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JP2012150747A - タッチパネル装置 - Google Patents

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JP2012150747A JP2011010473A JP2011010473A JP2012150747A JP 2012150747 A JP2012150747 A JP 2012150747A JP 2011010473 A JP2011010473 A JP 2011010473A JP 2011010473 A JP2011010473 A JP 2011010473A JP 2012150747 A JP2012150747 A JP 2012150747A
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Abstract

【課題】従来は、ペットボトルなどの接触、密閉空間での急激な環境変動により、指がタッチパネルに非接触状態で静電容量値が指接触判定閾値を超えた場合、環境が正常に戻るまで待つか、リセット処理等をする以外、ベースライン値の正常状態復帰はできない。
【解決手段】静電容量検出手段で、検知電極と検知対象物間の静電容量を検出し、検知対象物の近接・接触の判断基準であるベースライン値をベースライン格納手段に格納し、前記静電容量値とベースライン値により検知対象物の近接・触状態を近接・接触検出手段で判別し、近接・接触検出手段で検出した指状態と複数の検知電極のベースライン値と複数の検知電極の静電容量値分布から、各検知電極の異常状態を異常状態検出手段で検出し、異常状態の場合に、前記静電容量値とベースライン値よりベースライン値をベースライン更新手段が更新する。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば、タッチパネルに配設された複数の検知電極の静電容量を検出して、ユーザの指又はスタイラスペン等の検知対象物がタッチパネルに触れている位置、又はタッチパネルに近接している位置を特定するタッチパネル装置に関するものである。
近年、タッチパネルを備えたモバイル端末・液晶表示装置等の普及が進んでいる。
タッチパネルの一方式として、投射容量方式がある。この方式は、透過率や耐久性に優れているため利用が拡大されており、ユーザの指又はスタイラスペン等のタッチパネルとの接触と、タッチパネルへの近接の両方を検出することが可能である。
しかしながら、投射容量方式における静電センサの場合、温度変化、環境変動(周辺機器の影響等)等により、出力される静電容量値が変動するため、絶対的な静電容量値を用いてタッチパネルへの指等の近接または接触を検出することは難しい。そのため、タッチパネルのセンサ電極に指等が触れていない状態における、静電容量値を基準容量(ベースライン値)とし、その値から検出した静電容量値の差分値を用いて、指の近接・接触を検知する方法(感度キャリブレーション)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−208682号公報
従来方式では、ペットボトルや携帯電話等のモノの接触や、密閉された空間内における温度上昇等の急激な環境変動が原因で、指がタッチパネルに接触していない状態において静電容量値が指接触判定の閾値を超えた場合に、指接触時にはキャリブレーションが実行されないため、環境が正常に戻るまで待ち続けるか、あるいはリセット等の処理命令を外部から与える以外の方法では、ベースライン値を正常状態に復帰することができないという課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、静電容量値が指操作では通常起こり得ない、例えば急激に静電容量値が下がる、指接触判定の出力が継続し続ける等の異常状態を判定して、ベースライン値を復帰させる手段を持つことで、ペットボトルや携帯電話等のモノの接触や環境の急激な変動等により、指接触判定を間違がえて出力し続ける異常から、自動的に復帰することができるようにする。
この発明に係るタッチパネル装置は、
検知対象物の接触、及び、近接によって静電容量が変化する複数の検知電極と、
前記検知電極と検知対象物間の静電容量を検出する静電容量検出手段と、
検知対象物の近接・接触を検知するための基準となる静電容量値であるベースライン値を格納するベースライン格納手段と、
前記静電容量検出手段で得られた静電容量値とベースライン値により検知対象物の近接・触状態を判別する近接・接触検出手段と、
前記静電容量検出手段で得られた静電容量値とベースライン値によりベースライン格納手段のベースライン値を更新するベースライン更新手段と、
前記近接・接触検出手段で検出した指状態と複数の検知電極のベースライン値と複数の検知電極の静電容量値分布から、指操作では起こりえない各検知電極の異常状態を検出する異常状態検出手段と、
前記各手段を制御する制御手段を備え、
制御手段は、異常状態検出手段が異常状態と判断した場合には、前記ベースライン格納手段のベースライン値をベースライン更新手段が更新するように制御する構成である。
この発明に係るタッチパネル装置によれば、指接触の出力を出し続ける。または、指操作では起こりえない静電容量値である場合は、異常状態として検出する異常状態検出手段を設け、ベースライン更新手段がキャリブレーションを行って、検知対象物の近接・触状態を判別する判定基準値であるベースライン値をリセットして自動的に復帰できるようにしたので、タッチパネルの安全性や保守性をより高めることができる。
この発明の実施の形態1によるタッチパネル装置を示す構成図である。 実施の形態1における制御手段のフローチャートである。 図1のタッチパネル装置における検出電極の静電容量値(黒棒)とベースライン値(斜線棒)を表す特性図である。 物質の比誘電率を示す図である。 図3の静電容量値からベースライン値の差をグラフ化した図である。 ベースライン更新手段により更新され、ベースライン格納手段に格納されたベースライン更新値を示す図である。 検出電極に指やモノが近接・接触していない状態を示すタッチパネル装置の構成図である。 図7の状態における検出電極の静電容量値とベースライン値をグラフ化した図である。 図8における検出電極の静電容量値からベースライン値の差をグラフ化した図である。 急激な温度上昇時における検出電極の静電容量値とベースライン値をグラフ化した図である。 図10における検出電極の静電容量値からベースライン値の差をグラフ化した図である。 フレーム付きタッチパネルに水滴が付着した状態を示すタッチパネル装置の構成図である。 フレーム付きタッチパネル部の一部分の断面図である。 フレーム付きタッチパネル部に水滴が付着した状態における一部分の断面図である。 図12の状態における検出電極の静電容量値とベースライン値をグラフ化した図である。 図15の静電容量値からベースライン値の差をグラフ化した図である。 指の接触状態における検出電極の静電容量値からベースライン値の差をグラフ化した図である。 指ではないモノの接触状態における検出電極の静電容量値からベースライン値の差をグラフ化した図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるタッチパネル装置を示す構成図であり、図において、X方向の検知電極2a〜2eとY方向の検知電極2f〜2jが透明なガラス面1の下部に配置されており、ユーザの指やスタイラスペン等(以下、必要のない限り指で代表する)の検知対象物、またはペットボトルや携帯電話等誘電体5の近接・接触によって静電容量が変化する。
静電容量検出手段3は、制御手段4からの検出指示信号を受けると、X方向及びY方向の検出電極2a〜2jの静電容量を順次検出し、近接・接触検出手段7とベースライン更新手段8に検出された静電容量値を出力する。ベースライン更新手段8は、制御手段4からの指示信号を受けると、静電容量検出手段3からの静電容量値を用いて、前記検出電極2a〜2jのベースライン値を求め、ベースライン格納手段9に出力する。ベースライン格納手段9は、制御手段4の格納指示信号により、ベースライン更新手段8から出力されたベースライン値を格納する。近接・接触検出手段7は、制御手段4の検出指示信号により、静電容量検出手段3から出力された静電容量値と、ベースライン格納手段9から出力されたベースライン値を基に、ユーザの指等の近接あるいは接触を検出し、その有無情報を出力する。
また、制御手段4のベースライン出力指示信号により、近接・接触検出手段7は、ユーザの指等の近接あるいは接触の有無情報を、あるいは、ベースライン格納手段9は、格納されたベースライン値を出力する。
図3は、静電容量検出手段3で得られる検出電極2a〜2jの静電容量値(黒棒)と、ベースライン格納手段9に格納された検出電極2a〜2jのベースライン値(斜線棒)を表す図である。一般的に、指(バーチャルグランド電極)と検出電極の間に生じる静電容量値は、(真空の誘電率)×(指と検出電極間の物質の誘電率)×(検出電極と指の重なり面積)/(指と検出電極の間の距離)で決まる。ここで、物質の誘電率は、(真空の誘電率)×(物質の比誘電率)であり、真空の誘電率は固定であるから、物質の比誘電率が大きいほど、指と検出電極間に生じる静電容量値は大きくなる。
ここで、図1の構成図に示すように静電センサが透明タイプの静電タッチパネルの場合は、検出電極にITO(酸化インジウムスズ)等の透明電極を用いるが、通常は電極上面に保護用のガラス、アクリル等を配設し、ガラス、アクリル面への指の接触を検出する。この場合においても、図4の物質の比誘電率表に示すように、ガラス、アクリル等に比べて、空気の比誘電率は小さいので、ガラス、アクリル面と指の間に空気層がある状態(近接・接近状態)と、ガラス、アクリル面に指やモノ(携帯電話・ペットボトル等)が接触した場合とでは、後者の状態の方が検出される静電容量値は大きくなる。この変化を用いて、検出電極への指やモノの接触検知を行う。ここで、静電容量値の単位としては、F(ファラド)が用いられるが、一般に指と電極間の静電容量値の検出方法には、充放電時間の変異を計測するもの、正弦波、矩形波等の電圧変化を計測するもの等、様々な方法があるので、この発明中で説明する際の静電容量値の単位は、正規化された尺度として表している。
図3は、図1に示すように検出電極2c、2hにペットボトルが接触した状態である静電容量値とベースライン値を示す。図3では、検出電極2c、2hにペットボトルが接触した状態であるので、X側では検出電極2c、Y側では2hをピークとする静電容量分布が得られている。
図4は、物質の比誘電率を示す図であり、図5は、図3に示す静電容量検出手段3で得られた静電容量値からベースライン格納手段9に格納されたベースライン値の差をグラフ化して示している。図5中、20は近接状態と判断する近接状態用の閾値、21は接触状態と判断する接触状態用の閾値である。
本図5では、図1に示すように検出電極2c、2hにペットボトル5が接触した状態であるので、検出電極2cの静電容量値が接触状態用の閾値21を超え、検出電極2hの静電容量値が接触状態用の閾値21に限りなく近づいている。
図6は、ベースライン更新手段8で更新され、ベースライン格納手段9に格納された更新ベースライン値を示す図である。
図7は、検出電極に指やモノが近接・接触していない状態を示すタッチパネル装置の構成図であり、図8は、図7の状態における静電容量検出手段3で得られた静電容量値及びベースライン格納手段9に格納されたベースライン値をグラフ化した図である。図9は、図7の状態における静電容量検出手段3で得られた静電容量値からベースライン格納手段9に格納されたベースライン値、即ち図8に示す静電容量値からベースライン値の差をグラフ化した図である。
図10は、急激な温度上昇時において、静電容量検出手段3で得られた静電容量値及びベースライン格納手段9に格納されたベースライン値をグラフ化した図である。図11は、急激な温度上昇時において、静電容量検出手段3で得られた静電容量値からベースライン格納手段9に格納されたベースライン値、即ち図10に示す静電容量値からベースライン値の差をグラフ化した図である。
図12は、フレーム付きのタッチパネルに対して水滴が付着した状態を示すタッチパネル装置の構成図である。図13は、図12に示すタッチパネル装置の構成で水滴が付着していない状態におけるタッチパネルの一部分の断面図であり、検知電極2d、2e、2jとフレーム11(フレームに内包される金属部12)間の静電容量の発生を示す図である。図14は、図12に示すタッチパネル装置の構成で水滴が付着した状態におけるタッチパネルの一部分の断面図であり、検知電極2d、2e、2jとフレーム11(フレームに内包される金属部12)間の静電容量の発生を示す図である。
図15は、図12の状態における静電容量検出手段3で得られた検知電極2a〜2jの静電容量値とベースライン格納手段9に格納されたベースライン値をグラフ化した図であり、図16は、図12の状態における静電容量検出手段3で得られた検知電極2a〜2jの静電容量値からベースライン格納手段9に格納されたベースライン値、即ち図15に示す静電容量値からベースライン値の差をグラフ化した図である。
図17は、指やスタイラスが接触した状態における、静電容量検出手段3で得られた検知電極2a〜2jの静電容量値とベースライン格納手段9に格納されたベースライン値の差分値をグラフ化した図であり、図18は、携帯電話などのモノが接触した状態における、静電容量検出手段3で得られた検知電極2a〜2jの静電容量値とベースライン格納手段9に格納されたベースライン値の差分値をグラフ化した図である。
次に図2の制御手段4のフローチャートを用いて、タッチパネル上にペットボトル5が置かれた異常状態時、即ち図1の状態における動作の説明を行う。
制御手段4は、ST1で静電容量検出手段3に指示し、静電容量検出手段3は、検出電極2a〜2jの静電容量値を順次検出し、検出された静電容量値を近接・接触検出手段7、及び、ベースライン更新手段8に出力する。検出された静電容量値が図3の黒棒で示される。図1のように、ペットボトル5がX側の検出電極2c、及びY側の検出電極2hに接触しているので、図3では検出電極2c、2hの静電容量値が大きくなっている。
次にST2に進み、制御手段4は、近接・接触検出手段7に指示し、近接・接触検出手段7は、得られた各検出電極2a〜2jにおける静電容量値を基に、指の近接、あるいは、接触状態を検出する。具体的には、各検出電極2a〜2jにおける静電容量値からベースライン格納手段9に格納された検出電極2a〜2j毎のベースライン値との差分値を求め、その差分値と近接状態検出用の閾値、接触状態検出用の閾値とを比較することにより、近接、接触状態を検出する。図1の例におけるベースライン値は図3で示される斜線棒であり、静電容量値との差を示したものが図5の黒棒である。図5に示すように検出電極2cの静電容量値が接触状態用の閾値21を超えているので、指あるいはペットボトル等の誘電体の接触状態と判断される。
次にST3に進み、制御手段4は、近接・接触検出手段7に指示し、近接・接触検出手段7は、指が近接または接触している状態か否かを判別し、近接または接触状態であればST4、そうでなければ、ST5に進む。ここでは、ST3で接触状態であったので、ST4に進む。
ST4において、制御手段4は、近接・接触検出手段7に指示し、近接・接触検出手段7は、ST2で判定した指あるいはペットボトル等の誘電体の近接・接触状態を出力する。
次にST5に進み、制御手段4は、異常状態検出手段10に指示し、異常状態検出手段10は、指の接触判定が出続ける、あるいは静電容量値が指(または誘導体)の接触では起こりえないマイナス側へ変動する、全体がプラス側へ大きく変動する、X側とY側とで大きく差がでる等を判断基準として、異常状態の有無を判定する。具体的には、指の接触判定が出続ける許容時間を60秒とする。異常状態検出手段10は、図1の例では、ペットボトル5がタッチパネルの検出電極2c、2hに置かれ、指の接触判定が60秒以上出続けるため、異常状態と判断する。
次にST6に進み、制御手段4は、ベースライン更新手段8に指示し、ベースライン更新手段8は、指やペットボトル等がタッチパネルへの近接・接触が継続する異常状態でベースライン値の更新が必要か否かを判断し、ベースライン値の更新が必要であればST7に進み、必要がなければST1へと戻る。ここでは、ペットボトル5の接触により許容時間を越えて指の接触判定が出続ける異常状態であるためST7に進む。
次にST7で、制御手段4は、ベースライン更新手段8に指示し、ベースライン更新手段8は、ベースライン値の更新を、新しいベースライン値=現在のベースライン値×α+ST1で計測した静電容量値×βの演算をして行う。αとβは重み付けのパラメータでα+β=1.0である。異常状態時におけるベースラインの更新では、ST1で計測した静電容量値に重みをおき、例えばβ=0.95とする。
次に、ST8に進み、制御手段4は、ベースライン格納手段9に指示し、ベースライン格納手段9はベースライン更新手段8で更新された新たなベースライン値を格納する。格納されたベースライン値を図6に示す。
次にST1に戻り、次のタイミングにおける制御手段4の指示により静電容量検出手段3で、検出電極2a〜2jの静電容量値の検出を行い、ST1〜ST8の処理を繰り返す。
次に、図1に示す状態がしばらく続いた後に、図7に示すいずれの電極にも指が近づいていない状態になった場合の動作について説明する。
制御手段4は、ST1で静電容量検出手段3に指示し、静電容量検出手段3は、検出電極2a〜2jの静電容量値を順次検出し、検出された静電容量値を近接・接触検出手段7、及び、ベースライン更新手段8に出力する。図1の状態から図7の状態になる例における、検出電極2a〜2jの静電容量値及びベースライン値を示したものが図8である。図1のペットボトル5が置かれていた状態と比べ、いずれの電極2a〜2jにも指が接近も、近接もしていないので、検出された静電容量値は小さくなっている。ベースライン値は図1の状態における図6に示すベースライン更新手段8で更新されたベースライン値である。
次にST2に進み、制御手段4は、近接・接触検出手段7に指示し、近接・接触検出手段7は、得られた各検出電極2a〜2jにおける静電容量値を基に、指等の近接、あるいは、接触状態を検出する。ここで、図1の状態から図7の状態になる例では、図1のペットボトル5が置かれていた状態がベースライン値となっていたため、いずれの検出電極2a〜2jにも指は近づいていない図7の状態では、検出電極2a〜2jの静電容量値とベースライン値との差分値は、図9に示すように一部を除きマイナスの値をとることになる。
次にST3に進み、制御手段4は、近接・接触検出手段7に指示し、指が近接している状態か否かを判別し、近接または接触状態であればST4、そうでなければST5に進む。ここでは、いずれの検出電極2a〜2jの容量値も指の近接用の閾値20を超えていないので、指が近接または接触していない状態と判別しST5に進む。
次にST5で、制御手段4は、異常状態検出手段10に指示し、異常状態検出手段10は、指の接触判定が出続ける、あるいは静電容量値が指(または誘導体)の接触では起こりえないマイナス側へ変動する、全体が大きくプラス側へ変動する、X側とY側とで大きく差がでる等を判断基準として、異常状態の有無を判定する。具体的には、各検出電極2a〜2jの差分値(=静電容量値−ベースライン値)が異常判定閾値22以下である状態が、数秒続いた場合に異常状態と判断される。異常状態検出手段10は、図1から図7の状態になる例では、図9に示すように検出電極2b、2c、2d、2g、2hが異常判定閾値22以下となるため異常状態と判断してST6、ST7、ST8へと進み、ベースライン更新手段8はベースラインを更新して正常状態となる。
次にタッチパネルの周りの環境が変化して、急激に温度が上昇した場合について説明する。制御手段4は、ST1で静電容量検出手段3に指示し、静電容量検出手段3は、検出電極2a〜2jの静電容量値を順次検出し、検出された静電容量値を近接・接触検出手段7、ベースライン更新手段8及び、異常状態検出手段10に出力する。この例における、検出電極2a〜2jの静電容量値及びベースライン値を示したものが図10である。
次にST2に進み、制御手段4は、近接・接触検出手段7に指示し、近接・接触検出手段7は、得られた各検出電極2a〜2jにおける静電容量値を基に、指の近接、あるいは、接触状態を検出する。この例では、図11に示すように、検出された静電容量値からベースライン値を減算した静電容量値は、いずれの検出電極2a〜2jにおいても近接状態の閾値20よりも小さいが、温度上昇のため静電容量値が一定値23以上の値を示している。
次にST3に進み、制御手段4は、近接・接触検出手段7に指示し、指が近接または接触している状態か否かを判別し、近接または接触状態であればST4、そうでなければST5に進む。ここでは、いずれの検出電極2a〜2jの差分静電容量値も近接検出用の閾値20を超えていないので、近接または接触状態ではないと判断し、ST5に進む。
次にST5では、制御手段4は、異常状態検出手段10に指示し、指の接触判定が出続ける、あるいは静電容量値が指(または誘導体)の接触では起こりえないマイナス側へ変動する、全体がプラス側へ大きく変動する、X側とY側とで大きく差がでる等を判断基準として、異常状態の有無を判定する。具体的には、各検出電極2a〜2jの差分値(=静電容量値−ベースライン値)の最小値が閾値20以下である状態が、数秒続いた場合に異常状態と判断する。異常状態検出手段10は、ここでは、差分値(=静電容量値−ベースライン値)の最小値が閾値20以下であるため、ST6、ST7、ST8へ進み、ベースライン更新手段8はベースライン値を更新して正常状態となる。
次に、図12に示すように水滴がタッチパネル面に付着した場合の動作について説明する。図12では、絶縁体でコーティングされたフレーム11がX方向の検知電極2a〜2eとY方向の検知電極2f〜2jの周囲にあり、水滴6が検知電極2e、2g、2h、2i、2jに渡って付着している。水滴6が付着した場合、水は空気に比べて誘電率は高く、検出電極2e、2g、2h、2i、2jに近接するフレーム11との間に静電容量が発生するため、指で近接・接触した場合と同等の静電容量値が出力される。
図13は、図12に示す構造の水滴が付着していないフレーム付きタッチパネルを正面から見た一部分の断面図である。図13で、検知電極2d、2e、2jがガラス面1の下に設置され、ガラス面1上にフレーム11が設置され、フレーム11は接地された金属部12を内包した構成とされる。図13の状態では、検知電極2d、2e、2jとフレーム11との間に発生する静電容量は、誘電率の低い空気層が間に存在しているためほとんど発生しない。
図14は、図12に示したフレーム付きタッチパネルに水滴6を付着させた状態を正面から見た一部分の断面図である。図14で、検知電極2d、2e、2jがガラス面1の下に設置され、ガラス面1上にフレーム11が設置され、フレーム11は接地された金属部12を内包した構成にされており、水滴6が検知電極2e、2j上に付着している。図14の状態では、検知電極2e、2jとフレーム11との間には水滴6が存在し、水は空気よりも誘電率が約80倍大きいため、検知電極2e、2jとフレーム11間に発生する静電容量は、図13に比べて多く発生する。
制御手段4は、ST1で静電容量検出手段3に指示し、静電容量検出手段3は、検出電極2a〜2jの静電容量値を順次検出し、検出された静電容量値を近接・接触検出手段7、及び、ベースライン更新手段8に出力する。図12の例における、検出電極2a〜2jの静電容量値及びベースライン値を示したものが図15である。水滴6が付着していない場合に比べて大きな静電容量が発生するため、フレーム11と水滴6を介して接近している検出電極2e、2g、2h、2i、2jの静電容量値が比較的大きな値となる。特に、検出電極2eはフレーム11と水滴6を介して接触する面積が大きいため、より大きな静電容量値をとる。
次にST2に進み、制御手段4は、近接・接触検出手段7に指示し、近接・接触検出手段7は、得られた各検出電極2a〜2jにおける静電容量値を基に、指等の近接、あるいは、接触状態を検出する。ここで、図12に示す状態の例では、図16に示すように、Y側の検出電極2f〜2jの差分値については、近接の閾値20を超えていないが、X側の検出電極2a〜2eの差分値については検出電極2eの差分値が指接触の閾値21を超えている状態になる。
次にST3に進み、制御手段4は、近接・接触検出手段7に指示し、指が近接している状態か否かを判別し、近接または接触状態であればST4、そうでなければST5に進む。ここでは、X、Yの検出電極が両方とも近接・接触用の閾値を超えていないため、近接・接触条件を満たさずST5に進む。
次にST5に進み、制御手段4は、異常状態検出手段10に指示し、異常状態検出手段10は、指の接触判定が出続ける、あるいは静電容量値が指(または誘導体)の接触では起こりえないマイナス側へ変動する、プラス側へと大きく変動する、全体が大きく変動する、X側とY側とで大きく差がでる等を判断基準として、異常状態の有無を判定する。具体的には、X側の最大差分値とY側の最大差分値との差が閾値24以上である状態が、数秒続いた場合に異常状態と判断される。異常状態検出手段10は、図14の例では、Y側の最大差分値−X側の最大差分値が閾値24以上であり異常状態と判断し、ST6、ST7、ST8へと進み、ベースライン更新手段8はベースライン値を更新して正常状態となる。
以上実施の形態1によれば、異常状態検出手段10を設け、指の接触を出力し続ける。または、指操作では起こりえない静電容量値である場合は、キャリブレーションを行ってベースライン値をリセットして自動的に復帰できるようにしたので、タッチパネルの安全性や保守性をより高めることができる。
また、指やスタイラスペンの検知対象物の異常状態に基づき異常状態検出手段10は、静電容量の分布を用いて分布の異常状態を判断して、指接触出力の許容時間を変えても良い。具体的には、指やスタイラスペンが接触している場合は図17に示す急峻な山のような波形となり、ペットボトルや携帯電話等のモノが接触している場合は図18に示す緩やかな山のような波形となる性質を利用する。ここでは、例として、前記分布を判別する尺度として、下記式1に示す尖度(kurtosis)Xkを用い、Xkが一定以上の場合に指が接触した状態と判断する。なお、本静電容量分布は、操作者の指の大きさ、検出電極の大きさ、検出電極間のピッチ、レイアウト方式によって異なる可能性があるので、前記条件毎に設定するものとする。ここでは、指やスタイラスペンが接触した場合の尖度の範囲を、2.0<Xkとする。異常状態検出手段10は、尖度が2.0以下の場合は指接触の波形ではないと判断して、異常状態と判断するまでの時間を短くする。
Figure 2012150747
また、キャリブレーション時のベースライン値の更新法は、(新しいベースライン値=現在のベースライン値×α+ST1で計測した静電容量値×β)としたが、数サンプルの平均値や、他の隣接する検出電極との補間も加えたものにしても良い。
また、各異常状態におけるベースライン値の更新法は、全て同一のものとしたが、各々で別の更新方法を用いても良い。
この発明に係るタッチパネル装置は、指操作では通常起こり得ない異常状態を判定して、自動的に正常状態に復帰することができるようにしているので、操作性を向上し、静電容量の変化でスイッチ入力を行うタッチパネルを有する電気機器全般に有用である。
1;ガラス面、2a〜2j;検知電極、3;静電容量検出手段、4;制御手段、6;水滴、7;近接・接触検出手段、8;ベースライン更新手段、9;ベースライン格納手段、10;異常状態検出手段、11;フレーム。

Claims (6)

  1. 検知対象物の接触、及び、近接によって静電容量が変化する複数の検知電極と、
    前記検知電極と検知対象物間の静電容量を検出する静電容量検出手段と、
    検知対象物の近接・接触を検知するための基準となる静電容量値であるベースライン値を格納するベースライン格納手段と、
    前記静電容量検出手段で得られた静電容量値とベースライン値により検知対象物の近接・触状態を判別する近接・接触検出手段と、
    前記静電容量検出手段で得られた静電容量値とベースライン値によりベースライン格納手段のベースライン値を更新するベースライン更新手段と、
    前記近接・接触検出手段で検出した検知対象物の状態と複数の検知電極のベースライン値と複数の検知電極の静電容量値分布から、検知対象物の操作では起こりえない各検知電極の異常状態を検出する異常状態検出手段と、
    前記各手段を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記異常状態検出手段が異常状態と判断した場合には、前記ベースライン格納手段のベースライン値をベースライン更新手段が更新するように制御することを特徴とするタッチパネル装置。
  2. 異常状態検出手段は、近接・指接触検出手段が近接・接触と一定時間以上判定し続けた場合に、異常状態と判断することを特徴とする請求項1記載のタッチパネル装置。
  3. 異常状態検出手段では、ベースライン値と静電容量値から得られる差分値の分布が、指タッチ時と逆方向に得られた場合に異常状態と判断することを特徴とする請求項1記載のタッチパネル装置。
  4. 異常状態検出手段は、ベースライン値と静電容量値から得られる差分値の分布全体が一定値以上になった場合に異常状態と判断することを特徴とする請求項1記載のタッチパネル装置。
  5. 複数の異なる方向に検知電極を備え、異常状態検出手段は、ベースライン値と静電容量値から得られる差分値の分布で、複数の異なる方向の検知電極における静電容量値の差が一定値以上である場合に異常状態と判断することを特徴とする請求項1記載のタッチパネル装置。
  6. 異常状態検出手段は、ベースライン値と静電容量値から得られる差分値の分布形状から、指やスタイラスペンによる接触と判断した場合と、指やスタイラスペン以外の物の接触と判断した場合とで、異常状態と判断する時間を変え、前記それぞれの時間以上近接・接触と判定し続けた場合に異常状態と判断することを特徴とする請求項1記載のタッチパネル装置。
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