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JP2011509095A - 核酸配列決定のための対をなすタグのライブラリーを製造する方法 - Google Patents

核酸配列決定のための対をなすタグのライブラリーを製造する方法 Download PDF

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JP2011509095A JP2010542352A JP2010542352A JP2011509095A JP 2011509095 A JP2011509095 A JP 2011509095A JP 2010542352 A JP2010542352 A JP 2010542352A JP 2010542352 A JP2010542352 A JP 2010542352A JP 2011509095 A JP2011509095 A JP 2011509095A
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Abstract

本開示は、対をなすタグ及び対をなすタグのライブラリーを製造する方法及び組成物に関する。

Description

本願は、2008年10月30日出願の米国仮特許出願第61/109,638号及び2008年1月9日出願の第61/020,114号の優先権を主張し、上記出願の全体を参照により本明細書に組み入れる。
(技術分野)
本開示は、配列の対をなすタグおよび対をなすタグのライブラリーを製造し、使用する方法および組成物に関する。
(導入)
「対をなす末端(paired−end)」、「対での」または「対をなすタグ」の配列決定の技術は、分子生物学分野において、特に全ゲノムのショットガン配列決定に関連して、一般的に知られている(非特許文献1及び2)。対をなすタグの配列決定によって、単一のポリヌクレオチド二本鎖上の2つの場所からの配列の2つの「読み取り」が可能となる。いくつかの状況において、対をなす末端のアプローチによって、2つの独立した核酸配列のそれぞれからのランダムな様式での「n」塩基の配列決定よりも、より多くの情報が、2つのひと続きの核酸配列、長さにおいてそれぞれ「n」塩基の配列決定から得られるようになる。例えば、配列情報のアセンブリに適切なソフトウェアツールを使用することによって(非特許文献3及び4)、「対をなすタグ」配列は完全にランダムではないが、単一の二本鎖上で生じることが知られており、したがって、ゲノム内で結合しているか、または対をなしている、という知識を利用することが可能である。この情報は、全ゲノム配列のコンセンサス配列へのアセンブリの助けとなり得るものである。
Siegel A.F.et al.,Genomics.2000,68: 237−246 Roach J.C.et al.,Genomics.1995,26:345−353 Millikin S.C.et al.,Genome Res.2003,13:81−90 Kent,W.J.et al.,Genome Res.2001,11:1541−8
いくつかの実施態様において、本技術は、対をなすタグ及び対をなすタグのライブラリーの製造を容易にする方法及び製品を提供する。いくつかの実施態様において、これらを用いて、生産される対をなすタグのサイズを増加させ、コストを減少させることができる。この拡張されたサイズは、配列アセンブリを容易にし、微生物の同定及び遺伝子のバリエーションの発見などの次世代のDNA配列決定用途における正確さを改善することができる。
いくつかの実施態様において、第1のタグ配列及び第2のタグ配列を含む対をなすタグを形成する方法が提供される。該方法は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端をアダプターにライゲーションし、それによって、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の第1のニックと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の第2のニックとを含む環状の核酸分子であって、第1のニック及び第2のニックが環状の核酸分子の第2のニックとは異なる鎖上にある環状の核酸分子を形成することと、少なくとも1つのニックを関心対象のポリヌクレオチドに翻訳するニックトランスレーション反応を行うことを含む。
いくつかの実施態様において、関心対象のDNA断片から、放出された対をなすタグを形成する方法が提供される。該方法は、第1のアダプターを関心対象のDNA断片の第1の末端にライゲーションし、かつ第2のアダプターを関心対象のDNA断片の第2の末端にライゲーションし、それによって、アダプター修飾断片を生じさせることと、第3のアダプターをアダプター修飾断片に付着させることによって、アダプター修飾断片を環状化し、それによって、第1のニックが第3のアダプターと第1のアダプターとの間に存在し、第2のニックが第2のアダプターと第3のアダプターとの間に存在する、環状の核酸分子であって、DNAの第1の鎖及び第2の鎖を含み、第1のニック及び第2のニックが環状の核酸分子の同一の鎖上に存在しない、環状の核酸分子を形成することと、環状の核酸分子の各鎖上のニックを関心対象のDNA断片に翻訳するニックトランスレーション反応を行うことと、環状の核酸分子を翻訳されたニックの位置で切断し、それによって、放出された対をなすタグを形成することとを含む。
いくつかの実施態様において、放出された対をなすタグのライブラリーが提供される。放出された対をなすタグのライブラリーは、第1のアダプターを関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端にライゲーションし、第2のアダプターを関心対象のポリヌクレオチドの第2の末端にライゲーションし、それによって、アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを生じさせることと、第3のアダプターをアダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドに付着させることによって、アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを環状化し、それによって、第1のニックが第3のアダプターと第1のアダプターとの間に存在し、第2のニックが第2のアダプターと第3のアダプターとの間に存在する、環状の核酸分子であって、第1の鎖と第2の鎖とを含み、第1のニック及び第2のニックが環状の核酸分子の同一の鎖上に存在しない、環状の核酸分子を形成することと、環状の核酸分子の鎖上のニックを関心対象のポリヌクレオチドに翻訳するニックトランスレーション反応を行うことと、環状の核酸分子を翻訳されたニックの位置で切断し、それによって、放出された対をなすタグを形成することとを含む方法によって製造される、2又はそれ以上の放出された対をなすタグを含む。
いくつかの実施態様において、放出された対をなすタグが提供される。放出された対をなすタグは、第1のタグ配列であって、関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端を含み、長さにおいて27ヌクレオチドより多い第1のタグ配列と、第1のタグ配列に共有結合した第1のアダプターであって、結合部分を含む第1のアダプターと、第1のアダプターに共有結合した第2のタグ配列であって、関心対象のポリヌクレオチドの第2の末端を含み、長さにおいて27ヌクレオチドより多い第2のタグ配列とを含む。
いくつかの実施態様において、溶液が提供される。溶液は、環状の核酸分子を含み、環状の核酸分子は、第1の末端及び第2の末端を含む関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドと、少なくとも1つのアダプターとを含む。少なくとも1つのアダプターは、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端に共有結合でき、それによって、環状化した核酸分子を形成する。環状の核酸分子は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の第1のニックと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の第2のニックとを更に含む。第1のニックは、環状の核酸分子の第2のニック又はギャップとは異なる鎖上にある。また、溶液は、ニックトランスレーション酵素を含むこともできる。いくつかの実施態様において、溶液は、第2の環状の核酸分子をさらに含み、第2の環状の核酸分子は、第1の末端及び第2の末端を含む関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端に共有結合し、それによって、第2の環状化した核酸分子を形成する、少なくとも1つのアダプターとを含む。第2の環状の核酸分子は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の位置から27ヌクレオチドより多く離れている第3のニックと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の位置から27ヌクレオチドより多く離れている第4のニックとを含み、第3のニックは、環状の核酸分子の第4のニックとは異なる鎖上にある。
いくつかの実施態様において、対をなすタグを形成する方法が提供される。対をなすタグは、関心対象のポリヌクレオチドの少なくとも一部を共に含む第1のタグ配列と第2のタグ配列とを含む。該方法は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端を少なくとも1つのアダプターにライゲーションすることと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端を少なくとも1つのアダプターにライゲーションすることとを含む。該方法は、環状の核酸分子であって、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドと、環状の核酸分子の第1の鎖上に第1の3’末端を含む第1のニックと、環状の核酸分子の第2の鎖上に第2の3’末端を含む第2のニックとを含む、環状の核酸分子を形成することを更に含む。第1のニック及び第2のニックは、環状の核酸分子の異なる鎖上にある。該方法は、環状の核酸分子の第1の鎖の第1の3’末端を関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列へ伸長させることと、環状の核酸分子の第2の鎖の第2の3’末端を関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列へ伸長させることとを更に含む。
いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドが提供される。ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、第2のアダプター鎖にハイブリダイズしている第1のアダプター鎖を含む第1のアダプターを含む。第1のアダプター鎖は、その5’末端上のリン酸基を欠く。ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、第4のアダプター鎖にハイブリダイズしている第3のアダプター鎖を含む第2のアダプターを更に含む。第3のアダプター鎖は、その5’末端上のリン酸基を欠く。ニックの入ったポリヌクレオチドは、第2の連結鎖にハイブリダイズした第1の連結鎖を含む連結ポリヌクレオチドを更に含む。連結ポリヌクレオチドは、第1の末端と第2の末端とを含む。第1のアダプターは、連結ポリヌクレオチドの第1の末端に、第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着している。第2の連結鎖は、第2のアダプター鎖に付着している。第2のアダプターは、連結ポリヌクレオチドの第2の末端に、第2のアダプターの第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着している。連結ポリヌクレオチドの第2の鎖は、第4のアダプター鎖に付着している。
いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドが提供される。ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、第1の二本鎖アダプターと、二本鎖の連結ポリヌクレオチドと、二本鎖の連結ポリヌクレオチドの第2の末端に付着している第2の二本鎖アダプターとを含む。第1の二本鎖アダプターは、二本鎖の連結ポリヌクレオチドの第1の末端に付着している。第1のアダプターの第1の鎖と二本鎖ベクターの第1の鎖を分ける第1のニックと、第2のアダプターの第2の鎖と二本鎖ベクターの第1の鎖を分ける第2のニックがある。第1のニック及び第2のニックは、ニックの入ったベクターの異なる鎖上にある。
いくつかの実施態様において、対をなすタグを製造する方法が提供される。該方法は、第2のアダプター鎖にハイブリダイズしている第1のアダプター鎖を含む第1のアダプターであって、第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠く、第1のアダプターと、第4のアダプター鎖にハイブリダイズしている第3のアダプター鎖を含む第2のアダプターであって、第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠く、第2のアダプターと、第2の連結鎖にハイブリダイズした第1の連結鎖を含む連結ポリヌクレオチドとを含む、ニックの入った連結ポリヌクレオチドを用意することを含む。連結ポリヌクレオチドは、第1の末端と第2の末端とを含む。第1のアダプターは、連結ポリヌクレオチドの第1の末端に、第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着している。第2の連結鎖は、第2のアダプター鎖に付着している。第2のアダプターは、連結ポリヌクレオチドの第2の末端に、第2のアダプターの第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着している。連結ポリヌクレオチドの第2の鎖は、第4のアダプター鎖に付着している。前記方法は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端を第1のアダプターにライゲーションすることと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端を第2のアダプターにライゲーションすることと、第1の及び第2のニックを関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドに移動させることを更に含む。
いくつかの実施態様において、対をなすタグを製造する方法及び対をなすタグ自体が提供される。いくつかの実施態様において、該方法によって、サイズが制限されない対をなすタグの生産が可能となる。いくつかの実施態様において、本発明は、直線状の対をなすタグを含む。直線状の対をなすタグは、第1のタグ配列を含むことができる。第1のタグ配列は、関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端を含む。直線状の対をなすタグは、第1のタグ配列に共有結合している第1のアダプターと第1のアダプターに共有結合した第2のタグ配列とを更に含むことができる。第2のタグ配列は、関心対象のポリヌクレオチドの第2の末端を含む。直線状の対をなすタグは、IIs型制限部位を欠き、かつIII型制限部位を欠く。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドの少なくとも一部を共に含む第1のタグ配列と第2のタグ配列とを含む対をなすタグを形成する方法が提供される。該方法は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端をアダプターにライゲーションし、それによって、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の第1のニックと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の第2のニックとを含み、第1のニック及び第2のニックは第2のニックとは環状の核酸分子の異なる鎖上にある、環状の核酸分子を形成することと、少なくとも1つのニックを関心対象のポリヌクレオチドに翻訳するニックトランスレーション反応を行うこととを含むことができる。いくつかの実施態様において、前記方法は、ニックトランスレーション反応を特定の時間進行させることと、ニックトランスレーション反応を終結させることとを更に含むことができる。いくつかの実施態様において、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端は5’リン酸残基を欠く。いくつかの実施態様において、前記方法は、第1のニック及び第2のニックが互いを通り過ぎて翻訳される前に、ニックトランスレーション反応を終結させることを更に含む。いくつかの実施態様において、第1のニック及び第2のニックが10塩基を超えて翻訳される。いくつかの実施態様において、前記方法は、第1のニック及び第2のニックにおいて環状の核酸分子を切断するステップを更に含む。いくつかの実施態様において、第1のニック及び第2のニックが500塩基未満翻訳される。いくつかの実施態様において、第1のニック及び第2のニックが200塩基未満翻訳される。いくつかの実施態様において、第1のニック及び第2のニックが100塩基未満下翻訳される。いくつかの実施態様において、第1のニック及び第2のニックが、約20塩基〜約50塩基翻訳される。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのニックが500塩基未満翻訳される。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのニックが、27塩基より多く500塩基未満翻訳される。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのニックが200塩基未満翻訳される。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのニックが、28塩基〜約50塩基翻訳される。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の第1のギャップを含む。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の第2のギャップを含む。いくつかの実施態様において、環状の核酸配列は、ニックトランスレーション反応を行ってニックを生じさせる際にヌクレオチドで埋められるギャップを含む。いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、50〜2500ヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様において、ライゲーションするステップの前に、関心対象のポリヌクレオチドをサイズ選別技術に付して、50〜2500ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドについて選別する。いくつかの実施態様において、アダプターは、結合部分を含む。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応を、大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼI、Taq DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、Klenow DNAポリメラーゼI、及びphi29 DNAポリメラーゼ、並びにそれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択される酵素を用いて行う。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応を、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いて行う。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応は、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によるヌクレオチドの除去を含む。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応が、鎖の置換によって発生する。いくつかの実施態様において、前記方法は、第1の翻訳されたニックにおいて環状の核酸分子を切断し、それによって、アダプターによって分けられた第1のタグ配列及び第2のタグ配列であって、関心対象のポリヌクレオチドに由来する第1のタグ配列及び第2のタグ配列を含む、直線状のポリヌクレオチドを形成することを更に含む。いくつかの実施態様において、前記方法は、環状の核酸分子を第2の翻訳されたニックにおいて切断することを更に含む。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子を、S1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼP1、ヌクレアーゼBAL−31、及びそれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択される酵素によって切断する。いくつかの実施態様において、前記方法は、直線状のポリヌクレオチドを増幅することを更に含む。いくつかの実施態様において、アダプターは、ビオチンを含む結合部分を含む。いくつかの実施態様において、前記方法は、ストレプトアビジンを用いて、対をなすタグを精製するステップを更に含む。いくつかの実施態様において、前記方法は、ライゲーションの前に関心対象のポリヌクレオチドをアルカリホスファターゼで処理し、関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端の両方から5’−リン酸を除去することを更に含む。いくつかの実施態様において、アルカリホスファターゼは、仔牛腸アルカリホスファターゼ、細菌アルカリホスファターゼ、エビアルカリホスファターゼ、及びそれらの何らかの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子は、第1のアダプターに隣接して位置づけられている第2のアダプターを更に含む。いくつかの実施態様において、第1のアダプターの一つの鎖及び第2のアダプターの一つの鎖は、5’リン酸を欠く。いくつかの実施態様において、各ステップを記載されている順で行う。
いくつかの実施態様において、関心対象のDNA断片から、放出された対をなすタグを形成する方法が提供される。前記方法は、第1のアダプターを関心対象のDNA断片の第1の末端にライゲーションし、第2のアダプターを関心対象のDNA断片の第2の末端にライゲーションし、それによって、アダプター修飾断片を生じさせ、第3のアダプターをアダプター修飾断片に付着させることによって、アダプター修飾断片を環状化し、それによって、環状の核酸分子であって、第1のニックが第3のアダプターと第1のアダプターとの間に存在し、第2のニックが第2のアダプターと第3のアダプターとの間に存在し、DNAの第1の鎖及び第2の鎖を含み、かつ第1のニック及び第2のニックが環状の核酸分子の同一の鎖上に存在しない、環状の核酸分子を形成することと、各鎖上のニックを関心対象のDNA断片に翻訳するニックトランスレーション反応を行い、環状の核酸分子を翻訳されたニックの位置で切断し、それによって、放出された対をなすタグを形成することとを含むことができる。いくつかの実施態様において、前記方法は、ニックトランスレーション反応を特定の時間進行させることと、ニックトランスレーション反応を終結させることを更に含む。いくつかの実施態様において、前記方法は、翻訳されたニックにおける各位置でポリヌクレオチド鎖を切断する前に、ニックトランスレーション反応を終結させることを更に含む。いくつかの実施態様において、前記方法は、プライマーアダプターを、対をなすタグの末端に付着させることを更に含む。いくつかの実施態様において、前記方法は、対をなすタグを、プライマーアダプターについてのプライマーで増幅することを更に含む。いくつかの実施態様において、増幅は、クローナルな増幅である。いくつかの実施態様において、クローナルな増幅は、エマルジョン・ポリメラーゼ連鎖反応(エマルジョンPCR)を含む。いくつかの実施態様において、クローナルな増幅は、ブリッジ・ポリメラーゼ連鎖反応(ブリッジPCR)を含む。いくつかの実施態様において、第3のアダプターは、結合部分を含み、結合部分を固体の支持体に結合させることを更に含む。いくつかの実施態様において、固体の支持体は、アレイである。いくつかの実施態様において、方法は、対をなすタグの一部を配列決定することを更に含む。
いくつかの実施態様において、方法によって製造された2又はそれ以上の放出された対をなすタグを含む、放出された対をなすタグのライブラリーが提供される。前記方法は、第1のアダプターを関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端にライゲーションし、第2のアダプターを関心対象のポリヌクレオチドの第2の末端にライゲーションし、それによって、アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを生じさせ、第3のアダプターをアダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドに付着させることによって、アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを環状化し、それによって、第1のニックが第3のアダプターと第1のアダプターとの間に存在し、第2のニックが第2のアダプターと第3のアダプターとの間に存在し、第1の鎖と第2の鎖とを含み、第1のニック及び第2のニックが環状の核酸分子の同一の鎖上に存在しない、環状の核酸分子を形成することと、環状の核酸分子の鎖上のニックを関心対象のポリヌクレオチドに翻訳するニックトランスレーション反応を行い、環状の核酸分子を翻訳されたニックの位置で切断し、それによって、放出された対をなすタグを形成することとを含むことができる。いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、プラスミド、ウイルス、原核細胞、古細菌細胞、細菌人工染色体、真核細胞、細胞株、原生動物、植物、藻類、細菌、真菌、昆虫、爬虫類、魚類、両生類、鳥類、及び哺乳類からなる群より選択される生物から製造される。いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドをサイズ選別技術に供する。いくつかの実施態様において、ライゲーションするステップの前に、サイズ選別技術を用いて、2000〜3000ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドについて選別する。
いくつかの実施態様において、放出された対をなすタグが提供される。放出された対をなすタグは、関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端を含み、長さにおいて少なくとも27ヌクレオチドである第1のタグ配列と、第1のタグ配列に共有結合した第1のアダプターと、第1のアダプターに共有結合した第2のタグ配列であって、関心対象のポリヌクレオチドの第2の末端を含み、長さにおいて少なくとも27ヌクレオチドである、第2のタグ配列とを含む。いくつかの実施態様において、第1のアダプターは、結合部分を更に含む。いくつかの実施態様において、第1のタグ配列は、長さにおいて少なくとも40ヌクレオチドである。いくつかの実施態様において、第2のタグ配列は、長さにおいて少なくとも40ヌクレオチドである。
いくつかの実施態様において、溶液が提供される。該溶液は、第1の末端及び第2の末端を含む関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端に共有結合することによって環状化した核酸分子を形成する少なくとも1つのアダプターとを含む、環状の核酸分子であって、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の第1のニックと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の第2のニックとを更に含み、第1のニックが、環状の核酸分子の第2のニック又はギャップとは異なる鎖上にある、環状の核酸分子と、ニックトランスレーション酵素とを含むことができる。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション酵素は、DNAポリメラーゼIを含む。いくつかの実施態様において、前記溶液は、ニック切断酵素を更に含み、ニックトランスレーション酵素が熱で不活性化される。いくつかの実施態様において、前記溶液は、第2の環状の核酸分子を更に含み、第2の環状の核酸分子は、第1の末端と第2の末端とを含む関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端に共有結合することによって第2の環状化した核酸分子を形成する少なくとも1つのアダプターとを含み、第2の環状の核酸分子は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の位置から27ヌクレオチドを超えて離れている第3のニックと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の位置から27ヌクレオチドを超えて離れている第4のニックを含み、第3のニックは、環状の核酸分子の第4のニックとは異なる鎖上にある。いくつかの実施態様において、第3のニックは、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の位置から少なくとも50ヌクレオチド離れている。いくつかの実施態様において、第4のニックは、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の位置から少なくとも50ヌクレオチド離れている。いくつかの実施態様において、前記溶液は、ニック切断酵素をさらに含み、ニックトランスレーション酵素が熱で不活性化される。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドの少なくとも一部を共に含む第1のタグ配列と第2のタグ配列とを含む対をなすタグを形成する方法が提供される。該方法は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端を少なくとも1つのアダプターにライゲーションすることと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端を少なくとも1つのアダプターにライゲーションすることと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドと、環状の核酸分子の第1の鎖上に第1の3’末端を含む第1のニックと、環状の核酸分子の第2の鎖上に第2の3’末端を含む第2のニックとを含む、環状の核酸分子であって、第1のニック及び第2のニックが環状の核酸分子の異なる鎖上にある、環状の核酸分子を形成することと、環状の核酸分子の第1の鎖の第1の3’末端を関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列へ伸長することと、環状の核酸分子の第2の鎖の第2の3’末端を関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列へ伸長することとを含むことができる。いくつかの実施態様において、第1の3’末端を伸長させる前に、第1のニックを、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端と少なくとも1つのアダプターとの間に位置付け、第2のニックを、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端と少なくとも1つのアダプターとの間に位置付ける。いくつかの実施態様において、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の及び第2の末端を同一のアダプターに連結する。いくつかの実施態様において、アダプターは、第1の及び第2のアダプターを含み、環状の核酸分子の形成により、第1のアダプターが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端上に位置付けられ、第2のアダプターが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端上に位置付けられる。いくつかの実施態様において、第1のアダプターが、連結ポリヌクレオチドを介して第2のアダプターに連結されている。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子の形成により、第1のニックが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドに連結されている第1のアダプターの末端に対して遠位にある第1のアダプターの末端に位置付けられ、第2のニックが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドに連結されている第2のアダプターの末端に対して遠位にある第2のアダプターの末端に位置付けられている。いくつかの実施態様において、アダプターを関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドにライゲーションする前に、アダプターを連結ポリヌクレオチドにライゲーションする。いくつかの実施態様において、前記方法は、環状の核酸分子の第1の鎖の少なくとも一部を消化することと、環状の核酸分子の第2の鎖の少なくとも一部を消化することとを更に含み、消化によって、関心対象の二本鎖のポリヌクレオチドの少なくとも一部が一本鎖となる結果がもたらされ、消化は、第1の及び第2の3’末端を伸長させる前に起こる。いくつかの実施態様において、5’−3’エキソヌクレアーゼを用いて、前記ニックの入った環状の核酸分子を消化する。いくつかの実施態様において、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの全体が一本鎖となる前に、消化を停止する。いくつかの実施態様において、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチド全体を、関心対象の一本鎖ポリヌクレオチドに消化する。いくつかの実施態様において、DNAポリメラーゼを用いて、前記ニックの入った環状の核酸分子を伸長させる。いくつかの実施態様において、前記方法は、環状の核酸分子の第1の鎖の少なくとも一部を消化することと、環状の核酸分子の第2の鎖の少なくとも一部を消化することとを更に含み、消化によって、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの少なくとも一部が一本鎖となる結果がもたらされ、消化は、第1の及び第2の3’末端を伸長させるのと同時に起こる。いくつかの実施態様において、消化及び伸長が、同一の反応チューブで行われる。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子の第1の鎖の第1の3’末端を関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列に伸長することは、ニックトランスレーションによって達成される。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子の第2の鎖の第2の3’末端を関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列に伸長することは、ニックトランスレーションによって達成される。いくつかの実施態様において、第1の及び第2のニックを、それぞれ第1のギャップ及び第2のギャップに広げる。いくつかの実施態様において、エキソヌクレアーゼを用いて、第1の及び第2のニックをそれぞれ第1のギャップ及び第2のギャップに広げる。いくつかの実施態様において、エキソヌクレアーゼは、T7エキソヌクレアーゼを含む。いくつかの実施態様において、前記方法は、一本鎖に依存した消化を行って、対をなすDNAタグを放出すること更に含む。
いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドが提供される。ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、第2のアダプター鎖にハイブリダイズしている第1のアダプター鎖を含む第1のアダプターであって、第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠く、第1のアダプターと、第4のアダプター鎖にハイブリダイズしている第3のアダプター鎖を含む第2のアダプターであって、第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠く、第2のアダプターと、第2の連結鎖にハイブリダイズした第1の連結鎖を含む連結ポリヌクレオチドとを含むことができ、連結ポリヌクレオチドが第1の末端と第2の末端とを含み、第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在しているように、第1のアダプターが連結ポリヌクレオチドの第1の末端に付着し、第2の連結鎖は、第2のアダプター鎖に付着し、第2のアダプターは、連結ポリヌクレオチドの第2の末端に、第2のアダプターの第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着し、連結ポリヌクレオチドの第2の鎖が、第4のアダプター鎖に付着している。いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、第2のアダプター鎖の5’末端上のリン酸基を更に含む。いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、第4のアダプター鎖の5’末端上のリン酸基を更に含む。いくつかの実施態様において、第2のアダプター鎖の3’末端上のリン酸基を更に含むものの上にリン酸基がない。
いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドが提供される。ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、第1の二本鎖アダプターと、二本鎖の連結ポリヌクレオチドであって、第1の二本鎖アダプターが該二本鎖の連結ポリヌクレオチドの第1の末端に付着している、二本鎖の連結ポリヌクレオチドと、二本鎖の連結ポリヌクレオチドの第2の末端に付着している第2の二本鎖アダプターとを含むことができ、第1のアダプターの第1の鎖と二本鎖ベクターの第1の鎖を分ける第1のニック及び第2のアダプターの第2の鎖と二本鎖ベクターの第1の鎖を分ける第2のニックがあり、第1のニック及び第2のニックは、ニックの入ったベクターの異なる鎖上にある。
いくつかの実施態様において、対をなすタグを製造する方法が提供される。該方法は、第2のアダプター鎖にハイブリダイズしている第1のアダプター鎖を含む第1のアダプターであって、該第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠く、第1のアダプターと、第4のアダプター鎖にハイブリダイズしている第3のアダプター鎖を含む第2のアダプターであって、第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠く、第2のアダプターと、第2の連結鎖にハイブリダイズした第1の連結鎖を含む連結ポリヌクレオチドであって、第1の末端と第2の末端とを含み、第1のアダプターが、連結ポリヌクレオチドの第1の末端に、第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着し、第2の連結鎖が、第2のアダプター鎖に付着し、第2のアダプターが、連結ポリヌクレオチドの第2の末端に、第2のアダプターの第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着し、連結ポリヌクレオチドの第2の鎖が第4のアダプター鎖に付着している、連結ポリヌクレオチドとを含む、ニックの入った連結ポリヌクレオチドを用意することを含むことができる。前記方法は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端を第1のアダプターにライゲーションすることと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端を第2のアダプターにライゲーションすることと、第1の及び第2のニックを関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドに移動させることとを更に含むことができる。いくつかの実施態様において、前記方法は、ニックの入った連結ポリヌクレオチドを線状にするために、一本鎖に依存した消化をすることを更に含む。いくつかの実施態様において、前記方法は、内部アダプターを、線状にしたニックの入った連結ポリヌクレオチドにライゲーションすることを更に含む。いくつかの実施態様において、前記方法は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの少なくとも一本の鎖を増幅することを更に含む。いくつかの実施態様において、増幅は、PCRベースの増幅である。
いくつかの実施態様において、直線状の対をなすタグが提供される。直線状の対をなすタグは、関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端を含む第1のタグ配列と、第1のタグ配列に共有結合した第1のアダプターと、第1のアダプターに共有結合し、関心対象のポリヌクレオチドの第2の末端を含む、第2のタグ配列とを含むことができ、前記直線状の対をなすタグは、IIs型制限部位を欠き、かつIII型制限部位を欠く。
当業者は、下記の図面が専ら例示を目的とするものであることを理解する。図面は本技術の範囲を何ら制限するものではない。
図1は、ニックの入った環状の核酸分子を形成する実施態様を示す。 図2は、ニックトランスレーションのステップを実施する実施態様を示す。 図3は、ニックの入った環状の核酸を形成する実施態様を示す。 図4は、本発明の実施態様のステップを実施する実施態様を示す。 図5は、環状の核酸分子を線状にする実施態様を示す。 図6は、プライマーアダプターを配列決定のための対をなすタグに付着させる実施態様を示す。 図7は、ギャップの入った環状の核酸分子を形成する実施態様を示す。 図8は、環状の核酸分子を形成する実施態様を示す。 図9は、ニックの入った環状の核酸分子を形成する実施態様を示す。 図10は、トポイソメラーゼI結合部位とニックとを有するアダプターを形成する実施態様を示す。三角は、トポイソメラーゼI認識部位の位置を示す。 図11は、トポイソメラーゼI−アダプター複合体を形成する実施態様を示す。 図12は、ニックの入った環状の核酸分子を形成する実施態様を示す。 図13は、ニックの入った環状の核酸分子の実施態様を示す。 図14は、ニックトランスレーションステップを伴う実施態様を示す。 図15は、ギャップ形成によって対をなすタグを形成するいくつかの実施態様を示す。 図16は、対をなすタグを形成する別の実施態様を示す。 図17は、図16から続く、対をなすタグを形成する別の実施態様を示す。 図18は、図17から続く、対をなすタグを形成する別の実施態様を示す。 図19は、対をなすタグを形成する別の実施態様を示す。 図20は、図19から続く、対をなすタグを形成する別の実施態様を示す。 図21は、図20から続く、対をなすタグを形成する別の実施態様を示す。 図22は、ニックの入った連結ポリヌクレオチドの実施態様を示す。 図23は、アダプターが連結ポリヌクレオチド上にライゲーションされている、ニックの入った連結ポリヌクレオチドの実施態様を示す。 図24Aは、アダプターと連結ポリヌクレオチドとの間のニックの構造についての実施態様を示し、図24Bは、アダプターと連結ポリヌクレオチドとの間のニックの構造についての実施態様を示す。 図25A〜25Cは、アダプターの末端の種々の構造についての3つの実施態様を示す。 図26は、図25Bにおけるニックの入った連結ポリヌクレオチドを使用する方法の実施態様を示す。 図27は、図26中の実施態様の続きを示す。 図28は、内部アダプターライゲーションの別の実施態様を示す。 図29Aは、ニックの入った連結ポリヌクレオチドの実施態様のいくつかが、どのようにすべてのニックの入った連結ポリヌクレオチドが有用であるという結果をもたらすかを示し、図29Bは、あまり好ましくないニックの入った連結ポリヌクレオチドの多数の可能な配置、及びそれらのいくつかがあまり有用でない生産物をもたらすことを示す。
本明細書に開示される種々の実施態様は、概して、対をなすタグ及び対をなすタグのライブラリーを製造するための組成物及び方法に向けられたものである。DNAの「対をなすタグ」は、関心対象のポリヌクレオチドから生成される2つのタグ(核酸配列)を含む、ある長さの核酸配列である。概して、各タグは、関心対象のポリヌクレオチドの別個の部分であり、別個のタグ上での短鎖読み取り配列決定(短い読み取り配列決定)技術の使用(これに制限されない)を可能にするが、タグは根本的には同じポリヌクレオチド断片に由来することから、後の配列分析において2つのタグの配列を関連づけることを可能にするものである。
現在、対をなすタグ及び対をなすタグのライブラリーを製造するために存在する限られた数の技術がある。種々の技術は、多くの場合、短い配列の読み取り及び高コストを招き得るという問題を有している。今まで、次世代の配列決定戦略は、概して、EcoP15I(AB SOLiD(商標)配列決定)及びMmeI(454Life Sciences)などのIII型制限酵素をDNAの対をなすタグを生成するために利用していた。EcoP15I及びMmeIが27bp及び18bpの配列のタグのみをそれぞれ生成することから、これらの戦略は、タグの長さを制限するものである。本明細書に記載されている実施態様のいくつかは、このような制限及び他の制限を克服するものである。
本実施態様のいくつかは、対をなすタグのクローンを製造する方法を伴う。一のそのような実施態様を、概して、図1及び2に概説する。図1において、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドのDNA断片(「DNA」で示される)を両末端にてアダプターにライゲーションして、環状の核酸分子を形成する。図示した実施態様において、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドのDNA断片は、5’末端及び3’末端の両方において5’リン酸残基を欠く。生じた環状の核酸分子は、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドDNA断片の5’末端とアダプターとの間のニックと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドDNA断片の第2の末端とアダプターとの間のニックを有する。図1に概略的に示すように、ニックは、環状の核酸分子の異なる鎖上にあることが可能である。次に、図2に示すように、ニックトランスレーション反応を行う。図2に概略的に示すように、ニックを環状の核酸分子の各鎖上の5’から3’の方向で、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドDNA断片内の位置に移動させる。この点において、図5に概略的に示すように、対をなすタグのクローンを、ニックの反対の位置でポリヌクレオチド鎖を切断することによって放出できる。
ニックトランスレーション反応の生成物の長さ、すなわちニックが移動した距離は、反応時間、反応温度、使用したポリメラーゼなどの反応条件に依存する。当業者に明らかであるように、反応条件を変動させて、ニックトランスレーション生成物の長さを制御することができる。それ故に、いくつかの実施態様において、製造した配列タグの長さを制御できる。さらに、いくつかの実施態様において、結合部分をアダプターに結合させることができ、対をなすタグのクローンを、例えば、固体の支持体に付着させることが可能である。さらに、図6に概略的に示すように、いくつかの実施態様において、プライマーアダプターを、対をなすタグのクローンの末端に付着させることができる。プライマーアダプターを用いて、対をなすタグのクローンを、例えば、クローナルな増幅を用いて増幅できる。プライマーアダプターを、対をなすタグのクローンの一部を配列決定する配列決定反応に使用することもできる。
上記に加えて、3’末端を関心対象のポリヌクレオチドに簡単に伸長させる別の技術も、本明細書に開示される。それ故に、3’の伸長も使用することができ、ニックトランスレーション自体は必要ではない。さらに、関心対象のポリヌクレオチドの外側及び内部へのニックの添加を簡略化する種々のニックの入った連結ポリヌクレオチドも本明細書に開示される。
当業者に明らかであるように、より長い配列タグを有する対をなすタグを作製する能力は、特に、ゲノム配列決定などの大きな配列決定プロジェクトに大きな恩恵をもたらすものである。
本明細書に使用されるいくつかの用語の簡単な説明および定義の後に、上記の及び追加の実施態様を、以下に詳細に説明する。
(定義及び実施態様)
本明細書にて使用するセクションの見出しは、組織の目的のためのものに過ぎず、記載されている対象事項を制限するものと何ら解釈するべきものではない。特許、特許出願、論説、本、論文、及びインターネットのウェブページを含むが、これらに制限されない本願で引用されるすべての文献及び類似の材料を、いずれの目的で、表現的に参照によりその全体を組み込むものとする。組み込まれた参考文献中の用語の定義が、本教示にて提供される定義と異なるように思われる場合は、本教示にて提供される定義がコントロールする。本教示に記載されている温度、濃度、時間等の前には暗示的な「約」があり、わずかでかつ実質的でない逸脱が本明細書における本教示の範囲内にあることが理解される。本願において、単数形の使用は、特に指定がないかぎり、複数のものを含む。また、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」の使用は、制限することを意図しているものではない。当然のことながら、上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方が、例示及び説明のためのものに過ぎず、本発明を制限するものではないことが理解されるべきである。
別段の定めがない限り、本明細書に記載されている本発明と関連して使用する科学的な及び技術的な用語は、当業者によって通常理解される意味を有する。更に、文脈上別段必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。概して、細胞及び組織培養、分子生物学、並びにタンパク質及びオリゴ−又はポリヌクレオチド化学及びハイブリダイゼーションの技術と関連して使用される学名及びそれらの技術は、本技術分野において周知のものであり、通常使用されるものである。標準的な技術を、例えば、核酸の精製及び調製、化学的分析、組み換え核酸、及びオリゴヌクレオチド合成に使用する。酵素反応及び精製技術を、製造業者の説明書に従って、又は通常本技術分野にて成し遂げられているように、又は本明細書に記載されているように行う。本明細書に記載されている技術及び手順を、概して、本技術分野において周知の従来の方法に従って、本明細書全体を通して引用され、記載されている種々の一般的な及びより具体的な参考文献に記載されている通りに行う。例えば、Sambrook el al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Third ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.2000)を参照されたい。本明細書に記載されている、関連して使用される学名及び実験手順及び技術は周知のものであり、本技術分野において通常使用されるものである。
本明細書に記載されている実施態様にしたがって利用されるように、以下の用語は、特に指示がない限り、以下の意味を有するものと理解される。
「ヌクレオチド」は、モノマー単位として又は核酸内のヌクレオシドのリン酸エステルを指す。「ヌクレオチド5’−三リン酸」は、5’位置にて三リン酸エステル基を有するヌクレオチドを指し、時に、特にリボースの糖の構造上の特徴を指摘する「NTP」、又は「dNTP」及び「ddNTP」として示される。三リン酸エステル基は、種々の酸素を硫黄に置換したもの、例えば、α−チオ−ヌクレオチド5’−三リン酸を含むことができる。核酸化学の総説について、Shabarova,Z.及びBogdanov,A.Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,VCH,New York,1994を参照されたい。
「核酸」という用語は、天然の核酸、人工の核酸、そのアナログ、又はそれらの組み合わせを指す。
本明細書にて使用する、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、ヌクレオチドモノマー(核酸)の一本鎖及び二本鎖のポリマーを意味し、ヌクレオチド間のホスホジエステル結合の連結、例えば3’−5’及び2’−5’、逆位連結、例えば3’−3’及び5’−5’によって結合した2’−デオキシリボヌクレオチド(核酸)及びリボヌクレオチド(RNA)、分岐状構造、又はアナログの核酸が含まれるが、これらに制限されない。ポリヌクレオチドは、H、NH 、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Na並びに同種のものなどの結合したカウンターイオンを有する。ポリヌクレオチドは、すべてデオキシリボヌクレオチド、すべてリボヌクレオチド、又はそれらのキメラの混合物から構成されうる。ポリヌクレオチドは、核酸塩基及び糖のアナログから構成されうる。ポリヌクレオチドは、典型的には、サイズにおいて、通常多くの場合、本技術分野においてオリゴヌクレオチドと称される数モノマー単位、例えば5〜40から、数千のモノマーのヌクレオチド単位までの範囲にある。別段の指定がない限り、ポリヌクレオチド配列が示されるときはいつでも、ヌクレオチドが左から右へ5’から3’の順であり、「A」がデオキシアデノシンを示し、「C」がデオキシシチジンを示し、「G」がデオキシグアノシンを示し、「T」がチミジンを示すことが理解される。
1つのモノヌクレオチドのペントース環の5’リン酸が、1つの方向でのその隣の3’酸素にホスホジエステル結合によって付着しているようにオリゴヌクレオチドを作製するようにモノヌクレオチドが反応していることから、ポリヌクレオチドは、「5’末端」及び「3’末端」を有すると言われている。したがって、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの末端は、5’リン酸がモノヌクレオチドのペントース環の3’酸素に結合していない場合「5’末端」と称され、3’酸素が次のモノヌクレオチドのペントース環の5’リン酸に結合していない場合「3’末端」と称される。本明細書にて使用する、核酸配列は、たとえより大きなオリゴヌクレオチドの内部であっても、5’及び3’末端を有すると言うことができる。
ポリヌクレオチドの「第1の末端」及び「第2の末端」は、ポリヌクレオチドの5’末端又は3’末端を指す。ポリヌクレオチドの第1の末端又は第2の末端は、ポリヌクレオチドの5’末端又は3’末端であってもよく、「第1の」及び「第2の」という用語は、末端が特に5’末端又は3’末端を示すことを意味するものではない。
本明細書にて使用する「末端領域」という用語は、5’末端又は3’末端に位置したポリヌクレオチドの領域を指す。
「関心対象のDNA断片」、「関心対象のポリヌクレオチド」、「標的ポリヌクレオチド」、「DNA鋳型」又は「鋳型ポリヌクレオチド」は、同定すること、特徴付けること又は操作することに関心があるDNA断片又はポリヌクレオチドを示す。本明細書にて使用する、「鋳型」及び「関心対象のポリヌクレオチド」という用語は、例えば、ポリメラーゼと混合される核酸などの作用を受ける核酸を指す。いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは関心対象の二本鎖ポリヌクレオチド(「DSPI」)である。
本明細書にて使用する「ポリヌクレオチドの異なる鎖」及び「核酸分子の異なる鎖」という語句は、二本鎖ポリヌクレオチドの別の鎖と同じ側由来ではない、二本鎖ポリヌクレオチドの核酸鎖を指す。
本明細書にて使用する「タグ」、「配列タグ」又は「タグ配列」は、関心対象のポリヌクレオチドの部分列を指す。
「PT」、「タグのメイト対」、「メイト対」、「MP」又は「対をなす末端」としても知られている「対をなすタグ」は、関心対象のポリヌクレオチドの各末端領域由来の2つのタグ(それぞれ核酸配列)を含む。それ故に、対をなすタグは、ポリヌクレオチドの2つの部分からの配列断片情報を含む。いくつかの実施態様において、この情報は、ポリヌクレオチドのサイズに関する情報と合わせることができ、したがって、2つの配列決定した断片の間の分離が少なくとも第1の近似で知られる。この情報を、配列タグが由来するマッピングに使用できる。
対をなすタグが線状である場合、対をなすタグは、「放出されている」か、又は「放出された対をなすタグ」の一部である。この例を図5に示す。当業者に明らかであるように、放出された対をなすタグを、ニックトランスレーション後の一又は両方のニックの切断によって形成することができる、いくつかの実施態様において、ニックトランスレーションを完了まで進行させる(環状の核酸分子上の両方のニックの集合)場合、線状化(すなわち、対をなすタグの放出)が、追加の酵素を必要とすることなく起こりうる。当業者に明らかであるように、「対をなすタグ」は、放出される前には、環状化した核酸分子などのより大きい構造の一部であってもよい。
「対をなすタグのクローン」は、対をなすタグを含有するクローン化したポリヌクレオチドを指す。これは、対をなすタグが、開始ポリヌクレオチドの何らかの操作から得られることを単に示す。いくつかの実施態様において、対をなすタグのクローンは、アダプターによって分けられた第1のタグ配列と第2のタグ配列とを含む。いくつかの実施態様において、クローンは、単一の開始ポリヌクレオチド分子から得られる。
本明細書にて使用する「対をなすタグのライブラリー」という用語は、生物の遺伝子材料のすべて又は一部を含む、対をなすタグのクローンのコレクションを指す。
「環状の核酸分子」は、ループ内にある核酸分子を示す。いくつかの実施態様において、ループは、1又は複数のニック又はギャップを含有することができる。好ましい実施態様において、ループは、二本鎖ポリヌクレオチドの各鎖上のニック又はギャップを含むことができる。
本明細書にて使用する、「開始ポリヌクレオチド」は、関心対象のポリヌクレオチドを得ることができる元のポリヌクレオチドを示す。例えば、開始ポリヌクレオチドが、関心対象のポリヌクレオチドとして機能するのに許容できるサイズに断片化されている、細胞からのサンプルである。当然、開始ポリヌクレオチドの選択肢及びバリエーションは、関心対象のポリヌクレオチドについての選択肢と少なくとも同程度広い。
本明細書にて使用する、「ニック」という用語は、ポリヌクレオチドの片方の鎖の隣接ヌクレオチド間のホスホジエステル結合がない、二本鎖ポリヌクレオチドにおける点を指す。「ニック」という用語は、ニック及びギャップの両方を包含する。ニック及び/又はギャップは、3’及び5’の末端及び/又は側を含むものとして説明することができる。これらの側又は末端は、一のポリヌクレオチドのまさに3’末端上のヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドのまさに5’末端上のヌクレオチドを含む。上述したように、これらの2つのヌクレオチド間のホスホジエステル結合はない。上述した2つのポリヌクレオチドにハイブリダイズしている第2の鎖は、第1の鎖上のホスホジエステルを欠く対応するヌクレオチド間の1又は複数のホスホジエステル結合及び0又は1以上のヌクレオチドを含む。
本明細書にて使用する、「第1の翻訳されたニックにおいて環状の核酸分子を切断する」という語句は、ニックの入った鎖にハイブリダイズしている核酸鎖を、ニックの存在に基づいた位置で切断することを示す。いくつかの実施態様において、ニックの入った鎖にハイブリダイズしている核酸鎖をニックの反対側の位置で切断する。
本明細書にて使用する、「ギャップ」という用語は、片方の鎖が1又は複数のヌクレオチド残基を欠損している、二本鎖ポリヌクレオチドの領域を指す。いくつかの実施態様において、ギャップの3’末端におけるヌクレオチド残基は、5’リン酸残基を欠くことができる。
本明細書にて使用する「ニックトランスレーション」という用語は、協調された5’−3’DNAポリメラーゼ活性及び5’−3’エキソヌクレアーゼ活性又は5’−3’鎖置換によって特徴付けられる、重合/分解又は鎖置換の組み合わせプロセスを指す。当業者に明らかであるように、本明細書にて使用する用語としての「ニックトランスレーション」は、ニック上で又はギャップに向かって起こることができる。当業者に明らかであるように、いくつかの実施態様において、ギャップの「ニックトランスレーション」は、次に翻訳される、ホスホジエステル結合を単に欠く従来のニックを形成するために、適切なヌクレオチドの挿入を伴う。
本明細書にて使用する、「ニックを関心対象のDNA断片に翻訳する」及び「ニックを関心対象のポリヌクレオチドに翻訳する」という語句は、DNA断片又は関心対象のポリヌクレオチド内にあるニックを含む鎖における位置へのニックの転位を指す。
本明細書にて使用する、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列へ「環状の核酸分子の第1の鎖の第1の3’末端を伸張させること」又は「第1の及び第2のニックを移動させること」という語句は、3’末端を、配列が関心対象のポリヌクレオチドの鎖の1つと相補的である点へ少なくとも伸張することを示す。3’末端の伸長の例を図14、図17、及び図20に示す。作製された配列が関心対象のポリヌクレオチドに相補的である配列を有するように3’末端を配列へ移動させる、又は伸張させる単純なニックトランスレーションも、移動させる、又は伸張させるとみなされる。
本明細書にて使用する、「関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列への」又は「関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列への」という語句は、伸張した部分が関心対象のポリヌクレオチドの一本鎖の部分に相補的であるように末端又はニックを移動させるか、又は伸張させることを示す。当業者に明らかであるように、関心対象の「二本鎖」ポリヌクレオチドは、3’末端を該ポリヌクレオチドに移動させるか、又は伸張させる前に(「関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列への」という語句を使用する際でも)二本鎖である必要はない。いくつかの実施態様において、例えば、ニックトランスレーションを使用する際に、関心対象のポリヌクレオチドは、主として二本鎖のままであるが、ニックは、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドと結合させているところから、アダプターに共有結合している鎖に、ヌクレオチドを効果的に移動させる。
「ニックの入った連結ポリヌクレオチド」は、ニックと少なくとも1つのアダプターとを含む連結ポリヌクレオチドを示す。いくつかの実施態様において、連結ポリヌクレオチドは、ベクター又はプラスミドであるか、又はベクター又はプラスミドに由来するが、これは必要条件ではない。
本明細書にて使用する、「アダプター」という用語は、関心対象のポリヌクレオチドの操作のために使用することができる分子を示す。いくつかの実施態様において、アダプターを、核酸の環状化のために使用することができる。いくつかの実施態様において、アダプターを使用して、ニックを導入することができる。いくつかの実施態様において、アダプターを、対をなすタグのクローンの増幅のために使用することができる。いくつかの実施態様において、アダプターを、対をなすタグのクローンの一部を配列決定するための配列決定反応に使用できる。いくつかの実施態様において、アダプターは、5’リン酸残基を欠く1又は複数の末端を有することができる。いくつかの実施態様において、アダプターは、核酸を含む。いくつかの実施態様において、アダプターは、少なくとも1つのプライミング部位を含むことができるか、該部位からなることができるか、本質的に該部位からなることができる。いくつかの実施態様において、プライミング部位は、PCRプロセスに有用であり得る。いくつかの実施態様において、アダプターの「P1」又は「P2」の命名は、プライミング部位を含むことができるアダプターを示し、さらに、そのようなアダプターを、「プライマー」アダプターと称すことができる。当然、すべてのアダプターがプライミング部位を必要とするわけではない。当業者に明らかであるように、「プライマーアダプター」を含む本明細書に開示される実施態様は、一般的なアダプターを使用して実施することもできる。すなわち、いくつかの実施態様において、プライマーアダプターを、プライミング部位を含む必要がない単純なアダプターと置き換えてもよい。
「バーコード配列」及び「同定するコード配列」は、関心対象のアダプター、遺伝子、又は配列の同定を可能にするのに充分である核酸配列を示す。バーコード配列は、必要ではないが、同定の基となる元の核酸配列の小さな部分であってもよい。いくつかの実施態様において、バーコードは、5〜30核酸の長さである。いくつかの実施態様において、バーコードは、L−DNA、LNA、PNAなどのアナログのヌクレオチドからなる。
「適合性の末端」を有する核酸配列、断片、又は対をなすタグのクローンとは、末端が、本明細書において提供される別の核酸配列、断片又は対をなすタグのクローンに連結するのに適合していることを意味する。適合性末端は、5’及び/又は3’のオーバーハングを有する「粘着末端」であってもよいか、又はもう一つの方法として、適合性の末端は、5’及び/又は3’オーバーハングを有さない「平滑末端」であってもよい。概して、粘着末端は、配列に依存した連結を可能にするが、平滑末端は、配列と独立した連結を可能にする。適合性末端を、本技術分野において標準的ないずれの既知の方法で製造できる。例えば、核酸配列の適合性の末端を、5’及び/又は3’末端の制限エンドヌクレアーゼの消化によって製造できる。
本明細書にて使用する、「制限エンドヌクレアーゼ」及び「制限酵素」という用語は、それぞれ二本鎖DNAを特異的なヌクレオチド配列において又は近くで切断する細菌の酵素を指す。
本明細書にて使用する、「ニック切断酵素」とは、残存する核酸鎖を介してニックにおいて又は近くで切断することができる酵素を指す。そのような酵素の例としては、S1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼP1、及びヌクレアーゼBAL−31が挙げられるが、これらに制限されない。また、ニックという用語は、ギャップも包含することから、一本鎖のポリヌクレオチドを切断する酵素もニック切断酵素のカテゴリーに入る。例えば、一本鎖に特異的なエンドヌクレアーゼも、このグループに含まれる。さらに、一本鎖に特異的なエキソヌクレアーゼも、関心対象のポリヌクレオチドの末端が一本鎖である実施態様(例えば、図21)における用語に含まれる。
IIs型及びIII型制限エンドヌクレアーゼという用語は、それらの認識配列の外側を切断する制限エンドヌクレアーゼを包含する。それ故に、該用語は、III型又はIIs型以外のもの、例えば、IV型酵素(例えば、AcuI)として分類可能な制限エンドヌクレアーゼを包含する。
本明細書にて使用する「3’テーリング」は、1又は複数のヌクレオチドのポリヌクレオチドの3’末端への付加を指す。
「固定化」という用語は、当分野で認識されており、核酸に関して使用する場合、核酸が、表面の使用の意図された環境に存在し、化学種に作用する引力より強い引力で表面に付着している状態を指す。
本明細書にて使用する、「核酸配列」又は「核酸塩基配列」という用語は、核酸塩基含有サブユニットを含むポリマーのいずれの部分である。適したポリマー又はポリマーセグメントの制限されない例としては、オリゴヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、ペプチドの核酸並びにそれらのアナログ及びキメラが挙げられる。
「アナログ」の核酸は、添加する宿主または試験するサンプル中で通常見られない核酸である。例えば、標的配列は、アナログの核酸を含まない。このアナログの核酸としては、人工の、合成の、又はそれらの組み合わせの核酸が含まれる。それ故に、例えば、一実施態様において、PNAは、アナログの核酸であり、L−DNA及びLNA(ロックド核酸)、イソ−C/イソ−G、L−RNA、O−メチルRNA、又は他のそのような核酸も同様である。一実施態様において、いずれの修飾された核酸もアナログの核酸という用語内に包含される。別の実施態様において、アナログの核酸は、システム内の天然の核酸に実質的にハイブリダイズしないが、他のアナログの核酸にハイブリダイズする核酸であってもよく;それ故に、PNAはアナログの核酸ではないが、L−DNAは、アナログの核酸である。例えば、L−DNAはPNAに有効な様式でハイブリダイズすることができる一方で、L−DNAはD−DNA又はD−RNAに同様の有効な様式でハイブリダイズしない。それ故に、プローブ又は標的配列にハイブリダイズすることができるが、ヌクレアーゼによる分解に対する感受性又はD−DNA又はD−RNAへの結合などの少なくとも1つの天然のヌクレオチドの特徴を欠くヌクレオチドが、アナログのヌクレオチドである。いくつかの実施態様において、当然、アナログのヌクレオチドは、すべての違いを有する必要がない。
「生物」という用語は、複製可能であり、配列決定に興味のある核酸を含む生存の又は非生存の実体のいずれも示すものとして本明細書にて使用される。該生物としては、プラスミド、ウイルス、原核、古細菌及び真核細胞、細胞株、真菌、原虫、植物、動物などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書にて使用する、「プライマー」という用語は、精製された制限消化のように自然に生じるか、又は合成により製造され、核酸鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成を誘導する条件の下に置いた際に(すなわち、でヌクレオチド及びDNAポリメラーゼなどの誘導する物質の存在下、並びに適した温度及びpHにおいて)合成の開始点として作用することが可能なオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、増幅における効率が最大であるために、好ましくは一本鎖であるが、その代わりとして二本鎖であってもよい。二本鎖である場合、プライマーは、伸長産物を調製するのに使用する前に、最初に、別個のその鎖に処理される。好ましくは、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、誘導する物質の存在下での伸長産物の合成を刺激するほど充分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの供給源及び方法の使用を含めた多くの要因に依存する。
本明細書にて使用する「核酸配列決定化学」という用語は、ポリヌクレオチドを配列決定して配列決定結果を得るために使用するある種の化学及び関連した方法を指す。幅広い種類の配列決定化学が本技術分野において既知である。本明細書に開示される種々の実施態様に有用な種々のタイプの配列決定化学の例としては、マクサム−ギルバート配列決定、連鎖停止方法、色素標識化ターミネーター法、可逆ターミネーターを用いる配列決定、ピロリン酸検出による核酸の配列決定(「ピロリン酸配列決定」又は「ピロ配列決定」)及びライゲーションによる配列決定が挙げられるが、これらに限定されない。そのような配列決定化学及び対応する配列決定試薬は、例えば、米国特許第7,057,026号明細書、米国特許第5,763,594号明細書、米国特許第5,808,045号明細書、米国特許第6,232,465号明細書、米国特許第5,990,300号明細書、米国特許第5,872,244号明細書、米国特許第6,613,523号明細書、米国特許第6,664,079号明細書、米国特許第5,302,509号明細書、米国特許第6,255,475号明細書、米国特許第6,309,836号明細書、米国特許第6,613,513号明細書、米国特許第6,841,128号明細書、米国特許第6,210,891号明細書、米国特許第6,258,568号明細書、米国特許第5,750,341号明細書、米国特許第6,306,597号明細書、国際公開第91/06678号パンフレット、国際公開第93/05183号パンフレット、国際公開第60074351号パンフレット、国際公開第03/054142号パンフレット、国際公開第03/004690号パンフレット、国際公開第07/002204号パンフレット、国際公開第07/002204号パンフレット、国際公開第06/084132号パンフレット及び国際公開第06/073504号パンフレットに記載されており、これら文献の全体の内容を参照により組み込むものとする。
本明細書にて使用する、「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)という用語は、参照により本明細書に組み込むK.B.Mullisの米国特許第4,683,195号明細書及び米国特許第4,683,202号明細書の方法を指し、該文献には、クローニング又は精製なしで、ゲノムDNAの混合物中の関心対象のポリヌクレオチド配列のセグメントの濃度を増加させる方法が記載されている。関心対象のポリヌクレオチド配列を増幅するためのこのプロセスは、非常に過剰の2つのオリゴヌクレオチドプライマーを、望ましい関心対象のポリヌクレオチド配列を含有するDNA混合物に導入し、続いて、DNAポリメラーゼの存在下での正確な順序のサーマルサイクリングを行うことからなる。2つのプライマーは、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチド配列の各鎖に相補的である。増幅をもたらすために、混合物を変性させ、次に、プライマーを関心対象のポリヌクレオチド分子内のその相補配列とアニーリングする。アニーリングの後、プライマーを、ポリメラーゼを用いて、相補鎖の新しい対を形成するように伸張させる。変性、プライマーのアニーリング及びポリメラーゼの伸長のステップを何度も繰り返して(すなわち、変性、アニーリング及び伸長が1の「サイクル」を構成し;多数の「サイクル」があり得る)、望ましい関心対象のポリヌクレオチドの高濃度の増幅されたセグメントを得ることができる。望ましい関心対象のポリヌクレオチドの増幅されたセグメントの長さを、互いについてのプライマーの相対的な位置によって決定し、したがって、この長さは、制御可能なパラメータである。プロセスの繰り返しの効き目によって、該方法は、「ポリメラーゼ連鎖反応」(以下「PCR」)と称される。関心対象のポリヌクレオチド配列の望ましい増幅されたセグメントが混合物中の主な配列(濃度の点で)となることから、それらセグメントは、「PCRで増幅された」と言われる。
PCRを用いて、いくつかの異なる方法(例えば、ハイブリダイゼーション標識したプローブ;ビオチン化プライマーの組み込みの後のアビジン−酵素抱合体の検出;32Pで標識した、dCTP又はdATPなどのデオキシヌクレオチド三リン酸の増幅されたセグメントへの組み込み)によって検出可能なレベルに、ゲノムDNA中の特異的な関心対象のポリヌクレオチドの単一のコピーを増幅することが可能である。ゲノムDNAに加えて、いずれのオリゴヌクレオチド配列も、プライマー分子の適切なセットを用いて増幅できる。特に、PCRのプロセス自体によって作製された増幅されたセグメントは、それ自体、その後のPCR増幅に有効な関心対象のポリヌクレオチドである。
本明細書にて使用する、「PCR産物」、「PCR断片」及び「増幅産物」という用語は、変性、アニーリング及び伸長のPCRステップの2又はそれ以上のサイクルが完了した後の化合物の生じた混合物を指す。これらの用語は、1又は複数の標的配列の1又は複数のセグメントの増幅があったケースを包含する。
本明細書にて使用する、「増幅試薬」という用語は、プライマー、関心対象の核酸ポリヌクレオチド及び増幅酵素を除く、増幅に必要とされる試薬(デオキシリボヌクレオチド三リン酸、緩衝液等)を指す。典型的には、増幅試薬は、他の反応成分と共に、反応容器(試験チューブ、マイクロウェル等)に配置されて入れられている。
「クローナルな増幅」は、個々の分子の多くのコピーの生成を指す。本技術分野において既知である種々の方法を、クローナルな増幅のために使用することができる。例えば、エマルジョンPCRが一つの方法であり、油相内の水泡中でプライマーで被覆されたビーズと共に個々のDNA分子を単離することを伴う。次に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、単離したライブラリー分子のクローナルなコピーで各ビーズを被覆し、これらのビーズが、その後、後の配列決定のために固定化される。エマルジョンPCRが、Marguilis et al.ならびにShendure及びPorreca et al.によって公開されている方法(「ポロニー(polony)配列決定」としても知られ、Agencourtによって市販されて、最近、Applied Biosystemsによって入手される)に使用される。Margulies,et al.(2005)Nature 437:376−380;Shendure et al.,Science 309(5741):1728−1732を参照されたい。クローナルな増幅のための別の方法は、断片が、固体の表面に付着させたプライマーにより増幅される「ブリッジPCR」である。これらの方法に加えて、クローナルな増幅の他の方法も、単一の分子のポリヌクレオチド断片由来の多くのコピーをそれぞれ含有する多くの物理的に単離した位置を製造する。
「結合部分」は、適切な条件の下で精製する部分に結合することができる分子である。結合部分と精製する部分との間の相互作用は、結合部分及びそれと関連した分子、例えば、対をなすタグのクローンの濃縮及び/又は精製を可能にするほど充分に強い。ビオチンが、結合部分の例である。いくつかの実施態様において、結合部分をアダプターに結合させることによって、結合部分の精製する部分の標的への結合によって、対をなすタグのクローンの精製が可能となる。いくつかの実施態様において、精製する部分は、固体の支持体上に存在することができる。
「精製する部分」は、結合分子に結合する分子である。ビオチンに対する精製する部分の例は、ストレプトアビジンである。
「固体の支持体」という用語は、オリゴヌクレオチドが合成されるか、付着されるか、又は固定化されるいずれの固相材料も指す。固体の支持体は、「樹脂」、「固相」、及び「支持体」などの用語を包含する。固体の支持体は、有機ポリマーなどのポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、及びポリアクリルアミド、並びにそれらのコポリマー及びグラフトから構造することができる。また、固体の支持体は、例えば、ガラス、シリカ、制御された孔径のガラス(controlled−pore−glass(CPG))、又は逆相シリカなどの無機のものであってもよい。固体の支持体の構造は、ビーズ、球、粒子、顆粒、ゲル、表面又はそれらの組み合わせの形状であってもよい。表面は、平面状、実質的に平面状、非平面状であってもよい。固体の支持体は、多孔性又は非多孔性であってもよく、膨張又は非膨張の特徴を有することができる。固体の支持体は、ウェル、窪みもしくは他の入れ物、容器、形態又は場所もしくは位置の形状で構成することができる。試薬のロボット送達のために、又はレーザー・イルミネーション及び共焦点のもしくは偏向的な光の集まりによってスキャンすることを含む検出手段によって、アドレス可能な種々の場所、例えば、位置で、複数の固体の支持体をアレイで構成することができる。
「アレイ」又は「マイクロアレイ」は、固体の支持体上又は容器の配置に存在するポリヌクレオチドの配置を包含する。特定のアレイの型式は、「チップ」又は「バイオチップ」と称される(M.Schena,Ed.Microarray Biochip Technology,BioTechnique Books,Eaton Publishing,Natick,Mass.(2000))。アレイは、低密度の数のアドレス可能な場所、例えば1〜約12、中密度、例えば約百もしくはそれを越える場所、又は高密度の数、例えば千又はそれを超えるものを含むことができる。典型的には、アレイの型式は、製作、取り扱い、設置、スタッキング、試薬導入、検出、及び貯蔵を可能にする幾何的に規則的な形状である。アレイを、行及び列の型式で、各位置の間に規則的に空間を空けて構成することができる。別の方法として、場所を、処理及び/又はサンプリングを同じにするために束ねるか、混合するか、又は均一に混合することができる。アレイは、各場所が、試薬の高処理の取り扱い、ロボット送達、マスキング及び/もしくはサンプリングのために、及び/又はレーザー・イルミネーション及び共焦点の及び/もしくは偏向的な光の集まりによってスキャンすることを含む検出手段によって、空間的にアドレス可能なように構成された複数のアドレス可能な場所を含むことができる。アレイは、1又は複数の「アドレス可能な場所」、例えば、既知のタイプの分子を含む物理的な場所である「アドレス可能な位置」を含むことができる。
以下において、種々の実施態様の異なる実施態様をより詳細に説明する。種々の実施態様の各ステップ又は特徴は、特に明示しない限り、いずれの他のステップ又は特徴と組み合わせることができる。
(実施態様の例)
上述したように、対をなす末端の配列決定のアプローチは、2つの独立した関心対象のポリヌクレオチドのそれぞれからの「n」塩基をランダムな様式で配列決定することによるものより、単一の関心対象のポリヌクレオチドからの2つのひと続きの各「n」塩基を配列決定することによるより多くの情報を提供することができる。しかしながら、今までに、読み取りの長さは、短い配列のタグの長さに限られていた。例えば、III型制限酵素を用いる対をなすタグを製造するための以前の戦略は、27bpまでの配列タグを生成するのみであった。所与のメイトの対のクローン上の2つのタグ配列は、異なる長さのもの又は同じ長さのものであってもよい。
いくつかの実施態様において、配列タグの長さを制御するか、かつ/又は増加させるために、対をなすタグのクローンにおいて環状化及びニックトランスレーションを使用することができる。いくつかの実施態様において、開示された方法を使用して、関心対象の核酸分子から対をなすタグのクローンを調製できる。
一のそのような実施態様を図1及び図2に示す。図1に示すように、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの環状化を可能にするように、アダプターが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドに付着している。重要なことは、環状化後、少なくとも1つのニック又はギャップが環状化した核酸配列に存在し、いくつかの実施態様において、2つのニック又はギャップが存在し、環状化した核酸配列の各鎖上に一つずつある。図1に示すように、1つのニック又はギャップは、最初にアダプターの第1の末端と関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの1つの鎖上の第1の末端との間に位置する一方で、第2のニック又はギャップは、アダプターの第2の末端と関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端との間に位置する。次に、図2に示すように、ニックトランスレーション反応をニックトランスレーション酵素によって実施する。これによって、少なくとも1つのニックを関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドへ移動させる。ニックを移動させる望ましい距離は、使用者の目的に応じて変動でき、しかしながら、いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応が、ニックが10、20又は27ヌクレオチドを超えて関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドへ移動するまで起こるようにする。この後、環状化した核酸配列を、ニックの位置において又はその近くで、一本鎖に特異的なヌクレアーゼなどのニックにおいて又はその近くで切断する酵素によって、線状にすることができ、放出された対をなすタグを生じることができる。ニックの位置で環状化核酸を線状にするための酵素としては、例えば、S1ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼP1、ヌクレアーゼBAL31、アカパンカビ(Neurospora crassa)由来のヌクレアーゼ、トウモロコシ黒穂病菌(Ustilago maydis)由来のヌクレアーゼ、及びマングビーンヌクレアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施態様を図3、図4、及び図5に示す。この実施態様において、複数のアダプターを使用することができる。第1のステップにおいて、粘着末端(又はいくつかの実施態様において平滑末端)を有する第1のタイプのアダプターを、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の及び第2の末端の両方に付着させることができる。この後、第1のアダプターに存在するオーバーハングにライゲーションすることを可能にする適切なオーバーハングを有し、分子を環状化させるようにも機能する第2のタイプのアダプターを付加することができる。第1の例で述べたように、2つではなくても、少なくとも1つのニック又はギャップが、第2のアダプターによる環状化ライゲーションが起こった後に存在する。前述したように(図4に示すように)、このことは、図5に示すように、ニックを、少なくとも部分的に関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドに、ニックトランスレーション酵素によって翻訳することを可能にする。次に、図5に示すように、この翻訳された環状化核酸配列を、いずれの適した酵素によって線状にすることができ、それによって、対をなすタグを生じる。
別の実施態様を、図10、図11、図12及び図13に示す。この実施態様において、トポイソメラーゼI(Topo)結合部位CCCTTを有するアダプターを使用することができる(Topo結合アダプター)。第1のステップにおいて、向かい合う鎖上に2〜3bpのギャップと、上の及び下の鎖の両方の3’末端にTopo結合部位とを有するアダプターを形成することができる(図10)。この後、トポイソメラーゼIを添加して、トポイソメラーゼI−アダプター複合体を形成することができる(図11)。トポイソメラーゼI分子とアダプターとの間に形成されたホスホチロシル結合を、後に、脱リン酸化した関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの5’ヒドロキシル基によって攻撃することができ(図12)、環状化核酸分子の形成をもたらす(図13)。環状化後、アダプター及びDNAの接合部でのニックを、T4リガーゼで封着する。そのような実施態様において、トポイソメラーゼIベースの環状化アプローチの使用によって、長い対をなすタグの作製のための優れた環状化効率をもたらすことができる。
いくつかの実施態様において、図6に示すように、P1及びP2プライマーアダプターなどの更なるプライマーを、対をなすタグに付加できる。そのような実施態様において、P1及びP2プライマーアダプターの付加は、例えば、SOLiD(商標)タイプの配列決定などの種々の配列決定技術に有用である可能性がある。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドを、関心対象のポリヌクレオチドを1又は複数のアダプターにライゲーションする(例えば、図3に示すように)ことによって環状化することができる。生じたニックの入った環状のDNAは、ニックトランスレーションすることができる(図14)。ニックの入った環状のDNAを、例えば、T7エキソヌクレアーゼ、ラムダ・エキソヌクレアーゼ、及び/又は大腸菌(E.coli)エキソヌクレアーゼIIIなどのエキソヌクレアーゼで消化することができる(図15)。それ故に、ニックが開かれ、一本鎖に特異的なエンドヌクレアーゼによって比較的より容易に消化されるギャップになる。この後、対をなすタグを、ギャップの入った関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドから、一本鎖に特異的なエンドヌクレアーゼ(S1ヌクレアーゼなど)を用いて、放出できる。そのような一本鎖に特異的なエンドヌクレアーゼとしては、例えば、S1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、P1ヌクレアーゼ、及び/又はBAL31ヌクレアーゼが挙げられる。T7エキソヌクレアーゼ反応は、部分的であるか(中央のパネルに「ギャップ」として示される)、又は完全なものであってもよい(完全なエキソヌクレアーゼ反応がある場合存在しない破線の部分によって中央パネルにおいて示される)。
いくつかの実施態様において、ニックトランスレーションは、実際に発生する必要がなく、むしろアダプターの3’末端の伸長を使用して、対をなすタグを作製することができる。この例を図16〜18に示す。いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドを、1又は複数のアダプターをライゲーションすることによって環状化することができる。いくつかの実施態様において、環状の核酸は、ニックを含む。次に、環状の核酸分子を、T7エキソヌクレアーゼ及び/又はラムダ・エキソヌクレアーゼなどの5’−3’エキソヌクレアーゼで消化することができる(図16)。続いて、生じた消化された環状の核酸分子の3’末端を、例えば、DNAポリメラーゼで伸張させることができる(図17)。いずれのDNAポリメラーゼもこの目的で働くことができる。効果的には、このステップによって、アダプターを有する配列を関心対象のポリヌクレオチドへ伸張させることが可能となる。この後、伸張した消化された環状の核酸分子を、一本鎖に特異的なエンドヌクレアーゼで消化して、対をなすタグを放出することができる。上述したように、S1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、P1ヌクレアーゼ、及び/又はBAL31ヌクレアーゼなどのいずれの一本鎖に特異的な酵素及び/又は切断プロセスも使用して、対をなすDNAタグを放出することができる。
図19〜21は、ニックトランスレーション自体必要とせずに対をなすタグを形成する別の実施態様を示す。上述したように、いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドを、1又は複数のアダプターにライゲーションすることによって環状化することができる。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子は、ニックを含む。次に、環状の核酸分子を、T7エキソヌクレアーゼ及び/又はラムダ・エキソヌクレアーゼなどの5’−3’エキソヌクレアーゼで消化することができる(図19)。いくつかの実施態様において、大量の関心対象のポリヌクレオチドの二本鎖部分を消化する。図16〜18に概説する例が、消化が部分的である一方で、図19に示すように、消化を完全に起こしてもよい。当業者に明らかであるように、この結果として、関心対象のポリヌクレオチド全体が一本鎖となる。それ故に、いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドのすべてが5’−3’の消化後に一本鎖である。いくつかの実施態様において、このことによって、消化された「環状の」核酸が線状になったものがもたらされ、しかしながら、簡単にするために、分子を、たとえ線状であっても、「消化された環状の核酸分子」と称すことができる。そのような実施態様の直線の性質を具体的に記載する場合、「直線状の状態に消化されている消化された環状の核酸分子」と称す。上述したように、次に、生じた消化された環状の核酸分子の3’末端を、例えば、DNAポリメラーゼで伸張させることができる(図20)。この後、伸張した消化された環状の核酸分子を、一本鎖に特異的なエキソヌクレアーゼ及び/又はエンドヌクレアーゼで消化して、対をなすタグを放出することができる。上述したように、いずれの一本鎖に特異的な酵素及び/又は切断プロセスも使用できる。環状の核酸を図20に示す状態に消化することによって、エキソヌクレアーゼを使用して、関心対象の一本鎖ポリヌクレオチドのいずれの残存する部分を除去することができる。当然、エンドヌクレアーゼを同様に使用することができる。当業者に明らかであるように、上記の技術を、図3の最初の実施態様に関して説明したが、図14〜20の実施態様は、そのような開始配置に制限されず、本明細書に記載されているいずれの他の実施態様と適宜組み合わせて使用できる。
いくつかの実施態様は、アダプターと関心対象のポリヌクレオチドとの間のニックを使用するが、ニック及び/又はギャップが、この位置に位置する必要はない。いくつかの実施態様において、ニック及び/又はギャップを他の場所に位置付ける更なる利益がある。いくつかの実施態様において、前記方法は、すでにニックを含む連結ポリヌクレオチドを使用できる。いくつかの実施態様において、連結ポリヌクレオチドは、各アダプターと連結ポリヌクレオチドとの間にニックを有する連結ポリヌクレオチドの各末端上のアダプターを有する。このことによって、最初のコンストラクト自体によって、関心対象のポリヌクレオチドへのニックの組み込みが可能となる。簡単にするために、このコンストラクトを、「ニックの入ったベクター」又は「ニックの入った連結ポリヌクレオチド」と称すことができる。いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドによって、現在の対をなすタグのワークフローに含まれる時間及びステップを減少させることができる。いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、関心対象のポリヌクレオチドを捕捉する線状のベクター(剪断した標的DNAなどの)を含み、関心対象のポリヌクレオチドのライブラリーの構成を単純化する。
いくつかの実施態様において、ニックの入った関心対象のポリヌクレオチドを伴う方法は、2つのパートを含む。第1のパートは、ニックの入った連結ポリヌクレオチドを該ポリヌクレオチドに結合した適切なアダプターを用いて調製することを伴うことができる。いくつかの実施態様において、このステップを、種々のパーティーによって行うことができ、対をなすタグを製造するためのキットに含めることができる。いくつかの実施態様において、第2のパートは、ニックの入った連結ポリヌクレオチドを使用して、ライブラリーのワークフローを増加させることを伴う。
(連結ポリヌクレオチド)
いくつかの実施態様において、第1のステップ(図22、ステップ1)は、小さい環状のDNA2000を関心対象のポリヌクレオチドについての連結ポリヌクレオチドとして選別することを伴う。一旦、線状にすると、このようなものを連結ポリヌクレオチドとして使用することができる。細菌の形質転換及び/又はそれに伴う増幅が必要ないことから、ベクターの選択が柔軟である。いくつかの実施態様において、いずれのポリヌクレオチドも使用できる。それ故に、連結ポリヌクレオチドは、ベクター自体であるか、又はベクターに由来する必要がない。いくつかの実施態様において、連結ポリヌクレオチドは、調製でき線状にできたいずれの環状のベクターであってもよい。いくつかの実施態様において、pUC19プラスミドを使用する。
いくつかの実施態様において、連結ポリヌクレオチドとして機能することができるベクターを選別するに当たって考慮できる2つの関連したエレメントがある。第1に、いくつかの実施態様において、200bp〜15kbの標的DNA挿入物を収容するために、環状のベクターのサイズは小さいものであるべきで、400bp〜3kbの範囲が好ましい。第2に、必要ではないが、いくつかの実施態様において、環状のベクターを、その後の精製のために結合部分で修飾できる。例えば、いくつかの実施態様において、結合部分としては、ビオチンを挙げることができ、それによって、ビオチン−ストレプトアビジン・ベースの精製スキームが可能となる。いくつかの実施態様において、対をなすタグの単離を可能にするいずれの受容体−リガンドベースのアフィニティー修飾を使用できる。いくつかの実施態様において、単離は、特異的な連結ポリヌクレオチドに特異的である。
連結ポリヌクレオチドを選択した後、必要であれば、該ポリヌクレオチドを線状にする2010(例えば、環状化したベクターを、最初に選択した場合)。いくつかの実施態様において、これは、それぞれが連結ポリヌクレオチド上で独特な切断を行う2つの独特な制限酵素(図22、ステップ2)によって達成される。生じた2つの断片のより大きい断片2010は、2つの別々の粘着末端(2011及び2015)を含有しており、これを選択し、精製することができる。2つの異なる酵素を用いることによって、生じる産物は、自己のライゲーションを防ぐ不適合性の粘着末端(2011及び2015)を含有する。不適合性の末端を連結ポリヌクレオチド上に生成する他の技術もこのステップに有効である。図22に示すように、二重に切断した連結ポリヌクレオチドの2つの末端(2011及び2015)は、リン酸を欠く2つの3’鎖末端(2012及び2016)と、リン酸基を含有する2つの5’鎖末端2013及び2014を有する。
この後、2つの二本鎖アダプター、P1(2020)及びP2(2030)を、連結ポリヌクレオチド2010にハイブリダイズして、アダプターがハイブリダイズした連結ポリヌクレオチド2038を形成する。いくつかの実施態様において、P1(2020)及びP2(2030)の粘着末端は、連結ポリヌクレオチド(2011及び2015)上のそれぞれの末端に一致し、P1(2020)及びP2(2030)の適切な方向及び位置を確実にする。
いくつかの実施態様において、P1及びP2プライマーアダプターは、別々の特徴を有する。いくつかの実施態様において、P1プライマーアダプターの「上の」鎖2025(図22において2つのP1鎖の上のものとして示される)及びP2プライマーアダプター2035(図22において2つの鎖の下のものとして示される)は、その5’末端にリン酸基を含有しない。いくつかの実施態様において、P1及びP2プライマーアダプターの両方の下の鎖(それぞれ2026及び2036)は、その5’末端(位置2022及び2032に示される)にリン酸基を含有する。この構成の結果として、両方のアダプターの「下の」鎖(2026及び2036)のみ、ニックの入った連結ポリヌクレオチド2039(図23)に示すように、連結ポリヌクレオチドにライゲーションする。「上の」鎖がリン酸基を5’末端において欠くために、2つのニック2021及び2031が連結ポリヌクレオチド2010とアダプター2020及び2030の間にある(図22及び23)。それ故に、いくつかの実施態様において、本発明は、上記連結ポリヌクレオチドを製造するか、かつ/又は用いる方法を含む。
いくつかの実施態様において、本発明は、ニックの入った連結ポリヌクレオチド自体を含む。いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチド2039は、第2のアダプター鎖2026にハイブリダイズしている第1のアダプター鎖2025を含む第1のアダプター(P1 2020)を有することができる。第1のアダプター鎖2025は、その5’末端上のリン酸基を欠く。ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、第4のアダプター鎖2036にハイブリダイズしている第3のアダプター鎖2035を含む第2のアダプター2030を更に有することができる。第3のアダプター鎖2035は、その5’末端上のリン酸基を欠く。ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、第2の連結鎖2018にハイブリダイズしている第1の連結鎖2017を含む、連結ポリヌクレオチド2010更に含むことができる。連結ポリヌクレオチドは、第1の末端2011と第2の末端2015とを含む。第1のアダプター(P1 2020)は、第1のアダプター鎖が5’末端上のリン酸基を欠くところにニック(及び/又はギャップ)2021が存在するように、連結ポリヌクレオチド2010の第1の末端2011に付着している。さらに、第2の連結鎖2018は、第2のアダプター鎖2026に付着している。第2のアダプター(P2 2030)は、第2のアダプター2030の第3のアダプター鎖2035がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニック(及び/又はギャップ)2031が存在するように、連結ポリヌクレオチドの第2の末端2015に付着している。第1の連結鎖2017が第4のアダプター鎖2036に付着している。この実施態様を、概して、図22及び23に示す(アダプター2020及び2030が、連結ポリヌクレオチド2010にライゲーションされて、ニックの入った連結ポリヌクレオチド又はニックの入ったベクター2039を形成する)。
いくつかの実施態様において、図24A及び24Bに示すように、アダプターが連結ポリヌクレオチドと連結されている領域(「連結領域」)に関して、少なくとも2つの可能な配置がある。第1の構成(図24A)において、連結ポリヌクレオチドのオーバーハングは、アダプター2020に完全に相補的な末端を有する。ライゲーション及び上のアダプター鎖のリン酸基の欠如の結果として、上の鎖上の連結ポリヌクレオチドとアダプターとの間にニック2021がある。第2の構成(図24B)において、アダプターを設置することによって、1又は2塩基のギャップ(いくつかの実施態様においてはより大きいギャップ)がもたらされる。いずれの構成も、プロセスにおけるその後のステップのために実現することができる。ポリメラーゼがニック又はギャップを関心対象のポリヌクレオチドに伸長させることを可能にするために、概して、上の鎖上の切断(2020と2017の間のニック2021、および2035と2018の間のニック2031)を保存するべきである。
いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドにおけるニック又はギャップの設置を使用して、特に長い対をなすタグ、又は「長い対をなすタグ」(「LPT」)ライブラリーを生成できる。しかしながら、本発明は、LPTに制限されない。例えば、典型的なEcoP15Iベースの規則的なPTライブラリーのために、EcoP15I部位を有するアダプターの両方の鎖を、いずれの上述した末端の構成なしで、直線状のベクターに完全にライゲーションすることができる。簡単にいうと、上記実施態様によって、規則的な及び長い対をなすタグのライブラリーの両方を、異なる対をなすタグにとって適切な化学及び適切に修飾したアダプターを用いて生成できる。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドを捕捉するための連結ポリヌクレオチド上のアダプターの末端(2020及び2030)の可能な構成が更にあり、その例を、図25A〜25Cに示す。アダプターの上の鎖の5’末端の長さ及び組成を調節することによって、平滑末端(2040及び2041、図25A)、単一のチミンのオーバーハングの粘着末端(2050及び2051、図25B)、又は複数のチミン(又は他の塩基)のオーバーハング(2060及び2061、図25C)を得ることができる。そのようなニックの入った連結ポリヌクレオチドを使用して、平滑末端を有する関心対象のポリヌクレオチド、Taqポリメラーゼで修飾された関心対象のポリヌクレオチド、又は末端転移酵素で修飾された関心対象のポリヌクレオチドをそれぞれ捕捉することができる。いくつかの実施態様において、これらのニックの入った連結ポリヌクレオチドは、ライブラリーの構築に使用するためのキットの一部である。
(ライブラリー調製のワークフロー)
ニックの入った連結ポリヌクレオチドを調製すると、ゲノムDNAなどの関心対象のポリヌクレオチドを、望ましい長さに剪断することができる。いくつかの実施態様において、Support OligoLigationDetection(SOLiD(商標))ベースの技術に適切に使用するために、関心対象のポリヌクレオチドの末端を磨く(end−polished)。関心対象のポリヌクレオチドとライゲーションするためのニックの入った連結ポリヌクレオチド(図25A〜25Cに示すもの)の選択に応じて、剪断した関心対象のポリヌクレオチドは、末端における修飾を伴うことができる。平滑末端アダプターを有する直線状のベクター(図25A)にとって、修飾は必要ではない。図25Bに記載されているニックの入った連結ポリヌクレオチドについて、関心対象のポリヌクレオチドは、例えば、Taqなどのポリメラーゼによって達成できる3’末端におけるアデニン塩基の付加を必要とする。図25Cに記載されているニックの入った連結ポリヌクレオチドについて、末端転移酵素を使用して、ニックの入った連結ポリヌクレオチド内のオーバーハングに相補的であるように、同じ塩基の短いストレッチを付加できる。
ニックの入った連結ポリヌクレオチド選択すると、ワークフローの後続ステップは、すべての3つのタイプのニックの入った連結ポリヌクレオチドについて同様であってよい。簡単にするために、その後のステップを、概して、図25Aにおけるニックの入った連結ポリヌクレオチドについてのみ説明する。図26に示すように、関心対象のポリヌクレオチドの適切な末端修飾2085の後、関心対象のポリヌクレオチドを、ライゲーション2095のために、一致するオーバーハングを有するニックの入った連結ポリヌクレオチドとインキュベートする。
ライゲーション2095の後、環状化したニックの入った連結ポリヌクレオチド(例えば、環状化した核酸分子)は、構造2100に示すように、関心対象のポリヌクレオチド2090の近くに位置した2つのニック(2021及び2031)を含有する。次に、ニック2021及び2031の両方を、関心対象のポリヌクレオチド2090に、プロセス2105によって伸張させる。上述したように、これは、ニックトランスレーション又は第1の及び第2の連結ポリヌクレオチド2017及び2018の3’末端を関心対象のポリヌクレオチド2090に伸張させるためのいずれの他の記載した実施態様によって生じることができる。いくつかの実施態様において、伸長は、ニックトランスレーションによって達成される。いくつかの実施態様において、伸長の程度を、最終のブレイクポイント(break point)(ニック又は分子が一本鎖のところに位置する)が不変のままであるように制御できる。
いくつかの実施態様において、ライゲーション反応2095の後、ライゲーションされていない直線状の関心対象のポリヌクレオチド及び残存する直線状のニックの入った連結ポリヌクレオチドを除去又は除くことができる。いくつかの実施態様において、これは、PLASMID−SAFE ATP−Dependent DNase キット(Epicentreから入手可能)内のものなどの、直線状の二本鎖DNAを消化する酵素によって達成される。
いくつかの実施態様において、上述したクリーニング・プロセスの後、残存する環状の種類のもの2100を、次に、プロセス2205によって、伸張させた3’末端の新しい位置で切断して、対をなすタグを放出することができる。3’末端をニックトランスレーションによって移動させる実施態様において、切断部位は、新しいニックの位置2221及び2231にある。生じた放出された対をなすタグ2300は、連結ポリヌクレオチド2010、2つのアダプター2020及び2030を含むことができ、望ましい長さの関心対象のポリヌクレオチドのタグ2091及び2092によって挟むことができる(図27)。
いくつかの実施態様において、SOLiD(商標)内部アダプター2310を、プロセス2305において、製造された放出された対をなすタグ2300にライゲーションして(図27に示すように)、内部アダプターを含有する対をなすタグ2400を作製することができる。ライゲーション後、生じた内部アダプターを含有する対をなすタグ2400(又はその集団)は、関心対象のポリヌクレオチドタグ2091及び2092の両方が適切に方向付けられているライブラリー鋳型となることができる。いくつかの実施態様において、ライブラリーは、図27中のプロセス2405に概して示すように(プライマーは図示せず)、アダプターP1 2020及びP2 2030の一つの鎖に結合することができるプライマーを用いる大規模のPCR増幅のための鋳型として機能することができる。生じたPCR産物2500は、一本鎖であってもよく、産物の各末端上に位置するP1及びP2配列を有することができる。いくつかの実施態様において、PCR増幅2405のためのプライマー配列は、SOLiD(商標)ライブラリーに使用されるものである。いくつかの実施態様において、生じた増幅された直線状の産物がライブラリーである場合、次に、ライブラリーを、鋳型にしたビーズの調製のためのエマルジョンPCRに使用することができる。
図27が平滑末端内部アダプター2310を示す一方で、いくつかの実施態様において、図28に示すように、放出された対をなすタグ2300の末端を修飾して、自己のライゲーションを防ぐか又は減少させることができる。例えば、一本鎖の切断2205の後に、Taqポリメラーゼを使用して、生じた放出された対をなすタグが、Tのオーバーハンドを5’末端に含む内部アダプター2311にのみライゲーションできるように、3’末端にアデニン塩基を付加することができる(図28)。
上述した実施態様において多くの様々な利益があるが、いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドの使用によって、種々の対をなすタグのライブラリーワークフローにおいて必要とされるステップの数を回避するか、又は減少させることができる。例えば、いくつかの現在のSOLiD(商標)の対をなすタグのライブラリーワークフローは、SOLiD(商標)Analyzer上で配列決定するのに適切なライブラリーを作製するにあたって、14の重要なステップを伴う。いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドの使用によって、対をなすタグのライブラリーのワークフローを調製することから1又は複数のステップを除去することが可能となる。いくつかの状況において、典型的なワークフローは、以下のプロセス:1)DNAの剪断、2)DNAの末端の修復、3)EcoP15I部位におけるgDNAのメチル化、4)アダプターにおけるライゲーション、5)サイズ分画、6)内部アダプターによる環状化、7)EcoP15Iの消化、8)末端修復、9)アダプターライゲーション、10)結合部分の結合、11)ニックトランスレーション、12)大規模のPCR、13)ゲル精製及びサイズ選別、並びに14)ライブラリーの最終の定量化を含むことができる。いくつかの実施態様において、1又は複数の本明細書に記載されている実施態様を用いることによって、プロセス4〜6を、ニックの入った連結ポリヌクレオチドにおいて単にライゲーションするように圧縮することができる。さらに、プロセス9〜11の1又は複数を除去することもできる。それ故に、いくつかの実施態様において、プロセス4〜6及び9〜11の1又は複数を除去するか、かつ/又は本明細書に記載されている実施態様の一つに交換する。いくつかの実施態様において、標準的なワークフローは、以下のプロセス:1)DNAの剪断、2)DNAの末端の修復、3)EcoP15I部位におけるgDNAのメチル化、4)アダプター(例えば、CAPアダプター)におけるライゲーション、5)サイズ選別、6)内部アダプターによるDNAの環状化、7)Plasmid−safe(商標)DNase処理、8)EcoP15Iの消化、9)Klenow媒介の末端修復、10)アダプターのライゲーション、11)結合部分の結合、12)ニックトランスレーション、13)大規模のPCR(例えば、ライブラリー増幅)、並びに14)ライブラリーのゲル精製及びサイズ選別及び定量化を含むことができる。しかしながら、1又は複数の本明細書に開示される実施態様を用いることによって、ワークフローは、単に、以下のプロセス:1)DNAの剪断、2)サイズ選別、3)末端修復、4)ゲノムのEcoP15I部位メチル化、5)LVAライゲーション、6)PLASMID−SAFE(商標)DNase処理、7)EcoP15Iの消化、8)末端修復、9)内部アダプターのライゲーション、10)ライブラリーの増幅、及び11)ライブラリーの純度(purity)QC及び定量化を含むことができる。それ故に、いくつかの実施態様において、ワークフローを14から11のプロセスに減少させることができる。当然、本明細書に開示される利益は、SOLiD(商標)システム上での配列決定に制限されない。
いくつかの他の対をなすタグのライブラリーは、構築するのに約4日かかり、SOLiD(商標)に関連したワークフローにとっての障害を生じるものである。いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドを用いることによって対をなすタグのライブラリーを作製するのに必要とされる時間は、4日より短く、例えば、3日、2日、1日であり、20時間未満、15時間未満、又は10時間である。さらに、複数のステップによって、実験の誤りの機会及び各ステップの間におけるサンプルの損失が増加する。ニックの入った連結ポリヌクレオチドの使用によって、ワークフローを促進することができる一方で、サンプル回収率を向上させることができる。いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドのベースのワークフローの方法は、対をなすタグのライブラリーのワークフローにおけるステップの数を6ステップに減少させるか、かつ/又は全体の手順に必要とされる時間を約10〜12時間に減少させる。いくつかの実施態様において、実験の手順は、14ステップから、13未満、12未満、11未満、10未満、9未満、8未満、7未満、又は6ステップに減少する。
いくつかの実施態様において、アダプターにライゲーションされている標的DNA断片の50%が無益な産物である他のPTスキームに対して、直線状のベクターにライゲーションされている標的断片のすべてが、後の処理について生産的なものである(例えば、図29A対図29B参照)。いくつかのPT方法において、内部アダプターによる環状化プロセスは、乏しい自己環状化効率のために重大なサンプルの損失を出す可能性があるが、いくつかの開示された実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、適切な長さを有する連結ポリヌクレオチドに既に結合しており、したがって、既に捕捉されている。それ故に、より内部のアダプターを使用して、いくつかの実施態様において最大のライゲーション効率を出すことができる。さらに、T/Aオーバーハング(例えば、図28)を用いて、連結ポリヌクレオチド及びアダプターの自己ライゲーションを減少させることができる。
いくつかの実施態様において、ニックの入った連結ポリヌクレオチドは、より小さい挿入物サイズ、約100bpまで小さいものを取り扱うことができるが、既存のPTライブラリーワークフローは、600bpより小さい挿入物サイズで機能しない。例えば、連結ポリヌクレオチドの存在によって、長さがより短いために容易に環状化しない関心対象のポリヌクレオチドが環状化できるように、関心対象のポリヌクレオチドの長さを効果的に増加させる。いくつかの実施態様において、これは、50bpの配列決定化学などのより長い読み取りのための配列決定化学と合わせた場合に特に有利であり、それによって、約100bpのサイズのポリヌクレオチドの全体を配列決定することが可能になる。それ故に、種々の本明細書に記載されている実施態様は、配列決定化学を更に変化させることなく、100bp読み取り(各タグについて50bp)の能力をもたらすことができる。いくつかの実施態様において、より長い読み取りによって、新規の配列決定が可能となる。
上記で概説した多数の態様に照らして、開示された実施態様が、既存のPTライブラリー作製における重大な障害であるステップに取り組むことができる一方で、同時に、より高い効率及び優れたサンプル回収率をもたらすことができることは明らかである。図29A及び29Bは、他の技術を用いて対をなすタグのライブラリーを製造するための種々の技術(図29Bに示す)を超えるいくつかの本明細書において開示された実施態様(図29A)のいくつかの利益を更に表す。いくつかの本明細書に記載されている実施態様が、すべてのライゲーション反応から有用な産物をもたらすが(図29A)、対をなすタグのライブラリーを製造するための他のアプローチは、ライゲーション産物の50%のみに有用な産物をもたらす(図29B)。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されている種々の方法及び部分を、対をなすタグのライブラリーを製造するのに使用できるSupport Oligo Ligation Detection(SOLiD(商標))キットに関して使用することができる。
多くの上記図面中の実施態様は、P1及び/又はP2プライマーアダプターを含むものとして描写されているが、いくつかの実施態様において、これらの実施態様におけるアダプターは、プライミング部位を含まない。それ故に、P1及びP2プライマーアダプターが一般的なアダプターに置き換えられている別の実施態様も考慮され、本明細書に開示される。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されている方法によって、サイズが制限されない対をなすタグの生産が可能になる。いくつかの実施態様において、前記方法によって、IIs型又はIII型制限酵素によって処理されない対をなすタグの生産が可能になる。それ故に、いくつかの実施態様において、方法及び/又はキットは、IIs型又はIII型制限酵素を含まない。いくつかの実施態様において、このことによって、IIs型又はIII型制限酵素によって処理されていない末端を含む対をなすタグの生産が可能になる。それ故に、いくつかの実施態様において、対をなすタグの末端上の1又は複数の配列は、IIs型又はIII型制限酵素による切断から生じる配列ではない。これには、後に平滑にされるか又は他の方法で操作されるIIs又はIII型切断部位が含まれる。いくつかの実施態様において、対をなすタグは、IIs型及び/又はIII型制限部位を欠く。
上述したものは、対をなすタグの生産のための種々の実施態様に含まれるコンセプトを設定するが、以下のセクションにて、種々の具体的な実施態様を説明し、技術を更に説明するために具体的な例を提案する。
(関心対象の二本鎖ポリヌクレオチド)
関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドは、細胞の又は組織の核酸サンプル、予めクローン化した断片のサブクローン、mRNA、化学合成された核酸、ゲノムの核酸サンプル、核酸ライブラリーから得られた核酸分子、特異的な核酸分子、及び核酸分子の混合物などのいずれの供給源に由来することができる。開示された方法のいくつかの実施態様は、特に、ライブラリーにて示される核酸分子の複合混合物から開始した核酸分子のライブラリーを生産するのに適している。例えば、cDNAを、細胞のサンプル中のmRNAのすべてから生産することができ、該cDNAを使用して、cDNAライブラリーを製造できるか、又はゲノムDNAのライブラリーをゲノムの核酸サンプルから製造できる。
いくつかの実施態様において、特徴付けられる核酸配列は、ゲノムであってもよい。ゲノムは、細胞又は生物のゲノムDNAである。いくつかの実施態様において、ゲノムは、原核生物、真核生物、植物、ウイルス、真菌、又はその単離した細胞のものであってもよい。他の実施態様において、ゲノムは、既知の(予め特徴付けられたか、又は配列決定された)ゲノムであってもよい。他の実施態様において、ゲノムは、未知の(予め特徴付けられていないか、又は配列決定されていない)ゲノムであってもよい。いくつかの実施態様において、ゲノムを特徴付けることは、ゲノムの核型分析を含むことができる。核型分析は、細胞又は生物のゲノムの分析である。他の実施態様において、ゲノムを特徴付けることは、異なる供給源由来の2又はそれ以上の核酸配列間の違いを同定する多型の発見又は遺伝子型同定を含む。
関心対象のポリヌクレオチド、核酸又はDNAは、基本的に、既知の又は未知の配列のいずれの核酸であってもよい。例えば、関心対象のポリヌクレオチド、核酸又はDNAは、ゲノムDNA又はcDNAの断片であってもよい。配列決定によって、関心対象の分子の全体の又は一部の配列が決定される。関心対象の分子を、ランダムに断片化された一次の核酸サンプルから得ることができる。関心対象の分子を、増幅に適した関心対象のポリヌクレオチド断片に、例えば、関心対象の各断片末端に普遍的な増幅配列を設置することによって、加工することができる。また、関心対象の分子を、cDNAへの逆転写によって、一次のRNAサンプルから得ることもできる。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、二本鎖DNA(dsDNA)の形態(例えばゲノムDNA断片、PCR及び増幅産物など)で生じることができる。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、一本鎖の形態で、DNA又はRNAとして生じ、dsDNAの形態に変換できる。一例として、mRNA分子を、本発明の方法での使用に適した二本鎖cDNAに、本技術分野において周知の標準的な技術を用いてコピーすることができる。一次のポリヌクレオチド分子の正確な配列は、概して、本発明の材料ではなく、既知であっても、未知であってもよい。
対をなすタグ又は対をなす読み取りを、いずれの長さの断片、例えば2〜10KbのPCR増幅産物又は細菌もしくは他の生物学的供給源から単離したDNAクローン上で得ることができる。標的は、約40kBのフォスミド(phosmid)分子の末端又は約100〜200kBの細菌人工染色体(BAC)の末端であってもよい。そのような供給源由来のポリヌクレオチドの末端は、各々の断片化されていないポリヌクレオチドの末端から読み取りを得るために、断片化することなく配列決定できるか、又はポリヌクレオチドを断片化することができる。断片化されているポリヌクレオチドを、例えばゲル電気泳動によって、標的断片サイズ上での狭いサイズ分布を得るために、選択することができる。サンプル全体にわたって空間が空けられた対をなす読み取りを、予め配列決定していないサンプルの新規のアセンブリのために加えて、参照ゲノムが利用可能である場合にサンプルを再び配列決定するためのツールとして使用できる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されている方法は、分子の末端における配列の知識が望ましい場合に、いずれの供給源から得られた核酸分子と共に使用するのに適している。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、DNA分子であってもよい。いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、生物の全遺伝子の補完を表すことができ、イントロン及びエキソン配列(コード配列)の両方に加えて、プロモーター及びエンハンサー配列などの非コード制御配列を含むゲノムDNA分子であってもよい。ゲノムDNA分子を使用する実施態様において、ゲノムの幅広い分析又は全ゲノムの分析を達成できる。しかしながら、例えば、特定の染色体などのポリヌクレオチド配列又はゲノムDNAの特定のサブセットも使用できることが予想される。いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドの配列は既知でなくてもよい。いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、ヒトゲノムDNA分子であってもよい。関心対象のDNA分子を、いずれのランダムな断片化プロセスの前又は後に、アダプター配列のライゲーションの前又は後に、化学的に又は酵素的に処理することができる。ランダムな断片化とは、順序付けられていない様式での酵素的な、化学的な又は機械的な手段によるポリヌクレオチド分子の断片化を指す。そのような断片化方法は、本技術分野において既知であり、標準的な方法を利用するものである(Sambrook及びRussell,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,third edition)。ランダムな断片化を、切断を含むか、かつ/又は囲むヌクレオチドの配列同一性又は位置に無関係の断片を生産するように設計する。ランダムな断片化を、噴霧又は超音波処理などの機械的な手段によって達成でき、例えば、約50塩基対の長さ〜約3000塩基対の長さ、特に50〜2000塩基対の長さ、特に50〜1500塩基対の長さ、特に50〜1000塩基対の長さ、特に50〜700塩基対の長さの断片を生じることができる。いくつかの実施態様において、前記方法を使用して、約1000〜2000塩基対の長さの断片を生成することができる。いくつかの実施態様において、前記方法を用いて、約500〜1000塩基対の長さの断片を生成することができる。いくつかの実施態様において、方法を用いて、約50〜150塩基対の長さの断片を生成することができる。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドを、特定のサイズのポリヌクレオチド断片について選別するサイズ選別方法に付すことができる。サイズ選別方法は、本技術分野において既知であるいずれの種々のサイズ選別方法であってもよく、ゲル電気泳動などの電気泳動、並びにHPLC及びサイズ排除クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、例えば、約50塩基対の長さ〜約3000塩基対の長さ、特に50〜2000塩基対の長さ、特に50〜1500塩基対の長さ、特に50〜1000塩基対の長さ、及び特に50〜700塩基対長さの断片をサイズ選別方法によって選別する。いくつかの実施態様において、前記方法を用いて、約1000〜2000塩基対の長さの断片を選別することができる。いくつかの実施態様において、前記方法を用いて、約100〜1000塩基対の長さの断片を選別することができる。いくつかの実施態様において、サイズ選別方法を用いて、約50〜150塩基対の長さの断片を選別することができる。
本明細書に記載されている種々の実施態様において、核酸配列を断片化して、5’末端及び3’末端を有する複数の核酸配列断片を生産することを含む、核酸配列を特徴付ける方法が提供される。機械的な手段(例えば噴霧、超音波処理及びハイドロシヤー(Hydroshear))によるポリヌクレオチド分子の断片化によって、平滑並びに3’及び5’オーバーハング末端の異種の混合物を有する断片が生じる。断片の末端を、本技術分野において既知である方法又はキット(Lucigen DNA terminator End Repair Kitなど)を用いて修復して、例えば、平滑末端を有するアダプターにライゲーションするのに最適な末端を生成することができる。例えば、SmaIなどの種々の制限エンドヌクレアーゼを使用して、平滑末端を生じることができる。いくつかの実施態様において、核酸の集団の断片の末端は平滑末端化されている。
図1に示すものなどのいくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、5’リン酸残基を5’及び3’末端の両方にて欠く。図1に示す関心対象のポリヌクレオチドは、平滑末端を有すると思われ、他の実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、1つの粘着末端及び1つの平滑末端、2つの粘着末端、又は2つの平滑末端を有することができる。いくつかの実施態様において、アダプターは、1つの粘着末端及び1つの平滑末端、2つの粘着末端、又は2つの平滑末端を有することができる。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドを、5’リン酸残基を欠く少なくとも1つの末端を備えて調製する。例えば、5’リン酸残基を、DNA、RNA、リボ−及びデオキシリボヌクレオシド三リン酸からの5’リン酸基の除去を触媒するアルカリホスファターゼの活性によって除去できる。アルカリホスファターゼによるポリヌクレオチド断片の処理は、
Figure 2011509095
の通りである。それ故に、5’リン酸残基を関心対象のポリヌクレオチドの5’末端から除去できる。適したアルカリホスファターゼの例としては、仔牛腸アルカリホスファターゼ、細菌アルカリホスファターゼ、エビアルカリホスファターゼ、南極ホスファターゼ、及び胎盤アルカリホスファターゼが挙げられる。当業者に明らかであるように、ニックを導入できるか、又は関心対象のポリヌクレオチドの環状化から生じさせることができる種々の方法がある。そのような技術から必要とされていることは、ニックが環状化した核酸配列に存在することである。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドの末端を修飾できる。例えば、関心対象のポリヌクレオチドに結合するアダプターが1又は複数のチミンを含む場合、1又は複数のアデニンを付加することができる。いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、そのリン酸残基を保持する。
(アダプター、環状化及びニック導入)
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドを、1又は複数のアダプターをポリヌクレオチドの末端に付着させることによって、曝された末端から5’リン酸を効果的に除去するように修飾する。例えば、1つの鎖において5’リン酸残基を欠くアダプターを、関心対象のDNA断片の末端にライゲーションすることができる。いくつかの実施態様において、アダプターは、関心対象のポリヌクレオチドの末端に対して少なくとも1つの適合性の末端を有する。いくつかの実施態様において、アダプターは、1つの平滑末端、2つの平滑末端、2つの粘着末端、又は2つの平滑末端を有することができる。いくつかの実施態様において、アダプターの1つの末端が粘着性であってもよく、5’リン酸残基を欠くことができ、アダプターの他の末端が平滑であってもよい。他の実施態様において、第1のアダプターを、関心対象のポリヌクレオチドの1つの末端に付着させることができ、第1のアダプターとは異なる配列を有する第2のアダプターを、関心対象のポリヌクレオチドの他の末端に付着させることができる。第1のもしくは第2のアダプターのいずれか、又は第1の及び第2のアダプターの両方が、1つの鎖において5’リン酸残基を欠くことができる。いくつかの実施態様において、アダプターを、関心対象のポリヌクレオチドに、例えば、ライゲーションによって付着させることができる。
当業者に明らかであるように、いくつかの実施態様において、アダプターは、いずれの長さのいずれのヌクレオチド配列も含むことができる。いくつかの実施態様において、アダプターを、関心対象のポリヌクレオチド又は別のアダプターにライゲーションする際にニック又はギャップを生じるように構成する。いくつかの実施態様において、アダプターを関心対象のポリヌクレオチドに付加する際に、アダプターの濃度が関心対象のポリヌクレオチドよりもはるかに大きい。いくつかの実施態様において、アダプターは、関心対象のポリヌクレオチドよりも短い。いくつかの実施態様において、アダプターは、500塩基未満、例えば、400、300、200、100、50、又はそれよりも少ない塩基の長さである。
いくつかの実施態様において、アダプターは、バーコード配列を含む。アダプターのバーコード配列を、例えば、配列決定又はハイブリダイゼーションなどの方法によって検出できる。いくつかの実施態様において、バーコード配列によって、単一の配列決定の実行下に共に置かれている異なるサンプルの同定が可能となる。例えば、独特なバーコード配列を有する2、3、4、5、6、7〜10、10〜50、50〜100、100〜200、200〜500、500〜1000、又はそれより多い異なるサンプルを共に単一の配列決定の実行下に置くことができる。対をなすタグのメンバーを、対をなすタグの特定のアダプターと関連した独特なバーコード配列を用いて、同定することができる。いくつかの実施態様において、バーコードは、アダプターと分離されているが、対をなすタグに含まれる。いくつかの実施態様において、バーコードは、2つのアダプターの間に位置する。いくつかの実施態様において、バーコードは、1つよりも多いアダプター中にある。
いくつかの実施態様において、アダプターは、結合部分と連結している。
いくつかの実施態様において、アダプター(1、2、3、又はすべてのアダプター)は、制限酵素結合部位を含まない。例えば、いくつかの実施態様において、アダプター(環状化した核酸分子中の1又は複数のアダプター)は、EcoP15I及びMmeI制限部位を欠く。それ故に、いくつかの実施態様において、特異的な配列に結合する制限酵素を添加することによって、環状化した核酸分子の切断が生じない。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドのアダプターへの付着は、例えば、ライゲーション又はアニーリングによって生じることができる。図1において、環状の核酸分子は、環状の核酸分子の異なる鎖のそれぞれの上に1つのニックを有する。例示した実施態様において、ニックは、最初に、アダプターと関心対象のポリヌクレオチドの間に位置する。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドの末端及びアダプターの配列が、関心対象のポリヌクレオチドのアダプターへの付着により、図7に示すように、少なくとも1つのギャップが関心対象のポリヌクレオチドとアダプターとの間に形成できるようなものであってもよい。ギャップが関心対象のポリヌクレオチドとアダプターとの間にあるいくつかの実施態様において、ギャップを挟むポリヌクレオチド鎖の5’末端が、依然として、5’リン酸残基を有することができる。これは、ギャップを導入する場合、5’リン酸残基の存在が、ニックトランスレーション反応に影響しないからである。ギャップが関心対象のポリヌクレオチドとアダプターとの間にあるいくつかの実施態様において、ギャップを挟むポリヌクレオチドの鎖の5’末端が、5’リン酸残基を欠くことができる。換言すれば、図7に示すように、ギャップの3’末端におけるポリヌクレオチド鎖が5’リン酸残基を欠くことができる。ギャップの3’末端におけるポリヌクレオチド鎖が5’リン酸残基を欠く必要はない。いくつかの実施態様において、ギャップの3’末端におけるポリヌクレオチド鎖は、5’リン酸残基を欠いていない。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子は、1つのニック、1つのギャップ、向かい合う鎖上の2つのニック、1つの鎖上のニック及び向かい合う鎖上のギャップ、又は向かい合う鎖上の2つのギャップを有することができる。
いくつかの実施態様において、対をなすタグのクローンの調製において、アダプター配列の第1のセットを、図3に示すように、関心対象のポリヌクレオチド断片に付着させることができる。関心対象のポリヌクレオチドのアダプターへの付着は、例えば、ライゲーション又はアニーリングによって生じることができる。図に示される実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドは、アダプター1の平滑末端にライゲーションされている平滑末端を有する。他の実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドの一つの末端を第1のアダプター1にライゲーションすることができ、関心対象のポリヌクレオチドの他の末端を第2のアダプター1にライゲーションすることができ、第1の及び第2のアダプター1は、同じ又は異なる配列を有することができる。図3において、アダプター1は、その粘着5’末端において5’リン酸残基を欠く。生じた分子は、5’末端のリン酸残基を欠く粘着末端を有する。次に、この分子の両方の粘着末端を、アダプター2の末端にライゲーションし、それによって、図3に示すように、向かい合う鎖上にニックを有する環状の核酸分子を形成する。ニックが、第1のアダプターの末端と第2のアダプターとの間に存在する。いくつかの実施態様において、アダプター1及びアダプター2の配列は、アダプター2がアダプター1にライゲーションされたときに、少なくとも1つのギャップがアダプター1とアダプター2の間に形成されるようなものである。ギャップがアダプター1とアダプター2の間にあるいくつかの実施態様において、ギャップを挟むポリヌクレオチド鎖の5’末端は、必要ではないが、5’リン酸残基を有することができる。換言すれば、ギャップの3’末端におけるポリヌクレオチド鎖は、必要ではないが、5’リン酸残基を有することができる。いくつかの実施態様において、環状の核酸は、1つのニック、1つのギャップ、向かい合う鎖上の2つのニック、1つの鎖上のニック及び向かい合う鎖上のギャップ、又は向かい合う鎖上の2つのギャップを有することができる。いくつかの実施態様において、アダプター1は、1つの粘着末端及び1つの平滑末端、2つの粘着末端、又は2つの平滑末端を有することができる。アダプター2は、1つの粘着末端及び1つの平滑末端、2つの粘着末端、又は2つの平滑末端を有することができる。第1のアダプター1及び第2のアダプター1は、両方とも、少なくとも1つの5’リン酸残基を欠くことができる。
いくつかの実施態様において、ニックを環状の核酸分子に導入する。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子に導入したニックの位置は、ランダムであってもよい。いくつかの実施態様において、環状の核酸分子を、ニッキング制限酵素のための認識部位を有するように設計することができる。いくつかの実施態様において、ニッキング制限酵素の制限部位を含有するアダプターを、関心対象のポリヌクレオチドの1つの又は両末端にライゲーションして、アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを作製することができる(図8)。次に、図8に示すように、アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを、別のアダプターを用いて、環状化することができる。他の実施態様において、ニッキング制限酵素部位を両末端に有するアダプターを、関心対象のポリヌクレオチドの両末端にライゲーションして、環状の核酸分子を形成することができる。環状の核酸分子に導入された部位に特異的なニッキング制限酵素を使用して、一つの鎖において、各ニッキング制限酵素部位の下流で、ニックを生じさせることができる(図9)。
ニッキング制限酵素は、本技術分野において既知であり、該ニッキング酵素としては、例えば、EcoP15I、Nb.BbvCI、Nb.BsmI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BstNBIが挙げられるが、これらに制限されない。EcoP15I及びMmeIなどの制限酵素を、ニッキング酵素に既存の戦略を用いて設計することができる。(Heiter,DF.et al,2005,J.MoI.Biol.,348,631−640;Samuelson,J.C.,et al NAR,32:3661−3671;Zhu,Z.et al.2004,J.Mol Biol.337:573−583)。
いくつかの実施態様において、対をなすタグのクローンの調製において、トポイソメラーゼ(Topo)を使用して、環状化効率を改善することができる。IA型、IB型、II型等を含めた種々のトポイソメラーゼを使用できる。いくつかの実施態様において、トポイソメラーゼは、トポイソメラーゼIであってもよい。いくつかの実施態様において、Topo結合部位を有するアダプターを使用することができる(「Topo結合アダプター」)。Topo結合部位配列は、使用する特定のトポイソメラーゼに依存する。いくつかの実施態様において、Topo結合部位は、YCCTTであるか、又はYCCTTを含み、Yは、C又はTでありうる。いくつかの実施態様において、アダプターは、1つの又は両方の鎖の3’末端にTopo結合部位を有することができる。他の実施態様において、Topo結合アダプターは、アダプターの各鎖の3’末端にTopo結合部位を有することができる。いくつかの実施態様において、Topo結合アダプターは、1つの又は両方の鎖の3’末端のTopo結合部位を超えて伸長する1又は複数の余分な塩基を有する。Topo結合アダプターは、平滑末端、粘着末端、又は1つの平滑末端及び1つの粘着末端を有することができる。
いくつかの実施態様において、Topo結合アダプターは、1つの又は両方の鎖上にギャップ又はニックを有する。Topo結合アダプターの例を、図10に示す。図10に示すように、向かい合う鎖上にギャップ又はニックを有するTopo結合アダプターは、4つのオリゴヌクレオチド、Topo−IA−A−1、Topo−IA−B−1、Topo−IA−A−2及びTopo−IA−B−2を合わせることによって形成される。オリゴヌクレオチドTopo−IA−B−1及びTopo−IA−A−2は、それぞれ、3’末端にTopo結合部位を有し、5’リン酸を欠く。図示した実施態様において、Topo−IA−A−1は、結合部分であるビオチンに連結している。生じたTopo結合アダプター(図10の下部に示される)は、両方の鎖の3’末端にTopo結合部位、向かい合う鎖上にニック、ギャップ/ニックを有し、ビオチンに連結している。
トポイソメラーゼのTopo結合アダプターへの添加によって、図11に示すように、トポイソメラーゼ−アダプター複合体を生成できる。当業者に明らかであるように、複合体形成の間に、トポイソメラーゼIは、Topo結合部位においてアダプターに共有結合する(例えば、Shuman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.88,pp.10104−10108,1991参照)。アダプターの鎖における5’YCCTT部位の後のホスホジエステル骨格が壊れ、ホスホチロシル結合が、切断した鎖の3’リン酸とトポイソメラーゼIのTyr274残基との間に生じる(図11)。ホスホチロシル結合を、後に、脱リン酸化したポリヌクレオチドの5’ヒドロキシル基によって攻撃できる(図12)。いくつかの実施態様において、DNA挿入断片(いくつかの実施態様においてライブラリー構成のために使用することができる)を脱リン酸化し、Taq又はオーバーハングを生成するためのいずれの他の適切な方法を用いて、関連したヌクレオチドで3’テーリングをすることができる。当業者に明らかであるように、トポイソメラーゼとアダプターとの間の特異的な結合反応は、使用した特定のトポイソメラーゼに応じて変化する。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドを脱リン酸化することができる。関心対象のポリヌクレオチドの脱リン酸化の例は上記で説明している。いくつかの実施態様において、脱リン酸化した関心対象のポリヌクレオチドを望ましいヌクレオチドで3’テーリングする。3’テーリングは、オーバーハングを生成するための種々の方法を用いて行うことができる。いくつかの実施態様において、Taqを使用して、脱リン酸化した関心対象のポリヌクレオチドを3’テーリングして、オーバーハングを生成する。いくつかの実施態様において、1又は複数のヌクレオチドを、関心対象のポリヌクレオチドの1つの又は両方の鎖の3’末端に付加できる。いくつかの実施態様において、単一のヌクレオチドを、関心対象のポリヌクレオチドの各鎖の3’末端に付加できる。図12に示す実施態様において、脱リン酸化した関心対象のポリヌクレオチドは、各鎖の3’末端に単一のAオーバーハングを有する。
いくつかの実施態様において、トポイソメラーゼ−アダプター複合体を、脱リン酸化した関心対象のポリヌクレオチドと結合させる。脱リン酸化した関心対象のポリヌクレオチドの5’ヒドロキシル基は、図12に示すように、トポイソメラーゼ−アダプター複合体のホスホチロシル結合を攻撃できる。アダプターと関心対象のポリヌクレオチドとを含む環状の核酸分子を、図13に示すように形成する。いくつかの実施態様において、環状の核酸は、アダプター内の向かい合う鎖上にニックを有することができる。
上述したように、いくつかの実施態様において、1つを超えるアダプターを使用できる。さらに、いくつかの実施態様において、連結ポリヌクレオチドを使用して、第1の及び第2のアダプターを連結し、それによって、ニックの入った連結ポリヌクレオチドを形成することができる。いくつかの実施態様において、環状化を、少なくとも2つのアダプターによって達成する。いくつかの実施態様において、内部アダプターも、プロセス中の後のポイントで使用する(例えば、図27及び28)。
上述したように、いくつかの実施態様において、ニックは、アダプターと関心対象のポリヌクレオチドとの間に存在する。いくつかの実施態様において、ニックは、ニックの入ったベクターに存在する。いくつかの実施態様において、ニックは、アダプターと関心対象のポリヌクレオチドとの間に位置しないが、アダプターと連結ポリヌクレオチドとの間に位置する。いくつかの実施態様において、ニックを、ギャップに広げて、一本鎖に特異的なエンドヌクレアーゼ(又はエキソヌクレアーゼ)による消化効率を増加させることができる。
いくつかの実施態様において、アダプターを、リン酸基を欠くように修飾し、したがって、アダプターが連結ポリヌクレオチドに連結されると、ニック及び/又はギャップが形成される。いくつかの実施態様において、ニック及び/又はギャップは、関心対象のポリヌクレオチドとアダプターとの間にある。いくつかの実施態様において、ニック及び/又はギャップは、連結ポリヌクレオチドとアダプターとの間にある。いくつかの実施態様において、ニック及び/又はギャップは、関心対象のポリヌクレオチド内にある。いくつかの実施態様において、ニック及び/又はギャップは、連結ポリヌクレオチド内にある。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドの環状化は、関心対象のポリヌクレオチドの末端及び/又はアダプターを修飾することを伴うことができる。いくつかの実施態様において、修飾によって、ニックの入った連結ポリヌクレオチドが自己ライゲーションする可能性を減少させる。いくつかの実施態様において、修飾は、1又は複数のヌクレオチド(例えば、チミン)の、ニックの入った連結ポリヌクレオチドのアダプター部分の末端への付加である。追加のヌクレオチドを、自己ライゲーションの可能性を減少させるように選択する(例えば、末端が互いにハイブリダイズしない)。当然、関心対象のポリヌクレオチドを、修飾したアダプターの末端にハイブリダイズするように修飾する。いくつかの実施態様において、放出された対をなすタグの末端も、修飾できる(内部アダプターの末端が適切に同様に修飾されている)。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されているように、ニックをギャップに転換し、次に、プロセスを、より小さいニックの代わりにギャップを用いて続ける。いくつかの実施態様において、これによって、一本鎖部分においてより有効に切断して、対をなすタグを放出することが可能になる。
(ニックトランスレーション及び/又はニックの3’側の伸長)
少なくとも1つのニック又はギャップを有する環状の核酸分子の形成後の種々の実施態様において、図2及び図4に示すように、ニックトランスレーション反応を行うことができる。ニックトランスレーション反応は、環状の核酸分子に存在する少なくとも1つのニックを、関心対象のポリヌクレオチド内の位置に転位させる。図4は、図3に示す環状の核酸分子上で行われたニックトランスレーション反応の結果を概略的に示す。ニックトランスレーション反応は、図4に示すように、環状の核酸分子中のニックのそれぞれを、アダプター1を介して、関心対象のポリヌクレオチド内の位置に転位させることができる。
いくつかの実施態様において、ニックトランスレーションを、直線状の核酸分子上で行うことができる。このように、分子は、ニックトランスレーション反応中に環状である必要がない。
ニックトランスレーション反応を行う方法は、当業者に既知である(Rigby,P.W.et al.(1977),J.Mol.Biol.113,237)。種々の適したポリメラーゼを使用して、ニックトランスレーション反応を行うことができ、該ポリメラーゼとしては、例えば、大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼI、Taq DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、Klenow DNAポリメラーゼI、及びphi29 DNAポリメラーゼが挙げられる。使用する酵素に応じて、ニックトランスレーションが、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性又は5’−3’鎖置換によって起こることができる。ギャップが、環状の核酸分子に存在する場合、ギャップが、最初に、5’−3’ポリメラーゼ活性によってヌクレオチドで埋められ、それによって、ニックを生じる。いくつかの実施態様において、活性の低い変異体酵素を、ニックトランスレーション反応に使用する。変異体酵素は、例えば、伸長の低い割合、低い5’−3’エキソヌクレアーゼ活性、低い5’−3’ポリメラーゼ活性、低い5’−3’鎖置換活性、又はそれらの組み合わせを有することができる。いくつかの実施態様において、変異体酵素は、例えば、温度又はpHなどの反応条件に対し感受性である。
当業者に明らかであるように、反応条件を変化させて、ニックトランスレーション生成物の長さを制御することができる。例えば、ニックトランスレーション反応の生成物の長さ、すなわち、ニックを移動させる距離は、反応時間、反応温度、使用するポリメラーゼ、pH、存在するイオン、塩の条件等の反応条件に依存し得る。上述したように、変異体のポリメラーゼを使用でき、該変異体のポリメラーゼとしては、温度感受性ポリメラーゼが含まれる。それ故に、前記方法によって、生成される配列タグの長さを制御することが可能となる。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーションを、切断ステップの前に停止させる。当業者に明らかであるように、ニックトランスレーションを、温度を上昇させる、温度を低下させる、pHを変化させる、存在するイオンを変化させる、塩の条件を変化させる、キレート剤を添加する等によって停止させるか、又は遅くすることができる。
いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応を、5分間、0℃で大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼ1を用いて行う。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応を、約1〜約20分間進行させる。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応を、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20分間、反応を進行させた後、加熱することによって終結させる。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応を、約0℃〜約40℃の温度で行う。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応を、約0℃、4℃、30℃、室温又は37℃で行う。
いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応を、環状化した核酸周辺の望ましい長さの間で継続させることができ、次に、反応を終結させることができる。終結は、例えば、加熱することによるもの又は適切な停止溶液もしくは緩衝液の添加によるものを含めたいずれの多くの適した手段によって行うことができる。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのニックを、少なくとも1塩基、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、16、17、18、19、20、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、800、1000、1500、及び2000又はそれより多い塩基について翻訳することができる。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのニックを、10〜2000塩基の間で翻訳することができる。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのニックを10〜500塩基の間で翻訳することができる。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのニックを10〜200塩基の間で翻訳することができる。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのニックを10〜100塩基の間で翻訳することができる。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのニックを20〜50塩基の間で翻訳することができる。いくつかの実施態様において、いずれの上記範囲の下の方の境界が28塩基である。いくつかの実施態様において、いずれの上記範囲の上の方の境界が2000塩基である。他の実施態様において、ニックトランスレーション反応を、2つの対向するニックが1つの点で出会い、環状の核酸分子において中断を形成するまで継続することができる。
いくつかの実施態様において、ニック及び/又はギャップの一部を含むポリヌクレオチドの末端を、単に移動させるか又は伸張させ、ニックトランスレーション酵素によって翻訳する必要がない。いくつかの実施態様において、アダプターの3’末端を、移動させるか、かつ/又は該末端から伸張させる(例えば、図16及び17に示すように)。いくつかの実施態様において、1又は複数のアダプターを除去し、次に、残存するアダプターの1つから伸長を生じさせる(例えば、図20)。
いくつかの実施態様において、ニック及び/又はギャップの入った環状化した核酸を、エキソヌクレアーゼ消化(5’−3’エキソヌクレアーゼ消化など)に曝すことができる(図16)。このことによって、いくつかの又はすべての関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドが一本鎖となる(それに加えて、任意選択的に、1又は複数のアダプターの鎖を除去する)。この後、生じた産物を、残存する3’末端又はニックの側から伸張させることができる(例えばDNAポリメラーゼによって、図17に示すように)。効果的には、このことによって、たとえ以前にニックを含んでいた5’末端を更に離れたところへ移動させるか(図17)、又は実際に除去した(図20)としても、ニックの3’末端を伸張させるか又は移動させることが可能となる。いくつかの実施態様において、このプロセスは、非常に大きなギャップ構造を伴うと考えることができる。また、このプロセスは、ニックの3’末端又は一部を単に伸長させるか又は移動させると説明することもできる、いくつかの実施態様において、ニックの5’側を含む鎖の一部を、伸長前に消化する。いくつかの実施態様において、消化を、ニックの5’側を含む鎖の一部にて開始する。いくつかの実施態様において、5’末端を含む鎖を、T7エキソヌクレアーゼ又はラムダ・エキソヌクレアーゼなどの5’−3’エキソヌクレアーゼによって消化する。いくつかの実施態様において、エキソヌクレアーゼを必要としない。いくつかの実施態様において、例えば、ヘリカーゼを使用して、ニック及び/又はギャップにてDNAを巻き戻すことができる。いくつかの実施態様において、ヘリカーゼの巻き戻し及びポリメラーゼの3’の伸長を、同じ反応チューブ内で、同時に起こすことができる。5’末端を置換できる他の適切な酵素又はプロセスも使用できる。
「ニックトランスレーション」に関連する本明細書に記載した態様のいずれも、必要に応じて、上述した伸長プロセス(例えば、移動させる塩基の数等)に適用できる。
(ニックの切断及び一本鎖の切断)
上述したように、ニックの関心対象のポリヌクレオチド内への転位によって、関心対象のポリヌクレオチド内の位置での切断が可能になり、それ故に、アダプターとニックとの間のポリヌクレオチド配列の塩基配列の操作が可能になる。いくつかの実施態様において、ニックトランスレーション反応を、切断前に終結させることができる。図5に示すように、ニックトランスレーション反応を終結させた後の環状の核酸分子におけるニックの反対側のポリヌクレオチド鎖の切断によって、2つのタグを含む対をなすタグのクローンを、各関心対象のポリヌクレオチドの末端から「放出する」ことができる。いくつかの実施態様において、放出された対をなすタグを含有する溶液は、対をなすタグ、及び対をなすタグの一部である2つのタグ配列を引いた関心対象のポリヌクレオチドの部分である残存する関心対象のポリヌクレオチドの部分を含むことができる。
いくつかの実施態様において、対をなすタグのクローンは、関心対象のポリヌクレオチドの向かい合う末端からのタグ(第1の及び第2のタグ)によって挟まれた少なくとも1つのアダプターを含む。図5に示す対をなすタグは、両側でアダプター1によって挟まれたアダプター2を含む。図5中の対をなすタグの末端領域は、関心対象のポリヌクレオチドの向かい合う末端からの配列タグを含む。ニックの反対側の鎖の切断は、種々の適したヌクレアーゼによって行うことができ、該ヌクレアーゼとしては、例えば、S1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼP1、及びヌクレアーゼBAL−31が挙げられるが、これらに制限されない。いくつかの実施態様において、ニックの反対側のポリヌクレオチド鎖を切断できる。
鎖置換酵素を使用して、ニックを関心対象のポリヌクレオチドに移動させる場合、置換した鎖も、S1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼP1又はヌクレアーゼBAL−31によって消化できる。
いくつかの実施態様において、環状化した核酸分子を、他のニックに遭遇するまで核酸分子の周囲にニックトランスレーションを生じさせることによって切断し、それによって、自己切断した分子をもたらす。そのようなものとして、いくつかの実施態様において、全体の関心対象のポリヌクレオチドが、約半分が第1のタグであり残りの半分が第2のタグである対をなすタグ上にあってもよい。当業者に明らかであるように、そのような対をなすタグは、関心対象のポリヌクレオチドの最初のサイズに応じて、比較的大きいものであってもよい。それ故に、いくつかの実施態様において、ニックトランスレーションステップにて放出された対をなすタグを生じさせるのが望ましい場合、適切なサイズにした関心対象のポリヌクレオチドから始めることができる。例えば、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、又は100塩基未満の長さである関心対象のポリヌクレオチドから始めることができ、それによって、500、450、400、350、300、250、200、150、100、又は50塩基未満の長さであるタグを生じさせることができる。
本明細書に記載されているように、いくつかの実施態様において、単一のホスホジエステル結合がニックにおいて欠損するよりもむしろ、ギャップが存在する。いくつかの実施態様において、このことによって、放出された対をなすタグを作製するより有効な処理及び切断が可能となる。いくつかの実施態様において、ギャップを、鎖の末端に効果的に伸長させ、それ故に、全体の関心対象のポリヌクレオチドが一本鎖である。そのような実施態様において、末端が一本鎖であることから、エキソヌクレアーゼ及び/又はエンドヌクレアーゼを使用して、対をなすタグを放出することができる。
いくつかの実施態様において、関心対象のポリヌクレオチドを切断して、放出された対をなすタグを形成することは、別個の切断する酵素を必要としない。例えば、図19〜21中の実施態様に示すように、いくつかの実施態様において、5’−3’エキソヌクレアーゼが、環状の分子を線状にするまで、環状化した分子を消化できるようにすることができる。いくつかの実施態様において、一本鎖の関心対象のポリヌクレオチドを、依然として、一本鎖に特異的なエキソヌクレアーゼによって除去することができる(例えば、図21に示すように)。
(対をなすタグの更なる処理)
いくつかの実施態様において、対をなすタグのクローンを、本技術分野において既知である種々の方法によって精製して、不必要な分子を除去することができる。いくつかの実施態様において、対をなすタグのクローン中のアダプターを、結合部分に連結させることができる。結合部分は、例えば、ビオチンなどの、アダプターに結合させることができるいずれの結合部分であってもよい。結合部分を、例えば、対をなすタグのクローンを固体の支持体に付着させるために使用することができる。固体の支持体は、例えば、アレイ又はマイクロアレイであるが、これらに制限されない。いくつかの実施態様において、固体の支持体は、マイクロアレイ上のビーズである。結合部分を組み込む核酸分子を、例えば、ストレプトアビジンといった、結合部分に特異的に結合する精製する部分の使用などの、本技術分野において既知である多くの方法を用いるアフィニティー捕捉によって、精製することができる。アフィニティー捕捉方法は、典型的には、固体表面、磁性ビーズ、又は半固体ビーズ又は樹脂などの基材に付着させた捕捉試薬の使用を伴う。
いくつかの実施態様において、1又は複数のプライマーアダプターを、対をなすタグのクローンの1又は複数の末端に付着させることができる。図6において、プライマーアダプターP1及びP2が、対をなすタグのクローンの末端に付着している。プライマーアダプターを種々の目的のために使用することができる。例えば、対をなすタグを、プライマーアダプターを用いて増幅することができる。いくつかの実施態様において、増幅は、例えば、エマルジョン・ポリメラーゼ連鎖反応(エマルジョンPCR)、ブリッジ・ポリメラーゼ連鎖反応(ブリッジPCR)、又はそれらの組み合わせなどのクローナルな増幅であってもよい。いくつかの実施態様において、プライマーアダプターを、図6に示すように、対をなすタグのクローンの少なくともの一部を配列決定するために使用することができる。
いくつかの実施態様において、後の又は追加のニックトランスレーション反応を、対をなすタグのクローン上で行うことができる。例えば、プライマーアダプターがリン酸化されていない場合、追加のニックトランスレーションを、対をなすタグのクローンの末端にプライマーアダプターを付着させて、例えば、次のPCR増幅を容易にした後に行うことができる。
当業者に明らかであるように、関心対象のポリヌクレオチドからの対をなすタグのクローンの生産は、多くの用途を有する。例えば、関心対象のポリヌクレオチドの迅速な特徴付けを可能にする。いくつかの実施態様において、核酸配列を特徴付けることは、核酸配列から生産された対をなすタグを配列決定することを含む。配列決定方法は、本技術分野において標準的なものであり、例えば、マクサム及びギルバート技術又はサンガー方法を用いる従来の配列決定、又は例えばチップ上の既知のオリゴヌクレオチドのアレイ又はマイクロアレイへのハイブリダイゼーションによるものがある。別のアプローチは、プライマー−関心対象のポリヌクレオチド複合体を、例えば、ポリマー、磁性ビーズ、又は固体表面などの基材に固定化し、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼを用いて、添加生成物を特徴付けてDNA配列を決定することができるような標識した基質の存在下で、伸張させる合成方法によって配列決定することを含む。いくつかの実施態様において、対をなすタグを製造するための種々の実施態様は、関心対象のポリヌクレオチド又はその一部を、Support Oligo Ligation Detection (SOLiD(商標))配列決定又は他の大規模平行配列決定技術のために調製するのに有益であり得る。
(更なる実施態様)
対をなすタグのライブラリーを調製する方法及びライブラリー自体を検討する。いくつかの実施態様において、前記方法は、核酸配列を断片化して、5’末端及び3’末端を有する複数のポリヌクレオチド断片を製造することを含む。1又は複数のアダプターを、各ポリヌクレオチド断片の末端に連結して、ニック又はギャップがアダプターとポリヌクレオチド断片との間に導入されている複数の環状の核酸分子を製造することができる。いくつかの実施態様において、ニック又はギャップが、ポリヌクレオチド断片の各末端とアダプターとの間に存在する。対をなすタグのライブラリーのために環状の核酸分子を調製するに当たって、上述したいずれの方法も使用できる。ニックトランスレーション反応を、環状の核酸分子上で行って、対応するポリヌクレオチド断片内に存在する少なくとも1つのニックをそれぞれ有する複数の環状の核酸分子を製造することができる。生じた環状の核酸分子を、ニックの反対側の地点で切断して、対をなすタグのクローンを放出し、それによって、対をなすタグのライブラリーを製造することができる。
いくつかの実施態様において、ライブラリーは、内部アダプターを使用する。
(キット)
いくつかの実施態様において、対をなすタグを作製するためのキットが提供される。キットは、関心対象のポリヌクレオチドをアダプターにライゲーションして、関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の第1のニック又はギャップと、関心対象のポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の第2のニック又はギャップとを有する環状の核酸分子を形成するための試薬と、ニックトランスレーション反応を行う試薬を含むことができる。いくつかの実施態様において、増幅試薬は含まれない。さらに、説明書及びゲノムアセンブリの案内書のセットを含むことができる。そのような材料は、例えば、印刷された形態又はデジタルの形態であってもよい。いくつかの実施態様において、環状化した核酸分子に関連したニックを含めるように、関心対象のポリヌクレオチドの5’又は3’末端又はアダプターを調節する酵素又は成分が含まれる。
いくつかの実施態様において、キットは、連結ポリヌクレオチド及び該ポリヌクレオチドにライゲーションされている2つのアダプターを含むニックの入った連結ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様において、キットは、これらの3つの部分を含むが、これらの部分は、共にライゲーションされていない。いくつかの実施態様において、キットは、図22〜28に示すような、ポリヌクレオチドの迅速な操作を可能にする、ビオチン/ストレプトアビジン部分などの結合部分(又はいずれの他の連結する組み合わせ)を含む。いくつかの実施態様において、キットは、SOLiD(商標)ベースのプロセスのためのプライマーを含む。いくつかの実施態様において、図22〜28に示すように、SOLiD(商標)プライマーは、P1及び/又はP2における鎖の1つの少なくとも一部に相補的である。いくつかの実施態様において、キットは、1又は複数の内部アダプターを含む。いくつかの実施態様において、キットは、ライゲーション、ニックトランスレーション、3’末端の伸長、粘着末端の付加、一本鎖切断酵素(エンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼを含む)、PCR増幅のための1又は複数の酵素、エマルジョンPCRのための成分、及びSOLiD(商標)配列決定のための成分を含む。いくつかの実施態様において、キットは、いずれの1又は複数の本明細書に記載されている酵素及び/又はポリヌクレオチドを含む。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法によって製造された対をなすタグのクローンの配列決定の結果を比較するコンピュータープログラムが含まれる(又は別個に提供できる)。いくつかの実施態様において、プログラムは、対をなすタグのライブラリー由来の対をなすタグのクローンからの配列情報を同定し、構築する。このように、単一の完全な、非常に正確な配列をプログラムによって提供できる。いくつかの実施態様において、プログラムは、本明細書に記載されている方法のいずれも実施する。
本技術の実施態様は、以下の実施例に照らして更に理解されるものであるが、これらの実施例は、本技術の範囲を制限するものとして何ら解釈すべきではない。
(実施例1)
本実施例は、対をなすタグのクローンを製造する1つの方法を例示する。
プラスミドDNA pUC19を制限酵素SmaIで線状にし、関心対象のポリヌクレオチドのモデルDNAとして使用した。アダプター1を、関心対象のDNAポリヌクレオチドの末端にライゲーションした。生じたコンストラクトを、アダプター2とライゲーションすることによって環状化した。アダプター2を、ビオチンで標識して、下流の精製を容易にした。環状DNAの半分を、5分間0℃で大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼIを用いるニックトランスレーション反応に使用した。環状DNAの残りの半分を、ニックトランスレーションをしていないコントロールとして保存した。ニックトランスレーションしたDNA及びニックトランスレーションしなかったコントロールを、S1ヌクレアーゼを用いて、37℃で15分間消化した。S1で消化されたDNAを、末端修復し、次いで、ストレプトアビジン磁性ビーズに結合させることによって精製し、P1及びP2プライマーアダプターとライゲーションした。生じたDNAをP1及びP2プライマーを用いてPCR増幅した。
PCR産物を、アガロースゲルで分析した。予想通り、ニックトランスレーション反応の生成物のPCR産物は、コントロールの反応のPCR産物より長かった。さらに、ニックトランスレーション反応のPCR産物は、約100bpから200bpを超えるところまでの産物の長さの範囲を示すスメアを示した。
(実施例2)
本実施例は、pUC19を用いる対をなすタグのクローンの作製方法を例示する。
pUC19DNAを、SmaIで消化し、線状にしたDNAを、QIAGEN(商標) MinElute Reaction Cleanup Kitで精製した。
アダプター1を、NEB Quick Ligation Kitを用いて、線状にしたpUC19DNAにライゲーションした。続いて、反応物を、QIAGEN(商標) MinElute Reaction Cleanup Kitで精製した。ライゲーション産物を、QIAGEN(商標) MinElute Gel Extraction Kitを用いてアガロースゲルで精製した。
上記のライゲーション産物を、NEB Quick Ligation Kitを用いるアダプター2とのライゲーションによって環状化した。次に、反応物を、QIAGEN(商標)MinElute Reaction Cleanup Kitで精製した。
上記反応産物を、Epicenter Plasmid safe DNaseで消化して、いずれの直線状のDNAも除去し、次に、QIAGEN(商標)MinElute Reaction Cleanup Kitで精製した。
上記のものからの環状のDNAを、5、10、又は15分間0℃でE coli DNAポリメラーゼIを用いて、ニックトランスレーションした。反応を、QIAGEN(商標)MinElute Kit由来のERC緩衝液を添加することによって、停止させた。次に、反応物を、QIAGEN(商標)MinElute Reaction Cleanup Kitで精製した。
上記のものからのニックトランスレーションしたDNAを、37℃で15分間、Invitrogen S1ヌクレアーゼで消化して、対をなすタグDNAを放出した。次に、反応物を、QIAGEN(商標)MinElute Reaction Cleanup Kitで精製した。
上記ステップからのDNAを、Epicentre EndIt kitを用いて末端修復した。
対をなすタグDNAを、ストレプトアビジンビーズへの結合によって精製した。
P1及びP2プライマーアダプターを、対をなすタグDNAにライゲーションした。
pUC19の対をなすタグのクローンのPCR増幅を、P1プライマー及びP2プライマーを用いて行って、pUC19の対をなすタグを増幅した。
0℃で5、10及び15分間のニックトランスレーションによって生成した対をなすタグのPCR産物を、アガロースゲルで別個のレーンで分析した。それぞれ、約100bpから200bpを超えるまでの産物長さの範囲を示すスメアを示した。0℃、15分間で生成した対をなすタグのPCR産物は、0℃、10分間で生成した対をなすタグのPCR産物より平均して長く、0℃、10分間で生成した対をなすタグのPCR産物は、0℃、5分間で生成した対をなすタグのPCR産物より平均して長かった。
(実施例3)
本実施例は、DH10BゲノムDNAを用いる対をなすタグのクローンのライブラリーの作製方法を例示する。本実施例において、30μgのDH10BゲノムDNAを、ハイドロシヤー(hydroshear)して、関心対象のポリヌクレオチドを製造した。ハイドロシヤーによって製造した関心対象のポリヌクレオチドの末端を、ENDIT(商標)キットを用いて修復した。次に、関心対象のポリヌクレオチドを、QIAGEN(商標)MinElute Reaction Cleanup Kitを用いて精製した。
アダプター1を、上記のステップからの関心対象のポリヌクレオチドの末端に、NEB Quick Ligation Kitを用いてライゲーションした。
反応物を、QIAGEN(商標)MinElute Reaction Cleanup Kitを用いて精製した。アダプターで修飾された2kb〜3kbの長さの関心対象のポリヌクレオチドを、アガロースゲル上のDNAを用いて選別した。ゲルで選別したアダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを、QIAGEN(商標)MinElute Gel Extraction Kitを用いて精製した。
ゲルで選別したアダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを、アダプター2とのライゲーションによって環状化した。アダプター2は、ビオチン結合部分を含有していた。
次に、反応物を、QIAGEN(商標)MinElute Reaction Cleanup Kitを用いて精製した。
上記反応産物を、Epicenter Plasmid safe DNaseで消化して、いずれの直線状のDNAも除去し、次に、QIAGEN(商標)MinElute Reaction Cleanup Kitで精製した。
上記のステップからの環状のDNAを、0℃で15分間、E coli DNAポリメラーゼIを用いて、ニックの入った翻訳をした。反応を、QIAGEN(商標)MinElute Kit由来のERC緩衝液を添加することによって停止させた。反応物を、QIAGEN(商標)MinElute Reaction Cleanup Kitを用いて精製した。
対をなすタグのクローンを、37℃で15分間のS1ヌクレアーゼ消化によって放出した。反応物を、QIAGEN(商標)MinElute Reaction Cleanup Kitを用いて精製した。
上記のステップからのDNAを、Epicentre EndIt kitで末端修復した。生じた対をなすタグのクローンを、ストレプトアビジンビーズに結合させることによって精製した。
P1及びP2プライマーアダプターを、対をなすタグのクローンにライゲーションした。
試験的なPCR増幅を、P1プライマー及びP2プライマーを用いて行って、適切なサイクル数を決定した。続いて、大規模のPCRを行って、対をなすタグのクローンライブラリーを増幅した。最終の対をなすタグのクローンライブラリーを、アガロースゲル電気泳動を用いて選別した。
PCR産物を、図10に示すように、アガロースゲルで分析した。レーン1は、25bpのDNAラダーを含有する。レーン2〜9は、2倍段階希釈の鋳型からのPCR産物を含有する。
(実施例4)
本実施例は、他の対をなすタグのクローンの作製方法を例示する。
本実施例において、平滑末端化した関心対象のポリヌクレオチドを、アルカリホスファターゼで処理して、5’リン酸残基を末端から除去することができる。次に、図1に示すように、ポリヌクレオチドを、ライゲーションによってアダプターを用いて環状化する。アダプターを、ビオチンで標識して、下流の精製を容易にすることができる。環状の核酸分子は、ポリヌクレオチド二本鎖の片方の鎖上の関心対象のポリヌクレオチドとアダプターとの間の第1のニックと、ポリヌクレオチド二本鎖の異なる鎖上の関心対象のポリヌクレオチドとアダプターとの間の第2のニックとを有する。図2に概略的に示すように、ニックトランスレーション反応を行う。例えば、約5分間約0℃で、例えば、大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼIを用いて、ニックトランスレーション反応を行うことができる。ニックトランスレーション反応を、加熱することによって終結させる。ニックトランスレーションしたポリヌクレオチドを、例えば、37℃で約15分間、例えば、S1ヌクレアーゼを用いて消化する。S1で消化されたDNAを、ストレプトアビジン磁性ビーズに結合させることによって精製する。プライマーアダプターP1及びP2を、アダプターによって磁性ビーズに結合している対をなすタグのクローンの末端に付着させる。対をなすタグを、P1及びP2プライマーでクローナルに増幅する。増幅された対をなすタグのクローンを、後に、配列決定することができる。
(実施例5)
本実施例は、他の対をなすタグのクローンの作製方法を例示する。
本実施例において、図3に概略的に示すように、アダプター1を、関心対象のポリヌクレオチドの両末端にライゲーションする。アダプター1の5’末端は、5’リン酸残基を欠く。次に、図3に示すように、生じたコンストラクトを、ライゲーションによってアダプター2を用いて環状化する。アダプター2をビオチンで標識して、下流の精製を容易にすることができる。環状の核酸分子は、ポリヌクレオチド二本鎖の片方の鎖上のアダプター1とアダプター2との間の第1のニックと、ポリヌクレオチド二本鎖の異なる鎖上のアダプター1とアダプター2との間の第2のニックとを有する。図4に概略的に示すように、ニックトランスレーション反応を行う。例えば、約5分間約0℃で、例えば、大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼIを用いて、ニックトランスレーション反応を行うことができる。ニックトランスレーション反応を、加熱することによって終結させる。ニックトランスレーションしたポリヌクレオチドを、例えば、37℃で約15分間、例えば、S1ヌクレアーゼを用いて消化する。S1で消化されたDNAを、ストレプトアビジン磁性ビーズに結合させることによって精製する。図6に示すように、プライマーアダプターP1及びP2を、アダプターによって磁性ビーズに結合している対をなすタグのクローンの末端に付着させる。対をなすタグを、P1及びP2プライマーでクローナルに増幅する。増幅された対をなすタグのクローンを、後に、配列決定することができる。
(実施例6)
本実施例は、他の対をなすタグのクローンの作製方法を例示する。
本実施例において、アダプター1を、図3に概略的に示すように、関心対象のポリヌクレオチドの両末端にライゲーションする。アダプター1の5’末端は、5’リン酸残基を有してもよいし、有さなくてもよい。次に、図7に示すように、生じたコンストラクトを、アダプター2を用いてアニーリングによって環状化する。アダプター2をビオチンで標識して、下流の精製を容易にすることができる。環状の核酸分子は、ポリヌクレオチドの二本鎖の片方の鎖上のアダプター1とアダプター2との間の第1のギャップと、ポリヌクレオチド二本鎖の異なる鎖上のアダプター1とアダプター2との間の第2のギャップとを有する。図4に概略的に示すように、ニックトランスレーション反応を行う。例えば、約5分間約0℃で、例えば、大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼIを用いて、ニックトランスレーション反応を行うことができる。ニックトランスレーション反応を、加熱することによって終結させる。ニックトランスレーションしたポリヌクレオチドを、例えば、37℃で約15分間、例えば、S1ヌクレアーゼを用いて消化する。S1で消化されたDNAを、ストレプトアビジン磁性ビーズに結合させることによって精製する。図6に示すように、プライマーアダプターP1及びP2を、アダプターによって磁性ビーズに結合している対をなすタグのクローンの末端に付着させる。対をなすタグを、P1及びP2プライマーでクローナルに増幅する。増幅された対をなすタグのクローンを、後に、配列決定することができる。
(実施例7)
本実施例は、対をなすタグのライブラリーを作製する他の方法を例示する。
本実施例において、核酸配列を断片化して、5’末端及び3’末端を有する複数のポリヌクレオチド断片を製造する。ポリヌクレオチド断片をサイズ選別方法に供して、約2kb〜約3kbの断片を選別する。ポリヌクレオチド断片の末端を平滑末端化し、次に、アルカリホスファターゼで処理して、5’リン酸残基を末端から除去する。アダプターを各ポリヌクレオチド断片の末端に連結して、ニックがアダプターとポリヌクレオチド断片との間に導入されている複数の環状の核酸分子を製造する。ニックトランスレーション反応を環状の核酸分子上で行って、対応するポリヌクレオチド断片内に存在する少なくとも1つのニックをそれぞれ有する複数の環状の核酸分子を製造する。生じた環状の核酸分子をニックの反対側の地点で切断して、対をなすタグのクローンを放出し、それによって、対をなすタグのライブラリーを製造する。対をなすタグのライブラリーの対をなすタグのクローンを、マイクロアレイなどの固体の支持体に付着させることができる。
(実施例8)
本実施例は、対をなすタグのライブラリーを製造する他の方法を例示する。
本実施例において、核酸配列を剪断して、約2kb〜約3kbの長さの複数の関心対象のポリヌクレオチドを製造する。関心対象のポリヌクレオチドの末端を平滑末端化する。アダプター1を、関心対象のポリヌクレオチドの各末端に付着させ、それによって、アダプターで修飾された複数の関心対象のポリヌクレオチドを形成する。アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドの両末端を、アダプター2にライゲーションして、ニックがアダプター2とアダプター1との間に導入されている複数の環状の核酸分子を製造する。ニックトランスレーション反応を環状の核酸分子上で行って、対応するポリヌクレオチド断片内に存在する少なくとも1つのニックをそれぞれ有する複数の環状の核酸分子を製造する。生じた環状の核酸分子を、ニックの反対側の地点で切断して、対をなすタグのクローンを放出し、それによって、対をなすタグのライブラリーを製造する。対をなすタグのライブラリーの対をなすタグのクローンを、マイクロアレイなどの固体の支持体に付着させることができる。
(実施例9)
本実施例は、対をなすタグのライブラリーを配列決定する他の方法を例示する。
本実施例において、核酸配列を断片化して、5’末端及び3’末端を有する複数の関心対象のポリヌクレオチドを製造する。ポリヌクレオチド断片を、サイズ選別方法に供して、約2kb〜約3kbの関心対象のポリヌクレオチドを選別する。関心対象のポリヌクレオチドの末端を平滑末端化し、次に、アルカリホスファターゼで処理して、5’リン酸残基を末端から除去する。アダプターを、各関心対象のポリヌクレオチドの末端に連結して、ニックがアダプターと関心対象のポリヌクレオチドとの間に導入されている複数の環状の核酸分子を製造する。ニックトランスレーション反応を環状の核酸分子上で行って、対応するポリヌクレオチド断片内に存在する少なくとも1つのニックをそれぞれ有する複数の環状の核酸分子を製造する。生じた環状の核酸分子を、ニックの反対側の地点で切断して、対をなすタグのクローンを放出し、それによって、対をなすタグのライブラリーを製造する。対をなすタグのライブラリーの対をなすタグのクローンを、マイクロアレイなどの固体の支持体に付着させる。
対をなすタグのライブラリーを配列決定するために、プライマーアダプターを、固体の支持体に付着させた対をなすタグのクローンの末端に付着させる。対をなすタグのクローンを、例えば、エマルジョンPCRによってクローナルに増幅し、後に、例えば、SOLiD(商標)配列決定によって配列決定する。
(実施例10)
本実施例は、対をなすタグのクローンを作製する他の方法を例示する。
図8に示すように、EcoP15I認識部位を有するDNAアダプター1を、関心対象のポリヌクレオチドの両末端にライゲーションして、アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを形成することができる。次に、アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを環状化することができる(図8)。図9に示すように、ニッキング制限酵素を使用して、EcoP15I部位の下流で片方の鎖にニックを作製できる。ニックトランスレーション反応を行うことができ、ニックを、5’から3’の方向で関心対象のポリヌクレオチドに転位させることができる(図9)。
(実施例11)
本実施例は、ニックの入った環状の核酸を作製する1つの方法を例示する。
本実施例において、トポイソメラーゼI結合部位を有するアダプターを使用して、環状の核酸の調製を容易にする。4つのオリゴヌクレオチド、Topo−IA−A−1、Topo−IA−B−1、Topo−IA−A−2及びTopo−IA−B−2をアニーリングすることによって、向かい合う鎖上にニックを有するTopo結合アダプターを形成する(図10)。オリゴヌクレオチドTopo−IA−B−1及びTopo−IA−A−2は、それぞれ、3’末端にTopo結合部位を有し、5’リン酸を欠く。図10に示すように、Topo−IA−A−1を、結合部分であるビオチンに結合させる。生じたTopo結合アダプターは、両方の鎖の3’末端にTopo結合部位を、向かい合う鎖上にニックを有し、ビオチンに結合している(図10)。
図11に示すように、トポイソメラーゼIを、Topo結合アダプターに添加して、トポイソメラーゼI−アダプター複合体を生成する。トポイソメラーゼIはアダプターに共有結合し、切断された鎖の3’リン酸とトポイソメラーゼIのTyr274残基との間にホスホチロシル結合を形成し、トポイソメラーゼI−アダプター複合体を形成する(図11)。
トポイソメラーゼI−アダプター複合体を、脱リン酸化した関心対象のポリヌクレオチドと結合させる(図12)。図12に示すように、脱リン酸化した関心対象のポリヌクレオチドの5’ヒドロキシル基が、トポイソメラーゼI−アダプター複合体のホスホチロシル結合を攻撃する。アダプターと関心対象のポリヌクレオチドとを含む環状の核酸分子が、図13に示すように、形成される。
(実施例12)
本実施例は、対をなすタグを作製する他の方法を例示する。
本実施例において、関心対象のポリヌクレオチドを、関心対象のポリヌクレオチドを1又は複数のアダプターにライゲーションすることによって環状化する。生じたニックの入った環状のDNA分子をニックトランスレーションする。ニックトランスレーション反応は、大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼIを用いて行うことができる。環状の核酸分子は、関心対象のポリヌクレオチド内に2つのニックを有する。環状のDNA上の一本鎖ギャップを、図15に示すように形成する。ギャップを、ニックの入った環状のDNA分子をT7エキソヌクレアーゼで消化することによって形成する。生じたギャップを有する環状のDNA分子をS1ヌクレアーゼで消化して、対をなすDNAタグを放出する。
(実施例13)
本実施例は、ニックトランスレーションなしで対をなすタグを製造する方法を例示する。
本実施例において、関心対象のポリヌクレオチドを、最初に、アダプターを関心対象のポリヌクレオチドの両末端にライゲーションすることによって環状化する。生じた環状の核酸分子は、ポリヌクレオチド二本鎖の片方の鎖上の関心対象のポリヌクレオチドとアダプターとの間の第1のニックと、ポリヌクレオチド二本鎖の異なる鎖上の関心対象のポリヌクレオチドとアダプターとの間の第2のニックとを有する。ニックの入った環状DNA分子を5’−3’エキソヌクレアーゼで消化することによって、関心対象のポリヌクレオチドの一本鎖領域を形成する。次に、生じた分子において、その3’末端をDNAポリメラーゼで伸張させる。次に、生じた分子をS1ヌクレアーゼで消化して、対をなすDNAタグを放出する。
(実施例14)
本実施例は、ニックトランスレーションなしで対をなすタグを製造する方法を例示する。本実施例において、少なくとも1つのアダプターにライゲーションされている関心対象の二本鎖のポリヌクレオチドを含むニックの入った環状のDNA分子を、5’−3’エキソヌクレアーゼで消化する。この反応を、二本鎖の関心対象のポリヌクレオチドがすべて一本鎖になって完了するまで継続する。次に、図20に示すように、生じたコンストラクトにおいて、その3’末端をDNAポリメラーゼで伸張させる。次に、生じたコンストラクトを一本鎖に特異的なエキソヌクレアーゼで消化して、対をなすタグを放出する。
(実施例15)
本実施例は、対をなすタグのライブラリーを構築するのに使用するベクターの調製を例示する。本実施例において、2kb〜3kbの範囲の小さい環状のDNAを、関心対象のポリヌクレオチドの集団のためのベクターとして選択する。ベクターを、その後の受容体−リガンドベースのアフィニティー精製のためにビオチンで修飾する。ベクターの自己ライゲーションを防ぐために、線状にしたベクター上で不適合の粘着末端を生成する方法によって、ベクターを線状にする。続いて、図23に示すように、2つの二本鎖アダプターを、線状にしたベクターにライゲーションする。両方のアダプターの上の鎖は、リン酸基をその5’末端にて含有しないのに対して、両方のアダプターの下の鎖は、リン酸基をその5’末端にて含有する。そのような構成の結果として、両方のアダプターの下の鎖のみ、直線状のベクターにライゲーションされ、直線状のベクターとアダプターとの間にニックがある。
(実施例16)
本実施例は、対をなすタグのライブラリーの調製のワークフローを例示する。本実施例において、関心対象のポリヌクレオチドを、第1に、適切な末端構造を有するように修飾して、ニックの入った連結ポリヌクレオチドの修飾されたセットの末端に一致させる。次に、関心対象のポリヌクレオチドを、ニックの入った連結ポリヌクレオチドとインキュベートし、ライゲーション反応を行う。ライゲーション後、環状化したニックの入った連結ポリヌクレオチドは、関心対象のポリヌクレオチドの近くに位置した2つのニックを含有する。次に、ニックを、関心対象のポリヌクレオチドに、ニックトランスレーションによって伸張させる。ライゲーション反応後、ライゲーションしていないコンストラクトを、直線状のポリヌクレオチドを消化することによって取り除く。精製及びニックの翻訳後、次に、環状の集団をニックの位置で切断し、それによって、対をなすタグを放出する。
(実施例17)
本実施例は、放出された対をなすタグで行うことができる更なる操作の1つのセットを例示する。実施例16の放出された対をなすタグを、対をなすタグの2つの末端の間の内部アダプターをライゲーションすることによって再び環状化する。この後、PCR増幅を、2つのアダプター末端における配列をハイブリダイズするプライマーを用いて行うことができる。PCR増幅された産物は、最終の対をなすタグのライブラリーであり得る。
本技術を、これらの例示の実施態様にて説明したが、当業者であれば、過度に実験することなく、これらの例示の実施態様の多数のバリエーションおよび改変が可能であることが容易に理解できる。そのようなバリエーション及び改変のすべては、本教示の範囲内である。
開示された教示を、種々の用途、方法、キット、及び組成物を参照して説明したが、本明細書中の教示及び特許請求の範囲に記載の発明から逸脱することなく様々な変形及び改変をなすことができることは明らかである。上記の例は、開示された教示をより例示するために記載されたものであって、本明細書中の教示の範囲を制限することを意図したものではない。
本願において、単数形の使用は、特に指定がないかぎり、又は当業者が本開示に照らして理解できるように、単数形のみが機能的な実施態様でないかぎり、複数形を含むことができる。それ故に、例えば、「a」は、1以上を意味し、「一実施態様」は、記載が複数の実施態様に適用されることを意味することができる。さらに、本願において、「及び/又は」は、「及び」の包含の意味と、これとは別に、「又は」の除外の意味の両方がリストに適用されることを示す。それ故に、一覧は、一覧の項目のすべての可能な組み合わせを含み、他の項目を除外してそれぞれの項目も含むと読みとるべきである。この用語の追加は、「及び」又は「又は」の用語の単独の使用を特に意味することを示すものとして何ら意図されたものではない。そのような用語の意味は、特定の開示を読み取ることにより、当業者に明らかである。
(参照による組み込み)
特許、特許出願、文書、本などを含めた本明細書において引用したすべての参考文献及びそれらで引用された参考文献は、それらが前もってなされたものではない範囲で、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。1又は複数の組み込まれた文献及び類似のものが、制限するものではないが、定義された用語、用語の使用、記載された技術等を含め本願と異なり、矛盾する場合には、本願を優先する。
(均等物)
上記の説明及び実施例は、本発明の特定の具体的な実施態様を詳述したものであり、発明者らによって考慮された最良の形態を説明するものである。しかしながら、どんなに上記にて詳述していたとしても、本発明は、多くの方法で実施でき、本発明は、特許請求の範囲及びそれらのいずれの均等物にしたがって解釈すべきである。
2000 小さい環状のDNA
2010 連結ポリヌクレオチド
2011 粘着末端
2012 3’鎖末端
2013 5’鎖末端
2014 5’鎖末端
2015 粘着末端
2016 3’鎖末端
2017 第1の連結鎖
2018 第2の連結鎖
2020 アダプターP1
2021 ニック
2022 P1プライマーアダプターの5’末端
2025 P1プライマーアダプターの上の鎖
2026 P1プライマーアダプターの下の鎖
2030 アダプターP2
2031 ニック
2032 P2プライマーアダプターの5’末端
2035 第3のアダプター鎖
2036 P2プライマーアダプターの下の鎖
2038 アダプターがハイブリダイズした連結ポリヌクレオチド
2039 ニックの入った連結ポリヌクレオチド
2040 平滑末端
2041 平滑末端
2050 単一のチミンのオーバーハングの粘着末端
2051 単一のチミンのオーバーハングの粘着末端
2060 複数のチミン(又は他の塩基)のオーバーハング
2061 複数のチミン(又は他の塩基)のオーバーハング
2085 関心対象のポリヌクレオチドの適切な末端修飾
2090 関心対象のポリヌクレオチド
2091 関心対象のポリヌクレオチドのタグ
2092 関心対象のポリヌクレオチドのタグ
2095 ライゲーション
2100 構造
2105 プロセス
2205 一本鎖の切断
2221 ニックの位置
2231 ニックの位置
2300 放出された対をなすタグ
2305 プロセス
2310 アダプター
2311 内部アダプター
2400 内部アダプターを含有する対をなすタグ
2405 PCR増幅
2500 PCR産物

Claims (91)

  1. 関心対象のポリヌクレオチドの少なくとも一部を共に含む第1のタグ配列と第2のタグ配列とを含む対をなすタグを形成する方法であって、
    関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端をアダプターにライゲーションし、それによって、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の第1のニックと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の第2のニックとを含む環状の核酸分子であって、第1のニック及び第2のニックが環状の核酸分子の第2のニックとは異なる鎖上にある、環状の核酸分子を形成することと、
    少なくとも1つのニックを関心対象のポリヌクレオチドに翻訳するニックトランスレーション反応を行うことを含む、
    前記対をなすタグを形成する方法。
  2. ニックトランスレーション反応を特定の時間進行させることと、ニックトランスレーション反応を終結させることを更に含む、請求項1記載の方法。
  3. 関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端が5’リン酸残基を欠く、請求項1記載の方法。
  4. 第1のニック及び第2のニックが互いを通り過ぎて翻訳される前に、ニックトランスレーション反応を終結させることを更に含む、請求項1記載の方法。
  5. 第1のニック及び第2のニックが10塩基を超えて翻訳され、第1のニック及び第2のニックにおいて環状の核酸分子を切断するステップを更に含む、請求項1記載の方法。
  6. 第1のニック及び第2のニックが500塩基未満翻訳される、請求項5記載の方法。
  7. 第1のニック及び第2のニックが200塩基未満翻訳される、請求項6記載の方法。
  8. 第1のニック及び第2のニックが100塩基未満翻訳される、請求項7記載の方法。
  9. 第1のニック及び第2のニックが約20塩基〜約50塩基翻訳される、請求項5記載の方法。
  10. 少なくとも1つのニックが500塩基未満翻訳される、請求項1記載の方法。
  11. 少なくとも1つのニックが、27塩基を超えて500塩基未満翻訳される、請求項10記載の方法。
  12. 少なくとも1つのニックが200塩基未満翻訳される、請求項11記載の方法。
  13. 少なくとも1つのニックが28塩基〜約50塩基翻訳される、請求項1記載の方法。
  14. 環状の核酸分子が、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の第1のギャップを含む、請求項1記載の方法。
  15. 環状の核酸分子が、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の第2のギャップを含む、請求項14記載の方法。
  16. 環状の核酸配列が、ニックトランスレーション反応を行ってニックを生じさせる際にヌクレオチドで埋められるギャップを含む、請求項14記載の方法。
  17. 関心対象のポリヌクレオチドが、50〜2500ヌクレオチドを含む、請求項1記載の方法。
  18. ライゲーションするステップの前に、関心対象のポリヌクレオチドをサイズ選別技術に供して、50〜2500ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドについて選別する、請求項17記載の方法。
  19. アダプターが結合部分を含む、請求項1記載の方法。
  20. ニックトランスレーション反応を、大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼI、Taq DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、Klenow DNAポリメラーゼI、及びphi29 DNAポリメラーゼ、並びにそれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択される酵素を用いて行う、請求項1記載の方法。
  21. ニックトランスレーション反応を、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いて行う、請求項1記載の方法。
  22. ニックトランスレーション反応が、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によるヌクレオチドの除去を含む、請求項1記載の方法。
  23. ニックトランスレーション反応が、鎖の置換によって発生する、請求項1記載の方法。
  24. 第1の翻訳されたニックにおいて環状の核酸分子を切断し、それによって、アダプターによって分けられた第1のタグ配列及び第2のタグ配列であって、関心対象のポリヌクレオチドに由来する第1のタグ配列及び第2のタグ配列を含む直線状のポリヌクレオチドを形成することを更に含む、請求項1記載の方法。
  25. 環状の核酸分子を第2の翻訳されたニックにおいて切断することを更に含む、請求項24記載の方法。
  26. 環状の核酸分子を、S1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼP1、ヌクレアーゼBAL−31、及びそれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択される酵素によって切断する、請求項24記載の方法。
  27. 直線状のポリヌクレオチドを増幅することを更に含む、請求項24記載の方法。
  28. アダプターが、ビオチンを含む結合部分を含む、請求項1記載の方法。
  29. ストレプトアビジンを用いて、対をなすタグを精製するステップを更に含む、請求項28記載の方法。
  30. ライゲーション前に、関心対象のポリヌクレオチドをアルカリホスファターゼで処理し、5’リン酸を、関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端の両方から除去することを更に含む、請求項1記載の方法。
  31. アルカリホスファターゼが、仔牛腸アルカリホスファターゼ、細菌アルカリホスファターゼ、エビアルカリホスファターゼ、及びそれらの何らかの組み合わせからなる群より選択される、請求項30記載の方法。
  32. 環状の核酸分子が第2のアダプターを更に含み、第2のアダプターが第1のアダプターに隣接して位置づけられている、請求項1記載の方法。
  33. 第1のアダプターの一つの鎖及び第2のアダプターの一つの鎖が5’リン酸を欠く、請求項32記載の方法。
  34. 各ステップを請求項1に記載されている順で行う、請求項1記載の方法。
  35. 関心対象のDNA断片から、放出された対をなすタグを形成する方法であって、
    第1のアダプターを関心対象のDNA断片の第1の末端にライゲーションし、かつ第2のアダプターを関心対象のDNA断片の第2の末端にライゲーションし、それによって、アダプター修飾断片を生じさせることと、
    第3のアダプターをアダプター修飾断片に付着させることによってアダプター修飾断片を環状化し、それによって、第1のニックが第3のアダプターと第1のアダプターとの間に存在し、第2のニックが第2のアダプターと第3のアダプターとの間に存在する、環状の核酸分子であって、DNAの第1の鎖及び第2の鎖を含み、第1のニック及び第2のニックが環状の核酸分子の同一の鎖上に存在しない、環状の核酸分子を形成することと、
    環状の核酸分子の各鎖上のニックを関心対象のDNA断片に翻訳する、ニックトランスレーション反応を行うことと、
    環状の核酸分子を翻訳されたニックの位置で切断し、それによって、放出された対をなすタグを形成することとを含む、
    前記放出された対をなすタグを形成する方法。
  36. ニックトランスレーション反応を特定の時間進行させることと、ニックトランスレーション反応を終結させることとを更に含む、請求項35記載の方法。
  37. 翻訳されたニックにおける各位置でポリヌクレオチド鎖を切断する前に、ニックトランスレーション反応を終結させることを更に含む、請求項36記載の方法。
  38. プライマーアダプターを、対をなすタグの末端に付着させることを更に含む、請求項35記載の方法。
  39. 対をなすタグを、プライマーアダプターについてのプライマーで増幅することを更に含む、請求項38記載の方法。
  40. 増幅がクローナルな増幅である、請求項39記載の方法。
  41. クローナルな増幅が、エマルジョン・ポリメラーゼ連鎖反応(エマルジョンPCR)を含む、請求項40記載の方法。
  42. クローナルな増幅が、ブリッジ・ポリメラーゼ連鎖反応(ブリッジPCR)を含む、請求項40記載の方法。
  43. 第3のアダプターが結合部分を含み、結合部分を固体の支持体に結合させることを更に含む、請求項35記載の方法。
  44. 固体の支持体がアレイである、請求項42記載の方法。
  45. 対をなすタグの一部を配列決定することを更に含む、請求項35記載の方法。
  46. 2又はそれ以上の放出された対をなすタグを含む放出された対をなすタグのライブラリーであって、
    第1のアダプターを関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端にライゲーションし、第2のアダプターを関心対象のポリヌクレオチドの第2の末端にライゲーションし、それによって、アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを生じさせることと、
    第3のアダプターをアダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドに付着させることによって、アダプターで修飾された関心対象のポリヌクレオチドを環状化し、それによって、第1のニックが第3のアダプターと第1のアダプターとの間に存在し、第2のニックが第2のアダプターと第3のアダプターとの間に存在する、環状の核酸分子であって、第1の鎖と第2の鎖とを含み、第1のニック及び第2のニックが環状の核酸分子の同一の鎖上に存在しない、環状の核酸分子を形成することと、
    環状の核酸分子の鎖上のニックを関心対象のポリヌクレオチドに翻訳するニックトランスレーション反応を行うことと、
    環状の核酸分子を翻訳されたニックの位置で切断し、それによって、放出された対をなすタグを形成することと
    を含む方法によって、対をなすタグのそれぞれが製造される、前記放出された対をなすタグのライブラリー。
  47. 関心対象のポリヌクレオチドが、プラスミド、ウイルス、原核細胞、古細菌細胞、細菌人工染色体、真核細胞、細胞株、原生動物、植物、藻類、細菌、真菌、昆虫、爬虫類、魚類、両生類、鳥類、及び哺乳類からなる群より選択される生物から製造される、請求項46記載の放出された対をなすタグのライブラリー。
  48. 関心対象のポリヌクレオチドをサイズ選別技術に供する、請求項46記載の放出された対をなすタグのライブラリー。
  49. ライゲーションするステップの前に、サイズ選別技術を用いて、2000〜3000ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドについて選別する、請求項48記載の放出された対をなすタグのライブラリー。
  50. 以下を含む、放出された対をなすタグ:
    第1のタグ配列であって、関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端を含み、長さにおいて少なくとも27ヌクレオチドである、第1のタグ配列と、
    第1のタグ配列に共有結合した第1のアダプターと、
    第1のアダプターに共有結合した第2のタグ配列であって、関心対象のポリヌクレオチドの第2の末端を含み、長さにおいて少なくとも27ヌクレオチドである、第2のタグ配列。
  51. 第1のアダプターが結合部分を更に含む、請求項50記載の放出された対をなすタグ。
  52. 第1のタグ配列が、長さにおいて少なくとも40ヌクレオチドである、請求項50記載の放出された対をなすタグ。
  53. 第2のタグ配列が、長さにおいて少なくとも40ヌクレオチドである、請求項52記載の放出された対をなすタグ。
  54. 以下を含む、溶液:
    環状の核酸分子であって、
    第1の末端及び第2の末端を含む関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドと、
    関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端に共有結合し、それによって、環状化した核酸分子を形成する、少なくとも1つのアダプターと
    を含む、環状の核酸分子であって、環状の核酸分子が、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の第1のニックと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の第2のニックとを更に含み、第1のニックが、環状の核酸分子の第2のニック又はギャップとは異なる鎖上にある、環状の核酸分子と、
    ニックトランスレーション酵素。
  55. ニックトランスレーション酵素がDNAポリメラーゼIを含む、請求項54記載の溶液。
  56. 溶液がニック切断酵素をさらに含み、ニックトランスレーション酵素が熱で不活性化される、請求項54記載の溶液。
  57. 溶液が、第2の環状の核酸分子を更に含み、第2の環状の核酸分子が、
    第1の末端と第2の末端とを含む関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドと、
    関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端及び第2の末端に共有結合し、それによって、第2の環状化した核酸分子を形成する、少なくとも1つのアダプターと
    を含み、第2の環状の核酸分子が、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の位置から27ヌクレオチドを超えて離れている第3のニックと、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の位置から27ヌクレオチドを超えて離れている第4のニックとを含み、第3のニックは、環状の核酸分子の第4のニックとは異なる鎖上にある、
    請求項54記載の溶液。
  58. 第3のニックが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端とアダプターとの間の位置から少なくとも50ヌクレオチド離れている、請求項57記載の溶液。
  59. 第4のニックが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端とアダプターとの間の位置から少なくとも50ヌクレオチド離れている、請求項58記載の溶液。
  60. 溶液がニック切断酵素をさらに含み、ニックトランスレーション酵素が熱で不活性化される、請求項59記載の溶液。
  61. 関心対象のポリヌクレオチドの少なくとも一部を共に含む第1のタグ配列と第2のタグ配列とを含む対をなすタグを形成する方法であって、
    関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端を少なくとも1つのアダプターにライゲーションすることと、
    関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端を少なくとも1つのアダプターにライゲーションすることと、
    環状の核酸分子であって、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドと、環状の核酸分子の第1の鎖上に第1の3’末端を含む第1のニックと、環状の核酸分子の第2の鎖上に第2の3’末端を含む第2のニックとを含み、第1のニック及び第2のニックが環状の核酸分子の異なる鎖上にある、環状の核酸分子を形成することと、
    環状の核酸分子の第1の鎖の第1の3’末端を関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列へ伸長させることと、
    環状の核酸分子の第2の鎖の第2の3’末端を関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列へ伸長させることとを含む、
    前記対をなすタグを形成する方法。
  62. 第1の3’末端を伸長させる前に、第1のニックを、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端と少なくとも1つのアダプターとの間に位置付け、第2のニックを、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端と少なくとも1つのアダプターとの間に位置付ける、請求項61記載の方法。
  63. 関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の及び第2の末端を、同一のアダプターに連結する、請求項62記載の方法。
  64. アダプターが、第1の及び第2のアダプターを含み、環状の核酸分子の形成により、第1のアダプターが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端上に位置付けられ、第2のアダプターが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端上に位置付けられる、請求項61記載の方法。
  65. 第1のアダプターが、第2のアダプターに連結ポリヌクレオチドを介して連結されている、請求項64記載の方法。
  66. 環状の核酸分子の形成により、第1のニックが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドに連結されている第1のアダプターの末端の遠位にある第1のアダプターの末端に位置付けられ、第2のニックが、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドに連結されている第2のアダプターの末端の遠位にある第2のアダプターの末端に位置付けられる、請求項65記載の方法。
  67. アダプターを関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドにライゲーションする前に、アダプターを連結ポリヌクレオチドにライゲーションする、請求項66記載の方法。
  68. 環状の核酸分子の第1の鎖の少なくとも一部を消化し、かつ環状の核酸分子の第2の鎖の少なくとも一部を消化することを更に含み、消化によって、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの少なくとも一部が一本鎖となる結果がもたらされ、消化が、第1の及び第2の3’末端を伸長させる前に起こる、請求項61記載の方法。
  69. 5’−3’エキソヌクレアーゼを用いて、前記ニックの入った環状の核酸分子を消化する、請求項68記載の方法。
  70. 関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの全体が一本鎖となる前に、消化を停止する、請求項68記載の方法。
  71. 関心対象の二本鎖ポリヌクレオチド全体を、関心対象の一本鎖ポリヌクレオチドに消化する、請求項68記載の方法。
  72. DNAポリメラーゼを用いて、前記ニックの入った環状の核酸分子を伸長させる、請求項68記載の方法。
  73. 環状の核酸分子の第1の鎖の少なくとも一部を消化し、かつ環状の核酸分子の第2の鎖の少なくとも一部を消化することを更に含み、消化によって、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの少なくとも一部が一本鎖となる結果がもたらされ、消化が、第1の及び第2の3’末端を伸長させることと同時に起こる、請求項61記載の方法。
  74. 消化及び伸長が、同一の反応チューブで行われる、請求項73記載の方法。
  75. 環状の核酸分子の第1の鎖の第1の3’末端を、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列に伸長させることが、ニックトランスレーションによって達成される、請求項61記載の方法。
  76. 環状の核酸分子の第2の鎖の第2の3’末端を、関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの配列に伸長させることが、ニックトランスレーションによって達成される、請求項75記載の方法。
  77. 第1の及び第2のニックを、それぞれ第1のギャップ及び第2のギャップに広げる、請求項76記載の方法。
  78. エキソヌクレアーゼを用いて、第1の及び第2のニックをそれぞれ第1のギャップ及び第2のギャップに広げる、請求項77記載の方法。
  79. エキソヌクレアーゼが、T7エキソヌクレアーゼを含む、請求項78記載の方法。
  80. 一本鎖に依存した消化を行って、対をなすDNAタグを放出することを更に含む、請求項61記載の方法。
  81. ニックの入った連結ポリヌクレオチドであって、
    第2のアダプター鎖にハイブリダイズしている第1のアダプター鎖を含み、第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠く、第1のアダプターと、
    第4のアダプター鎖にハイブリダイズしている第3のアダプター鎖を含み、第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠く、第2のアダプターと、
    第2の連結鎖にハイブリダイズした第1の連結鎖を含み、第1の末端と第2の末端とを含む、連結ポリヌクレオチドとを含み、
    第1のアダプターが、連結ポリヌクレオチドの第1の末端に、第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着しており、第2の連結鎖が、第2のアダプター鎖に付着しており、第2のアダプターが、連結ポリヌクレオチドの第2の末端に、第2のアダプターの第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着しており、連結ポリヌクレオチドの第2の鎖が、第4のアダプター鎖に付着している、
    前記ニックの入った連結ポリヌクレオチド。
  82. 第2のアダプター鎖の5’末端上のリン酸基を更に含む、請求項81記載のニックの入った連結ポリヌクレオチド。
  83. 第4のアダプター鎖の5’末端上のリン酸基を更に含む、請求項82記載のニックの入った連結ポリヌクレオチド。
  84. 第2のアダプター鎖の3’末端上のリン酸基を更に含むものの上にリン酸基がない、請求項83記載のニックの入った連結ポリヌクレオチド。
  85. ニックの入った連結ポリヌクレオチドであって、
    第1の二本鎖アダプターと、
    第1の二本鎖アダプターが二本鎖の連結ポリヌクレオチドの第1の末端に付着している、二本鎖の連結ポリヌクレオチドと、
    二本鎖の連結ポリヌクレオチドの第2の末端に付着している第2の二本鎖アダプターとを含み、
    第1のアダプターの第1の鎖と二本鎖ベクターの第1の鎖を分ける第1のニック及び第2のアダプターの第2の鎖と二本鎖ベクターの第1の鎖を分ける第2のニックがあり、第1のニック及び第2のニックは、ニックの入ったベクターの異なる鎖上にある、
    前記ニックの入った連結ポリヌクレオチド。
  86. 対をなすタグを製造する方法であって、
    第2のアダプター鎖にハイブリダイズしている第1のアダプター鎖を含む第1のアダプターであって、第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠く、第1のアダプターと、
    第4のアダプター鎖にハイブリダイズしている第3のアダプター鎖を含む第2のアダプターであって、第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠く、第2のアダプターと、
    第2の連結鎖にハイブリダイズした第1の連結鎖を含む連結ポリヌクレオチドであって、該連結ポリヌクレオチドが第1の末端と第2の末端とを含み、第1のアダプターが、連結ポリヌクレオチドの第1の末端に、第1のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着し、第2の連結鎖が、第2のアダプター鎖に付着し、第2のアダプターが、連結ポリヌクレオチドの第2の末端に、第2のアダプターの第3のアダプター鎖がその5’末端上のリン酸基を欠くところにニックが存在するように付着し、連結ポリヌクレオチドの第2の鎖が第4のアダプター鎖に付着している、連結ポリヌクレオチドとを含む、
    ニックの入った連結ポリヌクレオチドを用意することと、
    関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第1の末端を第1のアダプターにライゲーションし、かつ関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの第2の末端を第2のアダプターにライゲーションすることと、
    第1の及び第2のニックを関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドに移動させることとを含む、
    前記対をなすタグを製造する方法。
  87. ニックの入った連結ポリヌクレオチドを線状にするために、一本鎖に依存した消化をすることを更に含む、請求項86記載の方法。
  88. 内部アダプターを、線状にしたニックの入った連結ポリヌクレオチドにライゲーションすることを更に含む、請求項87記載の方法。
  89. 関心対象の二本鎖ポリヌクレオチドの少なくとも一本の鎖を増幅することを更に含む、請求項88記載の方法。
  90. 増幅がPCRベースの増幅である、請求項89記載の方法。
  91. 直線状の対をなすタグであって、
    関心対象のポリヌクレオチドの第1の末端を含む第1のタグ配列と、
    第1のタグ配列に共有結合した第1のアダプターと、
    第1のアダプターに共有結合し、関心対象のポリヌクレオチドの第2の末端を含む、第2のタグ配列とを含み、
    前記直線状の対をなすタグが、IIs型制限部位を欠き、かつIII型制限部位を欠く、
    前記直線状の対をなすタグ。
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