JP2012529058A - レーザースプレーイオン化を用いる質量分析 - Google Patents
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Abstract
Description
レーザースプレーイオン化(LSI)を用いる質量分析のための系および方法を本明細書中に開示する。LSIは、分析のために大気圧で多荷電イオン(多価イオン)を生成することが可能であり、4000ダルトンを超える分子を含む高分子量分子の分析を可能にする。該分析は、溶媒に基づく分析、または無溶媒分析でありうる。LSIによる無溶媒分析は、組織イメージングおよび限られた溶解度の化合物の分析において有益な改善された空間分解能を可能にする。
マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)は、多数の(生物)分子の分析を可能にする、質量分析(MS)において用いられるイオン化技術である。(生物)分子のイオン化はレーザーにより誘発され、一方、マトリックスは、(生物)分子をレーザーから保護するために使用される。適当なマトリックス物質は、一般に、低い分子量を有し、優先的に正に荷電した(生物)分子を得るためのプロトン源となるよう、しばしば酸性である。優先的に負に荷電した(生物)分子イオンを得るために、塩基性マトリックス物質も使用されうる。また、マトリックス物質は、使用されるレーザー波長において、良好な光吸収を示し、それはレーザー照射を迅速に吸収する。この方法においては溶媒も頻繁に使用される。
本開示は、質量分析(MS)による物質の分析および表面イメージング(組織イメージングを含む)を改良する系および方法を提供する。該系および方法は、通常のマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)により生成される主として単一に荷電したイオンよりもMS法により検出されやすい多数の多荷電イオン(多価イオン)を生成するレーザースプレーイオン化(LSI)法を用いる。透過配置で整列されたレーザーは、表面イメージング分析に特に重要な空間分解能を改善する。LSI後のMSは、溶媒に基づくもの、または溶媒を含まないもの(無溶媒分析)でありうる。LSI後の無溶媒分析は、溶媒に基づく分析に伴う前記欠点の多くを回避する。無溶媒分析は、MS表面イメージングにおいて有益な改善された空間分解能をも可能にする。
マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)は、多数の(生物)分子の分析を可能にする、質量分析(MS)において用いられるイオン化技術である。MSによるイメージングも、特に二次イオン質量分析(SIMS)を用いて、十分に確立されている。しかし、SIMSは、無傷生物組織または他の表面では限られた有用性を有するに過ぎない。(AP)−MALDIイメージングは、高い空間分解能におけるその感度の問題のため、同様に限られたものであるに過ぎない。
本実施例は、高い空間分解能および超高質量分解能でのAPにおける組織から直接的なタンパク質分析のためのレーザースプレーイオン化の使用を記載する。本実施例に記載されている実験からの結果は、LSI−MSがMALDIの分析速度、高い空間分解能およびイメージング能とESIのソフトイオン化、多荷電、フラグメンテーションおよび横断面分析とを兼ね備えたものでありうることを示唆している。
MSによる組織イメージングは、腫瘍境界の検出、高い薬物取り込みの部位の決定のような分野、および脳組織におけるシグナリング分子のマッピングにおいて有用であることが判明している。二次イオン質量分析(SIMS)を用いるイメージングは十分に確立されているが、生物学的組織および他の表面からの無傷分子質量測定では限られた有用性を有するに過ぎない。真空条件下で作動するMALDI MSは、特に膜脂質、薬物代謝産物およびタンパク質のような高含量成分に関する組織イメージングに用いられており、ある程度の成功を収めている。20μmまでの空間分解能が得られており、パーキンソン病、筋ジストロフィー、肥満および癌疾患を解明するためにMALDI−MS法が適用されている。
1.材料
マトリックスである2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)98%、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン(2,5−DHAP)99.5%およびシナピン酸(SA)99%をSigma Aldrich,Inc.,St.Louis,MOから購入した。溶媒であるACN、トリフルオロ酢酸TFAおよびEtOHをFisher Scientific Inc.,Pittsburgh,PAから購入した。精製水を使用した(Millipore’s Corporate,Billerica,MA)。無蒸着顕微鏡ガラススライド(寸法76.2×25.4×1mm)をGold Seal Products,Portsmouth,NHから入手した。イメージング実験のためのITO被覆伝導性ガラススライドはBruker(Billerica,MA)からの贈呈品であった。
20週齢のC57 Bl/6マウスをCO2ガスで安楽死させ、氷冷1×リン酸緩衝食塩水(150mM NaCl,100mM NaH2PO4,pH7.4)で経心的(transcardially)に5分間潅流して、赤血球を除去した。Leica CM1850クリオスタット(Leica Microsystems Inc.,Bannockburn, IL)を使用して、脳を−22℃で冷凍し、連続的に10μm切片に薄片化した。該組織切片を、予め冷却された顕微鏡ガラススライド(無蒸着または金被覆)上に配置し、裏側から指で手短に加温して切片を緩和させ付着させた。組織がマウントされたガラススライドを乾燥剤含有気密箱内で使用まで貯蔵(−20℃)し輸送(ドライアイス下)することにより、水分凝結を防ぐように注意した。
本研究において使用するマウス脳組織切片をドライアイス中で輸送した後で脱脂(delipify)し、ついでドライアイス中で一晩輸送した。該熟成脱脂組織サンプルを−5℃で約2ヶ月間貯蔵した。該脱脂は、まず、該熟成組織サンプル上で行われ、MALDI−TOF−MSにより確認された。最適化された脱脂条件を、MALDIおよびLSI−MS分析から得られた結果を比較する更なる研究に用いた。
組織切片中の脂質を、公開されている方法に従い除去した。簡潔に説明すると、組織がマウントされたガラススライドをデシケータ内で乾燥させた後、エタノールで2回洗浄した。第1洗浄においては、マウントされた組織を伴うガラススライドを、70% EtOHで満たされたガラスペトリ皿に浸漬させ、30秒間回転させ、注意深く取り出した。ついで、溶媒を除去するために該ガラススライドを約10秒間傾け、直ちに別のペトリ皿中の95% EtOHで更に30秒間洗浄した。2回目の洗浄の後、該ガラススライドを分析前にデシケータ内で20分間乾燥させ、あるいは使用または輸送までドライアイス下で−20℃で貯蔵した。
Orbitrap ExactiveまたはLTQ−Velos質量分析計でのLSIは、Ion Max源の除去、ならびにインターロックを解除し、または前窓および横窓を取り外してイオン進入口へのレーザーおよびサンプルの接近を可能にすることを含む。簡潔に説明すると、レーザービーム(337nm,Newport Corporation VSL−337ND−S)を質量分析計のイオン進入口と整列させた。マウス脳組織がマウントされた顕微鏡ガラススライドを、該組織材料上に幾つかの0.2μLの液滴を載せることにより、50:50 ACN:水中に溶解されたLSIマトリックス(2,5−DHBまたは2,5−DHAP)を使用して調製した。溶媒蒸発後、マウス脳組織に適用されたLSIマトリックスを含有するガラススライドを質量分析計イオン移動チューブ進入口(孔)の前方に接近(1〜3mm)させて配置し、イオン進入口に対して180度に調節して配置されたレーザービームが通るように(透過配置)、手動で移動させた。該APないし真空イオン移動毛管を2,5−DHBの場合には375℃に、2,5−DHAPの場合には300℃に加熱し、パルス当たりのレーザー・フルエンス(fluence)は約0.5〜1Jcm−2であった。該イオン源領域において電場の非存在下で多荷電イオンが観察された。そのような配置は、多荷電イオンを観察するための手動粗組織研究を可能にする。無蒸着ガラススライドおよび金被覆ガラススライドの両方を使用した。
組織脱脂の成否をモニターするために、およびLSI結果との比較のために、窒素レーザー(337nm)を備えたMALDI−TOF Bruker Ultraflex質量分析計(Bruker,Bremen,Germany)を使用した。公開されている研究に従ってMALDIサンプル調製を行った。該組織を洗浄し、デシケーター内で乾燥させた後、該組織を、0.1% TFA中の50:50 ACN:水に溶解された0.2μLのSAマトリックス、または50:50 ACN:水中の2,5−DHAPでスポットした。20.16kVの加速電圧、18.48kVの抽出電圧、7.06kVのレンズ電圧および360nsのパルス化イオン抽出で直線正イオンモードを用いて質量スペクトルを得た。12kDaの質量範囲に最適な分解能および感度を示すように遅延抽出パラメーターを最適化した。30レーザーショットの増量を用い、単一マトリックススポット内にショットを配置し、移動させて、合計120レーザーショットを有する質量スペクトルを得た。Flex Analysisソフトウェアを使用して、該質量スペクトルを処理し、ベースラインを補正した。無蒸着および金被覆の両方の顕微鏡スライドを使用した。金被覆顕微鏡スライドのみが、正確な質量校正をもたらすと予想される。
LSI−Orbitrap分析(およびWSUへの輸送)後の組織上のアブレーション面積を測定することにより、光学顕微鏡観察(Nikon,ECLIPSE,LV 100)を行って、空間分解能に関する定性的情報を得た。5倍〜100倍の種々の倍率条件を用いて、分解能1μm未満までの詳細な像を得た。熟成組織サンプルおよび新鮮組織サンプルの両方に関して顕微鏡観察データを得た。該熟成組織切片に関して観察されたとおり、厚さ10μmの組織切片上で幅3μm未満で長さ10μm未満の空間分解能で、300μm3未満の十分に定められた高空間体積決定に関する典型例が得られる。該新鮮組織切片は、それより若干良好な分解能を示した。
1.熟成組織サンプルに関する実験条件の評価
質量スペクトル組織分析前に脂質を抽出するために本研究において使用した溶媒は、これまでに報告されている研究に基づいて、および本発明者らがMALDI−MS分析から得た結果から選択された。該熟成組織切片を脱脂するために2つの溶媒を使用したが、マトリックスとしてSAをした場合、エタノール洗浄はイソプロパノール洗浄より高い強度のタンパク質MALDI−MSシグナルを与えた。質量スペクトルの取得は、どちらの脱脂法に関しても、無蒸着顕微鏡ガラススライド上にマウントされた同じマウス脳からの異なる組織切片上のほぼ同じ位置であった。図31は、エタノールで洗浄され50:50:0.2 ACN/水/TFA中のシナピン酸マトリックスでスポットされたマウス脳のMALDI−TOF MS質量スペクトルを示す。図31に示されているとおり、検出されたペプチドおよびタンパク質シグナルは約5,000から19,000までのm/zの範囲にわたり(図31)、これは、Seeleyら(Seeleyら,J.Am.Soc.Mass Spectrom 2008;19:1069−1077)が提示しているm/z範囲内である。伝導性コーティングを伴わない無蒸着顕微鏡ガラススライドを使用したため、質量校正は若干ずれていると予想される。検出されたタンパク質の少数のみが有意なシグナル強度を示しており、該組織における最も豊富なタンパク質種からのものだと推定される。
熟成組織サンプルでの成功した結果は、ガラススライドへの組織のマウント化、脱脂、質量分析および顕微鏡観察に必要な短時間を除き−20℃以下で維持された新鮮組織切片の検査を促す契機となった。図133は、無蒸着ガラススライド上で50:50 ACN/水中の2,5−DHAPマトリックスを使用した場合の、新鮮脱脂サンプルの総計完全質量スペクトルおよびインセット(差込)MSを示しており、m/z 917.50(MW 1833.0)における豊富な二重荷電LSIイオン、およびより高いm/z値における、大部分は多価である荷電イオンを示している。約19,665Daの分子量を有するイオンに関して、単一の低存在量同位体分布が観察されたものの、少なくとも2つの観察電荷状態分布を有する最高質量タンパク質は17,882Daの分子量を有していた。熟成組織において観察された、より低い分子量のタンパク質の幾つかは(図32B)、該新鮮サンプルにおいても観察されたが、それはより低い存在量で観察され、一方、より高い質量のタンパク質は、有意に、より高い存在量を示した。図136A〜B3は、単一のレーザーショット(レーザー射出)において、最も高い存在量のタンパク質が観察されることを示している。図136Aは、該レーザービームが通るように、そしてイオン進入口から3mm以内で該組織を移動させることにより得られた全イオン電流を示している。該レーザーは1Hzで作動され、1秒ごとに1つの質量スペクトルが得られた。図136B1は完全取得からの総和を示し、図136B2は、単一ショット取得を示し、図136B3は、約7レーザーショットに相当する7つの連続的質量スペクトル取得の総和を示す。金被覆ガラススライド(図136)と無蒸着ガラススライド(図133)との間で顕著な相違は観察されなかった。図137は3つの同位体分布を示し、それぞれは、9908、11788および12369Da(単一同位体質量)の分子量を有するタンパク質に関するものである。図137に示されているタンパク質の同位体分布は、100,000質量分解能に設定されたOrbitrap Exactiveを使用した場合の、50:50 ACN:水中の2,5−DHAPマトリックスでスポットされた金被覆ガラススライド上の脱脂新鮮組織からのものである。
100,000質量分解能および<5ppmの外部質量精度(単一レーザーショットに相当する単一の1秒取得から)に設定されたOrbitrap Exactive質量分析計を使用して、マウス脳組織から質量スペクトルが観察される。図133に示す質量スペクトルは、0.2μL マトリックススポットのほとんどのアブレーションに相当する約15秒のデータの平均化を要した。前記の図134A〜B2に示すとおり、LTQ Velos質量分析計を使用して、質量分離を伴わないが同様の結果が得られた。
同時的な高い空間分解能および質量分解能により、多荷電イオンを生成する組織から直接的に観察されるペプチドおよびタンパク質の最初の具体例を報告する。単一レーザーショット取得および<300μm3のアブレーション空間体積が達成される。多荷電イオンの生成は、高性能API質量分析計が高質量分析に使用されることを可能にして、同位体分離および正確な質量測定をもたらしうる。多荷電イオンは、改善されたタンパク質特定のための電子移動解離(ETD)フラグメンテーションを潜在的に可能にする。組織からの直接イオン化のためのレーザーの使用は質量特異的組織イメージングのための高い空間分解能を可能にする。組織イメージングにおけるタンパク質のマッピングに関連した多数の潜在的用途がこの新規アプローチには存在する。この技術を単一細胞分析へと進展させるためには、改善された感度、サンプル調製およびレーザー集束が必要である。
本実施例は、2つの脱溶媒和装置を用いて行った研究、およびそれらが2,5−DHAPマトリックスを脱溶媒和しうることを記載する。銅およびステンレス鋼から構成される脱溶媒和装置を使用して、比較研究を行った。本実施例に含まれる追加的研究は、該脱溶媒和装置の適用により得られた結果を記載する。
レーザースプレーイオン化(LSI)は、マトリックス/アナライト混合物のレーザーアブレーションにより多荷電イオン(多価イオン)を生成させるための方法である。LSIは、効率的な脱溶媒和条件を導入することにより、市販のイオン移動度スペクトロメトリー質量分析SYNAPT G2装置上で達成される。
レーザースプレーイオン化(LSI)−質量分析(MS)はThermo Fisher Scientific Orbitrap(商標) Exactive(Thermo Scientific,Waltham,MA)により最近導入された。このイオン化法の原理は、大気圧(AP)で作動するレーザーの使用によりアナライト/マトリックスサンプルがアブレーションされ、ついで脱溶媒和過程中に多荷電マトリックス/アナライトクラスターからイオンが生成されるというものである。電荷状態の選択が自由に選べることは、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)で得られるものに類似した単一荷電イオンおよびエレクトロスプレーイオン化(ESI)により生成されるものに類似した多荷電イオンを用いる複雑な混合物の分析のためのLSIの有用性を示している。後者は、タンパク質および合成重合体のようなより大きな分子をレーザーアブレーションによりイオン化し次いでOrbitrap Exactiveのような高性能であるが質量範囲が限られた装置で該多荷電イオンを分析することを可能にするのに特に有益である。本研究においては、図84に示されているとおり、自作の脱溶媒和装置を使用してタンパク質を分析するために、市販のイオン移動度スペクトロメトリー(IMS)SYNAPT G2装置でLSIを例示する。IMS−MSは、高分解能質量分析計と比較した場合にも多数の利点を有する。なぜなら、それはダイナミックレンジを拡張し、異性体組成物を分離しうるからである。IMSの次元(ディメンション)は、電荷および横断面(サイズおよび形状)に従いイオンを分離する。IMSは、無溶媒気相分離の利点を有し、無溶媒サンプル調製により、イオン化、分離および質量分析を、いずれの溶媒の使用からも完全に切り離して、MSによる完全な無溶媒分析を達成する。
1.脱溶媒和装置の製造
外径1/8インチ、内径1/16インチ、長さ3/4インチの銅およびステンレス鋼チューブを脱溶媒和チャンバーとして使用した。該チューブに24ゲージのニクロム線(Science Kit and Boreal Laboratories,Division of Science Kit,Inc.,Tonawanda,NY,USA)を巻きつけた。該線の上および下には絶縁および安定性のためにSaureisen P1セメント(Inso−lute Adhesive Cement Powder no.P1)が塗られていた。該チューブの出口末端はWaters Z−スプレー源のイオン入口スキマーの向かいに配置された。「乾燥滴(dried droplet)」法を用いて顕微鏡ガラススライド上に蒸着されたマトリックス/アナライトサンプルを、透過配置を用いて、窒素レーザー(Spectra Physics VSL 337 ND S)がアブレーションした。
2,5−ジヒドロキシアセトフェノン(DHAP)マトリックス(純度98%)、インスリン(ウシ膵臓)、ユビキチン(ウシ赤血球)、リゾチーム(ニワトリ卵白)、シトクロムC(ウマ心臓)およびミオグロビン(ウマ心臓)をSigma Aldrich,Inc.,St.Louis,MO,USAから入手し、アンジオテンシン1(ヒト)をAmerican peptideから入手した。アセトニトリル(ACN)、メタノール(MeOH)、トリフルオロ酢酸(TFA)および酢酸溶媒をFisher Scientific Inc.,Pittsburgh,PA,USAから入手した。精製水を使用した(Millipore Corp.,Billerica,MA,USA)。顕微鏡スライド(寸法1×3インチ)をGold Seal Products,Portsmouth,NH,USAから入手した。
アンジオテンシン、ユビキチン、リゾチーム、シトクロムCおよびミオグロビンのストック溶液を個別に純粋水で調製し、インスリンのストック溶液を50:50 MeOH:水中で調製した。1μLを使用して、50:50 ACN:水中で調製され2,5−DHAPマトリックスを使用する無溶媒サンプル調製法を用いてガラススライド上でLSIサンプルを調製し、ついで完全に送風乾燥した。該乾燥LSIを該脱溶媒和装置の前に約1から3mmの距離で配置した。ESIとLSIとの比較のために、ユビキチンを49:49:2 ACN/水/酢酸中で調製した。
自作脱溶媒和装置を使用する、レーザーに基づく新規イオン化法を例示した。該脱溶媒和装置の概要は図84に見られうる。図84は、ESI様多荷電イオンが得られるようにレーザーアブレーション中に生じるマトリックス/アナライトクラスターの脱溶媒和を可能にするための、IMS−MS SYNAPT G2上の源修飾を示す。該脱溶媒和装置は、例えばVariacを使用して加熱されうる。該脱溶媒和装置への熱の適用は必ずしも必要ではない。また、該マトリックスの熱要件を低下させることにより、該脱溶媒和はより効率的にされて、イオン化効率が向上しうる。これは2,5−ジヒドロキシアセトフェノン(2,5−DHAP)に関して示されうる。多荷電イオンの生成を示しうるマトリックスの他の具体例としては、2−アミノベンゾイルアルコール(ABA)、およびDHB異性体の幾つかが挙げられる。揮発性および液体マトリックスも使用されうる。
マトリックス/タンパク質混合物のレーザーアブレーションにより生成された多荷電マトリックス/アナライトクラスターを、低い加熱および/または熱容量を有する装置(例えば、Waters IMS−MS装置)のための多荷電イオンに変換するために、単純な脱溶媒和装置を製造した。多荷電LSIイオンを生成させるための、この製造された脱溶媒和装置のAP条件下での使用の成功は、LSIがESIに類似しているという、提示されているイオン化メカニズムを支持するものである。IMS−MS技術を用いるタンパク質混合物の無溶媒混雑除去(分離)および完全無溶媒分析に該方法が適用可能であることは組織イメージング用途にとって非常に有望である。
本実施例は、レーザースプレーイオン化により完全無溶媒分析のための多荷電正および負イオンを生成するマトリックスおよびマトリックス調製方法を研究する。
これまでの研究は、溶媒に基づく乾燥滴サンプル調製物からの多荷電LSIイオンの生成を示しているに過ぎない。MALDI MSにおいて一般に使用されるマトリックスのレーザーアブレーションによりLSIにおいて生成されるESI様多荷電イオンの生成および電荷減少に関与する過程を理解するための努力がなされている。マトリックスにおけるアナライトの含有が主として多荷電のイオンをどのように生成するのか、および非含有が、全て単一に荷電したイオンを、どのように生成するのか、およびこれが2,5−ジヒドロキシ安息香酸以外のマトリックスに当てはまるか否かを理解することは、MALDIのメカニズムを理解し新規な且つ改良されたMS用途を開発するうえで根本的に重要である。いくつかの共通のマトリックス材料が関わるこれらの研究において得られた洞察、ならびにTSAのための多荷電正および負イオンの生成の知見は、レーザーに基づくAPイオン化法を用いる多荷電イオンの生成における改善をもたらすと予想される。無溶媒調製を、LSIを用いて研究した。
一般的なMALDIマトリックスである2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)および2,5−ジヒドロキシアセトフェノン(DHAP)ならびにこれまでにLSI法で試験されていないマトリックスである2−アミノベンジルアルコール(ABA)、アントラニル酸(AA)および2−ヒドロキシアセトフェノン(HAP)について研究した。溶媒に基づく用途においては、粉末化アナライト(American Peptide Company Inc.から購入)を7.7nmol μL−1の濃度で50:50 ACN:水に溶解することにより、アンジオテンシン1アナライトを調製した。粉末化ウシインスリン(Sigma Aldrichから購入)を90pmol μL−1の濃度で50:50 水:MeOHに溶解することにより、タンパク質アナライトを調製した。2μLのアナライト溶液をガラススライド(Gold Sealから購入)上にスポットし、ついで2μLの飽和マトリックス溶液を最上部にスポットし、混合し、乾燥させた。無溶媒調製の場合には、10μLのアナライト(50:50 水:MeOH溶液中で調製されたもの)をステンレス鋼ビーズ上に注ぎ、35℃で3時間蒸発させて、溶媒を蒸発させた。ついでTissueLyzerアプローチを用いて、該固体アナライト/マトリックス混合物をガラススライド上に配置した。粉末化アンジオテンシン1およびマトリックスをTissueLyzerで直接的に混合することにより、ABAを含むサンプルを調製した。2μLのアナライト溶液および2μLのマトリックスをガラススライド上で混合することにより、HAP(25℃で液体)を含むサンプルを調製した。イオン移動度スペクトロメトリー(IMS)−MS分析のための改造されたWaters SYNAPT G2質量分析計またはThermo LTQ−Velos質量分析計内に、Spectra Physics VSL 337 ND−S窒素レーザーを用いて、透過配置で、全てのサンプルをアブレーションした。また、顕微鏡観察研究およびHAPサンプルのために355nmのNd:YAGレーザーを用いた。全てのマトリックスはSigma Aldrichから購入した。
LSIにおける多荷電イオン生成の改善ための条件を例示する。図91A〜BはLTQ−Velosからのアンジオテンシン1のLSI質量スペクトルを示す。図91(A)においては、飽和DHAP溶液(50:50 水:ACN)は、+3イオンより多くの+1イオンを生成している。図91(B)においては、該溶液は加温され、過飽和になって、各2μLスポット中に、より多くのマトリックスが存在することが可能となった。この方法は、該飽和溶液より高い+3イオン比およびより高い全体的イオン強度を有するスペクトルを与えた。図92は、ABA溶液(50:50 水:ACN)からの単一および二重荷電アンジオテンシン1負イオンのLSI LTQ質量スペクトルを示す。スペクトルの拡大図は、該電荷に対応する同位体分布を示している。塩基性アミノ酸置換基により、LSIは多荷電負イオンを生成しうることが示されている。アミノ基を含有しないマトリックスは単一荷電負イオンを生成したに過ぎなかった。正および負二重荷電アンジオテンシン1イオンに関するドリフト時間分布の観察は、どのマトリックスがそれらを生成するのかに無関係に、該負イオンが、より遅いドリフト時間を有し、該正イオンが、同じドリフト時間を有することを示している。図93は、どのマトリックスが使用されたかには無関係に、該−2イオンが、該+2イオンより若干遅く移動すること、および該+2が、同じドリフト時間を示すことを示している。
どのようなLSI条件が多荷電イオンの豊富な生成をもたらすかの理解はMS用途の改良に非常に重要である。無溶媒多荷電生成は、おそらく、LSIフラグメンテーション技術を、溶解度が限られたアナライトに拡張させることが可能であり、負イオンの生成は、プロトン化より脱プロトン化する傾向が遥かに高い分子の分析を改善するであろう。
本実施例は、表面への無溶媒MALDIマトリックス蒸着のためにTissueBox/SurfaceBox装置を使用して得られたサンプルの無溶媒MALDI研究および結果を記載する。
ボールミル法のために、ステンレス鋼ビーズ(1.2mm)およびクロムビーズ(1.3mm)をBioSpec Products,Inc.Bartlesville,OKから購入した。物質Aの3および20μmメッシュをIndustrial Netting,Inc.,Minneapolis,MNから購入し、物質Bの20μmのものをHogentogler & Co,Inc.Colombia,MDから購入した。マトリックスであるα−シアノ−4−ヒドロキシ−ケイ皮酸(CHCA)および2,5−ジヒドロキシ安息香酸98%(DHB)をSigma Aldrich,Inc.,St.Louis,MOから購入した。溶媒であるアセトニトリル(ACN)およびトリフルオロ酢酸(TFA)をFisher Scientific Inc.,Pittsburgh,PAから購入した。精製水を使用した(Millipore’s Corporate,Billerica,MA)。無蒸着顕微鏡スライド(寸法1インチ×3インチ)をGold Seal Products,Portsmouth,NHから購入した。イメージングのためのITO被覆伝導性スライドを使用した(Bruker,Billerica,MA)。エアブラシ(1/5馬力、100PSIコンプレッサおよびエアブラシキット)をCentral Pneumatic Professional,Camahllo,CAから得た。組織/マトリックス組成物を損なうことなくサンプルを輸送し除霜するためにプラスチック真空密閉食品容器を使用し、それをZeVRO,Skokie,ILから購入した。
18週齢のC57 Bl/6マウスを麻酔し、氷冷1×リン酸緩衝食塩水(150mM NaCl,100mM NaH2PO4,pH7.4)で経心的(transcardially)に5分間潅流して、赤血球を除去した。Leica CM1850クリオスタット(Leica Microsystems Inc.,Bannockburn, IL)を使用して、脳を−20℃で冷凍し、連続的に10μm切片に薄片化した。それぞれのMALDI−TOF−MSおよびMALDI−IMS−MS研究においては、切片は同一マウスからのものを使用したが、動物は、該分析に使用した2つの異なるタイプの質量分析計によって異なるものであった。予め冷却されたスライド上に切片を配置した。該ガラススライドを裏側から指で手短に加温して、切片を緩和させ付着させた。水分凝結を防ぐように注意した。スライドを、使用まで、乾燥剤含有気密箱内で−20℃で貯蔵した。
表面への無溶媒MALDIマトリックス蒸着のための装置を設計し製造した。図18は、ボールミル装置(TissueLyzer)により可能となるビーズの激しい運動およびメッシュの生じうる曲がりが組織切片を損なわないように、堅く固定されているが十分な距離(約1cm)が隔てられている2つの区画からなる、この装置の原理的設計を示す。上部区画には、下部区画に面するメッシュ(20または3μm)が取り付けられている。それぞれのマトリックス物質およびビーズはSurfaceBoxの上部区画に加えられる。該ビーズは、所望のマトリックス物質と共に、SurfaceBoxの上部区画に留まる。上部区画に面する組織切片を保持する顕微鏡スライドは下部区画内に十分な距離を隔てて配置され、SurfaceBoxの側壁内のスリットにより又は単に顕微鏡スライドの裏側に両面粘着テープを使用することにより、下部区画に固定される。SurfaceBoxは、顕微鏡スライドを越えてマトリックスを汚染することがないように設計される。それぞれのマトリックス物質の適用は、労力を要さない柔軟なTissuLyzer装置を使用して、SurfaceBoxの激しい運動により行われる。
1.無溶媒MALDI分析:MALDI−TOF装置
ITOガラススライド(Bruker Datonics,Inc.,Billerica,MA)に付着された凍結マウス脳組織切片を、組織解凍中、乾燥窒素チャンバー内に20分間配置した。該組織のデジタルイメージをEpsonスキャナー(Epson Perfection 4490 Photo)で2400dpiの解像度で得た。該組織をAutoflex III MALDI TOF装置(Bruker Datonics,Inc.,Billerica,MA)内に配置し、サンプルステージのxy配置を、Flexlmaging 2.1ソフトウェア(Bruker Datonics,Inc.,Billerica,MA)内の3つのティーチポイント(teach point)を用いて整合させた。該装置は、500〜2000Daの質量範囲を測定する正イオン レフレクトロン(reflectron)モードで作動させた。全ての固体スマートビームレーザーは、200Hzの繰返し率で作動させ、レーザービーム径は、50μmに調節した。高い空間分解能の分子イメージを得るために、イメージングラスタ分解能も50μmに設定した。マウス脳(2mm×5mm)の部分を、3600スペクトルを超える取得をもたらすイメージング実験のために手動で定めた。合計200レーザーショットを各画素から合計した。該分析の完了後、FlexImagingを使用して、問合せたシグナルの検出および強度の両方に基づいてカラーグラジエントとして各ボクセル(voxel)の分子詳細を表示させることにより、結果を処理した。
大量のストックマトリックス物質(約1g)を、ビーズ剤を含有する5mLガラスバイアル内で、TissueLyzer(QIAGEN,Valencia,CA)で一定時間(この場合は5および30分間)にわたり、所定の周波数(この場合は15および25Hz)で前粉砕する。1つの実験においては、30〜50個のクロムビーズ(1.3mm)を使用した。もう1つの実験においては、3個の4mmビーズと共に20〜30個のステンレス鋼ビーズ(1.2mm)を使用した。
前粉砕マトリックス(CHCA、DHB)を3個の大きな(4mm)ステンレス鋼ビーズおよび10〜20個の小さな(1.2mm)ステンレス鋼ビーズと共にSurfaceBoxの上部区画内に配置する。マウントされたマウス脳切片を含有する顕微鏡スライドを下部区画内に配置する。ついで、組み立てられたSurfaceBox装置をTissuLyzerサンプルホルダー内に配置し、TissueLyzerアームに固定する。該組織切片のマトリックスの厚さは25Hzの所定周波数で時間(30秒〜5分)により制御される。20μmの開口部を有するメッシュ材の場合、DHBおよびCHCAマトリックス物質に関して、60秒で均一なカバレッジ(被覆)が得られた。3μmの開口部を有するメッシュ材の場合、ボールミル時間を5分に増加させた(DHB、CHCAマトリックス)。また、1つの顕微鏡スライド上に位置する2つの異なる組織切片上に2つの異なるマトリックス物質(DHB、CHCA)を適用した。それぞれの切片をマトリックス適用範囲内で単に移動させることのみにより、後続の2つのマトリックス適用サイクルを行った。2つのSurfaceBoxをTissueLyzerホルダー内に配置することにより、多重化が達成されうる(補足情報において写真が入手可能である)。
既に報告されている方法(Garrettら,Int.J.Mass Spectrom 2007,260,166−176)に従いエアブラシを使用して、溶媒に基づくマトリックスを組織切片に適用した(それに関する該文献の教示を参照により本明細書に組み入れることとする)。
ガラススライド上の蒸着マトリックスおよびマトリックス被覆組織ならびに純粋な組織および種々のメッシュの定性的理解を得るために、光学顕微鏡(Nikon,ECLIPSE,LV 100)を使用した。種々の拡大条件(5倍〜100倍)を用いて、約1〜10μmまでの詳細な像を得た。Hitachi S−2400走査電子顕微鏡により走査電子顕微鏡(SEM)分析を行った。該SEM研究のために、マトリックスで覆われた組織の上にカーボンテープを配置してSEMサンプルを得た。該SEMサンプルをSEMサンプルホルダーに配置し、種々の倍率で分析した。
MALDIマトリックスで調製された組織サンプルを、プラスチック真空密閉食品容器内に確実に配置し、少し排気して、空気中に含まれる水分を除去した。サンプル容器を−80℃で一晩維持し、ドライアイス上に配置した。使用前に、容器をドライアイスから取り出し、該容器を室温に加温した後、弱真空密閉を解いた。MALDI−TOF上で1日間およびMALDI−IMS−TOFのための6日間の後、質量測定値を得た。
1.無溶媒MALDI分析:MALDI−TOF装置
ITOガラススライド(Bruker Datonics,Inc.,Billerica,MA)に付着された凍結マウス脳組織切片を、組織解凍中、乾燥窒素チャンバー内に20分間配置した。該組織のデジタルイメージをEpsonスキャナー(Epson Perfection 4490 Photo)で2400dpiの解像度で得た。該組織をAutoflex III MALDI TOF装置(Bruker Datonics,Inc.,Billerica,MA)内に配置し、サンプルステージのxy配置を、Flexlmaging 2.1ソフトウェア(Bruker Datonics,Inc.,Billerica,MA)内の3つのティーチポイント(teach point)を用いて整合させた。該装置は、500〜2000Daの質量範囲を測定する正イオン レフレクトロン(reflectron)モードで作動させた。全ての固体スマートビームレーザーは、200Hzの繰返し率で作動させ、レーザービーム径は、50μmに調節した。高い空間分解能の分子イメージを得るために、イメージングラスタ分解能も50μmに設定した。マウス脳(2mm×5mm)の部分を、3600スペクトルを超える取得をもたらすイメージング実験のために手動で定めた。合計200レーザーショットを各画素から合計した。該分析の完了後、FlexImagingを使用して、問合せたシグナルの検出および強度の両方に基づいてカラーグラジエントとして各ボクセル(voxel)の分子詳細を表示させることにより、結果を処理した。
イメージング実験の前に、CanoScan 4400Fスキャナー(Canon,Reigate,U.K.)を使用して該組織切片のデジタルスキャンを得、MALDIイメージング・パターン・クリエータ(imaging Pattern Creator)ソフトウェア(Waters Corporation,Manchester,U.K.)内に移し、それにおいて、イメージングされるべき領域を選択した。IMSモードで作動するMALDI SYNAPT HDMS(Waters Corporation,Manchester,U.K.)を使用して、MALDI−IMS−MS分析を行った。該装置の校正は、m/z 100〜1000の範囲のポリエチレングリコール(Sigma−Aldrich,Gillingham,U.K.)の標準混合物を使用して行った。200Hz Nd/YAGレーザーを使用して、100〜1000のm/z範囲にわたってHDMSモードで作動するMALDI SYNAPT HDMS上で該組織イメージングデータを得た。150μmの空間分解能を選択し、画素当たり400レーザーショットを得た。イオン移動度分離に用いた気体は、22mL 分−1に設定された流量の窒素であった。IMS装置内の圧力は5.07×10−1 mBarであった。IMS波速度は300m 秒−1に設定され、この場合、種々の波高が可能であった。該波高は6〜14Vに設定された。取得後、該データを、BioMap(Novartis,Basel,CH)を用いるイメージ分析のために、MALDI Imaging Converter(Waters Corporation,Manchester,U.K.)を使用してアナライズ(Analyze)ファイルフォーマットに変換した。また、DriftScope 2.1(Waters Corporation,Manchester,U.K.)を使用して、該データを評価した。この場合、m/z対ドリフト時間二次元プロットが可視化されうる。ここでは、「ピーク検出」アルゴリズムを適用して、m/z、強度およびドリフト時間が表示されるExcel内にローディングされうるピーク一覧を作成した。したがって、m/z 863.5における低存在量の等圧(isobaric)種に関して示されるとおり、類似したm/z(等圧)および異なるドリフト時間(移動度)を有する種を特定することが可能であった。DriftScope 2.1から、特定のm/zおよびドリフト時間をそれらのXおよびY座標と共に保有する個々のイオン種が選択され抽出されうる。ついで、抽出された生データはBioMapのために変換されうる。該出力は、関心のあるイオンのみが表示されるイオンイメージである。
本実施例は、組織切片の被覆の改善のための、SurfaceBoxにおいて使用されるマトリックス結晶のサイズの均一な減少を達成するために行った研究を記載する。
図18は、MALDIを用いるイメージング質量分析での使用に適したTissueBoxの概要図を示す。より多数の組織切片またはより多数の箱を同じホルダー内に加えて、後にそれが種々のマトリックスを使用することが可能となるようにすることにより、TissueBoxを多重化することが可能である。示されている部分は、マトリックス物質、メッシュおよび金属ビーズを収容するSurfaceBox上部区画、ならびに組織薄片およびガラススライドを含む下部区画を含む。TissueBoxは、マトリックスとビーズとを含有する重ね合わせ可能な箱、ならびに約44μmの開口を有するメッシュ底を含む。収容箱はガラススライド上に組織サンプルを含みうる。それらの成分はぴったりと密着して嵌るように重ね合されて、該メッシュの分離を維持するのに十分な空間の確保を可能にする。
本実施例は、FF−TG−AP MALDIを用いるマウス脳組織の分析を記載する。無溶媒および溶媒に基づくマトリックス適用の比較も記載する。
図43A〜Bは、組織とガラススライドとの間にマトリックスを配置することにより調製されたマウス脳の、無電場透過配置常圧(field−free transmission geometry atmospheric pressure)(FF−TG−AP)MALDI源を使用する組織質量分析を示す。図43(A)は、新しい(virgin)組織スポットをサンプリングすることにより得られた全イオン電流を示し、図43(B)は質量スペクトルを示す。該インセットは、高質量分解能装置(50000質量分解能、<5ppm質量精度)を使用して表された等圧(isobaric)組成を示す。このFF設計はTG−AP源での組織およびマトリックス層の両方のアブレーションを可能にする。組織およびマトリックスの両方の厚さは厳密に決定され最適化されうる。
本実施例はアンジオテンシン1の無溶媒MS分析を示す。
本実施例はイオン化アミロイドペプチド(1−42)のAP−MALDIを示す。
本実施例はウシインスリンの調製およびMS分析を示す。
以下の図は、質量分析(MS)による物質の分析および組織イメージングを改善するために行った研究および実験に関する追加的なデータおよび開示を表す。
Claims (20)
- 物質の分析のために多荷電イオンを製造する方法であって、
a.物質およびマトリックスを物質/マトリックスアナライトとして表面に適用し、
b.該物質/マトリックスアナライトを大気圧またはその圧力付近でレーザーでアブレーションし、
c.該レーザーアブレート化物質/マトリックスアナライトを加熱領域に通過させた後、該物質/マトリックスアナライトを質量分析計の高真空領域に進入させることを含む、方法。 - マトリックスが、レーザーの波長におけるエネルギーを吸収する小分子から構成される、請求項1の方法。
- 小分子が、ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB);ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン(2,5−DHAP)、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン(2,6−DHAP)、2,4,6−トリヒドロキシアセトフェノン(2,4,6−THAP)、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)、2−アミノベンジルアルコール(2−ABA)およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2の方法。
- レーザーが紫外領域の出力を有する、請求項1の方法。
- レーザーが窒素レーザー(337nm)または周波数3倍化Nd/YAGレーザー(355nm)である、請求項1の方法。
- 加熱領域が加熱チューブである、請求項1の方法。
- チューブが、質量分析計真空系に有害な蒸気を放出しない耐熱性物質から構成される、請求項6の方法。
- チューブが金属または石英から構成される、請求項7の方法。
- チューブが50から600℃の温度に加熱される、請求項6の方法。
- チューブが150から450℃の温度に加熱される、請求項6の方法。
- 質量分析計の真空へのイオン進入および物質/マトリックスアナライトのレーザーアブレーションの点により定められるイオン源領域内の電場が800V未満である、請求項1の方法。
- イオン源領域内の電場が100V未満である、請求項11の方法。
- イオン源領域内の電場が0Vまたは0V未満である、請求項11の方法。
- 物質が生物学的物質または非生物学的物質である、請求項1の方法。
- 物質が、タンパク質、ペプチド、炭水化物および脂質からなる群から選択される生物学的物質である、請求項14の方法。
- 物質が、重合体および油からなる群から選択される非生物学的物質である、請求項14の方法。
- 無溶媒物質/マトリックスアナライト調製方法を用いて、該物質/マトリックスアナライトを分析することを更に含む、請求項1の方法。
- 分析することが、構造の特徴づけのための表面イメージングおよび/または電荷遠隔フラグメンテーションを含む、請求項18の方法。
- 物質/マトリックスアナライトを分析するために質量分析計を使用する、請求項1の方法。
- 請求項1の方法を実施するための系。
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