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JP2012102173A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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JP2012102173A JP2010249521A JP2010249521A JP2012102173A JP 2012102173 A JP2012102173 A JP 2012102173A JP 2010249521 A JP2010249521 A JP 2010249521A JP 2010249521 A JP2010249521 A JP 2010249521A JP 2012102173 A JP2012102173 A JP 2012102173A
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styrene
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Toru Arai
亨 荒井
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

【課題】
本発明の課題は、力学物性、難燃性と耐傷つき摩耗性や耐白化性の良好な表面特性を有する難燃性樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】
本発明は、クロス共重合体80〜30質量部、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜70質量部の合計100質量部に対し、少なくともリン酸エステル系難燃剤10質量部〜40質量部を含む難燃性樹脂組成物であり、押し出し成形や射出成形によりケ−ブル、ワイヤ、ハーネス等各種電線被覆材やプラグ、ソケット等の絶縁材料、機器内絶縁材として有用な難燃性樹脂組成物を提供できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、クロス共重合体及び特定の難燃剤を含む、難燃性と表面特性に優れた難燃性樹脂組成物である。
電線被覆材の分野では、樹脂及び難燃剤双方に環境への配慮が求められている。従来用いられている塩化ビニル樹脂は軟質であり難燃性に優れるが、分子中に塩素を多量に含み、また組み合わせて用いられる難燃剤の一部に安全性が懸念されるため、より環境に対する負荷が少ない代替材料が求められている。
そこで、非ハロゲン系の樹脂と各種難燃剤の組み合わせが電線被覆材として提案されている。SEBS等の水添ブロック共重合体とポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂からなる樹脂組成物(特許文献1)に特定の難燃剤を配合した被覆材(特許文献2)、エチレン−スチレン共重合体に難燃剤を添加した被覆材(特許文献3)、エチレン−スチレン系のクロス共重合体とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる樹脂組成物に難燃剤を配合した被覆材(特許文献4)が知られている。さらに自動車用途や各種携帯家電製品の分野では絶え間ない振動、接触によるこすれに対する優れた耐久性、特に耐摩耗性が要求される。そのため、特定の樹脂組成物と難燃剤の組み合わせによる耐摩耗性の高い電線被覆材が提案されている(特許文献5)。
US3994856 特許第3797895号 特開2000−119456 WO2009−128444 WO2006−065502
本発明の目的は、難燃性と表面特性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することである。
クロス共重合体80〜30質量部、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜70質量部の合計100質量部に対し、少なくともリン酸エステル系難燃剤10〜40質量部を含む難燃性樹脂組成物である。
本難燃性樹脂組成物は、難燃性に優れ、耐屈曲白化性や耐傷つき摩耗性に優れ、ケ−ブル、ワイヤ、ハーネス等各種電線被覆材やプラグ、ソケット等の絶縁材料、機器内絶縁材として有用である。
本発明は、クロス共重合体80〜30質量部、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜70質量部の合計100質量部に対し、少なくともリン酸エステル系難燃剤10質量部〜40質量部を含む難燃性樹脂組成物である。
クロス共重合体とは配位重合により得られるオレフィン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体及び芳香族ビニル化合物モノマーの共存下でアニオン重合を行うことにより得られる共重合体であり、オレフィン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖(主鎖と記載される場合もある)と芳香族ビニル化合物重合体鎖(側鎖と記載される場合もある)を有する共重合体である。本クロス共重合体及びその製造方法はWO2000−37517、US6559234、またはWO2007−139116の各特許公報に記載されている。
ここで芳香族ビニル化合物としては、スチレンおよび各種の置換スチレン、例えばp−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン等が挙げられる。工業的には好ましくはスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、特に好ましくはスチレンが用いられる。
オレフィンとしては、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、すなわちプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが挙げられる。本発明においてはオレフィンの範疇に環状オレフィンも含まれ、本環状オレフィンの例としては、ビニルシクロヘキサンやシクロペンテン、ノルボルネン等が挙げられる。好ましくは、エチレンまたはエチレンとα−オレフィンすなわちプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテン等の混合物が用いられ、更に好ましくは、エチレンが用いられる。
芳香族ポリエンとは、10以上30以下の炭素数を持ち、複数の二重結合(ビニル基)と単数または複数の芳香族基を有し配位重合可能なモノマーであり、二重結合(ビニル基)の1つが配位重合に用いられて重合した状態において残された二重結合がアニオン重合可能な芳香族ポリエンである。好ましくは、オルトジビニルベンゼン、パラジビニルベンゼン及びメタジビニルベンゼンのいずれか1種または2種以上の混合物が好適に用いられる。さらにクロス共重合体のうち、好ましくは主鎖がエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体であり、かつ側鎖がポリスチレン鎖であるクロス共重合体が最も好ましく用いられる。
本発明に用いられる好ましいクロス共重合体は、芳香族ビニル化合物がスチレン、オレフィンがエチレン、芳香族ポリエンがジビニルベンゼンである場合以下の条件を満たす。例えば、クロス共重合体の製造における配位重合工程で得られるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の組成は、スチレン含量が5モル%以上40モル%以下、ジビニルベンゼン含量が0.01モル%以上3モル%以下、さらに好ましくは0.01モル%以上0.5モル%以下、重量平均分子量が3万以上20万以下である。
難燃性樹脂組成物として用いる場合、エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量が5モル%未満では可撓性が乏しくなる場合があり、また40モル%より高い場合、低温での軟質性が低なしてしまう恐れがある。エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の重量平均分子量が3万未満では力学強度が劣る場合があり、20万を超えると成型加工性に劣る恐れがある。ジビニルベンゼン含量が0.01モル%未満の場合には、クロス共重合体自体の優れた力学物性、耐熱性が低下してしまい、3モル%または0.5モル%を越えると成型加工性が低下する場合がある。
さらに最終的に得られるクロス共重合体に占める本エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の質量割合が30質量%以上95質量%以下、好ましくは40質量%以上90質量%以下である。エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の質量割合がこれら値未満では、最終的に得られる難燃性樹脂組成物の可撓性が低下し、これら値を超えると耐熱性が低下してしまう場合がある。
本発明の難燃性樹脂組成物に対し良好な難燃性を付与するためには、本クロス共重合体に含まれる総スチレン含量は樹脂全体質量に対し好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上である。これら未満の場合、良好な難燃性、具体的にはUL94V規格におけるV1を満足することが困難となる。ここで総スチレン含量とは含まれるオレフィン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖に含まれるスチレンユニットと芳香族ビニル化合物重合体鎖に含まれるスチレンユニットの合計量である。本クロス共重合体に含まれる総スチレン含量が上記の条件を満たすように、オレフィン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の組成やその含まれる割合は本願の規定する範囲内で自由に調整できる。
本発明に用いるポリフェニレンエ−テル系樹脂は、実質的に以下の一般式(1)で示されるポリフェニレンエ−テル単位から構成される樹脂であり、必要に応じて他に芳香族ビニル化合物系重合体を樹脂質量に対して最大80質量%まで、好ましくは50質量%まで含む場合がある。
Figure 2012102173


式中、Raは、炭素1〜4のアルキル基、ハロゲン化アルキル基から選ばれる基である。Rbは、水素、炭素1〜4のアルキル基、ハロゲン化アルキル基から選ばれる基であり、少なくとも一方は水素である。
Xは繰り返し単位を示す2以上の整数であり、本ポリフェニレンエーテル単位は、樹脂中互いに同一でも異なっていても良い。
この様な例としてはポリ(2,6−ジメチル−1、4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテルポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル単位等の単独の繰り返し構造からなる重合体またはこれら単位の共重合体が挙げられる。ポリフェニレンエーテル共重合体は、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体あるいはo−クレゾールとの共重合体あるいは2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を含む。さらに、種々のフェニレンエーテルユニット、例えばアミノメチル基やN−フェニルアミノメチル基を有するフェニレンエーテル単位を全体の20重量%まで、その部分構造として共重合していても良い。
本発明に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂の分子量は、特に限定されることはないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算重量平均分子量で2,000〜300,000で、成形加工性を考慮した場合、その好ましい範囲は約5,000〜100,000である。
一般にポリフェニレンエーテル系樹脂は、芳香族ビニル化合物系重合体を含む変性樹脂として供給される場合が多い。
ポリフェニレンエーテル系樹脂に含まれる芳香族ビニル化合物系重合体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物の単独重合体またはこれらの共重合体等が挙げられる。芳香族ビニル化合物と共重合可能なモノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、その他の共役ジエン類、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらのアミド誘導体やエステル誘導体、アクリロニトリル、無水マレイン酸及びその誘導体が挙げられる。芳香族ビニル化合物系重合体のポリスチレン換算重量平均分子量は、3万から50万の範囲である。また、これらの樹脂をポリブタジエン等のゴムで補強したいわゆるハイインパクトポリスチレン(HIPS)でも良い。芳香族ビニル化合物系重合体は、本発明に用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂全質量に対して80質量%まで含むことができる。
本発明で用いることが可能なポリフェニレンエーテル系樹脂は、例えばSABIC Innovative Plastics社から製品名ノリルとして、また旭化成ケミカルズ社からは製品名ザイロンとして、三菱エンジニアリングプラスチックス社からは製品名ユピエースとして入手することができる。
<難燃剤>
以下、本発明に用いることができるリン酸エステル系難燃剤は、各種のリン酸エステル系であるが、最も好ましくは芳香族環とリン酸基を分子内に含む芳香族のリン酸エステルである。この様な芳香族のリン酸エステルとしては、TPP(トリフェニルホスフェート、リン酸トリフェニル)、CDP(クレジルジフェニルホスフェート),TCP(リン酸トリクレジル)、TXP(トリキシレニルホスフェート),トリス(t-ブチル化フェニール)フォスフェート,トリス(i-プロピール化フェニール)フォスフェート,2-エチールヘキシールジフェニールフォスフェートなどが例示できる。これらは、アルベマール日本(株)、大八化学工業(株)、旭電化(株)等から入手できる。芳香族以外のリン酸エステル系難燃剤としては、TMP(トリメチルフォスフェート)、TEP(トリエチルフォスフェート)等がある。本発明ではハロゲンを含むリン酸エステルも用いることが出来るが、好ましくはハロゲンを分子内に含まないリン酸エステル系難燃剤が用いられる。
本発明ではリン酸エステル系難燃剤の他に、適宜赤リン、1,3,5−トリアジン誘導体等の含窒素化合物、塩素化パラフィン、臭素化パラフィン等のハロゲン含有化合物の難燃剤を配合することが可能である。また、さらに公知の難燃助剤、例えばテフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂や各種酸化防止剤、老化防止剤を添加しても良い。酸化防止剤としては、フェノール系、硫黄系、燐系の各種酸化防止剤が用いられるが好ましくはフェノール系を用いる。この様な酸化防止剤はirganoxとしてチバジャパン社から入手できる。
上記リン酸エステル系難燃剤にさらに無機難燃剤を用いることも出来る。このような例としてはアンチモン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が例示できる。これらは、本発明の難燃性樹脂組成物100質量部に対し、0〜150質量部の範囲で用いられるが、樹脂の表面特性改善、例えば耐屈曲白化性の抑制や耐傷つき性改善のためにはその使用量は少ない方が好ましく、例えば0〜30質量部の範囲で用いられる。
本発明の難燃性樹脂組成物はクロス共重合体80〜30質量部、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜70質量部の合計100質量部、他にリン酸エステル系難燃剤10質量部〜40質量部、その他必要に応じて他の添加剤からなる。クロス共重合体とポリフェニレンエーテル系樹脂の配合割合は、求められる難燃性樹脂組成物の用途、硬度、力学物性、耐熱性に対応し、上記範囲内で適宜変更できる。特に、クロス共重合体の配合割合が高ければより軟質に、ポリフェニレンエーテル系樹脂の配合割合が高ければより硬質に、高耐熱性になる。本難燃性樹脂組成物の硬度は、D硬度で概ね20〜80の範囲となる。本難燃性樹脂組成物は、引張試験において50%以上の破断点伸びと、およそ10MPa以上100MPaまでの破断点強度を有することができる。本発明の配合処方において、クロス共重合体を用いた場合水添ブロック共重合体を用いた場合と同様の耐熱性を有することができる。ここで、粘弾性スペクトル測定装置を用いて得られる貯蔵弾性率(E‘)が低下し1×10Paに達する温度を本耐熱性の指標とした。本難燃性樹脂組成物では本温度は120℃以上を示すことができる。本難燃性樹脂組成物は良好な成形加工性を示し、具体的には230℃、荷重98Nで測定したMFR値が10g/10min以上であり、押し出し成形のみならず射出成形にも適用することが可能である。また、優れた表面特性、例えば耐傷つき摩耗性や耐屈曲白化性を示すことが出来る。
また、本難燃性樹脂組成物は高い難燃性を示すことが出来る特徴がある。例えば、同じ配合で比較した場合、クロス共重合体を水添ブロック共重合体(SEBSやSEPS)やポリオレフィン系樹脂で置き換えた樹脂組成物より優れた難燃性を示す。そのため、高価な難燃剤の使用量を減じることも可能であり、難燃剤の配合による樹脂物性低下も軽減することが出来る。
本難燃性樹脂組成物には公知の各種樹脂成型方法を用いることが可能で、例えば押出成形、射出成形が好ましく採用される。
本難燃性樹脂組成物は、以上のように難燃性に優れ、耐屈曲白化性や耐傷つき摩耗性に優れ、ケ−ブル、ワイヤ、ハーネス等各種電線被覆材やプラグ、ソケット等の絶縁材料、機器内絶縁材として有用である。
以下、実施例により、本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
<原料樹脂>
実施例、比較例に用いた原料樹脂は以下の通りである。
下記クロス共重合体は、WO200−37517、またはWO2007−139116号公報記載の製造方法で製造したもので、下記組成は、同様にこれら公報記載の方法で求めた。これらのクロス共重合体は配位重合により得られるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体とスチレンモノマーの共存下でアニオン重合を行うことにより得られる、エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖を有する共重合体である。以下、クロス共重合体を規定するために、用いられるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量、ジビニルベンゼン含量、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、クロス共重合体中のエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量、ポリスチレン鎖の分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を示す。また、全スチレン含量は、クロス共重合体に含まれるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖に含まれるスチレン含量を合計した含量である。
クロス共重合体1
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量25モル%、ジビニルベンゼン含量0.035モル%、Mw=145000、Mw/Mn=2.3
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量80質量%、
ポリスチレン鎖のMw=37000、Mw/Mn=1.2
全スチレン含量64質量%、
クロス共重合体2
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量15モル%、ジビニルベンゼン含量0.040モル%、Mw=70000、Mw/Mn=2.2、
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量67質量%、
ポリスチレン鎖のMw=35000、Mw/Mn=1.2
全スチレン含量60質量%
エチレン−スチレン共重合体1
スチレン含量41質量%(16モル%)、Mw=120000、Mw/Mn=2.2
上記エチレン−スチレン共重合体はJP3659760号公報記載の製造方法で製造した。
SEBS(旭化成社H−1053)
使用した以上の樹脂の物性は表1にまとめて示した。
他にPPE(ポリフェニレンエ−テル、三菱エンジニアリングプラスチックス社PX−100F)
を使用した。
Figure 2012102173
<原料難燃剤>
リン酸トリフェニル(TPP、大八化学社製)
芳香族縮合リン酸エステル(CR−741、大八化学社製)
Irganox1076(BASF、チバジャパン社製)
水酸化マグネシウム(マグシーズN、神島化学工業社製)
<混練法>
バンバリ式混練機(東洋精機社製ラボプラストミルB−250)を用い、添加物の合計約200gを260℃、100rpm、5分間混練し樹脂組成物を作製した。
<シート作製>
サンプルシートは加熱プレス法(温度200℃、予熱時間5分間、加圧時間3分間、圧力50kg/cm)により成形した厚さ1mm(引張試験用、各種摩耗試験用)、厚さ0.5mm(粘弾性スペクトル測定用)及び厚さ4mm(燃焼性試験用)のシ−トを用いた。
<引張試験>
JIS K−6251に準拠し、得られたフィルムを2号1/2号型テストピース形状にカットし、島津製作所AGS−100D型引張試験機を用い、引張速度500mm/minにて初期引張弾性率、破断点伸び、破断強度を測定した。
<粘弾性スペクトル>
上記加熱プレス法により得た厚み約0.5mmのフィルムから測定用サンプル(3mm×40mm)を切り出し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社RSA−III)を使用し、周波数1Hz、温度領域−50℃〜+250℃の範囲で測定した。貯蔵弾性率(E‘)が低下し1×10Paに達する温度を耐熱温度の指標として用いた。
測定パラメ−タ−は以下の通り。
測定周波数1Hz
昇温速度4℃/分
サンプル測定長10mm
Initial Static Force 5.0g
Auto Tension Sensitivity 1.0g
Max Auto Tension Rate 0.033mm/s
Max Applied Strain 1.5%
Min Allowed Force 1.0g
<燃焼性試験>
UL94Vに従い実施した。サンプルはプレス成形で得られた厚さ4mmシートを125mm×13mmの大きさにカットして作成した。サンプルは室温23℃±2℃、湿度50%±5%中に48時間放置し、測定は20℃、湿度48%の条件下で行った。
<ラビング摩耗試験>
厚さ1mmのシ−トを用い、学振型摩擦堅牢度試験機(テスタ−産業株式会社製)により6号帆布、加重0.5kgの条件で1万回往復摩耗を行った後の摩耗質量変化と表面の目視、感触による評価を行った。
摩耗質量(mg)=摩耗試験前の質量(mg)−摩耗試験後の質量(mg)
目視/触感評価
◎ 触感が平滑で表面の傷が目立たない
○ 触感で多少凸凹が感じられ表面の傷が見える
× 表面の削れまたは摩耗面の凹みが明らかで、表面が荒れている。または、1万回未満でシ−トが貫通した場合。
<針金摩耗試験>
上記ラビング摩耗試験において、シ−トの下に5mmφの銅ワイヤ−を敷き、ワイヤ−によるシ−トの凸部を6号帆布、荷重0.5kgの条件で往復摩耗し、シ−トが摩耗により貫通するまでの往復摩耗回数を記録した。
往復摩耗回数10000回まで実施し、貫通しなかったサンプルは、貫通せずとした。
<白化試験>
MFR測定を行い得られたストランド(直径約1.5mm)を、直径2mmのワイヤーに巻き付け、ストランド表面を観察した。白化が認められなかった場合○、認められた場合×とした。
<実施例1>
樹脂成分としてクロス共重合体1及びPPE、難燃材成分としてTPP、難燃助剤としてIrganox1076、滑剤としてエルカ酸アミドを表2に示す配合で仕込み、バンバリ式混練機で上記条件で混練して樹脂組成物を得た。加熱プレス法により各シートを作成し各評価を行った。
<実施例2〜4>
配合組成、クロス共重合体、難燃材を変更し、他は実施例と同様にして樹脂組成物を合成し、各評価を行った。
Figure 2012102173
<比較例1>
用いられる難燃材TPPを本発明の範囲外にした以外は実施例1と同様に樹脂組成物を合成し、各評価を行った。
<比較例2、3>
クロス共重合体の代わりにSEBSを用い、他は実施例と同様に樹脂組成物を合成し、各評価を行った。
<比較例4>
難燃材としてリン酸エステル系難燃材の代わりに水酸化マグネシウムを用い、他は実施例と同様に樹脂組成物を合成し、各評価を行った。
<比較例5>
クロス共重合体の代わりにエチレン−スチレン共重合体を用い、他は実施例と同様に樹脂組成物を合成し、各評価を行った。
各実施例で得られた樹脂組成物は、良好な力学物性、成形加工性、耐熱性を示し、さらに良好な難燃性及び耐摩耗性、耐屈曲白化性を示した。これに対し、難燃材の配合量が本願発明の範囲を外れた場合、難燃性は不足となった。クロス共重合体の代わりに、SEBSやほぼ同一硬度のエチレン−スチレン共重合体を用いた場合も難燃性は不足となった。SEBSを用いた場合は他に耐摩耗性も不足であり、エチレン−スチレン共重合体を用いた場合は耐熱性が不足であった。難燃材として水酸化マグネシウムを用いた場合は、耐屈曲白化性が未達であった。

Claims (1)

  1. クロス共重合体80〜30質量部、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜70質量部の合計100質量部に対し、少なくともリン酸エステル系難燃剤10質量部〜40質量部を含むことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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