JP2012246349A - 難燃性電気絶縁組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的特性に優れるとともにUL−VW−1燃焼試験に合格するような非常に高度な難燃性を有し、生産性に優れ、例え燃焼したとしても燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生しない難燃性電気絶縁組成物を提供すること。
【解決手段】オレフィン系ポリマー100重量部に対し、無機水和物100重量部以上300重量部以下、無機リチウム化合物0.5重量部以上50重量部以下、及びアクリルゴム1重量部以上50重量部以下を含有することを特徴とする難燃性電気絶縁組成物。上記オレフィン系ポリマーが、エチレン−不飽和エステル共重合体である難燃性電気絶縁組成物。上記無機リチウム化合物が、炭酸リチウムである難燃性電気絶縁組成物。上記アクリルゴムが、エチレン−アクリルゴムである難燃性電気絶縁組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】オレフィン系ポリマー100重量部に対し、無機水和物100重量部以上300重量部以下、無機リチウム化合物0.5重量部以上50重量部以下、及びアクリルゴム1重量部以上50重量部以下を含有することを特徴とする難燃性電気絶縁組成物。上記オレフィン系ポリマーが、エチレン−不飽和エステル共重合体である難燃性電気絶縁組成物。上記無機リチウム化合物が、炭酸リチウムである難燃性電気絶縁組成物。上記アクリルゴムが、エチレン−アクリルゴムである難燃性電気絶縁組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、機械的特性に優れるとともにUL−VW−1燃焼試験に合格するような非常に高度な難燃性を有し、生産性に優れ、例え燃焼したとしても燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生しない、特に電線,ケーブルの絶縁材料やシース材料として好適な難燃性電気絶縁組成物に関するものである。
オレフィン系ポリマーは、優れた電気特性を有し、安価で加工性も良いことから、従来より絶縁電線の絶縁層やシース層として広く用いられている。しかし、オレフィン系ポリマーはそれ自体が可燃性物質であるため、電線,ケーブルの絶縁材料やシース材料として使用する際には安全、防火上の問題から、高度な難燃性を付与する必要がある。その方法として、オレフィン系ポリマーにハロゲン系難燃剤等を混和する方法が広く採用されてきた。しかしながら、これらは燃焼時に多量のハロゲン系ガスを発生し、周囲の機器への腐食性、人体への有毒性等が問題となっていることから、近年、ハロゲン系ガスを発生しない難燃剤として、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムのような無機水和物を混和する方法が提案されている。
しかしながら、このような方法は、オレフィン系ポリマーに無機水和物を多量に混和させることにより、高度な難燃性を付与することはできるものの、一方でオレフィン系ポリマーが本来有する、優れた加工性及び機械的特性を大幅に低下させてしまうという新たな問題を引き起こしてしまっていた。
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、オレフィン系ポリマー100重量部に対し、無機水和物70〜300重量部、及び炭酸リチウム等のリチウム化合物0.5重量部以上を含有する難燃性電気絶縁組成物が開示されている。この特許文献1によれば、無機水和物を多量に混和させることなく高度な難燃性を実現でき、オレフィン系ポリマーが本来有する、優れた加工性及び機械的特性を損なうことのない組成物を得ることができるとされている。また、本発明に関連する技術として、例えば、特許文献2が挙げられる。
上記特許文献1により、高度の難燃性と優れた機械的特性を有する難燃性電気絶縁組成物を得ることはできた。しかし、昨今の市場からは、更に安全性を高めるため、UL758中の垂直難燃性規格VW−1に代表される非常に厳しい難燃性が要求されると同時に、破断時の伸び150%以上、強度10.3MPa以上の機械的特性が要求されてきている。上記特許文献1では、このような更に厳しい難燃性と機械的特性を両立することができなかった。
本発明は、このような従来技術の欠点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、機械的特性に優れるとともにUL−VW−1燃焼試験に合格するような非常に高度な難燃性を有し、生産性に優れ、例え燃焼したとしても燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生しない難燃性電気絶縁組成物を提供することにある。
上記目的を達成するべく、本発明による難燃性電気絶縁組成物は、オレフィン系ポリマー100重量部に対し、無機水和物100重量部以上300重量部以下、無機リチウム化合物0.5重量部以上50重量部以下、及びアクリルゴム1重量部以上50重量部以下を含有することを特徴とするものである。
また、上記オレフィン系ポリマーが、エチレン−不飽和エステル共重合体であることが考えられる。
また、上記無機リチウム化合物が、炭酸リチウムであることが考えられる。
また、上記アクリルゴムが、エチレン−アクリルゴムであることが考えられる。
また、上記オレフィン系ポリマーが、エチレン−不飽和エステル共重合体であることが考えられる。
また、上記無機リチウム化合物が、炭酸リチウムであることが考えられる。
また、上記アクリルゴムが、エチレン−アクリルゴムであることが考えられる。
本発明によれば、上記組成物の配合により、優れた機械的特性を維持したまま、UL−VW−1燃焼試験に合格するような非常に高度な難燃性を得ることができる。また、燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生させることもない。
以下、本発明による難燃性電気絶縁組成物の各構成について説明する。
本発明において使用されるオレフィン系ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を併用して使用される。また、これらを主成分とし、これらとともに架橋可能な成分を適当に含有させても良い。
これらのオレフィン系ポリマーの中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン−不飽和エステル共重合体を使用することが好ましい。エチレン−不飽和エステル共重合体であれば、後述する無機水和物やリチウム化合物等のフィラー成分を多量に配合しても、機械的特性の低下が起こりにくいため好ましい。エチレン−不飽和エステル共重合体の中でも、特に、不飽和エステル成分の含有量が高いものが好ましい。
本発明におけるオレフィン系ポリマーは、機械的特性向上などの必要に応じて不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンを含んでいても良い。不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレンやエチレンアクリル酸エステル共重合体(EMA)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンブチルアクリレート共重合体(EBA)、エチレン酢酸ビニル共重合体等のエチレン系共重合体などに、不飽和カルボン酸やその誘導体を反応させて変性させたものを使用することができる。不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは無水マレイン酸変性ポリオレフィンが挙げられ、更に好ましくはエチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸の三元共重合体又はエチレン−ブテン−無水マレイン酸の三元共重合体が挙げられる。不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンを配合する場合は、オレフィン系ポリマー中、10重量%以下が配合されていることが好ましい。10重量%を超えると、難燃性が悪くなる傾向にある。
無機水和物は、熱分解時の吸熱作用、水蒸気発生による可燃性ガス及び酸素の希釈作用、あるいはオレフィン系ポリマーの炭化促進、断熱層の形成作用により、高度な難燃性を付与することができる。無機水和物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム、硼酸亜鉛、硼砂、ヒドロキシ錫酸亜鉛などが挙げられ、単独ないしは2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうちでは、オレフィン系ポリマーの分解温度付近で結晶水を放出し、吸熱量の大きい水酸化マグネシウムが好ましい。金属水和物の粒径としては難燃性、混練り性、押出加工性、機械的特性(強度及び伸び)の点で0.1〜30μmが好ましく、0.3〜3μmのものが更に好ましい。無機水和物の粒径が30μm以上では機械的特性に影響が出るおそれがあり、0.1μm以下では溶融時の粘度が上昇し、押出加工性に影響が出るおそれがある。また、無機水和物として、各種カップリング剤や脂肪酸などにより表面処理されたものを使用すれば、オレフィン系ポリマー中での分散状態が良好となるため好ましい。無機水和物は、オレフィン系ポリマー100重量部に対し100重量部以上300重量部以下含有されることが好ましい。100重量部未満では、目的とする高度な難燃性が得られず、300重量部を超えると組成物の粘度が上がり押出等の加工性が著しく低下する上に、機械的特性の低下が大きく実用的でない。
上記無機水和物に加えて無機リチウム化合物を添加することにより、難燃性を大幅に向上させることができる。無機リチウム化合物としては、炭酸リチウム、ホウ酸リチウム、リン酸リチウム、フッ化リチウム等が挙げられ、特に好ましくは炭酸リチウムが使用される。この無機リチウム化合物は、オレフィン系ポリマー100重量部に対し、0.5重量部以上添加させることが好ましく、0.5重量部未満では難燃性の大幅な向上を得ることができない。
更にアクリルゴムを加えることにより、機械的特性を向上することができる。本発明においては、上記のように無機水和物に加えて無機リチウム化合物を添加するように、粉体の成分を多量に配合することになる。この多量の粉体の配合は、機械的特性を低化させることにつながるのだが、アクリルゴムを加えることによって、この機械的特性の低下を防止することが可能となる。アクリルゴムとしては、例えば、クロロエチルビニルエーテル−アクリル酸エステル共重合体ゴム、エチレン−カルボキシル−アクリル酸エステル共重合体ゴム、アリルグリシジルエーテル−アクリル酸エステル共重合体ゴム、エチレン−アクリル酸メチル共重合体ゴム等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体ゴムなどが挙げられる。これらアクリルゴムの中でも、エチレンとアクリル酸エステルを共重合した、或いは、エチレンとアクリル酸エステルとカルボシキル化合物を共重合したエチレン−アクリルゴムであれば、照射架橋法による架橋が可能であるため好ましい。照射架橋法ではなく化学架橋法により架橋をする場合は、組成物を混練する際や押出成型する際などに加熱条件を厳密に設定しないと、その加熱により架橋してしまったり、スコーチが発生したりすることも考えられるためである。また、エチレン−アクリルゴムを使用することで、燃焼開始時に発泡層や炭化層を形成することになるため、難燃性を更に向上させる効果がある。このアクリルゴムは、オレフィン系ポリマー100重量部に対し1重量部以上50重量部以下含有されることが好ましい。1重量部未満では、機械的特性の低下を防止する効果が充分に得られず、50重量部を超えると組成物の粘度が上がり押出等の加工性が著しく低下し、生産性に劣ることとなる。
また、本発明による難燃性電気絶縁組成物には、シリコーンゴムを添加しても良い。シリコーンゴムを添加することにより、機械的特性の低下を抑えるとともに、シャークスキンやピンホールの発生を抑え、生産性に優れたものとすることができる。シリコーンゴムとしては、例えば、フロロシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴムなどが挙げられる。これらは、所定量の充填剤を含有したものが、シリコーンゴムコンパウンドとして各種市販されているのでそれらを用いても良い。シリコーンゴムの添加量は、オレフィン系ポリマー100重量部に対して、好ましくは、20重量部以下とする。20重量部を超えると、逆に得られる組成物の機械的特性(特に、引張強度)が低下してしまうおそれがある。
また、本発明の難燃性電気絶縁組成物には、メラミン化合物を添加しても良い。メラミン化合物は、燃焼時における熱分解時に不燃性ガスを発生し、炎近傍の酸素を希釈するとともに、分解反応と気化による吸熱作用により高度な難燃性を付与するものと考えられる。メラミン化合物としては、例えば、メラミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、メロン、メラミンモノフォスフェート、メラミンピロフォスフェート、
メラミンポリフォスフェートなどが挙げられる。これらのうちでは、オレフィン系ポリマーの分解温度付近で分解及び気化するメラミンシアヌレートが難燃性の向上に最も効果的であるため好ましい。メラミン化合物の配合量は、オレフィン系ポリマー100重量部に対して75〜150重量部であることが好ましい。メラミンシアヌレートの配合量が75重量部未満では難燃性向上の効果が充分得られず、一方、150重量部を越えた場合、逆に難燃性が低下することになるとともに機械的特性(伸び)も低下してしまうおそれがある。
メラミンポリフォスフェートなどが挙げられる。これらのうちでは、オレフィン系ポリマーの分解温度付近で分解及び気化するメラミンシアヌレートが難燃性の向上に最も効果的であるため好ましい。メラミン化合物の配合量は、オレフィン系ポリマー100重量部に対して75〜150重量部であることが好ましい。メラミンシアヌレートの配合量が75重量部未満では難燃性向上の効果が充分得られず、一方、150重量部を越えた場合、逆に難燃性が低下することになるとともに機械的特性(伸び)も低下してしまうおそれがある。
本発明の難燃組成物には、難燃性、機械的特性等の特性を損なわない範囲内で一般的に使用される各種の添加剤、例えば、老化防止剤、金属不活性化剤、滑剤、
充填剤、カップリング剤、分散剤、着色剤等を適宜添加することができる。老化防止剤としては着色、汚染性の心配のない老化防止剤、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピネート]、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4−8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンの様なフェノール系酸化防止剤、2−メルカプトベンゾイミダゾール及びその亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールなどのベンゾイミダゾール系老化防止剤などが挙げられる。
充填剤、カップリング剤、分散剤、着色剤等を適宜添加することができる。老化防止剤としては着色、汚染性の心配のない老化防止剤、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピネート]、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4−8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンの様なフェノール系酸化防止剤、2−メルカプトベンゾイミダゾール及びその亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールなどのベンゾイミダゾール系老化防止剤などが挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロ キシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンなどがあげられる。滑剤としてはパラフィン、炭化水素樹脂、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、高級アルコールなどが挙げられる。
本発明の難燃性組成物は架橋を行うことにより、難燃性、機械的特性、耐熱性を向上させることができる。架橋の方法については特に規定はしないが、有機過酸化物を用いた化学架橋法や放射線エネルギーを用いた電子線架橋法を利用することができる。架橋方法として有機過酸化物による化学架橋法を利用する場合、有機過酸化物としてはジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどが架橋効率、分解開始温度の点で好まし
い。電子線架橋を利用する場合、電子線の照射量は4〜20Mradが好ましい。4Mrad未満の照射量では十分な架橋度が得られず、難燃性、機械的特性、耐熱性が不十分となる。20Mrad以上では破断時の伸びが低下し、実用に耐えない。難燃性組成物には架橋効率を高める目的でエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、メタクリル酸亜鉛、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどの架橋助剤を添加しても良い。
い。電子線架橋を利用する場合、電子線の照射量は4〜20Mradが好ましい。4Mrad未満の照射量では十分な架橋度が得られず、難燃性、機械的特性、耐熱性が不十分となる。20Mrad以上では破断時の伸びが低下し、実用に耐えない。難燃性組成物には架橋効率を高める目的でエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、メタクリル酸亜鉛、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどの架橋助剤を添加しても良い。
以下、本発明の実施例を比較例と併せて説明する。表3に示した配合材料を表1〜3に示した配合部数で配合して、80〜150℃のオープンロールにより混練りし、得られた難燃性組成物を汎用の電線用押出機を使用して、導体径0.48mmのスズメッキ軟銅撚り線に0.27mmの厚さで被覆した。更にこの被覆電線を8Mradの照射量電子線照射し、架橋を行った。
このようにして得られた電線を試料として下記の評価方法により評価した。その結果を表1〜2に併せて示す。尚、表1〜2中の各成分量は重量部単位である。
評価方法は以下の通りである。
機械的特性:
UL758.14に準拠して評価を行った。電線より取り出した管状の試験片を引張速度500mm/minで引張り、破断した際の強度と伸びを測定した。引張強度10.3MPa以上、引張伸び150%以上のものを合格とした。
耐熱性:
UL758.14に準拠して評価を行った。電線より取り出した管状の試験片について136℃の雰囲気中にて168時間加熱保持した後、引張り速度500mm/minで引張り、破断した際の強度と伸びを測定した。この測定結果を加熱試験前の引張強度、引張伸びの値を除して残率を計算した。強度残率70%以上、伸び残率50%以上のものを合格(○)とし、これに満たないものを不合格(×)とした。
難燃性:
UL758.41(VW−1燃焼試験)に準拠して評価を行った。各サンプル10本について評価を行い、5回の接炎後、フラッグの25%が燃焼しなかったサンプルが8本以上のものを合格(○)、7本以下のものを不合格(×)とした。
生産性:
所定の線速で押出成型をした際の表面の平滑性を確認した。線速50m/minで表面が平滑なものを合格(○)、表面にシャークスキンやピンホール等が発生したものを不合格(×)とした。
電気特性:
JASO−D618に準拠し体積抵抗を測定する。合否の基準としては、109Ω・mm以上のものを合格(○)とし、これに満たないものを不合格(×)とした。
機械的特性:
UL758.14に準拠して評価を行った。電線より取り出した管状の試験片を引張速度500mm/minで引張り、破断した際の強度と伸びを測定した。引張強度10.3MPa以上、引張伸び150%以上のものを合格とした。
耐熱性:
UL758.14に準拠して評価を行った。電線より取り出した管状の試験片について136℃の雰囲気中にて168時間加熱保持した後、引張り速度500mm/minで引張り、破断した際の強度と伸びを測定した。この測定結果を加熱試験前の引張強度、引張伸びの値を除して残率を計算した。強度残率70%以上、伸び残率50%以上のものを合格(○)とし、これに満たないものを不合格(×)とした。
難燃性:
UL758.41(VW−1燃焼試験)に準拠して評価を行った。各サンプル10本について評価を行い、5回の接炎後、フラッグの25%が燃焼しなかったサンプルが8本以上のものを合格(○)、7本以下のものを不合格(×)とした。
生産性:
所定の線速で押出成型をした際の表面の平滑性を確認した。線速50m/minで表面が平滑なものを合格(○)、表面にシャークスキンやピンホール等が発生したものを不合格(×)とした。
電気特性:
JASO−D618に準拠し体積抵抗を測定する。合否の基準としては、109Ω・mm以上のものを合格(○)とし、これに満たないものを不合格(×)とした。
表1に示すように、本発明による難燃性電気絶縁組成物は、非常に高度な難燃性と優れた機械的特性を兼ね備えたものであることが確認された。また、ハロゲン系難燃剤を使用しておらず、難燃性の試験の後にも、有害なハロゲン系ガスを発生していなかったことが確認された。一方、無機水和物の配合量が本発明の範囲未満である比較例1は、難燃性の試験に不合格となり、無機水和物の配合量が本発明の範囲を超える比較例2は、機械的特性が合格の値に満たないものであった。また、無機リチウム化合物の配合量が本発明の範囲未満である比較例3は、難燃性の試験に不合格となり、無機リチウム化合物の配合量が本発明の範囲を超える比較例4は、機械的特性が合格の値に満たないものであった。また、アクリルゴムの配合量が本発明の範囲未満である比較例5は、機械的特性が合格の値に満たないものであり、アクリルゴムの配合量が本発明の範囲を超える比較例6は、生産性が不合格であった。また、オレフィン系ポリマー1として酢酸ビニル(不飽和エステル成分)の含量の多いものである実施例1、及び、メラミンシアヌレートを配合した参考例1は、消火までの時間が非常に短く、特に高度な難燃性を有するものであった。
以上説明したとおり、本発明による難燃性電気絶縁組成物は、機械的特性に優れるとともにUL−VW−1燃焼試験に合格するような非常に高度な難燃性を有し、生産性に優れ、例え燃焼したとしても燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生しないものである。従って、例えば、電線,ケーブルの絶縁材料やシース材料をはじめとした、種々の絶縁体として好適に使用することができる。
Claims (4)
- オレフィン系ポリマー100重量部に対し、無機水和物100重量部以上300重量部以下、無機リチウム化合物0.5重量部以上50重量部以下、及びアクリルゴム1重量部以上50重量部以下を含有することを特徴とする難燃性電気絶縁組成物。
- 上記オレフィン系ポリマーが、エチレン−不飽和エステル共重合体であることを特徴とする請求項1記載の難燃性電気絶縁組成物。
- 上記無機リチウム化合物が、炭酸リチウムであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の難燃性電気絶縁組成物。
- 上記アクリルゴムが、エチレン−アクリルゴムであることを特徴とする請求項1〜請求項3何れか記載の難燃性電気絶縁組成物。
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---|---|---|---|
JP2011117338A JP2012246349A (ja) | 2011-05-25 | 2011-05-25 | 難燃性電気絶縁組成物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015076241A1 (ja) * | 2013-11-21 | 2015-05-28 | 矢崎総業株式会社 | 絶縁体組成物及びこれを用いた被覆電線 |
JP2019123820A (ja) * | 2018-01-18 | 2019-07-25 | 株式会社クラベ | 難燃性電気絶縁組成物及び電線 |
-
2011
- 2011-05-25 JP JP2011117338A patent/JP2012246349A/ja not_active Withdrawn
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