JP2013044005A - 両面銅張積層板用圧延銅合金箔、及びそれを用いた両面銅張積層板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】両面銅張積層板を製造する際に、折れを抑制することができる両面銅張積層板用圧延銅合金箔、及びそれを用いた両面銅張積層板の製造方法を提供する。
【解決手段】添加元素としてAgを50〜300質量ppm含み、残部がJIS−H3100-C1100に規定するタフピッチ銅、又はJIS−H3100-C1020に規格する無酸素銅からなる銅合金箔であって、150℃で30分間の焼鈍を施したときに圧延方向のヤング率が90〜120GPaとなり、350℃で30分間焼鈍を施したときに圧延方向のヤング率が60〜75GPaとなる両面銅張積層板用圧延銅合金箔4である。アプリケーションロール10、11等を用いて、片面にワニス状の樹脂組成物2aを塗布し、乾燥装置15で硬化させた、両面銅張積層板用圧延銅合金箔4に対し、コイル状の第2の銅箔6を連続的に巻出し、加熱されたラミネートロール20、21の間に連続的に通箔し製造する。
【選択図】図1
【解決手段】添加元素としてAgを50〜300質量ppm含み、残部がJIS−H3100-C1100に規定するタフピッチ銅、又はJIS−H3100-C1020に規格する無酸素銅からなる銅合金箔であって、150℃で30分間の焼鈍を施したときに圧延方向のヤング率が90〜120GPaとなり、350℃で30分間焼鈍を施したときに圧延方向のヤング率が60〜75GPaとなる両面銅張積層板用圧延銅合金箔4である。アプリケーションロール10、11等を用いて、片面にワニス状の樹脂組成物2aを塗布し、乾燥装置15で硬化させた、両面銅張積層板用圧延銅合金箔4に対し、コイル状の第2の銅箔6を連続的に巻出し、加熱されたラミネートロール20、21の間に連続的に通箔し製造する。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えばフレキシブル配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)に使用され、両面銅張積層板に適した圧延銅合金箔、及びそれを用いた両面銅張積層板の製造方法に関する。
フレキシブル配線板(FPC)に用いられる銅張積層板(CCL)としては、樹脂層の片面に銅箔を積層した片面銅張積層板と、樹脂層の両面に銅箔を積層した両面銅張積層板(以下、「両面CCL」という)が用いられている。両面CCLに回路を形成したものが両面フレキシブル配線板であり、回路のファイン化、FPCの省スペース化が実現しやすいことから、両面CCLの使用が増加する傾向にある。
このような両面CCLの製造方法として、銅箔の片面に樹脂組成物のワニスをキャストし、加熱硬化後に樹脂面に他の銅箔を熱圧着する方法が知られている(特許文献1)。又、熱可塑性ポリイミド層を両面に有するポリイミドフィルムの表裏面に、同時に銅箔を熱圧着する方法、熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミドフィルムの片面に銅箔を熱圧着後、銅箔と反対側のポリイミドフィルム面に熱可塑性ポリイミド層を塗布し、その面に他の銅箔を熱圧着する方法、銅箔の片面にポリイミドの前駆体であるワニスをキャストして硬化後、銅箔と反対側の樹脂表面に熱可塑性ポリイミド層を形成し、その面に他の銅箔を熱圧着する方法等がある。
このような両面CCLの製造方法として、銅箔の片面に樹脂組成物のワニスをキャストし、加熱硬化後に樹脂面に他の銅箔を熱圧着する方法が知られている(特許文献1)。又、熱可塑性ポリイミド層を両面に有するポリイミドフィルムの表裏面に、同時に銅箔を熱圧着する方法、熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミドフィルムの片面に銅箔を熱圧着後、銅箔と反対側のポリイミドフィルム面に熱可塑性ポリイミド層を塗布し、その面に他の銅箔を熱圧着する方法、銅箔の片面にポリイミドの前駆体であるワニスをキャストして硬化後、銅箔と反対側の樹脂表面に熱可塑性ポリイミド層を形成し、その面に他の銅箔を熱圧着する方法等がある。
又、近年、CCL用の屈曲性に優れた圧延銅箔として、再結晶焼鈍を施すことにより立方体集合組織が発達する銅箔が用いられている。このような高屈曲性銅箔として、無酸素銅に0.001〜0.009質量%のSnを添加した銅箔がある(特許文献2)。
ところで、第1の銅箔の片面に樹脂層(上記ポリイミドフィルムなど)を形成又は積層した後、樹脂層の他の面に第2の銅箔を積層する場合、第2の銅箔を積層する工程の手前で第1の銅箔に折れが生じることがある。この折れは、前記高屈曲性の圧延銅箔において特に発生し易い。
上記した折れは、第2の銅箔を樹脂層と積層するための加熱ロールにより、第1の銅箔が加熱されつつ張力を掛けられることで発生する。そして、第1の銅箔のヤング率が低いと、張力が掛かったときの弾性伸びが大きくなるため張力の不均一や変動の影響をより受け易くなり、折れの発生が助長される。従来の高屈曲性圧延銅箔では、片面に樹脂層を形成又は積層する際の熱履歴によって圧延方向のヤングが著しく低下し、折れにより歩留が著しく低下していた。
上記した折れは、第2の銅箔を樹脂層と積層するための加熱ロールにより、第1の銅箔が加熱されつつ張力を掛けられることで発生する。そして、第1の銅箔のヤング率が低いと、張力が掛かったときの弾性伸びが大きくなるため張力の不均一や変動の影響をより受け易くなり、折れの発生が助長される。従来の高屈曲性圧延銅箔では、片面に樹脂層を形成又は積層する際の熱履歴によって圧延方向のヤングが著しく低下し、折れにより歩留が著しく低下していた。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、両面銅張積層板に用いたときに折れを抑制することができる高屈曲性の圧延銅合金箔、及びそれを用いた両面銅張積層板の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、両面CCLを製造する際に、最初に樹脂層を形成又は積層する第1の銅箔がこの積層工程で熱履歴を受けてもヤングが低下しないよう、銅箔を調質することで、折れを抑制できることを見出した。さらに、第1の銅箔に積層した樹脂層に第2の銅箔を積層する際の熱履歴でヤング率が充分に低下するよう、第1の銅箔を調質することで、良好な屈曲性が得られることをも見出した。
すなわち本発明の両面銅張積層板用圧延銅合金箔は、添加元素としてAgを50〜300質量ppm含み、残部がJIS−H3100-C1100に規定するタフピッチ銅、又はJIS−H3100-C1020に規格する無酸素銅からなる銅合金箔であって、150℃で30分間の焼鈍を施したときに圧延方向のヤング率が90〜120GPaとなり、350℃で30分間焼鈍を施したときに圧延方向のヤング率が60〜75GPaとなる。
本発明の両面銅張積層板の製造方法は、前記両面銅張積層板用圧延銅合金箔の片面に樹脂層を形成し、片面銅張積層板を得る第1の工程と、前記片面銅張積層板の前記樹脂層側に別の銅箔又は銅合金箔を積層して加熱し両面銅張積層板を得る第2の工程とを有する。
前記第1の工程直後の前記両面銅張積層板用圧延銅合金箔の圧延方向のヤング率が90GPa以上となり、前記第2の工程直後の前記両面銅張積層板用圧延銅合金箔の圧延方向のヤング率が70GPa以下となることが好ましい。
前記第1の工程直後の前記両面銅張積層板用圧延銅合金箔の圧延方向のヤング率が90GPa以上となり、前記第2の工程直後の前記両面銅張積層板用圧延銅合金箔の圧延方向のヤング率が70GPa以下となることが好ましい。
本発明によれば、両面銅張積層板を製造する際に、折れを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態に係る圧延銅合金箔4を用いた両面銅張積層板の製造方法について説明する。図1は、両面金属張積層板8の製造方法を示す。又、後から樹脂層に積層される銅箔(第2の銅箔)6は、本発明の両面銅張積層板用圧延銅合金箔である必要はなく、あらゆる銅箔又は銅合金箔を用いることができるが、本発明の両面銅張積層板用圧延銅合金箔を用いてもよい。
図1において、まず、コイル状の両面銅張積層板用圧延銅合金箔4を連続的に巻出し、巻出された両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の片面に、アプリケーションロール10、11等を用いてワニス状の樹脂組成物2aを所定厚みで連続的に塗布する。樹脂組成物2aは硬化後に樹脂層2となる。次に、樹脂組成物2aを塗布した両面銅張積層板用圧延銅合金箔4を乾燥装置15に導入し、樹脂組成物2aを硬化(又は半硬化させる)。このようにして、両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の片面に樹脂層を形成し、片面銅張積層板を得る(第1の工程)。ここで第1の工程が終了した後にコイル状に巻き取り、第2の工程に進む場合もある。なお、両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の片面に樹脂層を形成する際に加熱がされるが、上記した樹脂組成物を塗布後に加熱する他、例えば樹脂フィルムのように既に樹脂層になっているものを両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の片面に熱圧着してもよい。
図1において、まず、コイル状の両面銅張積層板用圧延銅合金箔4を連続的に巻出し、巻出された両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の片面に、アプリケーションロール10、11等を用いてワニス状の樹脂組成物2aを所定厚みで連続的に塗布する。樹脂組成物2aは硬化後に樹脂層2となる。次に、樹脂組成物2aを塗布した両面銅張積層板用圧延銅合金箔4を乾燥装置15に導入し、樹脂組成物2aを硬化(又は半硬化させる)。このようにして、両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の片面に樹脂層を形成し、片面銅張積層板を得る(第1の工程)。ここで第1の工程が終了した後にコイル状に巻き取り、第2の工程に進む場合もある。なお、両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の片面に樹脂層を形成する際に加熱がされるが、上記した樹脂組成物を塗布後に加熱する他、例えば樹脂フィルムのように既に樹脂層になっているものを両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の片面に熱圧着してもよい。
又、通常、第2の工程での熱負荷は第1の工程での熱負荷以上となる。次に、コイル状の第2の銅箔6を連続的に巻出し、例えば350〜400℃に加熱されたラミネートロール(加熱ロール)20、21の間に両面銅張積層板用圧延銅合金箔4及び第2の銅箔6を連続的に通箔する。このとき、両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の樹脂層2側に第2の銅箔6を積層して加熱し、両面銅張積層板8を得る(第2の工程)。両面銅張積層板8は適宜コイルに巻き取られる。
ここで、圧延銅合金箔4として従来の高屈曲性圧延銅箔を用いると、ラミネートロール20、21の手前付近で、既に第1の工程で加熱されつつ張力を掛けられた圧延銅合金箔4に折れが生じ歩留が著しく低下する。これは、圧延銅合金箔4が第1の工程の乾燥装置15で加熱された際(又は、樹脂層がフィルムの場合は、第1の工程での圧延銅合金箔4と樹脂フィルムとの積層加熱の際)に、圧延方向のヤング率が低下するためである。すなわち、折れを防止するためには、第1工程での熱負荷を受けた直後において、銅合金箔が高レベルのヤング率を維持している必要がある。
具体的には、150℃で30分間の焼鈍を施したときに、銅合金箔の圧延方向のヤング率が90GPa以上の値を維持するよう、銅合金箔を調質する必要がある。ここで、150℃で30分間の焼鈍は、乾燥装置15(第1の工程)での熱負荷を模したものである。圧延方向のヤング率が90GPa以上であれば、第2の工程(ラミネートロール)に導入される手前での折れ発生は改善される。より好ましくは、圧延方向の100GPa以上であれば、さらに安定して折れ発生を防止できる。150℃で30分間焼鈍後のヤング率の上限値については折れ防止の点からは規制されないが、ヤング率が120GPaを超えると、装置に通箔する際の取り扱いが難しくなるので、上限を120GPaとする。なお、圧延上がり(第1工程での熱負荷を受ける前)における、銅合金箔の圧延方向のヤング率は100〜130GPaである。
一方、銅合金箔のヤング率が低いほど、この銅箔を使用したCCLの屈曲寿命が長くなる。これは、ヤング率は弾性域の応力を歪で割った値なので、ヤング率が低いほど同じ曲げ歪を与えたときに銅箔に掛かる応力が小さくなるためである。したがって、良好な屈曲性を得るためには、第1工程後の高いヤング率が、第2工程での熱負荷を受けた際に充分に低下する必要がある。
具体的には、350℃で30分間の焼鈍を施すことにより銅合金箔の圧延方向のヤング率が75GPa以下の値まで低下するよう、銅合金箔を調質する必要がある。ここで、350℃で30分間の焼鈍はラミネートロール20、21(第2の工程)での熱負荷を模したものである。圧延方向のヤング率を75GPa以下にすることにより、この銅合金箔を用いたCCLの屈曲寿命は著しく向上する。より好ましくは、圧延方向のヤング率が70GPa以下であれば、さらに良好な屈曲性が得られる。350℃で30分間焼鈍後のヤング率の下限値については屈曲性の点からは規制されないが、ヤング率が60GPa未満になるとCCLが変形しやすくなりその取り扱いが難しくなるので、下限を60GPaとする。
具体的には、350℃で30分間の焼鈍を施すことにより銅合金箔の圧延方向のヤング率が75GPa以下の値まで低下するよう、銅合金箔を調質する必要がある。ここで、350℃で30分間の焼鈍はラミネートロール20、21(第2の工程)での熱負荷を模したものである。圧延方向のヤング率を75GPa以下にすることにより、この銅合金箔を用いたCCLの屈曲寿命は著しく向上する。より好ましくは、圧延方向のヤング率が70GPa以下であれば、さらに良好な屈曲性が得られる。350℃で30分間焼鈍後のヤング率の下限値については屈曲性の点からは規制されないが、ヤング率が60GPa未満になるとCCLが変形しやすくなりその取り扱いが難しくなるので、下限を60GPaとする。
以上のように、圧延方向のヤング率が、150℃で30分間の焼鈍を施したときに90〜120GPa(好ましくは100〜120GPa)となり、350℃で30分間の焼鈍を施したときに60〜75GPa(好ましくは60〜70GPa)となるように、銅合金箔の成分組成および製造条件を最適化することにより、両面銅張積層板の製造工程での折れを防止し、同時に良好な屈曲性を得ることが可能となる。
なお、「350℃で30分間の焼鈍を施したときに60〜75GPaとなる」とは、150℃で30分間の焼鈍する代わりに350℃で30分間焼鈍した場合を示す。
なお、「350℃で30分間の焼鈍を施したときに60〜75GPaとなる」とは、150℃で30分間の焼鈍する代わりに350℃で30分間焼鈍した場合を示す。
銅合金箔の成分組成については、添加元素としてAgを50〜300質量ppm含み、残部がJIS−H3100-C1100に規定するタフピッチ銅、又はJIS−H3100-C1020に規格する無酸素銅とする。
Ag含有量が50質量ppm未満であると、150℃で30分間焼鈍後の圧延方向のヤング率が90GPa未満となる場合があり、折れが発生し易くなる。一方、Agの含有量が300質量ppmを超えると、350℃で30分間焼鈍後の圧延方向のヤング率が75GPaを超える場合があり、良好な屈曲性が得られないことがある。より好ましいAg濃度は70〜250質量ppmである。
Ag含有量が50質量ppm未満であると、150℃で30分間焼鈍後の圧延方向のヤング率が90GPa未満となる場合があり、折れが発生し易くなる。一方、Agの含有量が300質量ppmを超えると、350℃で30分間焼鈍後の圧延方向のヤング率が75GPaを超える場合があり、良好な屈曲性が得られないことがある。より好ましいAg濃度は70〜250質量ppmである。
本発明の両面銅張積層板用圧延銅合金箔は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、上記組成の銅インゴットを製造し、熱間圧延を行う。その後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、圧延板を得る。この圧延板を焼鈍して再結晶させ,所定の厚みまで最終冷間圧延して箔を得る。
ここで、銅箔の平均結晶粒径が10〜30μmになる条件で再結晶焼鈍を行なった後、加工度93.0〜99.7%の範囲で最終冷間圧延を行う。加工度rは、r=(to−t)/to(t:圧延後の厚み,to:圧延前の厚み)で定義される。
まず、上記組成の銅インゴットを製造し、熱間圧延を行う。その後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、圧延板を得る。この圧延板を焼鈍して再結晶させ,所定の厚みまで最終冷間圧延して箔を得る。
ここで、銅箔の平均結晶粒径が10〜30μmになる条件で再結晶焼鈍を行なった後、加工度93.0〜99.7%の範囲で最終冷間圧延を行う。加工度rは、r=(to−t)/to(t:圧延後の厚み,to:圧延前の厚み)で定義される。
最終冷間圧延前の銅箔の平均粒径が10μm未満の場合、または最終冷間圧延の加工度が99.7%を超える場合、150℃で30分間焼鈍後の圧延方向のヤング率が90GPa未満となり、折れが発生する。一方、最終冷間圧延前の銅箔の平均結晶粒径が30μmを超える場合、または最終冷間圧延の加工度が93.0%未満の場合、350℃で30分間焼鈍後の圧延方向のヤング率が75GPaを超え、良好な屈曲性が得られない。
より好ましい最終冷間圧延前の平均結晶粒径は15〜25μmであり、より好ましい最終冷間圧延の加工度は96.0〜99.5%である。なお,最終冷間圧延前の焼鈍を熱間圧延で兼ねることもできるが,この場合も熱間圧延上がりの結晶粒径を10〜30μmに調整することが望ましい。
より好ましい最終冷間圧延前の平均結晶粒径は15〜25μmであり、より好ましい最終冷間圧延の加工度は96.0〜99.5%である。なお,最終冷間圧延前の焼鈍を熱間圧延で兼ねることもできるが,この場合も熱間圧延上がりの結晶粒径を10〜30μmに調整することが望ましい。
本発明の両面銅張積層板用圧延銅合金箔の厚みは、18μm以下とすることが好ましい。箔厚が薄いほど曲げ部の外周に生じる歪みが減少するため屈曲性が向上する。箔厚の下限は製造装置の仕様や取り扱い性に依存するが、6μm以上とすることが好ましい。
次に、図2に示す両面銅張積層板8の構成について説明する。両面銅張積層板8は、樹脂層2の表裏に両面銅張積層板用圧延銅合金箔4及び第2の銅箔6をそれぞれ積層して構成される。
樹脂層2としては、ポリイミド;PET(ポリエチレンテレフタレート);エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂;飽和ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができるがこれらに限定されない。又、これら樹脂層の成分を溶剤に溶かしたワニス(例えば、ポリイミドの前駆体のポリアミック酸溶液)を両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の片面に塗布し、加熱することで溶媒を除去して反応(例えばイミド化反応)を進行させ、硬化させてもよい。樹脂層2の厚みは、例えば1〜15μm程度とすることができる。
第2の銅箔6としては、例えば、純銅、タフピッチ銅(JIS-H3100−C1100)、無酸素銅(JIS-H3100−C1020)や、これら純銅、タフピッチ銅、無酸素銅にSn及び/又はAgを添加したものが挙げられる。Sn及び/又はAgの添加量は合計で10〜500質量ppmとすれば良い。なお、両面CCLを屈曲部に用いる場合、一方の面の銅箔をエッチングで除去することが一般的であり、本発明においては、屈曲部にて両面銅張積層板用圧延銅合金箔4を残し、第2の銅箔6をエッチングで除去することを通常とする。但し、その逆に屈曲部にて第2の銅箔6を残し、両面銅張積層板用圧延銅合金箔4をエッチングで除去する場合、Sn及び/又はAgの添加量を10〜200質量ppmとすると良い。第2の銅箔6の厚みは、例えば6〜18μm程度とすることができる。第2の銅箔6としてとして、上記した両面銅張積層板用圧延銅合金箔4を用いてもよい。第2の銅箔6は、圧延箔であっても電解箔であってもよい。
樹脂層2としては、ポリイミド;PET(ポリエチレンテレフタレート);エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂;飽和ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができるがこれらに限定されない。又、これら樹脂層の成分を溶剤に溶かしたワニス(例えば、ポリイミドの前駆体のポリアミック酸溶液)を両面銅張積層板用圧延銅合金箔4の片面に塗布し、加熱することで溶媒を除去して反応(例えばイミド化反応)を進行させ、硬化させてもよい。樹脂層2の厚みは、例えば1〜15μm程度とすることができる。
第2の銅箔6としては、例えば、純銅、タフピッチ銅(JIS-H3100−C1100)、無酸素銅(JIS-H3100−C1020)や、これら純銅、タフピッチ銅、無酸素銅にSn及び/又はAgを添加したものが挙げられる。Sn及び/又はAgの添加量は合計で10〜500質量ppmとすれば良い。なお、両面CCLを屈曲部に用いる場合、一方の面の銅箔をエッチングで除去することが一般的であり、本発明においては、屈曲部にて両面銅張積層板用圧延銅合金箔4を残し、第2の銅箔6をエッチングで除去することを通常とする。但し、その逆に屈曲部にて第2の銅箔6を残し、両面銅張積層板用圧延銅合金箔4をエッチングで除去する場合、Sn及び/又はAgの添加量を10〜200質量ppmとすると良い。第2の銅箔6の厚みは、例えば6〜18μm程度とすることができる。第2の銅箔6としてとして、上記した両面銅張積層板用圧延銅合金箔4を用いてもよい。第2の銅箔6は、圧延箔であっても電解箔であってもよい。
まず、表1、表2に示す量のAgを加えたタフピッチ銅(JIS−H3100-C1100)又は無酸素銅(JIS-H3100−C1020)を組成とする銅インゴットを製造し、厚み10mmまで熱間圧延を行った。その後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、種々の厚みの圧延板コイルを得た。この圧延板を750℃の連続焼鈍炉に通板し再結晶させた。その際、板の走行速度を変えることにより再結晶後の結晶粒径を調整した。その後、表1、表2の厚みまで最終冷間圧延して箔(コイル)を得た。
この箔コイル4を用い、図1に示すようにして両面CCLを製造した。ここで、第2の銅箔6としては、190質量ppmのSnを含有するタフピッチ銅を用いた。
この箔コイル4を用い、図1に示すようにして両面CCLを製造した。ここで、第2の銅箔6としては、190質量ppmのSnを含有するタフピッチ銅を用いた。
まず、圧延銅合金箔4の片面を化学処理(めっき)し、この面にポリイミド樹脂の前駆体ワニス(宇部興産製U−ワニスA)を厚さ25μmになるように塗布した。この後、300℃に設定した熱風循環式高温槽(乾燥装置)15内で圧延銅合金箔4を20秒で通過させて乾燥し、硬化(イミド化)して樹脂層2を形成し、片面CCLを作製した。次に、片面CCLの樹脂側面に熱可塑性ポリイミド(接着層)を塗布して乾燥した後、第2の銅箔6を重ね、350℃に加熱されたラミネートロール20、21の間を通して両面CCLを製造した。その後、両面CCLを室温まで冷却し、折れの発生状況を目視で判定した。
最終冷間圧延前の圧延銅合金箔4の平均粒径は、圧延方向に直角な断面において切断法で測定した。
圧延方向のヤング率の測定は、圧延銅合金箔4から、長手方向が圧延方向に平行に(L方向)なるように試験片を切り出し、150℃で30分間または350℃で30分間の焼鈍を施した後、振動法で測定した。測定装置には、日本テクノプラス株式会社製の片持ち式薄板ヤング率測定装置、TE−RTを用いた。試料は幅3.2mm、長さ15mmの短冊形状とし、振動長さを10mmとした。
圧延方向のヤング率の測定は、圧延銅合金箔4から、長手方向が圧延方向に平行に(L方向)なるように試験片を切り出し、150℃で30分間または350℃で30分間の焼鈍を施した後、振動法で測定した。測定装置には、日本テクノプラス株式会社製の片持ち式薄板ヤング率測定装置、TE−RTを用いた。試料は幅3.2mm、長さ15mmの短冊形状とし、振動長さを10mmとした。
屈曲性は以下のようにして評価した。まず、既知のフォトリソグラフイ技術を用いて第2の銅箔6を除去し,他方の(第1の)銅箔に回路幅200μmの配線を形成し、その配線の上にエポキシ系接着剤が塗布されたポリイミドフィルムをカバーレイとして熱圧着し、屈曲試験用のFPCを作製した。この時、樹脂層2の厚みを15μm、カバーレイを12.5μm、銅箔上の接着層の厚みは2μmとした。なお、両面CCLを屈曲部に用いる場合は、どちらか一方(屈曲性が劣る方)の銅箔をエッチングで除去して、屈曲部分のみ片面CCL様にする。本試験では、第1の銅箔4の屈曲性能を評価することを目的としているため、第2の銅箔6を除去した。
屈曲試験は、IPC(アメリカプリント回路工業会)摺動屈曲試験機を使用し、曲げ半径は1mmとした。毎分100回の繰り返し摺動をFPC試験片に負荷し、配線の電気抵抗が初期から10%上昇した屈曲回数を終点とした。
屈曲試験は、IPC(アメリカプリント回路工業会)摺動屈曲試験機を使用し、曲げ半径は1mmとした。毎分100回の繰り返し摺動をFPC試験片に負荷し、配線の電気抵抗が初期から10%上昇した屈曲回数を終点とした。
得られた結果を表1、表2に示す。
表1、表2から明らかなように、Agを50〜300質量ppm含むタフピッチ銅又は無酸素銅からなり、最終冷間圧延前の平均結晶粒径を10〜30μm、最終冷間圧延の加工度を93.0〜99.7%として製造した各実施例の場合、150℃で30分間の焼鈍後に90〜120GPaのヤング率が得られ、350℃で30分間の焼鈍後に60〜75GPaのヤング率が得られた。これらは、両面CCLの製造工程で折れが発生せず、良好な屈曲性が得られた。
一方、通常のタフピッチ銅(不純物として20質量ppm程度のAgを含有)からなる比較例1、及びAg濃度が50質量ppm未満である比較例2の場合、150℃で30分間焼鈍後のヤング率が90GPa未満となり、両面CCLに折れが生じた。
最終冷間圧延の加工度が99.7%を超えた比較例7、8の場合、及び最終冷間圧延前の平均結晶粒径が10μm未満であった比較例9の場合も、150℃で30分間焼鈍後のヤング率が90GPa未満となり、両面CCLに折れが生じた。
Ag濃度が300質量ppmを超えた比較例3、5、最終冷間圧延の加工度が93.0%未満であった比較例4、6、及び最終冷間圧延前の平均結晶粒径が30μmを超えた比較例10,11の場合、350℃で30分間焼鈍後のヤング率が75GPaを超え、屈曲回数が低下した。
最終冷間圧延の加工度が99.7%を超えた比較例7、8の場合、及び最終冷間圧延前の平均結晶粒径が10μm未満であった比較例9の場合も、150℃で30分間焼鈍後のヤング率が90GPa未満となり、両面CCLに折れが生じた。
Ag濃度が300質量ppmを超えた比較例3、5、最終冷間圧延の加工度が93.0%未満であった比較例4、6、及び最終冷間圧延前の平均結晶粒径が30μmを超えた比較例10,11の場合、350℃で30分間焼鈍後のヤング率が75GPaを超え、屈曲回数が低下した。
なお、屈曲回数は第1の銅箔4が薄くなるほど増加するが、同じ箔厚で比較するとヤング率が屈曲性へ影響することが明らかに認められる。
2 樹脂層
2a 樹脂組成物
4 両面銅張積層板用圧延銅合金箔
6 第2の銅箔
8 両面銅張積層板
2a 樹脂組成物
4 両面銅張積層板用圧延銅合金箔
6 第2の銅箔
8 両面銅張積層板
Claims (3)
- 添加元素としてAgを50〜300質量ppm含み、残部がJIS−H3100−C1100に規定するタフピッチ銅、又はJIS−H3100−C1020に規格する無酸素銅からなる銅合金箔であって、150℃で30分間の焼鈍を施したときに圧延方向のヤング率が90〜120GPaとなり、350℃で30分間焼鈍を施したときに圧延方向のヤング率が60〜75GPaとなる両面銅張積層板用圧延銅合金箔。
- 請求項1に記載の両面銅張積層板用圧延銅合金箔の片面に樹脂層を形成し、片面銅張積層板を得る第1の工程と、前記片面銅張積層板の前記樹脂層側に別の銅箔又は銅合金箔を積層して加熱し両面銅張積層板を得る第2の工程とを有する両面銅張積層板の製造方法。
- 前記第1の工程直後の前記両面銅張積層板用圧延銅合金箔の圧延方向のヤング率が90GPa以上となり、前記第2の工程直後の前記両面銅張積層板用圧延銅合金箔の圧延方向のヤング率が75GPa以下となる請求項2記載の両面銅張積層板の製造方法。
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