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JP2012189659A - 焦点維持装置及び顕微鏡装置 - Google Patents

焦点維持装置及び顕微鏡装置 Download PDF

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JP2012189659A JP2011051079A JP2011051079A JP2012189659A JP 2012189659 A JP2012189659 A JP 2012189659A JP 2011051079 A JP2011051079 A JP 2011051079A JP 2011051079 A JP2011051079 A JP 2011051079A JP 2012189659 A JP2012189659 A JP 2012189659A
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Abstract

【課題】迷光を低減することでAF光のみを高感度で検出し、焦点維持の能力を向上させた焦点維持装置、及び、この焦点維持装置を有する顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】顕微鏡装置40に用いられる焦点維持装置10は、光源部20から放射されたフォーカス光を対物レンズ41を介して標本に照射するとともに、この標本で反射したフォーカス光をQPD50に導くフォーカス光学系30と、QPD50から出力される検出信号に基づいて、対物レンズ41と標本との相対位置関係を変化させることで、対物レンズ41の焦点面を標本の所定の位置に維持する制御部60と、を有し、標本の反射面に対するフォーカス光の入射角度はブリュースター角である。
【選択図】図1

Description

本発明は、焦点維持装置及び顕微鏡装置に関する。
近年、焦点維持装置を持つ顕微鏡装置が市場を拡大しつつある。常に標本に合焦し続ける焦点維持装置は、長時間のタイムラプス観察や試薬投与に伴う観察画像のボケやユレを効果的に除去することができる。焦点維持の手法の一つとして、アクティブ方式がある。この手法は、標本(カバーガラスなど)に照射したフォーカス光(以下「AF光」と呼ぶ)の反射から、標本のz軸方向の位置(対物レンズの光軸方向位置)を検出する(例えば、特許文献1参照)。具体的には、反射光を光検出器で検出し、この光検出器上での光強度分布よりz軸方向の位置情報を算出する。
特開2007−323094号公報
しかしながら、上述したようなアクティブ方式の焦点維持装置の場合、AF光以外の望まない光(迷光)が光検出器に混入すると、光検出器上での光強度分布がAF光本来の形状から変化し、正確なz軸方向の位置を算出することが困難になるという課題があった。この迷光の要因としては対物レンズの端面における反射が挙げられる。これは、広帯域な光スペクトルに対して高反射率の反射防止膜を付与することは容易ではないためである。従って、迷光を除去し、高精度で焦点維持を達成する手法の確立が求められている。例えば、スリット像を投影してその中心部を遮光することにより、対物レンズ中心部からの反射の影響を低減する方法があるが、対物レンズの周辺部からの反射光は考慮されていない。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、アクティブ方式の焦点維持装置において、迷光を低減することでAF光のみを高感度で検出し、焦点維持の能力を向上させるように構成された焦点維持装置、及び、この焦点維持装置を有する顕微鏡装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る焦点維持装置は、顕微鏡装置の対物レンズの焦点面を標本の所定の位置に維持する焦点維持装置であって、光源部から放射されたフォーカス光を対物レンズを介して標本に照射するとともに、この標本で反射したフォーカス光を光検出部に導くフォーカス光学系と、光検出部から出力される検出信号に基づいて、対物レンズと標本との相対位置関係を変化させることで、対物レンズの焦点面を標本の所定の位置に維持する制御部と、を有し、標本の反射面に対するフォーカス光の入射角度はブリュースター角であることを特徴とする。
このような焦点維持装置において、光源部は、フォーカス光を放射する光源と、光源から放射されたフォーカス光を略平行光束にするコリメートレンズと、略平行光を通過させる開口部が形成されたマスクと、を有することが好ましい。
また、このような焦点維持装置は、フォーカス光の反射面への入射角度がブリュースター角となるような、対物レンズの瞳における光軸からのフォーカス光の入射高を形成するために、マスクの開口部の光軸からの高さを設定することが好ましい。
また、このような焦点維持装置において、マスクの開口部は円形形状に形成されており、当該開口部にガウシアンフィルタが取り付けられていることが好ましい。
また、このような焦点維持装置において、フォーカス光学系は、平行平面板を有し、フォーカス光の反射面への入射角度がブリュースター角となるような、対物レンズの瞳における光軸からのフォーカス光の入射高を形成するために、フォーカス光の主光線に対して所定の角度で平行平面板が配置されることが好ましい。
また、このような焦点維持装置において、光源部は、フォーカス光を放射する光源と、この光源から放射されたフォーカス光を導くファイバと、このファイバから放射されたフォーカス光を略平行光束にするコリメートレンズと、を有し、フォーカス光の反射面への入射角度がブリュースター角となるような、対物レンズの瞳における光軸からのフォーカス光の入射高を形成するために、ファイバ及びコリメートレンズの配置位置を設定することが好ましい。
また、このような焦点維持装置において、光源部は、フォーカス光を放射する光源と、光源から放射されたフォーカス光を導くファイバと、ファイバから放射されたフォーカス光を略平行光束にするコリメートレンズと、コリメートレンズから出射したフォーカス光を反射してフォーカス光学系に導くミラーと、を有し、フォーカス光の反射面への入射角度がブリュースター角となるような、対物レンズの瞳における光軸からのフォーカス光の入射高を形成するために、ミラーの配置位置を設定することが好ましい。
また、本発明に係る顕微鏡装置は、上述の焦点維持装置のいずれかを有することを特徴とする。
本発明に係る焦点維持装置及びこの焦点維持装置を有する顕微鏡装置を以上のように構成すると、迷光を低減することができ、AF光のみを高感度で検出して焦点維持の能力を向上させることができる。
第1の実施形態に係る焦点維持装置及び顕微鏡装置の構成を示す説明図である。 標本面でのAF光の状態を示す説明図であって、(a)は入射光の偏光状態を示し、(b)は反射面でのAF光の偏光状態を示し、(c)は対物レンズの射出瞳に対するAF光のビームプロファイルを示す。 AF光の偏光状態を示す説明図である。 対物レンズによるAF光の結像面と標本面との関係を示す説明図であって、(a)は結像面と標本面とが一致している場合を示し、(b)は標本面が結像面より奧側にある場合を示し、(c)は標本面が結像面より手前側にある場合を示す。 対物レンズの射出瞳面におけるAF光のビームプロファイルを示す説明図であって、(a)はAF光がブリュースター角で入射する範囲を示し、(b)はS偏光のAF光のみが反射する範囲を示し、(c)は焦点維持能力を付与するための範囲を示す。 マスク位置でのAF光の光線高を説明するための説明図である。 第2の実施形態での、対物レンズの射出瞳に対するAF光のビームプロファイルを示す説明図である。 第2の実施形態での、AF光の偏光状態を示す説明図である。 第3の実施形態に係る焦点維持装置及び顕微鏡装置の構成を示す説明図である。
[第1の実施形態]
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本実施形態に係る焦点維持装置の構成について説明する。この焦点維持装置10は、LEDやLD等の光源21を有する光源部20からのAF光を、フォーカス光学系30を用いて顕微鏡装置40の対物レンズ41に導き、この対物レンズ41を介して標本に照射し、その反射光を4分割ダイオード50(円状の領域が4分割され、各領域にPD(フォトダイオード)が配置された光検出素子であって、以下、「QPD50」と呼ぶ)で構成される光検出部で検出することで、対物レンズ41に対する標本のz軸方向位置を検出するものである。なお、以降の説明において、対物レンズ41の焦点面を標本の所定の位置に維持するためにAF光を反射させる面を「標本面O」と呼ぶ。
この焦点維持装置10の光源部20は、光源21、この光源21から放射されたAF光(例えば、赤外光)を略平行光束に変換するコリメートレンズ22、及び、このAF光の標本面Oに対する入射角がブリュースター角となるようにビームプロファイルを変化させるマスク23から構成される。なお、マスク23には開口部23aが形成されており、コリメートレンズ22で略平行になった光束(ビームプロファイル)L0を光軸から所定の距離だけ離れた光束(ビームプロファイル)L1に変化させ、対物レンズ41の光軸に沿ってフォーカス光学系30に入射させるように構成されている。
また、フォーカス光学系30は、光源部20側から順に、光源部20から放射されたAF光を直線偏光に変換する第1の偏光子31、この第1の偏光子31を透過したAF光の略半分を透過し、残りを反射させるハーフミラー32、後述する機能を有するオフセットレンズ33、及び、顕微鏡装置40を構成する対物レンズ41の像側に配置され、光源部20から放射されたAF光を反射して対物レンズ41に導くとともに、標本面Oで反射されたAF光を焦点維持装置10に導くダイクロイックミラー34を有している。この顕微鏡装置40において、標本面Oに照射される照明光及びこの標本面Oから出射する信号光(例えば、照明光により励起された蛍光)はダイクロイックミラー34を透過する。ここで、ダイクロイックミラー34を透過した信号光は図示しない第2対物レンズに導かれ、標本の像が結像される。また、この焦点維持装置10のフォーカス光学系30のダイクロイックミラー34とハーフミラー32との間には、ダイクロイックミラー34で反射された標本面OからのAF光(反射光)の偏光軸を回転させるλ/2板35が配置されており、さらに、この反射光がハーフミラー32で反射する方向に、第2の偏光子36及び結像レンズ37が配置されている。なお、QPD50は、結像レンズ37の焦点面上に配置されている。また、光検出部はQPD以外に、ラインCMOS、ラインCCD、PDアレイなどを用いることもできる。
このような焦点維持装置10において、光源21から射出したAF光は、コリメートレンズ22により略平行光束L0に変換された後、マスク23によりビームプロファイルが光軸から所定の距離だけ離れた光束L1になり、第1の偏光子31に入射する。この第1の偏光子31を透過した光束L1は、図3(a)に示すように、45°の方向(第1及び第3象限に振動する方向)の直線偏光に変換される。その後、ハーフミラー32を透過し、オフセットレンズ33により曲率変化を受け、さらにダイクロイックミラー34により照明光と合波され、対物レンズ41に導かれる。そして、対物レンズ41によって集光されたAF光は、標本面Oに対してブリュースター角で入射する。なお、以降の説明において、光軸方向をz軸方向とし、このz軸方向に直交する面内で水平方向をx軸方向、垂直方向をy軸方向とする。
標本面(反射面)OにおけるAF光の反射の様子を図2に示す。光源部20の直後に配置された第1の偏光子31により、図2(a)に示すようなx軸及びy軸のそれぞれに対して45°の方向に直線偏光した光束L1が対物レンズ41に入射する。この偏光状態は振幅の等しいx軸方向の直線偏光と、y軸方向の直線偏光との合成であると考えることができる。光束L1が対物レンズ41により標本面Oに集光される際、図2(b)に示すように、x軸方向の直線偏光はP偏光に、y軸方向の直線偏光はS偏光にそれぞれ対応する。上述のようにこの標本面Oに対してブリュースター角で入射した光束L1は、反射により、P偏光成分がゼロとなるので、反射光の偏光はS偏光、つまりy軸方向の直線偏光となる(この光束をL2とする)。この光束L2の様子を図2(c)及び図3(b)に示す。
標本面Oで反射した光束L2は、再び対物レンズ41を通過し、ダイクロイックミラー34で反射され、オフセットレンズ33を通過して略平行光束に戻り、さらに、λ/2板35を通過する。このλ/2板35は、図3(e)に示すように、S偏光の光束L2の振動方向に対して反時計回りに22.5°傾いた角度に速軸あるいは遅軸のいずれかが一致するように軸が調整されている。これにより、AF光は、x−y座標の第2及び第4象限に振動する45°の直線偏光に変換される(この光束をL3とする)。ここで、λ/2板35を透過した光束L3の振動方向は、第1の偏光子31を通過した後の光束L1の振動方向に対して直交している(図3(c))。なお、λ/2板35は、その有効径がビーム径と略同一であることが望ましい。これは、余分な光(光源部20から標本面Oに向かう光束L1や対物レンズ41で反射した光)がλ/2板35に入射しないようにするためである。
λ/2板35により偏光状態に変化を受けたAF光(光束L3)は、ハーフミラー32により反射されて第2の偏光子36を通過する。このとき、第2の偏光子36の透過軸は、光束L3の偏光方向に一致しているため、この光束L3は透過する。一方、迷光(例えば対物レンズ41で反射した光)は、偏光方向が光束L1とほぼ一致している。そのため、第2の偏光子36の透過軸は光束L1に直交することとなり、このような迷光は第2の偏光子36を透過することができない。そして、第2の偏光子36を透過した光束L4は、結像レンズ37によりラインセンサ50上に集光される。このようにして、迷光を除去し、焦点維持に必要なAF光(標本面Oで反射したAF光)のみを高感度で検出することができる。
なお、オフセットレンズ33は、対物レンズ41の焦点面に対してAF光の結像位置をz軸方向にずらす機能を有している。すなわち、光源部20から放射されてコリメートレンズ22により略平行光束となったAF光がオフセットレンズ33を通過した後も略平行光束である場合は、対物レンズ41により結像するAF光の位置は対物レンズ41の焦点面に略一致する。一方、このオフセットレンズ33を射出したAF光が発散光である場合は、AF光の結像位置は対物レンズ41の焦点面より奥側(対物レンズ41から離れる方向)に移動し、オフセットレンズ33を射出したAF光が収束光である場合は、AF光の結像位置は対物レンズ41の焦点面より手前側(対物レンズ41に近づく方向)に移動する。このように、対物レンズ41の焦点面に対してAF光の結像位置を光軸方向にずらす(オフセットする)ことにより、対物レンズ41の焦点は標本内の所望の位置に合焦させながら、対物レンズ41の焦点面とは異なる位置(例えば、標本を覆うプレートガラスと標本との境界面(上述の「標本面O」))でAF光を反射させて焦点の維持を行うことができる。
オフセットレンズ33で規定されるAF光の結像位置に標本面Oがあれば、つまり、焦点ずれがなければ、図4(a)に示すように結像レンズ37に入射する光束L4は平行光であり、QPD50の中心に結像する。しかし、図4(b),(c)に示すように、焦点ずれが生じると、QPD50上での光強度分布が変化する。例えば、図4(b)のように、標本面Oと対物レンズ41が離れると、結像レンズ37に入射する光束L4が収束光になる。そのため、QPD50よりも手前で結像し、QPD50上では左にずれる。一方、図4(c)のように、標本面Oと対物レンズ41が近づくと、結像レンズ37に入射する光束L4が発散光になる。そのため、QPD50よりも奥で結像し、QPD50上では右にずれる。このように、QPD50から出力される検出信号に基づいて、焦点ずれを像面上での像の位置ずれとして検出し、図4(a)の状態を保持するように制御部60で対物レンズ41又は標本を光軸方向に移動させてフィードバック制御を行うことで焦点維持を達成できる。
この手法を実現するために、前述したブリュースター照明用のマスク23は、図5(c)の形状である必要がある。なお、この図5は、マスク23の開口部23aの位置を、対物レンズ41の射出瞳面P0と、開口部23aを通過した光束L1の径との関係で表している。対物レンズ41の射出瞳面P0において、標本面OへのAF光の入射角がブリュースター角となるAF光の分布は図5(a)となる。この状態では平均化の効果により、入射光と反射光の偏光状態は変化しない。これは入射面が多数存在するためである。これに対し、図5(b)では入射面は1つ(x軸方向)のみである。x軸方向に振動する光がP偏光、y軸方向に振動する光がS偏光となり、この光がブリュースター角で標本面Oに入射することにより、反射光の偏光はS偏光のみとなる。このブリュースター照明にさらに焦点維持能力を付与するために、図5(c)のような照明パターンを用いる。
ここで、屈折率n1の媒質を進む光線が屈折率n2の媒質との界面に入射するときに、その入射角がブリュースター角θBrewとなるためには、以下の条件式(a)を満足する必要がある。
Figure 2012189659
すなわち、AF光がブリュースター角の条件を満たして標本面Oに入射するためには、その標本面Oがどのような界面であるかによって異なる。例えば、ドライ対物レンズの場合、空気(n1=1)とガラス(n2=1.55)との界面を標本面Oとするが、このときブリュースター角θBrewは57.17°となる。一方、ガラス(n1=1.55)と細胞・水(n2=1.33)との界面を標本面Oとすると、ブリュースター角θBrewは40.63°となる。この角度は同様の面を標本面Oとした場合、液浸対物レンズや油浸対物レンズにも共通である。従って、標本面Oにブリュースター角でAF光を入射するためには、使用する対物レンズ41は、少なくとも40.63°以上の開口数(NA)を持つ必要がある。ここで、対物レンズ41の最大入射角θmaxは、この対物レンズ41のNAと媒質の屈折率nで決まり、次式(b)で表される。
Figure 2012189659
ドライ、液浸及び油浸対物レンズに必要なNAをそれぞれNAD、NAW及びNAOとすると、上述の式(b)より、NA>n×sinθBrewの条件を満足することが必要となり、NAD>0.651、NAW>0.866、NAO>1.009となる。但し、媒質の屈折率は、ドライ対物レンズではn=1、液浸対物レンズではn=1.33、油浸対物レンズではn=1.55とした。
また、ブリュースター照明用のマスク23の開口部23aの位置は、使用する対物レンズ41毎に変える必要がある。対物レンズ41の射出瞳径は倍率によって大きく異なり、低倍ほど小さくなるのが一般的である。従って、対物レンズ41毎にブリュースター角となる光線(AF光)の位置を変える必要がある。このために、マスク23は前もって対物レンズ41毎に最適なビーム位置を記憶しておき、対物レンズ41が交換される度に、対物レンズ41のNA、焦点距離及び倍率情報に基づいて自動的に開口部23aの位置を記憶してある最適な位置に移動するように構成する。制御部60により対物レンズ41の種類を検出し、その対物レンズ41の情報に基づいてマスク23の開口部23aの位置を自動的に移動させるように構成しても良いし、対物レンズ41の種類に応じて設けられたマスク23を、対物レンズ41の交換と同時に切り替えるように構成しても良い。
ここで、図6を用いて、AF光がブリュースター角の条件を満たすための、マスク23に形成された開口部23aの光軸からの高さhmaskについて説明する。図6に示すように、標本面Oの前後の媒質の屈折率をそれぞれn1、n2とすると、対物レンズ41の最大入射角θmaxは上述の式(b)から次式(b′)のように表される。
Figure 2012189659
一方、対物レンズ41の射出瞳P0の半径dは、この対物レンズ41の焦点距離をfoとすると次式(c)のように表される。
Figure 2012189659
また、AF光がブリュースタ角θBrewで標本面Oに入射するための対物レンズ41の射出瞳P0におけるAF光の光軸からの光線高hexitを射出瞳P0の半径d及び最大入射角θmaxで表すと次式(d)となる。
Figure 2012189659
また、オフセットレンズ33を構成する2つのレンズの焦点距離を光源側から順にf1及びf2とすると、このオフセットレンズ33通過後の光軸からの光線高hexitに対する開口部23a通過後の光軸からの光線高hmaskの比ratioは、次式(e)となる。
Figure 2012189659
以上より、マスク23における光線高、すなわち、開口部23aの光軸からの高さhmaskは、次式(1)を満足することが必要である。
Figure 2012189659
なお、オフセットレンズ33を有しない焦点維持装置の場合には、光線高の比ratioの項を省略する(式(1)において1とする)ことで対応できる。
またマスク23の開口部23aでは、ブリュースター角で標本面Oに入射する光線のみを通過させるために、この開口部23aのx軸方向の大きさ(径)は可能な限り小さくすることが好ましい。また、偏光度の高い(直線)偏光を得るために、開口部23aのy軸方向の大きさ(径)も可能な限り小さくすることが好ましい。従って、マスク23の開口部23aの径は小さくすることが好ましい。また、この開口部23aによる回折の影響を除去したければ、この開口部23aの形状を円形にし、さらに、この開口部23aにガウシアンフィルタを取り付けると良い。また、マスク23の開口部23aは、オフセットレンズ33のオフセット量毎に、上述の条件式(1)に基づいて、最適な位置に移動することが望ましい。
なお、焦点ずれを検出する方法として、光源21からの平行光束の径を略半分にして標本面Oに投射するナイフエッジ(半月集光)法を用いることも可能であり、半月マスクとブリュースター照明用のマスク23とを切り替えられるように構成することも可能である。
[第2の実施形態]
第1の実施形態においては、焦点維持装置10において光源部20から放射されたAF光を標本面Oに導き、また、この標本面Oで反射したAF光をQPD50に導くために、フォーカス光学系30にハーフミラー32を用いた場合について説明したが、偏光ビームスプリッタを用いることも可能である。
偏光ビームスプリッタの透過・反射面の位置を図1のハーフミラー32の透過・反射面の位置と同じに配置したとすると、第1の偏光子31の透過軸が前述したy軸方向になるように配置して、図8(a)に示すようなy軸に沿った方向(第1の実施形態の場合に対してAF光の振動方向が反時計回りに45°ずれている)に直線偏光した光束L1を対物レンズ41へ入射させる必要がある。また、対物レンズ41の射出瞳P0におけるAF光(入射光束L1及び反射光束L2)の位置も反時計回りに45°ずれる必要がある。つまり、入射面(図7のP0における光束L1と光束L2とを含み、かつz軸に平行な面)と、入射光束の振動方向とが45°の角度をなす必要がある。
ここで、光束L1は、振幅の等しいy軸に対して±45°の方向のそれぞれの直線偏光の合成であると考えることができ、光束L1が対物レンズ41により標本面Oに集光される際、図7、図8(b)に示すように、y軸に対して反時計回りに45°(+45°)方向の直線偏光は、S偏光に、y軸に対して時計回りに45°(−45°)方向の直線偏光はP偏光にそれぞれ対応している。
標本面Oに対してブリュースター角で入射した光束L1は、反射により、P偏光成分がゼロとなるので、反射光の偏光はS偏光となる(この光束をL2とする)。この光束L2の様子を図7及び図8(b)に示す。光束L2は、再び対物レンズ41を通過し、ダイクロイックミラー34で反射され、オフセットレンズ33を通過して略平行光束に戻り、さらに、λ/2板35を通過する。このλ/2板35は、図8(e)に示すように、S偏光の光束L2の振動方向に対して反時計回りに22.5°傾いた角度に速軸あるいは遅軸のいずれかが一致するように軸が調整されている。これにより、AF光は、x軸方向に振動する直線偏光に変換される(この光束をL3とする)。ここで、λ/2板35を透過した光束L3の振動方向は、第1の偏光子31を通過した後の光束L1の振動方向に対して直交している(図8(c))。なお、λ/2板35は、その有効径がビーム径と略同一であることが望ましい。これは、余分な光(光源部20から標本面Oに向かう光束L1や対物レンズで反射した光)がλ/2板35に入射しないようにするためである。
λ/2板35により偏光状態に変化を受けたAF光(光束L3)は、ハーフミラー32により反射されて第2の偏光子36を通過する。このとき、第2の偏光子36の透過軸は、光束L3の偏光方向に一致しているため、この光束L3は透過する。一方、迷光(例えば対物レンズ41で反射した光)は、偏光方向が光束L1とほぼ一致している。そのため、第2の偏光子36の透過軸は光束L1に直交することとなり、このような迷光は第2の偏光子36を透過することができない。
[第3の実施形態]
第1及び第2の実施形態に係る焦点維持装置10では、AF光の標本面Oに対する入射角をマスク23の開口部23aの位置(対物レンズ41の光軸に直交する面内での位置)で調整するように構成した場合について説明したが、図9に示す焦点維持装置100のように、光源としてファイバ210から射出する光を用い、対物レンズ41の光軸に対してこのファイバ210を偏芯させることにより、標本面Oに対するAF光の入射角を変化させることができる。この焦点維持装置100における光源部200は、図示しない光源からの光を導くファイバ210と、ファイバ210の射出端から射出されたAF光を略平行光束に変換するコリメートレンズ220と、コリメートレンズ220を透過したAF光を対物レンズ41の光軸に沿ってフォーカス光学系30に入射させるミラー230と、から構成される(第1の実施形態に係る焦点維持装置10と同一の構成については同一の符合を付し、詳細な説明を省略する)。この図9に示す焦点維持装置100では、対物レンズ41の光軸に対してファイバ210を偏芯させる代わりに、ミラー230を偏芯させることによりAF光の光軸に対する高さを変化させて標本面Oに対してブリュースター角で入射するように構成している。なお、ミラー230を用いずに、コリメートレンズ220から出射したAF光を直接フォーカス光学系30に入射させる場合には、ファイバ210の射出端及びコリメートレンズ220を一体に対物レンズ41の光軸に対して偏芯させるように構成する。
この第3の実施形態に係る焦点維持装置100によれば、光源部200にマスクは不要となる。このとき、ビーム径が大きくなりすぎないように、焦点距離の短いコリメートレンズ220を用いてコリメートする必要がある。
なお、第1の実施形態から第3の実施形態以外に、光源部20から放射されたAF光を標本面Oに対してブリュースター角で入射させるために、第1の実施形態に記載の焦点維持装置10のフォーカス光学系30の第1の偏光子31とダイクロイックミラー34との間(より好ましくは、第1の偏光子31とオフセットレンズ33との間)に光源部から放射されたAF光の主光線に対して所定の角度をなすように平行平面板を配置してもよい。AF光の主光線と平行平面板とのなす角を変化させることにより、平行平面板を出射したAF光の光軸に対する高さを変化させることができる。
以上のように、AF光を標本面Oに対してブリュースター角で入射するように構成することにより、焦点維持に必要なAF光(標本面Oで反射したAF光)の信号強度のみを高感度で検出することができるので、焦点維持装置10,100による対物レンズ41の焦点位置の維持制度を向上させることができる。
10 焦点維持装置 20 光源部 21 光源 22 コリメートレンズ
23 マスク 23a 開口部 30 フォーカス光学系
40 顕微鏡装置 41 対物レンズ
50 QPD(光検出部) 60 制御部
100 焦点維持装置 200 光源部 210 ファイバ
220 コリメートレンズ 230 ミラー

Claims (8)

  1. 顕微鏡装置の対物レンズの焦点面を標本の所定の位置に維持する焦点維持装置であって、
    光源部から放射されたフォーカス光を前記対物レンズを介して前記標本に照射するとともに、前記標本で反射した前記フォーカス光を光検出部に導くフォーカス光学系と、
    前記光検出部から出力される検出信号に基づいて、前記対物レンズと前記標本との相対位置関係を変化させることで、前記対物レンズの焦点面を前記標本の所定の位置に維持する制御部と、を有し、
    前記標本の反射面に対する前記フォーカス光の入射角度はブリュースター角であることを特徴とする焦点維持装置。
  2. 前記光源部は、
    前記フォーカス光を放射する光源と、
    前記光源から放射された前記フォーカス光を略平行光束にするコリメートレンズと、
    前記略平行光を通過させる開口部が形成されたマスクと、を有することを特徴とする請求項1に記載の焦点維持装置。
  3. 前記フォーカス光の前記反射面への入射角度がブリュースター角となるような、前記対物レンズの瞳における前記光軸からの前記フォーカス光の入射高を形成するために、前記マスクの前記開口部の前記光軸からの高さを設定することを特徴とする請求項2に記載の焦点維持装置。
  4. 前記マスクの前記開口部は円形形状に形成されており、当該開口部にガウシアンフィルタが取り付けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の焦点維持装置。
  5. 前記フォーカス光学系は、平行平面板を有し、
    前記フォーカス光の前記反射面への入射角度がブリュースター角となるような、前記対物レンズの瞳における前記光軸からの前記フォーカス光の入射高を形成するために、前記フォーカス光の主光線に対して所定の角度で前記平行平面板が配置されることを特徴とする請求項2に記載の焦点維持装置。
  6. 前記光源部は、
    前記フォーカス光を放射する光源と、
    前記光源から放射された前記フォーカス光を導くファイバと、
    前記ファイバから放射された前記フォーカス光を略平行光束にするコリメートレンズと、を有し、
    前記フォーカス光の前記反射面への入射角度がブリュースター角となるような、前記対物レンズの瞳における前記光軸からの前記フォーカス光の入射高を形成するために、前記ファイバ及び前記コリメートレンズの配置位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の焦点維持装置。
  7. 前記光源部は、
    フォーカス光を放射する光源と、
    前記光源から放射された前記フォーカス光を導くファイバと、
    前記ファイバから放射された前記フォーカス光を略平行光束にするコリメートレンズと、
    前記コリメートレンズから出射した前記フォーカス光を反射して前記フォーカス光学系に導くミラーと、を有し、
    前記フォーカス光の前記反射面への入射角度がブリュースター角となるような、前記対物レンズの瞳における前記光軸からの前記フォーカス光の入射高を形成するために、前記ミラーの配置位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の焦点維持装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の焦点維持装置を有することを特徴とする顕微鏡装置。
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