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JP2012204628A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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JP2012204628A
JP2012204628A JP2011068136A JP2011068136A JP2012204628A JP 2012204628 A JP2012204628 A JP 2012204628A JP 2011068136 A JP2011068136 A JP 2011068136A JP 2011068136 A JP2011068136 A JP 2011068136A JP 2012204628 A JP2012204628 A JP 2012204628A
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妙子 太田
Manabu Harada
学 原田
Kenji Sano
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Abstract

【課題】等価直列抵抗(ESR)が小さい固体電解コンデンサを製造する。
【解決手段】陽極2の上に誘電体層3を形成する工程と、誘電体層3にオゾン処理を施す工程と、オゾン処理を施した前記誘電体層3の上に導電性高分子層5a及び5bを形成する工程と、導電性高分子層5a及び5bの上に陰極層6を形成する工程とを備えることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質として導電性高分子層を用いる固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。
近年、電子機器の小型化及び軽量化に伴って、小型でかつ大容量の高周波用のコンデンサが求められている。このようなコンデンサとして、タンタル、ニオブ、チタンまたはアルミニウムなどの弁作用金属の焼結体で形成された陽極の表面を酸化して、誘電体層を形成し、この誘電体層の上に固体電解質層を設けた固体電解コンデンサが提案されている。固体電解質層としては、導電性高分子を用いることにより、等価直列抵抗(ESR)の低減を図ることができる。
しかしながら、無機物から形成される誘電体層と、有機物から形成される導電性高分子層は、相互の濡れ性が十分高くないため、密着性が弱く、誘電体層と導電性高分子層の界面が剥離し易い。このため、ESRが増大するという問題が生じる。
特許文献1〜3においては、密着性を改善するため、陽極の表面に誘電体層を形成した後、シランカップリング剤により誘電体層の表面を処理し、導電性高分子層を形成することが提案されている。
特許文献1〜3で用いられるシランカップリング剤は、無機材料である誘電体層と結合する反応性基と有機材料である導電性高分子層との相互の濡れ性が良い疎水基を有した分子構造を有している。しかしながら、表面処理剤であるシランカップリング剤と固体電解質である導電性高分子層間の密着性は改善されるものの、ESR低減の効果が十分に得られないという問題があった。
特開平2−74021号公報 特開平4−73924号公報 特開平8−293436号公報
本発明の目的は、ESRが小さい固体電解コンデンサを製造することができる方法を提供することにある。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、陽極の上に誘電体層を形成する工程と、誘電体層にオゾン処理を施す工程と、オゾン処理を施した誘電体層の上に導電性高分子層を形成する工程と、導電性高分子層の上に陰極層を形成する工程とを備えている。
本発明の製造方法によれば、ESRが小さい固体電解コンデンサを製造することができる。
本発明の製造方法において、導電性高分子層を形成する工程の前に、オゾン処理を施した誘電体層に、カップリング剤を塗布した後、導電性高分子層を形成することが好ましい。これにより、ESRがさらに小さい固体電解コンデンサを製造することができる。
カップリング剤としては、シランカップリング剤及びホスホン酸基を有するカップリング剤が挙げられる。
本発明の製造方法において、オゾン処理は、オゾン水を誘電体層に接触させるオゾン水処理であることが好ましい。
本発明の他の局面に従う固体電解コンデンサの製造方法は、陽極の上に誘電体層を形成する工程と、誘電体層に、その表面の仕事関数を高める処理を施す工程と、該処理を施した誘電体層の上に導電性高分子層を形成する工程と、導電性高分子層の上に陰極層を形成する工程とを備えている。
上記本発明の他の局面に従う製造方法によれば、ESRが小さい固体電解コンデンサを製造することができる。
誘電体層の表面の仕事関数を高める処理としては、例えば、オゾン処理を挙げることができる。
本発明によれば、ESRが小さい固体電解コンデンサを製造することができる。
本発明に従う一実施形態において製造される固体電解コンデンサを示す模式的断面図。 図1に示す固体電解コンデンサの陽極の表面近傍を拡大して示す模式的断面図。
図1は、本発明に従う一実施形態において製造される固体電解コンデンサを示す模式的断面図である。
図1に示すように、陽極2には、陽極リード1が埋設されている。陽極2は、弁作用金属または弁作用金属を主成分とする合金からなる粉末を成形し、この成形体を焼結することにより作製されている。従って、陽極2は、多孔質体から形成されている。図1において図示されていないが、この多孔質体には、その内部から外部に連通する微細な孔が多数形成されている。このように作製された陽極2は、本実施形態において、外形が略直方体になるように作製されている。
陽極2を形成する弁作用金属としては、固体電解コンデンサに用いることができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。これらの中でも、酸化物の誘電率が高く、原料の入手が容易な、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムが特に好ましい。また、弁作用金属を主成分とする合金としては、例えば、タンタルとニオブ等の2種以上からなる弁作用金属同士の合金や、弁作用金属と他の金属との合金が挙げられる。弁作用金属と他の金属との合金を用いる場合には、弁作用金属の割合を50原子%以上とすることが好ましい。
また、陽極としては、弁作用金属の金属箔または合金箔を用いてもよい。陽極の表面積を大きくするため、金属箔または合金箔をエッチングしたもの、これらの箔を巻いたもの、これらの箔を重ねたものを用いてもよい。また、これらの箔と粉末とを焼結し、一体化したものを用いてもよい。
陽極2の表面には、誘電体層3が形成されている。誘電体層3は、陽極2の孔の表面にも形成されている。図1においては、陽極2及び陽極リード1の外周側に形成された誘電体層3を模式的に示しており、上述の多孔質体の孔の表面に形成された誘電体層は図示していない。誘電体層3は、陽極2の表面をリン酸水溶液等を用いて陽極酸化(電解酸化)などで酸化することにより形成することができる。
本発明においては、誘電体層3を形成した後、誘電体層3にオゾン処理を施す。オゾン処理は、オゾンを含む気相またはオゾンを含む液相に、誘電体層の表面を接触させることができる処理であればよい。オゾン処理としては、オゾン水を誘電体層に接触させるオゾン水処理が好ましく採用される。
誘電体層3をオゾン水処理する方法としては、誘電体層3の表面にオゾン水を接触させて処理する方法が好ましい。このような処理方法として、具体的には、オゾン水中に、誘電体層3を形成した陽極2を浸漬する方法が挙げられる。このような方法として、好ましくは、オゾン水の流水中に陽極2を浸漬する。オゾン水のオゾン濃度は、特に限定されるものではないが、0.2ppm〜20ppmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5ppm〜15ppmの範囲であり、さらに好ましくは1ppm〜10ppmの範囲である。オゾン水中に浸漬する時間は、特に限定されるものではないが、例えば、1分〜240分の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは5分〜120分の範囲であり、さらに好ましくは30分〜120分の範囲である。オゾン水は、市販のオゾン水発生装置を用いて入手することができる。
本実施形態においては、誘電体層3にオゾン処理を施した後、誘電体層3の上にカップリング剤が塗布され、カップリング剤層4が形成される。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤及びホスホン基を有するカップリング剤などが挙げられる。これらのカップリング剤の詳細については後述する。
カップリング剤層4の上には、第1の導電性高分子層5a及び第2の導電性高分子層5bが形成される。これらの導電性高分子層を形成する高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチエニレンビニレン、フルオレン共重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルフェノール、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリフェニレン及びその誘導体、フェニレン共重合体、ポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体、フェニレンビニレン共重合体、ポリピリジン及びその誘導体、ピリジン共重合体などが挙げられる。
第1の導電性高分子層5a及び第2の導電性高分子層5bは、化学重合や電解重合などの従来より公知の方法を用いて形成することができる。例えば、化学重合により第1の導電性高分子層5aを形成し、この第1の導電性高分子層5aを電極として、第1の導電性高分子層5aの上に電解重合により第2の導電性高分子層5bを形成することができる。
陽極2の外周部の第2の導電性高分子層5bの上には、カーボン層6aが形成され、カーボン層6aの上には、銀層6bが形成される。カーボン層6aは、カーボンペーストを塗布することにより形成することができる。銀層6bは、銀ペーストを塗布し、焼成することにより形成することができる。陰極層6は、カーボン層6aと銀層6bから構成されている。
銀層6bの上には、導電性接着剤層7を介して陰極端子9が接続される。また、陽極リード1には、陽極端子8が接続される。陽極端子8及び陰極端子9の端部が外部に引き出されるようにモールド樹脂外装体10が形成される。
以上のようにして、本実施形態の固体電解コンデンサが製造される。
図2は、図1に示す固体電解コンデンサの陽極2の表面近傍を拡大して示す模式的断面図である。
図2に示すように、陽極2は、多孔質体であり、その内部に微細な孔が形成されている。陽極2の表面には、誘電体層3が形成されており、この誘電体層3は、上述のように、オゾン処理が施されている。オゾン処理が施された誘電体層3の上に、カップリング剤層4が形成されている。
カップリング剤層4の上には、第1の導電性高分子層5aが形成されている。図2に示すように、第1の導電性高分子層5aは、陽極2の内部の孔の表面にも形成されていることが好ましい。
第1の導電性高分子層5aの上には、第2の導電性高分子層5bが形成されており、第2の導電性高分子層5bの上にカーボン層6aと銀層6bからなる陰極層6が形成されている。
上述のように、本発明においては、誘電体層3を形成した後、誘電体層3にオゾン処理を施している。オゾン処理を施すことにより、誘電体層3と第1の導電性高分子層5aとの間における導電性を高めることができ、ESRを低減することができる。
また、本発明者らは、オゾン処理を誘電体層3に施すことにより、誘電体層3の表面の仕事関数の値を増加させ得ることを見出した。誘電体層表面の仕事関数の値を増加させると、誘電体層3における電子のアクセプター性を高めることができる。誘電体層3のアクセプター性を高めることにより、第1の導電性高分子層5a及び第2の導電性高分子層5bからの電子を受け取り易くすることができるので、導電性を高めることができる。その結果、ESRを低減させることができる。
従って、本発明の他の局面に従い、誘電体層3の表面の仕事関数を高める処理を施すことにより、ESRが小さい固体電解コンデンサを製造することができる。従って、オゾン処理以外の誘電体層表面の仕事関数を高める処理を施すことによっても、ESRが小さい固体電解コンデンサを製造することができる。
また、本発明者らは、誘電体層にオゾン処理を施すことにより、表面粗さが増加することを見出した。従って、誘電体層表面の表面粗さが増加することも、ESRの低減に寄与しているものと思われる。
また、誘電体層3にオゾン処理を施すことにより、誘電体層3の表面に付着したカーボン等を除去することができ、誘電体層3の表面に対する密着性を高めることができる。従って、誘電体層3の表面の清浄化によっても、ESRを低減することができているものと思われる。
また、オゾン処理においては、陽極2が多孔質体から形成されている場合、多孔質体の内部にまでオゾンが浸透するので、誘電体層3の表面を多孔質体の内部にまで均一に処理することができる。
また、本実施形態のように、誘電体層3の上に、カップリング剤層4を形成する場合、カップリング剤層4を形成する前に、誘電体層3にオゾン処理を施すことにより、誘電体層3とカップリング剤層4との密着性を高めることができ、オゾン処理を施さない場合に比べ、より均一にカップリング剤層4を誘電体層3の表面上に形成することができる。
カップリング剤層4を形成するカップリング剤としては、上述のようにシランカップリング剤及びホスホン基を有するカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤としては、アルコキシシラン基、アセトキシシラン基、もしくはハロゲン化シラン基を有するシランカップリング剤が挙げられる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、メチルフェニルジクロロシラン等が挙げられる。
ホスホン酸基を有するカップリング剤としては、例えば、1つのホスホン酸基を有するカップリング剤、2つのホスホン酸基を有するカップリング剤、ホスホン酸基を3つ以上有するカップリング剤などが挙げられる。
1つのホスホン酸基を有するカップリング剤としては、以下の一般式(1)で表わされるものが挙げられる。
Figure 2012204628
(式中、Rは、炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェニル基、エーテル基、チオフェン誘導体、ピロール誘導体、アニリン誘導体、ビニル基を有する誘導体、エポキシ基を有する誘導体、スチリル基を有する誘導体、メタクリロキシ基を有する誘導体、アクリロキシ基を有する誘導体、アミノ基を有する誘導体、ウレイド基を有する誘導体、クロロプロピル基を有する誘導体、メルカプト基を有する誘導体、スルフィド基を有する誘導体、またはイソシアネート基を有する誘導体である。)
上記1つのホスホン酸基を有するカップリング剤としては、例えば、4−メトキシフェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ビニルホスホン酸、4−チエニルブチルホスホン酸、(1−アミノエチル)ホスホン酸、(アミノメチル)ホスホン酸、(3−ブロモプロピル)ホスホン酸、デシルホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸七ナトリウム塩、(R)−3−アミノ−4−(3−ヘキシルアミノ)−4−オキソブチルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸などが挙げられる。
2つのホスホン酸基を有するカップリング剤としては、2つのホスホン酸基を炭化水素基を介して結合したカップリング剤が挙げられる。これらの例として、以下の一般式(2)で表わされるものが挙げられる。
Figure 2012204628
(式中、nは、炭素数1〜18の整数であり、好ましくは炭素数1〜8の整数である。)
上記一般式(2)で表わされるカップリング剤の具体例としては、メチレンジホスホン酸、1,8−オクタンジホスホン酸、12−ホスホノドデシルホスホン酸などが挙げられる。
ホスホン酸基を3つ以上有するカップリング剤の具体例としては、N,N,N’N’−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)水和物、グリシン−N,N−ビス(メチレンホスホン酸)、ニトロトリス(メチレンホスホン酸)などが挙げられる。
また、ホスホン酸基を有するカップリング剤として、ホスホン酸基と導電性高分子モノマーがアルキル基を介して結合したカップリング剤を用いてもよい。
このようなものとして、以下の一般式(3)で表わされるカップリング剤が挙げられる。
Figure 2012204628
(式中、nは、炭素数1〜18の整数を示す。xは、窒素または硫黄を表す。)
上記の一般式(3)で表わされるカップリング剤のうち、導電性高分子モノマーを形成する複素環の2位または5位にアルキル基が置換したカップリング剤が好ましい。
導電性高分子モノマーを形成する複素環がチオフェン環であり、チオフェン環の2位または5位にアルキル基が結合したカップリング剤として、以下の一般式で表されるカップリング剤が挙げられる。
なお、以下の一般式の全てにおいて、nは、炭素数1〜18の整数である。
Figure 2012204628
また、チオフェン環の3位または4位にアルキル基が結合したカップリング剤としては、以下の一般式で表されるカップリング剤が挙げられる。
Figure 2012204628
導電性高分子モノマーを形成する複素環がピロール環であり、ピロール環の2位または5位にアルキル基が結合したカップリング剤としては、以下の一般式で表されるカップリング剤が挙げられる。
Figure 2012204628
また、導電性高分子モノマーを形成する複素環がピロール環であり、ピロール環の3位または4位にアルキル基が結合したカップリング剤としては、以下の一般式で表されるカップリング剤が挙げられる。
Figure 2012204628
カップリング剤を塗布する方法としては、誘電体層を形成してオゾン処理した陽極を、カップリング剤を含む溶液に接触させる方法が挙げられる。具体的には、カップリング剤を含む溶液中に、陽極を浸漬した後取り出し、必要に応じて洗浄し、その後乾燥する方法が挙げられる。カップリング剤を溶解する溶媒としては、カップリング剤を溶解させることができるものであれば特に限定されるものではなく、有機溶剤や水が用いられる。
溶液中のカップリング剤の濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.1mM(ミリモル/リットル)〜0.1M(モル/リットル)の範囲が挙げられる。
上記実施形態においては、誘電体層3にオゾン処理を施した後、誘電体層3の上にカップリング剤を塗布し、カップリング剤層4を形成しているが、本発明は、カップリング剤層4の形成を必須とするものではない。すなわち、誘電体層3にオゾン処理を施した後、カップリング剤層4を形成せずに、第1の導電性高分子層5aを誘電体層3の上に形成してもよい。
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(ステップ1)
弁作用金属の粉末として、タンタル金属粉末を用い、タンタルからなる陽極リードを内部に埋め込むようにして成形し、真空中において焼結して陽極を作製した。陽極は、2.3mm×1.8mm×1.0mmの直方体の形状を有しており、側面(2.3mm×1.0mm)に陽極リードが埋め込まれている。
陽極をリン酸水溶液中に浸漬し、定電圧10Vを印加して、陽極酸化することにより、陽極の表面に誘電体層を形成した。
(ステップ2)
オゾン水発生装置(ED−OW−8、エコデザイン社製)を用いてオゾン濃度1ppmのオゾン水を生成させた。このオゾン水の流水中に、誘電体層を形成した陽極を1時間浸漬させ、オゾン水処理を行った。処理時間は1時間とした。
次に、純水で洗浄した。
(ステップ3)
次に、陽極を、シランカップリング剤である3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.1M(モル/リットル)含む25℃の水溶液中に10分間浸漬させた。その後、30分間乾燥させた。次に、陽極を純水で洗浄し、再び100℃で乾燥させた。これにより、誘電体層の上にカップリング剤層を形成した。カップリング剤層の膜厚は、約0.3nmであった。
(ステップ4)
次に、カップリング剤層の上に、導電性高分子層を形成した。本実施例においては導電性高分子層として、第1の導電性高分子層と第2の導電性高分子層を形成した。
ピロール3.0M(モル/リットル)を含むエタノール溶液に陽極を5分間浸漬し、次に過硫酸アンモニウム0.1M及びアルキルナフタレンスルホン酸0.1Mを含む水溶液に25℃で5分間浸漬して、カップリング剤層の上に第1の導電性高分子層を形成した。次に、ピロール0.2M及びアルキルナフタレンスルホン酸0.2Mを含む25℃の水溶液中に第1の導電性高分子層を形成した陽極を浸漬した。第1の導電性高分子層をアノードとして、通電することにより、第1の導電性高分子層の上に第2の導電性高分子層を形成した。
(ステップ5)
第2の導電性高分子層を形成した後の陽極の外周部の上に、カーボンペースト及び銀ペーストを順次塗布し、熱処理を行い、陰極層を形成して、コンデンサ素子を作製した。
さらに、陽極リードに陽極端子を溶接し、陰極層の上に導電性接着剤層を介して陰極端子を接続した。次に、エポキシ樹脂でトランスファー成形により陽極端子及び陰極端子の端部が露出するようにコンデンサ素子を被覆して、固体電解コンデンサA1を作製した。
<実施例2>
ステップ2において、オゾン濃度5ppmのオゾン水を用い、0.5時間オゾン処理を行う以外は、実施例1と同様にして、固体電解コンデンサA2を作製した。
<実施例3>
ステップ2において、オゾン濃度5ppmのオゾン水を用い、1時間オゾン処理を行う以外は、実施例1と同様にして、固体電解コンデンサA3を作製した。
<実施例4>
ステップ2において、オゾン濃度5ppmのオゾン水を用い、2時間オゾン処理を行う以外は、実施例1と同様にして、固体電解コンデンサA4を作製した。
<実施例5>
ステップ2において、オゾン濃度10ppmのオゾン水を用い、1時間オゾン処理を行う以外は、実施例1と同様にして、固体電解コンデンサA5を作製した。
<実施例6>
カップリング剤として、シランカップリング剤に代えて、2つのホスホン酸基を有するカップリング剤である1,8−オクタンジホスホン酸を用いる以外は、実施例3と同様にして、固体電解コンデンサA6を作製した。
<実施例7>
ステップ3におけるカップリング剤の塗布を行わない以外は、実施例3と同様にして、固体電解コンデンサA7を作製した。
<比較例1>
ステップ2におけるオゾン処理を行わない以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサX1を作製した。
<比較例2>
ステップ2におけるオゾン処理を行わない以外は、実施例6と同様にして固体電解コンデンサX2を作製した。
<比較例3>
ステップ2におけるオゾン処理及びステップ3におけるカップリング剤の塗布を行わない以外は、実施例1と同様にして、固体電解コンデンサX3を作製した。
〔ESRの測定〕
得られた各固体電解コンデンサについて、ESRを測定した。ESRは、LCRメーターを用いて、周波数100kHzで測定した。測定結果を表1に示す。なお、表1に示すESRの値は、比較例1(固体電解コンデンサX1)の値を1.00とした相対値である。
〔仕事関数及び表面粗さの測定〕
基板として、ガラス基板を用い、この基板の上にタンタルを膜厚2000Åとなるように蒸着して、タンタル蒸着基板を作製した。
タンタル蒸着基板のタンタル層をリン酸水溶液で電解酸化することにより、その表面に誘電体層に相当する酸化物層を形成した。電解酸化の条件は、リン酸水溶液を用い、8.2Vを3時間印加する条件とした。
酸化物層を形成したタンタル蒸着基板に対し、実施例1〜7及び比較例1〜3と同様にして、オゾン処理及びカップリング剤塗布を行った。なお、比較例1〜3においてはオゾン処理を行わず、実施例7及び比較例3においてはカップリング剤の塗布を行わなかった。
以上のようにして得られた実施例1〜7及び比較例1〜3に相当するオゾン処理及びカップリング剤塗布を行ったタンタル蒸着基板を用いて、仕事関数を測定した。
仕事関数の測定は、光電子分光装置(理研計器社製:AC−2)を用い、大気中で測定した。同一サンプル内で位置をずらして2回測定し、平均値を仕事関数とした。測定結果を表1に示す。なお、表1において「6.80」以上は、測定限界の値を示したことを意味している。
また、上記の実施例1〜7及び比較例1〜3に相当するタンタル蒸着基板を用いて、表面粗さを測定した。表面粗さの測定は、Veeco社製走査プローグ顕微鏡(Dimension 3000 Nanoscope IIIa)を用いた。
同一サンプル内で、位置をずらして2回測定し、測定結果から表面粗さ(Ra:算術平均粗さ)を算出し、2回の測定結果からの数値の平均値を表面粗さとした(「JIS B0601−1994 表面粗さ−定義および表示」に準拠)。
表面粗さの測定結果を表1に示す。
Figure 2012204628
表1から明らかなように、本発明に従い製造された固体電解コンデンサA1〜A7は、比較例の固体電解コンデンサX1〜X3に比べ、ESRが低減されていることがわかる。
カップリング剤を塗布した固体電解コンデンサA3及びA6と、カップリング剤を塗布していない固体電解コンデンサA7との比較から、本発明に従いオゾン処理した後、カップリング剤を塗布することにより、ESRをさらに低減できることがわかる。
固体電解コンデンサA1〜A7と、比較例X1〜X3との比較から、オゾン処理を行うことにより、誘電体層表面の仕事関数を高めることができることがわかる。従って、誘電体層表面の仕事関数を高める処理を施すことにより、ESRを低減できることがわかる。仕事関数を高める処理としては、仕事関数を1eV以上高める処理が好ましいことがわかる。
また、誘電体層のオゾン処理により、誘電体層の表面粗さが大きくなることがわかる。表1に示すように、オゾン処理により、表面粗さは0.1nm以上高くなっている。
固体電解コンデンサA7と比較例の固体電解コンデンサX3との比較から、カップリング剤層を塗布せずともオゾン処理により、ESRを低減できることがわかる。
1…陽極リード
2…陽極
3…誘電体層
4…カップリング剤層
5a…第1の導電性高分子層
5b…第2の導電性高分子層
6a…カーボン層
6b…銀層
6…陰極層
7…導電性接着剤層
8…陽極端子
9…陰極端子
10…モールド樹脂外装体

Claims (5)

  1. 陽極の上に誘電体層を形成する工程と、
    前記誘電体層にオゾン処理を施す工程と、
    前記オゾン処理を施した前記誘電体層の上に導電性高分子層を形成する工程と、
    前記導電性高分子層の上に陰極層を形成する工程とを備える、固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記導電性高分子層を形成する工程の前に、
    前記オゾン処理を施した前記誘電体層に、カップリング剤を塗布する工程をさらに備える、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記カップリング剤が、シランカップリング剤及び/またはホスホン酸基を有するカップリング剤である、請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記オゾン処理が、オゾン水を前記誘電体層に接触させるオゾン水処理である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 陽極の上に前記誘電体層を形成する工程と、
    前記誘電体層に、その表面の仕事関数を高める処理を施す工程と、
    前記処理を施した誘電体層の上に導電性高分子層を形成する工程と、
    前記導電性高分子層の上に陰極層を形成する工程とを備える、固体電解コンデンサの製造方法。
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