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JP2012014856A - 表示装置 - Google Patents

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JP2012014856A JP2010147343A JP2010147343A JP2012014856A JP 2012014856 A JP2012014856 A JP 2012014856A JP 2010147343 A JP2010147343 A JP 2010147343A JP 2010147343 A JP2010147343 A JP 2010147343A JP 2012014856 A JP2012014856 A JP 2012014856A
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優 梶谷
Sunao Kurihara
直 栗原
Motohiko Murakami
元彦 村上
Masayuki Miki
雅之 三木
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】逆テーパ形状の隔壁が備えられる表示装置において、複数の有機EL素子に亘って連なる第2電極が形成された表示装置を提供する。
【解決手段】支持基板と、この支持基板上において予め設定される区画を画成する隔壁と、隔壁によって画成される区画にそれぞれ設けられる複数の有機EL素子とを含む表示装置であって、各有機EL素子は、第1電極、有機EL層、第2電極が、支持基板側からこの順で積層されて構成され、前記第2電極は、隣り合う有機EL素子の間に介在する隔壁上にまたがって形成され、前記複数の有機EL素子に亘って連なって形成されており、前記隔壁は、支持基板から離間するにしたがって幅広になるように形成されており、前記第2電極は、前記第2電極および前記有機EL層の界面と隔壁の頂面との、支持基板の厚み方向における間隔よりも、その膜厚が厚い、表示装置。
【選択図】図1

Description

本発明は表示装置およびその製造方法に関する。
表示装置にはその構成や原理を異にする種々の装置がある。そのひとつとして現在、画素の光源に有機EL(Electro Luminescence)素子を利用した表示装置が実用化されつつある。
たとえばカラー表示装置では画素の光源として3種類の有機EL素子が支持基板上に設けられる。すなわち(1)赤色の光を出射する赤色有機EL素子、(2)緑色の光を出射する緑色有機EL素子、(3)青色の光を出射する青色有機EL素子が、それぞれ支持基板上に設けられる。支持基板上には通常、所定の区画を画成するための隔壁が設けられており、上記3種類の有機EL素子は、上記隔壁によって画成される区画(すなわち隔壁に囲まれた領域)にそれぞれ整列して配置されている。
各有機EL素子は隔壁に囲まれた領域に第1電極、有機EL層および第2電極を順次積層することにより形成される。
上述の有機EL層はたとえば塗布法によって形成することができる。図5を参照して有機EL層の形成方法について説明する。図5(1)に示すように第1電極16および隔壁13がそのうえに形成された支持基板12において、隔壁13に囲まれた領域15にインキ17を供給する。なおインキ17は有機EL層18となる材料と溶媒とからなる。供給されたインキ17は隔壁13に囲まれた領域15に収容される(図5(2)参照)。そしてインキ17の溶媒が蒸発することによって有機EL層18が形成される(図5(3)参照)。
なお隔壁13がインキ17に対して親液性を示す場合、隔壁13に囲まれた領域に供給されたインキが、隔壁13表面を伝わって隣の領域にまで溢れ出ることがある。そのため支持基板12上には通常ある程度撥液性を示す隔壁13が設けられている。
しかしながら隔壁13が撥液性を示す場合、隔壁13に囲まれた領域に供給されたインキは隔壁13に弾かれつつ蒸発し薄膜化するため、不均一な膜厚の有機EL層が形成されることがある。たとえば有機EL層18の隔壁13に接する部位、すなわち有機EL層18の周縁部が、中央部の膜厚に比べて薄くなることがある。そのため有機EL層の周縁部の電気抵抗が中央部に比べて低くなり、有機EL素子に電圧を印加した際に、周縁部に電流が集中して流れ、中央部が周縁部に比べて暗くなることがある。また逆に、有機EL層18の周縁部に意図した厚さの層が形成されないため、有機EL層18の周縁部が意図したとおりには発光しないこともある。
このような問題を解決するために、いわゆる逆テーパ形状の隔壁を設けた表示装置がある。その図を図6に示す。逆テーパ形状の隔壁13は、支持基板12から離間するにしたがって幅広になるように形成されている。そのため隔壁13の側面と第1電極16の表面とにより規定される領域は、隔壁13と第1電極16とが接続される部位に向かって先細状に構成されている。このような隔壁13に囲まれた領域15にインキが供給されると、たとえ撥液性を示す隔壁13が設けられていたとしても、隔壁13の側面に接触したインキは、毛細管現象によって、第1電極16と隔壁13とが接続される先細状の部位に吸い込まれるように充填される。この状態を維持したままインキの溶媒が蒸発することによって、第1電極と隔壁とが接する部位にも有機EL層が形成される。このように、いわゆる逆テーパ形状の隔壁を設けることによって、有機EL層の周縁部が薄膜化するという問題を防ぐことができる(図6(2)参照)(たとえば特許文献1参照)。
特開2007−227289号公報
表示装置において第2電極はたとえば複数の有機EL素子に共通の電極として設けられる。すなわち第2電極は複数の有機EL素子に亘って連なるように形成され、隣り合う有機EL素子の間に介在する隔壁13上にも形成される。しかしながら逆テーパ形状の隔壁13が設けられた基板に、共通の第2電極をたとえば真空蒸着法によって形成する場合、隔壁の端部で第2電極19が切断されることがある(図6(3)参照)。そのため複数の有機EL素子に亘って連なる第2電極19を形成することができず、所定の有機EL素子に電力が供給されずに、発光駆動することのできない素子が形成されることがある。
したがって本発明の目的は、逆テーパ形状の隔壁が備えられる表示装置において、複数の有機EL素子に亘って連なる第2電極が形成された表示装置を提供することにある。
本発明は、支持基板と、この支持基板上において予め設定される区画を画成する隔壁と、隔壁によって画成される区画にそれぞれ設けられる複数の有機EL素子とを含む表示装置であって、
各有機EL素子は、第1電極、有機EL層、第2電極が、支持基板側からこの順で積層されて構成され、
前記第2電極は、隣り合う有機EL素子の間に介在する隔壁上にまたがって形成され、前記複数の有機EL素子に亘って連なって形成されており、
前記隔壁は、支持基板から離間するにしたがって幅広になるように形成されており、
前記第2電極は、前記第2電極および前記有機EL層の界面と隔壁の頂面との、支持基板の厚み方向における間隔よりも、その膜厚が厚い、表示装置に関する。
また本発明は、前記隔壁は、その頂面に比べて、その側面が親液性を示す、表示装置に関する。
また本発明は、支持基板と、この支持基板上において予め設定される区画を画成する隔壁と、隔壁によって画成される区画にそれぞれ設けられる複数の有機EL素子とを含む表示装置であり、各有機EL素子が、第1電極、有機EL層、第2電極が支持基板側からこの順で積層されて構成される表示装置の製造方法であって、
前記支持基板上に前記第1電極を形成する工程と、
感光性樹脂を含むインキを前記支持基板上に塗布成膜した後に所定の部位を露光し、さらに現像し、支持基板から離間するにしたがって幅広になる形状の隔壁を形成する工程と、
隔壁によって画成される区画に、有機EL層となる材料を含むインキを供給し、これを固化することによって有機EL層を形成し、
有機EL層上および隔壁上に、前記複数の有機EL素子に亘って連なる第2電極を形成する工程とを有し、
前記第2電極を形成する工程では、前記第2電極および前記有機EL層の界面と隔壁の頂面との、支持基板の厚み方向における間隔よりも、その膜厚が厚い第2電極を形成する、表示装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記隔壁を形成する工程では、頂面に比べて、側面が親液性を示す隔壁を形成する、表示装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記隔壁を形成する工程では、感光性樹脂を含むインキは、撥液性を示す材料を含む、表示装置の製造方法に関する。
本発明によれば、逆テーパ形状の隔壁が備えられる表示装置において、複数の有機EL素子に亘って連なる第2電極が形成された表示装置を実現することができる。
表示装置1の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 本実施形態の表示装置1の一部を拡大して模式的に示す平面図である。 表示装置の製造方法を説明するための図である。 表示装置の製造方法を説明するための図である。 表示装置の製造方法を説明するための図である。 表示装置の製造方法を説明するための図である。
本発明の表示装置は、支持基板と、この支持基板上において予め設定される区画を画成する隔壁と、隔壁によって画成される区画にそれぞれ設けられる複数の有機EL素子とを含む表示装置であって、各有機EL素子は、第1電極、有機EL層、第2電極が、支持基板側からこの順で積層されて構成され、前記第2電極は、隣り合う有機EL素子の間に介在する隔壁上にまたがって形成され、前記複数の有機EL素子に亘って連なって形成されており、前記隔壁は、支持基板から離間するにしたがって幅広になるように形成されており、前記第2電極は、前記第2電極および前記有機EL層の界面と隔壁の頂面との、支持基板の厚み方向における間隔よりも、その膜厚が厚い、表示装置である。
表示装置には主にアクティブマトリクス駆動型の装置と、パッシブマトリクス駆動型の装置とがある。本発明は両方の型の表示装置に適用可能であるが、本実施形態では一例としてアクティブマトリクス駆動型の表示装置に適用される表示装置について説明する。
<表示装置の構成>
まず表示装置の構成について説明する。図1は本実施形態の表示装置1の一部を拡大して模式的に示す断面図である。図2は本実施形態の表示装置1の一部を拡大して模式的に示す平面図である。表示装置1は主に、支持基板2と、この支持基板2上において予め設定される区画を画成する隔壁3と、隔壁3によって画成される区画に設けられる複数の有機EL素子4とを含んで構成される。
隔壁3は支持基板2上においてたとえば格子状またはストライプ状に形成される。なお図2では実施の一形態として格子状の隔壁3が設けられた表示装置1を示している。同図中、隔壁3が設けられた領域にはハッチングを施している。
支持基板2上には、隔壁3と支持基板2とによって規定される複数の凹部5が設定される。この凹部5が、隔壁3によって画成される区画に相当する。
本実施形態の隔壁3は格子状に設けられる。そのため支持基板2の厚み方向Zの一方から見て(以下、「平面視で」ということがある。)、複数の凹部5がマトリクス状に配置されている。すなわち凹部5は行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yにも所定の間隔をあけて整列して設けられている。各凹部5の平面視における形状はとくに限定されない。たとえば凹部5は、平面視で略矩形状、略楕円状および小判形状などの形状に形成される。本実施形態では平面視で略矩形状の凹部5が設けられている。なお本明細書において上記の行方向Xおよび列方向Yは、支持基板の厚み方向Zに垂直な方向であって、かつ互いに垂直な方向を意味する。
なお他の実施形態としてストライプ状の隔壁が設けられる場合、隔壁は、たとえば行方向Xに延在する複数本の隔壁部材が、列方向Yに所定の間隔をあけて配置されて構成される。この形態ではストライプ状の隔壁と支持基板とによって、ストライプ状の凹部が規定される。
隔壁は支持基板から離間するにしたがって幅広になるように形成されている。たとえば列方向Yに延在する隔壁を、その延在方向(列方向Y)に垂直な平面で切断したときの断面形状は、支持基板から離間するにしたがって幅広になるように形成されている。図1では等脚台形形状の隔壁が示されており、上底と、支持基板側の下底とを比べると、上底の方が下底よりも幅広である。なお実際に形成される隔壁の断面は必ずしも台形形状とはならず、台形形状の直線部分および角が丸みを帯びていることもある。
隔壁3の側面3bと支持基板の表面との成す角度θ、すなわち隔壁側面3bの傾斜角θは10°〜85°程度であり、50°〜70°が好ましい。なおこの隔壁側面3bの傾斜角θが0°〜90°までの隔壁3はいわゆる逆テーパ形状の隔壁と呼称され、隔壁側面3bの傾斜角θが90°〜180°までの隔壁3はいわゆる順テーパ形状の隔壁と呼称される。すなわち本実施形態では逆テーパ形状の隔壁3が設けられる。
隔壁3は、その頂面3aに比べて、その側面3bが親液性を示すことが好ましい。なお頂面3aとは、隔壁3の表面のうちで、支持基板2から最も離間した位置に存在する平面を意味する。また隔壁3の側面とは、隔壁3の表面のうちで、隣り合う隔壁に臨む位置に存在する平面を意味する。またインキに対する撥液性または親液性の程度は凹部5に供給されるインキに対する接触角で表すことができる。たとえば隔壁3の頂面3aは、アニソールに対してその接触角が30°以上が好ましい。また隔壁3の頂面3aに比べて、側面3bが親液性を示すとは、たとえばアニソールと隔壁3の側面3bとの接触角が、アニソールと隔壁3の頂面3aとの接触角よりも小さいことを意味する。このように隔壁3の頂面3aが撥液性を示すことで、隔壁3に囲まれた領域(凹部5)に供給されたインキが、隔壁3の頂面3aを伝わって隣の領域に溢れ出ることを防ぐことができる。また隔壁3の側面3bが親液性を示すことで、隔壁3に囲まれた領域に供給されたインキが、隔壁3の側面3bに弾かれることを防ぐことができ、隔壁3と第1電極7とが接続される部位にまでインキを容易に充填することができる。これによって有機EL層の周縁部が中央部に比べて薄膜化することを防ぐことができる。
有機EL素子4は隔壁3によって画成される区画(すなわち凹部5)に設けられる。本実施形態のように格子状の隔壁3が設けられる場合、各有機EL素子4はそれぞれ各凹部5に設けられる。すなわち有機EL素子4は、各凹部5と同様にマトリクス状に配置され、支持基板2上において、行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yにも所定の間隔をあけて整列して設けられている。
なお他の実施形態としてストライプ状の隔壁が設けられる場合、有機EL素子4は行方向Xに延在する各凹部において、行方向Xにそれぞれ所定の間隔をあけて配置される。
本実施形態では3種類の有機EL素子4が設けられる。すなわち(1)赤色の光を出射する赤色有機EL素子4R、(2)緑色の光を出射する緑色有機EL素子4G、および(3)青色の光を出射する青色有機EL素子4Bが設けられる。これら3種類の有機EL素子4R,4G,4Bは、たとえば以下の(I)(II)(III)の行を、列方向Yにこの順で繰り返し配置することによって、それぞれ整列して配置される(図2参照)。
(I)赤色有機EL素子4Rが行方向Xにそれぞれ所定の間隔をあけて配置される行。
(II)緑色有機EL素子4Gが行方向Xにそれぞれ所定の間隔をあけて配置される行。
(III)青色有機EL素子4Bが行方向Xにそれぞれ所定の間隔をあけて配置される行。
なお他の実施の形態として、上記3種類の有機EL素子に加えて、たとえば白色の光を出射する有機EL素子がさらに設けられてもよい。また1種類のみの有機EL素子を設けることによって、モノクロ表示装置を実現してもよい。
有機EL素子4は、第1電極、有機EL層、第2電極が、支持基板側からこの順で積層されて構成される。本明細書では第1電極6と第2電極10との間に設けられる1または複数の層をそれぞれ有機EL層という。有機EL素子4は有機EL層として少なくとも1層の発光層を備える。なお有機EL素子は、1層の発光層に加えて、必要に応じて発光層とは異なる有機EL層をさらに備えることもある。たとえば第1電極6と第2電極10との間には、有機EL層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、電子輸送層、および電子注入層などが設けられる。また第1電極6と第2電極10との間には2層以上の発光層が設けられることもある。
有機EL素子4は、陽極および陰極からなる一対の電極として、第1電極6と第2電極10とを備える。第1電極6および第2電極10のうちの一方の電極は陽極として設けられ、他方の電極は陰極として設けられる。
本実施形態では一例として、陽極として機能する第1電極6、正孔注入層として機能する第1の有機EL層7、発光層として機能する第2の有機EL層9、陰極として機能する第2電極10がこの順で支持基板2上に積層されて構成される有機EL素子4について説明する。
本実施形態では3種類の有機EL素子が設けられるが、これらは第2の有機EL層(本実施形態では発光層)9の構成がそれぞれ異なる。赤色有機EL素子4Rは赤色の光を放射する赤色発光層9Rを備え、緑色有機EL素子4Gは緑色の光を放射する緑色発光層9Gを備え、青色有機EL素子4Bは青色の光を放射する青色発光層9Bを備える。
本実施形態では第1電極6は有機EL素子4ごとに設けられる。すなわち有機EL素子4と同数の第1電極6が支持基板2上に設けられる。第1電極6は有機EL素子4の配置に対応して設けられ、有機EL素子4と同様にマトリクス状に配置される。なお本実施形態の隔壁3は、主に第1電極6を除く領域に格子状に形成されるが、さらに第1電極6の周縁部を覆うように形成されている(図1参照)。
正孔注入層に相当する第1の有機EL層7は、凹部5において第1電極6上にそれぞれ設けられる。この第1の有機EL層7は、必要に応じて、有機EL素子の種類ごとにその材料または膜厚を異ならせて設けられる。なお第1の有機EL層7の形成工程の簡易さの観点から、同じ材料、同じ膜厚で全ての第1の有機EL層7を形成してもよい。
発光層として機能する第2の有機EL層9は、凹部5において第1の有機EL層7上に設けられる。上述したように発光層は有機EL素子の種類に応じて設けられる。そのため赤色発光層9Rは赤色有機EL素子4Rが設けられる凹部5に設けられ、緑色発光層9Gは緑色有機EL素子4Gが設けられる凹部5に設けられ、青色発光層9Bは青色有機EL素子4Bが設けられる凹部5に設けられる。
第2電極10は有機EL素子4が設けられる表示領域において全面に形成される。すなわち第2電極10は、第2の有機EL層9上だけでなく、隔壁3上にも形成され、複数の有機EL素子に亘って連続して形成されている。
前記第2電極10は、前記第2電極10および前記有機EL層(本実施形態では第2の有機EL層)9の界面と隔壁3の頂面3aとの、支持基板の厚み方向Zにおける間隔L1よりも、その膜厚L2が厚い。このように第2電極10を厚く形成することによって、必然的に、隔壁3上に形成された第2電極10と、第1の有機EL層9上に形成された第2電極10とが物理的に接続されることになる。(L2−L1)は、0μmよりも大きい値であればよいが、第2電極10の電気抵抗を小さくするためには、0.2μm以上であることが好ましい。なお(L2−L1)の上限値はとくに設定されないが、膜厚が厚すぎると第2電極10を形成するために要する時間が長くなるため、(L2−L1)は1μm以下であることが好ましい。
以上の実施形態では隔壁3は、第1電極6の周縁部を覆って、支持基板2に接して設けられているが、他の実施形態として、隔壁3と支持基板2との間に、さらに絶縁膜を設けてもよい。絶縁膜はたとえば隔壁と同様に格子状に形成され、第1電極6の周縁部を覆って形成される。このような絶縁膜は好ましくは隔壁3よりも親液性を示す材料によって形成される。
以下、図3および図4を参照しつつ表示装置の製造方法について説明する。
(支持基板を用意する工程)
本工程では支持基板2上に第1電極6を形成する(図3(1)参照)。なお本工程では第1電極6がそのうえに形成された支持基板を市場から入手することによって、第1電極6が形成された支持基板2を用意してもよい。
アクティブマトリクス型の表示装置の場合、複数の有機EL素子を個別に駆動するための回路が予め形成された基板を支持基板2として用いることができる。たとえばTFT(Thin Film Transistor)およびキャパシタなどが予め形成された基板を支持基板として用いることができる。
まず支持基板2上に複数の第1電極6をマトリクス状に形成する。第1電極6は、たとえば支持基板2上の一面に導電性薄膜を形成し、これをフォトリソグラフィー法によってマトリクス状にパターニングすることによって形成される。またたとえば所定の部位に開口が形成されたマスクを支持基板2上に配置し、このマスクを介して支持基板2上の所定の部位に導電性材料を選択的に堆積することにより第1電極6をパターン形成してもよい。第1電極6の材料については後述する。
(隔壁を形成する工程)
本工程では、感光性樹脂を含むインキを前記支持基板上に塗布成膜した後に所定の部位を露光し、さらに現像し、支持基板から離間するにしたがって幅広になる形状の隔壁を形成する。
まず感光性樹脂を含むインキを前記支持基板上に塗布成膜する(図3(2)参照)。本実施形態では、好ましい形態として、頂面3aに比べて、側面3bが親液性を示す隔壁3を形成する。このような隔壁を形成するための一例として、本工程では撥液性を示す材料を含むインキを支持基板2上に塗布成膜する。すなわち感光性樹脂を含むインキは、撥液性を示す材料をさらに含む。
インキの塗布方法としては、たとえばスピンコート法やスリットコート法などを挙げることができる。
感光性樹脂を含むインキを前記支持基板上に塗布成膜した後、通常はプリベークを行う。たとえば80℃〜110℃の温度で、60秒〜180秒間、基板を加熱することによってプリベークを行い、溶媒を除去する(図3(2)参照)。なおこのようにして形成された隔壁形成用膜8の表面8aには撥液性を示す材料が凝集している。
つぎに支持基板上に所定のパターンの光を遮光するフォトマスク21を配置し、このフォトマスク21を介して、隔壁形成用膜8に対して露光を行う。感光性樹脂には、ポジ型およびネガ型の樹脂があるが、本工程ではいずれの樹脂を用いてもよい。ポジ型の感光性樹脂を使用した場合には、隔壁形成用膜8のうち主に隔壁3が形成されるべき部位を除く残余の部位に光を照射する。またネガ型の感光性樹脂を使用した場合には、隔壁形成用膜8のうち主に隔壁3が形成されるべき部位に光を照射する。本工程ではネガ型の感光性樹脂を使用した場合について、図3(3)を参照して説明する。図3(3)に示すように、基板上にフォトマスク21を配置し、このフォトマスク21を介して光を照射することによって、隔壁形成用膜8のうち主に隔壁3が形成されるべき部位に光を照射する。なお図3(3)では隔壁形成用膜8に照射する光を模式的に矢印記号で示している。
つぎに現像を行う。これによって隔壁3がパターン形成される(図3(4)参照)。現像後、必要に応じてポストベークを行う。たとえば200℃〜230℃の温度で、15分〜60分間、基板を加熱することによってポストベークを行い、隔壁3を硬化する。
上述したように、撥液性を示す材料を含むインキを使用して隔壁を形成した場合、撥液性を示す材料が隔壁形成用膜8の表面8aに凝集するため、頂面3aに比べて、側面3bが親液性を示す隔壁3が得られる。
本実施形態では隔壁側面3bの傾斜角θが0°〜90°までのいわゆる逆テーパの隔壁3を形成するが、隔壁側面3bの傾斜角θは、たとえば次の要素を適宜調整することによって、適宜調整することができる。
隔壁側面3bの傾斜角θは主に使用する感光性樹脂の種類によって定まる。そこで複数の種類の感光性樹脂のなかから逆テーパ形状の隔壁となる感光性樹脂を選択し、これを使用して隔壁を形成すればよい。また現像時間を調整することによっても隔壁側面3bの傾斜角θを調整することができる。一般にネガ型の感光性樹脂の場合、現像時間を長くするほど、隔壁側面3bの傾斜角θが小さくなる傾向にある。また露光量を調整することによっても隔壁側面3bの傾斜角θを調整することができる。一般にネガ型の感光性樹脂の場合、露光量を小さくするほど、隔壁側面3bの傾斜角θが大きくなる傾向にある。またフォトマスクと基板との距離を調整することによっても隔壁側面3bの傾斜角θを調整することができる。一般にネガ型の感光性樹脂の場合、フォトマスクと基板との距離を小さくするほど、隔壁側面3bの傾斜角θが大きくなる傾向にある。
隔壁の形成に使用される感光性樹脂としては、たとえばネガ型とポジ型がある。
ネガ型感光性樹脂は、光の照射部分が、現像液に対して不溶化し残存するものである。
感光性樹脂を含むインキには一般にバインダー樹脂、架橋材、光反応開始材、溶媒、およびその他の添加剤を配合したものが使用される。
バインダー樹脂は、予め重合されたものである。その例としては、自ら重合性を有しない非重合性バインダー樹脂、重合性を有する置換基が導入された重合性バインダー樹脂が挙げられる。バインダー樹脂は、ポリスチレンを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求められる重量平均分子量が5,000〜400,000の範囲にある。
バインダー樹脂としては、たとえばフェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。バインダー樹脂としては、単量体はそれぞれ単独または2種以上を組み合わせた共重合体を使用することもできる。バインダー樹脂は、上記感光性樹脂を含むインキの全固形分に対して、質量分率で通常5%〜90%である。
架橋材としては、光を照射することによって光重合開始剤から発生した活性ラジカル、酸などによって重合し得る化合物であって、たとえば、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が挙げられる。架橋材は、分子内に重合性炭素−炭素不飽和結合を1個有する単官能の化合物であってもよいし、重合性炭素−炭素不飽和結合を2個またはそれ以上有する2官能または3官能以上の多官能の化合物であってもよい。上記感光性樹脂を含むインキにおいて、架橋材は、バインダー樹脂と架橋材との合計量を100質量部とすると、通常0.1質量部以上70質量部以下である。また上記感光性樹脂を含むインキにおいて光反応開始材は、バインダー樹脂と架橋材との合計量を100質量部とすると、通常1質量部以上30質量部以下である。
一方、ポジ型感光性樹脂は、光の照射部分が現像液に対して、可溶化するものであり一般的には樹脂と光反応で親水化する化合物を複合化することで構成される。
ポジ型感光性樹脂は、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリイミドなどの耐薬品性と密着性を有する樹脂と光分解性化合物と組み合わせたものを使用するができる。
また上記で使用される撥液性を付与する材料としては、フッ素含有化合物、シリコーン含有化合物などを挙げることができる。好ましくは、有機溶剤に対しても優れた撥液性を示すフッ素含有化合物である。
フッ素化含有化合物としては、たとえば炭素鎖数C1〜C8の直鎖状や分岐状のフルオロアルキル基やフルオロポリエーテル基を有する化合物が例示される。フッ素含有化合物としては、架橋性基を有するポリマーが好ましく、更に好ましくは、炭素鎖数C4〜C6のフルオロアルキル基やフルオロポリエーテル基を有し、かつ架橋性基を有するポリマーである。または現像液に対して可溶性機能を有していることが好ましい。フッ素含有化合物はポリマーに限られず、低分子化合物であっても、現像後の隔壁形成後にも隔壁表面を撥液性を付与する機能を有すものであればよい。
架橋性基は、フッ素含有化合物に架橋性の機能を付与するものであり、エチレン性不飽和結合基や、エポキシ基、水酸基などが例示される。隔壁の形成に使用される感光性樹脂と架橋する機能を有していれば、架橋性基の種類は上記に限定するものではない。
具体的にはメガファックRS−101、RS−102、RS−105、RS−401、RS−402、RS−501、RS−502、RS−718(以上、DIC社製)、オプツールDAC、オプトエース HPシリーズ(以上ダイキン工業社製)、パーフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記の撥液剤は、1種を単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。撥液剤は、上記感光性樹脂を含むインキの全固形分に対して、質量分率で通常0.1質量部以上3質量部以下である。
現像に使用される現像液としては、たとえば塩化カリウム水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液などを挙げることができる。
隔壁3の形状およびその配置は、画素数および解像度などの表示装置の仕様や製造の容易さなどに応じて適宜設定される。たとえば隔壁3の行方向Xまたは列方向Yの幅は、5μm〜50μm程度であり、隔壁3の高さは0.5μm〜5μm程度であり、行方向Xまたは列方向Yに隣り合う隔壁3間の間隔、すなわち凹部5の行方向Xまたは列方向Yの幅は、10μm〜200μm程度である。また第1電極6の行方向Xまたは列方向Yの幅はそれぞれ10μm〜200μm程度である。
(有機EL層を形成する工程)
本工程では有機EL層を形成する。本実施形態では1層以上の有機EL層のうち、少なくとも1層の有機EL層を塗布法によって形成する。本実施形態では、第1の有機EL層7および第2の有機EL層9を塗布法によって形成する。
まず第1の有機EL層7となる材料を含むインキ22を隔壁3に囲まれた領域(凹部5)に供給する(図4(1)参照)。インキは、隔壁3の形状、成膜工程の簡易さ、および成膜性などを勘案して適宜最適な方法によって供給される。インキはたとえばインクジェットプリント法、ノズルコート法、凸版印刷法、凹版印刷法などによって供給される。
つぎに供給されたインキ22が固化することによって第1の有機EL層7が形成される(図4(2)参照)。インキの固化は、たとえば自然乾燥、加熱乾燥、真空乾燥によって行うことができる。またインキが、エネルギーを加えることによって重合する材料を含む場合、インキを供給した後に、薄膜を加熱したり、薄膜に光を照射したりすることによって、有機EL層を構成する材料を重合してもよい。このように有機EL層を構成する材料を重合することによって、この有機EL層上に有機EL層をさらに形成する際に使用されるインキに対して、有機EL層を難溶化することができる。
つぎに発光層として機能する第2の有機EL層9を形成する。第2の有機EL層9は第1の有機EL層7と同様に形成することができる。すなわち赤色発光層9R、緑色発光層9G、青色発光層9Bとなる材料を含む3種類のインキを、隔壁3に囲まれた領域にそれぞれ供給し、さらにこれを固化することによって各発光層9R,9G,9Bを形成することができる。
(第2電極を形成する工程)
つぎに第2電極10を形成する。本工程では第2電極10および有機EL層の界面と隔壁の頂面との、支持基板の厚み方向における間隔よりも、その膜厚が厚い第2電極10を形成する(図4(4)参照)。このように第2電極10を厚く形成することによって、必然的に、隔壁3上に形成された第2電極10と、第1の有機EL層9上に形成された第2電極10とが接続される。
以上説明したように、第2電極10を厚く形成することによって、たとえ逆テーパ形状の隔壁3を設けたとしても、隔壁3の端部で第2電極10が断線することを防ぐことができ、全ての有機EL素子4に亘って連なる第2電極10を形成することができる。
また逆テーパ形状の隔壁が設けられるため、隔壁3に囲まれた領域(凹部5)に供給されたインキ22は、毛細管現象によって、第1電極16と隔壁13とが接続される先細状の部位に吸い込まれるように充填される。この状態を維持したままインキの溶媒が蒸発することによって、第1電極と隔壁とが接続される部位にも有機EL層が形成される。これによって均一な膜厚の有機EL層を得ることができる。
また隔壁3の頂面3aは撥液性を示すので、隔壁3に囲まれた領域(凹部5)に供給されたインキ22は隔壁3の頂面3aで弾かれる(図4(1)参照)。そのためインキ22が隔壁3の頂面3aを伝わって隣の領域に溢れ出ることを防ぐことができ、隔壁3に囲まれた領域(凹部5)内にインキを収容させることができる。また隔壁3の側面3bが親液性を示すことで、隔壁3に囲まれた領域に供給されたインキが、隔壁3の側面3bに弾かれることを防ぐことができ、隔壁3と第1電極とが接続される部位にまでインキをより容易に充填することができる。これによってより均一な膜厚の有機EL層を得ることができる。
なお本実施形態では隔壁3の頂面3aに撥液性を付与するために、撥液性を示す材料を含むインキを用いて隔壁を形成したが、たとえば他の方法として、フッ化物を含有する雰囲気においてプラズマ処理を行うことによって、隔壁3の頂面3aに撥液性を付与することもできる。なおこの方法ではプラズマ雰囲気を導入するために工程が複雑化し、製造コストの増加をもたらすこともある。また第1電極6がプラズマ処理によって汚染されることがあり、このプラズマ処理が歩留まりの低下をもたらすこともある。これに対して本実施形態では撥液性を示す材料を含むインキを用いて隔壁を形成するため、プラズマ処理を行うことなく隔壁を形成することができ、歩留まりを向上するとともに、製造コストを低減することができる。
<有機EL素子の構成>
以下では有機EL素子の構成についてさらに詳しく説明する。有機EL素子は、有機EL層として少なくとも1層の発光層を有するが、上述したように有機EL層として、たとえば正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、および電子注入層などを有する。
本実施の形態の有機EL素子のとりうる層構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/発光層/電子注入層/陰極
o)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
p)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
なお上述の実施形態では陽極として機能する第1電極が、第2電極に対して支持基板寄りに配置される形態の有機EL素子について説明したが、本発明は陰極として機能する第1電極が、第2電極に対して支持基板寄りに配置される形態の有機EL素子にも適用することができる。
<支持基板>
支持基板には、有機EL素子を製造する工程において化学的に変化しないものが好適に用いられ、たとえばガラス、プラスチック、高分子フィルム、およびシリコン板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。
<陽極>
発光層から放射される光が陽極を通って外界に出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、電気伝導度および光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す構成の有機EL素子では、発光層から放射される光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光に対する反射率の高い材料が好ましい。陰極には、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表の13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお電子注入層が陰極として用いられることもある。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法などを挙げることができる。
陽極または陰極の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。なお上述したように、陽極および陰極のうちで第2電極に相当する電極は、第2電極および前記有機EL層の界面と隔壁の頂面との、支持基板の厚み方向における間隔よりも、その膜厚が厚くなるように形成される。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層の成膜方法としては、たとえば正孔注入材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。たとえば正孔注入材料を含む溶液を所定の塗布法によって塗布成膜し、さらにこれを固化することによって正孔注入層を形成することができる。
正孔注入層の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
正孔輸送層の膜厚は、求められる特性および成膜工程の簡易さなどを考慮して設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、たとえば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお発光層を構成する有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、塗布法によって発光層を形成する場合には、発光層は高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量はたとえば10〜10程度である。発光層を構成する発光材料としては、たとえば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
(色素系材料)
色素系材料としては、たとえば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、たとえばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、たとえばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
電子輸送層の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、およびこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、たとえばLiF/Caなどを挙げることができる。
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
上述の各有機EL層は、たとえばノズルプリンティング法、インクジェットプリンティング法、凸版印刷法、凹版印刷法などの塗布法や、真空蒸着法、スパッタリング法、またはCVD法などによって形成することができる。
なお塗布法では、各有機EL層となる有機EL材料を含むインキを塗布成膜し、さらにこれを固化することによって有機EL層を形成するが、その際に使用されるインキの溶媒には、たとえばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水などが用いられる。
(実施例1)
まずITO薄膜からなる第1電極(陽極)が予めパターン形成されたTFT基板を用意した(図3(1)参照)。
つぎにネガ型の感光性樹脂溶液(日本ゼオン株式会社製ZPN2464)に撥液剤2(ダイキン製 撥液剤オプトエース(登録商法)HPシリーズ)を混合し、撥液材入りの感光性樹脂溶液を調整した。感光性樹脂に対する撥液剤の固形分濃度比は0.2%(重量)とした。つぎに、用意したTFT基板の表面上に撥液材入りの感光性樹脂溶液をスピンコータにより塗布成膜し、さらに、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱することによってプリベーク処理を行い、溶媒を蒸発させた(図3(2)参照)。
つぎにプロキシミティ露光機を用いて露光量100mJ/cmで露光し(図3(3)参照)、その後、現像液(株式会社トクヤマ製SD-1(TMAH2.38wt%))を用いて100秒間現像した。さらにポストベークとして230℃で30分間加熱し、樹脂を硬化させ、逆テーパ形状の隔壁を形成した(図3(4)参照)。隔壁の膜厚は1.0μmとした。隔壁側面3bの傾斜角θは65°であった。隔壁頂面と純水との接触角は75°、隔壁頂面とアニソールとの接触角は39°であった。また第1電極(ITO薄膜)表面と、純水との接触角は25°であった。
つぎに第1の有機EL層として正孔注入層を形成した。まずオゾン水製造装置(ロキテクノ社製 FA-1000ZW12-5C)を用いて、基板表面をオゾン水(濃度:10ppm、処理時間:15分)で洗浄した。この洗浄によって、第1電極(ITO薄膜)表面と純水との接触角が5°以下にまで低下し、第1電極(ITO薄膜)表面に十分な濡れ性を付与することができた。つぎにインクジェット装置(ULVAC社製 Litlex142P)を用いてインキ(固形分濃度1.5重量%のポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)水分散液(バイエル社製 AI4083))を、各凹部に塗布した(図4(1)参照)。インキは、接触角の高い隔壁の頂面によって弾かれるため、この頂面を伝わって隣の領域に溢れ出ることが防がれ、凹部内に収容された。他方、凹部に収容されたインキは、毛細管現象によって第1電極と隔壁とが接続される先細状の部位に吸い込まれるように充填され、凹部内に均一に広がった。この基板を200℃で焼成することにより、均一な膜厚の正孔注入層(膜厚50nm)を形成した(図4(2)参照)。
つぎに3種類の発光層を形成した。まず赤色の光を放射する高分子発光材料1を、その濃度が0.8wt%となるように有機溶媒に混合して、赤インキを調整した。同様に、緑色の光を放射する高分子発光材料2を、その濃度が0.8wt%となるように有機溶媒に混合して、緑インキを調整した。そして青色の光を放射する高分子発光材料2を、その濃度が0.8wt%となるように有機溶媒に混合して、青インキを調整した。これら赤、緑、青インキをそれぞれインクジェット装置(ULVAC社製 Litrex142P)を用いて所定の凹部内に塗布した。インキは、接触角の高い隔壁の頂面によって弾かれるため、この頂面を伝わって隣の領域に溢れ出ることが防がれ、凹部内に収容された。他方、凹部に収容されたインキは、毛細管現象によって第1電極と隔壁とが接続される先細状の部位に吸い込まれるように充填され、凹部内に均一に広がった。この基板を130℃で焼成することにより、均一な膜厚の発光層(膜厚60nm)を形成した(図4(3)参照)。なお高分子発光材料として、たとえばサメイション製のものを使用して発光層を形成することもできる。
つぎにCaからなる層(20nm)、Alからなる層(1.2μm)を真空蒸着法によって順次積層し、第2電極(陰極)を形成した。その後、封止基板を貼り合せて、有機EL素子を封止し、表示装置を作製した。
膜厚が1.2μmのAlからなる層を形成することで、全ての有機EL素子に亘って連なる第2電極(陰極)を形成することができた。作製した表示装置は、有機EL素子が設けられた全発光領域内において均一に発光することが確認された。また有機EL素子ごとの発光についても、有機EL素子内において均一に発光することが確認された。
(比較例1)
Alからなる層の膜厚のみを異ならして、実施例と同様に表示装置を作製した。本比較例1では、特許文献1の記載と同様に、膜厚が150nmのAlからなる層を真空蒸着法によって積層した。形成された第2電極(陰極)は隔壁の端部で切断されているため、複数の有機EL素子に亘って連なる第2電極が形成されなかった。そのため各有機EL素子を発光駆動することができなかった。
(参考例1)
隔壁を形成する際に使用する溶液に、撥液性を示す材料を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして表示装置を作製した。すなわち、撥液材入りの感光性樹脂溶液の使用に替えて、ネガ型の感光性樹脂溶液(日本ゼオン株式会社製ZPN2464)のみを使用して、隔壁を形成した。実施例1と同様にインクジェット装置(ULVAC社製 Litlex142P)を用いてインキを凹部に供給したところ、隔壁の頂面にインキが濡れ拡がり、隣の領域に供給されたインキと隔壁の頂面において連なることが一部で確認された。
1 表示装置
2 支持基板
3 隔壁
3a 頂面
3b 側面
4 有機EL素子
5 凹部
6 第1電極
7 第1の有機EL層(正孔注入層)
8 隔壁形成用膜
9 第2の有機EL層(発光層)
10 第2電極
12 支持基板
13 隔壁
15 隔壁に囲まれた領域
16 第1電極
17 インキ
18 有機EL層
19 第2電極
21 フォトマスク
22 インキ

Claims (5)

  1. 支持基板と、この支持基板上において予め設定される区画を画成する隔壁と、隔壁によって画成される区画にそれぞれ設けられる複数の有機EL素子とを含む表示装置であって、
    各有機EL素子は、第1電極、有機EL層、第2電極が、支持基板側からこの順で積層されて構成され、
    前記第2電極は、隣り合う有機EL素子の間に介在する隔壁上にまたがって形成され、前記複数の有機EL素子に亘って連なって形成されており、
    前記隔壁は、支持基板から離間するにしたがって幅広になるように形成されており、
    前記第2電極は、前記第2電極および前記有機EL層の界面と隔壁の頂面との、支持基板の厚み方向における間隔よりも、その膜厚が厚い、表示装置。
  2. 前記隔壁は、その頂面に比べて、その側面が親液性を示す、請求項1記載の表示装置。
  3. 支持基板と、この支持基板上において予め設定される区画を画成する隔壁と、隔壁によって画成される区画にそれぞれ設けられる複数の有機EL素子とを含む表示装置であり、各有機EL素子が、第1電極、有機EL層、第2電極が支持基板側からこの順で積層されて構成される表示装置の製造方法であって、
    前記支持基板上に前記第1電極を形成する工程と、
    感光性樹脂を含むインキを前記支持基板上に塗布成膜した後に所定の部位を露光し、さらに現像し、支持基板から離間するにしたがって幅広になる形状の隔壁を形成する工程と、
    隔壁によって画成される区画に、有機EL層となる材料を含むインキを供給し、これを固化することによって有機EL層を形成し、
    有機EL層上および隔壁上に、前記複数の有機EL素子に亘って連なる第2電極を形成する工程とを有し、
    前記第2電極を形成する工程では、前記第2電極および前記有機EL層の界面と隔壁の頂面との、支持基板の厚み方向における間隔よりも、その膜厚が厚い第2電極を形成する、表示装置の製造方法。
  4. 前記隔壁を形成する工程では、頂面に比べて、側面が親液性を示す隔壁を形成する、請求項3記載の表示装置の製造方法。
  5. 前記隔壁を形成する工程では、前記感光性樹脂を含む前記インキは、撥液性を示す材料を含む、請求項4記載の表示装置の製造方法。
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