JP2012210642A - 張り出し成形品の製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブランク5に当接する第1のブランク拘束部3aをオープニングラインに有する第1の金型3と、ブランク6の周縁部に当接する第2のブランク拘束部4aをオープニングラインに有する第2の金型4と、第1の金型3および第2の金型4によって拘束されたブランク5に対して移動することによってブランク5に張り出し成形を行う第3の金型2とを備える張り出し成形品の製造装置1である。第1のブランク拘束部3aのうちの少なくとも一部は、並設された複数の凸部により構成されるとともに、第2のブランク拘束部4aのうちの少なくとも一部は、並設された複数の凸部3aを、それぞれ、隙間を有して収容する並設された複数の凹部4aにより構成される。
【選択図】図1
Description
(b)ビードの高さを高くするとブランクが割れる恐れが高まること。
(c)ビードの間隔を狭くするとブランクを挟み込むために必要な押圧力が大きくなるため、機械能力が不足し、上下金型が押さえ込めきれなくなり、ブランクが流入してしまう。
さらに、量産のプレス成形では、金型の弾性変形や金型の出来映え等が要因で、必ずしも全周に渡って隙間をゼロにできるとは限らないが、材料が流入せずにロックできる最大の上下金型間の隙間(金型間の距離から元板厚を差し引いた値(以下、本明細書ではこの値を「ギャップ余裕」という。)が大きいロック方法ほど量産安定性に対して優位であるが、特許文献1、2にはギャップ余裕について開示も示唆もない。
(I)絞り成形(従来技術)と張り出し成形(本発明の対象)は異なるので、両者は互いに転用可能な関係にはないこと、
(II)ビードのサイズを最適化すること(ブランクを拘束することと面積を小さくすることとは背反する。ブランクを拘束するるためにビードを大きく、高く、密度を高くするのではうまくいかないこと)、及び
(III)量産性を考慮してギャップ余裕を最適化することにより、張り出し成形において拘束している面積が小さいビードを提供でき、拘束している面積が小さいために、製品歩留まりが向上すること
を知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
図1は、自動車ドアーアウターパネルを模擬した金型1を用いて張り出し成形を行う状況を示す説明図である。図2(a)は凸部3aの配置を示す平面図であり、図2(b)は凸部3aの形状を示す断面図である。
凸部3aの径は、直径2〜6mmの略円形状であることが好ましく、より好ましくは4mm前後の径の円形状である。ブランク5の歩留向上のためには、絞り成形を含めた従来のビードのビード幅よりも充分に小さい直径の凸部であることが好ましい。したがって、エンボス直径は6mm程度以下であることが望ましい。一方、ブランク5の歩留向上の観点では凸部3aの直径は小さいほうが好ましいが、凸部3aの直径が小さくなるほど金型の加工が困難になる上、凸部3aが折れてしまう恐れがある。このため、凸部3aの直径は2mm以上であることが好ましく、4mm前後程度であることがさらに好ましい。
凸部3aの頂部の形状は、概略球形状であることにより、周りから凸部3aに向かって材料を多く引き込む(歩留まりが下がる)ことがないように凸部3aを張り出して形成するためである。またこの時、ブランク5が割れにくいようにすることも重要である。このような条件を満足する形状であれば、多少球形状から外れていたとしても本質的には問題ないため、凸部3aの頂部の形状は、図3(a)に示すように肩部Rが大きな略円筒形状や、図3(b)に示す頂部Rが小さな(鉛筆の先端のような)形状でも同等の効果を奏することができる。
凹部4aは、おおよそ、凸部3aをブランク5の板厚程度、外側にオフセットしたような形状であり、Rd部位の曲率半径は1.3mm程度である。また、凹部4aの中心点間距離は8.8mmである。
量産金型間のギャップを想定すると、隣接する凹部4a同士の間のブランク5が流入しないようにするためには、中心点間隔を凸部3aの径の2.5倍以下、本発明の凸3aの径は2〜6mmであるから最大でも15mm以下、例えば凸部3aの径が4mmの場合は10mm以下に設定することが好ましく、特別な機構を追加することなく、さらに張出成形に用いられるようなプレス機の荷重(ブランクホールド荷重)を考慮すると、中心点間隔を凸部3aの径の2.0倍以上、本発明の凸3aの径は2〜6mmであるから最小でも4.0mm以上、例えば凸部3aの径が4mmの場合は8.0mm以上に設定することが好ましい。
(1)ブランク5は、ビードの断面線長が小さく、また前記のように、張出されてビードを形成されるため、ブランク5の端の流入量は、ブランクホールド時および成形時を合わせても、2mm程度以下の小さな値となる。さらに、流入方向のビード幅も小さい。したがって、例えば、波形状ビードに比較して、片側5〜15mm程度の材料歩留向上が可能である。
1−1 ギャップ余裕定量化
ブランク5の流入量(中央3点の摺動痕長さ平均値で評価)がブランクホールド後、成形中に1mmを超えない最大ギャップをギャップ余裕と定義し、ギャップ余裕に及ぼす凸部3aの高さの影響を定量化した。比較のため、従来のウェーブビードも同様にギャップ余裕を定量化した。表2に実験条件を示す。
<条件1:ブランクホールドのみ>
凸部3a、凹部4aを有する上下金型1間の隙間がなくなるまで(凸部3a及び凹部4aの距離がブランク5の板厚に一致するまで)押圧力を負荷することによって、完全ホールド状態を模擬した。完全ホールド時の凸部3aの近傍の板厚(最薄部)および肌荒れ状態を評価した。
<条件2:ブランクホールド→引抜>
表3に示すように、設定押圧力40kgf/mmまでブランクホールドし、そのまま引き抜くことによって成形工程を模擬した。引抜後の凸部3aの近傍の板厚(最薄部)および肌荒れ状態を評価した。図6に、評価結果の一例の写真を示す。
実験結果を図7〜9のグラフにまとめて示す。なお、試験対象材の流入量が1mm未満となる場合、ロックしたと判断した。図6に示すように、試験後のブランク5には金型1との接触面圧が強い部分に、流入した長さに対応する摺動痕が残存する。そこで、流入量はブランク5に接触する金型1との摺動痕の長さから判断した。
2 パンチ
3 ダイ
3a 凸部
4 ブランクホルダ
4a 凹部
5 ブランク
Claims (2)
- ブランクの周縁部に当接する第1のブランク拘束部をオープニングラインに有する第1の金型と、前記ブランクの周縁部に当接する第2のブランク拘束部をオープニングラインに有する第2の金型と、前記第1の金型および前記第2の金型によって拘束された前記ブランクに対して移動することによって該ブランクに張り出し成形を行う第3の金型とを備える張り出し成形品の製造装置において、
前記第1のブランク拘束部のうちの少なくとも一部は、並設された複数の凸部により構成されるとともに、
前記第2のブランク拘束部のうちの少なくとも一部は、前記並設された複数の凸部を、それぞれ、隙間を有して収容する並設された複数の凹部により構成されること
を特徴とする張り出し成形品の製造装置。 - 第1の金型のオープニングラインに設けられ、かつその少なくとも一部が並設された複数の凸部により構成される第1の拘束部を、ブランクの周縁部に当接するとともに、第2の金型のオープニングラインに設けられ、かつその少なくとも一部が、前記並設された複数の凸部それぞれを、隙間を有して収容する並設された複数の凹部により構成される第2の拘束部を、前記ブランクの周縁部に当接することによって、前記凸部および前記凹部により前記ブランクを拘束し、拘束された当該ブランクに対して第3の金型を移動することによって該ブランクに張り出し成形を行うことを特徴とする張り出し成形品の製造方法。
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