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JP2012166966A - B型酸化チタンとその製造方法、およびそれを用いたリチウムイオン電池 - Google Patents

B型酸化チタンとその製造方法、およびそれを用いたリチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電極へ高密度充填することができ、電池の実容量を向上させることができる高電位負極材料を提供する。
【解決手段】酸化ニオブと、ルチル型及び/又はアナターゼ型の酸化チタンを混合し、焼成することによって、ニオブがドープされた酸化チタン (Ti1-xNbxO2;0.01≦x≦0.1)を得る工程(A)、Ti1-xNbxO2と、アルカリ金属塩とを混合し、焼成することによって、チタン酸アルカリを得る工程(B)、チタン酸アルカリをイオン交換することによりチタン酸を得る工程(C)、チタン酸を脱水することによりB型酸化チタンを得る工程(D)を含む方法によって、球形に近い形状を有するB型酸化チタンを製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池の負極として用いることができる酸化チタン系負極材料に関する。より詳しくは、高容量を有するB型チタニア(TiO2(B))負極材料とその製造方法、およびそれを用いたリチウムイオン電池に関する。
近年、エネルギー、環境問題の観点から電気自動車用電源、電力負荷平準のための大型二次電池としてリチウムイオン電池の大型化が期待されている。しかし、大型二次電池として実用化するためには、コスト、安全性、寿命の飛躍的な向上が必要であると考えられている。
リチウムイオン電池の高出力化、低コスト化、高安全性化、長寿命化のためには、1.0V以上の電位で充放電反応が進行する高電位負極を用いることが一つの解決策であり、このような高電位負極の一つとして、スピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物Li4Ti5O12の開発が進められている。
Li4Ti5O12は1.55V(vs. Li/Li+)付近に平坦な放電電位を持ち、極めて良好なサイクル特性を示す。しかし、その理論容量は低く(175mAh/g,607mAh/cm3)、エネルギー密度の観点からは魅力に乏しい。
この問題を解決するため、本発明者らは、TiO2の一種であるB型酸化チタン[TiO2(B)]に注目し、研究を進めてきた。TiO2(B)は準安定相であるが、理論容量は、重量あたり(335mAh/g)では黒鉛に匹敵し、体積あたり(1246mAh/cm3)では黒鉛を超え、また優れたサイクル特性を有するため、高容量高電位負極材料として期待される。
本発明者らは、固相法により得たK2Ti4O9を前駆体とし、イオン交換、脱水することにより、平均放電電圧1.6V、放電容量200〜250mAh/gという容量を有し、良好なサイクル特性とレート特性を有するTiO2(B)粉末を得ることに成功した(非特許文献1)。
しかし、上記方法で製造されたTiO2(B)粉末は針状形状であるため、理論密度(3.72g/cm3)と比較してタップ密度が非常に小さく(0.22g/cm3)、電極への高密度充填が難しいという問題があった。この問題に対処するため、上記針状形状のTiO2(B)粉末を粉砕して、タップ密度の向上を試みたところ、タップ密度は向上したものの、実際にリチウムイオン電池の負極材料として使用した場合、粉砕前と比べて体積当たりの放電容量が著しく低下し、電池の実容量を向上させることができないという問題が生じた。
M. Inaba et al. /Journal of Power Sources 189 (2009) 580-584
したがって、本発明は、電池への高密度充填が可能であり、電池の実容量を向上させることができる負極材料、およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために検討を繰り返す中で、固相法により前駆体(K2Ti4O9等)を調製する工程において、これまで使用していたアナターゼ型酸化チタンの代わりに、ニオブをドープさせた酸化チタンを使用することにより、タップ密度が高く、且つ、実際にリチウムイオン電池の負極材料として用いた際に高い実容量を達成できるTiO2(B)粉末を製造することに成功し、本発明を完成した。
本発明は、B型酸化チタンの製造方法であって、
工程A:酸化ニオブと、ルチル型及び/又はアナターゼ型の酸化チタンを混合し、焼成することによって、ニオブがドープされた酸化チタン(Ti1-xNbxO2;0.01≦x≦0.10)を得る工程、
工程B:工程Aで得られたTi1-xNbxO2と、アルカリ金属(Na,K,Rb,Cs)の炭酸塩、硝酸塩および水酸化物からなる群より選択されるアルカリ金属塩とを混合し、焼成することによって、チタン酸アルカリを得る工程、
工程C:工程Bで得られたチタン酸アルカリのアルカリ金属イオンを、プロトンにイオン交換することによりチタン酸を得る工程、および、
工程D:工程Cで得られたチタン酸を脱水することによりB型酸化チタンを得る工程
とを含むことを特徴とする。
前述した非特許文献1に記載の方法は、上記工程Aを含まず、アナターゼ型の酸化チタンとアルカリ金属塩とを直接焼成する(図1参照)。この場合、焼成後に得られたチタン酸アルカリの粒子形状は針状となり、その後、イオン交換工程、および脱水工程を経て最終生成物TiO2(B)に至るまで、針状形状が維持される。
これに対し、本発明では、アナターゼ型酸化チタンを直接使用せず、まず工程Aにおいて、酸化ニオブとアナターゼ型及び/又はルチル型酸化チタンを混合し、焼成することによって、ニオブがドープされた酸化チタン(Ti1-xNbxO2;0.01≦x≦0.10)を得ることを特徴とする。なお、この工程Aで得られるNbドープ酸化チタンは、B型ではなく、ルチル型である。このNbドープ酸化チタンを、アルカリ金属塩と混合し、焼成すると(工程B)、球状に近い形状のチタン酸アルカリが得られ、この形状は、工程C(イオン交換工程)、および工程D(脱水工程)の後にも維持される。したがって、最終生成物であるB型酸化チタンの形状も球状に近い形状となり、高いタップ密度を実現できる。さらに、このB型酸化チタンを使用して、実際にリチウム電池を作製した場合、優れた体積あたりの放電容量(mAh/cm3)が達成できることが確認された。
本発明の製造方法によれば、非特許文献1の方法で製造したB型酸化チタン粉末と比べて、タップ密度が高く、体積当たりの放電容量が高いB型酸化チタン粉末を製造することができるため、リチウムイオン電池の高電位負極材料として、非常に有用である。
図1は、非特許文献1の方法の工程と、本発明の方法の一実施形態の工程を模式的に示す図である。 図2は、実施例1、比較例1、比較例2の方法で製造したTiO2(B)粉末のX線回折データを示す。 図3は、実施例1の製造方法における、各工程後の粉末のSEM写真を示す。 図4は、比較例1の製造方法における、各工程後の粉末のSEM写真を示す。 図5は、比較例2および比較例3で得られたTiO2(B)粉末のSEM写真である。 図6は、本発明に係るリチウムイオン電池(二極式コイン型)の充放電評価装置の構成を模式的に示す図である。 図7は、TiO2(B)の充放電曲線を示す図であり、(A)は実施例1で製造したTiO2(B)、(B)は比較例1で製造したTiO2(B)、(C)は比較例2で製造したTiO2(B)のグラフである。 図8の(A)は比較例3で製造したTiO2(B)の充放電曲線を示すグラフであり、(B)は実施例1と比較例1〜3のTiO2(B)を電極体積あたりの容量で比較したグラフである。
以下、本発明に係る工程をより具体的に説明する。
工程A:第1焼成工程(チタニア原料の調製工程)
本発明の製造方法における工程Aでは、酸化ニオブ(Nb2O5)と、ルチル型及び/又はアナターゼ型の酸化チタンを混合し、焼成することによって、ニオブがドープされた酸化チタンTi1-xNbxO2(チタニア原料)を製造する。
酸化ニオブや酸化チタンの粒径は特に限定されないが、一般に、100nm〜10μm程度の酸化ニオブと30nm〜10μm程度のアナターゼ型あるいはルチル型酸化チタンを使用すればよい。なお、本明細書において、粒径とは、走査型電子顕微鏡で観察した粒子の数平均粒径を意味する。
上記酸化チタンと酸化ニオブを、Ti:Nbが1-x:x(0.01≦x≦0.10)のモル比となるように秤量し、試料を均一に混合した後、混合試料を1100℃以上で焼成することにより、上記Ti1-xNbxO2を得ることができる。xを上記範囲とする理由は、xが0.01未満であれば最終的に得られるTiO2(B)の形状が球状に近い形状となりにくく、また0.10を超えると充放電反応で酸化還元を担うTiイオンが減り、充放電容量が低下するという問題が生じやすいためである。より好ましいxの範囲は0.02≦x≦0.08であり、特に好ましい範囲は0.05≦x≦0.07である。
焼成温度は1100℃以上とすることが好ましい。これは、前記温度より低い温度で焼成すると、ニオブがドープされにくいためである。焼成温度の上限は特に限定されないが、コストを考えると1500℃以下が好ましい。特に好ましい焼成温度は、1300〜1400℃である。焼成時間は30分〜24時間程度とすればよい。30分未満だと反応が不十分で原料が残存するという問題が生じやすく、24時間を超えると得られる粒子が巨大化し、結果として電池への高充填が難しくなるという問題が生じやすい。特に好ましい焼成時間は2〜15時間である。焼成雰囲気は、空気中でよいが、窒素中等不活性雰囲気としてもよい。
工程Aで得られるTi1-xNbxO2は通常、粒径10〜50μm程度で、ルチル型である。なお、実際には微量の酸素空孔が存在するため、厳密にはTi1-xNbxO2-δ(δは微量の酸素空孔)となるが、これは固相法で得られた酸化チタンでは、通常のことであるので、本明細書中では単にTi1-xNbxO2と示す。同じく、工程Bで得られるチタン酸アルカリ、工程Cで得られるチタン酸、工程Dで得られるB型酸化チタン(最終生成物)の組成式でも、同様にδを省略する。
工程B:第2焼成工程(前駆体の調製工程)
本発明の製造方法における工程Bでは、工程Aで得られたチタニア原料と、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム)の炭酸塩、硝酸塩、水酸化物からなる群より選択されるアルカリ金属塩とを混合し、焼成することによって、チタン酸アルカリ(前駆体)を得る。なお、工程Bで得られるチタン酸アルカリは、ニオブがドープされた組成を有するが、本明細書中では、単にチタン酸アルカリと称する。
アルカリ金属塩としては、ナトリウムの炭酸塩(Na2CO3)、カリウムの炭酸塩(K2CO3)またはセシウムの炭酸塩(Cs2CO3)が特に好ましい。粒径は特に限定されないが、100 nm〜10μm程度が適切である。
Ti1-xNbxO2とアルカリ金属塩は、例えばアルカリ金属塩がM2CO3の場合(Mはアルカリ金属)、モル比で2〜6:1(より好ましくはナトリウム塩の場合3±0.2:1、カリウム塩の場合4±0.2:1、セシウム塩の場合5±0.2:1)となるように秤量し、試料を均一に混合した後、混合試料を850℃〜1100℃で焼成することにより、チタン酸アルカリを得ることができる。焼成温度が850℃未満では、目的とする前駆体(チタン酸アルカリ)の単相が得られにくいという問題があり、焼成温度が1100℃を超えると、最終的に得られるTiO2(B)粉末に不純物が残存しやすいという問題がある。特に好ましい焼成温度は、900〜1000℃である。焼成時間は30分〜100時間程度とすればよい。30分未満だと目的とする前駆体(チタン酸アルカリ)の単相が得られにくいという問題あり、100時間を超えると最終的に得られるTiO2(B)粉末に不純物が残存しやすいという問題がある。特に好ましい焼成時間は2時間から30時間である。焼成雰囲気は、空気中でよいが、窒素中等不活性雰囲気としてもよい。
工程Bにおいて、アルカリ金属塩としてNa2CO3を使用した場合は、焼成後に得られる前駆体はNa2Ti3O7(組成:Na2Ti3(1-x)Nb3xO7)となり、アルカリ金属塩としてK2CO3を使用した場合は、焼成後に得られる前駆体はK2Ti4O9(組成:K2Ti4(1-x)Nb4xO9)となり、アルカリ金属塩としてCs2CO3を使用した場合は、焼成後に得られる前駆体は、Cs2Ti5O11(組成:Cs2Ti5(1-x)Nb5xO11)となる。
工程C:イオン交換工程(チタン酸の調製工程)
本発明の製造方法における工程Cでは、工程Bで得られたチタン酸アルカリ(前駆体)のアルカリ金属イオンを、水素イオンにイオン交換することによりチタン酸を調製する。なお、工程Cで得られるチタン酸は、ニオブがドープされた組成を有するが、本明細書中では、単にチタン酸と称する。上記イオン交換は、前駆体粉末を0.01〜5mol/Lの塩酸(HCl)中で1〜300時間撹拌しながら浸漬することによって行うことができる。HClの代わりに、硫酸、硝酸、可塩素酸等を用いてもよい。イオン交換は室温で行っても良いが、30〜60℃程度の加熱条件下で行うこともでき、加熱条件下では浸漬時間を短縮することが可能である。イオン交換後は、得られたチタン酸粉末を、ろ過、洗浄した後、乾燥してから次工程で使用することが好ましい。
工程D:脱水工程(B型酸化チタンの調製工程)
本発明の製造方法における工程Dでは、工程Cで得られたチタン酸粉末を脱水することによりB型酸化チタン粉末を得る。なお、工程Dで得られるB型酸化チタンは、ニオブがドープされた組成[Ti1-xNbxO2 (B)]を有するが、本明細書中では、単にB型酸化チタン[TiO2(B)]とも称する。
脱水は、チタン酸粉末を、350〜600℃程度で10分間〜10時間熱処理を行うことによって行うことができる。350℃未満では、チタン酸が残存しやすいという問題があり、600℃を超えると副生物としてアナターゼ相のTiO2が生成しやすいという問題がある。より好ましい熱処理条件は、400〜550℃程度、30分〜2時間である。
上記工程A〜Dにより得られたB型酸化チタン(組成:Ti1-xNbxO2)粉末は、非特許文献1の方法で得られたB型酸化チタン粉末(組成:TiO2)と同様に針状ではあるが、一次粒子径が小さく、かつ工程Aで得られるTi1-xNbxO2の形状が維持され、球形に近い二次粒子として得られる。そのため、タップ密度が高く(0.7g/cm3以上)、電極へ高密度充填が可能である。一方、重量あたりの放電容量は、非特許文献1の方法で得られたB型酸化チタン粉末に匹敵するため、電極の実容量(体積あたりの放電容量)を著しく向上させることが可能である。
以下、本発明にかかるTiO2(B)の製造方法、および得られたTiO2(B)を用いてリチウム二次電池の負極を作製する場合につき、さらに実施例を交えて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
TiO 2 (B)粉末の製造
平均粒径が100 nmのアナターゼ型TiO2(純度99%以上)と平均粒径が5μmのK2CO3(純度99.8%)と平均粒径が5μmのNb2O5(純度99.9%)を用いた。まず、TiO2粒子とNb2O5粒子をモル比でTi:Nb = 0.93:0.07となるように秤量し、遊星ボールミルを用いて400回転/分で1時間、試料を均一混合した。混合した試料をアルミナるつぼの中に入れ、空気中1350℃で10時間焼成を行うことにより、TiO2(B)合成用のチタニア原料(組成:Ti0.93Nb0.07O2)を得た(工程A)。
上記で焼成したチタニア原料Ti0.93Nb0.07O2とK2CO3粉末をモル比で4:1となるように秤量し、遊星ボールミルを用いて400回転/分で1 時間、試料を均一に混合した。混合した試料をアルミナるつぼの中に入れ、空気中900℃で24時間焼成を行い、チタン酸カリウム(K2Ti3.72Nb0.28O9)の粉末(前駆体粉末)を得た(工程B)。
得られた前駆体粉末を1 mol/L のHCl中にて室温で72時間攪拌しながら浸漬することにより、チタン酸カリウムのカリウムイオンを水素イオンに交換した(工程C)。
イオン交換操作後、得られた粉末をろ過、洗浄した後、真空乾燥機中80℃で24時間乾燥した。乾燥後、イオン交換した粉末をさらに500℃で30分間熱処理を行うことで脱水を行い、最終的にTiO2(B)粉末(組成:Ti0.93Nb0.07O2)を得た(工程D)。
試験電極の製造
得られたTiO2(B)粉末、導電助剤のカーボン(ケッチェンブラックEC600JD)および結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を8:1:1の重量比で量り取り、1−メチルピロリドンを溶媒として湿式法遊星ボールミルを用い400回転/分で40分間混合し、スラリーを得た。ドクターブレード法を用いて、得られたスラリーを銅箔上に50 μmの厚みで塗布、乾燥した。その後、ロールプレス機でプレスし、電極板を得た。電極板を直径1.5 cmの円形に打ち抜き、試験電極とした。電極密度は得られた試験電極上の合剤層の厚みと重量より計算した。なお、重量はTiO2(B)粉末、結着剤、導電助剤の総重量である。
[比較例1]
実施例1の工程Bにおいて、前駆体(チタン酸カリウム)製造用に用いたチタニア原料Ti0.93Nb0.07O2の代わりに、100 nmのアナターゼ型TiO2(純度99%以上)を用いること以外は、実施例1の工程B〜Dと同様にして、TiO2(B)粉末(組成:TiO2)を得た。この方法は、非特許文献1の方法と同様の方法である。なお、非特許文献1では、1000℃・24時間の焼成を2回行っているのに対して、本比較例では900℃・24時間の焼成を1回行うが、ほぼ同じデータが得られることが本発明者らによって確認されている。
得られたTiO2(B)粉末を用いて、実施例1と同様に試験電極を作製した。
[比較例2]
実施例1の工程Aにおいて、Nb2O5粒子を添加せず、アナターゼ型TiO2のみを、空気中1350℃で10時間焼成したこと以外は、実施例1の工程A〜Dと同様にして、TiO2(B)粉末(組成:TiO2)を得た。
得られたTiO2(B)粉末を用いて、実施例1と同様に試験電極を作製した。
[比較例3]
比較例1で得られたTiO2(B)粉末(組成:TiO2)を、遊星ボールミルを用いて、メタノールを溶媒とした湿式法にて700回転/分で12時間粉砕した。得られたスラリーを乾燥して、粉砕試料を得た。
粉砕して得たTiO2(B)粉末を用いて、実施例1と同様に試験電極を作製した。
[実施例2]
粉末の結晶相の同定
実施例1および比較例1・2で得られたTiO2(B)粉末について、粉末X線回折(XRD)法を用いて結晶相の同定を行った。X線源にはCu Ka線を使用し、管電圧40 kV、管電流200 mAの条件で測定を行った。結果を図2に示す。
実施例1および比較例1,2のいずれの条件でも、単相のTiO2(B)が生成したことが確認できた。Nbをドープした実施例1では、ピークが低角度側にシフトし、Nbドープにより格子定数が変化したことが確認された。
[実施例3]
粉末の形態観察
実施例1および比較例1について、各工程における粉末の形態を観察した。
粉末試料の形態観察には、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いた。試料は電子伝導性が低いため、金スパッタを施した後、加速電圧15 kVにて表面観察を行った。
図3に、実施例1の各工程後の粉末のSEM写真を示す。図3から明らかなように、工程Aによって生成したチタニア原料(組成:Ti0.93Nb0.07O2)は約10〜50μmの球状に近い形状を有していた。工程B後に生成した前駆体(チタン酸アルカリ 組成:K2Ti3.72Nb0.28O9)は、同じく球状に近い形状を維持しているが、約1μmの針状粒子が密に詰まった二次粒子であることが観察された。工程C後に生成したチタン酸(組成:H2Ti3.72Nb0.28O9)は、イオン交換により、粒子表面に付着していた針状粒子がわずかに剥がれ、粒子径がイオン交換前より小さくなっているが、球形に近い二次粒子構造を有していた。工程D後に生成した最終生成物であるB型酸化チタン(組成:Ti0.93Nb0.07O2)は、イオン交換後の形状を維持していることが確認された。
図4に、比較例1の各工程後の粉末のSEM写真を示す。図4から明らかなように、焼成後に得られた前駆体粉末(組成:K2Ti4O9)の形状は針状であり、実施例1で見られたような球状の二次粒子構造は観察されなかった。イオン交換後、脱水後にも針状の形態が維持されることが確認された。
図5に、比較例2および比較例3で得られたTiO2(B)粉末のSEM写真を示す。ニオブをドープせずに実施例1と同様の工程A〜Dを経て得たTiO2(B)粉末(比較例2)では、約1μmの針状粒子が得られ、実施例1で見られたような球形の二次粒子は観察されなかった。また、比較例1で得られたTiO2(B)粒子を粉砕して得た粒子(比較例3)は、針状の形状が失われ、粒径も細かいものが得られていた。
[実施例4]
粉末のタップ密度の測定
実施例1、比較例1〜3で得られた粉末試料について、タップ密度を測定した。タップ密度の測定は容積5 mLのメスフラスコに1.0 gの粉末をいれ、チューブミキサー(TM-2F、アズワン社製)の上で5分間振動を加え、その体積からタップ密度(g/cm3)を算出した。
実施例1で得られた粉末試料のタップ密度は0.77g/cm3であり、比較例1で得られた粉末試料のタップ密度(0.30g/cm3)と比較して、はるかに高いタップ密度を有していた。比較例2で得られた粉末試料のタップ密度も0.66 g/cm3と比較例1で得られた試料のタップ密度と比較して、向上が見られた。一方、比較例1の粉末試料を粉砕することによって得られた比較例3の粉砕試料のタップ密度は0.80g/cm3まで向上した。
[実施例5]
リチウム二次電池の性能評価
実施例1及び比較例1〜3で得られたTiO2(B)粉末の充放電特性は下記に示す二極式ハーフセル法により評価した。なお、以下に示す電位は対極であるリチウム金属箔を基準としたものである。
図6に示す二極式コイン型セルを用い、実施例1で製造したTiO2(B)試験電極と、リチウム金属対極(厚さ0.5 mm, 直径15 mm)でセパレーター(Celgard2325)を挟んで、コイン電池を作製した。電解液にはエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比1:1混合溶媒に、電解質として六フッ化リン酸リチウムを1 mol/L溶解したものを用いた。
比較例1〜3で得られたTiO2(B)の試験電極についても、同様にしてコイン電池を作製した。
作製したセルおよび充放電評価装置を用いて定電流充放電試験を行った。電流値はTiO2(B)負極の理論容量を335.6 mAh/gとし、それぞれの試験電極中のTiO2(B)粉末の重量から計算される容量を基準にしてレートがC/6(6時間で理論容量となる電流値)になるように設定した。まず、1.4 Vに達するまで上記方法で求めた電流値で充電を行なった。その後30分間の休止時間を経て、放電を上記方法で求めた電流値で3.0 Vに達するまで放電を行った。充電および放電に要した時間および電流値より、重量あたりおよび体積あたりの充放電容量(mAh/gおよびmAh/cm3)を算出した。なお、重量あたりの充放電容量は、電極中のTiO2(B)粉末のみの重量を用いて計算し、体積あたりの充放電容量には結着剤、導電助剤を含む試験電極の体積を用いて計算した。
実施例1及び比較例1〜3で得られたTiO2(B)粉末のタップ密度、電極密度、充放電容量を表1にまとめる。また、図7および図8に、実施例1および比較例1〜3で得られたTiO2(B)粉末の充放電曲線を示す。
表1に示した結果より、本発明の方法により得られたTiO2(B)粉末(実施例1)は、従来法で得られたTiO2(B)粉末(比較例1)と比較して、タップ密度および電極密度の向上が見られた。これは、図3に示したように本発明の方法により得られたTiO2(B)粉末の特異な二次粒子形態によるものと考えられる。また、TiO2(B)粉末の重量あたりの放電容量にはほぼ変化がなく、ニオブドープが放電容量に悪影響を与えないことがわかる。一方、TiO2(B)粉末の電極体積あたりの放電容量を見ると、実施例1のTiO2(B)粉末は、比較例1のTiO2(B)粉末と比較して、大きく向上していることが分かる。図8の(B)は両者を電極体積あたりの放電容量で比較する図であるが、この図からも、本発明の方法で得られたTiO2(B)粉末が比較例1と比べて優れた充放電特性を有することは明らかである。
ニオブをドープせずに実施例1と同様の方法で得られたTiO2(B)粉末(比較例2)ではタップ密度および電極密度の向上は見られたが、実施例1ほどではなかった。また、TiO2(B)粉末の重量あたりの放電容量および電極体積あたりの放電容量ともに実施例1よりも低く、工程Aでニオブをドープしないと、得られるTiO2(B)粒子の充放電特性にも悪影響があることがわかる。
比較例1で得られた粉末を粉砕して得た微粉末(比較例3)では、タップ密度、電極密度は実施例1と同等の値が得られたが、TiO2(B)粉末の重量あたりおよび電極体積あたりの放電容量がともに低いという結果になった。X線回折の結果より、比較例3で得た粉末には、アナターゼ型TiO2が多量に含まれていることが示され、粉砕中に高容量をもつTiO2(B)相が容量の低いアナターゼ相に変化したためと考えられる。従って、粉砕法では体積あたりの放電容量の向上が困難であることが示される。
以上の実施例から、本発明の方法によれば、従来法に比べて体積あたりの放電容量を飛躍的に向上させることが可能となり、TiO2(B)負極材料の高容量化に資することが実証された。

Claims (6)

  1. B型酸化チタンの製造方法であって、
    工程A:酸化ニオブと、ルチル型及び/又はアナターゼ型の酸化チタンを混合し、焼成することによって、ニオブがドープされた酸化チタン (Ti1-xNbxO2;0.01≦x≦0.10)を得る工程、
    工程B:工程Aで得られたTi1-xNbxO2と、アルカリ金属(Na,K,Rb,Cs)の炭酸塩、硝酸塩および水酸化物からなる群より選択されるアルカリ金属塩とを混合し、焼成することによって、チタン酸アルカリを得る工程、
    工程C:工程Bで得られたチタン酸アルカリのアルカリ金属イオンを、プロトンにイオン交換することによりチタン酸を得る工程、および、
    工程D:工程Cで得られたチタン酸を脱水することによりB型酸化チタンを得る工程
    とを含むことを特徴とする、B型酸化チタンの製造方法。
  2. 前記工程Aで得られる酸化チタンが、Ti1-xNbxO2(0.02≦x≦0.08)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程Aにおいて、1100〜1500℃にて、30分〜24時間焼成することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記工程Bで使用するアルカリ金属塩が、Na2CO3、K2CO3およびCs2CO3からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 負極材料として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によって製造されたB型酸化チタンを使用することを特徴とする、リチウムイオン電池。
  6. モル比による組成式がTi1-xNbxO2(0.01≦x≦0.1)であり、0.7g/cm3以上のタップ密度を有することを特徴とする、B型酸化チタン粉末。
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