JP2012035799A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気入りタイヤは、ナイロン66マルチフィラメントヤーンを一方向に撚りを付与した片撚りコードをベルト補強層に用いたものである。このベルト補強層は、タイヤ周方向に配置されるものであり、少なくともショルダー部に2層以上設けられている。ベルト補強層に使われている片撚りコードは、繊度が900〜3000dtexであり、Tを100mm当たりの撚り数とし、Dを片撚りコードの総繊度(dtex)とするとき、K=T√Dで表される撚り係数Kが300〜1000である。また、タイヤから採取されたベルト層側のベルト補強層に使用されている片撚りコードと、ベルト層とは反対側の路面側のベルト補強層に使用されている片撚りコードの2.3cN/dtex荷重時の伸び率の比が1/1.1〜1/1.6である。
【選択図】図1
Description
また、前記ベルト層側の前記ベルト補強層の前記片撚りコードよりも前記路面側の前記ベルト補強層の前記片撚りコードの方が前記撚り係数が大きく、前記ベルト層側の前記ベルト補強層の前記片撚りコードの撚り係数が300〜750であり、前記路面側の前記ベルト補強層の前記片撚りコードの撚り係数が550〜1000であることが好ましい。
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午線CLに対して右半分の断面形状を示す断面図である。
なお、以下の説明において、図1中に矢印で示すように、タイヤ幅方向とは、タイヤの回転軸(図示せず)と平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、回転軸と直交する方向をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸を回転の中心となる軸として回転する方向をいう。さらに、タイヤ内側とは、タイヤ径方向において図1中タイヤの下側、すなわちタイヤに所定の内圧を与える空洞領域Rに面するタイヤ内面側をいい、タイヤ外側とは、図1中タイヤの上側、すなわちタイヤ内周面と反対側の、ユーザーが視認できるタイヤ外面側をいう。
本実施形態においては、内側ベルト層40及び外側ベルト層42は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、その補強コードが層間で互いに交差するように配置されている。内側ベルト層40及び外側ベルト層42は、補強コードが、例えば、スチールコードであり、コードコーティングゴムで被覆して構成されている。
本実施形態においては、ベルト補強層24は、少なくともショルダー部14に2層以上設けられるものである。ベルト補強層24は、例えば、ベルト層22の端部βのみを覆うように設けられている。
このようにベルト補強層24においては、第1のプライ44がベルト層22側に設けられており、第2のプライ46が路面側に設けられている。第1のプライ44および第2のプライ46は、いわゆるエッジカバーと呼ばれるものである。
ベルト補強層24においては、路面側の第2のプライ46のモジュラス(剛性)を小さくしベルト層側の第1のプライ44のモジュラス(剛性)を大きくしている。
なお、ベルト補強層24については、後に詳細に説明する。また、ベルト補強層24の配置形態は、後述するように図1(図2(a))に示すものに限定されるものではない。
また、ビード部18には、タイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含むサイド補強層26が埋設されている。
なお、サイド補強層26の他端部Cは、カーカス層20の本体部20aとビードフィラー6との間の、ビードコア28近傍に存在する。なお、サイド補強層26は、ビード部18では、カーカス層20の折り返し部20bとビードコア28及び/又はビードフィラー30との間に、サイドウォール部16では、本体部20aと折り返し部20bとの間に配置されていても良いし、ビード部18では、折り返し部20bのタイヤ幅方向外側に、サイドウォール部16では、本体部20aの外側に配置されていても良い。さらに、これらを組み合わせて配置しても良い。
さらに、サイド補強層26を設ける領域を補強コードの種類に応じて変えても良い。例えば、サイド補強層26の補強コードとして、従来公知のスチールコードを用いる場合には、ビードフィラー30とカーカス層20の折り返し部20bとの間にサイド補強層26を配置するのが好ましく、有機繊維コードを用いる場合には、ビードコア28及びビードフィラー30を包み込むようにサイド補強層26を配置するのが好ましい。
ベルト補強層24において、ベルト層側の第1のプライ44及び路面側の第2のプライ46には、上述のナイロン66マルチフィラメントヤーンを一方向に撚りを付与した片撚りコードが用いられている。この片撚りコードは、繊度が900〜3000dtexである。
ベルト補強層24に使われている片撚りコード、すなわち、第1のプライ44及び第2のプライ46に使われている片撚りコードの繊度が900dtex未満である場合、ベルト補強層24の片撚りコードの打ち込み本数が増加し、タイヤの生産性が悪くなる。一方、ベルト補強層24で使われている片撚りコードの繊度が3000dtexを超えると、片撚りコードの打ち込み本数は低減できるものの、ゲージが厚くなるためタイヤの体積が増大し、タイヤの軽量化に適さない。
なお、撚り係数Kは、K=T√Dで規定されるものである。ここで、Tは、100mm当たりの撚り数、すなわち、撚り数/10cmである。Dは、片撚りコードの総繊度(dtex)である。
ベルト補強層24の片撚りコードの撚り係数Kが300未満であると、片撚りコードの疲労性が悪化する。これにより、タイヤの耐久性が低下する。一方、ベルト補強層24で使われている片撚りコードの撚り係数Kが1000を超えても、片撚りコードの疲労性が悪化する。この場合も、タイヤの耐久性が低下する。
また、ベルト層側の片撚りコードの撚り係数(K1)は、300〜750であることが好ましい。路面側の片撚りコードの撚り係数(K2)は、550〜1000であることが好ましい。
また、上述のように、ベルト層側の片撚りコードの撚り係数K1を、路面側の片撚りコードの撚り係数K2よりも小さくすることにより、ベルト層側の片撚りコードを伸び難くし、ベルト層側の片撚りコードの剛性を高めることができる。一方、路面側の片撚りコードの撚り係数を大きくすることにより、路面側の片撚りコードの耐疲労性を向上させることができる。
また、路面側の片撚りコードの撚り係数K2は、K2=T√D2で規定されるものである。ここで、Tは、100mm当たりの撚り数、すなわち、撚り数/10cmである。D2は、路面側の片撚りコードの総繊度(dtex)である。
上述の片撚りコードにおける2.3cN/dtex荷重時の伸び率との比(ベルト/路面)が、1/1.1未満であると、例えば、1/1.0であると、タイヤの耐疲労性、すなわち、タイヤの耐久性が低下する。
一方、片撚りコードにおける2.3cN/dtex荷重時の伸び率との比(ベルト/路面)が1/1.6を超えると、例えば、1/1.8であると、タガ効果が小さくなり、タイヤの高速性能が低下する。
ベルト層側の第1のプライ44に使われている片撚りコードにおいて、2.3cN/dtex荷重時の伸び率が4.5%未満である場合、極めて高テンションで接着熱処理をする必要がある。この場合、熱収縮が大きくなり、加硫時にベルト層の不均一化を招き、タイヤの高速性能が悪化する虞がある。
一方、ベルト層側の第1のプライ44に使われている片撚りコードにおいて、2.3cN/dtex荷重時の伸び率が5.5%を超える場合、伸び率が大きいため、タガ効果が低減する虞がある。
本発明において、2.3cN/dtex荷重時の伸び率は、タイヤから採取したコードが吸湿しないように、採取後すぐに、例えば、1分以内に、JIS L 1017,8.7一定荷重時伸び率a)標準時試験に準拠して測定したものである。
本実施例においては、下記表1に示す構成の実施例1〜8、比較例1および比較例2のタイヤを作製し、各タイヤについて、コード残存強力及び高速性能を測定した。コード残存強力及び高速性能の結果を下記表1に示す。
なお、各タイヤのタイヤサイズは205/55R16であり、タイヤの構造は、図1、図2(a)に示す構造である。また、下記表1の「コード構造」の欄の「1400/1」は、繊度が1400dtexのナイロン66マルチフィラメントヤーンを一方向に撚りを付与したものを示す。また、「2100/1」は、繊度が2100dtexのナイロン66マルチフィラメントヤーンを一方向に撚りを付与したものを示す。
まず、実施例1〜8、比較例1および比較例2の各タイヤを、サイズが16×6.5JJのリムに組み込み、空気を空気圧240kPa、充填した後、室内ドラム試験機(ドラム径:1707mm)を用いて、走行速度81km/hで、負荷荷重を最大荷重88%から2時間毎に13%ずつ荷重を増加させながら、4000km走行させた。その後、実施例1〜8、比較例1および比較例2の各タイヤから、それぞれ路面側の第2の層46から片撚りコードを採取し、JIS L 1017,8.5.標準時試験に基づいて、コード残存強力を測定した。
まず、実施例1〜8、比較例1および比較例2の各タイヤを、サイズが16×6.5JJのリムに組み込み、空気を空気圧230kPa、充填した後、室内ドラム試験機(ドラム径:1707mm)を用いて、JATMA規定の最大荷重の70%に相当する荷重を負荷させて、速度を200km/hにて1時間走行させ、次いで10分毎に速度を10km/hずつ加速させながら、タイヤが破壊するまで走行を続けた。そして、タイヤが破壊するまでの走行距離を以って高速性能の評価とした。高速性能については、比較例1を100とした指数で表している。
なお、2.3cN/dtex荷重時の伸び率については、タイヤから採取した片撚りコードが吸湿しないように採取後、1分以内に、JIS L 1017,8.7一定荷重時伸び率a)標準時試験に準拠して測定した。
実施例5は、ベルト層側の第1のプライの片撚りコードの2.3cN/dtex荷重時の伸び率を小さくし、ベルト層側の第1のプライのモジュラスを高める一方、路面側の第2のプライの片撚りコードの2.3cN/dtex荷重時の伸び率を大きくしたものである。これにより、タイヤの高速性能が優れ、更には路面側の第2のプライの片撚りコードのコード残存強力が比較的高く、タイヤの耐疲労性(耐久性)も優れていた。
実施例6は、通常よりも低テンションで接着熱処理を行い、ベルト層側の第1のプライの片撚りコードの2.3cN/dtex荷重時の伸び率を高くしたものである。その結果、実施例6は、タイヤの高速性能については実施例4と同じレベルであるが、コード残存強力が比較的高く、タイヤの耐疲労性(耐久性)が優れていた。
比較例2は、路面側の第2のプライの片撚りコードの2.3cN/dtex荷重時の伸び率を大きくしすぎたため、すなわち、ベルト/路面=1/1.8としたため、タガ効果が小さくなり、タイヤの高速性能が低い。
12 トレッド部
14 ショルダー部
16 サイドウォール部
18 ビード部
20 カーカス層
22 ベルト層
24,24a〜24c ベルト補強層
26 サイド補強層
28 ビードコア
30 ビードフィラー
32 トレッドゴム層
34 サイドウォールゴム層
36 リムクッションゴム層
38 インナーライナゴム層
40 内側ベルト層
42 外側ベルト層
44、44a 第1のプライ
46、46a 第2のプライ
Claims (3)
- ナイロン66マルチフィラメントヤーンを一方向に撚りを付与した片撚りコードを備えるベルト補強層がベルト層上に設けられた空気入りタイヤであって、
前記ベルト補強層は、タイヤ周方向に配置されるものであり、少なくともショルダー部に2層以上設けられており、
前記ベルト補強層に使われている前記片撚りコードは、繊度が900〜3000dtexであり、Tを100mm当たりの撚り数とし、Dを前記片撚りコードの総繊度(dtex)とするとき、K=T√Dで表される撚り係数Kが300〜1000であるとともに、タイヤから採取されたベルト層側の前記ベルト補強層に使用されている前記片撚りコードと、前記ベルト層とは反対側の路面側の前記ベルト補強層に使用されている前記片撚りコードにおける2.3cN/dtex荷重時の伸び率の比が1/1.1〜1/1.6であることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ベルト層側の前記ベルト補強層に使われている前記片撚りコードは、2.3cN/dtex荷重時の伸び率が4.5〜5.5%である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ベルト層側の前記ベルト補強層の前記片撚りコードよりも前記路面側の前記ベルト補強層の前記片撚りコードの方が前記撚り係数が大きく、
前記ベルト層側の前記ベルト補強層の前記片撚りコードの撚り係数が300〜750であり、
前記路面側の前記ベルト補強層の前記片撚りコードの撚り係数が550〜1000である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
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