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JP2012072021A - セラミックス基板及びその製造方法、並びに半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

セラミックス基板及びその製造方法、並びに半導体装置及びその製造方法 Download PDF

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JP2012072021A JP2010218482A JP2010218482A JP2012072021A JP 2012072021 A JP2012072021 A JP 2012072021A JP 2010218482 A JP2010218482 A JP 2010218482A JP 2010218482 A JP2010218482 A JP 2010218482A JP 2012072021 A JP2012072021 A JP 2012072021A
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芳孝 西村
Shinobu Hashimoto
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Yuji Iwamoto
雄二 岩本
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Fuji Electric Co Ltd
Nagoya Institute of Technology NUC
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Abstract

【課題】セラミックス基板の絶縁破壊耐圧と熱伝導率との両立を図る。
【解決手段】非球状のセラミックス粒子と、それより粒径の小さいセラミックス粒子とを含む混合物を形成し、その混合物中の非球状セラミックス粒子に一定の方向性をもたせた後、焼成する。このようにすることで、非球状のセラミックス結晶粒子11aを含む結晶組織11bを有していて、その第1面の粒度分布の中心粒径が10μm乃至60μmで、第1面と直交する第2面の粒度分布の中心粒径が5μm乃至30μmである、絶縁破壊耐圧及び熱伝導率が共に良好な、セラミックス基板11を得る。
【選択図】図2

Description

本発明は、セラミックス基板及びその製造方法、並びにセラミックス基板を用いた半導体装置及びその製造方法に関する。
半導体分野では、しばしば、セラミックス等の無機絶縁材料や、樹脂等の有機絶縁材料が用いられる。
無機絶縁材料の1つであるセラミックスについては、これまで、その形成方法に関し、粒度分布の異なる同種又は異種の粒子を混合して焼成する方法、混合する粒子として針状粒子と球状粒子を用いる方法等が知られている。また、板状、或いは板状と球状の無機絶縁材料を有機絶縁材料に添加して絶縁層を形成する技術等も知られている。
また、セラミックスの1つであるアルミナ(酸化アルミニウム)に関し、その形成条件によって結晶組織を制御し、機械的特性を変化させる方法等も知られている。
特開2003−137658号公報 特開2006−273634号公報 国際公開第2005/036939号パンフレット 特開平7−50460号公報
ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・セラミックス・ソサイエティ(Journal of the American Ceramics Society)、2001年、第84巻、p.1392−1394 ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・セラミックス・ソサイエティ(Journal of the American Ceramics Society)、2004年、第87巻、p.2147−2149 ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・セラミックス・ソサイエティ(Journal of the American Ceramics Society)、1989年、第72巻、p.20−27
セラミックス基板は、例えば、その表面に回路パターンを形成し、いわゆるパワー半導体等の半導体素子を実装する回路基板に利用される。パワー半導体は、高電圧が印加され、また、その発熱量も大きいため、セラミックス基板には、絶縁破壊が起こり難い高い絶縁破壊耐圧と、パワー半導体等の半導体素子で発生した熱を速やかに伝熱できる高い熱伝導率とが要求される。
しかし、これら絶縁破壊耐圧と熱伝導率とは、いずれもセラミックス基板の結晶粒子サイズに依存し、結晶粒子サイズに対してトレードオフの関係になる傾向がある。従来のセラミックス基板では、絶縁破壊耐圧と熱伝導率とを高いレベルで両立させることが難しいという問題点があった。そのため、例えば、セラミックス基板をパワー半導体の回路基板に用いた半導体装置において、絶縁破壊を抑えるためにセラミックス基板を厚くすると、セラミックス基板の熱抵抗が高くなってしまい、また、半導体装置が大型化してしまう場合があった。
本発明の一観点によれば、非球状のセラミックス結晶粒子を含む結晶組織を有し、前記結晶組織の第1面の粒度分布の中心粒径が10μm乃至60μmであり、前記結晶組織の前記第1面と直交する第2面の粒度分布の中心粒径が5μm乃至30μmであるセラミックス基板が提供される。また、このようなセラミックス基板を用いた半導体装置が提供される。
更に、本発明の一観点によれば、非球状の第1セラミックス粒子と、前記第1セラミックス粒子よりも粒径の小さい第2セラミックス粒子とを含む混合物を形成する工程と、前記混合物中の前記第1セラミックス粒子に、その形状に応じた一定の方向性をもたせる工程と、前記混合物を焼成し、前記第1セラミックス粒子と前記第2セラミックス粒子とが焼結された非球状のセラミックス結晶粒子を含む結晶組織を有する焼結体を形成する工程と、を含むセラミックス基板の製造方法が提供される。また、このような方法を用いた半導体装置の製造方法が提供される。
本発明に係るセラミックス基板及びその製造方法によれば、セラミックス基板の絶縁破壊耐圧と熱伝導率とを一定レベルで両立させることが可能になる。また、このようなセラミックス基板を用いた半導体装置の小型化を図ることが可能になる。
セラミックス基板を用いた回路基板の例を模式的に示す図である。 セラミックス基板の結晶組織の例を模式的に示す図である。 セラミックス基板形成方法の一例を示す図である。 サンプルを模式的に示す図である。 サンプル等の走査型電子顕微鏡像の一例を示す図である。 サンプルの粒度分布の一例を示す図である。 サンプルのX線回折パターンの一例を示す図である。 粒径と熱伝導率との関係の一例を示す図である。 伝熱方向の粒界数と熱伝導率との関係の一例を示す図である。 粒径と破壊強度との関係の一例を示す図(その1)である。 粒径と破壊強度との関係の一例を示す図(その2)である。 サンプルの破壊発生時の状況を模式的に示す図である。 粒径と絶縁破壊耐圧との関係の一例を示す図である。 熱伝導率と絶縁破壊耐圧との関係の一例を示す図である。 半導体装置の一例を示す図である。
図1はセラミックス基板を用いた回路基板の例を模式的に示す図である。ここで、図1(A)は回路基板の断面模式図、図1(B)は回路基板の一方の面側の平面模式図、図1(C)は回路基板の他方の面側の平面模式図である。尚、図1(A)は、図1(B)のX−X断面の断面を模式的に示す図である。
セラミックス基板11は、例えば、図1(A)に示すように、その表裏面に、銅等の導体で回路パターン12a,12bが形成され、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor;IGBT)等のパワー半導体(半導体素子)を実装する回路基板(実装基板)10に利用される。
回路パターン12a,12bは、実装する半導体素子の形態に応じ、所定の形状で形成される。例えば、セラミックス基板11の表面側には、半導体素子を実装するための、図1(B)に示すような複数の島状の回路パターン12aが形成される。また、セラミックス基板11の裏面側には、実装された半導体素子で発生してセラミックス基板11に伝熱された熱の放熱効率を高めるための、図1(C)に示すような単一の回路パターン12bが形成される。
セラミックス基板11は、アルミナ等のセラミックス材料を用いて形成される。表面側の回路パターン12a上にIGBT等の半導体素子が実装されてそれが駆動されたときには、裏面側の回路パターン12bとの間に電圧が印加され、また、半導体素子で発生した熱がセラミックス基板11内部を伝熱する。即ち、セラミックス基板11には、図1(A)に太矢印で図示したような方向に、電圧が印加され、熱が伝熱される。
このような状況に置かれるセラミックス基板11には、例えば、次の図2に示すような結晶組織を有するものを用いることができる。
図2はセラミックス基板の結晶組織の例を模式的に示す図である。ここで、図2(A)は結晶組織の第1の例を模式的に示す図、図2(B)は結晶組織の第2の例を模式的に示す図である。
セラミックス基板11には、図2(A),(B)に示すように、非球状、ここでは板状(柱状)のセラミックス結晶粒子11aが、一定の方向性をもって含まれている結晶組織11bを有するものが用いられる。
図2(A)には、板状のセラミックス結晶粒子11aが、その板面がセラミックス基板11の平面と平行に存在している場合を例示している。この図2(A)のようなセラミックス基板11上に、回路パターン12a,12b(点線で模式的に図示)が形成される。即ち、図2(A)のセラミックス基板11では、セラミックス結晶粒子11aの板面が、回路パターン12a上にIGBT等の半導体素子が実装されてそれが駆動されたときの、電圧印加方向及び伝熱方向(図2(A)に太矢印で図示)と垂直になる。
また、図2(B)には、板状のセラミックス結晶粒子11aが、その板面がセラミックス基板11の平面と垂直に存在している場合を例示している。この図2(B)のようなセラミックス基板11上に、回路パターン12a,12b(点線で模式的に図示)が形成される。即ち、図2(B)のセラミックス基板11では、セラミックス結晶粒子11aの板面が、回路パターン12a上にIGBT等の半導体素子が実装されてそれが駆動されたときの、電圧印加方向及び伝熱方向(図2(B)に太矢印で図示)と平行になる。
尚、セラミックス基板11においては、必ずしも全てのセラミックス結晶粒子11aがセラミックス基板11の平面と厳密に平行又は垂直でなくてもよい。
上記のような構成を有するセラミックス基板11は、例えば、以下に示すような方法で形成することができる。
図3はセラミックス基板形成方法の一例を示す図である。
まず、セラミックス基板11の形成には、例えば、2種類のセラミックス粉末A,Bを用いる。ここでは、第1のセラミックス粉末Aとして、非球状粒子、例えば板状粒子の粉末を用い、第2のセラミックス粉末Bとして、球状粒子の粉末を用いる。例えば、セラミックス粉末Aとしては、中心粒径1μm〜20μm、アスペクト比(板面の長軸長さの板厚に対する比)2〜10の板状粒子の粉末を用いる。セラミックス粉末Bとしては、中心粒径0.01μm〜5μmの球状粒子で、セラミックス粉末Aの板状粒子よりも中心粒径の小さい球状粒子の粉末を用いる。非球状(板状)粒子、球状粒子には、いずれもアルミナ(例えばαアルミナ)を用いることができる。
このようなセラミックス粉末A,Bを用い、それらを混合した混合物を得る(ステップS1)。セラミックス粉末A,Bの混合割合は、例えば、重量比(A:B)で、50:50〜95:5の範囲とする。
次いで、得られた混合物の成形及び焼成を行う。その際は、例えば、加圧しながら成形し、その後、焼成する方法を用いることができる(ステップS2,S3)。或いは、焼成しながら加圧して成形する方法を用いることもできる(ステップS4)。
ステップS2,S3のように加圧成形後に焼成する方法では、まず、上記混合物を水やアルコール等に混ぜてスラリーにする。そして、そのスラリーをプレス、又は押し出すこと(ドクターブレード法等)により、所定の厚さに成形する。この成形時にスラリーに加える圧力は、例えば、0.1MPa〜60MPaとする。成形時には、加圧により、スラリー中に含まれるセラミックス粉末Aの板状粒子が、一定の方向性をもって、配列するようになる。即ち、圧力を主に板面で受けるような向きで、板状粒子が配列し易くなる。加圧成形後は、乾燥して水やアルコール等の成分を除去し、その後、例えば、真空中で、1350℃〜1650℃で焼成する。この焼成により、板状粒子同士の焼結、球状粒子同士の焼結、板状粒子と球状粒子の焼結、焼結後の粒子と板状粒子や球状粒子との焼結、焼結後の粒子同士の焼結等が進行する。その結果、非球状(板状(柱状))のセラミックス結晶粒子11aが形成され、そのようなセラミックス結晶粒子11aを含む焼結体が形成される。
また、ステップS4のように焼成中に加圧成形する方法としては、例えば、ホットプレス法、PECS(Pulse Electric Current Sintering)法を用いることができ、セラミックス粉末A,Bの混合物を焼成しながら加圧成形する。例えば、混合物を、真空中で、1350℃〜1650℃で焼成しながら、10MPa〜70MPaで加圧する。この焼成中の加圧により、混合物中に含まれるセラミックス粉末Aの板状粒子が、一定の方向性をもって(圧力を主に板面で受けるような向きで)、配列し易くなる。このような状態から、板状粒子同士の焼結、球状粒子同士の焼結、板状粒子と球状粒子の焼結、焼結後の粒子と板状粒子や球状粒子との焼結、焼結後の粒子同士の焼結等が進行することで、非球状(板状(柱状))のセラミックス結晶粒子11aを含む焼結体が形成される。
上記のようにして得られた焼結体をそのまま用いることで、或いは焼結体から一部を切り出すことで、図1に示したようなセラミックス基板11を得ることができる。
尚、ここではセラミックス粉末Bとして球状粒子の粉末を用いるようにしたが、セラミックス粉末Bには、セラミックス粉末Aの板状粒子よりも中心粒径の小さいものであれば、板状粒子等の非球状粒子の粉末を用いるようにしてもよい。
以下、セラミックス基板の構成及び特性について、より詳細に説明する。
ここでは、上記のような方法を用いて得られる焼結体を、異なる2方向で切断した2種類のサンプルを例にして説明する。ここでは、αアルミナの板状粒子(中心粒径5μm〜10μm)の粉末と、αアルミナの球状粒子(中心粒径0.1μm)の粉末とを、重量比90:10で混合し、その混合物をカーボン製のダイ(直径20mm)上にセットし、PECS法(真空中、1650℃、60MPa)で焼成・加圧して焼結体を形成している。
板状粒子は、例えば、S.HashimotoおよびA.Yamaguchi著、ジャーナル・オブ・マテリアルズ・リサーチ(J.Mater.Res.)、第14巻、p.4667−p.4672(1999年)に記載された方法により作製できる。若しくは、キンセイマテック株式会社製セラフ10030,05070,05025を用いてもよい。
焼結体の相対密度は95%である。このような焼結体を異なる2方向で切断し、2種類のサンプルを切り出している。
図4はサンプルを模式的に示す図である。
図4(A)には、上記焼結体をその形成時の加圧方向(図4(A)ではz方向)に対して垂直方向に切断したサンプルPVを示し、図4(B)には、上記焼結体をその形成時の加圧方向(図4(B)ではy方向)に対して平行方向に切断したサンプルPPを示している。図4(A),(B)には、このように切断した切断面を図面上方に向けて、サンプルPV,PPを図示している。図4(A)のサンプルPV、及び図4(B)のサンプルPPには、加圧・焼成により形成されるセラミックス結晶粒子20及びその配列を、模式的に図示している。
尚、サンプルPVにおいては、必ずしも全てのセラミックス結晶粒子11aが切断面と厳密に平行でなくてもよい。含まれている主なセラミックス結晶粒子20が、切断面に対して垂直或いは略垂直であるものは、サンプルPVの範疇である。また、サンプルPPにおいては、必ずしも全てのセラミックス結晶粒子11aが切断面と厳密に垂直でなくてもよい。含まれている主なセラミックス結晶粒子20が、切断面に対して平行或いは略平行であるものはサンプルPVの範疇である。
このようなサンプルPV,PPの走査型電子顕微鏡(SEM)像の一例を、それぞれ図5(B),(C)に示す。また、図5(A)には、サンプルPV,PPの出発原料に用いた板状粒子のSEM像の一例を示している。板状粒子は、六角形の板状、若しくは底面が六角形の柱状である。
ここでは、焼結体から切り出したサンプルPV,PPの観察面(切断面)を、研磨後に熱処理(1350℃)して清浄化し、その後、カーボンをコートして観察を行っている。
図5(B),(C)に示すように、サンプルPV,PPは、非球状のセラミックス結晶粒子を含んだ結晶組織を有している。
サンプルPV,PPに含まれるセラミックス結晶粒子は、焼結体形成時の、図5(A)に示した出発原料の板状粒子からの結晶成長により、形成される。その結晶成長は、板状粒子の異方性を残しながら進行している。サンプルPV,PPの結晶組織内にはそれぞれ、形状及びサイズの異なるセラミックス結晶粒子が含まれている。
ここでは、このようなサンプルPV,PPのSEM像を用いて、それぞれの粒度分布を求めている。
図6はサンプルPV,PPの粒度分布の一例を示す図である。尚、図6(A),(B)の横軸は粒径(Grain size/μm)を表し、縦軸は頻度(Frequency/%)を表している。
図6(A),(B)にそれぞれ示すサンプルPV,PPの粒度分布は、SEM像を用いたインターセプト法により求めている。具体的にはサンプルPV,PPの断面を研磨し平面を得る。その後サーマルエッチング、ケミカルエッチング等を行う。次にSEM観察を所定倍率(例えば3000倍)にて行い、組織面像を得る。この組織面像上に合計長さが所定長さ(例えば500μm)相当になる直線を数本ランダムに引く。そして、これらの直線が横切る粒子数(今回は200個)を数えて、画像上での直線長さ(例えば500μm)を粒子数で除した値をインターセプト粒径とし、所定部分の長さL1及びL2の値を求める。個々のセラミックス結晶粒子の粒径は、粒子内で最長の部分(ここでは長軸という)の長さをL1とし、それと直交する方向で最長の部分(ここでは短軸という)の長さをL2として、次式(1)から求める。
(L1+L2)/2 ・・・(1)
サンプルPVは、図6(A)より、中心粒径35μmの粒度分布を有している。また、サンプルPPは、図6(B)より、中心粒径12μmの粒度分布を有している。この時、中心粒径はインターセプト法により算出した粒径の平均値とした。
図7はサンプルPV,PPのX線回折パターンの一例を示す図である。尚、図7(A),(B)の横軸は角度2θ(2θ/deg (Cu Kα))を表し、縦軸は強度I(Intensity I (arbitrary unit 比))を表している。
図7(A),(B)にはそれぞれ、サンプルPV,PPのX線回折パターンを示している。図7(A)より、通常のアルミナ焼結体と比較し、サンプルPVについては、アルミナ単位格子のC面に対して一定の傾きをもった(006)面の強いピークが認められる。一方、図7(B)より、サンプルPPについては、C面に対して垂直な(110)面の強いピークが認められる。
X線回折パターンのピーク強度を用い、サンプルPV,PPに用いた上記焼結体の配向度を、次式(2)から求める(Lotgering法)。
F=(P−P0)/(1−P0) ・・・(2)
ここで、P=ΣI(h00)/ΣI(hkl)、P0=ΣI0(h00)/ΣI0(hkl)であり、ΣIはサンプルPV,PPのX線回折パターンのピーク強度の合計、ΣI0は無配向多結晶アルミナのX線回折パターンのピーク強度の合計である。(hkl)はミラー指数である。
配向度Fは、単結晶ならば1、無配向多結晶ならば0になる。上記図5及び図6の結果、並びに図7の結果とこの式(2)を用いると、上記焼結体は、その配向度Fが0.34であり、異方成長したセラミックス結晶粒子を含む、一定の配向度をもった結晶組織を有している。
次に、サンプルPV,PPの熱的、機械的及び電気的特性について説明する。
まず、サンプルPV,PPの熱伝導率について述べる。
ここでは、サンプルPV,PPとの比較のため、一般的なアルミナサンプルとして、αアルミナの球状微粒子粉末の圧粉体を1350℃、1450℃、1550℃で1時間焼成して得られる、焼成後の粒度分布の中心粒径が異なるサンプルについても述べる。更に、サンプルPP,PVとの比較のため、単結晶アルミナのサンプルについても述べる。
熱伝導率は、JIS R 1611に基づき、レーザーフラッシュ法により測定される熱拡散率と比熱から求めている。熱伝導率を求めるにあたっては、厚さ1mm、直径10mmのディスク状のサンプルを用いている。比熱測定におけるサンプル表面のレーザー吸収を安定化させるため、サンプルにはカーボングラスを取り付けている。また、熱拡散率測定のため、サンプルの表裏面にカーボン粉末をスプレーしている。
尚、上記のような板状のセラミックス結晶粒子を含むサンプルについては、主なセラミックス結晶粒子の板面が伝熱方向(ディスクの厚さ方向)と垂直になるものをサンプルPVとする。また、主なセラミックス結晶粒子の板面が伝熱方向(ディスクの厚さ方向)と平行になるものをサンプルPPとする。
図8は粒径と熱伝導率との関係の一例を示す図である。尚、図8の横軸は粒径(Grain size/μm)を表し、縦軸は熱伝導率(Thermal conductivity/W/m・K)を表している。
まず、焼成後の粒度分布の中心粒径を異ならせたアルミナサンプル(図8に「Alumina」と記す)、及び単結晶アルミナサンプル(図8に「Single crystal」と記す)について見ると、熱伝導率は、中心粒径の増加に伴って増加する傾向が認められる。
一方、これらのアルミナサンプルについて見られる、粒径と熱伝導率の関係(図8に点線で図示)に対し、サンプルPV,PP(図8に「Sample PV」,「Sample PP」と記す)のプロット点は、いずれも更に高い熱伝導率を示す領域(点線より上側の領域)に存在する。サンプルPV,PPは、それらと粒径が同程度の一般的なアルミナサンプルと比べて、高い熱伝導率を示す。尚、サンプルPVの熱伝導率は36W/m・K、サンプルPPの熱伝導率は39W/m・Kである。
セラミックスでは、それを構成している結晶粒子の格子が振動することで、熱が伝熱される。換言すれば、セラミックス内の結晶粒子間が伝熱時のバリアとなり得る。
図9は伝熱方向の粒界数と熱伝導率との関係の一例を示す図である。尚、図9の横軸は粒界数(Number of grain boundary/pieces)を表し、縦軸は熱伝導率(Thermal conductivity/W/m・K)を表している。
尚、伝熱方向(ディスクの厚さ方向)の粒界数は、各サンプルの25箇所〜50箇所程度から得られた、単位長さ(1mm)当たりの粒界数の平均値である。尚、単結晶アルミナサンプルの粒界数は0としている。
まず、中心粒径を異ならせたアルミナサンプル(図9に「Alumina」と記す)、及び単結晶アルミナサンプル(図9に「Single crystal」と記す)について見ると、熱伝導率は、粒界数の減少に伴って増加する傾向が認められる。この図9、及び先に示した図8より、一般的には、粒径が大きく、伝熱時のバリアとなり得る粒界の数が少ないものほど、熱伝導率が高くなる傾向がある。
一方、これらのアルミナサンプルについて見られる、粒界数と熱伝導率の関係(図9に点線で図示)に対し、サンプルPV,PP(図9に「Sample PV」,「Sample PP」と記す)のプロット点は、更に高い熱伝導率を示す領域(点線より上側の領域)に存在する。尚、サンプルPVの粒界数は92個/mm、サンプルPPの粒界数は39個/mmであり、また、サンプルPV,PPについても、熱伝導率が粒界数の減少に伴って増加する傾向が認められる。
サンプルPV,PPは、それらと粒径及び粒界数が同程度の一般的なアルミナサンプルが示す熱伝導率を上回る、高い熱伝導率を示す。
特に、サンプルPPが、サンプルPVや他のアルミナサンプルよりも高い熱伝導率を示す理由の1つは、サンプルPPの伝熱方向の粒界数が少ないためと言える。サンプルPPの伝熱方向の粒界数が少なくなるのは、サンプルPV等に比べ、板状(柱状)のセラミックス結晶粒子が伝熱方向と平行に長く延びた構造であることによる。
また、サンプルPV,PPが、それらと粒径及び粒界数が同程度の一般的なアルミナサンプルと比べて、高い熱伝導率を示すのには、次のような理由も考えられる。即ち、サンプルPV,PPでは、所定の結晶面同士が焼結した構造が含まれる。例えば、サンプルPVには、(006)面同士、(104)面同士や(116)面同士、或いは(104)面と(116)面が、焼結した構造が含まれる。また、サンプルPPには、例えば、(110)面同士が焼結した構造が含まれる。サンプルPV,PPにこのような構造が含まれることが、一般的なアルミナサンプルに比べて高い熱伝導率を示す一因となっていると考えることができる。
続いて、サンプルPV,PPの破壊強度、破壊靱性について述べる。
ここでは、サンプルPV,PP並びに、前述の中心粒径を異ならせた一般的なアルミナサンプル、及び単結晶アルミナサンプルについて、3点曲げ強度試験を実施して、破壊強度及び破壊靭性を評価している。各サンプルは、2mm×2mm×10mmのサイズとし、Vノッチ(1mm)を設けて、引っ張り曲げ(SEVNB法)により破壊強度を測定している。また、測定した破壊強度を用いて、破壊靱性を評価している。
尚、上記のような板状のセラミックス結晶粒子を含むサンプルについては、セラミックス結晶粒子の板面が負荷方向と垂直になるものをサンプルPVとし、セラミックス結晶粒子の板面が負荷方向と平行になるものをサンプルPPとする。
図10及び図11は粒径と破壊強度との関係の一例を示す図である。ここで、図10は、各アルミナサンプルの中心粒径に対して破壊強度(破壊発生時の負荷)をプロットした図であり、図11は、各アルミナサンプルの中心粒径の平方根に対して破壊強度をプロットした図である。尚、図10の横軸は粒径(Grain size/μm)を表し、縦軸は破壊強度(Fracture strength/MPa)を表している。また、図11の横軸は粒径Dの平方根(D-1/2/μm-1/2)を表し、縦軸は破壊強度(Fracture strength/MPa)を表している。
中心粒径を異ならせたアルミナサンプル(図10及び図11に「Alumina」と記す)では、中心粒径の増加に伴い、破壊強度が低下する傾向が認められる。サンプルPV,PP(図10及び図11に「Sample PV」,「Sample PP」と記す)のうち、サンプルPVは、破壊強度が340MPaであり、中心粒径を異ならせたアルミナサンプルについて見られる、粒径と破壊強度の関係(図10及び図11に点線で図示)を上回る。一方、サンプルPPは、破壊強度が150MPaであり、中心粒径を異ならせたアルミナサンプルが示す関係(図10及び図11に点線で図示)を下回る。尚、単結晶アルミナサンプル(図10に「Single crystal」と記す)の破壊強度は750MPaである。
破壊強度試験では、中心粒径を異ならせたアルミナサンプル、及びサンプルPP,PVの破壊が、粒界破壊であることが認められた。
サンプルPV,PPの破壊に至るまでの破壊強度(負荷)の違いは、試験時の負荷方向における結晶組織の違い、即ち、セラミックス結晶粒子の配列の違いによる。
図12はサンプルPV,PPの破壊発生時の状況を模式的に示す図である。
図12(A)に示すように、サンプルPVでは、板状のセラミックス結晶粒子20が、負荷方向Mに積み重なるように配列している。そのため、負荷方向Mにおける個々のセラミックス結晶粒子20の粒界が比較的短く(粒界数は多い)、クラック30が、入り組んだ短くて多くの粒界を経由してジグザグに進展し、最終的に破壊に至る。そのため、サンプルPVでは、破壊に至るまでのクラック30の進展距離が長く、結果的に破壊強度が高くなる。
一方、図12(B)に示すように、サンプルPPでは、板状のセラミックス結晶粒子20が、負荷方向Mに縦に並んだように配列している。そのため、負荷方向Mにおける個々のセラミックス結晶粒子20の粒界が比較的長く(粒界数は少ない)、クラック30が、少ない粒界を経由して進展し、最終的に破壊に至る。そのため、サンプルPPでは、破壊に至るまでのクラック30の進展距離が短く、結果的に破壊強度が低くなる。
尚、アルミナ材料には、粒界に潜在的にクラックが存在し得るが、そのような潜在的クラックが存在する場合にも、サンプルPVでは、負荷方向Mにおける個々のセラミックス結晶粒子20の粒界が比較的短いため、そのような潜在的クラックも短くなる。また、そのようなクラックから破壊に至るまでに、サンプルPVの構造上、クラックがジグザグに進展するため、その進展距離も長くなる。一方、サンプルPPでは、上記のような潜在的クラックが存在する場合、粒界が比較的長く、そのような潜在的クラックも長くなるため、サンプルPVに比べると、潜在的クラックを起点にした破壊が生じ易くなる。また、単結晶アルミナサンプルは、欠陥を含まない、或いは殆ど含まないため、粒界に潜在的クラックがないか或いは極めて少なく、また、新たにクラックが入り難く、しかもその進展も起こり難いので、他のサンプルに比べて高い破壊強度を示す。
中心粒径5μmのアルミナサンプル、及び中心粒径がそれぞれ35μm,12μmのサンプルPV,PPの破壊靱性(MPa・m1/2)は、表1に示すように、サンプルPVで最も高くなる。
Figure 2012072021
サンプルPVの破壊は、粒界破壊であり、その破壊表面には、凹凸が認められる。このような凹凸が、セラミックス結晶粒子20間の結合強度、破壊強度、破壊靭性の向上に寄与していると言える。
更に、サンプルPV,PPの絶縁破壊耐圧について述べる。
ここでは、サンプルPV,PP並びに、前述の中心粒径を異ならせた一般的なアルミナサンプル、及び単結晶アルミナサンプルを用いている。絶縁破壊耐圧を求めるにあたっては、厚さ0.3mm、直径10mmのディスク状のサンプルを用い、それを絶縁性のオイルに浸漬し、高電圧を印加する。リーク電流が2mAとなったときの値を絶縁破壊の電圧(絶縁破壊耐圧)とする。
尚、上記のような板状のセラミックス結晶粒子を含むサンプルについては、セラミックス結晶粒子の板面が電圧印加方向と垂直になるものをサンプルPVとし、セラミックス結晶粒子の板面が電圧印加方向と平行になるものをサンプルPPとする。
図13は粒径と絶縁破壊耐圧との関係の一例を示す図である。尚、図13の横軸は粒径(Grain size/μm)を表し、縦軸は絶縁破壊耐圧(Dielectric breakdown/kV/mm)を表している。
中心粒径を異ならせたアルミナサンプル(図13に「Alumina」と記す)では、中心粒径の増加に伴い、絶縁破壊耐圧が低下する傾向が認められる。尚、これらのアルミナサンプルでは、この図13と上記図8より、熱伝導率と絶縁破壊耐圧とが、粒径に対して、トレードオフの関係になっていることがわかる。
サンプルPV,PP(図13に「Sample PV」,「Sample PP」と記す)のうち、サンプルPPは、中心粒径を異ならせたアルミナサンプルについて見られる、粒径と絶縁破壊耐圧の関係(図13に点線で図示)を僅かに下回る。一方、サンプルPVは、中心粒径を異ならせたアルミナサンプルが示す関係(図13に点線で図示)を上回る、より高い絶縁破壊耐圧を示す領域に存在する。
一般的には、前述の中心粒径を異ならせたアルミナサンプルで見られるように、粒径の減少に伴い、破壊強度(破壊発生時の負荷)及び絶縁破壊耐圧が増加する傾向がある(図10,図13)。一般的なアルミナ材料では、粒径が小さくなるほど、破壊強度が増加し、また、破壊強度の増加は、絶縁破壊耐圧の増加に寄与している。
これに対し、サンプルPV,PPは、粒径と、破壊強度及び絶縁破壊耐圧との関係について、一般的なアルミナ材料とは異なる特性を有している。例えば、サンプルPVは、中心粒径が35μmと粒径がそれほど小さくないにもかかわらず、高い破壊強度、破壊靱性、絶縁破壊耐圧を示している。更に、前述の通り、サンプルPV,PPは、熱伝導率についても、一般的なアルミナ材料とは異なる特性を有している。
図14は熱伝導率と絶縁破壊耐圧との関係の一例を示す図である。尚、図8の横軸は熱伝導率(Thermal conductivity/W/m・K)を表し、縦軸は絶縁破壊耐圧(Dielectric breakdown/kV/mm)を表している。
図14は、サンプルPV,PP(図14に「Sample PV」,「Sample PP」と記す)並びに、前述の中心粒径を異ならせたアルミナサンプル(図14に「Alumina」と記す)、及び単結晶アルミナサンプル(図14に「Single crystal」と記す)について得られた熱伝導率に対して絶縁破壊耐圧をプロットしたものである。
図14に示すように、中心粒径を異ならせたアルミナサンプルでは、絶縁破壊耐圧が、熱伝導率の増加に伴い減少する傾向が認められる。
サンプルPVでは、中心粒径を異ならせたアルミナサンプルのうち、サンプルPVと絶縁破壊耐圧が同程度のものと比べて、熱伝導率がより高くなる。このように、サンプルPVでは、一定の絶縁破壊耐圧を確保しつつ、良好な熱伝導率を得ることができる。
同様にサンプルPPでは、中心粒径を異ならせたアルミナサンプルのうち、サンプルPPと絶縁破壊耐圧が同程度のものと比べると、熱伝導率が大幅に高くなる。サンプルPPでは、サンプルPVに比べると絶縁破壊耐圧は小さくなるものの、サンプルPV等に比べ、優れた熱伝導率を得ることができる。
尚、以上の説明では、中心粒径35μmのサンプルPV、及び中心粒径12μmのサンプルPPを例にして説明した。中心粒径10μm〜60μmのサンプルPV、及び中心粒径5μm〜30μmのサンプルPPであれば、それぞれ、熱伝導率、破壊強度、破壊靱性、絶縁破壊耐圧について、上記同様の傾向が認められる。
サンプルPV,PPはいずれも、板状粒子粉末とそれより小さい粒子の粉末を混合して焼成と加圧を行って得られた1つの焼結体から切り出したものである。従って、ある第1面の粒度分布の中心粒径が10μm〜60μmで、その第1面と直交する第2面の粒度分布の中心粒径が5μm〜30μmである焼結体から、熱伝導率及び絶縁破壊耐圧等について上記同様の傾向を示すサンプルPV,PP、セラミックス基板が取得可能である。
また、以上の説明では、サンプルPV,PPとの比較のため、単結晶アルミナサンプルを例示した。単結晶アルミナサンプルは、熱伝導率及び絶縁破壊耐圧がいずれも高い値を示すが、これは、単結晶アルミナが欠陥を含まない、或いは殆ど含まないためである。但し、単結晶アルミナは高価であるため、例えば、前述のように、IGBT等の半導体素子を実装する実装基板に利用すると、そのような半導体素子を備える半導体装置の高コスト化を招く。
上記のサンプルPV,PPのような結晶組織を有するセラミックス基板は、一定の熱伝導率及び絶縁破壊耐圧を示すため、半導体素子を備える半導体装置に好適であり、また、単結晶アルミナを用いる場合に比べ、半導体装置を低コストで製造することが可能である。
図15は半導体装置の一例を示す図である。
図15に示す半導体装置100は、セラミックス基板11の表裏面に回路パターン12a,12bが形成された回路基板10と、その回路基板10に実装された、IGBT等の半導体素子110を有している。回路基板10の表面側に形成された回路パターン12aと、半導体素子110とは、ワイヤ120によって電気的に接続されている。また、回路パターン12aには、端子130が電気的に接続されている。回路基板10の、半導体素子110の実装面側と反対側(回路パターン12b側)には、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の放熱ベース140が熱的に接続されている。
このような構成を有する半導体装置100の回路基板10には、上記図1及び図2(A),(B)に示したように、板状(柱状)のセラミックス結晶粒子11aが一定の方向性をもって含まれている結晶組織11bを有するセラミックス基板11を用いる。セラミックス基板11には、半導体素子110の駆動に伴い、図15に太矢印で示したような方向に、電圧が印加される。高電圧側は、例えば、600V〜1700Vになる(低電圧側は0V)。更に、セラミックス基板11には、半導体素子110の駆動に伴って発生する熱が、図15に太矢印で示したような方向、即ち、裏面の回路パターン12b及び放熱ベース140の側に向かって、伝熱する。
そこで、セラミックス基板11内に、例えば、図2(A)に示したように、板状の主なセラミックス結晶粒子11aが、その板面が電圧印加方向と垂直、更に伝熱方向とも垂直になるような向きで、存在している場合を想定する。その場合、セラミックス基板11では、上記のサンプルPVについて得られた知見(図14等)より、一定の絶縁破壊耐圧を確保しつつ、良好な熱伝導率を得ることができる。
このように一定の絶縁破壊耐圧を確保することができるため、絶縁破壊を生じさせない程度でセラミックス基板11を薄くすることができ、それにより、セラミックス基板11の伝熱方向の熱抵抗を低減することができる。その結果、半導体装置100の小型化を図ることが可能になる。
また、セラミックス基板11内に、例えば、図2(B)に示したように、主な板状のセラミックス結晶粒子11aが、その板面が電圧印加方向と平行、更に伝熱方向とも平行になるような向きで、存在している場合を想定する。その場合、セラミックス基板11では、上記のサンプルPPについて得られた知見(図14等)より、一定の絶縁破壊耐圧を確保しつつ、優れた熱伝導率を得ることができる。
セラミックス結晶粒子11aの板面が、このように伝熱方向と平行になるような向きで存在するセラミックス基板11を用いると、垂直になるような向きで存在するセラミックス基板11を用いた場合に比べて、半導体素子110で発生した熱を、放熱ベース140へ一層効率的に伝熱させることが可能になる。
尚、以上の説明では、セラミックスとしてアルミナを例にして説明したが、窒化アルミニウムでも、上記のようなセラミックス結晶粒子を含む結晶組織を有するものであれば、アルミナについて述べたのと同様の効果を得ることができる。また、そのような窒化アルミニウムをセラミックス基板として用いた半導体装置を実現することができる。
また、セラミックスとしては、このようなアルミナや窒化アルミニウムといった、主に1種類の材料で構成されたもののほか、酸化シリコン(シリカ)等の材料も含む、複数種類の材料で構成されたものを用いることもできる。
10 回路基板
11 セラミックス基板
11a セラミックス結晶粒子
11b 結晶組織
12a,12b 回路パターン
20 セラミックス結晶粒子
30 クラック
100 半導体装置
110 半導体素子
120 ワイヤ
130 端子
140 放熱ベース

Claims (17)

  1. 非球状のセラミックス結晶粒子を含む結晶組織を有し、
    前記結晶組織の第1面の粒度分布の中心粒径が10μm乃至60μmであり、前記結晶組織の前記第1面と直交する第2面の粒度分布の中心粒径が5μm乃至30μmであることを特徴とするセラミックス基板。
  2. 前記セラミックス結晶粒子は、板状であり、前記結晶組織内に、一定の方向性をもって含まれていることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス基板。
  3. 前記結晶組織は、非球状の第1セラミックス粒子と、前記第1セラミックス粒子よりも粒径の小さい第2セラミックス粒子とを混合し、焼成することによって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス基板。
  4. 非球状の第1セラミックス粒子と、前記第1セラミックス粒子よりも粒径の小さい第2セラミックス粒子とを含む混合物を形成する工程と、
    前記混合物中の前記第1セラミックス粒子に、その形状に応じた一定の方向性をもたせる工程と、
    前記混合物を焼成し、前記第1セラミックス粒子と前記第2セラミックス粒子とが焼結された非球状のセラミックス結晶粒子を含む結晶組織を有する焼結体を形成する工程と、
    を含むことを特徴とするセラミックス基板の製造方法。
  5. 前記焼結体は、前記結晶組織の第1面の粒度分布の中心粒径が10μm乃至60μmであり、前記結晶組織の前記第1面と直交する第2面の粒度分布の中心粒径が5μm乃至30μmであることを特徴とする請求項4に記載のセラミックス基板の製造方法。
  6. 前記焼結体を、前記第1面又は前記第2面に沿って切断する工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載のセラミックス基板の製造方法。
  7. 前記第1セラミックス粒子及び前記セラミックス結晶粒子は、板状であり、前記セラミックス結晶粒子は、前記結晶組織内に、一定の方向性をもって含まれていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のセラミックス基板の製造方法。
  8. 導体パターンが形成されたセラミックス基板と、
    前記導体パターン上に実装された半導体素子と、
    を有し、
    前記セラミックス基板は、
    非球状のセラミックス結晶粒子を含む結晶組織を有し、
    前記結晶組織の第1面の粒度分布の中心粒径が10μm乃至60μmであり、前記結晶組織の前記第1面と直交する第2面の粒度分布の中心粒径が5μm乃至30μmであることを特徴とする半導体装置。
  9. 前記セラミックス結晶粒子は、板状であり、前記結晶組織内に、一定の方向性をもって含まれていることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
  10. 前記セラミックス基板は、前記セラミックス結晶粒子の板面が、前記セラミックス基板に電圧が印加されるときの当該電圧の印加方向と垂直になるように、形成されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
  11. 前記セラミックス基板は、前記セラミックス結晶粒子の板面が、前記セラミックス基板に電圧が印加されるときの当該電圧の印加方向と平行になるように、形成されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
  12. 非球状の第1セラミックス粒子と、前記第1セラミックス粒子よりも粒径の小さい第2セラミックス粒子とを含む混合物を形成する工程と、
    前記混合物中の前記第1セラミックス粒子に、その形状に応じた一定の方向性をもたせる工程と、
    前記混合物を焼成し、前記第1セラミックス粒子と前記第2セラミックス粒子とが焼結された非球状のセラミックス結晶粒子を含む結晶組織を有するセラミックス基板を形成する工程と、
    前記セラミックス基板上に導体パターンを形成する工程と、
    前記導体パターン上に半導体素子を実装する工程と、
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 前記セラミックス基板は、前記結晶組織の第1面の粒度分布の中心粒径が10μm乃至60μmであり、前記結晶組織の前記第1面と直交する第2面の粒度分布の中心粒径が5μm乃至30μmであることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記セラミックス基板を形成する工程は、前記結晶組織を有する焼結体を、前記第1面又は前記第2面に沿って切断する工程を含み、
    切断された前記焼結体を前記セラミックス基板として用いることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
  15. 前記第1セラミックス粒子及び前記セラミックス結晶粒子は、板状であり、前記セラミックス結晶粒子は、前記結晶組織内に、一定の方向性をもって含まれていることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記セラミックス基板を形成する工程においては、前記セラミックス結晶粒子の板面が、前記セラミックス基板に電圧が印加されるときの当該電圧の印加方向と垂直になるように、前記セラミックス基板を形成することを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
  17. 前記セラミックス基板を形成する工程においては、前記セラミックス結晶粒子の板面が、前記セラミックス基板に電圧が印加されるときの当該電圧の印加方向と平行になるように、前記セラミックス基板を形成することを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
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