、セラミック体自体が破壊されることで、セラミック体の一部が接合したままの金属体が剥がれるモードであり、セラミック体と金属体との接合部分が破壊されることはなかった。本実施形態のセラミック体と金属体との接合体では、セラミック体と金属体とが比較的強固に接合されていることが確認できた。
以上の実施形態では、セラミック体と金属体との接合体を放熱基板に用いる例について説明したが、本発明のセラミック体と金属体との接合体は、例えば排熱発電モジュールなど、比較的高温の状況下で使用されるモジュールや部品等、様々な用途に用いることができる。
以上、本発明のセラミック体と金属体との接合体について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
10 メタライズ基板
12、32 セラミック基板
14、34 金属膜
16、36 結晶相
18、38 接合層
19 端部
20 接合体
22 Niメッキ層
24 Au―Cuロウ材層
26 金属基板

Claims (6)

  1. 窒化珪素質セラミック体と、Niを主成分とする金属体と、前記窒化珪素質セラミック体と前記金属体との間に配置されて前記窒化珪素質セラミック体と前記金属体とを接合している接合部とを備えるセラミック体と金属体との接合体であって、
    前記接合部は、前記窒化珪素質セラミック体に接している、主成分としてCrを含むとともにNを含む第1接合層と、
    該第1接合層と前記金属体との間に配置されて前記第1接合層と接している、Cr、N、およびTiを含む第2接合層とを有し、
    該第2接合層に比べて前記第1接合層の方が、Crの含有割合が高いことを特徴とするセラミック体と金属体との接合体。
  2. 前記第1接合層はさらにTiを含み、
    該第1接合層に比べて前記第2接合層の方が、Tiの含有割合が高いことを特徴とする請求項1記載のセラミック体と金属体との接合体。
  3. 前記第2接合層と前記金属体との間に配置されて前記第2接合層と接している、主成分としてNiを含むとともにCrおよびTiを含む第3接合層をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック体と金属体との接合体。
  4. 前記第3接合層に比べて前記第2接合層の方が、Crの含有割合が高いことを特徴とする請求項3記載のセラミック体と金属体との接合体。
  5. 前記第3接合層に比べて前記第2接合層の方が、Tiの含有割合が高いことを特徴とする請求項3または4記載のセラミック体と金属体との接合体。
  6. 前記窒化珪素質セラミック体は基板状であり、
    該窒化珪素質セラミック体の両主面のそれぞれに、前記接合部を介して前記金属体が接合されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセラミック体と金属体との接合体。
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