JP2012054447A - 半導体発光素子、発光装置、照明装置及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高信頼性を有する半導体発光素子、発光装置、照明装置及び表示装置を提供する。
【解決手段】半導体発光素子100は、基板1上に発光用のn型半導体層112、活性層(不図示)及びp型半導体層113を積層した第1発光用半導体層、発光用のn型半導体層122、活性層(不図示)及びp型半導体層123を積層した第2発光用半導体層を形成してある。また、半導体発光素子100は、保護用のn型半導体層212、活性層(不図示)及びp型半導体層213を積層した第1保護用半導体層、保護用のn型半導体層222、活性層(不図示)及びp型半導体層223を積層した第2保護用半導体層を形成してある。
【選択図】図1
【解決手段】半導体発光素子100は、基板1上に発光用のn型半導体層112、活性層(不図示)及びp型半導体層113を積層した第1発光用半導体層、発光用のn型半導体層122、活性層(不図示)及びp型半導体層123を積層した第2発光用半導体層を形成してある。また、半導体発光素子100は、保護用のn型半導体層212、活性層(不図示)及びp型半導体層213を積層した第1保護用半導体層、保護用のn型半導体層222、活性層(不図示)及びp型半導体層223を積層した第2保護用半導体層を形成してある。
【選択図】図1
Description
本発明は、基板上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層を積層した半導体層が形成された半導体発光素子、該半導体発光素子を備える発光装置、該発光装置を備える照明装置及び表示装置に関する。
従来、光源として用いられてきた蛍光灯又は白熱灯などに比べて、省電力かつ長寿命であるという理由で、発光ダイオードが光源として注目を浴びており、照明用の光源だけでなく、照明スイッチ、バックライト光源、イルミネーション光源、アミューズメント機器の装飾など、広い分野で使用されるようになった。
このような発光ダイオードは、用途に合わせて、青色、青緑色、緑色、赤色など所要の単色を発光することができるもの、あるいは1つのパッケージで赤色、緑色、青色のマルチカラーを発光するものもある。また、蛍光体との組み合わせにより白色を発光することができる発光ダイオードも製品化されている。
例えば、LEDチップ(半導体発光素子)を包囲する包囲部を備え、所定の波長光で励起されて発光する蛍光体を含み、良好な発光効率及び発光光度を有する白色の発光ダイオード(発光装置)が開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の発光ダイオード(発光装置)にあっては、パッケージ内に1個のLEDチップ(半導体発光素子)を備えているので、何らかの要因でLEDチップがリーク状態(例えば、発光に寄与しない電流が増加するような状態)になった場合には、発光ダイオードの発光が不安定となり、最悪の場合には発光ダイオードが消灯する。発光ダイオードの用途は様々な分野に拡大しつつあり、特に車載用の発光ダイオードのように、安全性を維持する上で高度な信頼性が要求される分野では、信頼性の高い発光ダイオードが求められている。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、高信頼性を有する半導体発光素子、該半導体発光素子を備える発光装置、該発光装置を備える照明装置及び表示装置を提供することを目的とする。
第1発明に係る半導体発光素子は、基板上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層を積層した半導体層が形成された半導体発光素子において、前記基板上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層をそれぞれ積層した第1及び第2発光用半導体層と、前記基板上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層をそれぞれ積層し、前記第1及び第2発光用半導体層を保護するための第1及び第2保護用半導体層と、前記第1発光用半導体層のn型半導体層と前記第2発光用半導体層のp型半導体層とを接続する第1配線層と、前記第1保護用半導体層のp型半導体層と前記第2保護用半導体層のn型半導体層とを接続する第2配線層と、前記第1発光用半導体層のp型半導体層と前記第1保護用半導体層のn型半導体層とを接続する第3配線層と、前記第2発光用半導体層のn型半導体層と前記第2保護用半導体層のp型半導体層とを接続する第4配線層と、前記第2発光用半導体層のn型半導体層に接続された第1ボンディング電極と、前記第1発光用半導体層のp型半導体層に接続された第2ボンディング電極とを備えることを特徴とする。
第2発明に係る半導体発光素子は、第1発明において、前記第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層の面積は、前記第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層の面積より大きいことを特徴とする。
第3発明に係る半導体発光素子は、第1発明又は第2発明において、前記第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層を前記基板の外周に沿って環状に積層してあり、前記第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層は、前記第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層の内周側に積層してあることを特徴とする。
第4発明に係る半導体発光素子は、第1発明又は第2発明において、前記基板は、矩形状をなし、前記第1及び第2発光用半導体層並びに第1及び第2保護用半導体層それぞれを前記基板の四隅に積層してあり、前記第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層の前記基板の外周に沿った寸法は、前記第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層の前記基板の外周に沿った寸法より長いことを特徴とする。
第5発明に係る発光装置は、第1発明乃至第4発明のいずれか1つに係る半導体発光素子と、該半導体発光素子を収容する収容部とを備えることを特徴とする。
第6発明に係る照明装置は、第5発明に係る発光装置を備えることを特徴とする。
第7発明に係る表示装置は、第5発明に係る発光装置を備えることを特徴とする。
第1発明にあっては、基板上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層をそれぞれ積層した第1及び第2発光用半導体層と、基板上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層をそれぞれ積層し、第1及び第2発光用半導体層を保護するための第1及び第2保護用半導体層とを備える。そして、第1発光用半導体層のn型半導体層と第2発光用半導体層のp型半導体層とを第1配線層で接続し、第1保護用半導体層のp型半導体層と第2保護用半導体層のn型半導体層とを第2配線層で接続し、第1発光用半導体層のp型半導体層と第1保護用半導体層のn型半導体層とを第3配線層で接続し、第2発光用半導体層のn型半導体層と第2保護用半導体層のp型半導体層とを第4配線層で接続する。そして、第2発光用半導体層のn型半導体層に第1ボンディング電極を接続し、第1発光用半導体層のp型半導体層に第2ボンディング電極を接続する。すなわち、発光用半導体層を直列に接続し、保護用半導体層を直列に接続し、発光用半導体層の直列回路に対して保護用半導体層の直列回路を逆並列に接続する。これにより、一方の発光用半導体層がリーク状態になった場合でも、他方の発光用半導体層により発光機能を確保することができるので、例えば、不安定な点灯状態又は消灯状態に陥る事態を回避して高い信頼性を確保することができる。また、発光用半導体層の直列回路に対して保護用半導体層の直列回路が接続されているので、過電圧又は静電気などから発光用半導体層を保護することができるとともに、一方の保護用半導体層がリーク状態になった場合でも、他方の保護用半導体層により保護機能が維持されるので、高い信頼性を確保することができる。
第2発明にあっては、第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層の面積は、第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層の面積より大きい。これにより、半導体発光素子の発光効率の低下を抑制しつつ保護素子を内蔵することができる。
第3発明にあっては、第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層を基板の外周に沿って環状に積層し、第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層は、第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層の内周側に積層してある。一般的に基板中央部の発光用半導体層で発光した光は、基板周辺部の発光用半導体層で発光した光に比べて半導体発光素子の外部へ取り出しにくい。そこで、光の取り出し効率が悪い基板中央部に保護用半導体層を配置し、光の取り出し効率が良い基板周辺部に発光用半導体層を配置することにより、発光効率の低下を抑制するとともに保護素子を内蔵することができる。
第4発明にあっては、基板は、矩形状をなし、第1及び第2発光用半導体層並びに第1及び第2保護用半導体層それぞれを基板の四隅に積層する。そして、第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層の基板の外周に沿った寸法を、第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層の基板の外周に沿った寸法より長くする。一般的に基板中央部の発光用半導体層で発光した光よりも、基板周辺部の発光用半導体層で発光した光の方が半導体発光素子の外部へ取り出しやすい。そこで、光の取り出し効率が良い基板周辺部に沿った発光用半導体層の長さを保護用半導体層の長さより長くすることにより、発光効率の低下を抑制するとともに保護素子を内蔵することができる。
第5発明にあっては、発光装置は、上述の半導体発光素子を収容してある。これにより、消灯状態に陥る事態を回避して高い信頼性を確保することができる。
第6発明及び第7発明にあっては、上述の発光装置を備えることにより、消灯状態に陥る事態を回避して高い信頼性を確保することができる照明装置及び表示装置を提供することができる。
本発明によれば、一方の発光用半導体層がリーク状態になった場合でも、他方の発光用半導体層により発光機能を確保することができるので、不安定な点灯状態又は消灯状態に陥る事態を回避して高い信頼性を確保することができる。また、発光用半導体層の直列回路に対して保護用半導体層の直列回路が接続されているので、過電圧又は静電気などから発光用半導体層を保護することができるとともに、一方の保護用半導体層がリーク状態になった場合でも、他方の保護用半導体層により保護機能が維持されるので、高い信頼性を確保することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は実施の形態1の半導体発光素子100の平面構造の一例を示す模式図であり、図2は図1のII−II線における半導体発光素子100の断面構造の一例を示す断面図であり、図3は図1のIII−III線における半導体発光素子100の断面構造の一例を示す断面図であり、図4は実施の形態1の半導体発光素子100の回路図である。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は実施の形態1の半導体発光素子100の平面構造の一例を示す模式図であり、図2は図1のII−II線における半導体発光素子100の断面構造の一例を示す断面図であり、図3は図1のIII−III線における半導体発光素子100の断面構造の一例を示す断面図であり、図4は実施の形態1の半導体発光素子100の回路図である。
本実施の形態の半導体発光素子100(以下、「発光素子」ともいう。)は、複数の発光素子が形成されたウェハを所定の寸法で直方体状に切断して各発光素子を分離したものであり、例えば、LEDチップである。図1〜図3において、1はサファイア基板である。サファイア基板1(以下、「基板」という。)は平面視が矩形状であって、縦横寸法は、例えば、0.35mm程度であるが、寸法はこれに限定されるものではない。
図1〜図3に示すように、半導体発光素子100は、基板1上に発光用のn型半導体層112、活性層(不図示)及びp型半導体層113を積層した第1発光用半導体層(LED11)、発光用のn型半導体層122、活性層(不図示)及びp型半導体層123を積層した第2発光用半導体層(LED12)を形成してある。また、半導体発光素子100は、保護用のn型半導体層212、活性層(不図示)及びp型半導体層213を積層した第1保護用半導体層(LED21)、保護用のn型半導体層222、活性層(不図示)及びp型半導体層223を積層した第2保護用半導体層(LED22)を形成してある。
より具体的には、第1及び第2発光用半導体層並びに第1及び第2保護用半導体層それぞれは、基板1上に、AlNバッファ層(不図示)、約2μmの厚みのアンドープGaN層(不図示)、n型半導体層(112、122、212、222)、活性層(不図示)、p型半導体層(113、123、213、223)がこの順に積層してある。n型半導体層は、例えば、約2μm程度のn−GaN(窒化ガリウム)層、n−AlGaInNクラッド層などから成る。また、活性層は、GaN/InGaN−MQW(Multi-quantum Well、多重量子井戸層)型活性層などから成る。また、p型半導体層は、p−AlGaInN層、約0.3μm程度のp−GaN層、コンタクト層としてのp−InGaN層などから成る。これにより、化合物半導体層を形成して、発光用半導体層及び保護用半導体層としてのLED構造をなしている。なお、アンドープGaN層を形成しない構成であってもよい。
図2、図3に示すように、第1発光用半導体層(LED11)及び第2発光用半導体層(LED12)のp型半導体層(113、123)の表面には、電流拡散層(114、124)を形成してある。電流拡散層は、例えば、導電性の透明膜であるITO膜(インジウム錫酸化膜)である。
図2に示すように、第2発光用半導体層(LED12)のn型半導体層122、第1保護用半導体層(LED21)のn型半導体層212及び第2保護用半導体層(LED22)のn型半導体層222の表面には、nオーミック電極5を形成してある。また、図3に示すように、第1発光用半導体層(LED11)のn型半導体層112の表面には、nオーミック電極5を形成してある。
nオーミック電極5は、例えば、真空蒸着によりV/Au/Al/Ni/Auを成膜し、リフトオフ法でパターニングを行い、窒素及び酸素の混合雰囲気中で約500℃に加熱して形成することができる。nオーミック電極5は、n型半導体層2との電気的接合を行う部分である。
第2発光用半導体層のn型半導体層122は、nオーミック電極5を介して第1ボンディング電極61を形成してある。
第1発光用半導体層の電流拡散層114の表面には、第2ボンディング電極62を形成してある。すなわち、第1発光用半導体層のp型半導体層113には、第2ボンディング電極62を接続してある。
第2ボンディング電極62は、配線層63を介して第1保護用半導体層のn型半導体層212に接続されている。
第1保護用半導体層のp型半導体層213は、電流拡散層214を介して配線層64により第2保護用半導体層のn型半導体層222に接続してある。
第2保護用半導体層のp型半導体層223は、電流拡散層224を介して配線層65により第1ボンディング電極61に接続してある。
また、図1、図3に示すように、第1発光用半導体層のn型半導体層112は、配線層66、67により第2発光用半導体層の電流拡散層124に接続してある。すなわち、第1発光用半導体層のn型半導体層112は、配線層66、67により第2発光用半導体層のp型半導体層123に接続してある。
第1ボンディング電極61、第2ボンディング電極62、配線層63、64、65、66は、例えば、真空蒸着でTi/Auを成膜することにより形成することができる。ボンディング電極61、62の材質として、Ti/Auを用いるので、機械的強度に優れボンディングがし易くなり、かつ剥がれにくくなる。なお、ボンディング電極61、62の材質として、Ni/Auなどの金属を用いることもできる。
また、第1発光用半導体層(LED11)、第2発光用半導体層(LED12)、第1保護用半導体層(LED21)及び第2保護用半導体層(LED22)は、配線層63、64、65、66により接続される部分を除いて、保護膜としてのSiO2 膜7により電気的に絶縁されている。
上述のような構成により、半導体発光素子100は、図4に示す回路構成をなす。すなわち、第1発光用半導体層LED11と第2発光用半導体層LED12とを配線層66、67により直列に接続し、第1保護用半導体層LED21と第2保護用半導体層LED22とを配線層64により直列に接続し、発光用半導体層LED11、LED12の直列回路に対して保護用半導体層LED21、LED22の直列回路を配線層63、65により逆並列に接続する。
これにより、一方の発光用半導体層がリーク状態になった場合でも、他方の発光用半導体層により発光機能を確保することができるので、例えば、不安定な点灯状態又は消灯状態に陥る事態を回避して高い信頼性を確保することができる。また、発光用半導体層の直列回路に対して保護用半導体層の直列回路が接続されているので、過電圧又は静電気などから発光用半導体層を保護することができるとともに、一方の保護用半導体層がリーク状態になった場合でも、他方の保護用半導体層により保護機能が維持されるので、高い信頼性を確保することができる。
また、図1〜図3に示すように、第1及び第2発光用半導体層LED11、LED12のn型半導体層2の面積(平面視における面積)は、第1及び第2保護用半導体層LED21、LED22のn型半導体層2の面積より大きい。これにより、半導体発光素子100の発光効率の低下を抑制しつつ保護素子を内蔵することができる。
また、図1〜図3に示すように、第1及び第2発光用半導体層LED11、LED12のn型半導体層2を基板1の外周に沿って環状に積層し、第1及び第2保護用半導体層LED21、LED22のn型半導体層2を第1及び第2発光用半導体層LED11、LED12のn型半導体層2の内周側に積層してある。一般的に基板中央部の発光用半導体層で発光した光は、基板周辺部の発光用半導体層で発光した光に比べて半導体発光素子の外部へ取り出しにくい。そこで、光の取り出し効率が悪い基板1中央部に保護用半導体層LED21、LED22を配置し、光の取り出し効率が良い基板1周辺部に発光用半導体層LED11、LED12を配置することにより、発光効率の低下を抑制するとともに保護素子を内蔵することができる。
次に実施の形態1の半導体発光素子100の製造方法について説明する。図5及び図6は実施の形態1の半導体発光素子100の製造工程を示す説明図である。なお、図5及び図6の例は、図2に示す断面における説明図である。
図5Aに示すように、有機金属化学気相成長法(MO−CVD法)により、基板(サファイア基板)1上に、最初に約400℃でAlNバッファ層(不図示)を成長させる。その後、約2μmのアンドープGaN層、約2μmのn−GaN層及びn−AlGaInNクラッド層などからなるn型半導体層2、GaN/InGaN−MQW型の活性層(不図示)、さらに、p−AlGaInN層、約0.3μm程度のp−GaN層及びコンタクト層としてのp−InGaN層などからなるp型半導体層3をこの順に形成したLED構造を生成する。MO−CVD装置から取り出した基板1に紫外線を照射しながら、約400℃に加熱し、p型半導体層3の活性化を行う。
図5Bに示すように、フォトリソグラフィとドライエッチングにより、フォトレジストをマスクとして、nオーミック電極5を形成する箇所のn型半導体層2を露出させる。なお、エッチングの深さは、例えば、500nmである。
図5Cに示すように、真空蒸着あるいはスパッタリング等の成膜法によりITO膜(インジウム錫酸化膜)の透明の電流拡散層(114、124、214、224、なお、電流拡散層124は図5Cでは不図示)を約400nm成膜し、リフトオフ法によりパターニングする。これにより、第1及び第2発光用半導体層の発光面、並びに第1及び第2保護用半導体層の電流拡散面に電流拡散層(114、124、214、224)が形成される。
図5Dに示すように、真空蒸着によりV/Au/Al/Ni/Auを成膜し、リフトオフ法でパターニングを行ってnオーミック電極5を形成する。膜を残す部分、すなわち、nオーミック電極5を形成する部分は、第1及び第2発光用半導体層並びに第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層(112、122、212、222)を露出させた部分に設けるオーミック接合部である。パターニングの後、窒素及び酸素の混合雰囲気中でチューブ炉により約500℃に加熱し、nオーミック電極5及び電流拡散層(114、124、214、224)のアニールを同時に行う。
図6Eに示すように、第1及び第2発光用半導体層並びに第1及び第2保護用半導体層それぞれを電気的に切り離すため、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより第1及び第2発光用半導体層並びに第1及び第2保護用半導体層の間の半導体層、及び第1及び第2発光用半導体層の周囲の半導体層を基板1が露出するまでエッチングする。
図6Fに示すように、プラズマCVDにより、SiO2 膜7を全面に成膜し、希釈フッ酸により第1及び第2ボンディング電極61、62を設ける部分、第1及び第2発光用半導体層並びに第1及び第2保護用半導体層それぞれのnオーミック電極5、電流拡散層(114、124、214、224)の上部、素子分離部のSiO2 膜7を除去する。
図6Gに示すように、真空蒸着でTi/Auを成膜し、リフトオフによりパターニングしてボンディング電極61、62、配線層63、64、65、66を形成する。これにより、1つのパッケージ(LEDチップ)内に2つの発光用のLED構造(LED11、LED12)の直列回路と、2つの保護用のLED構造(LED21、LED22)の直列回路とを逆並列に接続したLEDチップが複数形成されたLEDウェハが完成する。
その後、レーザスクライビングにより素子(LEDチップ)分離を行い、発光素子100(LEDチップ)が完成し、パッケージへの組み立てを行う。
上述のとおり、実施の形態1の半導体発光素子100は、単一チップ内に発光用素子としての半導体層(LED構造)を2つ直列に接続し、保護用素子としての半導体層(LED構造)を2つ直列に接続し、それぞれの直列回路を逆並列に接続した構成を有する。これにより、静電気に対し高い信頼性を有するとともに、半導体発光素子100の順方向及び逆方向の双方において一方の半導体層(LED構造)がリーク状態になった場合でも、他方の半導体層(LED構造)によりその機能(発光機能、保護機能)を維持することができる。特に車載用の発光ダイオードのような安全性のため高い信頼性が要求される分野又は用途において、本実施の形態の半導体発光素子は非常に有効である。
また、通常、車載電源の電圧(バッテリ電圧)は12Vであるため、従来のような1つのLEDチップだけを有する発光ダイオードの場合には、約3Vの順方向電圧で発光ダイオードが駆動され、残りの9V(12V−3V)は抵抗等により消費されてしまう。一方、本実施の形態の半導体発光素子100では、2つのLED構造が直列に接続されているので、約6Vの順方向電圧で駆動されることになり、無駄に消費される電力を少なくすることができる。
上述の実施の形態1では、GaN系の半導体層を用いる構成であるが、これに限定されるものではなく、例えば、AlGaInP等の半導体層を用いることもできる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、基板1の中央部に保護用半導体層を配置する構成であったが、発光用半導体層及び保護用半導体層の配置は、これに限定されるものではない。矩形状の基板1の1辺側に保護用半導体層を配置し、残りの3辺側に発光用半導体層を配置することもできる。実施の形態1との相違点は、半導体層の配置方法である。
実施の形態1では、基板1の中央部に保護用半導体層を配置する構成であったが、発光用半導体層及び保護用半導体層の配置は、これに限定されるものではない。矩形状の基板1の1辺側に保護用半導体層を配置し、残りの3辺側に発光用半導体層を配置することもできる。実施の形態1との相違点は、半導体層の配置方法である。
図7は実施の形態2の半導体発光素子120の平面構造の一例を示す模式図であり、図8は図7のVIII−VIII線における半導体発光素子120の断面構造の一例を示す断面図であり、図9は図7のIX−IX線における半導体発光素子120の断面構造の一例を示す断面図である。
図7〜図9に示すように、半導体発光素子120は、第1及び第2発光用半導体層(LED11、LED12)並びに第1及び第2保護用半導体層(LED21、LED22)それぞれを基板1の四隅に積層する。すなわち、基板1の表面が、第1及び第2発光用半導体層(LED11、LED12)並びに第1及び第2保護用半導体層(LED21、LED22)により4分割したように各半導体層を配置する。
図8、図9に示すように、第1発光用半導体層(LED11)及び第2発光用半導体層(LED12)のp型半導体層112、122の表面には、電流拡散層114、124を形成してある。電流拡散層は、例えば、導電性の透明膜であるITO膜(インジウム錫酸化膜)である。
図8、図9に示すように、第1及び第2発光用半導体層(LED11、LED12)のn型半導体層112、122、第1保護用半導体層(LED21)のn型半導体層212及び不図示の第2保護用半導体層(LED22)のn型半導体層222の表面には、nオーミック電極5を形成してある。
第2発光用半導体層のn型半導体層122は、nオーミック電極5を介して第1ボンディング電極61を形成してある。
第1発光用半導体層の電流拡散層114の表面には、第2ボンディング電極62を形成してある。すなわち、第1発光用半導体層のp型半導体層113には、第2ボンディング電極62を接続してある。
第2ボンディング電極62は、配線層63を介して第1保護用半導体層のn型半導体層212に接続されている。
第1保護用半導体層のp型半導体層213は、電流拡散層214を介して配線層64により第2保護用半導体層のn型半導体層222に接続してある。
第2保護用半導体層のp型半導体層223は、電流拡散層224を介して配線層65により第1ボンディング電極61に接続してある。
また、図7、図8に示すように、第1発光用半導体層のn型半導体層112は、配線層66により第2発光用半導体層の電流拡散層124に接続してある。すなわち、第1発光用半導体層のn型半導体層112は、配線層66により第2発光用半導体層のp型半導体層123に接続してある。
また、第1発光用半導体層(LED11)、第2発光用半導体層(LED12)、第1保護用半導体層(LED21)及び第2保護用半導体層(LED22)は、配線層63、64、65、66により接続される部分を除いて、保護膜としてのSiO2 膜7により電気的に絶縁されている。
上述のような構成により、半導体発光素子120は、図4に示す回路構成と同様の回路構成をなす。
図7に示すように、第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層2の基板1の外周に沿った寸法(図7において、L1+L2+L3)を、第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層2の基板1の外周に沿った寸法(図7において、M1+M2+M3)より長くする。一般的に基板中央部の発光用半導体層で発光した光よりも、基板周辺部の発光用半導体層で発光した光の方が半導体発光素子の外部へ取り出しやすい。そこで、光の取り出し効率が良い基板1周辺部に沿った発光用半導体層の長さを保護用半導体層の長さより長くすることにより、発光効率の低下を抑制するとともに保護素子を内蔵することができる。
半導体発光素子120の製造方法は、実施の形態1の半導体発光素子100の製造方法と同様であるので説明は省略する。上述のとおり、実施の形態2の半導体発光素子120は、単一チップ内に発光用素子としての半導体層(LED構造)を2つ直列に接続し、保護用素子としての半導体層(LED構造)を2つ直列に接続し、それぞれの直列回路を逆並列に接続した構成を有する。これにより、静電気に対し高い信頼性を有するとともに、半導体発光素子120の順方向及び逆方向の双方において一方の半導体層(LED構造)がリーク状態になった場合でも、他方の半導体層(LED構造)によりその機能(発光機能、保護機能)を維持することができる。特に車載用の発光ダイオードのような安全性のため高い信頼性が要求される分野又は用途において、本実施の形態の半導体発光素子は非常に有効である。
図10は本実施の形態の発光装置200の構成の一例を示す模式図である。発光装置200は、発光ダイオードであって上述の半導体発光素子100、120のいずれかと、半導体発光素子100、120のいずれかを収容する収容部を備える。以下、半導体発光素子100を用いる場合について説明する。
図10に示すように、発光装置(発光ダイオード)200は、リードフレーム201及び202を備え、リードフレーム201の一端部には収容部としての凹部201aが設けられている。凹部201aの底部には、半導体発光素子(LEDチップ)100がダイボンディングにより接着固定されている。
LEDチップ100の一方のボンディング電極は、ワイヤ204によりリードフレーム201とワイヤボンディングされ、他方のボンディング電極はワイヤ204によりリードフレーム202とワイヤボンディングされている。凹部201a内には、透光性の樹脂が充填されることによって、LEDチップ100を覆う被覆部203を形成している。なお、被覆部203内にLEDチップ100の発光色に応じた蛍光体205を含有させることもできる。
被覆部203が形成されたリードフレーム201及び202の端部は、先端部が凸状のレンズ206に収納されている。レンズ206は、エポキシ樹脂等の透光性の樹脂で形成されている。
発光装置(発光ダイオード)200は、上述の半導体発光素子100を収容してある。これにより、リーク状態等による消灯状態に陥る事態を回避して高い信頼性を確保することができる。
また、上述の発光ダイオード200を多数実装した回路基板、及び所要の明るさを得るために所定の電圧を発光ダイオード200に駆動する電源部などを照明装置、表示装置、信号灯器、あるいは道路情報装置などの装置に組み込むこともできる。例えば、照明装置、表示装置、信号灯器又は道路情報装置は、光源として本実施の形態の発光装置(発光ダイオード)200を備える。これにより、リーク状態等による消灯状態に陥る事態を回避して高い信頼性を確保することができる照明装置、表示装置、信号灯器又は道路情報装置を提供することができる。
1 基板
2、112、122、212、222 n型半導体層
3、113、123、213、223 p型半導体層
61 第1ボンディング電極
62 第2ボンディング電極
63、64、65、66 配線層
2、112、122、212、222 n型半導体層
3、113、123、213、223 p型半導体層
61 第1ボンディング電極
62 第2ボンディング電極
63、64、65、66 配線層
Claims (7)
- 基板上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層を積層した半導体層が形成された半導体発光素子において、
前記基板上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層をそれぞれ積層した第1及び第2発光用半導体層と、
前記基板上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層をそれぞれ積層し、前記第1及び第2発光用半導体層を保護するための第1及び第2保護用半導体層と、
前記第1発光用半導体層のn型半導体層と前記第2発光用半導体層のp型半導体層とを接続する第1配線層と、
前記第1保護用半導体層のp型半導体層と前記第2保護用半導体層のn型半導体層とを接続する第2配線層と、
前記第1発光用半導体層のp型半導体層と前記第1保護用半導体層のn型半導体層とを接続する第3配線層と、
前記第2発光用半導体層のn型半導体層と前記第2保護用半導体層のp型半導体層とを接続する第4配線層と、
前記第2発光用半導体層のn型半導体層に接続された第1ボンディング電極と、
前記第1発光用半導体層のp型半導体層に接続された第2ボンディング電極と
を備えることを特徴とする半導体発光素子。 - 前記第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層の面積は、前記第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層の面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
- 前記第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層を前記基板の外周に沿って環状に積層してあり、
前記第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層は、
前記第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層の内周側に積層してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体発光素子。 - 前記基板は、矩形状をなし、
前記第1及び第2発光用半導体層並びに第1及び第2保護用半導体層それぞれを前記基板の四隅に積層してあり、
前記第1及び第2発光用半導体層のn型半導体層の前記基板の外周に沿った寸法は、前記第1及び第2保護用半導体層のn型半導体層の前記基板の外周に沿った寸法より長いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体発光素子。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の半導体発光素子と、該半導体発光素子を収容する収容部とを備えることを特徴とする発光装置。
- 請求項5に記載の発光装置を備えることを特徴とする照明装置。
- 請求項5に記載の発光装置を備えることを特徴とする表示装置。
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