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JP2011507591A - 曲げ可能な構造および構造を曲げる方法 - Google Patents

曲げ可能な構造および構造を曲げる方法 Download PDF

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JP2011507591A
JP2011507591A JP2010539329A JP2010539329A JP2011507591A JP 2011507591 A JP2011507591 A JP 2011507591A JP 2010539329 A JP2010539329 A JP 2010539329A JP 2010539329 A JP2010539329 A JP 2010539329A JP 2011507591 A JP2011507591 A JP 2011507591A
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ネーデルランツ オルガニサティー フォール トゥーゲパストナトゥールヴェテンシャッペリーク オンデルズーク テーエンオー
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Abstract

本発明は、曲げられるようになっている本体41、本体内に曲げ力を誘導するためのアクチュエータ42、43、44を含む、曲げ可能な構造40に関し、アクチュエータは、一方向性の形状記憶合金(SMA)材料で少なくとも部分的に作製されたワイヤを含み、前記ワイヤは予め変形され、ブリッジを渡って機械のエネルギを伝達するようになっているブリッジ構造を形成するために本体の一部に接触して配置される。曲げ可能な構造40は、曲げ可能なカテーテルまたは内視鏡に関連してもよい。
【選択図】図3

Description

本発明は、曲げ可能な構造に関する。本発明は特に、曲げ可能な、カテーテルまたは内視鏡のような医療機器に関する。本発明はさらに、構造を曲げる方法に関する。
曲げ可能な構造の実施形態は、キ・テー・パーク(Ki−Tae Park)ら、“意思の伝達および制御のための集積回路を備えた能動カテーテル(An active catheter with integrated circuit for communication and control)”から公知である。既知の曲げ可能な構造において曲げの機能性を可能にしているのは、形状記憶合金(shape memory alloy:SMA)で作製されたコイルを備えたカテーテルの管状本体を提供することによるものである。SMA材料はそのようなものとして当該技術分野で知られており、たとえば電流パルスの印加による加熱に従って変形させるなど制御的な仕方で変形させることもできる材料の部類に関連している。SMA材料の詳細は、M・ランヘラー(M.Langelaar)およびF・ヴァン・クーレン(F.van Keulen)、“形状記憶合金の能動カテーテルのモデリング(Modeling of a shape memory alloy active catheter)”の中に見ることができる。
既知の曲げ可能な構造はSMAコイルで作製された複数の部品を含み、前記部品は連結によって連続的に相互接続している。SMAコイルは予め変形され、3%の変形歪みを有する。SMAアクチュエータが電流によってその相転移温度を超える温度で加熱され、元の形状を回復し始めると、能動カテーテルは加熱されたSMAアクチュエータの方向に曲がる。既知の曲げ可能な構造の曲げを実施するためには、曲げられるようになっている本体内に合計3本のSMAアクチュエータワイヤが備え付けられ、これら3本のアクチュエータワイヤは、本体の横断面内に収まる仮想の三角形の頂点に配置される。
既知の曲げ可能な本体の不利点は、曲げの精度が不十分である可能性があることである。次に、既知の曲げ可能な構造は曲げ角度に制限がある。最後に、既知の曲げ可能な構造は少なくとも3本のSMAアクチュエータワイヤの使用が必要であるため、適切に小型化することができない。
本発明の目的は、より高い曲げの精度を実現することができる曲げ可能な構造を提供することである。加えて本発明のさらなる目的は、より大きな曲げ角度を可能にする曲げ可能な構造を提供することである。本発明のさらに別の目的は、作動するときに周囲にパワーが散逸するのを大幅に減少させた曲げ可能な構造を提供することである。
この目的のため、本発明による曲げ可能な構造は、
−曲げられるようになっている本体と、
−本体内に曲げ力を誘導するためのアクチュエータとを含み、アクチュエータは、一方向性の形状記憶合金(SMA)材料で少なくとも部分的に作製されたワイヤを含み、ワイヤは予め変形され、ブリッジ構造を形成するために本体の一部に接触して配置される。
本発明は、一方向性のSMAワイヤが予め変形されると活性化の間(すなわち加熱の間)弛緩する、という知見に基づいている。弛緩中に、弛緩しているSMAワイヤによって誘導される曲げ力はブリッジ構造を渡って本体の別の側に伝達されることが可能である。一方向性の記憶材料は、事前に定められた元の形状に戻ることが可能な材料に関連する。当然のことながら“一方向性の(uni−directional)”という用語は“1つの方向の(one−way)”という用語に置き換えてもよい。当該技術分野ではこの用語は両方とも、たとえば加熱によってマルテンサイト相からオーステナイト相へと転移することが可能であるという特徴を意味するものとして用いられるからである。加熱されると、予め変形された一方向性のSMAワイヤ内に貯蔵されたエネルギは放出され、第2の要素内にそのエネルギが貯蔵されない場合、エネルギは再生不可能である。第2の要素としては、たとえば第2の一方向性のSMAワイヤがあり、好ましくはブリッジ構造に対して第1のSMAワイヤの反対側に位置する。
本発明による曲げ可能な構造は、二方向性のSMA材料を利用する広く知られている実施形態とは異なる。2本の線条の二方向性のSMA材料(すなわち“2つの方向の(two−way)”SMA)は曲げ可能な構造内に配置されてもよく、各線条が異なる温度で異なる長さを有し、マルテンサイト相またはオーステナイト相のどちらかに対応する。この2つの異なる長さはSMAの線条の温度が変化するたびに再生される。しかし、1つの状態から別の状態へと転移する間にSMAの線条によって生成されるエネルギは、曲げ可能な構造のどの要素内にも貯蔵されない。
本発明の態様によるブリッジ構造について想定される主な実施形態が、少なくとも2つある。第1に、本体が弾性ヒンジを含んでもよく、一方でブリッジ構造が一方向性のSMAワイヤに接続された弾性ヒンジによって形成されてもよい。特定の実施形態では、弾性があり可撓性のあるヒンジがSMA材料で作製された場合、一方向性のSMAワイヤから伝達された曲げ力は弾性ヒンジの反対側のアーム内に貯蔵することができる。この特色は、特に可撓性のあるヒンジの材料として擬似弾性の特性を有する材料が選択される場合に、ヒンジをばね様の要素として実装することが可能であるという知見に基づいている。好都合なことに、このような材料が室温でオーステナイトの特性を示すとき、変形を誘導することによってマルテンサイトの状態にすることができる。変形を引き起こす力が解放されると、材料は元の形状に戻る。概してこのような材料はオーステナイトの状態からマルテンサイトの状態へと転移するとき、ゴムに類似している。マルテンサイト相からオーステナイト相へ転移する間、かなり大きな力が解放されることがわかっている。擬似弾性の材料を使用することは、曲げ剛性が低く許容歪み(曲げ角度)が大きいという理由で有利である。次に、ヒンジの材料として一方向性のSMAを選択することは、曲げ剛性が低く、許容歪みが大きく、エネルギが貯蔵可能であるという理由で有利である。
ブリッジ構造の作用についての詳細は図1を参照して説明される。SMAヒンジの反対側が作動すると、力が伝達されて一方向性のSMAワイヤに戻る。このようにして曲げ可能な構造内で誘導された曲げ力は、ブリッジの1つの側からブリッジの別の側へ正確に伝達されている。さらに、この実施形態では一方向性のSMAワイヤ作動を1つ使用するのみであり、したがって、曲げ可能な構造がたとえば小型内視鏡などの最小侵襲手術用といった小型化の要求に応じなくてはならない状況において好ましい。または、小型化したデバイスは産業上の適用、たとえばエンジンまたはギアの点検の目的で用いてもよい。
第2に、ブリッジ構造は予め変形されたワイヤに硬いヒンジによって繋がれた変形可能なさらなる一方向性のSMAワイヤを含むことが可能である。
このケースでは、ブリッジ構造はヒンジアームとして働く2本の変形可能なSMAワイヤに接続された実質的に硬いヒンジを意味することが可能である。当然のことながら‘硬い(rigid)’という用語は実質的に変形不可能なヒンジの材料に関連する。好ましくは、ヒンジ材料はT=20℃で1Gpaより大きいヤング率を有する。予め変形されたワイヤとさらなるワイヤとを相互接続しているヒンジは、ヒンジの1つの側から別の側へ曲げ運動量を伝達するための力学的なブリッジを形成し、それによって曲げ可能な構造の本体を曲げさせる。当然のことながら、第1の一方向性のSMAワイヤが予め変形されているという事実によって、ブリッジはあらかじめ貯蔵された力学的エネルギを有する。このようにして、予め変形された第1のワイヤに好適な継続時間の電流パルスが印加され、ワイヤの材料が相転移温度を超える温度で加熱されると、SMAワイヤは変形可能なさらなるSMAワイヤに対して力を作り出す。それに応じて第2の変形可能な一方向性のSMAワイヤはブリッジを渡る力が平衡に到達するまで伸長する。このようにして力学的エネルギは第2のワイヤに伝達され、そこに貯蔵される。第2の一方向性のSMAワイヤが電流または別の仕方によってその相転移温度を超える温度で加熱されているとき、第2のワイヤはそれに応じて短くなり、それによって第1の(このときは弛緩している)一方向性のSMAワイヤに対して力を作り出す。その結果、第1の一方向性のSMAワイヤはブリッジに沿った力が平衡に到達するまで伸長する。このとき、力学的エネルギはブリッジを渡って再び伝達され、第1のワイヤ内に貯蔵される。第1のワイヤおよび第2のワイヤの加熱を交互に繰り返すことによって曲げ可能な構造の制御による曲げが達成される。この現象は図1を参照してより詳細に説明される。
本発明による曲げ可能な構造は、以下の利点を有する。第1に、一方向性のSMA材料の相転移に優れた可制御性があるため、ブリッジ構造を提供することによって、正確な曲げ作動が実現される。さらに、一方向性のSMA材料を使用することによって、曲げ可能な構造を曲げるのに必要な活性化エネルギは少量でよい。第2に、活性化エネルギは短い継続時間で印加されるだけでよい。たとえば0.1〜10sの継続時間の電流パルスでよく、好ましくは、必要な曲げ角度を得るために5sの継続時間を採用することができる。このことは、活性化パルスが連続的に印加されなければならず、大きなエネルギが周囲に散逸することにつながる従来技術と比べて有利である。従来技術は、周囲の組織の加熱が許されない医療上の適用には認められないことがある。
SMAワイヤは、伸長によって、最初の長さの4〜8%分予め変形されていることが好ましい。このことは、1mmの直径に対して想定されている約10mmの曲げ半径を実現するために、SMAワイヤを少なくとも4〜8%伸長することが有利であることを意味する。当然のことながら、両方のSMAワイヤが4〜8%の範囲の一部で予め変形されていることも可能である。
本発明による曲げ可能な構造の実施形態では、一方向性の形状記憶合金は、NiTi、CuZnAlまたはCuAlNiを含む材料の群から選択される。
上述したように、一方向性の形状記憶特性とは、加熱された後で、変形された状態から元の形状へ転移する材料の機能性のことである。この現象は、硬くて高温の状態(オーステナイト)であるものを冷却する間に、硬さが減少し、より低温の状態(マルテンサイト)へと結晶構造内で相転移が生じること、および加熱する間にその逆が生じることに基づいている。この相変態は可逆的であり、したがってアクチュエーション目的に容易に用いることができる。当然のことながら、形状記憶合金には可能な別の転移、すなわちオーステナイトの状態といわゆるR相との間の転移がある。R相は菱面体の結晶方位に相当する。求められる曲げ半径がより小さい場合にはオーステナイト相とマルテンサイト相との間の変態を用いるのが好ましいということがわかっている。より大きい曲げ半径に対しては、R相へのオーステナイト相の間の変態を用いるのが有利である。これは、このような転移は温度に応じて直線的であり、ヒステリシスがほとんどなく、このことが曲げの制御の平易化に有利であるからである。
本発明による曲げ可能な構造のさらなる実施形態では、本体は低い曲げ剛性を有し、このことはヒンジの材料としてSMA材料、特に擬似弾性の特性を有する材料が選択される場合に実現されうる。
このことは有利である。このケースがそうであるように、本体は曲げに対する抵抗を実質的に示さず、元の方向への跳ね返りを実質的に示さない。このことは曲げの精度をさらに高める。
本発明による曲げ可能な構造のさらに別の実施形態では、本発明は、マルテンサイト相からオーステナイト相へ、またはオーステナイト相からR相への形状記憶合金の転移を誘導する制御手段をさらに含む。
好ましくは、制御手段は、形状記憶合金がマルテンサイト相からオーステナイト相へ、またはオーステナイト相からR相へ転移できるようにするために好適な継続時間および/または振幅の電流のパルスを印加するように準備される。
制御手段は、曲げ可能な構造の所望の曲げ半径と、そのような曲げを可能にするためにSMAワイヤに印加されるようになっている電流パルスの継続時間または振幅との間の予め較正された依存関係を用いるように準備されることが有利である場合がある。この特色は曲げの精度をさらに高める。この短時間の活性化(0.1s〜10s、好ましくは約5s)は、曲げ可能な構造上のパワーの散逸を減少させるという利点を有し、このことは、組織の局所加熱が厳しく制限されるので医療上の適用に好ましい。
本発明による曲げ可能な構造のさらなる実施形態では、弾性ヒンジは本体の長手方向に伸長する相互接続された複数のヒンジ要素を含む。
この技術上の特色は、相互接続された複数のブリッジ構造を有する連続的な構造を提供することによって、曲げの精度が高められるという知見に基づいている。特に、弾性ヒンジがほぼ管状の横断面を有し、凹部を備える相互接続された複数のヒンジ要素を含む場合に、横断面の形状を保持したまま制御による曲げを実現することができる。このことは医療上の適用に特に有利である。この実施形態のさらなる詳細は図2を参照して提示することにする。
本発明による構造を曲げる方法は、
−構造として、曲げ力を本体に変換するためにアクチュエータが本体に接触して配置された本体を選択するステップであって、前記アクチュエータが、一方向性の形状記憶合金(SMA)材料で少なくとも部分的に作製されたワイヤを含み、前記ワイヤが予め変形され、ブリッジ構造を形成するために本体の一部に接触して配置されるステップと、
−ワイヤに作動信号を提供し、それによって構造を曲げるステップとを含む。
本発明による方法の特定の実施形態では、ブリッジ構造は、予め変形されたワイヤと相互作用するようになっている変形可能なさらなる一方向性のSMAワイヤを含み、この方法は、ワイヤとさらなるワイヤとを二者択一的に作動させるステップを含む。
本発明のこれらの態様および他の態様は、図面を参照してさらに論じることにする。図面においては同様の参照符号は同様の要素を表す。当然のことながら、図面は説明する目的にのみ用いるものであり、添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
本発明による曲げ可能な構造内に用いられるブリッジの原理の概略図を示す。 複数のヒンジ要素を含むヒンジの概略図を示す。 本発明による曲げ可能な構造を含む医療用デバイスの概略図を示す。
図1は本発明による曲げ可能な構造内に用いられるブリッジの原理の概略図を示す。曲げ可能な構造10は、本体1、好ましくは弾性のある材料で作製された管状の本体を含む。本体は、第1の一方向性のSMAワイヤ4、第2の一方向性のSMAワイヤ2、およびブリッジを得るために第1のワイヤ2と第2のワイヤ4とを力学的に相互接続するために配置された実質的に硬いヒンジ3を含むアクチュエータを備える。対応する力学的な図式が要素20によって示され、第1のワイヤ24、第2のワイヤ22、およびブリッジング要素23を図示している。第1のワイヤ4は、静止状態で、すなわち曲げ可能な構造が作動可能になる前に、その長さの少なくとも4〜8%分予め変形されていることが好ましい。ワイヤは静止状態でその長さの少なくとも4〜8%分伸長されていることが可能である。第1のワイヤが好適な一方向性のSMA材料で少なくとも部分的に作製されているという事実によって、作動中に、たとえば好適な継続時間および振幅の電流パルスの印加によってその相転移温度を超える温度で加熱すると、第1のワイヤはその通常の形状を回復する。すなわち短くなり、これによってヒンジの部分3aを左に引く。ヒンジ3が実質的に硬い材料で作製されているという事実によって、第1のワイヤ4によって部分3aに加えられた力はヒンジ3の部分3bにほとんど損失することなく伝達される。その結果、ワイヤ2は力が平衡に到達するまで伸長される。その結果、第2のSMAワイヤ2は、弛緩中に、第1の一方向性のSMAワイヤドによって放出された力学的エネルギを貯蔵する。第2のワイヤがその相転移温度を超える温度で加熱されると、第2のワイヤは部分3bを右に引くことによってその元の長さを回復する。その結果、第1のSMAワイヤ4は伸長して元の変形した状態に戻る。このように、好適な振幅および継続時間の電流パルスを交互に印加することによって、本体の制御による曲げが実現される。当然のことながら、1つの方向に本体を曲げるために、少なくとも2本のSMAワイヤ2、4が必要である。ヒンジは本体1に接続され、このことはアームA、Bによって概略的に示されている。当然のことながら、実際にはアームの代わりに接着剤または類似のもののような他の技術手段を用いてもよい。または、アクチュエータの曲げが実質的に伝達されて本体1が曲がるように、ヒンジおよびワイヤ類を含むアクチュエータが本体1の内部に密接に装着されていてもよい。当然のことながら、構造10の制御による他の方向への曲げを可能にするためには追加のワイヤ類が必要となるであろう。
ヒンジ要素3は好ましくは、半径Rを有する空隙を生成するためにレーザアブレーションを用いて管状の構造で作製されてもよい。ヒンジ3および半径Rの絶対寸法は用途による。たとえば、曲げ可能な内視鏡内での適用では、本体の外法寸法は0.7mm、本体の内法寸法は0.5mm、L1は約0.5mm、L2は約0.1mm、半径Rは約0.5mmとすることが可能である。この構造用に実行可能な曲げ角度を決定するために、以下の数式が考慮されるべきである。
M=F*L、ただし
Mは点に加えられたモーメントを表す。
Fは点に作用する力を表す。
Lはアームの長さを表す。
F=A*E*ε(フックの法則)
図2に示すように穿孔されたヒンジの作動中に、ヒンジは作動しているワイヤの方向に回転する。本説明では、伸長され、作動パルスが印加されると短くなるワイヤに関して説明されているが、ワイヤが事前に短くされ、作動パルスの印加中に伸長することも可能である。
ブリッジを渡る力が平衡に(図1要素20を参照)達するまでヒンジの回転は続く。この状態において、曲げ可能な構造内の運動量の合計はゼロであり、次の数式によって表される。
ΣM=0
ヒンジの幾何学的形状に関するデータを入れることによって、次の数式が得られる。
F1*l1−F2*l2−Tψ=0
上記の数式を角度ψに関して解くと、力の平衡が角度ψ7,2度で維持されることがわかる。図2に示すように、好適な複数のヒンジ要素31、32、・・・、Nを提供することによって、好適な曲げ角度が得られる。たとえば、ヒンジ30を形成する30個の要素では、216度の曲げ角度が実現される。本体が弾性ヒンジを含み、ブリッジ構造がワイヤに接続された弾性ヒンジによって形成され、特に弾性ヒンジが一方向性のSMA材料で作製されている場合、所望の曲げ方向につき、一方向性の作動SMAをただ1つ用いれば十分であり、弾性ヒンジが第2の一方向性のSMAワイヤとして作用することに留意されたい。
図3は本発明による曲げ可能な構造を含む医療用デバイスの概略図を表す。曲げ可能な構造40は曲げ可能なカテーテルまたは内視鏡に関連してもよい。カテーテルは身体の導管内、たとえば血管内または尿路内で操作するのに好適である場合がある。以下に、小型内視鏡内に実装された曲げ可能な構造の例を提示することにする。当然のことながら、遠隔制御による曲げを必要とするカテーテル類または任意の他の好適な装置への適用においても当業者なら同様の教示を用いることができる。
内視鏡40は外側の管状の本体41を含み、それには、一方向性のSMAワイヤ43、44を配置した可撓性のあるヒンジ42が取り付けられていてもよい。内視鏡40が内部容積の一部のみを占有する好適なルーメンを含み、ワイヤ43、44を備えたヒンジ42がルーメン内に配置されることも可能である。好ましくは、管状の本体41の直径は0.5〜10mmの範囲内であり、好ましくは0.5〜2mmの範囲内である。
一方向性のSMAワイヤは、一方向性のSMAワイヤをその相転移温度を超える温度で加熱するために電流のパルスを印加することによって作動することができる。好適なSMA材料の、マルテンサイト相からオーステナイト相への転移、またはオーステナイト相からR相への転移のどちらかが想定されることに留意されたい。ワイヤ43、44を作動するために、内視鏡45は制御ユニットを含み、制御ユニットは第1のワイヤ43または第2のワイヤ45に求められる特徴に応じて電流パルスを供給するように準備される。
医療分野では、ヒトまたは動物の体内で内視鏡40の突起がリアルタイムでモニタされることが有利である。好ましくは、このようなモニタリングは内視鏡の位置の3次元のトラッキングを示すように準備される。制御ユニット45は、内視鏡、特にその先端部分Tのいる領域の画像データとともに、内視鏡に関する位置情報を受信するように準備されることが有利である。曲げ角度は歪みセンサすなわち光ファイバを用いてモニタすることもできる。
画像データに従って、制御ユニット45または適切な画像ユニット48と通信するように配置された好適なデータ解析ユニット47が、内視鏡の先端部分Tがさらなる挿入の前に曲げられるべき角度を計算する。当然のことながら、内視鏡検査が実施されるとき、たとえば内視鏡を臓器内または腔内に置いて光学的手段46用に広い視野を可能にするために様々に動かすとき、同様の手順に従うことが可能である。光学的手段46はさらなるデータ処理のために外部のデバイス(図示されていない)と接続して配置される。このような接続は光ファイバを用いて実施されることが好ましい。
好ましくは、一方向性のSMAワイヤ43、44は扁平な横断面で準備される。このことはワイヤ43、44が占有するスペースが少なくなるという利点を有する。この特色は心臓動脈内に用いられるようになっているカテーテルに特に有利である。心臓用のデバイスの小型化は、誘発性虚血に関して極めて重要な役割を果たすからである。
本発明の特定の実施形態を上記に説明してきたが、当然のことながら、本発明は説明された以外の別の形で実施されてもよい。さらに、異なる図面を参照して論じられた別個の特色は組み合わせてもよい。曲げ可能な構造は内視鏡に関連して説明されているが、たとえば産業上の適用、カテーテル類、または同類のものなどの他の光学的デバイスを含む他の適用が考えられる。

Claims (19)

  1. 曲げ可能な構造であって、前記構造が、
    −曲げられるようになっている本体と、
    −前記本体内に曲げ力を誘導するためのアクチュエータとを含み、前記アクチュエータは、一方向性の形状記憶合金(SMA)材料で少なくとも部分的に作製されたワイヤを含み、前記ワイヤは予め変形され、ブリッジ構造を形成するために前記本体の一部に接触して配置される曲げ可能な構造。
  2. 前記本体が弾性ヒンジを含み、前記ブリッジ構造が前記ワイヤに接続された前記弾性ヒンジによって形成される、請求項1に記載の曲げ可能な構造。
  3. 前記本体が前記本体の長手方向に伸長する相互接続された複数のヒンジを含む、請求項2に記載の曲げ可能な構造。
  4. 前記本体がSMA材料を含む請求項2または3に記載の曲げ可能な構造。
  5. 前記ブリッジ構造が、前記予め変形された一方向性のSMAワイヤに硬いヒンジによって繋がれた変形可能なさらなる一方向性のSMAワイヤを含む、請求項1に記載の曲げ可能な構造。
  6. 前記一方向性のSMA材料が、NiTi、CuZnAlまたはCuAlNiからなる材料の群から選択される、請求項5に記載の曲げ可能な構造。
  7. 前記本体が低い曲げ剛性を有する、先行する請求項のいずれかに記載の曲げ可能な構造。
  8. マルテンサイト相からオーステナイト相への、またはオーステナイト相からR相への前記形状記憶合金の転移を誘導する制御手段をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の曲げ可能な構造。
  9. 前記制御手段が、短い継続時間の電流パルスの印加によって、前記一方向性の形状記憶合金を制御するために準備される請求項8に記載の曲げ可能な構造。
  10. 前記ブリッジ構造が前記本体のキャリアとして形成される、先行する請求項のいずれかに記載の曲げ可能な構造。
  11. 前記本体が管状であり、0.5〜10mmの範囲内で、好ましくは0.5〜2mmの範囲内で直径を有する、先行する請求項のいずれかに記載の曲げ可能な構造。
  12. 前記本体が光学的デバイスの一部を形成する、先行する請求項のいずれかに記載の曲げ可能な構造。
  13. 前記光学的デバイスが内視鏡である請求項12に記載の曲げ可能な構造。
  14. 前記本体がカテーテルの一部を形成する、先行する請求項1〜11のいずれかに記載の曲げ可能な構造。
  15. 前記ワイヤおよび前記さらなるワイヤが扁平な横断面を有する、先行する請求項のいずれかに記載の曲げ可能な構造。
  16. 前記変形可能なワイヤが、伸長によってその最初の長さの4〜8%分予め変形された、先行する請求項のいずれかに記載の曲げ可能な構造。
  17. 前記ワイヤおよび前記さらなるワイヤが予め変形された、先行する請求項6〜16のいずれかに記載の曲げ可能な構造。
  18. 構造を曲げる方法であって、前記方法が、
    −前記構造として、曲げ力を本体に変換するためにアクチュエータが前記本体に接触して配置された前記本体を選択するステップであって、前記アクチュエータが、一方向性の形状記憶合金(SMA)材料で少なくとも部分的に作製されたワイヤを含み、前記ワイヤが予め変形され、ブリッジ構造を形成するために前記本体の一部に接触して配置されるステップと、
    −前記ワイヤに作動信号を提供し、それによって前記構造を曲げるステップと
    を含む方法。
  19. 前記ブリッジ構造が、前記予め変形されたワイヤと相互作用するようになっている変形可能なさらなる一方向性のSMAワイヤを含み、前記方法が、前記ワイヤと前記さらなるワイヤとを二者択一的に作動させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
JP2010539329A 2007-12-20 2008-12-17 曲げ可能な構造および構造を曲げる方法 Pending JP2011507591A (ja)

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