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JP2012028687A - インデノペリレン誘導体を含有してなる有機薄膜太陽電池用材料、及びそれを用いた有機薄膜太陽電池 - Google Patents

インデノペリレン誘導体を含有してなる有機薄膜太陽電池用材料、及びそれを用いた有機薄膜太陽電池 Download PDF

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JP2012028687A JP2010168355A JP2010168355A JP2012028687A JP 2012028687 A JP2012028687 A JP 2012028687A JP 2010168355 A JP2010168355 A JP 2010168355A JP 2010168355 A JP2010168355 A JP 2010168355A JP 2012028687 A JP2012028687 A JP 2012028687A
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Keiichi Yasukawa
圭一 安川
Hideji Ikeda
秀嗣 池田
Hiroshi Shoji
弘 東海林
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】光電変換特性を示す有機薄膜太陽電池材料を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表わされるインデノペリレン誘導体であって、R〜R14のうち少なくとも1つは式(2)で表わされるアミノ基であるインデノペリレン誘導体を含有する有機薄膜太陽電池用材料。
Figure 2012028687

【選択図】なし

Description

本発明は、インデノペリレン誘導体を含有してなる有機薄膜太陽電池用材料、及びそれを用いた有機薄膜太陽電池に関する。
太陽電池は、化石燃料の枯渇問題や地球温暖化問題を背景に、クリーンエネルギー源として近年大変注目されてきており、研究開発が盛んに行なわれている。
従来、実用化されてきたものは、単結晶Si、多結晶Si、アモルファスSi等に代表されるシリコン系太陽電池であるが、高価であることや原料Siの不足問題等が表面化するにつれて、次世代太陽電池への要求が高まりつつある。このような背景の中で、有機太陽電池は、安価で原材料不足の懸念もないことから、シリコン系太陽電池に次ぐ次世代の太陽電池として注目を集めている。
有機太陽電池は、基本的には電子を輸送するn層と正孔を輸送するp層からなる。
n層としてチタニア等の無機半導体表面にルテニウム色素等の増感色素を単分子吸着させ、p層として電解質溶液を用いたものは、色素増感太陽電池(所謂グレッツェルセル)と呼ばれ、変換効率の高さから、1991年以降精力的に研究されてきたが、溶液を用いるため、長時間の使用に際して液漏れする等の欠点を有していた。
上記欠点を克服するため、電解質溶液を固体化して全固体型の色素増感太陽電池を模索する研究も最近なされているが、多孔質チタニアの細孔に有機物をしみ込ませる技術は難易度が高く、再現性よく高変換効率が発現できるセルは完成していないのが現状である。
一方、n層、p層ともに有機薄膜からなる有機薄膜太陽電池は、全固体型のため液漏れ等の欠点がなく、作製が容易であり、稀少金属であるルテニウム等を用いないこと等から注目を集め、精力的に研究がなされている。
有機薄膜太陽電池は、最初メロシアニン色素等を用いた単層膜で研究が進められてきたが、有機薄膜をp層とn層で構成される多層膜にすることで光電変換効率が向上することが見出され、それ以降多層膜が主流になってきている。このとき用いられた材料はp層として銅フタロシアニン(CuPc)、n層としてペリレンイミド類(PTCBI)であった。
その後、p層とn層の間にi層(p材料とn材料の混合層)を挿入することにより、変換効率(光電変換効率を単に変換効率と記載することがある。)が向上することが見出された。しかしこのとき用いられた材料は、依然としてフタロシアニン類とペリレンイミド類であった。またその後、p層/i層/n層で構成されるユニットを複数積層する、スタックセル構成によりさらに変換効率が向上することが見出された。このときに使用された材料系はフタロシアニン類とフラーレンC60であった。
一方、高分子を用いた有機薄膜太陽電池では、p材料(p層を構成する材料)として導電性高分子を用い、n材料(n層を構成する材料)としてC60誘導体を用いてそれらを混合し、熱処理することによりミクロ層分離を誘起してヘテロ界面を増やし、変換効率を向上させるという、所謂バルクヘテロ構造の研究が主に行なわれてきた。ここで用いられてきた材料系は主に、p材料としてP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))と呼ばれる可溶性ポリチオフェン誘導体、n材料としてPCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル)と呼ばれる可溶性C60誘導体であった。
このように、有機薄膜太陽電池では、セル構成及びp層とn層のモルフォロジーの最適化により変換効率の向上がもたらされてきたが、用いられる材料系は初期の頃からあまり進展がなく、依然としてフタロシアニン類、ペリレンイミド類、C60類であり、変換効率のさらなる向上が可能な新たな材料の開発が望まれていた。
一般に有機太陽電池の動作過程は、(1)光吸収及び励起子生成、(2)励起子拡散、(3)電荷分離、(4)電荷移動、(5)起電力発生の素過程からなっている。有機物は概して太陽光スペクトルに合致する吸収特性を示すものが多くないため、高い変換効率は達成できないことが多かった。
例えば、有機EL素子の開発過程において、正孔輸送材料及び正孔注入材料としてアリールアミン化合物が見出された。
アリールアミン化合物は、優れた正孔輸送特性を有し、有機薄膜太陽電池のp材料としての使用が考えられた。しかし、アリールアミン化合物は可視光領域に光吸収を示さず、太陽光スペクトルに対する吸収特性が不十分であるため、光電変換効率が十分ではないという結果であった。このことは、有機EL材料を有機薄膜太陽電池に転用することの難しさを示すものである。
有機化合物に可視光領域に吸収を持たせるためには、一般にπ電子共役系を拡大して吸収極大波長を長波長化すればよいことが知られている。但し、あまりに共役系を拡張して分子量を大きくしてしまうと、溶媒に対する溶解性が低下して精製が困難になったり、昇華温度が上昇して昇華精製できなくなる等の難点が顕在化してくる。
分子量の増加をある程度抑えながら、効率的に吸収波長を長波長化した材料としては、ポリアセン類が知られている。
特許文献1及び2は、ポリアセン類を適用した太陽電池材料を開示する。しかし、ポリアセン類は可視吸収領域を広げるために縮環数を増やすと、一般に光や酸素に対して不安定になるため、精製や取り扱いが困難になり、高純度化も困難である等の欠点を有し、実用的な太陽電池材料とは言いがたかった。
特許文献3は、インデノペリレン化合物を用いた有機EL素子を開示するが、有機薄膜太陽電池用途についての開示や示唆はない。
特許文献4は、電子供与層にペリレン誘導体を用いた有機光電変換素子を開示する。しかし、ジアリールアミノ基及び/又はジアルキルアミノ基を有するペリレン誘導体の開示はない。また、特許文献5は、アリールアミン置換基を有するインデノピレン化合物及び有機薄膜太陽電池を開示する。しかし、当該有機薄膜太陽電池の変換効率に対して、その後更に高いレベルが求められるようになってきた。
特開2008−34764号公報 特開2007−335760号公報 WO2001/023497 特開2008−135540号公報 WO2010/013520
本発明の目的は、有機薄膜太陽電池に用いた場合に優れた光電変換特性を示す有機薄膜太陽電池材料を提供することである。
本発明によれば、以下の有機薄膜太陽電池用材料等が提供される。
1.下記式(1)で表わされるインデノペリレン誘導体を含有する有機薄膜太陽電池用材料。
Figure 2012028687
(式中、R〜R14は、それぞれ下記式(2)で表わされるアミノ基、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基であり、R〜R14のうち少なくとも1つは下記式(2)で表わされるアミノ基である。
隣り合うR〜R14は、互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 2012028687
(式中、R15及びR16は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基である。)
2.前記式(1)で表わされるインデノペリレン誘導体が、下記式(3)で表わされる1に記載の有機薄膜太陽電池用材料。
Figure 2012028687
(式中、R〜R13、R15及びR16は、式(1)及び(2)と同様である)
3.1又は2に記載の有機薄膜太陽電池用材料を用いてなる有機薄膜太陽電池。
4.少なくともp層を有する有機薄膜太陽電池であって、
前記p層が1又は2に記載の有機薄膜太陽電池用材料からなる有機薄膜太陽電池。
5.少なくともp層及びn層を有する有機薄膜太陽電池であって、
前記n層がフラーレン誘導体からなり、前記p層が1又は2に記載の有機薄膜太陽電池用材料からなる有機薄膜太陽電池。
本発明によれば、有機薄膜太陽電池に用いた場合に優れた光電変換特性を示す有機薄膜太陽電池材料が提供できる。
本発明の有機薄膜太陽電池材料は、下記式(1)で表わされるインデノペリレン誘導体を含有する。
Figure 2012028687
(式中、R〜R14は、それぞれ下記式(2)で表わされるアミノ基、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基であり、R〜R14のうち少なくとも1つは下記式(2)で表わされるアミノ基である。
隣り合うR〜R14は、互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 2012028687
(式中、R15及びR16は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基である。)
本発明の有機薄膜太陽電池材料が含有する式(1)で表わされるインデノペリレン誘導体(以下、単に本発明のインデノペリレン誘導体という場合がある)は、生産性の面では、好ましくはペリレン骨格の一方のみにフルオランテン骨格を有し、分子量の増大が抑制された構造である。本発明のインデノペリレン誘導体の構造は、π電子共役系が拡大された吸収極大波長が長波長化された構造でもある。
上記構造を同時に有する本発明のインデノペリレン誘導体は、有機薄膜太陽電池のp材料として使用した場合に、高い変換効率を得ることができ、且つ蒸着法によって電池を製造する場合には、昇華の困難性に起因する生産性の低下を避けることができる。
式(1)において、R〜R14のうち少なくとも1つは式(2)で表わされるアミノ基である。インデノペリレン誘導体が、式(2)で表わされる過剰な電子を有するジアリーアミノ基、ジアルキルアミノ基等を有することで、正孔輸送性が高まり、有機薄膜太陽電池の材料として使用した場合に変換効率を向上させることができる。
製造容易性の観点から、本発明のインデノペリレン誘導体は、好ましくはR、R12、R13及びR14の少なくとも1つが式(2)で表わされるアミノ基であり、R〜R及びR〜R11は式(2)で表わされるアミノ基以外の置換基である。
安定的な電荷移動及び生産性の観点から、式(2)で表わされるアミノ基の数は好ましくは1つである。
本発明のインデノペリレン誘導体は、好ましくはアミノ基が導入しやすい部位であるR及びR14の一方が式(2)で表わされるアミノ基である下記式(3)で表わされるインデノペリレン誘導体である。
Figure 2012028687
(式中、R〜R13、R15及びR16は、式(1)及び(2)と同様である)
以下、本発明のインデノペリレン誘導体の各置換基について説明する。
〜R14のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
〜R14、R15及びR16の炭素数1〜40のアルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、種々のペンチル基、種々のヘキシル基、種々のオクチル基、種々のデシル基、種々のドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基が更に好ましい。
上記アルキル基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子、フェニル基のようなアリール基が挙げられ、当該アリール基はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基でさらに置換されていてもよい。
〜R14の炭素数2〜40のアルケニル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、例えばビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく、ビニル基、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基が更に好ましい。
上記のアルケニル基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子、フェニル基のようなアリール基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
〜R14の炭素数2〜40のアルキニル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、例えばエテニル基、プロピニル基、2−フェニルエテニル基等が挙げられる。原料の入手しやすさ等の観点から、炭素数2〜20のアルキニル基が好ましい。
上記のアルケニル基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子;フェニル基のようなアリール基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
〜R14、R15及びR16の環形成炭素数6〜40のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−(1,4−ジフェニル)ナフチル基)、9−アントリル基、2−アントリル基、2−(1,4−ジフェニル)アントリル基)、2−(9,10−ジフェニル)アントリル基)、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、コロニル基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、環形成炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、4−ビフェニリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基等が更に好ましい。
上記アリール基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基、シアノ基、フェニル基等のアリール基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
尚、式(2)のR15及びR16において、アルキル基と比べるとアリール基の方が、ラジカルカチオン(正孔)が安定的に存在するため、安定的な電荷移動が得られる観点から、R15及びR16が共にアリール基であると好ましい。当該アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ビフェニル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基等が好ましい。
〜R14の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、ベンズピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン及びカルバゾールに対応する1価の残基が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、フラン、チオフェン、ピリジン、カルバゾール等が好ましい。
上記ヘテロアリール基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子やメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
尚、上記ヘテロアリール基が、含窒素アゾール系へテロ環に対応する1価の残基である場合は、式(1)のインデノペリレン骨格との結合位置は、炭素であっても窒素であってもよい。
〜R14の炭素数1〜40のアルコキシ基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、例えばメトキシ基、エトキシ基、1−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、1−ブチルオキシ基、2−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、種々のペンチルオキシ基、種々のヘキシルオキシ基、種々のオクチルオキシ基、種々のデシルオキシ基、種々のドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジロキシ基、α,α−ジメチルベンジロキシ基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルエトキシ等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブチルオキシ基等が更に好ましい。
上記アルコキシ基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子、フェニル基のようなアリール基が挙げられ、当該アリール基はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基でさらに置換されていてもよい。
〜R14の炭素数6〜40のアリールオキシ基としては、例えば、上記アリール基に酸素原子がさらに結合した置換基が挙げられ、原料の入手しやすさ等の観点から、フェノキシ基、ナフトキシ基、フェナントリルオキシ基等が好ましい。
隣り合うR〜R14は、互いに結合して環を形成してもよいが、R及びR14は、環を巻かなくともよい。
本発明のインデノペリレン誘導体の具体例を以下に示す。
Figure 2012028687
Figure 2012028687
本発明のインデノペリレン誘導体の合成方法としては、原料が入手し易いこと、反応条件が温和なこと、高収率であること等から、ペリレン誘導体を閉環する合成経路が好ましい。
ペリレン誘導体を閉環する本発明のインデノペリレン誘導体の合成経路の一例を以下に示す。
Figure 2012028687
上記合成経路において、出発原料のXは、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子;又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ(トリフリルオキシ)基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ(ノナフリルオキシ)基、トルエンスルホニルオキシ(トシルオキシ)基、メタンスルホニルオキシ(メシルオキシ)基等の擬ハロゲン基を表す。これらのうち原料の入手しやすさ等から、Xが塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子であると好ましい。
また、原料が入手しやすいこと、少ない合成ステップ数で合成できること、温和な反応条件で高収率が得られる等から、出発原料の式(2)で表わされるアミノ基の置換位置は、R又はR14であることが好ましい。
閉環反応に用いる触媒としては、種々の金属と配位子の組み合わせを用いることができる。
金属種については、高収率が得られることからニッケル又はパラジウムが好ましく、例えば塩化ニッケル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ニッケルテトラカルボニル、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、ニッケロセン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム等を挙げることができる。
配位子については、トリフェニルホスフィン、トリo−トリルホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(XantPhos)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)、トリt−ブチルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(JohnPhos)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(DavePhos)、2−(2−ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos)、2−(2−ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(X−Phos)等のホスフィン類が好ましい。
閉環反応の際に塩基を加えるとが好ましい。当該塩基としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸塩;ナトリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類;ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(Huenig’s base)、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)等の有機塩基類が挙げられ、高収率が得られることから、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基類が好ましい。
また、上記塩基の反応性を高めるため、相間移動触媒をさらに加えるとよく、当該相間移動触媒としては、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
本発明のインデノペリレン誘導体は、有機薄膜太陽電池用材料として好適に用いることができ、特に有機薄膜太陽電池のp層の材料として好適に用いることができる。これは、ペリレン骨格に基づく長波長吸収によって、太陽電池の太陽光スペクトルとの相性が高まり、光励起子が生成しやすくなること、及び当該励起子の電荷分離により生じる正孔が、インデノペリレン誘導体を構成するアミン構造の寄与により、電極まで輸送されやすくなることが考えられる。
本発明の有機薄膜太陽電池材料は、本発明のインデノペリレン誘導体単独でなってもよく、他の公知の成分をさらに含む混合物でもよい。
本発明の有機薄膜太陽電池材料を用いた太陽電池は高効率の変換特性を示すことができる。
本発明の有機薄膜太陽電池のセル構造は、一対の電極の間に本発明の有機薄膜太陽電池材料を含有する層を含む構造であれば特に限定されない。具体的には、安定な絶縁性基板上に下記(1)〜(3)の構成を有する構造が挙げられる。
(1)下部電極/p層/n層/上部電極
(2)下部電極/p層/i層(又はp材料とn材料の混合層)/n層/上部電極
(3)下部電極/p材料とn材料の混合層/上部電極
上記セル構造において、p層とn層が互いに置換した構造でもよい。
また、必要に応じて、電極と有機層の間にバッファー層を設けてもよい。
バッファー層を有するセル構造としては、下記(4)〜(6)の構成を有する構造が挙げられる。
(4)下部電極/バッファー層/p層/n層/上部電極
(5)下部電極/p層/n層/バッファー層/上部電極
(6)下部電極/バッファー層/p層/n層/バッファー層/上部電極
本発明の有機薄膜太陽電池材料は、p層及びi層の材料に好適に使用できる。また、本発明のインデノペリレン誘導体が電子吸引性基を有する場合は、n層及びバッファー層の材料としても使用できる。
本発明の有機薄膜太陽電池では、電池を構成するいずれかの部材が本発明の材料を含有すればよく、本発明の材料を含有する部材は、他の公知成分を併せて含んでいてもよい。また、本発明の材料を含まない部材については、有機薄膜太陽電池の公知材料を使用することができる。また、本発明の有機薄膜太陽電池は、p層/i層/n層で構成されるユニットを複数積層した、スタックセル構成からなるものであってもよい。
以下、有機薄膜太陽電池の各構成部材について簡単に説明する。
[下部電極及び上部電極]
下部電極及び上部電極の材料は特に制限はなく、公知の導電性材料を使用することができる。
p層と接続する電極の材料としては、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)、金(Au)、オスミウム(Os),パラジウム(Pd)等の金属が使用できる。
n層と接続する電極の材料としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、カルシウム(Ca)、白金(Pt)、リチウム(Li)等の金属;Mg:Ag、Mg:In、Al:Li等の二成分金属系;並びに上記p層と接続する材料が使用できる。
一対の電極は、好ましくは一方が仕事関数の大きな金属を含み、他方が仕事関数の小さな金属を含む。
高効率の光電変換特性を得るためには、有機薄膜太陽電池の少なくとも一方の電極は太陽光スペクトルに対して充分透明にすることが望ましい。
透明電極は、公知の導電性材料を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保するように形成するとよい。受光面の電極の光透過率は10%以上とすることが望ましい。
[p層、n層及びi層]
p層の材料としては、正孔受容体としての機能を有する化合物が好ましい。
p層の材料は、例えばN,N’−ビス(3−トリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(mTPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)、4,4’,4’’−トリス(フェニル−3−トリルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等に代表されるアミン化合物;フタロシアニン(Pc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)、チタニルフタロシアニン(TiOPc)等のフタロシアニン類;オクタエチルポルフィリン(OEP)、白金オクタエチルポルフィリン(PtOEP)、亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)等に代表されるポルフィリン類;ポリヘキシルチオフェン(P3HT)、メトキシエチルヘキシロキシフェニレンビニレン(MEHPPV)等の主鎖型共役高分子類、ポリビニルカルバゾール等に代表される側鎖型高分子類等が挙げられる。
n層の材料としては、電子受容体としての機能を有する化合物が好ましく、さらに電子移動度が高い化合物であるとより好ましい。また、n層の材料は、好ましくは電子親和力の小さい材料であり、電子親和力の小さい材料からなるn層は、充分な開放端電圧を実現することができる。
n層の材料は、有機化合物であれば、例えばC60、C70等のフラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ペリレン誘導体、多環キノン、キナクリドン等が挙げられ、高分子系ではCN−ポリ(フェニレン−ビニレン)、MEH−CN−PPV、−CN基又はCF基含有ポリマー、ポリ(フルオレン)誘導体等を挙げることができる。
また、n層の材料は、無機化合物であれば、n型特性の無機半導体化合物を挙げることができる。具体例としては、n−Si、GaAs、CdS、PbS、CdSe、InP、Nb,WO,Fe等のドーピング半導体及び化合物半導体;二酸化チタン(TiO)、一酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti)等の酸化チタン;酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の導電性酸化物が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、好ましくは酸化チタンであり、より好ましくは二酸化チタンである。
i層の材料は、p層の材料とn層の材料の組み合わせであり、上記の材料を用いることができる。
i層の材料として、本発明の有機薄膜太陽電池材料を用いる場合は、上記p層の材料又はn層の材料と混合して用いるとよい。また、本発明の有機薄膜太陽電池材料単独でi層を形成することもできる。
[バッファー層]
一般に、有機薄膜太陽電池は総膜厚が薄いことが多く、そのため上部電極と下部電極が短絡し、セル作製の歩留まりが低下することが多い。このような場合には、バッファー層を積層することによってこれを防止することが好ましい。
バッファー層の材料としては、膜厚を厚くしても短絡電流が低下しないようにキャリア移動度が充分に高い化合物が好ましい。
上記化合物は、例えば低分子化合物であれば下記に示すNTCDAに代表される芳香族環状酸無水物等が挙げられ、高分子化合物であればポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、ポリアニリン:カンファースルホン酸(PANI:CSA)等に代表される公知の導電性高分子等が挙げられる。
Figure 2012028687
また、バッファー層は、励起子が電極まで拡散して失活してしまうのを防止する役割を有することも可能である。このように励起子阻止層としてバッファー層を挿入することは、高効率化のために有効である。励起子阻止層は陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。
励起子阻止層であるバッファー層の好適な材料としては、例えば有機EL素子の用途で公知である正孔障壁層用材料又は電子障壁層用材料等が挙げられる。
好ましい正孔障壁層材料は、イオン化ポテンシャルが充分に大きい化合物であり、好ましい電子障壁層材料は、電子親和力が充分に小さい化合物である。具体的には、バソクプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(BPhen)等が陰極側の正孔障壁層材料として挙げられる。
Figure 2012028687
バッファー層の材料には、上記n層の材料として例示した無機半導体化合物を用いることもできる。当該無機半導体化合物としてはCdTe、p−Si、SiC、GaAs、WO等を用いることができる。
[基板]
基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものが好ましい。例えば、ガラス基板及び透明性樹脂フィルムがある。透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
本発明の有機薄膜太陽電池の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法;スピンコーティング、ディップコート、キャスティング、ロールコート、フローコーティング、インクジェット等の湿式成膜法を適用することができる。
各層の膜厚は特に限定されないが、適切な膜厚に設定する。一般に有機薄膜の励起子拡散長は短いことが知られているため、膜厚が厚すぎると励起子がヘテロ界面に到達する前に失活してしまうため光電変換効率が低くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生してしまうため、充分なダイオード特性が得られないため、変換効率が低下する。通常の膜厚は1nmから10μmの範囲が適しているが、5nmから0.2μmの範囲がさらに好ましい。
乾式成膜法の場合、公知の抵抗加熱法が好ましく、混合層の形成には、例えば、複数の蒸発源からの同時蒸着による成膜方法が好ましい。さらに好ましくは、成膜時に基板温度を制御する。
湿式成膜法の場合、各層を形成する材料を、適切な溶媒に溶解又は分散させて有機溶液を調製して薄膜を形成するが、任意の溶媒を使用できる。例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン系炭化水素系溶媒や、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、メタノールやエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、オクタン、デカン、テトラリン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒等が挙げられる。なかでも、炭化水素系溶媒又はエーテル系溶媒が好ましい。また、これらの溶媒は単独で使用しても複数混合して用いてもよい。尚、使用可能な溶媒は、これらに限定されるものではない。
本発明においては、有機薄膜太陽電池のいずれの有機薄膜層においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。使用の可能な樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂を挙げられる。
また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が挙げられる。
実施例1
[化合物Aの合成]
下記の合成経路で化合物Aを合成した。
Figure 2012028687
Figure 2012028687
[原料Aの合成]
窒素雰囲気下、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(6.6g,47mmol,1.5eq.)を無水THF(60ml)に溶かし、ドライアイス/メタノール浴で−43℃に冷却した。これにn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.6mol/l,28ml,47mmol,1eq.toTMP)を滴下し、−23℃で20分撹拌した。反応混合物を−74℃に冷却し、ホウ酸トリイソプロピル(15ml,65mmol,2eq.)を加え、5分後、4−ブロモトリフェニルアミン/無水THF溶液(8g,39mmol/15ml)を10分かけて滴下した。反応混合物を−74℃〜室温で10時間撹拌し、一晩放置した。反応混合物を水浴で冷却し、5%塩酸水溶液(100ml)を徐々に加えて失活させ、酢酸エチル(150ml)で希釈し、有機層を分取、飽和食塩水(30ml)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒留去して黄色オイルを得た。これをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ヘキサン+10%酢酸エチル続いてヘキサン+17%酢酸エチル,ヘキサン+33%酢酸エチル)で精製して黄色固体(10.3g,90%)を得た。
得られた固体が原料AであることをNMRで確認した。結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS) δ2.83(2H,s),6.92(1H,dd,J=9Hz,3Hz),7.04−7.08(5H,m),7.28−7.34(5H,m),7.41(1H,d,J=8Hz)
[中間体A1の合成]
Perylene(5.0g,20mmol)を無水DMF(200ml)に入れて100℃に加熱し溶解させた。N−ブロモスクシンイミド(3.5g,20mmol,1.1eq.)の無水DMF溶液(10ml)を加えて100℃で3時間撹拌し、一晩放置した。反応混合物をメタノールで洗浄して黄色板状晶(3.8g,58%)を得た。
得られた結晶が中間体A1であることをNMRで確認した。結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS) δ7.45−7.51(2H,m),7.58(1H,t,J=8Hz),7.70(2H,d,J=8Hz),7.76(1H,d,J=8Hz),7.99(1H,d,J=8Hz),8.08(1H,d,J=8Hz),8.14−8.24(3H,m)
[中間体A2の合成]
窒素雰囲気下、原料A(4.2g,11mmol)、中間体A1(3.8g,12mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.25g,0.22mmol,2%Pd)を1,2−ジメトキシエタン(120ml)に溶かし、2M炭酸ナトリウム水溶液(3.5g,33mmol,3eq./17ml)を加えて11時間還流した。反応混合物を水(100ml)で希釈し、減圧ろ過し黄色個体を得た。これをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ヘキサン+5%ジクロロメタン、続いてヘキサン+10%ジクロロメタン)で精製して黄色板状晶(5.0g,79%)を得た。
得られた結晶が中間体A2であることをNMRで確認した。結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS) δ7.00−7.04(3H,m),7.11(1H,d,J=3Hz),7.15(4H,d,J=7Hz),7.24−7.28(4H,m),7.35(1H,d,J=8Hz),7.40−7.50(2H,m),7.55(1H,d,J=8Hz),7.69(2H,d,J=8Hz),8.20(4H,d,J=8Hz)
[化合物Aの合成]
窒素雰囲気下、中間体A2(5.0g,8.7mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.61g,0.87mmol,10%Pd)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(2.0g,13mmol,1.5eq.)を無水DMF(150ml)に溶かし、140℃で11時間撹拌した。反応混合物をメタノール(150ml)で希釈し、減圧ろ過し赤茶色個体を得た。これをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ヘキサン+33%ジクロロメタン、続いてジクロロメタン)で精製して赤茶色板状晶(3.0g,70%)を得た。
得られた結晶が化合物AであることをNMRで確認した。結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS) δ7.05(2H,t,J=7Hz),7.12(1H,d,J=7Hz),7.19(4H,d,J=7Hz),7.30(4H,t,J=7Hz),7.55−7.60(2H,m),7.70(1H,s),7.78−7.82(3H,m),7.87(1H,d,J=7Hz),7.92(1H,d,J=7Hz),8.27(1H,d,J=8Hz),8.30(1H,d,J=8Hz),8.37(2H,d,J=8Hz)
また、得られた化合物Aについて、その純度を液体クロマトグラフィで評価し、吸収極大波長及び蛍光極大波長を評価した。結果は以下に示す。
HPLC:97.0%(UV254面積%)
吸収極大波長:487nm(ジクロロメタン)
蛍光極大波長:654nm(ジクロロメタン)
得られた化合物A(2.6g)を340℃/5.3x10−3Paで昇華精製することにより橙色固体(2.5g)を得た。
HPLC:94.7%(UV254面積%)
実施例2
[化合物Bの合成]
下記の合成経路で化合物Bを合成した。
Figure 2012028687
[中間体B1の合成]
窒素雰囲気下、原料B(2.0g,3.3mmol)、原料A(1.3g,3.6mmol,1.1eq.)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.12g,0.19mmol,3%Pd)を1,2−ジメトキシエタン(33ml)に溶かし、2M炭酸ナトリウム水溶液(1.0g,10mmol,3eq./5ml)を加えて、8時間還流した。反応混合物をトルエン(100ml)で希釈し、有機層を分取、飽和食塩水(50ml)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒留去して褐色オイルを得た。これをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ヘキサン+20%ジクロロメタン)で精製して橙色固体(1.6g,59%)を得た。
得られた固体が中間体B1であることをNMRで確認した。結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS) δ7.67(2H,d,J=8Hz),7.01(3H,d,J=8Hz),7.07(1H,d,J=2Hz),7.12−7.18(6H,m),7.35−7.42(5H,m),7.54(1H,d,J=8Hz),7.53−7.68(14H,m),8.00(2H,d,J=8Hz),8.19(2H,d,J=8Hz)
[化合物Bの合成]
窒素雰囲気下、中間体B1(1.6g,1.9mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.23g,0.25mmol,5%Pd)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(0.4g,2.6mmol,1.4eq.)を無水DMF(10ml)に溶かして、140℃で12時間撹拌した。反応混合物をトルエン(100ml)で希釈し、水(50ml)、飽和食塩水(25ml)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去して褐色オイルを得た。これをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ヘキサン+15%ジクロロメタン)で精製して紫色固体(1.0g,69%)を得た。
得られた固体の純度をHPLCで評価した。結果を以下に示す。
HPLC:86.0%(UV254面積%)
得られた固体(1.0g)を400℃/3.2x10−3Paで昇華精製することにより黒色固体(0.6g)を得た。得られた固体が化合物BであることをNMRで確認した。結果を以下に示す。また、その純度及び吸収極大波長を評価した。結果を以下に示す。
HPLC:88.0%(UV254面積%)
吸収極大波長(CHCl):600nm.
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS) δ6.60(2H,d,J=4.2Hz),7.01−7.06(3H,m),7.17(4H,d,J=6Hz),7.28(4H,t,J=6Hz),7.38(2H,d,J=2Hz),7.57−7.77(16H,m),7.98(2H,d,J=6Hz),8.08(2H,d,J=6Hz)
実施例3
[有機太陽電池の製造]
25mm×75mm×0.7mm厚のITO透明電極付きガラス基板をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間実施した。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず下部電極である透明電極ラインが形成されている側の面上に、透明電極を覆うようにして膜厚30nmのp層を化合物Aの抵抗加熱蒸着により、1Å/sで成膜した。続けて、この化合物A膜上に膜厚60nmのn層をC60の抵抗加熱蒸着により1Å/sで成膜した。さらに、バソクプロイン(BCP)を1Å/sで成膜し、10nmのバッファー層を形成した。最後に対向電極として金属Alを膜厚80nm蒸着させ、有機太陽電池(面積0.5cm)を製造した。
Figure 2012028687
製造した有機太陽電池について、AM1.5条件下(光強度100mW/cm)でI−V特性を測定した。得られた結果である、開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)及び変換効率(η)を表1に示す。
尚、太陽電池の光電変換効率(η)は下記式によって導出した。
Figure 2012028687
(式中、Vocは開放端電圧、Jscは短絡電流密度、FFは曲線因子、Pinは入射光エネルギーを表わす。同じPinに対して、Voc、Jsc及びFFがいずれも大きな化合物ほど優れた変換効率を示す。)
実施例4
化合物Aの代わりに化合物Bを用いてp層を積層した他は実施例3と同様にして有機太陽電池を作製し、評価した。結果を表1に示す。
比較例1
化合物Aの代わりにWO2010/013520号公報の実施例1に記載の方法で製造した下記比較化合物Aを用いてp層を積層した他は実施例3と同様にして有機太陽電池を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2012028687
Figure 2012028687
表1から、実施例1及び2の本発明の化合物A及びBを用いた太陽電池は、従来のアミン化合物(比較例化合物A)を用いた太陽電池に比べて、変換効率が向上しており、優れた太陽電池特性を示していることが分かる。
この理由として、比較化合物Aは、長波長吸収と正孔輸送性の両方を有するが、本発明の化合物よりも長波長吸収の幅が狭いことが考えられる。
本発明の有機薄膜太陽電池材料は、電池を構成する有機薄膜層に用いることができ、特にp層の材料として好適に用いることができる。
本発明の有機薄膜太陽電池は、時計、携帯電話及びモバイルパソコン等に使用できる。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で表わされるインデノペリレン誘導体を含有する有機薄膜太陽電池用材料。
    Figure 2012028687
    (式中、R〜R14は、それぞれ下記式(2)で表わされるアミノ基、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基であり、R〜R14のうち少なくとも1つは下記式(2)で表わされるアミノ基である。
    隣り合うR〜R14は、互いに結合して環を形成してもよい。)
    Figure 2012028687
    (式中、R15及びR16は、それぞれ置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基である。)
  2. 前記式(1)で表わされるインデノペリレン誘導体が、下記式(3)で表わされる請求項1に記載の有機薄膜太陽電池用材料。
    Figure 2012028687
    (式中、R〜R13、R15及びR16は、式(1)及び(2)と同様である)
  3. 請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池用材料を用いてなる有機薄膜太陽電池。
  4. 少なくともp層を有する有機薄膜太陽電池であって、
    前記p層が請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池用材料からなる有機薄膜太陽電池。
  5. 少なくともp層及びn層を有する有機薄膜太陽電池であって、
    前記n層がフラーレン誘導体からなり、前記p層が請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池用材料からなる有機薄膜太陽電池。
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