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JP2012162620A - トレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

トレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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JP2012162620A JP2011023093A JP2011023093A JP2012162620A JP 2012162620 A JP2012162620 A JP 2012162620A JP 2011023093 A JP2011023093 A JP 2011023093A JP 2011023093 A JP2011023093 A JP 2011023093A JP 2012162620 A JP2012162620 A JP 2012162620A
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Shigeki Otsubo
茂幹 大坪
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下を抑制しつつ、ブローアウト性能を向上できるトレッド用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】軟化点が40℃以上の固体樹脂と、オイル、及び液状ジエン系重合体からなる群より選択される少なくとも1種の軟化剤との溶融混合物を含み、前記固体樹脂及び前記軟化剤の質量比が1/20〜1/1であるトレッド用ゴム組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、トレッド用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
レース用タイヤ等の高性能タイヤにおいては、一般に多量の軟化剤が配合される。そのため、ゴム組成物の粘度が低く、ゴム組成物を混練する際にゴム組成物にせん断力がかかりにくくなり、ゴム組成物に配合された成分の分散性が悪化する傾向にある。
また、高性能タイヤでは、グリップ性能の向上を目的として固体樹脂が配合される。しかし、固体樹脂の様に、混練する際に固体から液体へ相転移するような成分では特にせん断力がかかりにくいことから、ゴム組成物中での分散性は更に悪いことが予想される。
固体樹脂の分散性が悪化すると、ゴム組成物の温度依存性が大きくなり、走行時に性能(特に、グリップ性能)の低下を引き起こすおそれがある。また、ゴム組成物の不均一性が高いことから、ブローアウト性能の悪化を引き起こすおそれがある。
特許文献1には、グリップ性能を改善したタイヤ用ゴム組成物として、スチレンブタジエンゴムにクマロンレジン、石油系レジン、フェノール系レジンなどを配合することが提案されている。しかしながら、走行時に性能(特に、グリップ性能)の低下を抑制しつつ、ブローアウト性能を向上する点については改善の余地がある。
特開2005−350535号公報
本発明は、前記課題を解決し、走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下を抑制しつつ、ブローアウト性能を向上できるトレッド用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、軟化点が40℃以上の固体樹脂と、オイル、及び液状ジエン系重合体からなる群より選択される少なくとも1種の軟化剤との溶融混合物を含み、
上記固体樹脂及び上記軟化剤の質量比が1/20〜1/1であるトレッド用ゴム組成物に関する。
上記固体樹脂は、α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合した芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、テルペン樹脂、並びにロジン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記溶融混合物は常温で固体状態であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、上記固体樹脂の含有量が1〜60質量部であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックの含有量が0〜200質量部、シリカの含有量が0〜150質量部、カーボンブラックとシリカの合計含有量が30〜200質量部であることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
上記空気入りタイヤは、高性能タイヤであることが好ましい。
本発明によれば、特定軟化点を持つ固体樹脂と特定の軟化剤からなる溶融混合物を含有するトレッド用ゴム組成物であるので、走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下を抑制しつつ、ブローアウト性能が改善され、走行初期のタイヤが暖まっていない状態でのグリップ性能(初期グリップ性能)も維持又は改善された空気入りタイヤを提供できる。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、軟化点が40℃以上の固体樹脂と、オイル、及び液状ジエン系重合体からなる群より選択される少なくとも1種の軟化剤との溶融混合物を含む。
上記固体樹脂及び軟化剤を予め溶融混合して得られた溶融混合物を使用すると、固体樹脂と軟化剤を単に混合したゴム組成物に比べて、固体樹脂の分散性が向上し、走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下を抑制しつつ、ブローアウト性能を顕著に改善できる。また、初期グリップ性能も維持又は改善できる。
上記ゴム組成物はゴム成分を含む。ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等を使用することができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下をより抑制しつつ、ブローアウト性能をより向上でき、初期グリップ性能も維持又はより改善できるという理由から、SBRを使用することが好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、E−SBRが好ましい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。5質量%未満の場合、グリップ性が悪化する傾向がある。また、該スチレン含有量は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。45質量%を超えると、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、H−NMR測定によって算出される。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%である。60質量%未満であると、グリップ性能が充分に得られない傾向がある。
なお、後述する固体樹脂、軟化剤は、ゴム成分には含まれない。
本発明における溶融混合物は、軟化点が40℃以上の固体樹脂と、オイル、及び液状ジエン系重合体からなる群より選択される少なくとも1種の軟化剤とを溶融混合したものである。
上記固体樹脂の軟化点(Softening Point)は、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは80℃以上である。40℃未満であると、薬品保管中にブロッキングしたり、バンバリーミキサー投入用の計量薬品機又は導入管中で固結する傾向がある。一方、該軟化点は、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。150℃を超えると、混練時に融解せず、分散性が劣る傾向がある。
なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K 6220に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記固体樹脂としては、α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合した芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂などを好適に使用でき、なかでも、クマロンインデン樹脂が好ましい。これにより、走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下をより抑制しつつ、ブローアウト性能をより向上でき、初期グリップ性能も維持又はより改善できる。
クマロンインデン樹脂、インデン樹脂は、それぞれ炭素数8のクマロン及び炭素数9のインデンを主要なモノマー、インデンを主要なモノマーとする石炭系又は石油系樹脂である。具体的には、ビニルトルエン−α−メチルスチレン−インデン樹脂、ビニルトルエン−インデン樹脂、α−メチルスチレン−インデン樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン−インデン共重合体樹脂等が挙げられる。
上記α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合した芳香族ビニル重合体(α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂)では、芳香族ビニル単量体(単位)としてスチレン、α−メチルスチレンが使用され、該重合体は、それぞれの単量体の単独重合体、両単量体の共重合体のいずれでもよい。上記芳香族ビニル重合体としては、経済的で加工しやすく、グリップ性能に優れていることから、α−メチルスチレンの単独重合体、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましい。
テルペン樹脂は、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペンなどのテルペンを基本骨格とするテルペン化合物を主要なモノマーとする樹脂であり、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β−ピネン/リモネン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂などが挙げられる。また、ロジン樹脂としては、松脂を加工することにより得られるアビエチン酸、ピマール酸などの樹脂酸を主成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの天然産のロジン樹脂(重合ロジン)、水素添加ロジン樹脂、マレイン酸変性ロジン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジングリセリンエステル、不均化ロジン樹脂などが挙げられる。
上記軟化剤として使用されるオイル、液状ジエン系重合体は、常温(23℃)で液体である。
上記軟化剤の軟化点は、好ましくは20℃以下、より好ましくは17℃以下である。20℃を超えると、固体樹脂の分散性を充分に向上できず、走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下を抑制しつつ、ブローアウト性能、初期グリップ性能を充分に改善できない傾向がある。該軟化点の下限は特に限定されないが、好ましくは−70℃以上、より好ましくは−60℃以上である。−70℃未満であると、グリップ性能を充分に改善できないおそれがある。
オイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどの石油系プロセスオイルを用いることができる。なかでも、ゴムとの親和性が良い(SP値も近い)という理由から、アロマ系プロセスオイルが好ましい。
液状ジエン系重合体は、常温(23℃)で液体状態のジエン系重合体であれば特に限定されず、例えば、液状のスチレンブタジエン共重合体(ゴム)、ブタジエン重合体(ゴム)、イソプレン重合体(ゴム)、アクリロニトリルブタジエン共重合体(ゴム)等が挙げられる。なかでも、グリップ性能(特に、初期グリップ性能)の向上効果が大きいことから、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)が好ましい。
液状ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上である。Mwが2000未満では、耐摩耗性が低下する傾向がある。また、液状ジエン系重合体のMwは好ましくは50000以下、より好ましくは40000以下、更に好ましくは15000以下、特に好ましくは10000以下である。Mwが50000を超えると、軟化剤としての効果、グリップ性能の改善効果が充分に得られないおそれがある。
なお、本明細書において、液状ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
液状SBRのビニル含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。ビニル含量が10質量%未満であると、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。該ビニル含量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。ビニル含量が90質量%を超えると、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
なお、液状SBRのビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
液状SBRのスチレン含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。スチレン含量が10質量%未満であると、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。スチレン含量が60質量%を超えると、軟化点が高くなり、ゴムが硬くなり、グリップ性能が悪化するおそれがある。
なお、液状SBRのスチレン含量は、H−NMR測定により算出される。
上記溶融混合物において、固体樹脂及び軟化剤の質量比(固体樹脂/軟化剤)は、固体樹脂の分散性を好適に向上できるという理由から、1/20〜1/1、好ましくは1/6〜1/1、より好ましくは1/3〜1/1である。上記質量比が1/1を超えると、ゴム成分が混ざりにくくなり、加工性、ブローアウト性能が低下するおそれがある。一方、1/20未満であると、溶融した固体樹脂がオイルに馴染み、ゴム成分中に固体樹脂を良好に分散させることが困難になるおそれがある。
上記溶融混合物は、固体樹脂と軟化剤とをそれぞれの融解温度以上で混合することで調製でき、例えば、50〜160℃で2〜6分間(好ましくは80〜150℃で3〜5分間、より好ましくは120〜140℃で3〜5分間)の条件で溶融混合を実施すればよい。溶融混合は公知の加熱装置、混合装置を用いて行うことができ、例えば、水浴バス、油浴バスなどを用いて固体樹脂と軟化剤を加熱しながら、攪拌融解させることにより溶融混合物を調製できる。
得られた溶融混合物は、常温(23℃)で固体状態であることが好ましい。固体状態の混合物をゴム成分と混練することで、固体樹脂をゴム成分中に良好に分散でき、走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下をより抑制しつつ、ブローアウト性能をより改善でき、初期グリップ性能も維持又はより改善できる。
本発明のゴム組成物において、上記固体樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。1質量部未満では、本発明の効果が充分に得られないおそれがある。また、該固体樹脂の含有量は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。60質量部を超えると、グリップ性能(特に、初期グリップ性能)が低下するおそれがある。
上記軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。10質量部未満では、グリップ性能の発現が充分でない傾向がある。また、該軟化剤の含有量は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。60質量部を超えると、ブローアウト性能の改善効果が小さくなるおそれがある。
なお、固体樹脂、軟化剤は溶融混合物の他に別途配合してもよく、その場合、上記各含有量はゴム組成物中に含まれる総量を意味する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、カーボンブラックを含むことが好ましい。これにより、補強性を高めることができると共に、グリップ性能を改善でき、本発明の効果がより好適に得られる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは120m/g以上である。50m/g未満であると、充分な補強性が得られず、また、グリップ性能が低下する傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは160m/g以下である。200m/gを超えると、加工性が悪化するおそれがある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K6217のA法によって求められる。
カーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、40質量部以上が好ましく、70質量部以上がより好ましい。40質量部未満であると、グリップ性能を充分に向上できないおそれがある。また、ゴムの補強効果が充分に得られないおそれがある。該含有量は、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、110質量部以下が更に好ましい。200質量部を超えると、走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下を充分に抑制できず、ブローアウト性能も充分に改善できないおそれがある。また、加工性が低下するおそれがある。
本発明のゴム組成物は、シリカを含むことが好ましい。これにより、低燃費性、グリップ性能を改善でき、本発明の効果がより好適に得られる。
シリカのNSAは、好ましくは80m/g以上、より好ましくは150m/g以上である。80m/g未満であると、充分な補強性が得られず、また、グリップ性能が低下する傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは220m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。220m/gを超えると、配合したゴムの粘度が大幅に上昇し、加工性が悪化するおそれがある。更にはシリカの分散性を向上させることが困難となり、発熱性が悪化する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカを含有する場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、40質量部以上が好ましく、70質量部以上がより好ましい。40質量部未満であると、グリップ性能を充分に向上できないおそれがある。また、ゴムの補強効果が充分に得られないおそれがある。該含有量は、150質量部以下が好ましく、110質量部以下がより好ましい。150質量部を超えると、シリカが分散しにくくなり、走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下を充分に抑制できず、ブローアウト性能も充分に改善できないおそれがある。また、加工性が低下するおそれがある。
カーボンブラックとシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、30質量部以上が好ましく、70質量部以上がより好ましい。30質量部未満であると、グリップ性能を充分に向上できないおそれがある。また、ゴムの補強効果が充分に得られないおそれがある。該合計含有量は、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、110質量部以下が更に好ましい。200質量部を超えると、走行時の性能(特に、グリップ性能)の低下を充分に抑制できず、ブローアウト性能も充分に改善できないおそれがある。また、加工性が低下するおそれがある。
本発明では、シリカとともに、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは6質量部以上である。また、該シランカップリング剤の含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。上記範囲内に調整することでシリカを充分に分散させることができ、低燃費性、グリップ性能を改善でき、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤などを必要に応じて配合してもよい。
本発明のゴム組成物の製造方法は、一般的な方法で製造される。例えば、前記各成分をバンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。なお、混練工程の最高温度(180℃程度)では、溶融混合物が融解しゴム配合中に充分に分散させることが望ましく、これにより、グリップ性能をより高めることができる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、高性能タイヤなどに用いられるが、なかでも、高性能タイヤに好適に用いられる。なお、本明細書における高性能タイヤとは、グリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol1502(E−SBR、スチレン含有量:23.5質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN110(NSA:144m/g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラジルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
酸化亜鉛:ハクスイテック(株)製の酸化亜鉛3種(平均一次粒子径:1.0μm)
ステアリン酸:日油(株)製の椿
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
固体樹脂:新日鐵化学(株)製のエスクロンV120(クマロンインデン樹脂、軟化点:120℃)
軟化剤1:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24(アロマ系プロセスオイル、軟化点:−50℃以下)
軟化剤2:サートマー社製のRICON100(液状SBR、スチレン含量:20質量%、ビニル含量:70質量%、重量平均分子量:5000、軟化点:20℃以下)
溶融混合物1,2:下記方法により調製した溶融混合物1,2
(溶融混合物の調製)
実施例1〜10について、表1に示す配合に従い、油浴バスを用いて固体樹脂(上記クマロンインデン樹脂)を130℃に加熱した後に軟化剤を添加し、完全に融解後5分間攪拌混合したのちに水冷することで溶融混合物を得た。なお、溶融混合物1,2では、それぞれ軟化剤として、軟化剤1,2を使用した。
(実施例及び比較例)
表1に示す配合内容に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、50℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせてタイヤに成形し、170℃で10分間加硫することで試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物、試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。
(ブローアウト性能)
フレクソ試験機にて、繰り返し圧縮変形を与えて、ゴムを自己発熱させることによってブローアウトする時間を測定した。試験条件は以下のとおりである。結果は、比較例1のゴム組成物のブローアウトタイムを100として指数化した。指数値が大きいほど、ブローアウト時間が向上されており、耐熱性(ブローアウト性能)が良好であることを示す。
試験条件:繰り返し圧縮歪20%、周波数10Hz
(グリップ性能)
試験用タイヤを用いて、ドライアスファルト路面のサーキットコースにて実車走行を行ない、この際におけるグリップ性能(グリップ感、ブレーキ性能、トラクション性能)について、以下の5段階のフィーリング評価を行なった。なお、連続走行グリップ性能が良好とは、走行時のグリップ性能の低下を好適に抑制できることを示す。
5:非常に良好、4:良好、3:普通、2:やや劣る、1:劣る
初期グリップ性能:サーキット5LAPまでのグリップ性能
連続走行グリップ性能:サーキット20LAPまでのグリップ性能
Figure 2012162620
表1から、固体樹脂と軟化剤の溶融混合物を使用することで、走行時のグリップ性能の低下を抑制しつつ、ブローアウト性能が改善され、初期グリップ性能も維持又は改善されることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 軟化点が40℃以上の固体樹脂と、オイル、及び液状ジエン系重合体からなる群より選択される少なくとも1種の軟化剤との溶融混合物を含み、
    前記固体樹脂及び前記軟化剤の質量比が1/20〜1/1であるトレッド用ゴム組成物。
  2. 前記固体樹脂は、α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合した芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、テルペン樹脂、並びにロジン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のトレッド用ゴム組成物。
  3. 前記溶融混合物は常温で固体状態である請求項1又は2記載のトレッド用ゴム組成物。
  4. ゴム成分100質量部に対して、前記固体樹脂の含有量が1〜60質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  5. ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックの含有量が0〜200質量部、シリカの含有量が0〜150質量部、カーボンブラックとシリカの合計含有量が30〜200質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ。
  7. 高性能タイヤである請求項6記載の空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014231550A (ja) * 2013-05-28 2014-12-11 横浜ゴム株式会社 タイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ
EP3287486A1 (en) 2016-08-23 2018-02-28 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Tyre composition
CN109912806A (zh) * 2019-02-27 2019-06-21 江苏麒祥高新材料有限公司 一种具有抗湿滑性能的改性树脂、制备方法及其应用

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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