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JP2012513401A - S1p受容体アゴニストの投与レジメン - Google Patents

S1p受容体アゴニストの投与レジメン Download PDF

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Abstract

S1P受容体調節因子またはアゴニストは、治療の最初の何日かの1日投与量が標準の1日投与量未満である投与レジメンに従って投与される。

Description

本発明は、S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与レジメンに関する。より具体的には、本発明は、例えば多発性硬化症などの自己免疫疾患または障害に罹患している患者を、S1P受容体調節因子またはアゴニストを用いて治療するための投与レジメンに関する。
S1P受容体調節因子またはアゴニストは、1つまたは複数のスフィンゴシン−1リン酸受容体、例えばS1P1〜S1P8においてアゴニストとしてシグナル伝達する化合物である。S1P受容体へのアゴニストの結合は、例えば、Ga−GTPおよびGaa−GTPへの細胞内ヘテロ三量体Gタンパク質の解離、ならびに/またはアゴニストによって占有された受容体のリン酸化の増大、ならびに/または下流シグナル伝達経路/キナーゼの活性化をもたらすことができる。
S1P受容体調節因子またはアゴニストは、哺乳動物、特にヒトの様々な状態の治療に有用な治療用化合物である。例えば、移植片拒絶反応の予防におけるS1P受容体調節因子またはアゴニストの有効性は、ラット(皮膚、心臓、肝臓、小腸)、イヌ(腎臓)およびサル(腎臓)モデルで実証されている。さらにS1P受容体調節因子またはアゴニストは、それらの免疫調節効力に起因して、炎症性疾患および自己免疫疾患の治療にも有用である。特に、多発性硬化症の治療におけるS1P受容体アゴニストFTY720の有効性が、ヒトにおいて実証されている(例えば、「FTY720 therapy exerts differential effects on T cell subsets in multiple sclerosis」、Mehling M、Brinkmann V、Antel J、Bar−Or A、Goebels N、Vedrine C、Kristofic C、Kuhle J、Lindberg RL、Kappos L.Neurology.2008年10月14日;71(16):1261〜1267頁;および「Oral fingolimod(FTY720) for relapsing multiple sclerosis」、Kappos L、Antel J、Comi G、Montalban X、O’Connor P、Polman CH、Haas T、Korn AA、Karlsson G、Radue EW;FTY720 D2201 Study Group.N Engl J Med.2006年9月14日;355(11):1124〜1140頁に記載の通り)。
多発性硬化症は、若年成人の神経学的な障害の主な原因であり、中枢神経系の最も一般的な脱髄性障害である。インターフェロン−αおよびグラチラマー酢酸塩などの現在利用可能な療法は、わずかな有効性しかなく、したがって疾患の進行に対してはわずかな限界効果しか示していない。さらに、これらの生物学的作用物質は非経口投与され、例えば注射部位における局所反応および発熱症候などのいくつかの有害作用に関連する。したがって、多発性硬化症に有効な経口治療が、医学的に強く必要とされている。
S1P受容体調節因子またはアゴニストは、例えば、「FTY720:Placebo−Controlled Study of the Effect on Cardiac Rate and Rhythm in Healthy Subjects」、Robert Schmouder、Denise Serra、Yibin Wang、John M.Kovarik、John DiMarco、Thomas L.Hunt and Marie−Claude Bastien.J.Clin.Pharmacol.2006年;46;895頁に記載の通り、陰性変時作用をもたらすことがあり、すなわち心律動を低減することがある。1.25mgのFTY720の投与は、毎分約8回(BPM)の心拍数の減少を誘発し得る。
この副作用の結果として、S1P調節因子またはアゴニスト療法は、心律動が許容されるレベルに維持されていることをチェックするために、厳密な医学的管理下で開始されなければならない。これには、患者の入院が伴うことがあり、それは、治療をより高価かつ複雑なものとする。
したがって、化合物が投与される疾患を治療または予防するための適切な投与量を投与する能力を維持すると同時に、S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与によって生じ得る陰性変時副作用を低減する必要がある。さらに、患者の服薬遵守を強化する必要がある。
驚くべきことに、S1P受容体調節因子またはアゴニストを特定の投与レジメンに従って投与することによって、かかる化合物の投与に関連し得る副作用を低減できることが見出された。例えば、本発明の特定の投与レジメンに従ってS1P受容体アゴニストまたは調節因子を投与することにより、陰性変時副作用を有意に低減し、または完全に排除することもできる。特に、心拍数の突然の減少を回避することができる。
また、本発明の特定の投与レジメンに従ってS1P受容体アゴニストまたは調節因子を投与することにより、S1P受容体アゴニストまたは調節因子を投与された患者が房室(AV)ブロックまたは心臓の休止を被る危険性を有意に低減し、または完全に排除することもできる。
さらに、本発明の特定の投与レジメンは、他の方法では損益比が不利になり得る部類の患者に、S1P受容体アゴニストまたは調節因子を投与することが可能である。かかる患者は、例えば、心不全もしくは不整脈(arrythmias)に罹患しやすいもしくは罹患している患者、高度房室ブロックもしくは洞不全症候群の患者、失神エピソードの病歴のある患者、または抗不整脈薬の投与を受けている患者などの、β遮断薬または抗不整脈薬を用いた治療を受けている患者、または維持投与レジメンにおいて、中断または治療の休み、例えば4日を超え、6、8、10、12または14日を超える休みを受けている患者である。
本発明の投与レジメンは、S1P受容体調節因子療法に関連する可能性のある陰性変時作用および/またはAVブロック作用を最小にして、S1P受容体の標準の1日当たりの治療用量範囲を達成することを可能にする、S1P受容体調節因子またはアゴニスト療法の開始のための投与レジメンである。
実施例に記載の治療投与レジメン群に対する、1日目〜9日目の平均(+/−標準の誤差)の1日当たりの平均心拍数を示す図である。x軸は試験日数を示し、Y軸は平均(+/−SE)の1日当たりの平均心拍数(1分当たりの拍動(BPM))を示す。
S1P受容体調節因子またはアゴニスト
好ましいS1P受容体アゴニストまたは調節因子は、例えば、それらのS1P結合特性に加えて、リンパ球ホーミング促進特性も有する化合物である。例えば化合物は、好ましくは可逆的な、循環から二次リンパ組織へのリンパ球の再分布から生じるリンパ球減少症を、全身性免疫抑制を惹起することなく誘発し得る。適切には、ナイーブ細胞が隔絶され、血液からのCD4およびCD8T細胞およびB細胞が刺激されて、リンパ節(LN)およびパイエル板(PP)に遊走する。
S1P受容体調節因子またはアゴニストは、一般に、2置換2−アミノ−プロパン−1,3−ジオールまたは2−アミノ−プロパノール誘導体などのスフィンゴシン類似体である。
本発明の一実施形態では、S1P受容体調節因子またはアゴニストは、式X
の基を含む化合物であり、
式中、Zは、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、フェニル、OHで置換されているフェニル;ハロゲン、C3〜8シクロアルキル、フェニルおよびOHで置換されているフェニルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されているC1〜6アルキル;またはCH−R4zであり(R4zは、OH、アシルオキシまたは式(a)
の残基であり、Zは、直接結合またはO、好ましくはOであり、
5zおよびR6zのそれぞれは、独立に、H、または1、2もしくは3個のハロゲン原子で任意選択により置換されているC1〜4アルキルである)、
1zは、OH、アシルオキシまたは式(a)の残基であり、R2zおよびR3zのそれぞれは、独立に、H、C1〜4アルキルまたはアシルである。
式Xの基は、親水性または親油性であってよい部分に末端基として結合している官能基であり、1つまたは複数の脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式残基を含む。得られた分子は、スフィンゴシン−1−リン酸受容体の1つまたは複数において調節因子/アゴニストとして機能する。
適切には、ZおよびR1zの少なくとも1つは式(a)の残基であるか、またはこれを含む。
適切なS1P受容体アゴニストまたは調節因子の例には、以下が含まれる。
(i)EP627406A1に開示の化合物、例えば式Iの化合物
[式中、Rは、直鎖または分岐の(C12〜22)鎖であり、これは、
−鎖中に、二重結合、三重結合、O、S、NR(Rは、H、C1〜4アルキル、アリール−C1〜4アルキル、アシルまたは(C1〜4アルコキシ)カルボニルである)、およびカルボニルから選択される結合もしくはヘテロ原子を有することができ、ならびに/または
−置換基として、C1〜4アルコキシ、C2〜4アルケニルオキシ、C2〜4アルキニルオキシ、アリールC1〜4アルキル−オキシ、アシル、C1〜4アルキルアミノ、C1〜4アルキルチオ、アシルアミノ、(C1〜4アルコキシ)カルボニル、(C1〜4アルコキシ)−カルボニルアミノ、アシルオキシ、(C1〜4アルキル)カルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシイミノ、ヒドロキシもしくはカルボキシを有することができ;または
は、
−アルキルが直鎖もしくは分岐の(C6〜20)炭素鎖であるフェニルアルキル;または
−アルキルが直鎖もしくは分岐の(C1〜30)炭素鎖であるフェニルアルキル(前記フェニルアルキルは、
−ハロゲンによって任意選択により置換されている直鎖もしくは分岐の(C6〜20)炭素鎖、
−ハロゲンによって任意選択により置換されている直鎖もしくは分岐の(C6〜20)アルコキシ鎖、
−直鎖もしくは分岐の(C6〜20)アルケニルオキシ、
−フェニル−C1〜14アルコキシ、ハロフェニル−C1〜4アルコキシ、フェニル−C1〜14アルコキシ−C1〜14アルキル、フェノキシ−C1〜4アルコキシもしくはフェノキシ−C1〜4アルキル、
−C6〜20アルキルによって置換されているシクロアルキルアルキル、
−C6〜20アルキルによって置換されているヘテロアリールアルキル、
−複素環式C6〜20アルキル、または
−C2〜20アルキルによって置換されている複素環式アルキル、
によって置換されており、
該アルキル部分は、
−炭素鎖中に、二重結合、三重結合、O、S、スルフィニル、スルホニル、またはNR(Rは、先に定義の通りである)から選択される結合またはヘテロ原子を含有し、
−置換基として、C1〜4アルコキシ、C2〜4アルケニルオキシ、C2〜4アルキニルオキシ、アリールC1〜4アルキルオキシ、アシル、C1〜4アルキル−アミノ、C1〜4アルキルチオ、アシルアミノ、(C1〜4アルコキシ)カルボニル、(C1〜4アルコキシ)カルボニルアミノ、アシルオキシ、(C1〜4アルキル)カルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシを含有することができる)、
、R、RおよびRのそれぞれは、独立に、H、C1〜4アルキルまたはアシルである]
または薬学的に許容されるその塩または水和物。
(ii)WO02/18395に開示の化合物、例えば式IIaまたはIIbの化合物
[式中、Xは、O、S、NR1sまたは基−(CHna−であり、該基は非置換であるか、または1〜4個のハロゲンによって置換されており;nは、1または2であり、R1sは、Hまたは(C1〜4)アルキルであり、該アルキルは非置換であるか、またはハロゲンによって置換されており;R1aは、H、OH、(C1〜4)アルキルまたはO(C1〜4)アルキルであり、該アルキルは非置換であるか、または1〜3個のハロゲンによって置換されており;R1bは、H、OHまたは(C1〜4)アルキルであり、該アルキルは非置換であるか、またはハロゲンによって置換されており;各R2aは、独立に、Hまたは(C1〜4)アルキルから選択され、該アルキルは非置換であるか、またはハロゲンによって置換されており;R3aは、H、OH、ハロゲンまたはO(C1〜4)アルキルであり、該アルキルは非置換であるか、またはハロゲンによって置換されており;R3bは、H、OH、ハロゲン、(C1〜4)アルキル(該アルキルは非置換であるか、またはヒドロキシによって置換されている)またはO(C1〜4)アルキル(該アルキルは非置換であるか、またはハロゲンによって置換されている)であり;Yは、−CH−、−C(O)−、−CH(OH)−、−C(=NOH)−、OまたはSであり、R4aは、(C4〜14)アルキルまたは(C4〜14)アルケニルである]
または薬学的に許容されるその塩または水和物。
式IまたはIIaまたはIIbの化合物が、分子中に1つまたは複数の不斉中心を有する場合、本発明は、様々な光学異性体、ならびにラセミ体、ジアステレオマーおよびその混合物を包含すると理解されるべきである。式IIaまたはIIbの化合物は、アミノ基を担持する炭素原子が不斉である場合、好ましくはこの炭素原子においてR立体配置を有する。
式I、IIaまたはIIbの化合物は、遊離形態または塩の形態で存在することができる。式I、IIaまたはIIbの化合物の薬学的に許容される塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩および硫酸塩などの無機酸との塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩などの有機酸との塩、または適切な場合には、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアルミニウムなどの金属との塩、トリエチルアミンなどのアミンとの塩、ならびにリシンなどの二塩基性アミノ酸との塩が含まれる。本発明の組合せの化合物および塩は、水和物および溶媒和物の形態を包含する。
先の定義では、
アシルは、残基R−CO−であってよく、Rは、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、フェニルまたはフェニル−C1〜4アルキルであり、
別段指定されない限り、アルキル、アルコキシ、アルケニルまたはアルキニルは、直鎖または分岐であってよく、
アリールは、フェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルであってよく、
「複素環式基」は、S、OおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜7員の複素環式基を表す。かかる複素環式基の例には、先に示したヘテロアリール基、および部分的にまたは完全に水素化されたヘテロアリール基に対応する複素環式化合物、例えばフリル、チエニル、ピロリル、アゼピニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニルまたはピラゾリジニルが含まれる。好ましい複素環式基は、5員または6員のヘテロアリール基であり、最も好ましい複素環式(heteocyclic)基は、モルホリニル、チオモルホリニルまたはピペリジニル基である。
としての炭素鎖が、式Iの化合物において置換されている場合、ハロゲン、ニトロ、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシによって置換されていることが好ましい。炭素鎖が、任意選択により置換されているフェニレンによって中断されている場合、該炭素鎖は好ましくは非置換である。フェニレン部分が置換されている場合、ハロゲン、ニトロ、アミノ、メトキシ、ヒドロキシまたはカルボキシによって置換されていることが好ましい。
好ましい式Iの化合物は、Rが、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシによって任意選択により置換されているC13〜20アルキルである化合物であり、より好ましくは、Rが、ハロゲンによって任意選択により置換されているC6〜14−アルキル鎖によって置換されているフェニルアルキルであり、そのアルキル部分が、ヒドロキシによって任意選択により置換されているC1〜6アルキルである化合物である。より好ましくは、Rは、フェニル−C1〜6アルキルであり、該フェニル上で、直鎖または分岐の、好ましくは直鎖のC6〜14アルキル鎖によって置換されている。C6〜14アルキル鎖は、オルト、メタまたはパラ、好ましくはパラであってよい。
好ましくは、R〜RのそれぞれはHである。
式Iの好ましい化合物は、2−アミノ−2−テトラデシル−1,3−プロパンジオールである。
式Iの特に好ましいS1P受容体アゴニストは、FTY720、すなわち2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオールの遊離形態または薬学的に許容される塩の形態(以下、化合物Aと呼ぶ)、またはそのプロドラッグである。
本発明の一実施形態では、式Iのアゴニストは、以下に示すFTY720塩酸塩である。
式IIaの好ましい化合物は、FTY720−リン酸塩(化合物B)である(R2aはHであり、R3aはOHであり、XはOであり、R1aおよびR1bはOHである)。
式IIbの好ましい化合物は、化合物C−リン酸塩である(R2aはHであり、R3bはOHであり、XはOであり、R1aおよびR1bはOHであり、YはOであり、R4aはヘプチルである)。
本発明のさらなる一実施形態では、本発明の投与レジメンで使用するためのS1P受容体アゴニストまたは調節因子は、S1P受容体に選択的であってもよい。例えば化合物は、35S−GTPγS結合アッセイによって測定する場合に、S1P受容体のEC50とS1P受容体のEC50の比によって測定される通り、S1P受容体よりもS1P受容体に少なくとも20倍、例えば100、500、1000または2000倍高い選択性を有し、前記化合物は、S1P1受容体との結合に関して、35S−GTPγS結合アッセイによって評価して100nM以下のEC50を有する。
35S−GTPγS結合アッセイは、WO03/097028に記載されており、以下のプロトコルに従って行われる。GTPγS結合実験は、DS.Imら、Mol.Pharmacol.2000年;57:753頁によって記載の通り実施される。リガンドに媒介された、Gタンパク質へのGTPγSの結合は、GTP結合バッファー(50mMのHEPES、100mMのNaCl、10mMのMgCl、pH7.5)中、一過性トランスフェクトしたHEK293細胞からの膜調製物25μgを使用して測定される。リガンドを、10μMのGDPおよび0.1nMの[35S]GTPγS(1200Ci/mmol)の存在下で膜に添加し、30℃において30分間でインキュベートする。結合したGTPγSを、Brandel収穫器(Gaithersburg、MD)を使用して非結合から分離し、液体シンチレーションカウンターで計数する。
投与レジメン
前述の通り、本発明は、S1P受容体調節因子またはアゴニスト療法に関連する可能性がある陰性変時作用および/またはAVブロック作用を最小限にするように適合された新規の投与レジメンを提供する。
心臓の作用にはAVブロックが含まれ、これは、第1度AVブロック(例えば、0.2秒より長いPR間隔)および第2度AVブロック、例えば第1度AVブロックを含む。心臓の作用には、心臓の休止、例えば2秒を超える心臓の休止が含まれる。
本発明によれば、初期治療期間中の投与量が標準の1日投与量未満であり、その投与量が、標準の1日投与量が達成されるまで任意選択により段階的に、または1回だけ増加されるように投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニストの使用が提供される。その後治療は、好ましくは標準の1日投与量の前記S1P受容体調節因子またはアゴニストを用いて継続される。
好ましくは初期治療期間中、医薬品は、心拍数(例えば平均のまたは最小の1日当たりの心拍数)の1日当たりの減少が許容されるか、もしくは臨床的に重大でない、または患者の洞律動が正常であるような投与レジメンで投与される。例えば、心拍数(例えば平均のまたは最小の1日当たりの心拍数)の1日当たりの減少は、約4bpm未満、例えば約3bpm未満または約2bpm未満であってよい。
用語「正常な洞律動」は、治療を受けていないときの患者の洞律動を指す。正常な洞律動の評価は、医師により行われる。一般に、正常な洞律動であれば、60〜100bpmの範囲の心拍数を生じる。
好ましくは、初期治療期間中の投与量は、標準の1日投与量未満であり、その投与量は、標準の1日投与量が達成されるまで任意選択により段階的に、または1回だけ増加される。その後治療は、好ましくは標準の1日投与量の前記S1P受容体調節因子またはアゴニストを用いて継続される。
本発明によれば、「初期治療期間」は、S1P受容体調節因子またはアゴニストが、標準の1日投与量未満の投与量で投与される期間を指す。好ましくは「初期治療期間」は、S1P受容体調節因子またはアゴニストの初回投与により開始される。
初期治療の期間は変わり得る。一実施形態では、初期治療期間は最大10日間、例えば約1週間である。さらなる一実施形態では、初期治療期間は5〜14日間、例えば4〜12日間である。さらなる一実施形態では、初期治療期間は7〜10日間である。またさらなる一実施形態では、初期治療期間は4〜7日間である。さらなる実施形態では、初期治療期間は、10日間または9日間または8日間または7日間または6日間または5日間または4日間から選択される。
本明細書で先に定義した通り、標準の1日投与量(標準の1日用量とも呼ぶ)は、治療または予防されるべき疾患を治療または予防するために患者に投与するのに必要な、薬物の1日当たりの維持用量を指す。適切には、標準の1日投与量は、治療上有効な投与量に相当する。
治療上有効な投与量(治療用量とも呼ぶ)は、所期の疾患または状態を有効に治療するのに必要な(すなわち、患者が、治療または予防されるべき疾患の反跳の徴候または症候の低減を示し、好ましくは徴候および症候を全く示さないような)S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与量を指す。
初期治療期間中、S1P受容体調節因子またはアゴニストは、標準の1日当たりの維持用量の、例えば治療用量の、例えば最大10分の1、例えば最大8分の1、例えば最大4分の1の投与量で投与することができる。
好ましい一実施形態では、初期治療期間中(例えば治療の最初の10日間、例えば治療の最初の1週間、または治療の最初の5〜14日間、治療の最初の4〜12日間、または治療の最初の7〜10日間、または治療の最初の10、9、8、7、6、5もしくは4日間)に、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与量が、標準の1日用量の、例えば治療用量の最大10分の1、例えば最大5分の1の投与量で与えられるように投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニストの使用が提供される。次いで用量は、本明細書で先に定義した初期治療期間中に、最大で標準の1日用量、例えば治療用量まで、任意選択により段階的に増加される。
好ましい医薬品は、自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、多発性筋炎、狼瘡腎炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患または乾癬などの慢性の長期疾患に罹患している患者のための医薬品を含む。本発明の一実施形態では、医薬品は、多発性硬化症、例えば再発寛解型多発性硬化症(RRMS)または一次性進行型多発性硬化症(PPMS)に罹患している患者、例えばRRMSに罹患している患者のための医薬品である。
本発明の投与レジメンは、心副作用の危険性がある患者、例えば心不全、不整脈の危険性がある患者、高度房室ブロックもしくは洞不全症候群の患者、失神エピソードの病歴がある患者、またはβ遮断薬を必要としているもしくはその投与を受けている患者、またはクラスIa(例えばキニジン、プロカインアミド)もしくはクラスIIIの抗不整脈薬(例えば、アミオダロン、ソタロール)を用いた治療を受けている患者などの、抗不整脈薬治療を必要としているまたはその治療を受けている患者に対して特に有用である。
化合物A(またはB)に関して、標準の1日投与量の例は、最大5mgの1日投与量であってよく、例えば投与量は、0.5mgおよび5mgの間、例えば0.5mgおよび2mgの間であってよい。特定の一実施形態では、標準の1日投与量は約1.25mgである。別の実施形態では、標準の1日投与量は約0.5mgである。
好ましくは、初期治療期間中のS1P受容体調節因子またはアゴニストの投与量は、最大でS1P受容体調節因子またはアゴニストの標準の1日投与量まで、規定された増分で段階的に増加される。好ましくは、本明細書で先に定義した初期治療期間中、例えば治療の最初の10日間、例えば1〜9日間、例えば最初の1週間の前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与量は、約1.5〜約3.5倍、例えば2〜3倍、例えば2倍、例えば約1.5倍の増分で増加される。
例えば初期治療期間中、用量は、標準の1日投与量の、例えば治療用量の約10分の1、または約8分の1、または約5分の1、または約3分の1、約2分の1または約1.5分の1であってよい。適切には、初期治療期間中に投与される最初の投与量は、標準の1日投与量の、例えば治療用量の約10分の1であり、次いで標準の1日投与量の約5分の1、次いで標準の1日投与量の約2.5分の1となる1日投与量まで増分して増加される。その後、治療は標準の1日投与量で開始される。
本発明の別の実施形態では、本明細書で先に定義した初期治療期間中に投与される最初の投与量は、標準の1日投与量の、例えば治療用量の約4分の1であり、次いで標準の1日投与量の約2分の1となる1日投与量まで増分して増加される。その後、治療は標準の1日投与量で開始される。
投与量が増加される前、治療の最初の1、2、3、4、5、6、7または8日間、好ましくは治療の最初の2〜4日間は、同じ用量を投与することができる。適切には、それぞれその後一定増の投与量増加が、1、2、3、4または5日間施される。特定の一実施形態では、それぞれその後一定増の投与量増加が、2日または3日間施される。
初期治療期間中、すなわち標準の1日投与量が投与される前の、最初の1〜7日間、例えば2〜5日間、例えば最初の2日間は、同じ最初の投与量を投与することができ、その後投与量は、例えば1回または複数回増分して、最大で標準の1日投与量までさらに増加される。
1回または複数回の投与量の増加、例えば最大10回の投与量の増加、例えば最大8回の投与量の増加、例えば最大6回の投与量の増加、例えば最大5回の投与量の増加、最大4回の投与量の増加、最大3回の投与量の増加を、標準の1日投与量が投与されるまで実施することができる。例えば1〜10回、例えば1〜8回、例えば1〜3回、例えば2〜8回、例えば3〜6回の投与量増加を行うことができる。
一実施形態では、1日投与量はフィボナッチ級数によって管理され、すなわち特定のある1日に対して与えられる投与量は、その前の2日間の投与量の合計である。この実施形態の一態様では、このスキームのいくつかの変形が可能である。例えば、所与の日の投与量は、その前の2日間の投与量の合計±40%、例えば±30%、例えば±20%または±10%であってよい。
例えば、第1の投与量の増加は、最初の投与後の2〜5日目、例えば2〜4日目、例えば2日目、3日目、4日目または5日目に行うことができる。第2の投与量の増加は、もしあれば、最初の投与後の4〜10日目、例えば4〜6日目、例えば5日目に行うことができる。第3の投与量の増加は、もしあれば、最初の投与後の6〜10日目、例えば6日目または7日目に行うことができる。
本発明の一実施形態では、わずか1回または2回の投与量の増加が、標準の1日投与量、例えば治療投与量が投与される前に行われる。
特定の一実施形態では、S1P受容体アゴニストは、化合物Aまたは化合物B、例えばFTY720または薬学的に許容されるその塩、例えばFTY720の塩酸塩である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、S1P受容体調節因子またはアゴニスト(例えば化合物A、化合物Bまたはその塩)の最初の最高投与量は、0.01mg〜0.30mg、例えば0.125〜0.25mg、好ましくは0.125mgまたは0.1mgである。
本明細書で先に定義した初期治療期間中の、S1P受容体調節因子またはアゴニスト(例えば、化合物A、化合物Bまたはその塩、例えばFTY720の塩酸塩)の特に好ましい投与量範囲は、例えば0.125〜1.25mg、または0.1〜0.5mg、または0.125〜0.5mg、または0.25〜0.5mgである。
例えば、最大で最初の10日間の初期治療期間中、例えばそれぞれ0.125mg/0.25mg/0.5mgの投与レジメンであってよい。その後治療は、標準の1日投与量、例えば1.25mgの投与量を用いて継続される。この投与レジメンは、特に化合物Aに対して適応される。
あるいは初期治療期間中、0.125mgの最初の1日用量を含む投与レジメンであってよく、その後0.25mgの1日用量に増加される。その後治療は、標準の1日投与量、例えば0.5mgを用いて継続される。この場合も、この投与レジメンは、特に化合物Aに対して適応される。
一連のさらに具体的なまたは代替の実施形態では、本発明は以下も提供する。
1.1 心拍数(例えば1日当たりの平均心拍数)の1日当たりの減少が毎分約(approximatively)2回以下になるように対象に投与される医薬品の製造における、心拍数の陰性変時作用を誘発するS1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、またはB、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、その塩またはプロドラッグの使用。
1.2 前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの治療投与量が投与される日に、心拍数(例えば、1日当たりの平均心拍数)の減少が毎分約2回以下になるように対象に投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、またはB、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、その塩またはプロドラッグの使用。
1.3 初期治療期間中、例えば治療の最初の10日間または治療の最初の1週間に、標準の投与量未満の投与量で、例えば標準の1日投与量の例えば最大10分の1、例えば4分の1で投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、またはB、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、その塩またはプロドラッグの使用。次いで任意選択により、投与量は、最大で標準の1日投与量まで、例えば前記S1P受容体アゴニストの治療投与量まで段階的に増加される。
初期治療期間中、例えば治療の最初の10日間、例えば9日間、例えば最初の1週間に、S1P受容体調節因子またはアゴニストの1日投与量は、標準の投与量未満であり、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの最大で標準の1日投与量まで段階的に、最大6回、例えば3回、例えば2回増加され、その後治療は、標準の1日投与量の前記S1P受容体調節因子またはアゴニストを用いて継続される。
1.4 初期治療期間中、例えば治療の最初の10日間、例えば治療の最初の1週間に、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与量が、標準の1日投与量のそれぞれ10分の1、5分の1および2〜3分の1であり、その後治療が、標準の1日投与量の前記S1P受容体調節因子またはアゴニストを用いて継続されるように投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、またはB、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、その塩またはプロドラッグの使用。
1.5 初期治療期間中、例えば治療の最初の10日間、例えば治療の最初の1週間に、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与量が、標準の1日投与量のそれぞれ4分の1および2分の1であり、その後治療が、標準の1日投与量の前記S1P受容体調節因子またはアゴニストを用いて継続されるように投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、またはB、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、その塩またはプロドラッグの使用。
1.6 初期治療期間中、例えば治療の最初の10日間、例えば治療の最初の1週間に、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与量が、標準の1日投与量の10分の1の最初の投与量から、標準の1日投与量の1.5〜3分の1または2〜3分の1である投与量まで増加され、その後治療が、標準の1日投与量の前記S1P受容体調節因子またはアゴニストを用いて継続されるように投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、またはB、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、その塩またはプロドラッグの使用。
1.7 治療の最初の2〜4日間に、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与量が、S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準の1日用量の1/10以下、または1/4以下になるように投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、またはその塩もしくはプロドラッグの使用。
1.8 治療の最初の2〜4日間に、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与量が、S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準の1日用量の10%以下、または25%以下になるように投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、またはその塩もしくはプロドラッグの使用。
1.9 治療の最初の10日間、例えば9日間に、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの投与量が、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準の1日投与量未満であり、次いで、数回の用量増加、最大10回、例えば最大6回、例えば2回または3回の用量増加後に標準の1日投与量が投与されるように投与量が増加され、その後治療が、標準の1日投与量の前記S1P受容体アゴニストを用いて継続されるように投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグの使用。
1.10 AVブロックが起こり得る危険性が制限され、または臨床的に重大でないレベルまで低減されるように対象に投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、またはB、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、その塩またはプロドラッグの使用。次いでその使用は、好ましくは1.1〜1.9に定義される通りである。
1.11 患者の洞律動が正常になるように対象に投与される医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、またはB、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、その塩またはプロドラッグの使用。次いでその使用は、好ましくは1.1〜1.9に定義される通りである。
1.12 初期治療期間が、最大10日間、例えば最大8日間、例えば1週間である、1.1〜1.11に定義の使用。
1.13 心不全の危険性がある患者に医薬品が投与される、1.1〜1.12に定義の使用。
1.14 AVブロックの危険性がある患者に医薬品が投与される、1.1〜1.12に定義の使用。
1.15 浮動性めまい、疲労、動悸を含む症候を経験している患者に医薬品が投与される、1.1〜1.12に定義の使用。
1.16 高度房室ブロックまたは洞不全症候群の患者に医薬品が投与される、1.1〜1.12に定義の使用。
1.17 不整脈の患者、例えばクラスIa(例えばキニジン、プロカインアミド)またはクラスIII抗不整脈薬(例えばアミオダロン、ソタロール)を用いた治療を必要としているまたはその治療を受けている患者に医薬品が投与される、1.1〜1.12に定義の使用。
1.18 β遮断薬療法を必要としているまたはその治療を受けている患者に医薬品が投与される、1.1〜1.12に定義の使用。
1.19 前記S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、またはB、またはその塩もしくはプロドラッグ、好ましくは化合物A、その塩またはプロドラッグの投与が、10日を超え、例えば12日間を超え、例えば14日間を超えて中断されている、患者に、例えば多発性硬化症に罹患している患者に医薬品が投与される、1.1〜1.18に定義の使用。
1.20 本明細書で先に定義した最初の投与レジメン後、約1.25mg、または約0.5mg、またはそれ未満の本明細書で先に定義した通りの1日投与量で投与される医薬品の製造における、FTY720、その塩またはプロドラッグの使用。
1.21 自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSなどの慢性の長期疾患を治療するための、1.1〜1.20に定義の使用。
1.22 標準の1日投与量のFTY720、化合物B、または薬学的に許容されるその塩の投与開始前に、該FTY720、化合物B、または薬学的に許容されるその塩が、本明細書で先に定義した初期治療期間中(例えば最大10日間)、標準の1日投与量未満の1日投与量で投与される、自己免疫疾患の治療に使用するための医薬品の製造における、FTY720(化合物A)、化合物B、または薬学的に許容されるその塩の使用。
1.23 標準の1日投与量が約0.5mg〜約1.25mgである、1.22に定義の使用。
1.24 初期治療期間中、0.125mgの最初の1日用量が投与され、その後0.25mgまで増加され、次いでさらに0.5mgまで増加され、その後治療が、標準の1日投与量、例えば1.25mgで継続される、1.23に定義の使用。
1.25 初期治療期間中、0.125mgの最初の1日用量が投与され、その後0.25mgまで増加され、その後治療が、標準の1日投与量、例えば0.5mgで継続される、1.23に定義の使用。
S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、Bまたはその塩もしくはプロドラッグを用いた治療方法では、その改善は、初期治療期間中、例えば治療の最初の10日間、例えば9日間、例えば最初の1週間に、その投与量が標準の投与量未満、例えば標準の1日投与量の10分の1、例えば5分の1、例えば4分の1、例えば2〜3分の1、例えば2分の1であり、それが最大で標準の1日投与量まで任意選択により段階的に増加されるように前記S1P受容体調節因子またはアゴニストが投与されることによってもたらされる。その後治療は、標準の有効な1日投与量を用いて継続される。
さらに以下が提供される。
2.1 心拍の陰性変時作用を誘発するS1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグを投与するステップを含む方法を必要としている患者を治療する方法であって、治療投与量が投与される日に、心拍数(例えば1日当たりの平均心拍数)の減少が臨床的に有意でなくなり、好ましくは毎分約2回以下に制限されるように、S1P受容体調節因子またはアゴニストを対象に投与するステップを含む方法。
2.2 初期治療期間中、S1P受容体アゴニストの治療用量未満を対象に投与するステップを含む、2.1に定義の方法。
2.3 標準の1日投与量未満の1日投与量で、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグの負荷投与レジメンを対象に投与するステップを含む、それを必要としている対象における本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSを治療する方法。
2.4 初期治療期間中、例えば最初の10日間に、標準の1日投与量未満の1日投与量で、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグを対象に投与するステップと、その1日投与量を、最大で標準の1日投与量まで段階的に増加するステップとを含む、それを必要としている対象における本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSを治療する方法。
2.5 対象に、標準の1日投与量の最大10分の1の最初の投与レジメンを投与し、その後その1日投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、それを必要としている対象における本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSを治療する方法。
2.6 初期治療期間中、標準の1日投与量未満の1日投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストを、それを必要としている対象に投与するステップと、その1日投与量を、最大で標準の1日投与量まで段階的に増加するステップを含む、自己免疫疾患に罹患している対象の、前記S1P調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグを使用する治療に関連する陰性変時(chronotrophic)副作用を緩和または予防する方法。
2.7 初期治療期間が最大10日間、例えば最大8日間、例えば1週間である、2.1〜2.6に定義の方法。
2.8 初期治療期間が、本明細書で先に記載の通り、6〜14日間、例えば7〜10日間、例えば7日間以下である、2.1〜2.6に定義の方法。
2.9 自己免疫疾患、例えば多発性硬化症を治療するための、2.1または2.8に定義の方法。
2.10 S1P受容体調節因子またはアゴニストが、FTY720または薬学的に許容されるその塩、例えば塩酸塩、またはFTY720リン酸塩であり、最初の投与レジメン後に、本明細書で先に定義の通り、約1.25mg、または約0.5mg、またはそれ未満の1日投与量で投与される、2.1〜2.9に定義の方法。
2.11 初期治療期間中、標準の1日当たりの治療投与量未満の1日投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストを用いて治療を開始するステップと、その後、必要な標準の1日当たりの治療投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストの投与を開始するステップとを含む、かかる治療を必要としている患者における、本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSを治療する方法。
2.12 初期治療期間中、標準の1日投与量未満の1日投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストを投与するステップと、その1日投与量を、最大で標準の1日投与量まで任意選択により段階的に増加するステップとを含む、S1P調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグを使用する自己免疫疾患の治療に関連する陰性変時副作用を緩和または予防する方法。
2.13 S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、心不全の危険性がある患者における、本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSを治療する方法。
2.14 S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、AVブロックの危険性がある、高度房室ブロックまたは洞不全症候群の患者における、本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSを治療する方法。
2.15 S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、浮動性めまい、疲労、動悸を含む症候を経験している患者における、本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSを治療する方法。
2.16 S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、不整脈の患者、例えばクラスIa(例えばキニジン、プロカインアミド)またはクラスIII抗不整脈薬(例えばアミオダロン、ソタロール)での治療を必要としているもしくはその治療を受けている患者、またはβ遮断薬療法を必要としているもしくはその治療を受けている患者における、本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSを治療する方法。
2.17 S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、浮動性めまい、疲労、動悸を含む症候の発症を制限すると同時に、本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSを治療する方法。
2.18 S1P受容体調節因子またはアゴニストが、化合物A(FTY720)または薬学的に許容されるその塩、およびFTY720リン酸塩(化合物B)または薬学的に許容されるその塩から選択される、2.11または2.17に定義の方法。
本発明のさらに別の実施形態では、以下が提供される。
3.0 標準の1日当たりの治療投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストの投与を開始する前に、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストが、初期治療期間中に標準の1日当たりの治療投与量未満の1日投与量で投与される、本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSの治療において使用するための、S1P受容体調節因子またはアゴニスト。
4.0 標準の1日投与量未満の可変的な1日投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグの医薬品の1日当たりの単位を含有するキット。
4.1 S1P受容体アゴニストの標準の1日用量未満の用量強度の1つまたは複数の低用量単位が、本明細書で先に定義した初期治療期間中、例えば治療の最初の1週間に提供される、本明細書に定義の投与レジメンに従って投与するための、本明細書に定義のS1P受容体調節因子またはアゴニストの医薬品の単位を含むキット。
4.2 可変的な1日投与量の本明細書に定義のS1P受容体調節因子またはアゴニストの医薬品の単位を含有するキットであって、a)S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準用量のそれぞれ約1/10、約1/8、約1/5、約1/4、約1/3、約1/2.5、約1/2、約1/1.5の少なくとも1つ、およびb)任意選択により、S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準の1日投与量に合わせた単位を含有するキット。
一実施形態では、キットは、S1P受容体調節因子またはアゴニストの最初の投与量に相当する投与量強度の低用量医薬品の1単位だけを含むことができる。次いで患者は、特定日数の間、該低用量医薬品の1単位を摂取することができ、次いでその後日、S1P受容体アゴニストの標準の1日用量を含む医薬品の単位を用いて療法が開始されるまで、任意選択により1日当たり2つ以上の単位を摂取することができる。
代替の一実施形態では、キットは、患者が1日当たり1つの投与単位を投与され得るように、様々な投与量強度の医薬品のいくつかの低用量単位を含むことができるが、投与されるS1P受容体調節因子またはアゴニストの量は、標準の1日投与量で療法が開始されるまで漸増され得る。
例えば、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの1日当たりの単位は、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準用量のそれぞれ約1/10、約1/5および約1/2.5、または約1/5および約1/2.5であってよい。
別の実施形態では、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの1日当たりの単位は、前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準用量のそれぞれ約1/8、約1/4および約1/2、または約1/4および約1/2であってよい。
キットはさらに、S1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩もしくはプロドラッグの標準の1日投与量に合わせた単位を含むことができる。
キットは、使用のための指示物を含有することもできる。
本発明のさらに別の実施形態では、以下が提供される。
5.1 対象に、本明細書で先に定義の通り、例えば約1.25mg、または約0.5mg、またはそれ未満の1日投与量のFTY720または薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、本明細書で先に定義した慢性の長期疾患、例えば自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、例えばRRMSを治療する方法、またはそれを必要としている対象における自己免疫疾患を治療する方法。
5.2 疾患が多発性硬化症、例えばRRMSである、5.1に定義の方法。
5.3 自己免疫疾患が多発性硬化症である、5.1に定義の方法。
6.1 (i)S1P受容体調節因子またはアゴニストを用いて治療を受ける患者が、先に記載の治療投与レジメンの使用が有益となり得る分類に属するかどうかを決定するステップと、
(ii)患者がこの分類に属する場合、先に記載の治療投与レジメンを使用して患者を治療するステップと
を含む、先に記載の(例えば、本発明の特定の態様または実施形態のいずれかにおける)治療投与レジメンについて、患者の必要性または適合性を評価する方法。
6.2 患者が、心不全、不整脈、高度房室ブロックまたは洞不全症候群に罹患している、もしくは罹患しやすいか、または失神エピソードの病歴を有する;またはβ遮断薬もしくは抗不整脈薬治療を受けている、例えば抗不整脈薬を用いた治療を受けている;または維持投与レジメンにおいて、中断または治療の休み、例えば4日を超え、6、8、10、12もしくは14日を超える休みを受けている場合に先の分類に属し得る、6.1に定義の方法。
本発明に従って対象に投与されるS1P受容体調節因子またはアゴニストの投与レジメンは、初期疾患療法中、例えば最初の10日間、またはS1P受容体調節因子もしくはアゴニスト療法の中断後、例えば10日を超え、12日を超え、例えば14日を超える中断後のいずれかに投与され得る。
さらなる一態様では、本発明は以下の、約1.25mg以下、例えば約1.25mg〜約0.01mg、例えば1.25mg、例えば1.20mg、例えば1.15mg、例えば1.10mg、例えば1.05mg、例えば1.00mg、例えば0.95mg、例えば0.90mg、例えば0.85mg、例えば0.80mg、例えば0.75mg、例えば0.70mg、例えば0.65mg、例えば0.60mg、例えば0.55mg、例えば0.50mg、例えば0.45mg、例えば0.40mg、例えば0.35mg、例えば0.30mg、例えば0.25mg、例えば0.20mg、例えば0.15mg、例えば0.125mg、例えば0.12mg、例えば0.115mg、例えば0.11mg、例えば105mg、例えば0.1mg、例えば0.055mg、例えば0.05mg、例えば0.045mg、例えば0.04mg、例えば0.035mg、例えば0.03mg、例えば0.025mg、例えば0.02mg、例えば0.01mgのいずれか1つから選択されるS1P受容体調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A(またはB)、または各場合、薬学的に許容されるその塩、例えば塩酸塩の1日投与量に関する。
好ましくは、化合物、例えばFTY720またはFTY720リン酸塩の1日投与量は、0.5mgである。
したがって本発明は、さらなる一態様では、FTY720、FTY720リン酸塩、または各場合、薬学的に許容されるその塩、例えば塩酸塩の前述の1日投与量を含む。特に本発明は、FTY720リン酸塩またはFTY720の塩酸塩の前述の1日投与量に関する。
特定の一実施形態では、FTY720、FTY720リン酸塩、または各場合、薬学的に許容されるその塩、例えば塩酸塩の1日投与量は、約0.5mg、または約0.25mg、または約0.125mg、または約0.1mgである。別の実施形態では、FTY720リン酸塩またはFTY720の塩酸塩の1日投与量は、約0.5mg、または約0.25mg、または約0.125mg、または約0.1mgである。
本明細書で先に特定した疾患および状態の治療におけるS1P受容体調節因子またはアゴニストの投与レジメンの実用性は、例えば下記の方法に従って、標準の動物試験または臨床試験において実証することができる。
健康な対象において、単一施設二重盲検プラセボ対照用量漸増1日1回反復経口投与臨床試験を実施して、本発明によるFTY720の投与レジメンの効果を評価した。
合計36人の対象を、3つの群の1つに無作為に割り当てた。
各対象は、最大21日のスクリーニング期間中、ベースライン期間(−1日目)、9日間の用量投与期間、および10日目の臨床試験完了評価に参加した。対象を、3つの群(用量漸増投与レジメン群、プラセボ対照群、または活性対照群)の1つに割り当て、二重盲検式で1日1回の用量を投与した(表1)。
用量漸増群では、0.125mgのo.d.で開始し、最大治療用量1.25mgのo.d.まで増加する化合物A(FTY720)の1日1回の用量を、以下の表1に示したスケジュールに従って、試験の1日目〜9日目に投与した。試験期間中、プラセボ対照群にはプラセボを投与し、活性対照群には、1日目〜9日目にFTY720の1日1回の用量1.25mgを投与した。
−1日目(ベースライン)に、対象は、24時間ホルターモニタリングおよび遠隔測定評価を含むベースライン評価を受けることになる。
薬力学的評価および安全性評価を、最終投与の最大24時間後に実施する。心拍数を、−1日目から10日目の最終投与の24時間後まで、遠隔測定によってモニタする。心律動を、−1日目、1日目、および9日目に24時間連続ホルターモニタリングによって評価する。各対象への各投与について、薬物を、−1日目に投与した時間と実質的に可能な限り近い時間に投与する。安全性評価には、身体検査、生命徴候および身体測定、12誘導ECG評価、標準の臨床的な実験室評価血液学、血液化学、検尿、有害事象および重症の有害事象モニタリングが含まれる。収縮期および拡張期の血圧および脈拍を、対象が座位で少なくとも3分間静かに休んだ後に測定する。血圧を、各場合同じ腕で測定する。標準の12誘導ECGを、スクリーニング、ベースライン、1日目および8日目の投与の4時間後、ならびに試験完了時に記録する。記録される変数は、ECGの日付および時間、心拍数、PR間隔、QT間隔(未補正)、QTcB、QRS期間である。さらに特定する必要がある臨床的に関連する異常があるかどうかを確認するためのイエス/ノー記述を用いて、全体的解釈を収集する。
対象は、連続遠隔測定を−1日目の朝食前から開始し、最大10日目の投与期間(最終投与の24時間後)まで継続して維持する。各対象につき、この連続的な心拍数収集の10日間にわたって、毎分の心拍値を得(「分単位の心拍数」)、1分間の平均心拍値を表す。各対象の心拍数データベースは、約14,400のデータ点(10日×24時間×60分)を含有する。
24時間連続ホルター−ECGデータを、デジタルホルターモニタ(12誘導、−1、1、6、および8日目)によって得、解釈および報告のために転送する。ホルターモニタリングを、およそ7:00に開始し、用量投与時間を「0時間」とみなす。ホルター「カット」は、−1日目から開始し1時間間隔で24時間、またはホルターモニタリングデータセットのノイズ除去の終了まで継続するデータセットに由来する。
心臓伝導間隔:不整脈モニタリングには、洞の中断(>2秒および>3秒)および房室ブロックの頻度および期間が含まれる。心房と心室の異所性興奮および洞律動の頻度および期間も記録する。
1日当たりの変時作用を、連続2日間のHRmin(最小心拍数)の減少(%)として定義する。それを1日目〜9日目で算出する。
結果
結果を図1に示す。プラセボ群では、1日当たりの平均心拍数は、試験にわたって約5BPM(1分当たりの拍動)変わり、心拍数は−1日目から2日目までに約3〜4BPM増加する傾向がある。1.25mgのFTY720による治療群は、−1日目から1日目までに約8BPMの心拍数の有意な減少を示し、1日目から2日目までに約3BPMの心拍数のさらなる減少を示す。FTY720滴定群は、用量漸増の8日間にわたって、1日当たり約1〜2BPMの漸進的な心拍数減少を示す。8日目に1.25mgのFTY720を開始しても、その前日までと比較して心拍数の減少は得られない。
これらの結果は、本発明の用量漸増投与レジメンの使用によって、FTY720による治療開始の1日目に見られた陰性変時作用が軽減されることを示している。さらに、2つのFTY720治療群の間の最小心拍数を比較するために、複合解析を実施した。これらの解析は、FTY720用量漸増投与レジメンが、試験中の1日当たりの最小心拍数を改善したことを示している。

Claims (15)

  1. 心拍数の1日当たりの減少が毎分約2回以下になるように対象に投与される、患者の長期慢性疾患の治療に使用する医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニストの使用。
  2. 標準の1日当たりの治療投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストの投与を開始する前に、初期治療期間中に標準の1日当たりの治療投与量未満の1日投与量で前記S1P受容体調節因子またはアゴニストが投与される、長期慢性疾患の治療に使用する医薬品の製造におけるS1P受容体調節因子またはアゴニストの使用。
  3. 初期治療期間中、投与される投与量を、最大で前記S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準の1日投与量まで、任意選択により段階的に増加するステップを含む、請求項1または2に記載の使用。
  4. 初期治療期間中の1日投与量が、標準の1日投与量の最大10分の1である、請求項1から3のいずれかに記載の使用。
  5. 初期治療期間が、4〜12日間、5〜14日間、最大10日間、7〜10日間、9日間、8日間、7日間、6日間、5日間または4日間からなる群から選択される、請求項1から4のいずれかに記載の使用。
  6. 心副作用または心不全の危険性がある患者の、例えば請求項1から5に記載の長期慢性疾患の治療で使用する医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニストの使用。
  7. 浮動性めまい、疲労および動悸を含む症候の発症を制限、低減または防止すると同時に、例えば請求項1から5に記載の長期慢性疾患を治療するのに使用する医薬品の製造における、S1P受容体調節因子またはアゴニストの使用。
  8. 初期治療期間中の標準の1日当たりの治療投与量未満の1日投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストを用いて治療を開始するステップと、その後必要な標準の1日当たりの治療投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストの投与を開始するステップを含む、かかる治療を必要としている患者の長期慢性疾患を治療する方法。
  9. 初期治療期間中の標準の1日投与量未満の1日投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストを投与するステップと、1日投与量を、最大で標準の1日投与量まで任意選択により段階的に増加するステップとを含む、S1P調節因子またはアゴニスト、例えば化合物A、B、またはその塩またはプロドラッグを使用する自己免疫疾患の治療に関連する陰性変時副作用を緩和、防止または制限する方法。
  10. S1P受容体調節因子またはアゴニストが、化合物A(FTY720)または薬学的に許容されるその塩、および化合物B(FTY720リン酸塩)または薬学的に許容されるその塩から選択されるものである、請求項1から9のいずれかに記載の使用または方法。
  11. 標準の1日用量未満の用量強度の1つまたは複数の低用量単位のS1P受容体アゴニストが初期治療期間で提供される、請求項1から7のいずれか一項に記載の投与レジメンに従って投与するための、S1P1受容体調節因子またはアゴニストの医薬品の単位を含むキット。
  12. S1P受容体調節因子またはアゴニストの1日投与量が、S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準用量のそれぞれ約1/5および約1/2.5、または約1/4および約1/2となる、可変的な1日投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストの医薬品の1日当たりの単位、ならびに任意選択により、S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準の1日投与量に合わせた単位を含有するキット。
  13. 可変的な1日投与量のS1P受容体調節因子またはアゴニストの医薬品の1日当たりの単位を含有するキットであって、a)S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準用量のそれぞれ約1/10、約1/8、約1/5、約1/4、約1/3、約1/2.5、約1/2、約1/1.5の少なくとも1つ、およびb)任意選択により、S1P受容体調節因子またはアゴニストの標準の1日投与量に合わせた単位を含有するキット。
  14. 前記疾患が多発性硬化症である、請求項1から13のいずれかに記載の使用、方法またはキット。
  15. 前記S1P受容体調節因子またはアゴニストが、化合物A、その塩および化合物Bから選択される、請求項1から14のいずれかに記載の使用、方法またはキット。
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