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JP2012249347A - アキシャルギャップ回転電機のロータ - Google Patents

アキシャルギャップ回転電機のロータ Download PDF

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JP2012249347A
JP2012249347A JP2011116652A JP2011116652A JP2012249347A JP 2012249347 A JP2012249347 A JP 2012249347A JP 2011116652 A JP2011116652 A JP 2011116652A JP 2011116652 A JP2011116652 A JP 2011116652A JP 2012249347 A JP2012249347 A JP 2012249347A
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健 武田
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Abstract

【課題】回転電機全体の単位体積あたりの出力トルクを向上する。
【解決手段】アキシャルギャップ型の回転電機を構成するロータ300は、ロータ300の周方向に沿った磁極方向を有し、ロータ300の周方向に沿って間隔をおいて配置された複数の第1の永久磁石部323と、周方向に隣り合う第1の永久磁石部323の間にそれぞれ配置され、ギャップ面を形成する複数のコア部324と、回転軸方向に沿った磁極方向を有し、周方向に隣り合う第1の永久磁石部323の間であって各コア部324のギャップ面とは反対側にそれぞれ配置された複数の第2の永久磁石部322とを備える。周方向に隣り合う前記第1の永久磁石部323は互いに磁極方向が反対である。第2の永久磁石部322は、各コア部324から見て周方向の両側に配置された第1の永久磁石部323が各コア部324に対して向けている磁極と同じ磁極を各コア部324に対して向けている。
【選択図】図3

Description

本発明は、アキシャルギャップ回転電機のロータに関し、特にアキシャルギャップ回転電機のロータにおける永久磁石とコアの配置に関するものである。
電動機および発電機のうち少なくとも一方の用途で用いられる回転電機として、ギャップ面が回転軸と垂直になるようにロータとステータが配置されたアキシャルギャップ回転電機が知られている。特許文献1に開示されたアキシャルギャップ回転電機のロータでは、複数の永久磁石と複数のコアがロータの周方向に交互に配置され、各永久磁石は、磁極方向が周方向であり、かつ、コアを挟んで隣り合う永久磁石の磁極方向が反対になるように、配置されている。そして、特許文献1に開示された技術では、例えば、永久磁石の軸方向の厚さは、径方向外側から径方向の内側に向かうに連れて小さく構成され、これによってコアの磁気飽和を防ぎ、永久磁石の単位体積あたりの回転電機のトルク出力を向上させている。
特開2005−253188号公報
しかしながら、上記従来技術では、永久磁石の単位体積あたりの回転電機の出力トルクの向上を目的としており、回転電機全体の単位体積あたりの出力トルクの向上について十分な工夫がなされているとは言えなかった。
本発明の主な利点は、回転電機全体の単位体積あたりの出力トルクを向上することができる技術を提供することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]ステータに対して回転軸方向に対向配置されるギャップ面を有し、アキシャルギャップ型の回転電機を構成するロータであって、
前記ロータの周方向に沿った磁極方向を有し、前記周方向に沿って間隔をおいて配置された複数の第1の永久磁石部であって、前記周方向に隣り合う前記第1の永久磁石部は互いに磁極方向が反対である、前記複数の第1の永久磁石部と、
前記周方向に隣り合う前記第1の永久磁石部の間にそれぞれ配置され、前記ギャップ面を形成する複数のコア部と、
前記回転軸方向に沿った磁極方向を有し、前記周方向に隣り合う前記第1の永久磁石部の間であって各コア部の前記ギャップ面とは反対側にそれぞれ配置された複数の第2の永久磁石部であって、各コア部から見て前記周方向の両側に配置された前記第1の永久磁石部が各コア部に対して向けている磁極と同じ磁極を各コア部に対して向けている、前記複数の第2の永久磁石部と、
を備える、ロータ。
上記構成のロータは、各コア部から見て周方向の両側に配置された第1の永久磁石部に加えて、各コア部のギャップ面とは反対側に配置された第2の永久磁石部を備えている。そして、第2の永久磁石部は、各コア部から見て周方向の両側に配置された第1の永久磁石部が各コア部に対して向けている磁極と同じ磁極を各コア部に対して向けている。この結果、ロータの各コア部のギャップ面からステータコイルに向かう永久磁石による磁束は、第1の永久磁石部による磁束と第2の永久磁石部による磁束とを合わせた磁束となる。この結果、永久磁石による電機子鎖交磁束の最大値を、第2の永久磁石を備えていない場合と比較して、大きくすることができる。この結果、永久磁石による電機子鎖交磁束の最大値に比例して大きくなる回転電機のマグネットトルクを向上することができる。
さらに、上記構成のロータにおいて、ステータコイルが生成するd軸磁束の磁路は、一つのコア部のギャップ面から、ロータ内部を通って該コア部の周方向に第1の永久磁石部を挟んで隣り合う別のコア部に至る経路となる。この経路には、第1の永久磁石部に加えて、第2の永久磁石部が配置されている。この結果、この経路における磁気抵抗が大きくなるので、第2の永久磁石部が配置されていない場合と比較して、d軸インダクタンスLdが小さくなる。この結果、突極比が大きくなるので、回転電機のリラクタンストルクを向上することができる。
上述したマグネットトルクの向上とリラクタンストルクの向上とによって、回転電機全体(あるいはロータ全体)の単位体積辺りの出力トルク、ひいては、最大出力(出力トルク×回転数の最大値)を向上することができる。
[適用例2]適用例1記載のロータであって、さらに、
前記コア部を第1のコア部と呼ぶときに、前記第1のコア部とは異なる第2のコア部を備え、
前記第2のコア部は、複数の前記第1の永久磁石部と複数の前記第2の永久磁石部との前記ギャップ面側とは反対側に配置されている、ロータ。
上記構成によれば、一つの第2の永久磁石部のギャップ面側とは反対側の磁極から、該第2の永久磁石部の周方向に第1の永久磁石部を挟んで隣り合う別の第2の永久磁石のギャップ面側とは反対側の磁極に至る磁束の磁路に第2のコア部が配置される。この結果、第2の永久磁石の磁束の経路を確保して第1のコア部を通る磁束をより大きくすることができるので、回転電機のマグネットトルクを向上することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、アキシャルギャップ型の回転電機、その回転電機を備えた駆動装置、等の態様で実現することができる。
本発明の一実施例としての第1のロータ300の外観構成と第1のロータ300を用いた回転電機1000の外観構成とを示す概略図である。 ステータ200の概略構成を説明する図である。 第1のロータ300の分解斜視図である。 第1のロータ300の界磁部320の分解斜視図である。 図3において一点破線で示す部位の軸方向に平行な断面(F−F断面)について周方向に1極対分の構成を図示した図である。 比較例におけるロータの界磁部520の外観構成を示す概略図である。 実施例における回転電機1000の利点を説明するための第1の図である。 実施例における回転電機1000の利点を説明するための第2の図である。 実施例における回転電機1000と比較例における回転電機の出力特性を示すグラフである。
次に、この発明の実施の形態を実施例および変形例に基づいて説明する。
A.実施例:
図1は、本発明の一実施例としての第1のロータ300の外観構成(図1(a))と、第1のロータ300を用いた回転電機1000の外観構成(図1(b))とを示す概略図である。回転電機1000は、軸Aを回転軸とするアキシャルギャップ型の8極回転電機であり、ステータ200と、ステータ200の回転軸方向の両側にそれぞれ配置された第1のロータ300および第2のロータ400と、を備えている(図1(b))。第1のロータ300は、ステータ200に対して回転軸方向の一方の側に対向配置されるギャップ面GS3を有し(図1(a))、第2のロータ400は、ステータ200に対して回転軸方向の一方の側に対向配置されるギャップ面を有している(図示は省略)。以下、回転軸Aに沿った方向を単に軸方向と呼び、回転軸Aを通り回転軸Aと直交する方向を径方向と呼び、回転軸と直交する面において回転軸Aとの交点を中心とする円に沿った方向を周方向と呼ぶ。また、第1のロータ300および第2のロータ400について説明する際、軸方向に沿った方向のうち、ステータ200と対向する方向、すなわち、ギャップ面が配置されている側の方向をステータ対向方向とも呼ぶ。図1において、第1のロータ300のステータ対向方向は右方向であり、第2のロータ400のステータ対向方向は左方向である。
図2は、ステータ200の概略構成を説明する図である。ステータ200は、図2(a)に示すように、回転軸Aと垂直な断面形状が略二等辺三角形である三角柱形状を有する複数のステータコア201と、各ステータコア201の側面に巻き回された集中巻コイル202と、を備えている。集中巻コイル202が巻き回された複数のステータコア201は、周方向に並べて配置され、全体として、ロータシャフト(後述:図3)が貫通する孔H1を有する略円筒形状を形成する。各ステータコア201の第1のロータ300と対向する端面は同一平面上に配置され、第1のロータ300と対向するギャップ面GS1を形成する。各ステータコア201の第2のロータ400と対向する端面は同一平面上に配置され、第2のロータ400と対向するギャップ面GS2を形成する。なお、複数の集中巻コイル202は、周方向に機械角で90度離れた位置にある4つの集中巻コイル202を同じ組として3組に分けられ、組ごとに位相の異なる三相電流が通電される。各集中巻コイル202に通電される三相電流によって、回転電機1000の回転制御が行われる。
ステータ200は、非磁性体で形成された2枚のステータ固定部材210を介して、図示しないケースに固定される。すなわち、図2(b)に示すように、ステータ200は、ロータシャフト(後述:図3)が貫通する孔213と、各ステータコア201の端部が嵌合する複数の孔212と、複数のボルト孔と、を有する2枚のステータ固定部材210によって、軸方向の両側から挟持される。そして、2枚のステータ固定部材210は、ボルトでケース(図示省略)に固定される。
図3〜図5を参照して、第1のロータ300および第2のロータ400の構成について説明する。図3は、第1のロータ300の分解斜視図である。図4は、第1のロータ300の界磁部320の分解斜視図である。第1のロータ300は、永久磁石を含み磁束を発生するための界磁部320と、界磁部320が固定される非磁性体の支持部材311とシャフト本体312とから構成されたロータシャフト310とを備えている。
第2のロータ400は、第1のロータ300と同様の構成を有しているので、第2のロータ400の構成については、適宜に説明を加えながら、第1のロータ300の構成を中心に説明する。第1のロータ300のシャフト本体312と、第2のロータ400のシャフト本体とは、組み付けられる際に、ステータ200の孔H1(図2)の内部で結合される。そして、第1のロータ300のシャフト本体312の外側の端部312aおよび第2のロータ400のシャフト本体の外側の端部(図示省略)は、ケースに軸受を介して回転可能に支持される。この結果、第1のロータ300と第2のロータ400は、回転軸Aを中心に一体に回転する。
第1のロータ300の界磁部320は、極数(本実施例では、8)と同数の第1の永久磁石323(図3、図4(c))と、極数と同数の第2の永久磁石322(図3、図4(b))と、極数と同数の第1のコア324(図3、図4(d))と、第2のコア321(図3、図4(a))とを備えている。第1の永久磁石323と第2の永久磁石322は、フェライト磁石である。第1のコア324と第2のコア321は、軟磁性材料で形成されており、具体的には、鉄粉に絶縁性樹脂を混合して金型で圧縮成形した圧粉磁心である。
各第1の永久磁石323は、径方向に延びる角棒状の形状を有している。複数の第1の永久磁石323は、界磁部320において周方向に沿って等しい間隔をおいて配置されている。複数の第1の永久磁石323の軸方向の位置は、それぞれ同一である。各第1の永久磁石323の径方向に垂直な断面形状は矩形である。この矩形の周方向に沿った辺の長さは径方向外側が最も長く、径方向内側に向って少しずつ短くなっており、この矩形の軸方向に沿った辺の長さは、径方向の位置に拘わらず一定である。各第1の永久磁石323のN極着磁面323NおよびS極着磁面323S(図4(c))は、周方向に略垂直である。
各第1の永久磁石323の磁極方向(磁石のS極からN極へ向かう方向)は、図3において第1の永久磁石323上に白い矢印で示すように周方向に沿っている。そして、周方向に隣り合う第1の永久磁石323の磁極方向は、互いに反対方向を向いている。すなわち、第1の永久磁石323のN極着磁面323NおよびS極着磁面323S(図4(c))は、周方向に略垂直であり、互いに隣り合う第1の永久磁石323のN極着磁面323Nは、向かい合っている。
複数の第1のコア324は、周方向に隣り合う第2の永久磁石322の間に配置されている。複数の第1のコア324の軸方向の位置は、それぞれ同一である。各第1のコア324は、本体部324aと、本体部324aのステータ対向方向に配置されたギャップ面形成部324bとを有している。本体部324aは、軸方向に垂直な断面形状が略扇形で、その断面形状が軸方向に延びた形状を有している。本体部324aの軸方向の長さは、第1の永久磁石323の軸方向の長さの約半分である。ギャップ面形成部324bのステータ対向方向の面は、本体部324aの扇形の断面形状より僅かに周方向に大きな扇形の形状を有している。各第1のコア324の各ギャップ面形成部324bのステータ対向方向の面は、同一面上に配置され、上述した第1のロータ300のギャップ面GS3を形成している。
複数の第2の永久磁石322は、周方向に隣り合う第1の永久磁石323の間であって、各第1のコア324のステータ対向方向とは反対方向側の面に隣接配置されている。すなわち、各第2の永久磁石322は、各第1のコア324のギャップ面側とは反対側に配置されている。複数の第2の永久磁石322の軸方向の位置は、それぞれ同一である。各第2の永久磁石322は、第1のコア324の本体部324aと略同一の形状を有している。すなわち、第2の永久磁石322は、軸方向に垂直な断面形状が略扇形で、その断面形状が軸方向に延びた形状を有している。第2の永久磁石322の軸方向の長さは、第1の永久磁石323の軸方向の長さの約半分である。複数の第2の永久磁石322のステータ対向方向とは反対側の面は、第1の永久磁石323のステータ対向方向とは反対側の面と同一面上に位置している。
第2の永久磁石322のN極着磁面322NおよびS極着磁面322Sは、軸方向に垂直な略扇形の面である(図4(b))。すなわち、第2の永久磁石322の磁極方向は、図3において第2の永久磁石322上に白い矢印で示すように軸方向に沿っている。そして、第1の永久磁石323を挟んで周方向に隣り合う第2の永久磁石322の磁極方向は、互いに反対方向を向いている(図3)。また、各第2の永久磁石322は、ステータ対向方向に位置する第1のコア324に対して、その第1のコア324の周方向の両側に配置された第1の永久磁石323が、その第1のコア324に対して向けている磁極と同じ磁極を向けている。すなわち、1つの第1のコア324は、2つの第1の永久磁石323と1つの第2の永久磁石322とのそれぞれの同じ磁極の着磁面と向き合っている。
第2のコア321は、中心にロータシャフト310のシャフト本体312が貫通する孔H3を有する円盤形状を有している。第2のコア321のステータ対向方向の面は、複数の第1の永久磁石323のステータ対向方向とは反対方向の面の全体と、複数の第2の永久磁石322のステータ対向方向とは反対方向の面の全体を覆うように配置されている。
ここで、界磁部320の極数は8である、すなわち、極対数は4であるので、周方向に機械角で90度離れた位置は、等価である。すなわち、周方向に機械角で90度分の構成を1周期(電気角で360度分に相当する)として、同じ構成が4周期繰り返されている。図5は、図3において一点破線で示す部位の軸方向に平行な断面(F−F断面)について、周方向に1周期分(1極対分)の構成を図示した図である。図5では、図3において破線で示すように、1つの第1の永久磁石323の周方向の中心を電気角で0度の位置とし、この位置から周方向の反時計回りに1周期(電気角で360度)離れた位置までを図示している。図5では、理解の容易のため、ステータ200と第2のロータ400の構成についても、対応する1周期分の構成を併せて図示している。以下、図5を参照しながらさらに説明する。
第2のロータ400の構成は、上述したように、第1のロータ300の構成と同様であるので、第2のロータ400の各構成要素の符号は、1桁目を「4」とし、2桁目以降を第1のロータ300の対応する構成要素の符号の2桁目以降と同一にした符号を用いる。例えば、第2のロータ400の第1の永久磁石には、符号「423」を付し、第2のロータ400の第1のコアには、符号「424」を付す。
図5に示すように、第1のロータ300の第1の永久磁石323とステータ200を挟んで軸方向に対向する位置(軸方向から見て重なる位置)には、第2のロータ400の第1の永久磁石423が配置される。第1のロータ300の第1の永久磁石323の磁極方向と、軸方向に対向する第2のロータ400の第1の永久磁石423の磁極方向は、反対方向を向いている。
同様に、図5に示すように、第1のロータ300の第2の永久磁石322とステータ200を挟んで軸方向に対向する位置には、第2のロータ400の第1の永久磁石423が配置される。第1のロータ300の第2の永久磁石322の磁極方向と、軸方向に対向する第2のロータ400の第2の永久磁石422の磁極方向は同じ方向を向いている。すなわち、第1のロータ300の第2の永久磁石322のステータ200側の磁極面と、軸方向に対向する第2のロータ400の第2の永久磁石422のステータ200側の磁極面は、互いに異なる磁極の磁極面となる(図5)。
また、図5に示すように、第1のロータ300の第1のコア324とステータ200を挟んで軸方向に対向する位置には、第2のロータ400の第1のコア424が配置される。
以上のように構成された第1のロータ300の界磁部320と、第2のロータ400の界磁部によって発生する磁束の磁路は、その代表的な経路を概略的に説明すると、図5において実線でしめす第1経路と、破線で示す第2経路を含む。第1経路は、主に第1のロータ300および第2のロータ400の第1の永久磁石323、423の磁束の磁路である。第2経路は、主に第1のロータ300および第2のロータ400の第2の永久磁石322、422の磁束の磁路である。
第1経路は、第1のロータ300の第1の永久磁石323のN極着磁面323Nから隣接する第1のコア324のギャップ面GS3を貫通し、ステータ200および第2のロータ400の第1のコア424のギャップ面GS4を貫通して、第1のコア424に隣接する第1の永久磁石423のS極着磁面423Sに至る経路を含む。また、第1経路は、第2のロータ400の第1の永久磁石423のN極着磁面423Nから隣接する第1のコア424のギャップ面GS4を貫通し、ステータ200および第1のロータ300の第1のコア324のギャップ面GS3を貫通して、第1のコア324に隣接する第1の永久磁石323のS極着磁面323Sに至る経路を含む。
第2経路は、第1のロータ300の第2の永久磁石322のギャップ面GS3側を向いた着磁面(N極着磁面322NまたはS極着磁面322S)と、この第2の永久磁石322と軸方向に対向する第2のロータ400の第2の永久磁石422のギャップ面GS4側を向いた着磁面(S極着磁面422SまたはN極着磁面422N)とを結ぶ経路を含む。また、第2経路は、第1のロータ300の第2の永久磁石322の第2のコア321側の着磁面(N極着磁面322NまたはS極着磁面322S)から、第2のコア321を通り、この第2の永久磁石322の周方向に第1の永久磁石323を挟んで隣り合う第2の永久磁石322の第2のコア321側の着磁面(S極着磁面322SまたはN極着磁面322N)に至る経路を含む。さらに、第2経路は、第2のロータ400の第2の永久磁石422の第2のコア421側の着磁面(N極着磁面422NまたはS極着磁面422S)から、第2のコア421を通り、この第2の永久磁石422の周方向に第1の永久磁石423を挟んで隣り合う第2の永久磁石422の第2のコア421側の着磁面(S極着磁面422SまたはN極着磁面422N)に至る経路を含む。
以上説明した構成の第1のロータ300および第2のロータ400の利点を、比較例と比較しながら説明する。図6は、比較例におけるロータの界磁部520の外観構成を示す概略図である。比較例における界磁部520は、上述した実施例における界磁部320(図3)と同じ体格を有している。すなわち、比較例における界磁部520と実施例における界磁部320は、軸方向の長さおよび径方向の長さが同一の円筒形状を有し、同じ径の孔H5、H2を回転軸の中心部にそれぞれ有している。
比較例における界磁部520は、実施例における界磁部320と異なり、第2の永久磁石322と、第2のコア321とを備えていない。比較例における界磁部520は、実施例における複数の第1の永久磁石323と同数の複数の永久磁石523を備えている。永久磁石523は、実施例における複数の第1の永久磁石323と同じフェライト磁石である。各永久磁石523の周方向の配置位置は、実施例における各第1の永久磁石323の周方向の配置位置と同じである。永久磁石523の軸方向の長さは、実施例における界磁部320の第2のコア321の軸方向の厚さ分だけ第1の永久磁石323より長い。
比較例における界磁部520は、周方向に間隔をおいて隣り合う永久磁石523の間にそれぞれコア524を備えている。すなわち、コア524は、実施例における第1のコア324と同数であり、各永久磁石523の周方向の配置位置は、実施例における各第1の永久磁石323の周方向の配置位置と同じである。コア524は、実施例おける第1のコア324と同じ材質および成形法の圧粉磁心である。コア524の軸方向の長さは、実施例における界磁部320の第2の永久磁石322の軸方向の厚さと第2のコア321の軸方向の厚さ分だけ、実施例における第1のコア324より長い。
比較例における界磁部520は、実施例における界磁部320と同様に、極数が8であるので、周方向に機械角で90度離れた位置は、等価である。すなわち、周方向に機械角で90度分の構成を1周期(電気角で360度分に相当する)として、同じ構成が4周期繰り返されている。
以上説明した比較例における界磁部520を備える一対のロータを、実施例におけるステータ200と同一のステータの軸方向の両側に、軸方向に対向する永久磁石523の磁極方向が反対を向くように対向配置して構成された回転電機を、比較例における回転電機とする。
ここで、回転電機をモータとして用いる場合のトルクTは、いわゆるd、q軸座標系で回転電機で表したd、q変換モデルを用いて、以下の式(1)で表される。
T=M・Iq−(Lq−Ld)Id・Iq ...(1)
ここで、Mは逆起電力定数、Lqはq軸インダクタンス、Ldはd軸インダクタンス、Idはd軸電流、Iqはq軸電流を表す。第1項はマグネットトルクを表し、第2項はリラクタンストルクを表す。回転電機を駆動制御する場合、一般的にLq>Ldであるので、正の値のq軸電流Iqと、負の値のd軸電流Idと、を三相交流電流に変換して制御され、第2項は正の値になる。式(1)から解るように、マグネットトルクは、逆起電力定数Mに比例し、リラクタンストルクは、突極比(Lq−Ld)に比例する。なお、逆起電力定数Mは、電機子鎖交磁束の最大値に相当する。
図7は、実施例における回転電機1000の利点を説明するための第1の図である。図7(a)は、実施例における界磁部320のF−F断面(図3参照)の周方向に1周期分を図示した図である。図7(b)は、比較例における界磁部520のG−G断面(図6参照)の周方向に1周期分を図示した図である。図7(c)は、実施例における回転電機1000と、比較例における回転電機との逆起電力定数を比較するグラフである。なお、この逆起電力定数は、有限要素法を用いた磁界解析によって算出した値をもとに、比較例における回転電機の逆起電力定数を1として正規化したものである。
図7(a)に示すように、実施例における第1のロータ300(界磁部320)は、各第1のコア324から見て周方向の両側に配置された一対の第1の永久磁石323に加えて、各第1のコア324のギャップ面GS3とは反対側(ステータ対向方向の反対方向側)に配置された第2の永久磁石322を備えている。第2の永久磁石322は、ステータ対向方向に隣接する第1のコア324から見て周方向の両側に配置された第1の永久磁石323が当該第1のコア324に対して向けている磁極と同じ磁極を当該第1のコア324に対して向けている。この結果、ギャップ面GS3からステータ200に向かう永久磁石による磁束は、第1の永久磁石323による磁束と第2の永久磁石322による磁束とを合わせた磁束となる。第2のロータ400についても同様のことが言える。
一方、図7(b)に示すように、比較例におけるロータ(界磁部520)は、各コア524から見て周方向の両側に永久磁石523が配置されているだけである。この結果、ギャップ面GS5からステータに向かう永久磁石による磁束は、永久磁石523による磁束だけとなる。
以上の説明から解るように、実施例における第1のロータ300および第2のロータ400によれば、永久磁石による磁束を、比較例におけるロータと比較して、大きくすることができる。この永久磁石による磁束の増大は、式(1)における逆起電力定数を増加させる。図7(c)に示すように、有限要素法を用いた磁界解析によれば、実施例における回転電機1000の逆起電力定数は、比較例における回転電機の逆起電力定数と比較して、約10%大きかった。
以上のように、実施例における第1のロータ300および第2のロータ400によれば、逆起電力定数を大きくして、回転電機のマグネットトルクを向上することができる。
図8は、実施例における回転電機1000の利点を説明するための第2の図である。図8(a)は、界磁部320の図7(a)と同様の部分を図示している。図8(b)は、比較例における界磁部520の図7(b)と同様の部分を図示している。図8(c)は、実施例における回転電機1000と、比較例における回転電機との突極比を比較するグラフである。なお、この突極比は、有限要素法を用いた磁界解析によって算出した値をもとに、比較例における回転電機のd軸インダクタンスLdを1として正規化したものである。
図8(a)に示す実線の矢印は、実施例における第1のロータ300(界磁部320)におけるd軸磁束の経路(d軸磁路)を示している。同様に、図8(b)に示す実線の矢印は、比較例におけるロータ(界磁部520)におけるd軸磁路を示している。実施例、比較例ともに、d軸磁路は、磁気抵抗の高い永久磁石(実施例では第1の永久磁石323、比較例では、永久磁石523)を周方向に貫通する経路となる。実施例における第1のロータ300では、この経路に、磁気抵抗の高い第2の永久磁石322がさらに配置されているので、d軸磁路の磁気抵抗が、比較例と比較して大きくなる。第2のロータ400についても同様のことが言える。したがって、実施例における回転電機1000におけるd軸インダクタンスLdは、比較例における回転電機におけるd軸インダクタンスLdと比較して低下する。
図8(b)に示す破線の矢印は、実施例における第1のロータ300(界磁部320)におけるq軸磁束の代表的な経路(q軸磁路)を示している。同様に、図8(b)に示す実線の矢印は、比較例における第1のロータ(界磁部520)における代表的なq軸磁路を示している。実施例、比較例ともに、q軸磁路は、磁気抵抗の小さい軟磁性体(実施例では第1のコア324、比較例では、コア524)を通る経路となる。実施例における第1のコア324は軸方向の長さは、比較例におけるコア524の軸方向の長さより短いが、第1のコア324を通る磁束が飽和磁束密度に達しないかぎり、実施例におけるq軸磁路の磁気抵抗は、比較例におけるq軸磁路の磁気抵抗と比較して、それほど大きくはならない。したがって、したがって、実施例における回転電機1000におけるq軸インダクタンスLqは、比較例における回転電機におけるq軸インダクタンスLqと比較して低下するものの、低下の程度は、d軸インダクタンスの低下の程度より小さい。
以上の説明から解るように、実施例における回転電機1000の突極比(Lq−Ld)は、比較例における回転電機の突極比と比較して大きくなる。図8(c)に示すように、有限要素法を用いた磁界解析によれば、実施例における回転電機1000の突極比は、比較例における回転電機の突極比と比較して、約4%大きかった。
以上のように、実施例における第1のロータ300および第2のロータ400によれば、突極比を大きくして、回転電機のリラクタンストルクを向上することができる。
上述したマグネットトルクの向上とリラクタンストルクの向上とによって、回転電機を電動機として動作させる場合における回転電機全体(あるいはロータ全体)の単位体積辺りの出力トルク、ひいては、最大出力(出力トルク×回転数の最大値)を向上することができる。また、回転電機を発電機として動作させる場合には、単位体積辺りの発電能力を向上することができる。
図9は、有限要素法を用いた磁界解析によって算出された実施例における回転電機1000と比較例における回転電機の出力特性を示すグラフである。図9(a)は、ロータの磁極位置とステータの三相回転磁界の磁界位置との位相差(界磁角)と出力トルクとの関係(界磁角特性)を示す。図9(b)は、出力トルクと回転速度(単位時間あたりの回転数)との関係(トルク−回転数特性)を示す。図9(a)、図9(b)ともに、同じ大きさの電流で各回転電機を制御した場合について比較している。図9(a)、図9(b)ともに、比較例における回転電機の最大トルクを1として示している。図9(a)(b)において黒い矢印で示すように、実施例における回転電機1000の最大トルクは、比較例における回転電機の最大トルクと比較して、約10.8%大きかった。実施例における回転電機1000の最大出力は、比較例における回転電機の最大出力と比較して、約21.6%大きかった。
C.変形例:
この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記実施例における界磁部320の第2のコア321は、第2の永久磁石322の磁束の磁路を確保して第1のコア324を通る磁束をより大きくするために配置されることが好ましいが、省略され得る。
(2)上記実施例は、ステータ200の軸方向の両側にそれぞれロータ(第1のロータ300と第2のロータ400)を配置したいわゆるダブルロータタイプであるが、ステータの軸方向の一方の側のみにロータを配置した構成であっても良い。
(3)上記実施例では、第1の永久磁石323、423および第2の永久磁石322、422にフェライト磁石を採用したが他の種類の磁石を採用しても良い。例えば、ネオジウム磁石、サマリウムコバルト磁石などの希土類磁石や、アルニコ磁石などを採用しても良い。フェライト磁石よりも磁力が強い希土類磁石を採用すれば、より小型で高出力の回転電機を作製することができる。一方、本実施例のようにフェライト磁石を採用すれば、安価でありながら、単位体積辺りの出力を向上させた回転電機を作製することができる。また、第1のコア324、424、第2のコア321、421は、圧粉磁心を採用したが、任意の軟磁性材料、例えば、電磁鋼板の積層体を採用することができる。
(4)上記実施例では、極数が8である回転電機を例に説明したが、極数はこれに限られず、4極、6極、10極などあらゆる偶数の極数の回転電機を採用することができる。
(5)また、上記実施例におけるロータ300、400の具体的な形状は一例であり、適宜に変形がなされ得る。例えば、上記実施例では、複数の第1のコア324は、それぞれ別体とされているが、径方向の内側で一体にされていても良く、周方向に隣り合う第1の永久磁石323の間に配置されるコア部を備えていれば良い。同様にステータ200の具体的な構成は一例であり適宜に変形がなされ得る。例えば、分布巻きで構成されたステータコイルを備えるステータであっても良い。
(6)上記実施例における回転電機1000は、電動機および発電機の少なくとも一方として動作させる、あらゆる用途に採用されるが、例えば、電気自動車やハイブリッド車両において電動機および発電機として用いることができる。
本発明は、アキシャルギャップ型の回転電機に用いられるロータに好適に利用できる。
200...ステータ、201...ステータコア、202...集中巻コイル、210...ステータ固定部材、300...第1のロータ、310...ロータシャフト、311...支持部材、312...シャフト本体、312a...端部、320...界磁部、321...第2のコア、322...第2の永久磁石、323...第1の永久磁石、324...第1のコア、400...第2のロータ、421...第2のコア、422...第2の永久磁石、423...第1の永久磁石、424...第1のコア、1000...回転電機、GS1〜GS4...ギャップ面

Claims (2)

  1. ステータに対して回転軸方向に対向配置されるギャップ面を有し、アキシャルギャップ型の回転電機を構成するロータであって、
    前記ロータの周方向に沿った磁極方向を有し、前記周方向に沿って間隔をおいて配置された複数の第1の永久磁石部であって、前記周方向に隣り合う前記第1の永久磁石部は互いに磁極方向が反対である、前記複数の第1の永久磁石部と、
    前記周方向に隣り合う前記第1の永久磁石部の間にそれぞれ配置され、前記ギャップ面を形成する複数のコア部と、
    前記回転軸方向に沿った磁極方向を有し、前記周方向に隣り合う前記第1の永久磁石部の間であって各コア部の前記ギャップ面とは反対側にそれぞれ配置された複数の第2の永久磁石部であって、各コア部から見て前記周方向の両側に配置された前記第1の永久磁石部が各コア部に対して向けている磁極と同じ磁極を各コア部に対して向けている、前記複数の第2の永久磁石部と、
    を備える、ロータ。
  2. 請求項1記載のロータであって、さらに、
    前記コア部を第1のコア部と呼ぶときに、前記第1のコア部とは異なる第2のコア部を備え、
    前記第2のコア部は、複数の前記第1の永久磁石部と複数の前記第2の永久磁石部との前記ギャップ面側とは反対側に配置されている、ロータ。
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