JP2012209148A - 導電性粒子、導電性ペースト、及び、回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性及び耐マイグレーション性に優れた導電性粒子を提供する。
【解決手段】銀粒子と、銀粒子を被覆する銀合金及び銀複合材から選ばれる少なくとも1種類以上の被覆材とを備える導電性粒子を構成する。
【選択図】なし
【解決手段】銀粒子と、銀粒子を被覆する銀合金及び銀複合材から選ばれる少なくとも1種類以上の被覆材とを備える導電性粒子を構成する。
【選択図】なし
Description
本技術は、金属粒子の表面に導電性の被覆材が形成された導電性粒子、この導電性粒子を含む導電性ペースト、及び、この導電性ペーストを用いて形成された回路基板に係わる。
電子デバイスの製造プロセスとして、印刷技術を利用したプリンタブル・エレクトロニクスが注目を集めている。このプリンタブル・エレクトロニクスの多岐にわたる用途の中で、配線材料として電気伝導性及び耐酸化性の観点から、銀が材料として多く用いられている。銀の利用方法としては、例えば、銀粒子を有機溶媒中にバインダとともに分散した導電性ペーストや、表面を有機材料で保護したナノ銀粒子を有機溶媒中に分散させた塗料が用いられている。
また、銀に代わり、銅粒子や、銀めっきを処理した銀被覆銅粒子が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、銀に代わり、銅粒子や、銀めっきを処理した銀被覆銅粒子が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、銀粒子や銀被覆銅粒子を用いた導電性ペーストでは、いずれの材料も銀を含むため、マイグレーション(エレクトロケミカルマイグレーション)が発生しやすい。マイグレーションとは、高電位側の配線から金属がイオン化し、低電位側へと移動したイオンが還元されて金属が析出し、その析出物が樹枝状(デンドライト)に成長することで高電位側配線に到達し、配線間の短絡を引き起こす現象である。このマイグレーションは、配線間に電位差がある状態において、水や水蒸気が存在する場合、又は、配線基板において吸湿が見られる場合に発生しやすい。
また、銅粒子を用いた場合には、銅自体が酸化しやすいために、このペーストを塗布した配線では、導電性を銀並みに低減することが難しい。
また、銅粒子を用いた場合には、銅自体が酸化しやすいために、このペーストを塗布した配線では、導電性を銀並みに低減することが難しい。
本技術においては、導電性及び耐マイグレーション性に優れた導電性粒子、この導電性粒子を用いた導電性ペースト、及び、回路基板を提供するものである。
本技術の導電性粒子は、銀粒子と、銀粒子を被覆する、銀合金及び銀複合材から選ばれる少なくとも1種類以上の被覆材とを備える。
また、本技術の導電性ペーストは、上記導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む。
また、本技術の回路基板は、基材上に上記導電性ペーストによる回路が形成されている。
また、本技術の導電性ペーストは、上記導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む。
また、本技術の回路基板は、基材上に上記導電性ペーストによる回路が形成されている。
本技術の導電性粒子によれば、導電性の高い銀粒子を、導電性の高い銀を含む銀合金、銀複合材からなる被覆材で被覆することにより、高い導電性を有する。さらに、マイグレーションが発生しやすい銀の表面を銀合金、銀複合材で被覆することにより、マイグレーションの発生を抑制することができる。そして、この導電性粒子を含む導電性ペーストを用いることにより、高い導電性と、耐マイグレーション性に優れる回路を備えた回路基板を形成することができる。
本技術によれば、導電性及び耐マイグレーション性に優れた導電性粒子、導電性粒子を用いた導電性ペースト、及び、回路基板を提供することができる。
以下、本技術を実施するための最良の形態の例を説明するが、本技術は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.導電性粒子の構成の実施の形態
2.導電性ペーストの実施の形態
3.回路基板の実施の形態
4.実施例
なお、説明は以下の順序で行う。
1.導電性粒子の構成の実施の形態
2.導電性ペーストの実施の形態
3.回路基板の実施の形態
4.実施例
〈1.導電性粒子の構成の実施の形態〉
以下、導電性粒子の具体的な実施の形態について説明する。
[導電性粒子の構成]
本実施形態の導電性粒子は、銀粒子を核とし、この銀粒子の表面が銀合金、銀複合材からなる被覆材により覆われている。マイグレーションが発生しやすい銀粒子の表面を、耐マイグレーション性に優れ、導電性の高い銀合金、銀複合材で被覆することにより、高導電性を維持しながらマイグレーションの発生の抑制が可能な導電性粒子を構成する。
以下、導電性粒子の具体的な実施の形態について説明する。
[導電性粒子の構成]
本実施形態の導電性粒子は、銀粒子を核とし、この銀粒子の表面が銀合金、銀複合材からなる被覆材により覆われている。マイグレーションが発生しやすい銀粒子の表面を、耐マイグレーション性に優れ、導電性の高い銀合金、銀複合材で被覆することにより、高導電性を維持しながらマイグレーションの発生の抑制が可能な導電性粒子を構成する。
本実施形態の導電性粒子の銀粒子について説明する。
銀粒子は、導電性を考慮し、銀の純度が高いことが好ましく、一般に、電子工業用の地金等で用いられている純度の銀を用いることができる。また、導電性を低下させず、銀の特性を変化させない範囲で、銀以外の他の金属や不純物等が含まれていてもよい。
銀粒子の形状は、球状粒子、鱗片状粒子及び角状粒子等、特に限定されない。また、銀粒子の形状及び大きさが同一の粒子を使用してもよく、また、形状やサイズの異なる2種類以上の粒子を混合して使用してもよい。2種類以上の銀粒子を混合して使用する場合には、それぞれの粒子に対して表面に被覆材を形成する必要がある。
銀粒子は、導電性を考慮し、銀の純度が高いことが好ましく、一般に、電子工業用の地金等で用いられている純度の銀を用いることができる。また、導電性を低下させず、銀の特性を変化させない範囲で、銀以外の他の金属や不純物等が含まれていてもよい。
銀粒子の形状は、球状粒子、鱗片状粒子及び角状粒子等、特に限定されない。また、銀粒子の形状及び大きさが同一の粒子を使用してもよく、また、形状やサイズの異なる2種類以上の粒子を混合して使用してもよい。2種類以上の銀粒子を混合して使用する場合には、それぞれの粒子に対して表面に被覆材を形成する必要がある。
導電性粒子を配線材料に適用する場合には、銀粒子は、鱗片状粒子と球状粒子とを混合して用いることが好ましい。
鱗片状粒子は、比表面積が大きく、配線形成時の導電性粒子同士の接触面積を大きくすることができる。このため、配線の低抵抗化が可能である。
また、鱗片状粒子のみでは、樹脂バインダと混合して導電性ペーストを形成した際に、粘度等の調整が難しく、導電性ペーストの塗工性が低下する。このため、球状粒子を混合し、導電性ペーストの塗工性を好適にする。
鱗片状粒子は、比表面積が大きく、配線形成時の導電性粒子同士の接触面積を大きくすることができる。このため、配線の低抵抗化が可能である。
また、鱗片状粒子のみでは、樹脂バインダと混合して導電性ペーストを形成した際に、粘度等の調整が難しく、導電性ペーストの塗工性が低下する。このため、球状粒子を混合し、導電性ペーストの塗工性を好適にする。
銀粒子は、平均粒径が0.3μm以上15μm以下であることが好ましい。粒径の小さな粒子を使用してする導電性ペーストを形成する場合、大きな粒子を使用する場合と比較して、粒子の表面積が大きくなり、塗膜の密着性を確保するために樹脂バインダの比率を大きくする必要がある。このため、0.3μmよりも小さいと、混合する樹脂バインダの比率が大きくなり、導電性が低下することがあるため好ましくない。また、15μmよりも大きいと、配線形成工程において、導電性ペーストの目詰まりや糸引きなどの問題が発生することがあるため好ましくない。
次に、導電性粒子の被覆材について説明する。
被覆材は、耐マイグレーション性が高く、比抵抗が小さい材料を用いる。このような材料として、銀を含み、銀に少なくとも1種類以上の元素が添加された銀合金、及び、銀複合材を用いる。被覆材が、銀を含むことにより、比抵抗の低下が可能となる。また、銀に少なくとも1種類以上の元素を加えた銀合金、銀複合材とすることにより、銀のマイグレーションを抑制することができる。
被覆材は、耐マイグレーション性が高く、比抵抗が小さい材料を用いる。このような材料として、銀を含み、銀に少なくとも1種類以上の元素が添加された銀合金、及び、銀複合材を用いる。被覆材が、銀を含むことにより、比抵抗の低下が可能となる。また、銀に少なくとも1種類以上の元素を加えた銀合金、銀複合材とすることにより、銀のマイグレーションを抑制することができる。
銀に添加される元素としては、銀合金又は銀複合材としたときの抵抗が低く、銀のマイグレーションを抑制することができる元素であれば特に限定されない。また、複数の元素の組み合わせにより、良好な比抵抗及び耐マイグレーション性を有する銀合金又は銀複合材を構成してもよい。
被覆材として銀に添加する元素として例えば、Pd、Cu、Al、Bi、希土類元素、Au、Pt、Ti、Zr、Hf、Rh、及び、Ir等から選ばれる少なくとも1種類以上を用いることができる。
被覆材としては、例えば、AgBi、AgPdAuHf等の銀合金、銀複合材を用いることが好ましい。特に、Ag(1−x)Bix(但し、0.005≦x≦0.02を満たす。)、Ag(1−x−y−z)PdxAuyHfz(但し、0.03≦x≦0.10、0.02≦y≦0.07、0.03≦z≦0.08を満たす。)を用いることが好ましい。
また、被覆材としては、例えば一般に光記録媒体の反射膜に用いられている銀合金又は銀複合材が好適である。
被覆材としては、例えば、AgBi、AgPdAuHf等の銀合金、銀複合材を用いることが好ましい。特に、Ag(1−x)Bix(但し、0.005≦x≦0.02を満たす。)、Ag(1−x−y−z)PdxAuyHfz(但し、0.03≦x≦0.10、0.02≦y≦0.07、0.03≦z≦0.08を満たす。)を用いることが好ましい。
また、被覆材としては、例えば一般に光記録媒体の反射膜に用いられている銀合金又は銀複合材が好適である。
導電性粒子において、銀粒子表面の被覆材の被覆率は、マイグレーションの抑制の観点から、被覆率が高い方が好ましく、特に、100%被覆できていることが好ましい。このため、導電性粒子の被覆材の厚さは、十分な被覆率を確保できる厚さに形成する。十分な被覆率を確保できる厚さとしては、例えば、10nm以上300nm以下、特に、20nm以上200nm以下が好ましい。導電性粒子の被覆材の厚さが10nmよりも小さい場合は、銀粒子表面での被覆材の被覆性が低く、銀粒子のマイグレーションを十分に抑制することが難しい。また、導電性粒子の被覆材の厚さが300nmより大きいと、導電性粒子自体の電気導電性が低下するため好ましくない。
銀粒子の表面への被覆材の形成は、例えば、上述の銀合金や銀複合材をターゲットや蒸着源として使用した物理蒸着法により行う。物理蒸着法としては、具体的にはスパッタリング法、蒸着法、レーザーアブレーション法などが挙げられるが、銀粒子の表面に良好な被覆性が得られる方法であれは特に限定されない。なお、上述の物理蒸着法により、鱗片状の銀粒子を被覆する場合には、粒子表面の形状により被覆性が異なることが考えられる。このため、上述の被覆材の厚さの範囲は、銀粒子全体の平均値である。この平均値は、銀粒子の表面積と物理蒸着に用いられた被覆材の量から求めることができる。
[導電性粒子の製造方法]
次に、導電性粒子の製造方法として、銀粒子の表面に被覆材を形成する方法の一例として、スパッタリング法について説明する。本方法では、銀に少なくとも1種類以上の元素が添加された銀合金又は銀複合材ターゲットを使用してスパッタリングを行う。
次に、導電性粒子の製造方法として、銀粒子の表面に被覆材を形成する方法の一例として、スパッタリング法について説明する。本方法では、銀に少なくとも1種類以上の元素が添加された銀合金又は銀複合材ターゲットを使用してスパッタリングを行う。
図1に、導電性粒子の製造に用いる製造装置の断面図を示す。
図1に示す製造装置は、底面が略平面状の容器4上に、銀粒子1を収められてスパッタリングが行われる。また、容器4内には、銀粒子1に表面が平滑なボール3が混合されている。
容器4は、例えば電磁コイル式又は超音波ホーンからなる振動装置5上に備えられている。振動装置5を稼働して容器4に振動をかけることにより、銀粒子1及びボール3が収められた容器4の上面が振動面となる。
また、図1に示す製造装置は、銀粒子1を収めた容器4の上面に対向してターゲット2を備える。ターゲット2は、上述の銀合金又は銀複合材である。
図1に示す製造装置は、底面が略平面状の容器4上に、銀粒子1を収められてスパッタリングが行われる。また、容器4内には、銀粒子1に表面が平滑なボール3が混合されている。
容器4は、例えば電磁コイル式又は超音波ホーンからなる振動装置5上に備えられている。振動装置5を稼働して容器4に振動をかけることにより、銀粒子1及びボール3が収められた容器4の上面が振動面となる。
また、図1に示す製造装置は、銀粒子1を収めた容器4の上面に対向してターゲット2を備える。ターゲット2は、上述の銀合金又は銀複合材である。
次に、図1に示す製造装置を用いて、上述の物理蒸着法により銀粒子1の表面に、銀合金又は銀複合材を被着させる方法について説明する。
まず、銀粒子1及びボール3が入った容器を真空チャンバー内に固定し、真空状態とする。そして、振動装置5を稼働して容器4に振動を与えることで、銀粒子1及びボール3が流動化する状態を作る。このとき、銀粒子1と同時に表面が平滑なボール3を用いることにより振動増幅手段として作用させることができる。この状態を維持しながら、銀合金、銀複合材をターゲット2として、スパッタリングを行う。
まず、銀粒子1及びボール3が入った容器を真空チャンバー内に固定し、真空状態とする。そして、振動装置5を稼働して容器4に振動を与えることで、銀粒子1及びボール3が流動化する状態を作る。このとき、銀粒子1と同時に表面が平滑なボール3を用いることにより振動増幅手段として作用させることができる。この状態を維持しながら、銀合金、銀複合材をターゲット2として、スパッタリングを行う。
上述の装置を用いることにより、銀粒子1が、ボール3と混ざり合いながら流動し、容器内の一箇所に留まることがなくなる。このため、スパッタ法により、容器4の銀粒子1全体に対して、均一な銀合金、銀複合材による被覆が可能となる。
上述の本実施の形態の導電性粒子によれば、銀粒子の表面が銀合金、銀複合材により被覆されることから、導電性粒子のコアとなる銀粒子が銀合金、銀複合材により保護される。このため、銀によるマイグレーションの発生が抑制される。また、被覆材として銀に他の元素が添加された銀合金、若しくは、銀複合材を用いることにより、被覆材による電気導電性の低下を抑制することができる。
〈2.導電性ペーストの実施の形態〉
[導電性ペースト]
次に、上述の導電性粒子を用いた本実施形態の導電性ペーストについて説明する。
導電性ペーストは、上述の銀粒子、及び、銀粒子の表面を覆う銀合金及び銀複合材による被覆材からなる導電性粒子と、この導電性粒子が分散された樹脂バインダとから構成される。
[導電性ペースト]
次に、上述の導電性粒子を用いた本実施形態の導電性ペーストについて説明する。
導電性ペーストは、上述の銀粒子、及び、銀粒子の表面を覆う銀合金及び銀複合材による被覆材からなる導電性粒子と、この導電性粒子が分散された樹脂バインダとから構成される。
導電性ペーストに適用する樹脂バインダとしては、一般に、銀ペーストやソルダーペースト等に使用されている公知の有機樹脂を使用することができる。例えば、樹脂バインダとしては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び、エポキシ樹脂等を用いることができる。また、バインダ樹脂として用いられる有機樹脂の種類は特に限定されず、導電性ペーストにおいて上記以外の樹脂使用することも可能である。
また、導電性ペーストには、有機樹脂と反応する硬化剤が配合されることが好ましい。硬化剤の種類は特に限定されないが、イソシアネート、酸無水物、及び、アミノ樹脂等を使用することが好ましい。
さらに、バインダ樹脂と硬化剤との効果反応を促進させるために、好適な触媒、促進剤を併用してもよい。
さらに、バインダ樹脂と硬化剤との効果反応を促進させるために、好適な触媒、促進剤を併用してもよい。
また、上述の導電性ペーストの塗工性を調整するために、溶媒を用いて粘度等を調整してもよい。溶媒としては、種類は限定されるものではなく、エステル系、ケトン系、アルコール系、炭化水素系、エーテル系等が用いられる。これらは1種類、または2種類以上を混合することもできる。
さらに、必要に応じて導電性ペーストに、レベリング材、消泡材、及び、分散材等を添加して使用してもよい。
さらに、必要に応じて導電性ペーストに、レベリング材、消泡材、及び、分散材等を添加して使用してもよい。
導電性ペーストにおいて、導電性粒子とバインダ樹脂との組成比は、銀粒子の粒子径や形状等、及び、バインダ樹脂として用いる樹脂成分により任意の組成範囲とすることができる。また、導電性ペーストの組成範囲は、導電性ペーストを使用する対象物や、使用する工程等に応じて適宜変更可能である。
例えば、平均粒径9μm、比表面積0.4m2/gの導電性粒子を使用した場合には、固形分比率として導電性粒子96質量部に対してバインダ樹脂4質量部から、導電性粒子85質量部に対してバインダ樹脂15質量部までの範囲が好ましい。バインダ樹脂が上記範囲よりも少ない場合には、基材との密着性や、導電性ペーストにより形成される塗工膜自体の結着性が弱くなり、電極として機能しなくなるため好ましくない。また、バインダ樹脂が上記範囲よりも多い場合には、加熱硬化後の体積抵抗率が高くなることが問題となるため好ましくない。
〈3.回路基板の実施の形態〉
次に、上述の導電性ペーストを用いて形成した本実施形態の回路基板について説明する。
本実施形態の回路基板は、上述の導電性粒子を含む導電性ペーストにより、基材上に回路が形成されている。上述の銀粒子と被覆材からなる導電性粒子を、基材等への印刷材料として用いることで、マイグレーションの発生を抑制し、低抵抗な回路基板を実現できる。
次に、上述の導電性ペーストを用いて形成した本実施形態の回路基板について説明する。
本実施形態の回路基板は、上述の導電性粒子を含む導電性ペーストにより、基材上に回路が形成されている。上述の銀粒子と被覆材からなる導電性粒子を、基材等への印刷材料として用いることで、マイグレーションの発生を抑制し、低抵抗な回路基板を実現できる。
回路基板に用いる基材としては、導電性ペーストを塗布することができ、導電性ペーストの加熱硬化温度以下で熱分解、溶解等が起こらない、一般に回路基板の製造に使用されている公知の材料を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等の樹脂フィルム、紙フェノール積層板、エポキシ樹脂ガラス布基材積層板、ポリイミド樹脂ガラス布基材積層板、ガラス基板、石英基板、及び、シリコンウエハ等を用いることができる。
回路基板の製造方法としては、上述の導電性ペーストを用いて基板上に回路を形成するものであり、公知の導電性ペーストを用いた回路基板の製造方法であれば特に限定することなく適用可能である。
例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法等を用いて導電性ペーストを基材に塗布して回路基板を製造することができる。
例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法等を用いて導電性ペーストを基材に塗布して回路基板を製造することができる。
図2及び図3に、本実施形態の回路基板の一例を示す。
図2に示す回路基板10は、フレキシブル基板等のフィルム状の基材11に回路12が形成されている。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のフィルム状の基材11に、上述の導電性粒子を含む導電性ペーストからなる回路12が形成されている。この回路12は、外部機器に接続するための電極部14と、この電極部14同士を接続する複数の屈曲を有する配線部13とから構成されている。
図2に示す回路基板10は、フレキシブル基板等のフィルム状の基材11に回路12が形成されている。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のフィルム状の基材11に、上述の導電性粒子を含む導電性ペーストからなる回路12が形成されている。この回路12は、外部機器に接続するための電極部14と、この電極部14同士を接続する複数の屈曲を有する配線部13とから構成されている。
図3に示す回路基板20は、半導体チップ等の素子を搭載するための回路22が形成されている。例えば、エポキシ樹脂ガラス布基材積層板等の基材21上に、上述の導電性粒子を含む導電性ペーストからなる回路22が形成されている。回路22は、この回路基板20上に搭載される素子の外部電極パターンに対応する電極部25からなるチップ搭載部23を有する。また、回路22は、チップ搭載部23を構成する電極部25と、外部機器に接続するための電極部26と、両電極を接続するための配線部24とから構成されている。
回路基板に上述の導電性ペーストを用いて形成する回路の体積抵抗率は、1×10−3Ωcm以下であることが好ましく、特に1×10−4Ωcm以下であることが好ましい。体積抵抗率を小さくすることにより、配線の微細化及び平面コイル状等の比較的長い配線に対して適用が可能となる。
〈4.実施例〉
以下、本技術について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(導電性粒子)
実施例1に用いる導電性粒子は、銀粒子に市販の銀粒子(平均粒径9ミクロン、比表面積0.4m2/g、福田金属箔粉工業社製)を用いた。また、被覆材となるスパッタターゲット材に、ビスマス添加銀(Ag99Bi1)を使用した。
銀粒子への銀合金の被覆は、物理蒸着法としてスパッタリング法を使用した。そして、銀粒子の表面の被覆材の厚さが20nmとなるようにスパッタリング処理を施して導電性粒子を作製した。
以下、本技術について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(導電性粒子)
実施例1に用いる導電性粒子は、銀粒子に市販の銀粒子(平均粒径9ミクロン、比表面積0.4m2/g、福田金属箔粉工業社製)を用いた。また、被覆材となるスパッタターゲット材に、ビスマス添加銀(Ag99Bi1)を使用した。
銀粒子への銀合金の被覆は、物理蒸着法としてスパッタリング法を使用した。そして、銀粒子の表面の被覆材の厚さが20nmとなるようにスパッタリング処理を施して導電性粒子を作製した。
(導電性ペースト)
上述の導電性粒子を使用し、導電性ペーストを作製した。
まず、上述の導電性粒子95質量部、ポリエステル樹脂(UE3210、ユニチカ社製)4.8質量部(固形分換算)、ブロックイソシアネート0.2質量部(固形分換算)、硬化触媒としてジブチルスズジラウレート0.02質量部を混合した。さらに、希釈溶媒を適量混合し、ボールミルにて均一なるまで十分に混合し、実施例1の導電性ペーストを作製した。
上述の導電性粒子を使用し、導電性ペーストを作製した。
まず、上述の導電性粒子95質量部、ポリエステル樹脂(UE3210、ユニチカ社製)4.8質量部(固形分換算)、ブロックイソシアネート0.2質量部(固形分換算)、硬化触媒としてジブチルスズジラウレート0.02質量部を混合した。さらに、希釈溶媒を適量混合し、ボールミルにて均一なるまで十分に混合し、実施例1の導電性ペーストを作製した。
[実施例2]
銀粒子の表面の被覆材厚さが50nmとなるようにスパッタリング処理を施して導電性粒子を作製した以外は、上述の実施例1と同様の方法により、実施例2の導電性ペーストを作製した。
銀粒子の表面の被覆材厚さが50nmとなるようにスパッタリング処理を施して導電性粒子を作製した以外は、上述の実施例1と同様の方法により、実施例2の導電性ペーストを作製した。
[実施例3]
銀粒子の表面の被覆材厚さが100nmとなるようにスパッタリング処理を施して導電性粒子を作製した以外は、上述の実施例と同様の方法により、実施例3の導電性ペーストを作製した。
銀粒子の表面の被覆材厚さが100nmとなるようにスパッタリング処理を施して導電性粒子を作製した以外は、上述の実施例と同様の方法により、実施例3の導電性ペーストを作製した。
[実施例4]
銀粒子の表面の被覆材厚さが200nmとなるようにスパッタリング処理を施して導電性粒子を作製した以外は、上述の実施例1と同様の方法により、実施例4の導電性ペーストを作製した。
銀粒子の表面の被覆材厚さが200nmとなるようにスパッタリング処理を施して導電性粒子を作製した以外は、上述の実施例1と同様の方法により、実施例4の導電性ペーストを作製した。
[実施例5]
銀粒子の表面の被覆材厚さが300nmとなるようにスパッタリング処理を施して導電性粒子を作製した以外は、上述の実施例1と同様の方法により、実施例5の導電性ペーストを作製した。
銀粒子の表面の被覆材厚さが300nmとなるようにスパッタリング処理を施して導電性粒子を作製した以外は、上述の実施例1と同様の方法により、実施例5の導電性ペーストを作製した。
[比較例]
被覆材を形成していない銀粒子をそのまま比較例の導電性粒子とする以外は、上述の実施例1と同様に比較例の導電性ペーストを作製した。
被覆材を形成していない銀粒子をそのまま比較例の導電性粒子とする以外は、上述の実施例1と同様に比較例の導電性ペーストを作製した。
(評価方法:耐マイグレーション性)
作製した実施例1〜5及び比較例の導電性ペーストを使用し、厚さ100μmのアニール処理ポリエステルフィルム上に、配線幅2mm、配線間隔2mm、平行部分の長さが50mmの櫛型電極を印刷した。そして、印刷後、150℃、30分の加熱硬化を行い、実施例1〜5及び比較例の回路基板を作製した。
作製した実施例1〜5及び比較例の導電性ペーストを使用し、厚さ100μmのアニール処理ポリエステルフィルム上に、配線幅2mm、配線間隔2mm、平行部分の長さが50mmの櫛型電極を印刷した。そして、印刷後、150℃、30分の加熱硬化を行い、実施例1〜5及び比較例の回路基板を作製した。
上述の実施例1〜5及び比較例の回路基板(下部電極)の回路形成面上に、ガラス繊維ろ紙(GF/A、Whatman社製)を置き、蒸留水を滴下してガラス繊維ろ紙を濡らした。さらに、このガラス繊維ろ紙上に、上記下部電極となる回路基板と対向するように、実施例1〜5及び比較例の回路基板(上部電極)を置いた。
耐マイグレーション性は、対向する回路基板(上部電極及び下部電極)間に、10Vの直流電圧を印加し、その際に櫛型電極間に流れる電流値を測定し、その電流値が2mAになるまでの時間を測定した。この時間が大きいほど、回路基板が耐マイグレーション性能に優れる。
(評価方法:体積抵抗率)
体積抵抗率を四探針法により測定した。
基材上に、実施例1〜5及び比較例の導電性ペーストを印刷し、150℃30分間加熱硬化し、実施例1〜5及び比較例の回路基板を作製した。そして、四探針法により、作製した実施例1〜5及び比較例の回路基板のシート抵抗を測定し、得られたシート抵抗と回路の厚さから、体積抵抗率を算出した。
体積抵抗率を四探針法により測定した。
基材上に、実施例1〜5及び比較例の導電性ペーストを印刷し、150℃30分間加熱硬化し、実施例1〜5及び比較例の回路基板を作製した。そして、四探針法により、作製した実施例1〜5及び比較例の回路基板のシート抵抗を測定し、得られたシート抵抗と回路の厚さから、体積抵抗率を算出した。
上述の実施例1〜5及び比較例の耐マイグレーション性、及び、体積抵抗率の評価結果を表1に示す。
表1に示すように、被覆材の厚さが大きくなる導電性粒子を用いた回路基板ほど、耐マイグレーション性が優れる結果が得られた。この結果から、銀粒子に被覆材を形成することにより、耐マイグレーション性の大幅な改善が可能であることが分かる。特に、被覆材を形成しなかった比較例1の試料の耐マイグレーション性が65秒であるのに対し、被覆材が最も薄い20nmの試料が250秒であり、両試料に顕著な差が見られる。このため、耐マイグレーション性においては、銀粒子に被覆材を20nm形成することにより、十分な効果が得られる。また、この差から、導電性粒子の被覆材の厚さが20nmよりも小さい範囲、例えば、被覆性が確保される最小厚さである10nm程度であっても耐マイグレーション性において十分な効果が得られると考えられる。
また、表1に示すように、体積抵抗率は、被覆処理により若干の上昇は見受けられるが、被覆材の厚さが最も大きい300nmの試料においても1×10−3Ωcm以下であり、200nmより小さい領域では1×10−4Ωcm以下オーダーの低抵抗である。このように、銀粒子表面を耐マイグレーション性に優れた被覆材で被覆した場合にも、高導電性を維持することができる。
従って、上述の実施例の結果から、本実施の形態の導電性粒子、及び、この導電性粒子による導電性ペーストを印刷材料として用いることにより、導電性に優れ、且つ、マイグレーションの発生を抑制することが可能な回路基板を形成することができる。従って、従来の銀粒子を用いた配線のように、マイグレーションの発生を防ぐため、銀配線ピッチを大きくする、或いは、塗布した銀配線上にカーボンペーストなどをオーバーコートする等の方法を行う必要がない。この結果、回路基板や電子デバイスの製造工程の複雑化を防ぐことができ、さらに、ファインピッチ化への対応が容易となる。
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)銀粒子と、前記銀粒子を被覆する、銀合金及び銀複合材から選ばれる少なくとも1種類以上の被覆材とを備える導電性粒子。
(2)前記被覆材が、Pd、Cu、Al、Bi、希土類元素、Au、Pt、Ti、Zr、Hf、Rh、及び、Ir等から選ばれる1種類以上の元素と銀とを含む、合金又は複合材である(1)に記載の導電性粒子。
(3)前記被覆材が、AgBi、又は、AgPdAuHfである(1)又は(2)に記載の導電性粒子。
(4)前記被覆材の厚さが10nm以上200nm以下である(1)から(3)のいずれかに記載の導電性粒子。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載の導電性粒子と、バインダ樹脂とを含有する
導電性ペースト。
(6)前記バインダ樹脂と反応する硬化剤を含有する(5)に記載の導電性ペースト。
(7)(5)又は(6)に記載の導電性ペーストにより、基材上に回路が形成されている回路基板。
(1)銀粒子と、前記銀粒子を被覆する、銀合金及び銀複合材から選ばれる少なくとも1種類以上の被覆材とを備える導電性粒子。
(2)前記被覆材が、Pd、Cu、Al、Bi、希土類元素、Au、Pt、Ti、Zr、Hf、Rh、及び、Ir等から選ばれる1種類以上の元素と銀とを含む、合金又は複合材である(1)に記載の導電性粒子。
(3)前記被覆材が、AgBi、又は、AgPdAuHfである(1)又は(2)に記載の導電性粒子。
(4)前記被覆材の厚さが10nm以上200nm以下である(1)から(3)のいずれかに記載の導電性粒子。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載の導電性粒子と、バインダ樹脂とを含有する
導電性ペースト。
(6)前記バインダ樹脂と反応する硬化剤を含有する(5)に記載の導電性ペースト。
(7)(5)又は(6)に記載の導電性ペーストにより、基材上に回路が形成されている回路基板。
1 銀粒子、2 ターゲット、3 ボール、4 容器、5 振動装置、10,20 回路基板、11,21 基材、12,22 回路、13,24 配線部、14,25,26 電極部、23 チップ搭載部
Claims (7)
- 銀粒子と、
前記銀粒子を被覆する、銀合金及び銀複合材から選ばれる少なくとも1種類以上の被覆材と、を備える
導電性粒子。 - 前記被覆材が、Pd、Cu、Al、Bi、希土類元素、Au、Pt、Ti、Zr、Hf、Rh、及び、Ir等から選ばれる1種類以上の元素と銀とを含む、合金又は複合材である請求項1に記載の導電性粒子。
- 前記被覆材が、AgBi、又は、AgPdAuHfである請求項1に記載の導電性粒子。
- 前記被覆材の厚さが10nm以上200nm以下である請求項1に記載の導電性粒子。
- 銀粒子、及び、前記銀粒子を被覆する銀合金及び銀複合材から選ばれる少なくとも1種類以上の被覆材からなる導電性粒子と、
バインダ樹脂と、を含有する
導電性ペースト。 - 前記バインダ樹脂と反応する硬化剤を含有する請求項5に記載の導電性ペースト。
- 銀粒子、及び、前記銀粒子を被覆する銀合金及び銀複合材から選ばれる少なくとも1種類以上の被覆材からなる導電性粒子と、バインダ樹脂とを含有する導電性ペーストにより、基材上に回路が形成されている
回路基板。
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