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JP2012198041A - 時計用車のスリップ構造及びこれを用いた時計 - Google Patents

時計用車のスリップ構造及びこれを用いた時計 Download PDF

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JP2012198041A JP2011060771A JP2011060771A JP2012198041A JP 2012198041 A JP2012198041 A JP 2012198041A JP 2011060771 A JP2011060771 A JP 2011060771A JP 2011060771 A JP2011060771 A JP 2011060771A JP 2012198041 A JP2012198041 A JP 2012198041A
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Natsuo Miyoshi
夏生 三好
Shigeo Suzuki
重男 鈴木
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Seiko Instruments Inc
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Seiko Instruments Inc
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Abstract

【課題】歯車部と軸部との間のスリップトルクがある程度高い状態においても長期間安定に動作され易い時計用車のスリップ構造及びこれを備えたアナログ時計の提供。
【解決手段】アナログ時計5の分歯車構造体3のスリップ構造1は、軸部30に嵌着されたセラミック製のブッシュ50と、弾性係合部において該ブッシュ50に対して嵌合された歯車部40であって、所定レベルよりも小さいトルクの作用下では該歯車部40とブッシュ50とが一体的に動き所定レベルよりも大きいトルクの作用下では該歯車部40がブッシュ50に対してスリップして回転するように、前記弾性係合部においてブッシュ50に対して弾性的に摩擦係合したもの40とを有する。典型的には、軸部30の端の凹部38内にブッシュ50が一端側の筒状部52で嵌合され、ブッシュ50の他端側の筒状部51に歯車部40の弾性係合部が摩擦係合している。
【選択図】図1

Description

本発明は時計用車のスリップ構造及びこれを用いた時計に係る。
針で時刻を表示するアナログ時計において表示時刻を修正する針合わせを行う場合、巻真を引出位置に設定してつづみ車と小鉄車とを噛合させておき、りゅうずを操作して巻真、つづみ車及び小鉄車を介して日の裏車を回すことにより筒かな及び筒車を回して分針及び時針を回す。この針合わせにおいては、筒かなと分歯車との間にスリップを生じさせて秒車に回転が伝わるのを防ぐ。
ここで、分歯車の弾性腕部で筒かなにスリップ係合されるようにした分歯車構造体において、筒かなと分歯車との間にスリップが生じるトルク(スリップトルク)を低く抑えるべく筒かなと分歯車との間の摩擦を小さするために、弾性腕部に撓み易い狭幅部を形成して弾性腕部のばね定数を低く抑えることは提案されている(特許文献1)。
しかしながら、この特許文献1のように小さなトルクでも筒かなと歯車部との間にスリップが生じ得るようにすると、小鉄車とつづみ車との噛合が解除されて小鉄車に回転負荷が実際上ない通常運針状態では、不測の外力を受けた場合に分針及び筒かなが増速側(負荷)につながった分歯車に対して回り易く、分針の位置ズレが生じる虞れが高くなるので、分針の長さを長くし難くなる。
一方、筒かなと分歯車との間の摩擦を大きくし過ぎてスリップトルクを大きくし過ぎると、針合わせの際に要するトルクが大きくなるので、りゅうずを回し難くなる虞れがあり、場合によっては、日の裏ピンが折れたりつづみ車や小鉄車に削れが生じたりする虞れがある。
また、金属製品である分歯車と筒かなの分歯車嵌合部との間のスリップトルクが高くなるような状態では金属部品相互の接触部における面圧ないし押圧力が高くなって相互間に凝着が生じ易くなり、該凝着によりスリップ開始の際の瞬間的な初動トルクが大きくなる虞れがある。
特開2003−194964号公報
本発明は、前記諸点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、歯車部と軸部との間のスリップトルクがある程度高い状態においても長期間安定に動作され易い時計用車のスリップ構造及びこれを備えたアナログ時計を提供することにある。
本発明の時計用車のスリップ構造は、前記目的を達成すべく、軸部に嵌着されたセラミック製のブッシュと、弾性係合部において該ブッシュに対して嵌合された歯車部であって、所定レベルよりも小さいトルクの作用下では該歯車部とブッシュとが一体的に動き所定レベルよりも大きいトルクの作用下では該歯車部がブッシュに対してスリップして回転するように、前記弾性係合部においてブッシュに対して弾性的に摩擦係合したものとを有する。
本発明の時計用車のスリップ構造では、「歯車部がセラミック製のブッシュに対して弾性係合部において摩擦係合し嵌合されている」ので、歯車部の弾性係合部とブッシュとが比較的強い面圧で摩擦係合していても、セラミック製のブッシュと歯車部(の弾性係合部)とが凝着され難いので、凝着に起因するひげトルクの生起の虞れが低いから、ブッシュと歯車部の弾性係合部とが比較的強く摩擦係合され得る。すなわち、ブッシュと歯車部の弾性係合部との間に適度な大きさのスリップトルクが働くので、一方では、分針が長い場合であっても、不測の外力が作用しても分針の位置ズレが生じ難く、他方では、凝着が生じる場合と異なりスリップトルクが過度に高くなる虞れも少ない。更に、本発明の時計用車のスリップ構造では、歯車部の弾性係合部と摩擦係合されてスリップするブッシュがセラミックからなり耐摩耗性が高いので、多数回のスリップが生じても、磨耗による損傷が最低限に抑えられ得る。また、金属と比較して硬いセラミック製ブッシュの表面粗さを十分に低減させておくことにより、該ブッシュに摩擦係合される歯車部の弾性係合部の磨耗も最低限に抑えられ得から、全体として、スリップ部(摺動部)の磨耗を最低限に抑え得る。
本発明の時計用車のスリップ構造では、典型的には、ブッシュが金属製の軸部に嵌着された状態で、歯車部の弾性係合部に対してスリップ係合されている。ここで、嵌着は、ブッシュを軸部に対して打込むことにより行われる。
本発明の時計用車のスリップ構造では、
(1)軸部の端のまわりにブッシュが嵌着されていても、
(2)軸部の端の凹部内にブッシュが一端側の筒状部で嵌合されて嵌着されていてもよい。
前者(即ち(1))の場合、ブッシュの外周に歯車部の弾性係合部が摩擦係合される。
後者(即ち(2))の場合、セラミック製のブッシュの前記一端側の筒状部に圧縮応力が働くので、ブッシュが安定に保たれ易い。なお、この(2)の場合、典型的には、ブッシュの他端側の筒状部に歯車部の弾性係合部が摩擦係合される。
本発明の時計用車のスリップ構造では、典型的には、自由端ほど径が大きくなるようにテーパの付いたブッシュの外周面に歯車部がスリップ係合されている。
その場合、歯車部がブッシュから抜ける虞れを最低限に抑え得る。なお、この場合、歯車部のブッシュに対するスリップ係合は、典型的には、歯車部をブッシュに対して打ち込むことにより実現される。
本発明の時計用車のスリップ構造では、典型的には、ブッシュが、ジルコニア、アルミナ及び炭化ケイ素からなる群から選択された少なくとも一種類のセラミック材料で形成されている。
その場合、時計用車のスリップ構造が安定に動作し易い。ここで、ジルコニアは、典型的には、靭性の高い安定化ジルコニアや部分安定化ジルコニアからなる。アルミナは、αアルミナからなり、ルビーでもよい。なお、所望ならば、ジルコニアやアルミナの代わりに他の酸化物でもよく、また、炭化ケイ素の代わりに、他の炭化物でも、窒化物でもよい。
一方、歯車部は、弾性係合部を備えることから、リン青銅や洋白やマンガン入り白銅の如くバネ性の高い金属材料からなる。但し、弾性係合部が所望の摩擦係合力を生じさせるに十分な面圧を与え得る限り、且つブッシュを構成するセラミック材料との間で凝着が生じる虞れがなく、該セラミック材料を構成する素材に対して相溶性が低い限り、他のバネ性金属材料であってもよく、またプラスチックでも良い。
本発明の時計用車のスリップ構造では、典型的には、歯車部が分歯車からなり、軸部が筒かなからなる。
その場合、秒針等のブレを避けつつ、適度な大きさの力でりゅうずを操作して針合わせえを行い得る。
本発明のアナログ時計は、前記目的を達成すべく、上述のような時計用車のスリップ構造を有する。
本発明の好ましい一実施例のスリップ構造を備えた分歯車構造体を有する本発明の好ましい一実施例のアナログ時計の断面説明図。 図1のアナログ時計の分歯車構造体の拡大断面説明図。 図1のアナログ時計の分歯車構造体のブッシュの拡大斜視説明図。 ブッシュの変形例についての図3と同様な斜視説明図。 ブッシュの別の変形例についての図3と同様な斜視説明図。 本発明の別の好ましい一実施例のスリップ構造を備えた分歯車構造体を有する本発明の別の好ましい一実施例のアナログ時計の断面説明図。 図6のアナログ時計の分歯車構造体の拡大断面説明図。 図6のアナログ時計の分歯車構造体のブッシュの拡大斜視説明図。 ブッシュの変形例についての図8と同様な斜視説明図。
本発明の好ましい実施の形態のいくつかを添付図面に示した好ましい実施例に基づいて説明する。
図1には、本発明の好ましい一実施例のスリップ構造1を備えた分歯車構造体3を有する本発明の好ましい一実施例の時計としてのアナログ時計5が示されている。
アナログ時計5は、地板11と輪列受12との間及び地板11の文字板13側に運針用輪列7を有する。運針用輪列7は、中心軸線Cのまわりで回転可能な時車20、分車構造体3及び秒車60と、日の裏車70とを含む。地板11を貫通する貫通孔14には中心パイプ15が取付けられている。
時車20は、地板11の文字板13側において中心パイプ15に回転自在に嵌合された比較的大径の筒状部21と時歯車ないし筒歯車22とを有する。筒状部21の先端23には時針24が取付けられている。
分車構造体3は、図1に加えて該分車構造体3の拡大断面説明図である図2からわかるように、筒かな30と、分歯車ないし二番歯車40と、筒かな30と二番歯車40とを結合するブッシュ50とを有する。
筒かな30は、図1及び図2からわかるように、地板11の輪列受12側に位置する小歯車部ないし二番かな部31と、該二番かな部31の文字板13側から中心パイプ15内を貫通して文字板13側に突出した中径筒状部32と、二番かな部31の輪列受12側に形成されたブッシュ取付部35とを有する。中径筒状部32の突出端部33には分針34が取付けられている。二番歯車40は、ブッシュ50を介して筒かな30にスリップ係合されている。
すなわち、筒かな30は、輪列受12側の端部36の端面37に凹部38を備え、該凹部38に、ブッシュ50が嵌着されている。
より詳しくは、ブッシュ50は、図1及び図2に加えてブッシュ50を拡大して示した斜視説明図の図3からわかるように、大径筒状部51と小径筒状部52とからなり、小径筒状部52で筒かな30の凹部38内に打込みにより嵌着されている。ブッシュ50の大径筒状部51は、文字板13側ほど細くなるように(輪列受12側ほど太くなるように)僅かに傾斜した円錐台状周面ないしテーパ面53を備える。ここで、ブッシュ50において、大径筒状部51の周面53の表面粗さが低くなっている。
ブッシュ50は、ジルコニアからなる。但し、アルミナや炭化ケイ素のような他のセラミック材料でできていてもよい。
ブッシュ50のテーパのついた大径筒状部51には、二番歯車40が打込みにより中央孔部41でスリップ嵌合されている。大径筒状部51の最大径部の隅部51aは打ち込みを容易にすべく面取りされている。
なお、二番歯車40は、弾性係合部としての弾性腕部42,42を備え、該弾性腕部42,42の中央部の対向側面によって規定される中央開口部ないし中央孔部41でブッシュ50の大径筒状部51の外周面53に摩擦係合されている。より詳しくは、二番歯車40は、外周に平歯車部43を備えた環状の歯車本体部44と、該本体部44に両端でつながり概ね直径方向に平行に延びた弾性腕部42,42とからなり、歯車本体部44と弾性腕部42,42との間には、弾性腕部42,42のバネの強さを規定する概ね半円形の開口部46,46が形成されている。二番歯車40は、弾性腕部42,42を有することから、リン青銅や洋白やマンガン入り白銅の如く弾性のある金属材料からなる。
なお、弾性腕部42,42が二番歯車40の延在平面に対して捩れるのを最低限に抑えるべく、中央孔部41を形成する弾性腕部42,42のうちテーパ付外周面53に係合される内側面47,47も円錐台状に傾斜した面からなっていてもよい。また、開口部ないし孔部41は典型的には、全体として概ね円形であるけれども、内側面47,47の周方向の一部のみで大径筒状部51に当接するように非円形であってもよい。各弾性腕部42が夫々の内側面47でブッシュ50の大径筒状部51の外周面53を弾性的に押圧する押圧力は、アナログ時計5が通常の腕時計である場合、例えば4〜5N程度であり、二番歯車40が筒かな30に直接スリップ係合されると凝着が生じる虞れを無視し難い程度の大きさであるけれども、このアナログ時計5の分歯車構造体3では、ブッシュ50がジルコニアの如きセラミック製であるので、凝着が生じる虞れが実際上ない。従って、押圧力が4〜5N程度よりも大きくても小さくてもよい。
図1に戻って、秒車60は、中心軸線Cに沿って輪列受12から文字板13を貫通して延びた真部ないし四番真61と、該四番真61に形成された四番かな62と、該四番真61に取付けられた秒歯車ないし四番歯車63とを有する。四番真61の文字板13側の突出端部64には秒針65が取付けられている。
二番歯車40と四番かな62とは三番車80のかな部81及び歯車部82を介して相互に噛合され、筒歯車22と筒かな30のかな部31とは日の裏車70のかな部71及び日の裏歯車部72を介して相互に噛合されている。
地板11に対して横方向に延びた巻真90にはつづみ車92が嵌合され、巻真90がA1方向に引き出された引出位置P1にある場合(図1)、巻真90の角柱部91と一体回転するつづみ車92が先端側歯車部93で小鉄車75に噛合される。なお、小鉄車75は、日の裏歯車部72に噛合されている(図示せず)。従って、巻真90の中心軸線BのまわりでのB1,B2方向の回転に応じて、つづみ車92及び小鉄車75を介して日の裏車70が中心軸線Eのまわりで回転され、該日の裏車70の回転に応じて、筒歯車22及び筒かな30が回転される。なお、巻真90がA2方向に押込まれた通常位置(図示せず)にある場合には、つづみ車92がA1方向に変位され、つづみ車92が巻真90の円柱状部(図示せず)に係合して巻真90が日の裏車70の回転に対して干渉しなくなる。
このブッシュ50を備えたスリップ構造1を具備する分歯車構造体3を有するアナログ時計5では、分歯車構造体3を構成する二番歯車40が筒かな30の凹部38に小径筒状部52で嵌着されたジルコニア製のブッシュ50の大径筒状部51に対して孔部41の周壁の一部をなす弾性腕部の形態の弾性係合部42で摩擦係合しているので、二番歯車40の弾性係合部42がブッシュ50の大径筒状部51に対して比較的強い径方向押圧力で係合されて比較的摩擦力が大きい場合であっても、二番歯車40の弾性係合(腕)部42とジルコニア製のブッシュ50の大径筒状部51との間で凝着が生じ難いから、二番歯車40とブッシュ50の嵌着された筒かな30とが相対的に静置された状態から両者の間に相対的なスベリが生じる際に該スベリを妨げる大きなひげトルクが生じる虞れが少ない。従って、A1方向に引出し移置P1に設定された巻真90にB1又はB2方向のトルクがかかり、該トルクが二番歯車40の弾性係合部42とブッシュ50の大径筒状部51の周壁との間の摩擦を越えると、該トルクに応じたつづみ車92及び日の裏車70の回転に伴い日の裏歯車72にかな部31で噛合した筒かな30が該筒かな30に嵌着されたジルコニア製のブッシュ50と共に、二番歯車40に対してスリップ回転して、針合わせが行われ得る。その結果、日の裏車70の真の両端のほぞ部が折れたりつづみ車92や小鉄車75に削れが生じたりする虞れも最低限に抑えられ得る。
また、このブッシュ50を備えた分歯車構造体3を有するアナログ時計5では、二番歯車40の周壁をなす弾性係合部としての弾性腕部42とジルコニア製のブッシュ50の大径筒状部51との間で凝着が生じる虞れなく二番歯車40の弾性係合部42がブッシュ50の大径筒状部51に対して比較的強い径方向押圧力で係合されるので、二番歯車40と筒かな30のジルコニア製のブッシュ50とが比較的強く摩擦係合され得るから、通常運針状態において不測の外力がかかっても、二番歯車40と筒かな30のジルコニア製のブッシュ50との間にスベリが生じる虞れがなく、針飛び等が生じる虞れも少ない。
更に、このアナログ時計5の分歯車構造体3では、更に、金属製の二番歯車40と摩擦係合されてスリップするブッシュ50がジルコニアからなり耐摩耗性が高いので、多数回のスリップが生じても、磨耗による損傷が最低限に抑えられ得る。また、金属と比較して硬いジルコニア製ブッシュ50の外周面53の表面粗さを低減させることにより、金属製二番歯車40の弾性係合部42の磨耗も最低限に抑え得から、全体として、スリップ部(摺動部)42,53の磨耗が最低限に抑えられ得る。
二番歯車40の弾性係合部42が嵌合されたブッシュ50の大径筒状部51が小径端部52側ほど細くなるようなテーパ面53になっているので、二番歯車40がブッシュ50の大径筒状部51から抜ける虞れがない。
なお、このアナログ時計5の分歯車構造体3では、ブッシュ50の小径筒状部51が筒かな30の凹部38内に打込みにより嵌着されるので、小径筒状部51には圧縮応力がかかるから、ブッシュ50が壊れる虞れを最低限に抑え得る。
ブッシュが筒かな30の凹部38に確実に嵌着され易いようにするためには、図3に示したような円筒状周面54を備えた小径筒状部52を有するブッシュ50の代わりに、図4に示したような雄ねじ部55を備えた小径筒状部52Aを有するブッシュ50Aであっても、図5に示したようなスプライン状縦条溝部56を備えた小径筒状部52Bを有するブッシュ50Bであってもよい。針合わせの際に、時計回りに針をまわす場合が多いとすると、ねじ部は典型的には右ねじからなる。
なお、筒かな30の凹部38の周壁は、ブッシュ50の代わりにブッシュ50Aが嵌着される場合には、典型的には、ブッシュ50Aの小径筒状部52Aの雄ねじ部55が螺着される雌ねじ部を有し、ブッシュ50の代わりにブッシュ50Bが嵌着される場合には、典型的には、ブッシュ50Bの小径筒状部52Bのスプライン状縦条溝部56が軸線の延在方向に押込まれて相対回転を禁止し得るように打込み等により嵌込まれるべく軸線の延在方向に平行に延びた相補的なスプライン状縦条溝部を有する。
以上においては、ブッシュの小径筒状部が筒かなの凹部内に嵌着される例について説明したけれども、その代わりに、図6及び図7に示したように、ブッシュの孔部に筒かなの凸部が嵌着されるようになっていてもよい。
図6及び図7に示した別の実施例において、図1及び図2に示した実施例の要素に対応するけれども異なるところのある要素には、同一の符号の後に添字Dが付されている。
図6及び図7に示したアナログ時計5Dの分歯車構造体3Dでは、筒かな30Dの輪列受12側の端部36Dが小径端部39になっていて、該小径端部39にブッシュ50Dが打込みにより嵌着されている。すなわち、筒かな30Dのブッシュ取付部35Dは、この例では、小径凸部39からなる。
また、アナログ時計5Dの分歯車構造体3Dでは、ブッシュ50Dは、図6及び図7に加えて図8に示したように、全体として概ね環状体57からなる。ブッシュ50Dをなす環状体57の概ね円筒状の内周面58には、筒かな30Dのブッシュ取付部35Dをなす小径凸部ないし小径端部39が嵌着されている。また、ブッシュ50Dをなす環状体57は、ブッシュ50の大径筒状部51と同様に、テーパの付いた面ないし円錐台状周面53Dの形態の外周面59を備え、該外周面59に二番歯車40が孔部41で嵌合され、弾性係合部42,42でスリップ係合している。環状体57の隅部57aは隅部51aと同様に面取りされている。
このブッシュ50Dを備えたスリップ構造1Dを具備する分歯車構造体3Dを有するアナログ時計5Dにおいても、運針用輪列7Dを構成する分歯車構造体3Dを形成する二番歯車40が筒かな30Dの小径端部39に孔部ないし内周面58で嵌着されたジルコニア製のブッシュ50Dの環状体57の外周面59に対して孔部41を規定する弾性係合部42,42で摩擦係合しているので、二番歯車40の弾性係合部42がブッシュ50Dをなす環状体57の外周面59に対して比較的強い径方向押圧力で係合されて比較的摩擦力が大きい場合であっても、二番歯車40の弾性係合部42とジルコニア製のブッシュ50Dの環状体57の外周面59との間で凝着が生じ難いから、二番歯車40とブッシュ50Dの嵌着された筒かな30Dとが相対的に静置された状態から両者の間に相対的なスベリが生じる際に該スベリを妨げる大きなひげトルクが生じる虞れが少ない。従って、A1方向に引出し位置P1に設定された巻真90にB1又はB2方向のトルクがかかり、該トルクが二番歯車40の弾性係合部42とブッシュ50Dの環状体57の外周壁との間の摩擦を越えると、該トルクに応じたつづみ車92及び日の裏車70の回転に伴い日の裏歯車72にかな部31で噛合した筒かな30Dが該筒かな30Dに嵌着されたジルコニア製のブッシュ50Dと共に、二番歯車40に対してスリップ回転する。この分歯車構造体3Dでは、二番歯車40の周壁42とジルコニア製のブッシュ50Dの大径筒状部51との間で凝着が生じ難いから、二番歯車40とブッシュ50Dの嵌着された筒かな30Dとが相対的に静置された状態から両者の間に相対的なスベリが生じるスリップ回転の際に、該スベリを妨げる大きなひげトルクが生じる虞れが少なく、過度に大きなトルクをかけることなくして所望トルクで針合わせが行われ得る。
また、この分歯車構造体3Dを用いたアナログ時計5Dにおいても、二番歯車40の周壁42とジルコニアの如きセラミック製のブッシュ50Dを構成する環状体57との間で凝着が生じる虞れなく二番歯車40の弾性係合部42がブッシュ50Dをなす環状体57に対して比較的強い径方向押圧力で係合されるので、二番歯車40と筒かな30Dのジルコニア製のブッシュ50Dとが比較的強く摩擦係合され得るから、通常運針状態において不測の外力がかかっても、二番歯車40と筒かな30Dのジルコニア製のブッシュ50Dとの間にスベリが生じる虞れがなく、針飛び等が生じる虞れも少ない。
また、二番歯車40の弾性係合部42が摩擦係合されたブッシュ50Dの環状体57の外周面59が文字板13側ほど細くなるようなテーパ面53Dになっているので、二番歯車40がブッシュ50Dをなす環状体57の外周面59から抜ける虞れがない。
なお、このアナログ時計5Dの分歯車構造体3Dでは、ブッシュ50Dをなす環状体57が孔部58で筒かな30Dの小径端部39に嵌着されるので、ブッシュ50Dの内周面58側には引張応力がかかるけれども、ブッシュ50Dをなす環状体57の外周面59に二番歯車40が孔部41で嵌合されるので、ブッシュ50Dに過度な引張応力がかかるのが最低限に抑えられ得るから、ブッシュ50Dがジルコニアの如きセラミック材料からなっていても、ブッシュ50Dが壊れる虞れが低減され得る。
ブッシュが筒かな30Dの小径凸部39に確実に嵌着され易いようにするためには、図8に示したような円筒状内周面58を備えた環状体57からなるブッシュ50Dの代わりに、図9に示したようなスプライン状縦条溝部58Eaを備えた円筒状内周面58Eを有する環状体57Eからなるブッシュ50Eであってもよい。
なお、筒かな30Dの小径凸部39の外周壁は、ブッシュ50Dの代わりにブッシュ50Eが嵌着される場合には、典型的には、ブッシュ50Eの円筒状内周面58Eのスプライン状縦条溝部58Eaが軸線の延在方向に押込まれて相対回転を禁止し得るように嵌込まれるべく軸線の延在方向に平行に延びた相補的なスプライン状縦条溝部を有する。
1,1D スリップ構造
3,3D 分歯車構造体
5,5D アナログ時計
7,7D 運針用輪列
11 地板
12 輪列受
13 文字板
14 貫通孔
15 中心パイプ
21 筒状部
22 筒歯車
23 先端
24 時針
30,30D 筒かな
31 二番かな部
32 中径筒状部
33 突出端部
34 分針
35,35D ブッシュ取付部
36,36D 端部
37 端面
38 凹部
39 小径端部(小径凸部)
40 二番歯車
41 中央孔部(中央開口部)
42 弾性腕部(弾性係合部)
43 平歯車部
44 歯車本体部
46 開口部
47 内側面
50,50A,50B,50D,50E ブッシュ
51 大径筒状部
51a 面取りされた隅部
52,52A,52B 小径筒状部
53 テーパ面(円錐台状周面)
54 円筒状周面
55 雄ねじ部
56 スプライン状縦条溝部
57 環状体
57a 面取りされた隅部
58,58E 内周面
58Ea スプライン状縦条溝部
59 外周面
60 秒車
61 四番真
62 四番かな
63 四番歯車
64 突出端部
65 秒針
70 日の裏車
71 かな部
72 日の裏歯車
75 小鉄車
80 三番車
81 かな部
82 歯車部
90 巻真
91 角柱部
92 つづみ車
93 先端側歯車部
A1,A2 方向
B1,B2 回転方向
B,C 中心軸線
P1 引出位置

Claims (8)

  1. 軸部に嵌着されたセラミック製のブッシュと、
    弾性係合部において該ブッシュに対して嵌合された歯車部であって、所定レベルよりも小さいトルクの作用下では該歯車部とブッシュとが一体的に動き所定レベルよりも大きいトルクの作用下では該歯車部がブッシュに対してスリップして回転するように、前記弾性係合部においてブッシュに対して弾性的に摩擦係合したものと
    を有する時計用車のスリップ構造。
  2. 軸部の端のまわりにブッシュが嵌着されている請求項1に記載の時計用車のスリップ構造。
  3. 軸部の端の凹部内にブッシュが一端側の筒状部で嵌合されている請求項1に記載の時計用車のスリップ構造。
  4. ブッシュの他端側の筒状部に歯車部の弾性係合部が摩擦係合している請求項3に記載の時計用車のスリップ構造。
  5. 自由端ほど径が大きくなるようにテーパの付いたブッシュの外周面に歯車部がスリップ係合されている請求項1から4までのいずれか一つの項に記載の時計用車のスリップ構造。
  6. ブッシュが、ジルコニア、アルミナ及び炭化ケイ素からなる群から選択された少なくとも一種類のセラミック材料で形成されている請求項1から5までのいずれか一つの項に記載の時計用車のスリップ構造。
  7. 歯車部が分歯車からなり、軸部が筒かなからなる請求項1から6までのいずれか一つの項に記載の時計用車のスリップ構造。
  8. 請求項1から7までのいずれか一つの項に記載のスリップ構造を備えたアナログ時計。
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